JPH0719170A - 流体を入れまたは運ぶための超小形装置の製造方法及びその方法により製造した装置 - Google Patents

流体を入れまたは運ぶための超小形装置の製造方法及びその方法により製造した装置

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JPH0719170A
JPH0719170A JP6123333A JP12333394A JPH0719170A JP H0719170 A JPH0719170 A JP H0719170A JP 6123333 A JP6123333 A JP 6123333A JP 12333394 A JP12333394 A JP 12333394A JP H0719170 A JPH0719170 A JP H0719170A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置のシリコン本体とガラス密閉板との間の
良好な接合を保証し、同時に流体に晒される表面上の酸
化層を保護することができるような、前述の種類の超小
形加工装置の製造工程を提案すること。 【構成】 加工工程に先立ち、密閉板(1、5)と接触
するシリコン本体となる部材(4)の表面を加工工程に
耐えるように遮蔽層で被覆される。次に、上記の工程が
終了した後、流体に晒される部材の表面が、上記表面の
湿潤性を促進するための酸化層を内部に形成するために
酸化される。次に遮蔽層が除去され、部材に密閉板が取
付けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシリコンを超小形加工す
ることによって製造され、気体又は液体状の流体を入れ
又は運ぶようにされた装置の製造工程に関する。特に、
本発明はフォトリソグラフ加工技術を用いて製造される
シリコン製の超小形ポンプの製造に関する。
【0002】
【従来の技術】圧電素子によって励磁されるシリコン製
超小形ポンプの特定の設計は特許出願PCT−WO91
/07591号に記載されている。この明細書は更に、
シリコンが流体と接触する表面の湿潤性が中程度に過ぎ
ないことによる疎水性材料であることの問題点にも言及
している。この種類の超小形ポンプはしばしば水溶液の
形態の薬剤を搬送するために使用されるので、この問題
はますます重大である。このような条件では、特別の事
前処置を講じないかぎり、吸込、及び吐出弁のポンプ室
(単数及び複数の双方又は一方)を適正に満たすことは
できない。
【0003】前掲の国際特許出願で提起されているこの
問題の解決方法、すなわち搬送される流体と接触する表
面を親水性にする方法は、ポンプの本体を製造した後で
シリコン・ポンプを酸化させて、その部分を親水性と
し、従って搬送される流体と接触するポンプ体積の湿潤
性を大幅に高めることができる極めて薄い酸化シリコン
の表層を形成することである。より詳細に述べると、前
掲の文献は、適宜の厚さの親水性層を作成するために十
分な期間に亘って、完成されたポンプ本体を沸騰した硝
酸中に浸漬することを提案している。
【0004】しかし、この手順は、このようにしてポン
プ本体を酸化させる際に露出されたシリコン表面全体
が、ポンプのカバー・ガラスが後に溶着される表面も含
めて表面処理されてしまうという欠点を有している。
【0005】すなわち、ガラスを酸化シリコン表面に溶
着することは困難、又は不可能であることが知られてい
る。
【0006】しかし、流体に晒されるシリコンを覆う酸
化層を備えることは、勿論、流体がシリコンに対して浸
食性を有する場合であるが、それによってシリコンを流
体による浸食から防護することができるという点で依然
として必要である。例えば、流体が腐食性ガスであり、
シリコンに対する劣化作用が上記の条件下で回避される
ことを想定することができる。更に、酸化層は流体が電
気を導通する際に電気絶縁体として役立つことができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は従来技
術の前述の欠点を克服し、装置のシリコン本体とガラス
密閉板との間の良好な接合を保証し、同時に流体に晒さ
れる表面上の酸化層を保護することができるような、前
述の種類の超小形加工装置の製造工程を提案することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、流体を入
れまたは運ぶように構成された少なくとも一つの空洞
(7、12)をシリコン部材内に形成し、且つ前記空洞
の壁を酸化させてこれを親水性にするように酸化及びフ
ォトリソグラフ工程を選択的に利用して前記シリコン部
材(4)を加工する段階と、密閉板を前記のように加工
されたシリコン部材に取付けて、装置を完成させる段階
とから成る、特定の流体中の流動性物質を入れまたは運
ぶようにされた超小形装置の製造工程において、前記加
工段階に先行して、前記密閉板と接触するようにされた
前記シリコン部材の表面を前記加工段階中に保護する遮
蔽層で覆う段階と、前記加工段階の後に、前記流体に晒
される前記シリコン部材の表面を酸化させて、前記シリ
コン部材の表面の湿潤性を促進する酸化層を形成する段
階と、前記遮蔽層を除去する段階と、前記密閉板を前記
