JPH07188771A - 成形加工性に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ幅方向の塗装焼付け硬化性の変動の少ない冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

成形加工性に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ幅方向の塗装焼付け硬化性の変動の少ない冷延鋼板の製造方法

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JPH07188771A
JPH07188771A JP33800793A JP33800793A JPH07188771A JP H07188771 A JPH07188771 A JP H07188771A JP 33800793 A JP33800793 A JP 33800793A JP 33800793 A JP33800793 A JP 33800793A JP H07188771 A JPH07188771 A JP H07188771A
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裕秀 浅野
Kosaku Shioda
浩作 潮田
Ken Minato
研 湊
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた成形加工性および高焼付け硬化特性を
有し、かつ幅方向の焼付け硬化性の変動の少ない冷延鋼
板の製造方法を提供する。 【構成】 極低C、N鋼に原子量比でCに対して特定量
のNbと、Nに対しほぼ等量のTiを添加し、さらにS
i、Mn、Pを特定条件下で添加した鋼を、特定の熱延
条件、冷延条件および特定の設備を有する連続焼鈍焼ラ
インで処理する。必要に応じてBまたはCrの1種また
は2種を添加することができる。 【効果】 自動車用パネルに適した加工性と耐デント特
性を具備し、かつ幅方向の塗装焼付け硬化性の変動が少
ない冷延鋼板を低コストで製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車のパネル等に適し
た高度の成形性、加工性と塗装焼付け硬化性を有し、幅
方向の塗装焼付け硬化性の変動の少ない冷延鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球規模の環境問題に端を発して自動車
の軽量化が再び大きな課題となっている。自動車パネル
も軽量化対象の例外ではなく、薄手化への技術開発指向
が強まっている。しかし、一方では自動車用冷延鋼板
は、型設計のCAD、CAM化の進展や顧客の形状に対
する嗜好への対応のため益々成形に対する自由度が求め
られている。すなわち高度の成形加工に耐える材料への
要求が益々強まっている。また、パネル等に対する要求
としては、パネル面品質の飛躍的な向上が挙げられる。
その技術的な意味合いは面形状とパネルの耐塑性変形
度、すなわち耐デント性の両特性にある。
【0003】また、自動車の製造コスト低減のために一
体成形が指向され、広幅の冷延鋼板が要求されている。
材質的には、幅方向のばらつきを最低限にすることが求
められている。先ず、成形加工性に対しては、r値(ラ
ンクフォード値)、伸び値あるいはn値が代表的な指標
であるが、そのレベルは益々高まっている。
【0004】また、パネルの面品質に対しては、耐面ひ
ずみ性と耐デント性が重要である。前者は形状凍結性と
関連し、低降伏点強度が要求される。一方、耐デント性
は製品の、すなわち成形加工、アセンブリ組立、取り付
け、塗装焼付け後の強度である。このうち塗装焼付けは
通常、170℃、20min程度の熱処理であり、この
熱処理によって硬化する特性である塗装焼付け硬化性
(通常BH性と称される)が要求される。塗装焼付け硬
化性は、通常170℃程度の低温でも十分拡散し得る鋼
中の固溶C,Nによるひずみ時効を利用する(この場
合、ひずみは最終鋼板製造工程であるスキンパス圧延に
よるひずみおよび自動車工場での成形加工におけるひず
みの和である)。
【0005】本発明は高度の加工性とこのBH性を具備
し、さらに幅方向のBH性のばらつきの少ない冷延鋼板
の製造方法の提供を目的としている。このような用途に
