JPH07188201A - 光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製法 - Google Patents

光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製法

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JPH07188201A
JPH07188201A JP5345867A JP34586793A JPH07188201A JP H07188201 A JPH07188201 A JP H07188201A JP 5345867 A JP5345867 A JP 5345867A JP 34586793 A JP34586793 A JP 34586793A JP H07188201 A JPH07188201 A JP H07188201A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 4−メチレン−2−オキセタノンをルテニウ
ム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素化し
光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造する方法
において、アルコール類を含む溶媒を使用することを特
徴とする光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製
法。 【効果】 本発明方法は、ポリマー原料、医薬の合成原
料或いは液晶材料等の有機合成化学工業における中間体
として有用な光学活性4−メチル−2−オキセタノン
を、従来の方法に比べ少ない触媒量、短い反応時間で効
率良く得ることを可能にしたものであり、経済的に優れ
工業的にも有利な方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリマー原料、医薬の
合成原料或いは液晶材料等の有機合成化学工業における
中間体として有用な、光学活性4−メチル−2−オキセ
タノンの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、4−メチル−2−オキセタノ
ン(「β−ブチロラクトン」または「β−メチル−β−
プロピオラクトン」とも言う)は、例えば特公昭47−
25065号公報に記載されているようにケテンとアセ
トアルデヒドを反応させるか、或いは、米国特許第2,
763,644号明細書に記載されているように4−メ
チレン−2−オキセタノン(「ジケテン」とも言う)を
パラジウム黒を用いて水素添加することにより製造され
ていた。
【0003】この4−メチル−2−オキセタノンは、例
えば山下雄也ら(工業化学雑誌、第66巻、第1号、110-
115 頁 (1963))が報告しているように、ポリマー原料
等に用いられているが、近年では、例えば、N.タナハ
シら(N.Tanahashi et al.;Macromolecules, Vol.24,
pp.5732-5733 (1991))が報告しているように、特にそ
の光学活性体が有用であるとして注目されている。前記
した従来の製造方法では4−メチル−2−オキセタノン
のラセミ体しか製造することができず、現在、光学活性
体の製造方法としては次のような方法が報告されてい
る。
【0004】 クロトン酸に臭化水素酸を付加して得
られる3−ブロモ酪酸を、光学活性なナフチルエチルア
ミンを用いて光学分割し、次いで環化する方法(J.Reid
Sheltonら;Polymer Letters, Vol.9, pp.173-178 (1
971) 及び T.Satoら;Tetrahedron Lett.,Vol.21, pp.3
377-3380 (1980) )。
【0005】 光学活性な3−ヒドロキシ酪酸にトリ
エチルオルト酢酸を反応させ光学活性な2−エトキシ−
2,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−オンを得、
これを熱分解する方法(A.Griesbeck ら;Helv.Chim.Ac
ta, Vol.70, pp.1320-1325(1987) 及びR.Breitschuh
ら;Chimia, Vol.44, pp.216-218 (1990) )。
【0006】 光学活性な3−ヒドロキシ酪酸エステ
ルをメタンスルホニルクロリドと反応させて水酸基をメ
シル化した後、得られたエステルを加水分解し、次いで
炭酸水素ナトリウムで縮合環化する方法(Y.Zhangら;M
acromolecules, Vol.23, pp.3206-3212 (1990) )。
【0007】 4−メチレン−2−オキセタノンを、
塩化メチレン又はテトラヒドロフランのような非プロト
ン性溶媒中で、[RuCl[(S)−若しくは(R)−
BINAP](ベンゼン)]Cl、又はRu2Cl
4[(S)−若しくは(R)−BINAP]2(NE
3)(式中、「BINAP」は2,2'−ビス(ジフェ
ニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチルを示し、Etは
エチル基を示す)を触媒として不斉水素化する方法(T.