シリコン部材に取付ける段階、とから成ることを特徴と
する製造工程によって達成される。
【0009】本発明の別の特徴によれば、前記遮蔽層は
窒化シリコンから成り、中間酸化層を間に挟装して前記
部材上に溶着される。
【0010】本発明の別の特徴によれば、前記中間酸化
層の厚さは湿潤性を促進する前記酸化層よりも薄く、こ
の処理工程は、前記遮蔽層を除去した後に、湿潤性を促
進する前記酸化層を露出しつつ、前記中間酸化層を除去
する段階から成っている。
【0011】前述のような処理工程によって得られた超
小形加工装置を提供することも本発明の特徴である。
【0012】これらの特徴から、その工程で超小形装置
が完成する密閉板の組立ては、信頼性が高い結果を伴っ
て容易に実行できると同時に、流体と接触する超小形装
置のシリコン表面は、親水性であり、且つ(又は)前記
流体によるどのような浸食に対する耐性を有している。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。
【0014】先ず本発明の圧電式に励磁される超小形ポ
ンプの処理工程の実施例を説明するために図1及び図2
を参照する。この装置は本発明の処理工程を利用して実
施するのに特に適している。「上部」及び「下部」とい
う用語は説明目的で用いられるだけであり、ポンプをど
の空間的な位置関係でも使用できることに留意された
い。
【0015】超小形ポンプは好ましくはガラス製であ
り、それぞれが超小形ポンプの吸込導管と吐出導管であ
る2つの導管2及び3が貫通している基板1、すなわち
第1密閉板を有している。
【0016】この基板1にはポンプ本体を形成するシリ
コン製の板4からなる部材が取付けられており、この板
の内部には後述するように、本発明の処理工程によって
ポンプの種々の動作をする空洞及び機関が形成される。
【0017】ポンプ本体を形成する部材4には比較的薄
く、好ましくはガラス製の第3の板5が取付けられる。
この板はポンプの第2密閉板を構成する。この板上には
その外表面の一部に延びる圧電トランスデューサ6が配
設され、このトランスデューサは、電圧によって励磁さ
れた時に誘発される振動状態によって、第2密閉板5を
変形し、そこでポンプの動作中にポンプ室の容積を変更
するように設計されている。
【0018】このようにして構成された超小形ポンプ
は、単なる例示目的で、22×22mmの普通寸法を有
し、板1、4及び5の厚さはそれぞれ1.5mm、28
0ミクロン及び0.3mmであるものとする。
【0019】ポンプ本体を形成する中間の部材4は基板
1内に穿設された吸込導管2と連通した吸込室7(図
2)を構成している。この吸込室7は吸込弁8を囲み、
この吸込弁のガスケット9はシリコン部材4内に加工さ
れた薄く、変形可能な薄膜によって形成されている。ガ
スケット9は、特殊な材料ではないが、ガスケット9が
その上に接合される基板1の表面の対応部分によって形
成されている弁10の弁座と連携する。このガスケット
9は環状シール9aを有しており、これは本発明の処理
工程中に備えられ、薄膜を僅かに曲げることによってガ
スケット9がその座10に良好に適合することを保証す
るようにされている。
【0020】ガスケット9には、薄膜の吸込室7とは反
対側から、圧電トランスデューサ6が上方に配されたポ
ンプ室12内へと開かれた中央連通穴11が設けられて
いる。従って、超小形ポンプの注排出動作を達成するた
めに、このポンプ室12の容積が周期的に変更せしめら
れる。
【0021】ポンプ室12は連通オリフィス14の中間
部を経て転移室13と連通しており、この転移室はポン
プの吐出弁15であるポンプの第2弁を囲んでいる。こ
の弁は吸込弁と実質的に同様に構成され、従ってガスケ
ット16と、ガスケット・シール16aと、座17と中
央連通穴18とを有している。この中央連通穴は適時
に、すなわち吐出弁15が開いた時に、転移室13を吐
出弁15の上方に位置する吐出室19と連結する。一
方、この吐出室19は連通オリフィス20の中間部を経
てポンプの吐出導管3と連通している。
【0022】上記のような超小形ポンプの構造自体は公
知であり、特にこの構造の以下の説明によって容易に再
構成できるので、その動作については詳細には説明しな
い。
【0023】ここで本発明の本質的な特徴を強調しつつ
ポンプ本体4の製造工程を説明する。前記の特徴は本文
の冒頭に述べたように、ポンプの動作中に流体と接触す
るポンプ本体4の表面の親水性と、注排出される流体に
よる浸食に対する耐性を高めることを指向したものであ
る。
【0024】図3、図4は本発明の処理工程の種々の段
階の、図1のIII−III線に沿ったポンプ本体の部分断面
図を概略的に示したものである。下記の処理工程の説明
では、層の厚さ、炉内での加熱時間等の全てのパラメタ
値は単なる例示であるに過ぎず、本発明を限定するもの
ではないことに留意されたい。
【0025】従来技術を利用して幾つかのボンプ・ボデ
ーを内部に同時に形成できるシリコン部材21は先ず湿
式酸化され(図3a)、それによってシリコン部材の2
つの表面に酸化層22が形成される。この層の厚さは1
ミクロンでよく、この処理工程は1100℃の温度に加
熱された水蒸気を含む炉内で実施される。水蒸気は0.