対しては通常、極低炭素鋼が使われる。本発明もこの極
低炭素鋼の一貫ではある。BH性付与に関与する溶質元
素としては上述のように固溶C,Nが鋼に対しては使わ
れるが、一方、BH性は一種の時効性であって常温では
成形加工性劣化を引き起こすのであまり大き過ぎると問
題となる。すなわち常温遅時効あるいは非時効と170
℃程度の温度での促進時効との両立ということが必要と
される。時効に対する温度依存性、すなわち時効の活性
化エネルギーはCとNとでは異なり、Cの方が大きく、
Cの対時効におよぼす効果は常温の時効が遅く、高温程
速いという特徴を有する。そのためBH性付与技術とし
ては固溶Cを用いるのが通常である。
【0006】極低炭素BH鋼板の主な製造方法は、特開
昭59−31827号、特開昭59−38337号、特
開昭63−128149号および特開平2−19754
9号の各公報に記載されている。いずれもNbをCとの
化学量論的等量以下の範囲で添加する。また、特開平2
−194126号公報には、Tiを、Cが完全にTiC
として固定されない範囲で添加する技術が記載されてい
る。
【0007】さらに成分的には炭化物形成元素を炭素に
対して過剰に添加するが、この炭化物を鋼板製造時の再
結晶焼鈍で溶解させ固溶炭素を確保しようとするもの
で、溶融亜鉛めっき鋼板の例として、特開昭63−24
1122号公報にこの技術が記載されている。しかし、
これらの方法では、板幅方向の塗装焼付け硬化性の変動
を少なくし、かつ良好な形状の鋼板を製造する技術につ
いては何等示唆されていない。
【0008】すなわち、本発明が目的とするような幅方
向の塗装焼付け硬化性のばらつきを少なくした冷延鋼板
を、低コストで製造することは従来技術では困難であ
る。塗装焼付け硬化性のばらつきを少なく、かつ良好な
形状の冷延鋼板を低コストで製造するには連続焼鈍ライ
ンでの冷却方法が重要なポイントとなる。BH性と鋼板
の形状は、焼鈍後の冷却速度、パターンに敏感である。
【0009】連続焼鈍ラインでの冷却方法は、気水冷
却、GAS冷却、ロール冷却、水冷却がある。本発明者
らは、表1,2に示す成分系および製造条件の鋼を用
い、上記の冷却方法毎の、板幅方向の冷却速度分布とB
H性分布の調査を行った。その結果を図1および表3に
示す。これにより気水冷却法が板幅方向の冷却速度分布
のばらつきが少なく、その結果、塗装焼付け硬化性のば
らつきが少なく、良好な形状を有する冷延鋼板が低コス
トで得られることを明らかにした。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
【表3】
【0013】本発明では、加工性のレベルとしてr≧
2.0、El≧48%(板厚0.8mm)、n≧0.2
3(ただし、r値は面内平均値で、圧延方向に対し、0
°、45°および90°の方向の特性値をそれぞれX
0,X45,X90で表わすとすると、(X0+2X4
5+X90)÷4で定義される)の値をすべて満たすレ
ベルを目的としている。
【0014】ここでr値は深絞り性に対する指標で、引
張方向に対し〔幅方向対数ひずみ÷板厚対数ひずみ〕で
定義される。Elは引張試験における破断伸びである。
また、n値は加工硬化指数であり、材料の流入性を表
し、やはり代表的加工性の指標である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上述のように高度の加工に耐える成形加工
性と、耐面ひずみ性と耐デント性を兼ね備え、さらに幅
方向の塗装焼付け硬化性のばらつきが少ない冷延鋼板の
製造方法を実現するところにある。この課題を具体的に
示せば、加工性に対しては、r値≧2.0、El≧48
%(なお、Elはいずれも板厚0.8mmの場合。El
は板厚に依存する)、n値≧0.23、ただし、BH性
は引張試験で2%予ひずみを与えた後除荷し、170
℃、20分の熱処理を加え、再び引張り、その降伏点強
度を2%予ひずみ時の流動応力から差し引いた値で評価
される。すなわち、2%予ひずみ、170℃、20分の
ひずみ時効試験での降伏点上昇代である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解
決するために、特定の微量元素制御と特定の固溶体強化
元素の添加、および熱延〜連続焼鈍ラインにいたる特定
