JPH06264870A - マイクロポンプ - Google Patents

マイクロポンプ

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Publication number
JPH06264870A
JPH06264870A JP5282293A JP5282293A JPH06264870A JP H06264870 A JPH06264870 A JP H06264870A JP 5282293 A JP5282293 A JP 5282293A JP 5282293 A JP5282293 A JP 5282293A JP H06264870 A JPH06264870 A JP H06264870A
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JP
Japan
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electrodes
pump
flow path
polyimide resin
fluid
Prior art date
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Application number
JP5282293A
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English (en)
Inventor
Masayuki Sekimura
雅之 関村
Mamoru Izumi
守 泉
Noriko Kudo
紀子 工藤
Tadashi Sakai
忠司 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 少ない加工装置で製造することができ、かつ
駆動源として圧電素子を用いることなくポンプ動作させ
ることができ、装置構成の小型化をはかり得るマイクロ
ポンプを提供すること。 【構成】 液体の微少流量制御を行うマイクロポンプに
おいて、シリコン基板1上にポリイミド樹脂2を主構造
材料として、流路3,空隙部,及び該空隙部を挟む流路
壁を構成し、さらに静電力発生用電極4を形成し、静電
力により流路壁を変位して、空隙部を狭めたり広げたり
することによって流体の移送を行うことを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体の微少流量制御を
行うマイクロポンプの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のマイクロポンプは、図2
5に示すように構成されている(Sensors and Actuator
s,vol.15.pp.153-157,1988)。ポンプ部の空隙部22
2、2個のバルブ部223(2231 ,2232 )、液
体の流路224等の形状加工が施されたシリコン基板2
25を、ガラス基板2101 と、流入・流出口207
(2073 ,2074 )が形成されたガラス基板210
2 とで挟んだ構造となっている。ポンプ部の空隙部22
2の上部には圧電素子211が駆動手段として貼り付け
られており、この部分が屈曲運動をすることによりポン
プとして機能する。なお、ガラス基板210の流入・流
出口207の部分には、吸入・吐出用パイプ212(2
123 ,2124 )が樹脂213で固定されている。
【0003】しかしながら、この種のマイクロポンプに
あっては次のような問題があった。即ち、空隙部22
2,流路224及び流入・流出口207等の形成のため
にシリコンを形状加工しているため、半導体の加工装置
の他に、シリコンとガラスの貼り合わせ専用装置と数多
くの装置を必要とする。このため、簡単に加工できない
という問題があった。また、小型化しようとする場合に
は、駆動源が圧電素子211であるため小型化は難しい
という問題もあった。
【0004】また、流路224は非常に発水性であるた
め、流すべき流体を流路224内に導入するのが難し
く、また気泡が入りやすいという問題があった。また、
ガラス基板210の流入・流出口207の部分に吸入・
吐出用パイプ212を固定するが、流入・吐出口207
が小さいのでその位置合わせは容易ではない。しかも、
固定したパイプ212は横方向の外力には弱く、不用意
な取扱いで力が加わるとパイプは簡単に外れてしまうと
いう問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来のマ
