JPH07188280A - ホスファチジルエタノールアミン類結合生理活性物質およびその中間体 - Google Patents

ホスファチジルエタノールアミン類結合生理活性物質およびその中間体

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JPH07188280A
JPH07188280A JP5335609A JP33560993A JPH07188280A JP H07188280 A JPH07188280 A JP H07188280A JP 5335609 A JP5335609 A JP 5335609A JP 33560993 A JP33560993 A JP 33560993A JP H07188280 A JPH07188280 A JP H07188280A
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Toshisato Igarashi
理慧 五十嵐
Yutaka Mizushima
裕 水島
So Fujii
創 藤井
Arata Yasuda
新 安田
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L T T KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】A(X−B)m で表されるホスファチジルエタ
ノールアミン類結合生理活性物質(ただし、Aは蛋白質
や核酸などの生理活性物質の残基、Xは化学的橋かけの
残基、Bはリゾホスファチジルエタノールアミン類の水
酸基の水素原子を除いた残基)、およびそれを製造する
ためのZ−R1 −C(O)−Bで表されるホスファチジ
ルエタノールアミン誘導体(ただし、Zはアミノ基やカ
ルボキシル基等、R1 はアルキレン鎖)。 【効果】通常は細胞内に取り込まれ難い生理活性物質を
ホスファチジルエタノールアミン類に結合させることに
より、その生理活性物質が細胞内に取り込まれるように
なり、これによりその生理活性物質を細胞内へデリバリ
ーすることが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はホスファチジルエタノー
ルアミン類の残基を化学的に結合した生理活性物質に関
する。
【0002】
【従来の技術】薬物の効果を高め、副作用を減らす試み
は、古くから行われてきているが、近年応用され始めて
いるものの一つとしてドラックデリバリーシステム(D
DS)がある。DDSとは、薬物を必要とする部位へ、
なるべく選択的に、必要な時間の間移行させ、それによ
り薬物の効果を高め全身的な副作用を大幅に減少させる
試みである。
【0003】DDSの考え方には大きく分けて二つあ
る。一つはコントロールドリリース(放出制御)といわ
れ、カプセル化などにより薬物を徐放させ、作用部位で
の薬物濃度を制御しようとするものである。もう一つは
ターゲティング(標的指向化)といわれ、薬物をキャリ
ヤーに結合することにより薬物を特定の部位に送り込も
うとするものである。ターゲティングは(1) 臓器、(2)
ガンなど臓器中の特定部位、(3) ガン細胞など細胞レベ
ルの物質の3段階に分類される。ターゲティングに用い
られるキャリヤーには種々のものがあり、例えば、リポ
ソームやリピッドマイクロスフェアー、糖蛋白質、レク
チン、ホルモンなどが挙げられる。
【0004】一方、近年分子生物学の発展からモノクロ
ナール抗体、リボザイム、アンチセンスDNAなど新し
い概念がうまれ、薬物としての開発が期待されている。
これらが実用化されれば細胞レベルでの病態の改善、遺
伝子治療が可能になり、臨床応用面を考えると従来の治
療法とは全く異なる新しい治療法を提供することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年各種疾患の原因と
なる蛋白質や遺伝子が明らかになってきているが、それ
らに対するモノクロナール抗体やリボザイム、アンチセ
ンスDNAなどの生理活性物質が薬効を発揮するには、
臓器や組織ではなく細胞内へのターゲティングが必要で
ある。しかし細胞膜はその細胞に適したもののみを透過
し、異物である抗体などは透過させないようになってい
る。細胞内へ薬物を導入する試みには、細胞へ直接薬物
を注入するマイクロインジェクション法(W.D.Richards
on 他、J.Cell Sci,.91,319-322(1988))や電圧をかけ
るエレクトロポレーション法(D.E.Knight他、Biochem.
