JPH07185785A - タンディッシュにおける不活性ガス吹込用耐火物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】タンディッシュにおいて溶湯を鋳型に注出する
際にノズル内周面に付着物が堆積するのを防止する。 【構成】上部ノズル２４等耐火物の所定部分を貫通する
ように耐火物外周側から内周側に向かって延び、耐火物
内周面で開口する貫通穴型の複数のガス噴出穴３６に角
度を設け、閉塞の著しい個所に集中的にガスを吹込む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はタンディッシュにおけ
る上部ノズル等不活性ガス吹込みを実施する耐火物に関
する。

【０００２】

【従来の技術】溶湯から直接スラブ，ブルーム，ビレッ
ト等の最終鋳片を連続的に製造できる鋳造方法として、
連続鋳造方法が広く実施されている。この連続鋳造方法
は、歩留まりが良好且つ分塊工程が不要で、生産性が高
いという大きな利点を有している。

【０００３】ところでこの連続鋳造方法においては、鋳
造速度を一定に保つことが操業管理及び鋳片品質管理の
面から必要な条件である。かかる連続鋳造方法におい
て、溶湯を取鍋から直接鋳型に注入する場合には、この
条件を満足させることは難しく、そこで取鍋と鋳型との
間に、取鍋からの溶湯を一旦受け、そこからの溶湯を一
定に整流して鋳型内に送り込むための容器としてタンデ
ィッシュを設けることが一般的に行われている。

【０００４】このタンディッシュは、鋳型への溶湯の注
入量のコントロールの他、一般に溶湯流を複数の鋳型に
分配する分配器としての機能も備えている。

【０００５】従来このタンディッシュには図３に示して
いるようにその底部に上部ノズル１００が設けられ、更
にその下側にスライディングノズル１０２，下部ノズル
１０４がそれぞれ設けられ、タンディッシュ１０６内に
収容された溶湯がこの上部ノズル１００，スライディン
グノズル１０２，下部ノズル１０４を通じて鋳型に注出
されるとともに、スライディングノズル１０２の位置変
化によって溶湯流が制御されるようになっている。

【０００６】その際、上部ノズル１００内面に付着物が
堆積（特に溶湯中にＡｌを含有する場合においてアルミ
ナの付着堆積，低温での地金付着堆積）して、ノズルが
閉塞し易いといった問題が生じていた。

【０００７】そこでこれを防止するため、上部ノズル１
００をポーラスレンガにて構成して外面を鉄皮にて被覆
し、そして鉄皮内面に不活性ガス（以下単にガスとす
る）を圧送してこれをポーラスレンガの内周面、即ち上
部ノズル１００の内周面から噴出させるといったことが
従来行われている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのポー
ラスレンガから成る上部ノズル１００の場合、気孔が一
部詰ったり、上記鉄皮とポーラスレンガとの間からガス
が漏れるなどして、上部ノズル１００内周面から十分に
且つ均等にガスを吹き出させることが難しく、上部ノズ
ル１００内面への付着物の堆積を十分に防止することが
できないといった問題があった。

【０００９】而してこのような付着物が堆積すると、溶
湯流の制御が効かなくなったり、或いは付着物の堆積が
更に進むと場合によってノズル閉塞の問題を引き起こし
てしまう。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の耐火物はこのよ
うな課題を解決するために案出されたものであり、その
要旨は、タンディッシュにおける溶湯の注出口を成し、
不活性ガス吹込みを実施する耐火物であって、該耐火物
の所定部分を貫通するように耐火物外周側から内周側に
向かって延びた上、該耐火物内周面で開口する貫通穴型
の複数のガス噴出穴が設けられ、且つ少なくとも一部の
ガス噴出穴が、該耐火物内周面の開口側に進むにつれ下
向きに傾斜する傾斜穴とされていることにある。ここで
好ましくは少なくとも耐火物の下端より上側１／３まで
のガス吹込穴を傾斜穴とするのが良く、この場合閉塞の
著しい部位に直接的にガスを吹込むことができる。

【００１１】

【作用及び発明の効果】このように本発明は、従来のよ
うに上部ノズル構成材の多孔質構造を利用してガスを噴
き出させるのでなく、上部ノズル等耐火物に積極的に貫
通穴を形成してこれをガス噴出穴と成し、このガス噴出
穴を通じて耐火物内周面からガス噴出を行わせるように
するとともに、少なくとも一部（望ましくは下部１／３
の部分）のガス噴出穴を斜め下向きに傾斜させたもので
あり、閉塞の著しい部位に直接的にガスを吹込むことに
より一層効果的に閉塞を防止することが可能となる。