5l/分の速度で酸素が、又、4l/分の速度で窒素が
導入される気泡発生器によって生成できる。
【0026】それによって酸化層22が備えられたシー
ト材は、引き続いて従来のフォトリソグラフ処理にかけ
られる。すなわち、弁のシール9a及び16aを形成す
る環状のゾーンだけを残すように光抵抗マスクを設け
て、1:7の比率のフッ化アンモニウムで緩衝されたフ
ルオロ水素酸で、大気温度で酸化物をエッチェングさせ
る(図3、図4は単一の吐出弁15に相当するゾーンだ
けを示していることに留意されたい。)
【0027】図3bの段階で生じた部材は次に、酸素流
が2l/分の速度で貫流する1100℃の管状炉内での
乾式酸化によって、所定の厚さ(この例では1000オ
ングストローム)の酸化層24によって全体が被覆され
る。このようにして得られた、連結層として機能する酸
化層は次に液層化学蒸着(LPCVD)によって800
℃の温度で、1500オングストロームの厚さになるま
で窒化シリコン(Si3N4)の層25によって被覆され
る。一実施例では、窒化シリコンは同じ厚さの酸化アル
ミニウム(Al2O3)で代用できる。
【0028】図3dに示した次の処理段階は、ポンプの
種々の空洞が引き続いて内部に形成される部材に領域2
6と27とを区切るために層24と25を選択的に除去
する段階である。図3、図4では、これらの図はそれぞ
れ吐出室19と転移室13とに関する図面である。それ
ぞれシール9aと16aとに対応する環状ゾーンが保存
されている。従ってこの段階は光抵抗を利用した従来の
フォトリソグラフ処理段階であり、この段階の間に窒化
シリコンが先ずプラズマエッチェングによって、次に緩
衝されたフルオロ水素酸によるエッチェングによって酸
化層が選択的に除去される。
【0029】次に部材21は、層28を形成するために
窒化シリコンによって既に被覆されたゾーンの外側の2
つの面で再び酸化処理される(図3e参照)。この酸化
処理は層22と同じ形成方法(図3a参照)で行われ、
層28の厚さは例えば3000オングストロームであ
る。
【0030】次に酸化層28の、弁8と15の中央通路
が設けられるべき部位に環状開口部29が設けられる。
この開口部は光抵抗を用いて部材をフォトリソグラフ処
理することによって設けられ、エッチェング自体は緩衝
されたフルオロ水素酸を用いて行われる。それによって
図4fに示した構造が得られる。
【0031】次に空洞の深さが約50ミクロンになるま
で部材を異方性エッチェングするために、部材を40な
いし60℃の温度でKOH溶液に浸漬して空洞30が形
成される。その後、部材の両面から全ての酸化物が除去
されるまで部材を再び大気温度で、1:7の比率のフッ
化アンモニウムで緩衝されたフルオロ水素酸の溶液に浸
漬することによって、未だ除去されていない残留酸化物
がKOHエッチェングによって除去される。この処理段
階によって図4gに示した構造が得られる。
【0032】次に部材は再び各弁胴の厚さが50ミクロ
ン以上にならないような十分な時間だけKOH溶液に浸
漬してKOHにより異方性エッチェングされる。この処
理によって更に弁の中心で部材が穿孔され、図4hに示
すようにポンプ用に設けられるの種々の空洞が形成され
る。
【0033】次に部材は酸化層31が厚さ約3000オ
ングストロームになるまで、層22が形成される場合と
同じ条件下で湿式酸化される。この酸化層は流体と接触
するポンプ領域を全て酸化物で被覆する。図4iに示す
ように、これまで説明した全処理段階の間に窒化シリコ
ンで被覆されたままのゾーンはこの酸化処理による作用
は受けない。
【0034】次の処理段階は部材を約180℃の温度で
85%のリン酸溶液に浸して部材上にまだ残っている層
25の窒化シリコンを除去し、次にそれまで窒化シリコ
ンの下層にある酸化層24を除去するために緩衝された
フルオロ水素酸溶液に浸す段階である。この後者の段階
によって更に酸化層31が部分的に除去される。しか
し、酸化層25の厚さは約1000オングストロームで
あるので、最後に形成された酸化層を除去する処理によ
っても、表面が十分な湿潤性を有し、流体によるいかな
る腐食に対しても十分に保護されるのに十分な厚さ(約