の条件とを組み合わせることによりなされたものであ
り、その要旨とするところは下記のとおりである。
【0017】(1) C:0.0010〜0.0030
%、N:0.0030%以下、Si:0.2%以下、M
n:0.02〜0.3%、P:0.03%以下、S:
0.01%以下、酸可溶Al:0.005〜0.07
%、Nb:0.03%以下でかつNb/C(原子量比)
の値を0.7〜1.3、Ti:24/14N(%)〜7
2/14N(%)を含有し、残部Feおよび不可避的不
純物からなる鋼をAr3 変態点以上の仕上終了温度で熱
延し、熱延後2秒以内に急冷を行い、650〜770℃
で巻取り、続いて72〜92%の冷延率で冷間圧延した
後、気水冷却設備を有する連続焼鈍設備にて焼鈍を行う
にあたり、830〜880℃で20秒以上焼鈍の後、6
70℃超までを3〜15℃/秒の冷却速度で冷却し、6
70℃以下を30℃/秒以上の冷却速度で冷却し、続い
てスキンパスを伸び率0.8〜1.5%で行うことを特
徴とする成形性に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ
幅方向の塗装焼付け硬化性の変動の少ない冷延鋼板の製
造方法。
【0018】(2) C:0.0010〜0.0030
%、N:0.0030%以下、Si:0.2%以下、M
n:0.02〜0.3%、P:0.03%以下、S:
0.01%以下、酸可溶Al:0.005〜0.07
%、Nb:0.03%以下でかつNb/C(原子量比)
の値を0.7〜1.3、Ti:24/14N(%)〜7
2/14N(%)を含有し、さらにB:0.0001〜
0.0020%、Cr:1.5%以下の1種または2種
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を
Ar3 変態点以上の仕上終了温度で熱延し、熱延後2秒
以内に急冷を行い、650〜770℃で巻取り、続いて
72〜92%の冷延率の冷間圧延したのち、気水冷却設
備を有する連続焼鈍設備にて焼鈍を行うにあたり、83
0〜880℃で20秒以上焼鈍の後、670℃超までを
3〜15℃/秒の冷却速度で冷却し、670℃以下を3
0℃/秒以上の冷却速度で冷却し、続いてスキンパスを
伸び率0.8〜1.5%で行うことを特徴とする成形性
に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ幅方向の塗装焼
付け硬化性の変動の少ない冷延鋼板の製造方法。
【0019】
【作用】次に個々の構成要件の作用および数値限定理由
について述べる。 C:Cは浸入型固溶元素で冷延鋼板の加工性付与、すな
わち集合組織組成や十分大きな結晶粒成長に有害であ
り、極力低下させるが、一方BHは最終の製品板での固
溶炭素量に依存し、そのため最低量必要である。これら
の理由よりCの下限と上限はそれぞれ0.0010%、
0.0030%とする必要がある。なお、望ましくは上
限は0.0025%とする。
【0020】N:Nはやはり浸入型固溶元素で有害であ
る。また、常温で拡散しやすいのでBH性と耐常温時効
性の両立も困難なためBH性のために用いることは不利
である。そのため0.0030%以下とする必要があ
る。 Si:Siは固溶体強化にて鋼を強化するが、一方で加
工性・化成処理性を阻害するので上限を0.2%以下と
する。
【0021】Mn:Mnも固溶体強化にて鋼を強化す
る。特に強化の割りに材料の延性の劣化が少なく好まし
い強化元素である。しかし、多すぎる添加は、材料の延
性を減じ、加工性を劣化させる。また、鋼中SをMnS
として固定するために0.02%以上は必要である。そ
のためMnは0.02〜0.3%の添加とする。
【0022】P:Pも固溶体強化元素であり、高強度化
に有効であるが、一方で加工性の劣化や、脆性破壊をま
ねくので、0.03%以下の添加とする。 S:Sは不純物で介在物を形成し、鋼の加工性を減じる
ので、S量は低い方が望ましい。また、Sが多い場合は
TiSを形成するばかりでなく、さらにCと結合してT
4 2 2 等の化合物を生成する。この化合物は安定
であり、焼鈍中に分解させてCを固溶させることは極め
て困難なためにBH性を低下させる要因となる。すなわ
ち、安定して高いBH性を付与するためにはNbC以外
の炭化物を極力生成させないことが望ましい。これらの
理由から、Sは0.01%以下とする。好ましくは0.