J.,234,497-506(1986))があるが、効率が悪い、電圧に
より細胞が障害を受けるという欠点がある。
【0006】一方、ジオレオイルホスファチジルエタノ
ールアミンを用いたリポソームは、ジパルミトイルホス
ファチジルコリンを用いたリポソームに比べ細胞内への
物質デリバリー能が高いという報告がある(C.J.Chu
他、Pharmaceutical Research,7(8),824-834(1990))。
しかしリポソームは細胞に取り込まれる速度が遅く、更
に安定性が悪いという問題がある。即ち従来知られてい
るターゲティング技術は、薬物を細胞内へデリバリーす
ることについて効率や安全性においていずれも実用上問
題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、細胞に対
する生理活性物質のデリバリーについて従来技術の欠点
を解消し、優れた細胞内へのデリバリー効果を挙げるこ
とができる方法について検討した結果、下記ホスファチ
ジルエタノールアミン類結合生理活性物質を見いだし
た。このホスファチジルエタノールアミン類結合生理活
性物質は、リゾホスファチジルエタノールアミンの残基
に化学的橋かけ剤を結合させたホスファチジルエタノー
ルアミン誘導体を、生理活性物質に1個以上結合して得
られる。このホスファチジルエタノールアミン類結合生
理活性物質は、細胞内に取り込まれることにより、結合
した生理活性物質の薬理活性の強化、副作用の低下が期
待できる。
【0008】下記式(1)で表される、化学的橋かけを
経てホスファチジルエタノールアミン類を結合した生理
活性物質。
【0009】A(X−B)m ・・・・(1) A:生理活性物質の残基。 X:化学的橋かけ。 m:1以上の整数。 B:一般式(2)で表されるリゾホスファチジルエタノ
ールアミン類の残基(ただし、Rは飽和または不飽和の
直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基を示す)。
【0010】
【化3】
【0011】一般式(2)において、Rは脂肪酸残基
(アシル基)であり、特に炭素数8〜30の飽和〜不飽
和の脂肪酸残基、例えばミリストイル基、パルミトイル
基、オレオイル基などが好ましい。特に好ましくは、オ
レオイル基、リノレオイル基、リノレノイル基などの炭
素数14〜22の不飽和脂肪酸残基である。最も好まし
くはオレオイル基である。
【0012】上記式(1)においてXは化学的橋かけ剤
の残基を表す。この化学的橋かけ剤の残基は、上記リゾ
ホスファチジルエタノールアミン残基とエステル結合で
結合している。また化学的橋かけ剤の他端は、生理活性
物質のアミノ基、またはカルボキシル基とアミド結合に
より直接結合している。このXとしては、後述するよう
に特に-C(O)-(CH2)n-C(O)-、-C(O)-(CH2)n-C(O)-NH-C
(O)-(CH2)p-C(O)-、および-NH-(CH2)p-C(O)-(ただしn
とpはそれぞれ独立に2以上の整数を表す)が好まし
い。好ましいnは2〜8であり、特に2〜5が好まし
い。好ましいpは2〜10であり、特に3〜8が好まし
い。mは1以上の整数であり、下記のように生理活性物
質1分子が有する官能基の数を上限とする。通常は10
0以下、特に50以下であるが、高分子量の生理活性物
質においてはこれに限られるものではない。
【0013】本発明における生理活性物質としては、生
理活性を有する蛋白質や核酸が好ましい。蛋白質として
は、比較的低分子量のもの(ポリペプチド)であっても
よく、糖蛋白質などの複合蛋白質であってもよい。生理
活性を有する蛋白質としては例えば抗体や酵素が挙げら
れ、核酸としては種々のDNAやRNAなどが挙げられ
るが、これらに限定されない。本発明で用いられる生理
活性物質は、アミノ基やカルボキシル基などの化学的橋
かけ剤が結合する官能基を有している必要がある。この
官能基は、生理活性物質の種類にもよるが、生理活性物
質1分子あたり2個以上、特に10個以上有しているこ
とが好ましい。その上限は生理活性物質の種類による。
しかし、本発明において、生理活性物質の官能基はすべ
てホスファチジルエタノールアミン類と結合する必要は
ない。
【0014】本発明における生理活性物質の具体例とし