イクロポンプにおいては、製造するのに数多くの加工装
置を必要とし、また駆動源に圧電素子を用いているので
小型化が難かしいという問題があった。
【0006】本発明は、上記事情を考慮してなされたも
ので、その目的とするところは、少ない加工装置で製造
することができ、かつ駆動源として圧電素子を用いるこ
となくポンプ動作させることができ、装置構成の小型化
をはかり得るマイクロポンプを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、ポンプ
材料としてポリイミド樹脂を用い、かつ駆動源として静
電力を利用することにある。
【0008】即ち本発明は、液体の微少流量制御を行う
マイクロポンプにおいて、基板上にポリイミド樹脂を主
構造材料として、流路,空隙部,及び該空隙部を挟む流
路壁を構成し、静電力により流路壁を変位して、空隙部
を狭めたり広げたりすることによって流体の移送を行う
ものである。ここで、本発明の望ましい実施態様として
は、次のものがあげられる。 (1) 流路壁面又は流路壁面の近傍に静電力発生用電極が
形成されており、静電力発生用電極への電圧の印加によ
り発生する静電力で流路壁面が変位すること。 (2) 流路壁には複数個の静電力発生用電極が形成されて
おり、該電極を順次変位させることで流体の移送を行う
こと。 (3) 流路,空隙部,及び該空隙部を挟む流路壁を構成
し、静電力により流路壁を変位して空隙部を狭めたり広
げたりするポンプ部を複数個接続したこと。 (4) 液体の流路となるシリコンの壁面は多孔質化され、
親水処理が施されていること。 (5) 流入口,流出口は側面に形成され、流入,吐出用の
パイプが落とし込み又は差し込み構造で位置が決められ
て固定されていること。
【0009】
【作用】本発明によれば、構造材料がポリイミド樹脂で
あるので、従来のように多くの加工装置を必要とするこ
となく、容易に加工することができる。また、駆動源と
して圧電素子を使わないので、全体構成の小型化も容易
である。
【0010】
【実施例】以下、本発明の詳細を図示の実施例によって
説明する。 (実施例1)
【0011】図1は、本発明の第1の実施例に係わるマ
イクロポンプの概略構成を示す平面図と断面図である。
基板1上に、複数のポリイミド樹脂層2(21 〜23
を堆積し、犠牲層エッチングを行い流路3を形成してい
る。流路壁のポリイミド樹脂層内部には、図に示すよう
に静電力発生用電極となる複数の金属層4(41
6 )、5(51 〜56 )が形成されている。この実施
例では、6×2の12個の電極が設けられている。電極
取り出し用のパッド61 〜612も形成されている。流路
の終端には流体の流入・流出口7(71 ,72 )が設け
られている。
【0012】このマイクロポンプは各電極に印加する電
圧を変化させ流路を開いたり閉じたりして流体の移送を
行う。本実施例における駆動方法を、流路の開閉状態を
模式的に示した図2を参照して説明する。各々静電力発
生用の電極が形成されたポリイミド層9(91 ,92
の間に流路3が形成されている。電極は、図2(a)で
は示しているが(b)〜(h)では省略している。
【0013】図2(a)は、電極4,に例えば−50V
と+50Vが印加され、電極4,5間に引力が働いて電
極間が狭くなり流路が塞がっている初期の状態である。
まず、電極41 ,51 に+50V,+50Vを印加する
と、電極41 ,51 間には反発力が働くので、図2
(b)に示すように電極41 ,51 間の流路は広がり、
矢印のように流体が流入する。
【0014】次いで、電極42 ,52 の印加電圧を+5
0V,+50V、電極41 ,51 の印加電圧を−50
V,50Vに変えると、図2(c)に示すように電極4
2 、52 間の流路は広がり、電極41 ,51 間の流路は
塞がり、流体は流出口方向に移動する。さらに、図2
(d)(e)(f)(g)(h)に示すように印加電圧
を変化させ順次流路の開閉を行うと、流体は流出口方向
に移動していき、最後には流出口から排出される。
【0015】図2(h)は初期状態で(a)と同じであ
り、これを繰り返すことにより流体が移送されポンプと
して機能する。流路開閉のために静電力発生用電極4,
5に印加する電圧の値,極性は任意に決められる。ポン
プの排出流量は流路の断面積で決まってくるが、電極
4,5に印加する電圧の電圧値、駆動周波数でも制御で
きる。
【0016】次に、本実施例のマイクロポンプの作製プ