【００１２】本発明者が従来のタンディッシュの上部ノ
ズル等耐火物における付着物の堆積，ノズル閉塞の現象
を観察したところ、付着物の堆積が溶湯流のよどみ易い
個所（図３の場合にはＡで示す上部ノズル１００の下端
部個所）に生成し易いことが判明した。

【００１３】本発明はこのような知見の下になされたも
ので、本発明によればガス噴出穴を貫通穴型とすること
によって良好に上部ノズル内周面等からガスを噴出させ
ることができるとともに、少なくとも一部のガス噴出穴
については斜め下向きに傾斜させてあるため、付着物の
堆積し易い個所に向けて効率的にガス流を噴出させるこ
とができる。これにより上部ノズル内周面等への付着物
の堆積を良好に防止することが可能となり、鋳造に際し
ての溶湯流を良好に制御することができる。

【００１４】

【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく
説明する。図２は鋼材の連続鋳造装置の概要を示したも
ので、図中１０は取鍋、１２はタンディッシュ、１４は
水冷鋳型、１６はスプレー室、１８はガイドロール、２
０はピンチロールである。

【００１５】この鋳造装置においては、取鍋１０にて運
ばれてきた溶湯が一旦タンディッシュ１２へと注がれ、
更にタンディッシュ１２の底部より鋳型１４へと連続的
に注出される。

【００１６】鋳型１４内に注がれた溶湯は、外周部から
中心部に向かって凝固が進行する。而してその凝固片、
即ち鋳片２２は鋳型１４の底部より所定の引抜速度で連
続的に引き抜かれて行く。

【００１７】図１において２４はタンディッシュ１２に
おける上部ノズル、即ちスライディングノズル２６，下
部ノズル２８とともにタンディッシュノズルを構成する
上部ノズルであって、内部に環状のガスプール３２が形
成されている。このガスプール３２にはガス供給路３４
が接続されている。

【００１８】ガスプール３２からは多数の貫通穴型のガ
ス噴出穴、厳密には上部ノズル２４のガスプール３２と
内周面との間の肉厚部分を貫通するガス噴出穴３６が延
び出しており、それぞれがノズル内周面で開口してい
る。

【００１９】これらガス噴出穴３６は、図に示している
ように内周面の開口側に進むにつれ、角度αで斜め下向
きに傾斜する傾斜穴とされている。

【００２０】本例の上部ノズル２４の場合、供給ガスが
直接ノズル内部のガスプール３２に導かれるために、従
来のようにガス漏れを起すことが無く、しかもガス噴出
穴３６はガスプール３２とノズル内周面との間の部分を
ストレートに貫通する貫通穴型とされているために、ガ
スプール３２に導かれたガスは良好にこれらガス噴出穴
３６を通じてノズル内周面から噴出される。

【００２１】而してこれらガス噴出穴３６は何れも斜め
下向きに傾斜しているため、特に下部のガス噴出穴３６
が下向きに傾斜しているため、従来付着物が堆積し易か
った上部ノズル２４の下端部に向けてガス流が効果的に
噴き出される。この結果、上部ノズル内周面への付着物
の堆積が良好に防止され、溶湯流を良好に制御し得て、
鋳片品質を良好に保つことができる。

【００２２】尚、本例においてガス噴出穴３６の穴径
は、例えば０．２〜０．３ｍｍ程度である。

【００２３】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明においては、例えばガス噴
出穴３６のうち上側に位置するものについてはこれを水
平方向に延び出させることも可能であるなど、その主旨
を逸脱しない範囲において様々な変更を加えた形態で構
成可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例である上部ノズルの断面構造
を示す図である。

【図２】連続鋳造装置の概要を示す図である。

【図３】従来の上部ノズル及び周辺部の断面構造を示す
図である。

【符号の説明】

１２ タンディッシュ ２４ 上部ノズル ３２ ガスプール ３６ ガス噴出穴

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タンディッシュにおける溶湯の注出口を
   成し、不活性ガス吹込みを実施する耐火物であって、該
   耐火物の所定部分を貫通するように耐火物外周側から内
   周側に向かって延びた上、該耐火物内周面で開口する貫
   通穴型の複数のガス噴出穴が設けられ、且つ少なくとも
   一部のガス噴出穴が、該耐火物内周面の開口側に進むに
   つれ下向きに傾斜する傾斜穴とされていることを特徴と
   するタンディッシュにおける不活性ガス吹込用耐火物。