ては、ウィルスやガンに関連した蛋白質や核酸、特にそ
れらによる疾患の予防や治療に有効となりうる蛋白質や
核酸がある。これらの例、および他の例を下記に挙げる
が、本発明における生理活性物質としてはこれらに限定
されるものではない。
【0015】HIV関連酵素(逆転写酵素やプロテアー
ゼなど)に対する抗体、ガン遺伝子産物に対する抗体、
ガン遺伝子に特徴的な遺伝子配列に相補的な配列を有す
る核酸、ネオカルチノスタチンなどの制ガン活性を有す
る蛋白質、エリスロポエチン、コロニー刺激因子(CS
F)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−2
などの糖鎖を有する蛋白質、アデノシンデアミナーゼ、
ウィルスのRNAを切断するリボザイム。
【0016】前記式(1)で表されるホスファチジルエ
タノールアミン類結合生理活性物質は、例えば生理活性
物質と下記式(3)で表されるホスファチジルエタノー
ルアミン誘導体とを反応させることにより製造される。 Z−R1 −C(O)−B ・・・・(3)
【0017】上記式(3)中、Bは式(1)の場合と同
様である。R1 はヘテロ原子あるいはカルボニル基を中
間に有してもよいアルキレン鎖を表す。Zはアミノ基、
またはカルボキシル基、またはエステル活性化基が結合
したカルボニル基を表す。例えばp−ニトロフェノー
ル、1,3,5−トリクロロフェノール、ペンタフルオ
ロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、N−ヒド
ロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシピペリジン、N
−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン
酸イミド、8−ヒドロキシキノリン、2−ヒドロキシピ
リジンなどの水酸基の水素原子を除いた残基が結合した
カルボニル基である。活性エステル体の合成法について
は公知の方法を用いることができる(泉屋他、「ペプチ
ド合成の基礎と実験」(1985)丸善(株)を参照)。
【0018】式(3)で表されるホスファチジルエタノ
ールアミン誘導体と生理活性物質との結合方法としては
例えば以下のものが挙げられる。
【0019】式(3)で表される化合物においてZがア
ミノ基、またはカルボキシル基の場合はカルボジイミド
法により行われる。必要に応じて、ホスファチジルエタ
ノールアミン誘導体のアミノ基を適当な保護基で保護す
る。アミノ基の保護基としてはアセトアミド基、アリル
基、t−ブチルカルバメート基、N,N−ジメチルアミ
ノメチレン基、N−ベンジル基などが挙げられる(T.W.
Green 他、“Protective Groups in Organic Synthesi
s”John Wiley and Sons.Inc.,(1981) )。生理活性物
質は必要に応じて樹脂に担持させて反応に用いる。
【0020】カルボジイミド類としては、ジエチルカル
ボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミドなどが挙げられ
る。例えば式(3)で表される化合物と生理活性物質を
水に溶解、または懸濁させ、塩酸でpH4〜6に調整
し、室温または0℃で1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミドを加え、再度pHを4
〜6に調整する。室温または0℃で1時間pHを4〜6
に保持しその後5〜20時間撹拌したのち、必要に応じ
て脱保護反応、または樹脂からの切り出しの反応を行う
ことによりホスファチジルエタノールアミン誘導体結合
生理活性物質を得る。脱保護の条件は例えば上記文献記
載の条件、例えばN,N−ジメチルアミノメチレン基の
脱保護にはアンモニア水、N−ベンジル基には水素添加
を用いることができる。
【0021】式(3)で表される化合物においてZがエ
ステル活性化基が結合したカルボニル基を表す場合は、
生理活性物質と直接結合させることができる。反応はホ
ウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、
重炭酸ナトリウムなどの塩の水溶液中でホスファチジル
エタノールアミン誘導体と生理活性物質を混合すること