004%未満とすべきである。
【0023】Al:Alは脱酸に使用する。また、浸入
型不純物であるN固定の補助にも使われる。そのため酸
可溶Alとして0.005%は必要である。一方、0.
07%を超える添加は鋼の加工性を劣化させる。 Nb:Nbは本発明にあっては極めて重要な元素であ
り、0.03%を上限とする。さらに本発明にあって
は、CとNbに関して次の関係を満たす必要がある。
【0024】0.70≦Nb/C(原子比)≦1.30 この関係式の下限値未満では、鋼板中の固溶Cが多す
ぎ、r値、伸び等の加工性が低下する。関係式の上限値
を超えるとNbCの溶解温度が高くなり、焼鈍時にNb
Cを分解できず、BH性に必要な固溶Cが得られず、十
分なBH性が得られない。
【0025】Ti:TiはN固定のため添加する。しか
し多すぎる添加は微細なTiCを熱延段階で形成し、良
好な再結晶集合組織が得られない。そのためNの化学量
論的等量(48/14×Ti(%))の0.5〜1.5
の範囲で添加する。Nが少量過剰になる場合があるが、
その場合には本発明の特定熱延にて残存のNはAlNと
して固定され冷延前に固溶Nが残存することはない。
【0026】本発明では最終製品ではBH性付与のため
固溶炭素が残存し、そのため結晶粒界にも炭素が偏析し
二次加工脆化に対しては良好であるが、さらに厳しい耐
二次加工脆化が求められる場合はBを添加する。Bの添
加量は0.0001%未満ではその効果がなく、0.0
020%を超える添加は鋼の加工性を劣化させる。より
好ましくは0.0008%以下の添加とすべきである。
【0027】さらに強度を補う場合にはCrを1.5%
以下添加する。Crは固溶体強化能は小さいが加工硬化
特性を改善し、高強度化の割にn値の劣化を最小限にす
る好ましい元素である。1.5%を超える添加は経済的
ではない。下限の規定は特に必要ないが、0.02%未
満では有効性は認められない。好ましくは、0.1〜
1.0%とする。
【0028】熱延条件:熱延はAr3 変態点以上の温度
で終了する。α相域での熱延はr値形成に悪影響をおよ
ぼす。熱間圧延後の冷却条件は重要である。熱延板の結
晶粒界は再結晶焼鈍時にr値に好ましい結晶方位の核発
生位置であり、細粒の組織ほど核生成が活発となり良好
なr値が得られる。そのため圧延終了後2秒以内で急冷
する必要がある。2秒を超えては粗大な熱延組織となり
良好なr値が得られない。好ましくは0.8秒以内に急
冷すべきである。急冷速度は通常とられるスプレイ等の
冷却速度である30℃/秒上程度でよいが好ましくは5
0℃/秒以上で、100℃程度以上冷却する。
【0029】巻取温度は650〜770℃とする必要が
ある。これにより熱延段階で残存したC等の固溶不純物
を十分にスカベンジングさせる。650℃未満では拡散
が十分でなくスカベンジングの効果がない。一方、77
0℃を超えると結晶粒成長が生じ、特定の熱延を行った
効果が失われる。より好ましくは、巻取温度は700〜
770℃とする。
【0030】冷延・焼鈍条件:冷延率は、高r値とする
ために72〜92%と高めとする必要がある。好ましく
は77%以上である。95%を超える冷延率は現状の設
備等を考えると現実的でない。冷延後、連続焼鈍ライン
にて再結晶焼鈍を行う。その際、加熱温度としては83
0〜880℃とする必要がある。加熱、すなわち焼鈍
は、{111}方位の揃った、かつ十分大きな再結晶集
合組織を得るためと、そしてNbCを一部NbとCに溶
解し固溶炭素を確保しBH性を付与させるため、830
℃は必要となる。一方、880℃を超える焼鈍では結晶
粒が大きくなりすぎてプレス成形時の肌荒れという欠陥
につながる。なお、加工性とBH性の確保のために高温
保持時間も重要であり、20秒以上保持する必要があ
る。
【0031】焼鈍後の冷却速度は本発明では重要であ