Ohtaら;J.CHEM.SOC.,CHEM.COMMUN., pp.1725-1726(199
2) )。このの方法においては、非プロトン性溶媒を
用いることの重要性が強調されているが、このことは、
構造的にみて原料化合物とプロトン性溶媒の間で不必要
な反応の生成が予想され、収率が低下するためと一般に
理解されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】今までに報告されてい
る光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製造方法は
それぞれ次のような問題点を有しており、十分に満足の
行くものとは言えなかった。すなわち、の方法は、光
学分割剤として特殊な光学活性アミンを原料化合物と等
モル必要とし、また、不要な鏡像体が目的物と等モル副
生するので、無駄が多く経済的に有利な方法ではない。
【0009】また、及びの方法は、原料化合物であ
る光学活性な3−ヒドロキシ酪酸またはそのエステルの
合成が容易ではない。 すなわち、微生物が産生する光
学活性なポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを熱分解す
るか、或いは、ラセミ体の4−メチル−2−オキセタノ
ンをアルコーリシス反応によってアセト酢酸エステルに
導いた後不斉還元を行う必要があり、工程数が多く操作
が煩雑である。
【0010】の方法は、上述した〜の方法の問題
点の多くを解決してはいるが、まだいくつかの問題点を
抱えている。 すなわち、反応中に触媒活性の失活が起
きるため、触媒の使用量が多く、また、反応時間も長
い。 溶媒として塩化メチレンを用いた場合は、テトラ
ヒドロフランを用いた場合よりも、反応時間が短くてす
むが、生成物の選択率が低下し、工業的に十分満足のい
く方法ではなかった。
【0011】よって、これらの問題点を克服し、効率良
く光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造する方
法の提供が求められており、本発明はその解決を課題と
するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決しようとして鋭意研究を行なった結果、4−メチ
レン−2−オキセタノンをルテニウム−光学活性ホスフ
ィン錯体を触媒として不斉水素化し光学活性4−メチル
−2−オキセタノンを製造する方法において、プロトン
性溶媒であるアルコール類を含む溶媒を使用することに
よって、意外にも上記の方法に比べ触媒量も少なく、
より短い反応時間で不斉水素化が可能であることを見い
だし本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は、4−メチレン−2−
オキセタノンをルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を
触媒として不斉水素化し光学活性4−メチル−2−オキ
セタノンを製造する方法において、アルコール類を含む
溶媒を使用することを特徴とする光学活性4−メチル−
2−オキセタノンの製法を提供するものである。
【0014】本発明で用いる、アルコール類を含む溶媒
としては、アルコール類を含んでいる溶媒であればどの
ような溶媒でも用いることができる。 すなわち、単一
のアルコール類溶媒、複数のアルコール類の混合溶媒、
又は、アルコール類とアルコール類以外の混合溶媒のい
ずれを用いてもよい。 但し、溶媒全体に対するアルコ
ール類の含有割合は、使用するアルコール類の種類によ
って異なるが、約10〜100重量%とし、特に好まし
くは、約10〜50重量%とするとよい。
【0015】本発明において、「アルコール類」とは、
メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert
−ブチルアルコール等の1価アルコール類、1,3−ブ
タンジオール等の多価アルコール類、3−ヒドロキシ酪
酸メチル等のアルコール性水酸基を有するヒドロキシ酸
のような化合物を意味する。
【0016】また、アルコール類とアルコール類以外の
混合溶媒を用いる場合の、アルコール類以外の溶媒とし
ては、塩化メチレン、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルブチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジ
オキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の非プロトン性溶
媒が挙げられる。 酢酸やプロピオン酸のような酸の存
在下では、副反応が生じてしまい、好ましくない。
【0017】本発明は、上記のように溶媒としてアルコ
ール類を含む溶媒を用いる以外は、通常の方法に従い、
ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒とし、4−
メチレン−2−オキセタノンを不斉水素化することによ
り光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造するこ
とができる。
【0018】すなわち、例えば、耐圧容器に、窒素雰囲
気下、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体、原料化合
物である4−メチレン−2−オキセタノン及びアルコー
ル類を含む溶媒を加えて、水素雰囲気下で不斉水素化を
行えばよい。
【0019】本発明方法の原料化合物である4−メチレ
ン−2−オキセタノンは、例えば、R.J.クレメンス
(R.J.Clemens)らが報告した方法(Chem.Rev., Vol.8
6, pp.241-318 (1986))によって、酢酸または無水酢酸
を熱分解することによって容易に合成により得ることが
できる。
【0020】また、本発明方法で触媒として用いられる
ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の例としては、例
えば、次の一般式(1)〜(5)で表される光学活性錯
体を挙げることができる。
【0021】光学活性錯体 1: RuxHyClz(CBP)2(A)w (1) (式中、CBPはR1−BINAPまたはBIPHEP