によって行われる。必要に応じて、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチル
アセトアミド、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ア
セトン、1,4−ジオキサン、2−プロパノール、エタ
ノール、メタノールなどの有機溶媒を加えておくことが
できる。反応温度は−20℃〜+50℃が好ましく、0
℃〜20℃が更に好ましい。反応時間は反応温度、混合
方法により異なるが通常2〜24時間である。
【0022】式(3)で表されるホスファチジルエタノ
ールアミン誘導体の仕込み量は生理活性物質のアミノ
基、またはカルボキシル基に対して0.1〜8倍モル量
が好ましい。この仕込み比によって生理活性物質に結合
させるホスファチジルエタノールアミン誘導体の分子数
(式(1)のm)を調整することができる。このように
して得られた反応液にはホスファチジルエタノールアミ
ン類結合生理活性物質と未反応生理活性物質、及び未反
応ホスファチジルエタノールアミン誘導体が共存する
が、反応液をゲル濾過及びイオン交換カラムクロマトグ
ラフィーに付することにより所望のホスファチジルエタ
ノールアミン類結合生理活性物質を得ることができる。
またこのようにして得られたホスファチジルエタノール
アミン類結合生理活性物質は生理活性物質に種々の分子
数のホスファチジルエタノールアミン誘導体が結合して
得られたものの混合物である。
【0023】式(3)で表されるホスファチジルエタノ
ールアミン誘導体の製造法としては、リゾホスファチジ
ルエタノールアミン類のアミノ基を適当な保護基で保護
したのちに、下記式(4)、(5)、(6)などで表さ
れる酸無水物を反応させ、脱保護を行うことにより得ら
れる。アミノ基の保護基としてはアセトアミド基、アリ
ル基、t−ブチルカルバメート基、N,N−ジメチルア
ミノメチレン基、N−ベンジル基などが挙げられる。
【0024】
【化4】[-C(O)-(CH2)n-C(O)-]=O ・・・・(4) [Z'-(CH2)n-C(O)-]2=O ・・・・(5) [Z'-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)p-C(O)-]2=O ・・・・(6)
【0025】上記式中、n、pは2以上の整数である。
Z’は保護基付きのアミノ基、または保護基付きのカル
ボキシル基を表す。アミノ基の保護基としては例えばN
−アセチル基、N−フタロイル基、N−ベンジル基、t
−ブチルカルバメート基などが挙げられる。カルボキシ
ル基の保護基としては例えば低級アルキル基、メトキシ
メチル基、ベンジル基、フェナシル基、t−ブチルジメ
チルシリル基、トリエチルシリル基、トリメチルシリル
基などを表す。
【0026】式(4)で表される酸無水物と反応させた
場合は、反応後にホスファチジルエタノールアミンのア
ミノ保護基の脱保護を行うことにより式(3)の化合物
を得ることができる。式(5)や(6)で表される酸無
水物と反応させた場合は、反応後にホスファチジルエタ
ノールアミンのアミノ保護基の脱保護反応と化学的橋か
けのアミノ基またはカルボキシル基の脱保護反応を行う
ことにより、式(3)の化合物を得ることができる。ア
ミノ保護基の脱保護条件はGreen らの条件、例えばN,
N−ジメチルアミノメチレン基の脱保護にはアンモニア
水、N−ベンジル基には水素添加を用いることができ
る。カルボキシル保護基の脱保護条件は同様にGreen ら
の条件、例えばベンジル基の脱保護には水素添加、t−
ブチルジメチルシリル基の脱保護には酢酸を用いること
ができる。
【0027】これら酸無水物を用いて式(3)の化合物
を製造する反応は、通常溶媒中で行われ、必要により有
機塩基を共存させて行う。反応溶媒としては、例えばク
ロロホルムなどのハロゲン化炭化水素が用いられ、有機
塩基としては、例えばピリジン、ピペリジン、トリエチ
ルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピペリジ
ノピリジンなどが用いられる。反応温度は0〜80℃が
好ましく、20〜40℃が更に好ましい。反応時間は通
常2〜24時間である。
【0028】式(5)あるいは(6)で表される化合物