ロセスを図3,図4を参照して説明する。最初に、図3
(a)に示すように基板1上に静電力発生用電極となる
金属層4(41 〜46 )を形成し、続いて図3(b)に
示すようにポリイミド樹脂層21 を形成する。ポリイミ
ド樹脂層21 は基板1上に堆積後、パターニングを行
う。ポリイミド樹脂層21 の堆積は、スピンコートで容
易に行うことができる。また、膜厚はスピンコーターの
回転数,樹脂の粘度,コーティング回数などで容易に調
整できる。
【0017】次いで、図3(c)に示すように、ポリイ
ミド樹脂層21 の上に犠牲層101となるレジストを形
成する。このレジストも堆積後、パターニングを行う。
レジストの堆積もスピンコートで行う。このレジストの
犠牲層101 は流路やポンプ部の空隙部となる部分であ
り、レジストの厚さを変えることによりポンプの容量を
変えることができる。レジストの厚さはスピンコーター
の回転数,樹脂の粘度,コーティング回数などで容易に
調整できるので、ポンプ容量の変更も容易である。犠牲
層101 となるレジストの厚塗りは100μm程度は容
易である。このようにポンプ容量の変更が広い容量範囲
で可能であり、ポンプの汎用性が高くなる。次いで、図
3(d)に示すように、犠牲層101 の上にポリイミド
樹脂層22を形成する。
【0018】次いで、図4(a)に示すように、ポリイ
ミド樹脂層22 にレジストをエッチングするための穴1
1(111 ,112 )を開ける。この穴11からレジス
トのエッチング液を流し、レジストをエッチングする
と、図4(b)に示すように流路3が形成される。流路
等の形成後、図4(c)に示すように、静電力発生用電
極となる金属層5(51 〜56 )を基板上の電極4と対
向する位置に形成する。その後、図4(d)に示すよう
に、電極5を覆い、流入,流出口7(71 ,72)を開
けてポリイミド樹脂層33 を形成することにより、本実
施例のマイクロポンプが完成する。
【0019】このプロセスではポリイミド樹脂を主構成
材料としているが、感光性ポリイミドを用いるとパター
ニング等が容易である。また、犠牲層101 としてはレ
ジストを用いているが、金属を用いることもできる。レ
ジストを用いた場合はポリイミド樹脂のキュア温度を考
慮してレジストの上にポリイミド樹脂を一層重ねた後に
犠牲層であるレジスト層を除去している。しかし、犠牲
層101 として金属を用いる場合は、図5(a)〜
(d)に示すように、ポリイミド樹脂層2、電極4,
5、犠牲層101 となる金属層を堆積した後にエッチン
グ用の穴11を開け、プロセスの最後に犠牲層101
金属層をエッチングすることもできる。なお、図5の前
工程は前記図3と同様である。
【0020】ポリイミド樹脂は親水性でないために流体
をはじきやすい。そのため、犠牲層101 となるレジス
トなどを形成する前に流路となる部分に反応性イオンエ
ッチングなどの親水処理を施せば流体の注入などが容易
になる。
【0021】図2の駆動例では、1ドメインの移送を示
したが、図6,図7に示すように複数ドメインの移送や
ドメインの量を変えることもできる。また、図8の駆動
でも流出口側の流路の開閉を流入口側よりも位相をずら
し早く行えば流体の移送は可能である。
【0022】上記実施例では基板上に電極が形成されて
いるが、図9(a)に示すように、まず基板上にポリイ
ミド樹脂層24 を一層形成し、その上に上記例と同様に
ポンプを形成してもよい。そして、ポンプ作製後、基板
1を剥せばフレキシビリティーのあるマイクロポンプを
作ることができる。基板1を剥す方法としては基板1と
ポリイミド樹脂層2との間に金属層を形成しておき、金
属層をエッチング除去する方法が考えられる。
【0023】また、上記実施例では流路は静電力発生用
電極の間に形成されていたが、図9(b)に示すように
静電力発生用電極4(47 〜412),5(57 〜512
流路の片方側に形成してもよい。さらに、図9(c)に
示すように静電力発生用電極4(413〜418),5(5
13〜518)を流路の片方側に形成してもよい。
【0024】流路は、図9(b)では静電力発生用電極
対4,5の上側、図9(c)では静電力発生用電極対
4,5の下側に形成されている。また、双方の構造の組
み合わせで構成してもよい。
【0025】図1の実施例では電圧印加用の電極4,5
はそれぞれ外部に取り出していたが、同じ電圧を印加す
る電極は外部に取り出す前に互いに配線してつなげば、
外部に取り出す配線の数は減らすことができる。例え