る。670℃超では3〜15℃/秒とする。下限値未満
では固溶CがNbCとして析出し、十分なBH性が得ら
れない。上限値を超えると鋼板の形状が劣化する。67
0℃以下では30℃/秒以上とする。これ未満の冷却速
度では生産性が低下する。また、固溶CがNbCとして
析出しBH性が低下する。
【0032】スキンパスの伸び率は0.8〜1.5%と
する。下限値未満では、製品板で降伏伸びが残存し、パ
ネルのプレス時等にストレッチャーストレインが生じ
る。上限値を超えると加工硬化を生じ、降伏点強度が上
昇し、プレス性を低下させる。本発明の出発鋼の溶製は
転炉で行われる。転炉精錬後、真空脱ガスにより脱炭さ
れる。そして造塊・分塊または連続鋳造にてスラブとし
た後熱延される。
【0033】熱延条件は、仕上終了温度、仕上圧延後の
冷却条件および巻取温度を除き通常採られる条件でよ
い。しかし、一層加工性を高めるには加熱温度を115
0℃以下とすることが望ましい。焼鈍は、気水冷却設備
を有する連続焼鈍ラインで行う。焼鈍の後、ストリップ
は気水冷却され、続いてスキンパスが行われる。
【0034】
【実施例】次に実施例について述べる。表4に示す化学
成分を有する鋼を転炉にて出鋼し、溶製した。いずれも
RH真空脱ガスにて極低炭素としている。これらの鋼の
内、鋼符号A〜J、およびM,N,Oの鋼は本発明に従
っているが、それ以外は下線をひいた項目において本発
明と異なる。
【0035】これらの鋼を連続鋳造にてスラブとした後
熱延を行った。酸洗後冷延し、続いて連続焼鈍ラインを
通板し、製品とした。熱延および焼鈍条件を表4に示
す。なお、熱延加熱温度は1110〜1150℃であっ
た。結果の機械試験値を同じく表4に示す。機械試験は
JISZ2201記載の5号試験片を用い、同Z224
1記載の方法に従って行ない、降伏点強度YP、引張強
度TS、破断伸びElを測定した。また、10〜20%
ひずみよりn値を計算した。
【0036】塗装焼付け硬化性の評価は、前に述べたB
H性で示した。また、耐常温時効性を評価するため40
℃で30日間置いた後の降伏点伸びの復元量をYP−E
lで示した。YP−Elはストレッチャーストレイン欠
陥に対応する量で0.2%以内でないとこの欠陥が発生
する。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】表4〜表9から明らかなように本発明に従
った鋼板(A〜G)は、幅方向の変動のほとんどない3
0MPa以上のBH性を有し、十分低YP(耐面ひずみ
性)で、伸び、r値、n値が良好(高成形加工性)で、
時効性も常温時効でのYP−Elの復元はほとんどな
く、常温非時効性ないしは遅時効性を示す。これに対
し、比較の鋼板ではこれらすべての特性を満たすものは
ない。
【0044】Hの鋼では、連続焼鈍時にロール冷却を用
いたために、冷却時の冷速がばらつき、その結果、BH
性の変動が大きく、鋼板の形状が劣化し、耳波を生じ
た。Iの鋼では、連続焼鈍時にGAS冷却を用いたため
に、気水冷却に対して、製造コストが上昇した。Jの鋼
では、連続焼鈍時に水冷却を用いたので、鋼板の形状が
劣化し、耳波や板そりを生じた。
【0045】Kの鋼では、Nbが上限値を超えたので、
NbCの溶解温度が上昇し、連続焼鈍時にNbCがほと
んど溶解できず、必要な固溶Cが得られなかった。その
ため、BH性が低下した。Lの鋼では、Cが上限値を超
えたので、固溶Cが多すぎ、r値、伸びが低下した。ま
た、時効後の降伏点伸びも0.2%を超え、時効性が劣
化した。
【0046】Mの鋼では、670℃超の冷却速度が上限
値を超えたので、鋼板の形状が劣化し、耳波を生じた。
Nの鋼では、670℃以下の冷却速度が下限値未満なの
でBH性が低下した。また、生産性が低下した。Oの鋼
では、670℃超の冷却速度が下限値未満なので、固溶
CがNbCとして析出し、BH性が低下した。