の製造法としては、当該するアミノ基を保護したカルボ
ン酸またはカルボン酸ハーフエステルを、ベンゼン、ト
ルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロ
フランなどの溶媒中でカルボジイミドと混合させること
により得られる。カルボジイミドとしてはジエチルカル
ボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミドなどが用いられ
る。反応温度は、−20℃から溶媒還流温度までの範囲
を用いることができるが、好ましくは0℃から室温程度
の温度を用いる。
【0029】以下に本発明を具体的に説明するが、本発
明はこれら実施例に限られるものではない。
【0030】
【実施例】
[実施例1] (N,N−ジメチルアミノメチレン)リゾホスファチジ
ルエタノールアミンの合成
【0031】脂肪酸残基としてオレオイル基を有するリ
ゾホスファチジルエタノールアミン95mg(0.198mmol)の
クロロホルム溶液(9.5ml)にDMF(N,N−ジメチル
ホルムアミド)5mlを加えて溶解し、N,N−ジメチル
ホルムアミドジメチルアセタール47.2mg(0.396mmol)を
滴下した。室温で15時間撹拌後、減圧濃縮して標記化合
物を得た。
【0032】[実施例2] 2−(4−ヒドロキシカルボニルブチロイル)リゾホス
ファチジルエタノールアミンの合成
【0033】実施例1で得られた(N,N−ジメチルア
ミノメチレン)リゾホスファチジルエタノールアミンを
クロロホルム/ピリジン(8ml/2ml)に溶解し、N,N−
ジメチルアミノピリジン 120mg(0.99mmol)、無水グルタ
ル酸 113mg(0.99mmol)を加え、室温で15時間撹拌した。
イオン交換カラム(Dowex 50w-x8)に通して目的化合物
を分画した後、アンモニア水(29%)3mlを加え室温で
3時間撹拌した。溶媒を減圧濃縮した後、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトにより精製し、標記化合物104mg(0.
175mmol,88 %) を得た。
【0034】1H-NMR (CD3OD) δ;0.84(t,3H),1.20(d,
20H),1.55(m,2H),1.78(m,2H),1.92(brs,4H),2.20(t,4
H),2.30(t,2H),3.20(brs.2H),3.90(brs,2H),4.08(brs,2
H),4.26(brs,2H),5.12(m,1H),5.22(m,2H)
【0035】[実施例3] ヒトIgG1分子あたりホスファチジルエタノールアミ
ン誘導体が平均20個結合したホスファチジルエタノー
ルアミン誘導体結合IgGの合成
【0036】ヒトIgG(0.2μmol)とIgGの全アミノ
基に対して 0.3倍モル量の実施例2で合成したホスファ
チジルエタノールアミン誘導体(3.3mg,5.5μmol)を10mM
リン酸緩衝液(pH7.2) 10mlに溶解し、室温で撹拌下1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ
イミド(1.1mg,5.5μmol)を加えた。反応溶液をゲル濾過
により精製した。IgG濃度はローリー法(O.H.Lowry
他、J.Biol.Chem.,193,265-(1951) )により求めた。ホ
スファチジルエタノールアミン誘導体の結合数はICP
(高周波プラズマ発光分光分析)でリンを定量すること
により求めたところ、IgG1分子当たり平均20個だっ
た。
【0037】[実施例4] ホスファチジルエタノールアミン誘導体を結合したヒト
IgGのヒトT−リンパ球への取り込み
【0038】ヒト末梢血から常法によりリンパ球画分を
分取後、ナイロンカラムによりB−リンパ球を除き、更
に37℃、5%CO2 条件下シャーレに吸着させることに
よりマクロファージを除き、T−リンパ球を分取した。
実施例3の化合物とT−リンパ球を培地「RPMI 1640 me
dium(10% FCS) 」中で3時間インキュベートした。リン
酸緩衝液(pH7.2) で洗浄後サイトスピンによりスライド
グラス上に固定し、更にホルマリン固定化後、 0.1%の
Triton Xで処理した。ヤギ血清で前処理した後、一次抗