2000オングストローム)が流体に晒される表面上に
残される。この処理によって一つの酸化層32が残され
ていることを示す図4jに示された構造が得られる。
【0035】この構造は完成されたポンプ本体に相当す
るものであり、超小形ポンプの構造を完成するために陽
極溶着によって密閉板1及び5を取付け、圧電トランス
デューサを配設するための十分な構造であることを付記
しておく。
【0036】了解されるように、従来技術の場合のよう
に、実際に酸化される必要がある表面を酸化できるだけ
ではなく、ポンプの密閉板を取付ける表面33をも酸化
する浸漬処理を事後的に行う必要なく、親水性の防護層
32はポンプ本体の製造工程中に付与される。
【0037】最後に、本発明の処理工程によって従来技
術の場合よりも厚い酸化層が得られ、このことは電気絶
縁がより良好になることを意味している。
【0038】
【発明の効果】上記のように、本発明の処理工程によっ
て、搬送又は保管される流体と接触する超小形装置のシ
リコン表面が親水性であり、流体によるどのような浸食
に対する耐性をも有するように密閉板を組立てることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の処理工程を利用して製造された超小
形加工装置の一例の概略的な上平面図と下平面図であ
る。
【図2】 図1a及びbに示した超小形ポンプのII−II
線に沿った横断面図である。
【図3】 本発明の処理工程を実施するために必要な連
続的な処理段階の図1のIII−III線に沿った概略的な部
分断面図である。
【図4】 本発明の処理工程を実施するために必要な連
続的な処理段階の図1のIII−III線に沿った概略的な部
分断面図である。
【符号の説明】
1 第1密閉板、4 シリコン部材、5 第2密
閉板、21 シリコン部材、22、24、28 酸化
層、23 環状ゾーン、25 窒化シリコン層、26、
27 空洞領域、32 酸化層表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フォルカー・ガス スイス国 シイエイチ−2000 ヌーシャテ ル・リュ ドゥ ラ マラディエール・8 (72)発明者 バート・ヴァン デル シュート スイス国 シイエイチ−2000 ヌーシャテ ル・リュ マティル・6

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体を入れまたは運ぶように構成された
    少なくとも一つの空洞(7、12)をシリコン部材内に
    形成し、且つ前記空洞の壁を酸化させてこれを親水性に
    するように酸化及びフォトリソグラフ工程を選択的に利
    用して前記シリコン部材(4)を加工する段階と、 密閉板(1、5)を前記のように加工されたシリコン部
    材に取付けて、装置を完成させる段階とから成る、特定
    の流体中の流動性物質を入れまたは運ぶようにされた超
    小形装置の製造方法において、 前記加工段階に先行して、前記密閉板と接触するように
    された前記シリコン部材の表面を前記加工段階中に保護
    する遮蔽層(25)で覆う段階と、 前記加工段階の後に、前記流体に晒される前記シリコン
    部材の表面を酸化させて、前記シリコン部材の表面の湿
    潤性を促進する酸化層を形成する段階と、 前記遮蔽層(25)を除去する段階と、 前記密閉板(1、5)を前記シリコン部材(4)に取付
    ける段階、とから成ることを特徴とする超小形装置の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記請求項1に記載の方法によって製造
    したことを特徴とする流体を入れまたは運ぶ超小型装置
JP12333394A 1993-05-24 1994-05-13 流体を入れまたは運ぶための超小形装置の製造方法及びその方法により製造した装置 Expired - Fee Related JP3651809B2 (ja)

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