で表される第三級ホスフィンを示し、Aは第三級アミン
を示し、yが0のとき、xは2、zは4、wは1を示
し、yが1のとき、xは1、zは1、wは0を示す) ここで、R1−BINAPは式(6)
【化1】 で表される第三級ホスフィンを示し、R1はアリール基
または炭素数3〜8のシクロアルキル基を示し、BIP
HEPは式(7)
【化2】 で表される第三級ホスフィンを示し、R2はアリール基
またはシクロヘキシル基を示し、R3はメチル基または
メトキシ基を示し、R4は水素原子、メチル基またはメ
トキシ基を示し、R5は水素原子、メチル基、メトキシ
基またはジ低級アルキル置換アミノ基を示す、また、R
3とR4が一緒になって隣接するフェニル基とともにテト
ラヒドロナフチル基を形成してもよい。
【0022】光学活性錯体 2: [RuHm(CBP)n]Tp (2) (式中、CBPは前記と同じ意味を有し、TはCl
4、PF6またはBF4を示し、mが0のとき、nは
1、pは2を示し、mが1のとき、nは2、pは1を示
す)
【0023】光学活性錯体 3: [RuXa(Q)b(CBP)]Lc (3) [式中、CBPは前記と同じ意味を有し、Xはハロゲン
原子を示し、Qは置換基を有していてもよいベンゼンま
たはアセトニトリルを示し、Lはハロゲン原子、ClO
4、PF6、BF4またはBPh4(ここでPhはフェニル
基を示す。以下同様)を示し、Qが置換基を有していて
もよいベンゼンの場合、a、b及びcはいずれも1を示
し、Qがアセトニトリルの場合、aが0のとき、bは
4、cは2を示し、aが1のとき、bは2、cは1を示
す。 尚、Qが置換基を有するベンゼンのうちp−シメ
ンであり、X及びLがヨウ素原子である場合は、a、b
及びcがいずれも1であるほか、aが1、bが1、cが
3であってもよい]
【0024】光学活性錯体 4: Ru(CBP)J2 (4) [式中、CBPは前記と同じ意味を有し、Jは塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子、又はO2CR6(ここでR6
は低級アルキル基又はハロゲン化低級アルキル基を示
す)を示す]
【0025】光学活性錯体 5: RuG2(CBP) (5) (式中、CBPは前記と同じ意味を有し、Gはアリル基
又はメタリル基を示す)
【0026】前記一般式(1)〜(5)において、CB
Pが一般式(6)で表されるR1−BINAPである場
合、R1で表されるアリール基とは、フェニル基並びに
p−置換フェニル基、m−置換フェニル基及びm−ジ置
換フェニル基のような置換基を有するフェニル基を意味
し、フェニル基に置換してもよい置換基とは、メチル
基、tert−ブチル基のような低級アルキル基(「低
級」とは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖を意味す
る)、メトキシ基及び塩素原子を挙げることができる。
また、R1で表される炭素数3〜8のシクロアルキル基
では、特にシクロペンチル基及びシクロヘキシル基が好
ましい。
【0027】R1−BINAPで表される第三級ホスフ
ィンの具体例としては、次のものを挙げることができ
る。 (a)2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'
−ビナフチル(以下、単に「BINAP」と略記する) (b)2,2'−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「Tol−BINAP」と
略記する) (c)2,2'−ビス(ジ−p−tert−ブチルフェニ
ルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル(以下、「t−B
u−BINAP」と略記する) (d)2,2'−ビス(ジ−m−トリルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「m−Tol−BINA
P」と略記する) (e)2,2'−ビス[ジ−(3,5−ジメチルフェニ
ル)ホスフィノ]−1,1'−ビナフチル(以下、「DM
−BINAP」と略記する) (f)2,2'−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフ
ィノ)−1,1'−ビナフチル(以下、「Methoxy−BI
NAP」と略記する) (g)2,2'−ビス(ジ−p−クロロフェニルホスフィ
ノ)−1,1'−ビナフチル(以下、「p−Cl−BIN
AP」と略記する) (h)2,2'−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「CpBINAP」と略記
する) (i)2,2'−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−
1,1'−ビナフチル(以下、「CyBINAP」と略記
する)
【0028】これらの第三級ホスフィンは、特開昭61
−63690号公報、特開平3−20290号公報、特
開平3−255090号公報、特開平1−68386号
公報または特開平4−74192号公報に記載されてい
る方法によって調製することができる。
【0029】前記一般式(1)〜(5)において、CB
Pが一般式(7)で表されるBIPHEPである場合、
2で表されるアリール基とは、フェニル基並びにp−
置換フェニル基、m−置換フェニル基及びm−ジ置換フ
ェニル基のような置換基を有するフェニル基を意味し、
フェニル基に置換してもよい置換基とは、メチル基、t
ert−ブチル基のような低級アルキル基(「低級」と
は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖を意味する)、メト
キシ基及び塩素原子を挙げることができる。また、R5
がジ低級アルキル置換アミノ基である場合の、低級アル
キル基とは、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキ
ル基を意味する。
【0030】BIPHEPで表される第三級ホスフィン
の具体例としては、次のものを挙げることができる。 (j)2,2'−ジメチル−6,'6'−ビス(ジフェニル
ホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(以下、「BIPH
EMP」と略記する) (k)2,2'−ジメチル−6,6'−ビス(ジシクロヘキ
シルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル(以下、「BI
CHEP」と略記する) (l)2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−5,
5',6,6',7,7',8,8'−オクタヒドロ−1,1'−ビ
ナフチル(以下、「OcHBINAP」と略記する) (m)2,2'−ジメチル−4,4'−ビス(ジメチルアミ
ノ)−6,6'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'
−ビフェニル (n)2,2',4,4'−テトラメチル−6,6'−ビス
(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル (o)2,2'−ジメトキシ−6,6'−ビス(ジフェニル
ホスフィノ)−1,1'−ビフェニル (p)2,2',3,3'−テトラメトキシ−6,6'−ビス
(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル (q)2,2',4,4'−テトラメチル−3,3'−ジメト
キシ−6,6'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'
−ビフェニル (r)2,2'−ジメチル−6,6'−ビス(ジ−p−トリ
ルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル (s)2,2'−ジメチル−6,6'−ビス(ジ−p−te
rt−ブチルフェニルホスフィノ)−1,1−ビフェニ
ル (t)2,2',4,4'−テトラメチル−3,3'−ジメト
キシ−6,6'−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホスフ
ィノ)−1,1'−ビフェニル
【0031】これらの第三級ホスフィンは、特開昭63
−135397号公報、特開平3−275691号公
報、特開平4−139140号公報、R.Schmid et a
l.;Helv.Chim.Acta, Vol.74, pp.370-389(1991)、R.Sc
hmid et al.;Helv.Chim.Acta,Vol.71, pp.897-929(198
8)またはN.Yamamoto et al.;Chem.Pharm.Bull., Vol.3
9, pp.1085-1087(1991)に記載されている方法によって
調製することができる。
【0032】前記一般式(1)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体1」と
略記する)のうち、一般式(1)中、CBPが一般式
(6)で表されるR1−BINAPである化合物は、例
えばT.イカリヤら(T.Ikariyaet al.;J.Chem.Soc.,Ch
em.Commun., pp.922-924 (1985))または特開昭61−
63690号公報に記載の方法により得ることができ
る。
【0033】すなわち、塩化ルテニウムとシクロオクタ
−1,5−ジエン(以下、「COD」と略記する)とを
エタノール溶媒中で反応させて得られる[RuX2(C
OD)]q(qは自然数を示す)を、更に、Aで表され
る第三級アミンの存在下、トルエンまたはエタノール等
の溶媒中で、R1−BINAPと加熱反応させることに
より製造される。 Aで表される第三級アミンとして
は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイ
ソプロピルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)−
ナフタレン、ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチル
ピペリジン等が挙げられるが、特にトリエチルアミンが
好ましく用いられる。
【0034】また、一般式(1)中、CBPが一般式
(7)で表されるBIPHEPである化合物は、特開昭
63−135397号公報に記載の方法によって得るこ
とができる。
【0035】光学活性錯体1の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 Ru2Cl4(BINAP)2NEt3 (Etはエチル基を示す。以下同様) Ru2Cl4(Tol−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(t−Bu−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(m−Tol−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(DM−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(Methoxy−BINAP)2NEt3 Ru2Cl4(CpBINAP)2NEt3 Ru2Cl4(CyBINAP)2NEt3 RuHCl(BINAP)2 RuHCl(Tol-BINAP)2 RuHCl(DM−BINAP)2 Ru2Cl4(BIPHEMP)2NEt3 RuHCl(BIPHEMP)2 Ru2Cl4(BICHEP)2NEt3 RuHCl(BICHEP)2 Ru2Cl4(OcHBINAP)2NEt3
【0036】前記一般式(2)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体2」と
略記する)は、例えば特開昭63−41487号公報ま
たは特開昭63−145292号公報に記載の方法によ
り得ることができる。
【0037】すなわち、一般式(2)中、mが0、nが
1、pが2である化合物は、前記した光学活性錯体1の
うちRu2Cl4(CBP)2NEt3と、MT(Mは、N
a、K、Li、Mg、Agの金属を示し、Tは前記と同
じ意味を有する。以下同様)で表される塩とを、相関移
動触媒としての第四級アンモニウム塩または第四級ホス