体としてマウス由来抗ヒトIgG抗体、二次抗体として
FITC(イソチオシアン酸フルオレセイン)でラベル
した抗マウス抗体を用いて処理し、共焦点レーザー走査
蛍光顕微鏡(Laser Confocal Imaging System )を用い
て蛍光強度を測定することにより、T−リンパ球への取
り込み量を評価した。対照化合物として未修飾のIgG
についても同様に処理した。
【0039】以下に蛍光強度の相対値(pxl) を示す。こ
の蛍光顕微鏡観察の結果、T−リンパ球に取り込まれて
いるホスファチジルエタノールアミン結合IgGが確認
された。 実施例のIgG: 89,000 pxl 、 未修飾のIgG: 20,000 pxl 。
【0040】[実施例5] ホスファチジルエタノールアミン誘導体を結合した抗核
抗体のヒトT−リンパ球への取り込み
【0041】SLE(全身性エリテマトーデス)患者血
清から抗核抗体を分取した。実施例3の方法で抗核抗体
とホスファチジルエタノールアミン誘導体を結合した。
ホスファチジルエタノールアミン誘導体を結合すること
による抗体活性の低下はなかった(オクタロニー法によ
る)。このホスファチジルエタノールアミン誘導体を結
合した抗核抗体のヒトT−リンパ球への取り込みを実施
例4と同様の方法で評価した。対照化合物として未修飾
の抗核抗体についても同様に処理した。
【0042】以下に蛍光強度の相対値を示す。蛍光顕微
鏡観察の結果、ヒトIgGの場合と同様にT−リンパ球
に取り込まれているホスファチジルエタノールアミン誘
導体結合抗核抗体を確認した。 実施例のIgG:105,000 pxl 、 未修飾のIgG: 19,000 pxl 。
【0043】[実施例6] ホスファチジルエタノールアミン誘導体を結合したヒト
IgGのヒト血管内皮細胞への取り込み
【0044】実施例3の化合物のヒト臍帯血管内皮細胞
への取り込みを実施例4と同様の方法で評価した。対照
化合物として未修飾のIgGについても同様に処理し
た。
【0045】以下に蛍光強度の相対値を示す。蛍光顕微
鏡観察の結果、ヒトT−リンパ球の場合と同様に血管内
皮細胞に取り込まれているホスファチジルエタノールア
ミン誘導体結合IgGを確認した。 実施例のIgG: 16,000 pxl 、 未修飾のIgG: 4,700 pxl 。
【0046】[実施例7] ホスファチジルエタノールアミン誘導体の活性エステル
体の合成
【0047】実施例2で合成したホスファチジルエタノ
ールアミン誘導体23.4mg( 39μmol)をDMF/クロロホ
ルム(3ml/1.5ml) に溶解し、室温で撹拌下、N,N−ジ
メチルホルムアミドジメチルアセタール9.4mg(78μmol)
を滴下した。室温で15時間撹拌後、テトラゾール2.8mg
(39μmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド5.4mg(47μm
ol)、1, 3−ジシクロヘキシルカルボジイミド8.9mg(4
3μmol)を加えた。室温で15時間撹拌後、不溶物を濾過
し、溶媒を減圧留去して標記化合物を得た。
【0048】[実施例8] ホスファチジルエタノールアミン誘導体結合核酸の合成
【0049】AGCTのシーケンスを持つ4量体核酸
0.5OD(11.8nmol)をDMF 100μlに溶解し、室温で撹
拌下、実施例7で合成した化合物23.6nmolのDMF溶液
800μl を加えた。40℃で15時間撹拌した後、アンモニ
ア水(29 %) を1ml滴下して室温で2時間撹拌した。反
応液をC18樹脂に吸着させ、5%メタノールで洗浄した
後、80%アセトニトリルで溶出させることにより標記化
合物を得た(0.07OD,収率14%) 。原料の4量体核酸のO
DSカラムによる分析結果を図1のクロマトグラムに、
得られたホスファチジルエタノールアミン誘導体結合核
酸のODSカラムによる分析結果を図2のクロマトグラ
ムに、それぞれ示した。
【0050】
【発明の効果】ホスファチジルエタノールアミン類を結
合した抗体や核酸などの生理活性物質は、そのホスファ
チジルエタノールアミン残基の作用により細胞内に取り
込まれることが明らかとなった。したがって、通常は細
胞内に取り込まれ難い生理活性物質をホスファチジルエ
タノールアミン類に結合させることにより、その生理活