ば、図6に示したような駆動を行う場合は、電極41
4 、電極42 と45 、電極43 と46 、電極51 と5
4 、52 と55 、電極53 と56 が各々共通化できる。
従って、共通化すれば外部に取り出す配線の数は12本
から6本に減らすことができる。また、先の実施例では
駆動時には上部電極51 〜56 に常に50Vを印加して
いるので共通化することも可能であり、このようにする
と配線数は4本までに減らせる。
【0026】上記実施例では静電力発生用電極4,5は
2層であったが、図10(a)のように図1(a)の構
造の上に更に静電力発生用電極13(131 〜136
を設け、電極が3層で間に流路が挟まれている構造にす
ることもできる。この構造では、例えば真ん中の電極5
1 に50V、最上層の電極131 に−50V、最下層の
電極41 に50Vを印加すると流路は開き、真ん中の電
極51 に50V、最上層の電極131 に50V、最下層
の電極41 に−50Vを印加すると流路は閉じる。この
構造,動作にすると、図1に示した構造の場合よりも流
路の開閉をよりスムーズに確実に行うことができる。
【0027】上記実施例では流路は1本であったが、図
10(b)のように図1の構造の上に更に静電力発生用
電極13(137 〜1312)と流路32 を設け、電極が
3層で間に2本の流路が挟まれている構造にすることも
できる。この構造では、例えば真ん中の電極51 に50
V、最上層の電極137 に0V、最下層の電極41 に5
0Vを印加すると流路31 は開き、流路32 は閉じ、真
ん中の電極51 に50V、最上層の電極137 に50
V、最下層の電極41 に−50Vを印加すると流路31
は閉じ、流路32 は開く。この構造のマイクロポンプの
駆動方法を流路の開閉状態を模式的に示した図11,図
12を参照して説明する。
【0028】図11(a)は構造を簡略化した模式図で
ある。電極は、図11(a)では示しているが図11
(b)〜(h)及び図12(a)〜(e)では省略して
いる。まず、真ん中の電極51 に50V、最上層の電極
137 に−50V、最下層の電極41 に50Vを印加す
ると、図11(b)に示すように流路32 は閉じるが、
流路31 は開き流体が流入する。次いで、隣の電極13
8 ,52 ,42 に−50,50,50Vを印加すると、
図11(c)に示すように流路31 に更に流体が流入す
る。その次に、3番目の電極139 ,53 ,43 に−5
0,50,50Vを印加し、1番目の電極137
1 ,41 への印加電圧を50,50,−50Vに変え
ると、図11(d)に示すように流路31 内の流体は流
出口側に移動し、新たに流路32 に流体が流入する。
【0029】続いて、図11(e),(f)、さらに図
12(a),(b)と順次流体を移動させていくと、図
12(b)で流路31 の流体は排出され、次の図12
(c)では同じく流路31 の流体が排出されるが、図1
2(d),(e)では流路32から排出される。このよ
うに駆動すると流体は2本の流路を通って移送される。
流路が1本の場合は排出される流体は脈動していたが、
このような構造、駆動にすると脈動が少なく滑らかに流
体の移送、排出が行えるという利点がある。
【0030】排出流体の脈動をなくす方法としては、他
には複数の流路を位相をシフトさせ並列に組み合わせる
ことが考えられる。更に、図13(a)に示すように流
体移送用の変位する電極47 、57 と流出口72 の間に
断面積が2倍で容積が2/3となる流路33 とその両側
に排出量調節用の静電力発生用電極141 、142 を形
成し、図13(b)〜(d)に模式的に示すように3段
階に開閉して脈動を打ち消す方法も考えられる。
【0031】また、図14(a)に示すように流体移送
用の変位する電極48 、58 と流出口72 の間に断面積
が同じで移送方向の距離が1/3で容積も1/3となる
流路34 とその両側に排出量調節用の静電力発生用電極
151 ,161 ,152 ,162 を2組形成し、図14
(b)〜(d)に模式的に示すように順次開閉して脈動
を打ち消す方法も考えられる。
【0032】このように本実施例のマイクロポンプで
は、ポリイミド樹脂を構造材料としており、従来のポン
プのように多くの装置を必要としないので容易に加工が
できる。その結果、より低価格でポンプを作ることがで
きる。また、小型化の障害となっていた圧電素子を使わ
ないので、従来よりはるかに小型のマイクロポンプを作
ることができる。 (実施例2)