ホニウム塩の存在下反応させることにより製造される。
【0038】また、一般式(2)中、mが1、nが2、
pが1である化合物は、前記した光学活性錯体1のRu
HCl(CBP)2とMTとを相関移動触媒を用いて反
応させることにより製造される。
【0039】光学活性錯体2の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 [Ru(BINAP)](ClO42 [Ru(Tol-BINAP)](PF62 [Ru(BINAP)](BF42 [Ru(Methoxy-BINAP)](BF42 [RuH(BINAP)2]ClO4 [RuH(t−Bu−BINAP)2]PF6 [RuH(Tol-BINAP)2]BF4 [RuH(BIPHEMP)2]ClO4
【0040】前記一般式(3)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体3」と
略記する)は、例えば特開平2−191289号公報に
記載の方法により得ることができる。
【0041】すなわち、式(3)中、Qが置換基を有し
ていてもよいベンゼンでX及びLがともにハロゲン原子
である化合物は、[RuX2(Q')]2(Xは前記と同
じ意味を有し、Q'は置換基を有していてもよいベンゼ
ンを示す。以下同様)とCBPとを適当な溶媒中反応さ
せることにより製造される。 ここで用いられる溶媒と
しては、メタノール、エタノール、ベンゼン、塩化メチ
レン及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
【0042】尚、Qがp−シメンでX及びLがヨウ素原
子であり、aが1、bが1、cが3である化合物は、特
開平5−111639号公報に記載の方法により得るこ
とができる。 すなわち、上記の方法で得られる次式 [RuI(p−シメン)(CBP)]I で表される化合物に、メタノール等の適当な溶媒中、1
5〜30℃で1〜5時間ヨウ素を反応させることにより
得ることができる。
【0043】また、式(3)中、Qが置換基を有してい
てもよいベンゼンでLがClO4、PF6、BF4または
BPh4である化合物は、上記で得られる[RuX
(Q')(CBP)]XにML'(Mは前記と同じ意味を
有し、L'はClO4、PF6、BF4またはBPh4を示
す)で表される塩を反応させることにより製造される。
【0044】Qで表される置換基を有してもよいベンゼ
ンとは、ベンゼン、及び、低級アルキル基、低級アルコ
キシ基、低級アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等
で置換されたベンゼンであり(「低級」とは、炭素数1
〜4の直鎖または分岐鎖を意味する)、具体例として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼ
ン、ヘキサメチルベンゼン、エチルベンゼン、tert
−ブチルベンゼン、p−シメン、クメン、アニソール、
メチルアニソール、安息香酸メチルエステル、メチル安
息香酸メチルエステル、クロロ安息香酸メチルエステ
ル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベ
ンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼン等を挙げる
ことができる。
【0045】更に、式(3)中、Qがアセトニトリルで
aが1、bが2、cが1である化合物は、例えば[Ru
X(Q')(CBP)]Xをアセトニトリルに溶解し、
50℃程度で加熱反応することにより製造される。
【0046】更にまた、Qがアセトニトリルでaが0、
bが4、cが2である化合物は、[RuX(Q')(C
BP)]Xをアセトニトリルと他の適当な溶媒の混合溶
媒に溶解しておき、これを25〜50℃程度の温度で加
熱反応することにより製造される。 ここでアセトニト
リルと混合して用いる溶媒としては、メタノール、エタ
ノール、アセトン、塩化メチレン等を挙げることができ
る。
【0047】光学活性錯体3の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]Cl [RuCl(ベンゼン)(Tol−BINAP)]Cl [RuCl(ベンゼン)(p−Cl−BINAP)]C
l [RuBr(ベンゼン)(BINAP)]Br [RuI(ベンゼン)(BINAP)]I [RuI(ベンゼン)(Tol−BINAP)]I [RuI(p−シメン)(BINAP)]I [RuI(p−シメン)(Tol−BINAP)]I [RuI(p−シメン)(m−Tol−BINAP)]
I [RuI(p−シメン)(Methoxy−BINAP)]I [RuI(p−シメン)(BINAP)]I3 [RuI(p−シメン)(Tol−BINAP)]I3 [RuI(p−シメン)(DM−BINAP)]I3 [RuCl(安息香酸メチル)(BINAP)]Cl [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]ClO4 [RuCl(ベンゼン)(t−Bu−BINAP)]C
lO4 [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]PF6 [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]BF4 [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]BPh4 [Ru(アセトニトリル)4(BINAP)](BF4
2 [RuCl(アセトニトリル)2(BINAP)]Cl [RuBr(ベンゼン)(DM−BINAP)]Br [RuCl(ベンゼン)(BIPHEMP)]Cl [RuCl(p−シメン)(BIPHEMP)]Cl [RuI(p−シメン)(BIPHEMP)]I [RuI(ベンゼン)(OcHBINAP)]I [RuI(p−シメン)(OcHBINAP)]I
【0048】前記一般式(4)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体4」と
略記する)のうち、一般式(4)中、Jが塩素原子、臭
素原子またはヨウ素原子である化合物は、例えば、J.