性物質を細胞内へデリバリーすることが可能となった。
これにより、生理活性物質の薬理活性の強化、副作用の
低下が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8における原料4量体核酸のODSカラ
ムによる分析結果を示すクロマトグラム
【図2】実施例8におけるホスファチジルエタノールア
ミン誘導体結合核酸のODSカラムによる分析結果を示
すクロマトグラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/00 39/395 L C07K 1/113 14/52 8318−4H 16/00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表される、化学的橋かけを
    経てホスファチジルエタノールアミン類を結合した生理
    活性物質。 A(X−B)m ・・・・(1) A:生理活性物質の残基。 X:化学的橋かけ。 m:1以上の整数。 B:一般式(2)で表されるリゾホスファチジルエタノ
    ールアミン類の残基(ただし、Rは飽和または不飽和の
    直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基を示す)。 【化1】
  2. 【請求項2】生理活性物質が、生理活性を有する蛋白質
    または核酸である、請求項1の生理活性物質。
  3. 【請求項3】蛋白質が抗体である、請求項2の生理活性
    物質。
  4. 【請求項4】式(1)においてXが-C(O)-(CH2)n-C(O)
    -、-C(O)-(CH2)n-C(O)-NH-C(O)-(CH2)p-C(O)-、または-
    NH-(CH2)p-C(O)-(ただしnとpはそれぞれ独立に2以
    上の整数を表す)である、請求項1の生理活性物質。
  5. 【請求項5】式(2)においてRが炭素−炭素2重結合
    を1個以上含む直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基である、
    請求項1の生理活性物質。
  6. 【請求項6】下記式(3)で表されるホスファチジルエ
    タノールアミン誘導体。 Z−R1 −C(O)−B ・・・・(3) Z:アミノ基、保護されたアミノ基、カルボキシル基、
    保護されたカルボキシル基、または活性エステル化基が
    結合したカルボニル基。 R1 :ヘテロ原子またはカルボニル基を中間に有しても
    よいアルキレン鎖。 B:一般式(2)で表されるリゾホスファチジルエタノ
    ールアミン類の残基(ただし、Rは飽和または不飽和の
    直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基を示す)。 【化2】
  7. 【請求項7】上記式(3)においてR1 が-(CH2)n-、ま
    たは-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)p- (ただし、n、pはそれ
    ぞれ独立に2以上の整数)である請求項6の誘導体。
  8. 【請求項8】一般式(2)においてRが炭素−炭素2重
    結合を1個以上含む直鎖または分岐鎖の脂肪酸残基であ
    る、請求項6の誘導体。
  9. 【請求項9】アミノ基およびカルボキシル基から選ばれ
    る少なくとも1種の官能基を1以上有する生理活性物質
    に請求項6のホスファチジルエタノールアミン誘導体を
    反応させることを特徴とする、ホスファチジルエタノー
    ルアミン類の残基が結合した生理活性物質の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002530410A (ja) * 1998-11-19 2002-09-17 ディ − ファーム リミテッド 非ステロイド抗炎症薬のリン脂質誘導体
WO2015199020A1 (ja) * 2014-06-23 2015-12-30 日油株式会社 レチノイン酸導入リゾリン脂質を含有する細胞動員剤

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