【0047】
【発明の効果】自動車は環境問題とも関係し、燃費軽減
のためその車体重量を軽くしようとしている。パネルも
例外ではなく、自動車重量に占める割合が大きくむしろ
重要視されている。一方、パネルは自動車品質の最も目
立つところであり、その意匠性の重要さは益々高まって
いる。このことは複雑な形状が益々要求されることにつ
ながる。このような観点から本発明の目的とするような
優れた加工性と塗装焼付け硬化性を兼ね備えることは極
めて重要である。さらに幅方向の塗装焼付け硬化性の変
動を少なくすることにより、パネル等の一体成形も可能
とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍ラインでの冷却方法毎の冷却速度分
布、BH性分布を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 佐久間 康治 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.0010〜0.0030%、
    N:0.0030%以下、Si:0.2%以下、Mn:
    0.02〜0.3%、P:0.03%以下、S:0.0
    1%以下、酸可溶Al:0.005〜0.07%、N
    b:0.03%以下でかつNb/C(原子量比)の値を
    0.7〜1.3、Ti:24/14N(%)〜72/1
    4N(%)を含有し、残部Feおよび不可避的不純物か
    らなる鋼をAr3 変態点以上の仕上終了温度で熱延し、
    熱延後2秒以内に急冷を行い、650〜770℃で巻取
    り、続いて72〜92%の冷延率で冷間圧延した後、気
    水冷却設備を有する連続焼鈍設備にて焼鈍を行うにあた
    り、830〜880℃で20秒以上焼鈍の後、670℃
    超までを3〜15℃/秒の冷却速度で冷却し、670℃
    以下を30℃/秒以上の冷却速度で冷却し、続いてスキ
    ンパスを伸び率0.8〜1.5%で行うことを特徴とす
    る成形性に優れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ幅方向
    の塗装焼付け硬化性の変動の少ない冷延鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 C:0.0010〜0.0030%、
    N:0.0030%以下、Si:0.2%以下、Mn:
    0.02〜0.3%、P:0.03%以下、S:0.0
    1%以下、酸可溶Al:0.005〜0.07%、N
    b:0.03%以下でかつNb/C(原子量比)の値を
    0.7〜1.3、Ti:24/14N(%)〜72/1
    4N(%)を含有し、さらにB:0.0001〜0.0
    020%、Cr:1.5%以下の1種または2種を含有
    し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をAr3
    変態点以上の仕上終了温度で熱延し、熱延後2秒以内に
    急冷を行い、650〜770℃で巻取り、続いて72〜
    92%の冷延率の冷間圧延したのち、気水冷却設備を有
    する連続焼鈍設備にて焼鈍を行うにあたり、830〜8
    80℃で20秒以上焼鈍の後、670℃超までを3〜1
    5℃/秒の冷却速度で冷却し、670℃以下を30℃/
    秒以上の冷却速度で冷却し、続いてスキンパスを伸び率
    0.8〜1.5%で行うことを特徴とする成形性に優
    れ、塗装焼付け硬化性を有し、かつ幅方向の塗装焼付け
    硬化性の変動の少ない冷延鋼板の製造方法。
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