P.ジェネットら(J.P.Genetet al.)の方法(Tetrahed
ron:Asymmetry, Vol.2, No.7, pp.555-567 (1991))に
より得ることができる。
【0049】すなわち、適当な溶媒に溶解したCBP
に、HJ(Jは前記と同じ意味を有する)で表される酸
のメタノール溶液を加え反応させることにより製造され
る。ここで用いられる適当な溶媒としては、塩化メチレ
ン、トルエン、アセトン等を挙げることができる。
【0050】また、一般式(4)中、JがO2CR6で表
わされる化合物は、例えば、特開昭62−265293
号公報または特開昭63−145291号公報に記載さ
れているように、前記した光学活性錯体1のうちRu2
Cl4(CBP)2NEt3とO2CR3で表わされる基に
対応するカルボン酸塩をアルコール溶媒中で反応させる
ことにより製造される。 ここで、R6で表わされる低級
アルキル基とは、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のア
ルキル基を意味し、また、R6で表わされるハロゲン化
低級アルキル基とは、ハロゲン原子が1個ないし複数個
置換した炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基
を意味し、具体例としては、モノクロロメチル基、ジク
ロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチ
ル基等を挙げることができる。 なお、R6がトリフルオ
ロメチル基である化合物は、例えば、前記のようにして
得られたRu(CBP)(O2CCH32にトリフルオ
ロ酢酸を反応させることにより製造される。
【0051】光学活性錯体4の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 Ru(BINAP)Cl2 Ru(BINAP)Br2 Ru(BINAP)I2 Ru(Tol−BINAP)Br2 Ru(t−Bu−BINAP)Br2 Ru(BINAP)(O2CCH32 Ru(Tol−BINAP)(O2CCH32 Ru(BINAP)(O2CCF32 Ru(Tol−BINAP)(O2CCF32 Ru(DM−BINAP)Cl2 Ru(BIPHEMP)Br2 Ru(BICHEP)(O2CCH32 Ru(OcHBINAP)(O2CCH32
【0052】前記一般式(5)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体5」と
略記する)も、例えば、J.P.ジェネットら(J.P.Gene
t etal.)の方法(Tetrahedron:Asymmetry, Vol.2, No.
7, pp.555-567 (1991))により得ることができる。
【0053】すなわち、RuG2(COD)(Gは前記
と同じ意味を有する)とCBPをアルゴン雰囲気下ヘキ
サン等の溶媒中50℃程度で加熱反応させることにより
製造される。
【0054】尚、この光学活性錯体5を本発明の製法に
用いる場合は、上記J.P.ジェネットらの文献に記載さ
れているように、錯体に、アセトン、トルエン等の溶媒
の存在下、塩酸、トリフルオロ酢酸、臭化水素酸等から
適宜選ばれる酸を加え、減圧下で過剰の酸及び溶媒を留
去してから用いる。
【0055】光学活性錯体5の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 Ru(C352(BINAP) (式中、C35はアリル基を示す。以下同様) Ru(C352(t−Bu−BINAP) Ru(C472(BINAP) (式中、C47はメタリル基を示す。以下同様) Ru(C472(Tol−BINAP) Ru(C352(DM−BINAP) Ru(C472(BIPHEMP)
【0056】尚、以上の光学活性錯体1〜5中のホスフ
ィン誘導体は、いずれも(+)体または(−)体のいず
れかとして得られるが、その表示は省略した。 また、
本発明方法においては、これらの(+)体または(−)
体のいずれかを選択することにより、所望する絶対配置
の4−メチル−2−オキセタノンを得ることができる。
【0057】また、本発明を有利に実施するには、上記
に例示したルテニウム−光学活性ホスフィン錯体が、金
属ルテニウムと光学活性ホスフィンのモル比が1:1〜
1:0.95の割合で調製されたものを用いるとよい。
通常、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を調製する
場合、ルテニウム1当量に対し光学活性ホスフィン配位
子を約1.05〜1.2等量用いるが、本発明ではこれを
1等量以内に抑えたものを用いることによって、副反応
である4−メチレン−2−オキセタノンの重合反応を防
ぐことができる。 尚、光学活性ホスフィン配位子が0.
95当量より少ないと、金属ルテニウムが過剰になり、
不経済となる。
【0058】本発明方法において、触媒である上記ルテ
ニウム−光学活性ホスフィン錯体の使用量は、原料化合
物である前記4−メチレン−2−オキセタノン1モルに
対して約0.0001モル〜0.01モルの範囲であれば
特に限定されないが、本発明の方法によれば触媒活性の
失活がかなり抑えられるので、約0.0005モル〜0.