【0033】図15は、本発明の第2の実施例に係わる
マイクロポンプの概略構成を示す平面図と断面図であ
る。基板101上に、複数のポリイミド樹脂層103
(1031 〜1033 )を堆積し、犠牲層エッチングを
行い流路108や空隙部107(1071 〜1073
を形成している。空隙部1071 ,1072 はバルブ部
であり、1073 はポンプの容量部である。また、静電
引力発生用電極となる金属層104(1041 ,104
2 ),105(1051 ,1052 ),106(106
1 ,1062 )が積層されたポリイミド樹脂層103の
間に形成され、電極取り出し用のパッド113(113
1 ,1132 ),114(1141 ,1142 ),11
5(1151 ,1152 )も形成されている。流路の終
端には流体の流入、流出口109(1091 ,10
2 )が設けられている。
【0034】次に、本実施例のマイクロポンプの作製プ
ロセスを図16,図17を参照して説明する。最初に、
図16(a)に示すように基板101上に静電引力発生
用電極となる金属層1041 ,1051 ,1061 を形
成し、続いて図16(b)に示すようにポリイミド層1
031 を形成する。ポリイミド樹脂層1031 は基板1
01上に堆積後、パターニングを行う。ポリイミド樹脂
層1031 の堆積はスピンコートで容易に行うことがで
きるので、従来技術で必要であったCVDのような高価
な装置は必要としない。また、膜厚はスピンコーターの
回転数、樹脂の粘度、コーティング回数などで容易に調
整できる。
【0035】次いで、図16(c)に示すように、ポリ
イミド樹脂層1031 の上に犠牲層116となるレジス
トを形成する。このレジストも堆積後、パターニングを
行う。レジストの堆積もスピンコートで行う。レジスト
の犠牲層116は流路やポンプ部の空隙部となる部分で
あり、レジストの厚さを変えることによりポンプの容量
を変えることができる。レジストの厚さはスピンコータ
ーの回転数、樹脂の粘度、コーティング回数などで容易
に調整できるので、ポンプ容量の変更も容易である。犠
牲層116となるレジストの厚塗りは100μm程度は
容易であり、従来技術ではせいぜい数μm程度でしかな
かったことを考えると、2桁ほど容量の大きいポンプも
作ることができる。このようにポンプ容量の変更が広い
範囲で可能であり、ポンプの汎用性が高くなる。次い
で、図16(d)に示すように、犠牲層116の上にポ
リイミド樹脂層1032 を形成する。
【0036】次いで、図17(a)に示すように、ポリ
イミド樹脂層1032 にレジストをエッチングするため
の穴117(1171 、1172 )を開ける。この穴1
17からレジストのエッチング液を流し、レジストをエ
ッチングすると、図17(b)に示すように流路108
やバルブ部やポンプ部の空隙部107(1071 〜10
3 )が形成される。
【0037】流路等の形成後、図17(c)に示すよう
に、静電引力発生用電極となる金属層1042 ,105
2 ,1062 を基板上101の電極と対向する位置に形
成する。さらに、図17(d)に示すように、電極を覆
い、流入・流出口109(1091 ,1092 )を開け
てポリイミド樹脂層1033 を形成することにより、本
実施例のマイクロポンプが完成する。
【0038】このプロセスではポリイミド樹脂を主構成
材料としているが、感光性ポリイミドを用いるとパター
ニング等が容易である。また、犠牲層としてはレジスト
を用いているが、金属を用いることもできる。レジスト
を用いた場合はポリイミド樹脂のキュア温度を考慮して
レジストの上にポリイミド樹脂を一層重ねた後に犠牲層
であるレジスト層を除去しているが、金属を用いる場合
は図18に示すようにプロセスの最後にエッチングする
こともできる。ここで、図18の前工程は前記図16と
同様である。
【0039】ポリイミド樹脂は親水性でないために流体
をはじきやすい。そのため犠牲層となるレジスト層など
を形成する前に流路となる部分に反応性イオンエッチン
グなどの親水処理を施せば流体の注入などが容易にな
る。静電引力発生用電極1041 と1042 に例えば0
Vと+50Vを印加すれば電極間に引力が働きバルブ部
は閉じ、+50Vと+50Vを印加すれば電極間には反
発力が生じバルブ部は開く。ポンプ部も同じように動作
する。従って、印加電圧を変化させ表1に示すようにそ
れぞれのバルブ部、ポンプ部を開閉させれば、流体は流
入口から流れ込み流出口から流れ出し、ポンプとして機