002モル程度でも十分である。 尚、触媒が0.000
1モルより少ない量では触媒としての効果を充分奏さ
ず、また、0.01モルより多い量では不経済となる。
【0059】本発明の不斉水素化の反応温度、反応時間
は、触媒や溶媒の種類やその他の反応条件により異なる
が、通常、室温〜100℃、特に好ましくは約30℃〜
60℃の温度で、約3時間〜50時間反応させるとよ
い。 また、水素圧は、約5kg/cm2〜100kg/
cm2、特に好ましくは約30kg/cm2〜100kg
/cm2とするとよい。
【0060】上記のようにして反応させた後、溶媒留
去、蒸留等の方法により反応生成物を精製することによ
り目的とする光学活性4−メチル−2−オキセタノンを
得ることができる。
【0061】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらになんら制約される
ものではない。尚、実施例及び比較例で用いたルテニウ
ム−光学活性ホスフィン錯体は、金属ルテニウムと光学
活性ホスフィンのモル比が約1:1になるように調製し
たものを用いた。
【0062】実 施 例 1 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、Ru2Cl4 ((−)−Tol−BINAP)
2NEt3 45.1mg(0.025mmol)を精秤し、メタノ
ール3.2ml及びテトラヒドロフラン25.5mlを加
えた。これに4−メチレン−2−オキセタノン4.2g
(0.05mol)を入れ、水素圧100kg/cm2、反応温
度50℃で25時間撹拌した。 得られた反応液を蒸留
装置を用いて蒸留し、沸点71℃〜73℃/29mmH
gの留分 3.04g(収率:70.6%)を得た。生成
物は、ガスクロマトグラフィーによる標品との比較分析
の結果、4−メチル−2−オキセタノンであることが確
認された。 また、液体クロマトグラフィーによる分析
の結果、このものは(R)体であることが確認され、光
学純度は90.3%e.e.と決定した。
【0063】実 施 例 2 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、Ru2Cl4 ((−)−Tol−BINAP)
2NEt3 45.1mg(0.025mmol)を精秤し、エタノ
ール3.15ml及びテトラヒドロフラン25.5mlを
加えた。これに4−メチレン−2−オキセタノン 4.2
g(0.05mol)を入れ、水素圧98kg/cm2、反応温
度50℃で45時間撹拌した。実施例1と同様に蒸留
し、(R)−4−メチル−2−オキセタノン3.18g
(収率:73.9%)を得た。 また、実施例1と同様に
して光学純度を測定したところ、91.0%e.e.であ
った。
【0064】実 施 例 3 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、[RuI(ベンゼン)((−)−Tol−B
INAP))]I 111mg(0.1mmol)を精秤し、
メタノール3.2ml及びテトラヒドロフラン25.5m
lを加えた。これに4−メチレン−2−オキセタノン
4.2g(0.05mol)を入れ、水素圧100kg/c
2、反応温度50℃で9時間撹拌した。実施例1と同
様に蒸留し、(R)−4−メチル−2−オキセタノン
3.32g(収率:77.1%)を得た。 また、実施例
1と同様にして光学純度を測定したところ、90.9%
e.e.であった。
【0065】実 施 例 4 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、Ru2Cl4 ((−)−Tol−BINAP)
2NEt3 45.1mg(0.025mmol)を精秤し、イソプ
ロパノール16.2ml及びテトラヒドロフラン14.2
mlを加えた。これに4−メチレン−2−オキセタノン
4.2g(0.05mol)を入れ、水素圧100kg/c
2、反応温度50℃で23時間撹拌した。実施例1と
同様に蒸留し、(R)−4−メチル−2−オキセタノン
2.84g(収率:66.1%)を得た。 また、実施例
1と同様にして光学純度を測定したところ、86.9%
e.e.であった。
【0066】実 施 例 5 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、Ru2Cl4 ((−)−Tol−BINAP)
2NEt3 45.1mg(0.025mmol)を精秤し、3−ヒ
ドロキシ酪酸メチル6.0ml及びテトラヒドロフラン
7.1mlを加えた。 これに4−メチレン−2−オキセ
タノン 2.1g(0.025mol)を入れ、水素圧100kg
/cm2、反応温度50℃で44時間撹拌した。実施例
1と同様に蒸留し、(R)−4−メチル−2−オキセタ
ノン1.76g(収率:82.0%)を得た。 また、実
施例1と同様にして光学純度を測定したところ、82.
2%e.e.であった。
【0067】実 施 例 6 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、Ru((−)−Tol−BINAP)(O2
CCF32 22.3mg(0.025mmol)を精秤し、メタ
ノール16mlを加えた。 これに4−メチレン−2−
オキセタノン 2.1g(0.025mol)を入れ、水素圧10
0kg/cm2、反応温度50℃で4時間撹拌した。実
施例1と同様に蒸留し、(R)−4−メチル−2−オキ
セタノン1.73g(収率:80.4%)を得た。 ま
た、実施例1と同様にして光学純度を測定したところ、
75.4%e.e.であった。
【0068】実 施 例 7 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、[RuI(ベンゼン)((−)−Tol−B
INAP)]I 55.6mg(0.05mmol)をを精秤
し、メタノール8.0ml及び塩化メチレン4.7mlを
加えた。 これに4−メチレン−2−オキセタノン 2.