能する。
【0040】上記実施例では一層目のポリイミド樹脂1
031 は基板101上に広く形成されているが、図19
(a)に示すように電極を覆うだけで基板面が流路の壁
面になっていてもよい。
【0041】また、図19(b)に示すように、まず基
板101上にポリイミド樹脂層1034 を一層形成し、
その上に上記例と同様にポンプを形成してもよい。そし
て、ポンプ作製後、基板を剥せばフレキシビリティーの
あるマイクロポンプを作ることができる。基板101を
剥す方法としては基板101とポリイミド樹脂層103
との間に金属層を形成しておき、金属層をエッチング除
去する方法が考えられる。
【0042】また上記実施例ではバルブ部やポンプ部の
電極数は2であるが、図19(c)に示すように上部に
更に電極1043 ,1053 ,1063 を設け3電極と
してもよい。この構造の場合には、例えば静電引力発生
用電極1041 と1042 に0Vと+50Vを印加して
バルブ部を閉じる時には電極1043 には+50Vを印
加する。電極1042 と1043 には反発力が働くので
バルブはよく閉まる。静電引力発生用電極1041 と1
042 に+50Vと+50Vを印加してバルブ部を開け
る時には、電極1043 には0Vを印加する。電極10
2 と1043には引力が働くのでバルブはよく開く。
ポンプ部も同じように電圧の印加を行い動作させる。こ
のように3電極構造にするとバルブ部やポンプ部の開閉
がより確実に行うことができる。
【0043】このようにように本実施例のマイクロポン
プでは、ポリイミド樹脂を構造材料としており、犠牲層
の厚さの調整が簡単なので容易にポンプの容量を変える
ことができ、従来よりも2桁も容量の大きいポンプを作
ることもできる。作製可能なポンプ容量の範囲が広がる
ので汎用性が広くなる。また従来技術ではLPCVD装
置など高価な装置が必要であったが、本実施例ではポリ
イミド樹脂や犠牲層となるレジストをスピンコートで堆
積するので高価な装置は必要としない。その結果、素子
の大幅な低価格化も図れる。また、従来技術では作製プ
ロセスに於いて特殊材料ガスを使用していたが、本実施
例ではその必要もなく作製作業の安全性の点でも優れて
いる。 (実施例3)
【0044】図20は、本発明の第3の実施例に係わる
マイクロポンプの概略構成を示す平面図と断面図であ
る。ポンプ部202の空隙部205、2個のポンプ部2
03,204、液体の流路206(2061 ,20
2 )、流入口2071 、流出口2072 とパイプ固定
用の嵌め込み構造部208(2081 ,2082 )等の
形状加工が施されたシリコン基板209を、2枚のガラ
ス基板210(2101 、2102 )で挟んだ構造とな
っている。シリコン基板209の流路の壁面となる部分
は、図21に示すようにその表面214を多孔質化して
いる。
【0045】多孔質化は図22に示すような装置で、多
孔質化するシリコン基板215をマスク層216でカバ
ーし、フッ酸溶液217中で電解エッチングを行う。多
孔質化されたシリコン表面は親水性になり、流体は非常
になじみ易くなる。従って、流体を流路内部に導入し易
くなる。
【0046】3枚の基板は静電接合技術で張り合わされ
ている。ポンプ部の空隙部の上部のガラス板2101
ポンプのダイアフラムとなるので駆動手段としての圧電
素子211が固定されている。流入、流出口のパイプ固
定用のシリコン基板209の嵌め込み構造部208は図
23に示すように形状加工されており、吸入・吐出用パ
イプ212(2121 ,2122 )が、この嵌め込み部
には差し込まれ、樹脂213で固定されている。
【0047】従来構造では流入、流出口はただ穴があい
ているだけでその部分にパイプを位置合わせして固定し
ていたが、本実施例では位置合わせの必要がなくパイプ
を差し込むだけなので作業が非常に楽であり、位置ズレ
の心配もない。また従来構造では横方向の力が加わると
パイプは容易に外れてしまったが、本実施例ではパイプ
は内部に嵌め込んであるので外れない。その結果、マイ
クロポンプの取扱いが楽になり信頼性も向上する。ま
た、従来構造ではパイプの接続部から液漏れし易かった
が、本実施例の構造では液漏れは起こりにくく、信頼性
が上がる。
【0048】上記実施例では吸入、吐出パイプは樹脂で
固定していたが嵌め込み部の内部やその周辺に半田付け
用金属層を設けパイプを半田付けしてもよい。このよう
にすると液漏れもなくなり、またパイプも外れなくなり
信頼性は更に高くなる。