1g(0.025mol)を入れ、水素圧100kg/cm2
反応温度50℃で4.5時間撹拌した。実施例1と同様
に蒸留し、(R)−4−メチル−2−オキセタノン1.
36g(収率:63.1%)を得た。 また、実施例1と
同様にして光学純度を測定したところ、76.6%e.
e.であった。
【0069】比 較 例 1 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、Ru2Cl4 ((−)−Tol−BINAP)
2NEt3 45.1mg(0.025mmol)を精秤し、テトラ
ヒドロフラン28mlを加えた。 これに4−メチレン
−2−オキセタノン 4.2g(0.05mol)を入れ、水素
圧100kg/cm2、反応温度50℃で117時間撹
拌した。実施例1と同様に蒸留し、(R)−4−メチル
−2−オキセタノン3.32g(収率:77.1%)を得
た。 また、実施例1と同様にして光学純度を測定した
ところ、91.6%e.e.であった。
【0070】実施例1及び比較例1における(R)−4
−メチル−2−オキセタノンへの転化率の経時変化を図
1に示した。図1より、溶媒としてアルコールとテトラ
ヒドロフランの混合溶媒を用いた実施例1は、溶媒とし
てテトラヒドロフランのみを用いその他の条件は実施例
1と同様に行った比較例1に比べ、短時間で効率良く反
応が進んでいることが明らかである。
【0071】比 較 例 2 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、Ru2Cl4 ((−)−Tol−BINAP)
2NEt3 90.1mg(0.05mmol)を精秤し、テトラ
ヒドロフラン28mlを加えた。 これに4−メチレン
−2−オキセタノン 4.2g(0.05mol)を入れ、水素
圧100kg/cm2、反応温度50℃で47時間撹拌
した。実施例1と同様に蒸留し、(R)−4−メチル−
2−オキセタノン3.30g(収率:76.7%)を得
た。 また、実施例1と同様にして光学純度を測定した
ところ、91.5%e.e.であった。
【0072】実施例2及び比較例2における(R)−4
−メチル−2−オキセタノンへの転化率の経時変化を図
2に示した。図2より、溶媒としてアルコールとテトラ
ヒドロフランの混合溶媒を用いた実施例2は、溶媒とし
てテトラヒドロフランのみを用いた比較例2における触
媒使用量の半分の触媒量で行ったにもかかわらず、比較
例2と同等の程度で反応が効率良く進んでいることが明
らかである。
【0073】比 較 例 3 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、[RuI(ベンゼン)((−)−Tol−B
INAP))]I 111mg(0.1mmol)を精秤し、
テトラヒドロフラン28mlを加えた。 これに4−メ
チレン−2−オキセタノン 4.2g(0.05mol)を入
れ、水素圧100kg/cm2、反応温度50℃で30
時間撹拌した。実施例1と同様に蒸留し、(R)−4−
メチル−2−オキセタノン2.11g(収率:49.1
%)を得た。 また、実施例1と同様にして光学純度を
測定したところ、89.0%e.e.であった。
【0074】実施例3及び比較例3における(R)−4
−メチル−2−オキセタノンへの転化率の経時変化を図
3に示した。図3より、溶媒としてアルコールとテトラ
ヒドロフランの混合溶媒を用いた実施例3は、溶媒とし
てテトラヒドロフランのみを用いその他の条件は実施例
3と同様に行った比較例3に比べ、短時間で効率良く反
応が進んでいることが明らかである。
【0075】
【発明の効果】本発明方法は、ポリマー原料、医薬の合
成原料或いは液晶材料等の有機合成化学工業における中
間体として有用な光学活性4−メチル−2−オキセタノ
ンを、従来の方法に比べ少ない触媒量、短い反応時間で
効率良く得ることを可能にしたものであり、経済的に優
れ工業的にも有利な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び比較例1における(R)−4−
メチル−2−オキセタノンへの転化率の経時変化を示す
グラフである。
【図2】 実施例2及び比較例2における(R)−4−
メチル−2−オキセタノンへの転化率の経時変化を示す
グラフである。
【図3】 実施例3及び比較例3における(R)−4−
メチル−2−オキセタノンへの転化率の経時変化を示す
グラフである。 以 上
フロントページの続き (72)発明者 山口 明夫 神奈川県平塚市西八幡1丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−メチレン−2−オキセタノンをルテ
    ニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素
    化し光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造する
    方法において、アルコール類を含む溶媒を使用すること
    を特徴とする光学活性4−メチル−2−オキセタノンの
    製法。
  2. 【請求項2】 ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体
    が、金属ルテニウムと光学活性ホスフィンのモル比が
    1:1〜1:0.95の割合で調製されたものであるこ
    とを特徴とする請求項第1項記載の光学活性4−メチル
    −2−オキセタノンの製法。
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