【0049】上記例では形状加工を施したシリコン基板
を2枚のガラス基板で挟み込んだ構造になっているが、
ガラス基板ではなくシリコン直接接着技術を用いてシリ
コン基板で挟む構造、すなわちシリコン基板3層構造と
することもできる。流路の壁面は全てシリコンである。
壁面を全て多孔質化すればガラス基板を用いた場合より
も流体の流路内への導入が容易になる。また、上記実施
例ではポンプ部のダイアフラムは上側のガラス基板であ
ったが、図24に示すようにシリコン基板にダイアフラ
ムを形成してもよい。
【0050】このように本実施例のマイクロポンプで
は、流路壁面が親水処理を施され流体がなじみ易い状態
であるので流体の流路への導入が非常にスムーズに行え
る。従って、従来構造の流体を流路内への導入が難し
く、また気泡が入りやすいという問題が解決された。一
方、吸入、吐出用のパイプの取り付け固定が容易である
ので組立作業が簡略化される。また、外力が加わっても
パイプが外れにくいので取扱いが楽であり、更に液漏れ
が起こりにくいので信頼性が向上する。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ポ
ンプ材料としてポリイミド樹脂を用い、かつ駆動源とし
て静電力を利用することにより、少ない加工装置で製造
することができ、かつ駆動源として圧電素子を用いるこ
となくポンプ動作させることができ、装置構成の小型化
をはかり得るマイクロポンプを実現することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係わるマイクロポンプの概略構
成を示す平面図と断面図。
【図2】第1の実施例における駆動方法を説明するため
の模式図。
【図3】第1の実施例の製造工程の前半を示す断面図。
【図4】第1の実施例の製造工程の後半を示す断面図。
【図5】犠牲層として金属を用いた場合の製造工程を示
す断面図。
【図6】複数ドメインの移送を行う場合の流路の開閉状
態を示す模式図。
【図7】ドメインの量を増やして移送を行う場合の流路
の開閉状態を示す模式図。
【図8】複数ドメインの移送を行う場合の流路の開閉状
態を示す模式図。
【図9】第1の実施例の変形例を示す断面図。
【図10】第1の実施例の変形例を示す断面図。
【図11】図10のマイクロポンプの駆動方法を説明す
るための模式図。
【図12】図10のマイクロポンプの駆動方法を説明す
るための模式図。
【図13】第1の実施例の変形例を示す断面図。
【図14】第1の実施例の変形例を示す断面図。
【図15】第2の実施例に係わるマイクロポンプの概略
構成を示す平面図と断面図。
【図16】第2の実施例の製造工程の前半を示す断面
図。
【図17】第2の実施例の製造工程の後半を示す断面
図。
【図18】犠牲層として金属を用いた場合の製造工程を
示す断面図。
【図19】第2の実施例の変形例を示す断面図。
【図20】第3の実施例に係わるマイクロポンプの概略
構成を示す平面図と断面図。
【図21】第3の実施例におけるシリコン基板の流路の
壁面となる部分を示す断面図。
【図22】多孔質化を行うための装置を示す模式図。
【図23】流入、流出口のパイプ固定用のシリコン基板
の嵌め込み部を示す断面図。
【図24】シリコン基板にダイアフラムを形成した例を
示す断面図。
【図25】従来のマイクロポンプの概略構成を示す断面
図。
【符号の説明】
1,101…基板 2,9,103…ポリイミド樹脂層 3,108…流路 4,5,13,14,15,16,104,105,1
06…金属層(静電力発生用電極) 6,113,114,115…電極取り出し用パッド 7,109…流入・流出口 10,116…犠牲層 11,117…レジストをエッチングするための穴 107…空隙部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 忠司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上にポリイミド樹脂を主構造材料とし
    て、流路,空隙部,及び該空隙部を挟む流路壁が構成さ
    れ、前記流路壁は静電力によって前記空隙部を狭めたり
    広げたりするように変位することを特徴とするマイクロ
    ポンプ。
JP5282293A 1993-03-15 1993-03-15 マイクロポンプ Pending JPH06264870A (ja)

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