JPH0718515Y2

JPH0718515Y2 - 工具用ホルダ

Info

Publication number: JPH0718515Y2
Application number: JP1992074126U
Authority: JP
Inventors: 春機溝口
Original assignee: 株式会社エムエスティコーポレーション
Priority date: 1992-10-23
Filing date: 1992-10-23
Publication date: 1995-05-01
Anticipated expiration: 2005-05-01
Also published as: JPH0636750U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、回転用工具を工作機
械に保持するためのホルダに関し、特に工具に切削液を
供給するための給油構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】エンドミルやドリル等の回転用工具に
は、切粉処理や切刃冷却のために、工具の内部又はホル
ダを通して切削液を供給する構造が望まれている。

【０００３】従来、このような回転用工具に切削液を供
給するホルダとして、特公平１−３４７２３号公報によ
り提案されたものがある。この提案のホルダは、工作機
械の主軸に着脱されるチャック本体に、給油装置を回転
自在に取付け、チャック本体先端の工具挿入孔の周囲に
複数の中空孔を設け、その中空孔と上記給油装置の給油
孔を連通させて、外部から給油装置の内部に供給した切
削液を中空孔を通して加工位置に導入するようにしてい
る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上記提案の
ホルダでは、チャック本体の外周に軸受やシール材等を
介して給油装置を取付ける必要があるために、構造が複
雑化すると共に外径寸法が大きくなり、価格の上昇と、
ホルダの取回し性を悪化させる問題がある。

【０００５】また、給油装置の内部や、給油装置と中空
孔の連結部などで油路が折れ曲がるために、外部から供
給した切削液は、複数の屈曲した油路を通る間に大きな
抵抗を受け、圧力低下や大量の切削液が供給できない問
題がある。

【０００６】さらに、エンドミルやドリル等においては
工具の内部に貫通する給油孔を備え、切削液を工具内部
を通して直接切刃に送れるようにしたものがあるが、上
記提案のホルダでは、工具挿通孔の周囲に設けた中空孔
からしか切削油を供給できないため、このような給油孔
を備えた工具ではそれ自体がもつ本体の給油性能を有効
に発揮できない問題もある。

【０００７】加えて、上記提案のホルダにおいては、給
油装置に対して中空孔が径方向内側に配置されているた
め、外部から供給された切削液は次第に大径側から小径
側に移動することになり、このため、切削液に作用する
遠心力によって大きな圧力損が生じる欠点がある。この
ような圧力損は、多量の切削液供給を必要とする高速回
転の切削時において特に大きくなり、切削液不足が生じ
やすい問題がある。また、上記の遠心力以外にも、提案
のホルダのように静止した給油装置から回転しているホ
ルダ内部への切削液を供給する構造では、切削液の圧力
の一部が回転エネルギとして失なわれるために、必然的
に圧力損が生じる問題がある。そこで、この考案は、上
記の問題を解決し、簡単な構造で切削液に対する流路抵
抗が少なく、かつ遠心力等による圧力損が生じず、しか
も給油孔を備える工具と給油孔を備えない工具の両方に
対して効率よく切削液を供給することができる工具用ホ
ルダを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この考案は、ホルダ本体の先端に工具の挿入孔を、
後端に工作機械の主軸に着脱されるシャンクを設け、ホ
ルダ本体の先端外周に、工具の挿入孔を径方向に変形さ
せる締付け具を取付け、その工具の挿入孔の周囲に、ホ
ルダ本体の先端に開口して軸方向に延びる複数の中空孔
を設け、上記ホルダ本体の内部に、軸線に沿ってホルダ
本体の後端から工具の挿入孔後端部に貫通する貫通孔を
設け、その工具の挿入孔後端部と上記一部の中空孔を連
通させ、上記貫通孔の径に対して挿入孔後端部の径を大
きくし、その挿入孔後端部に対して上記一部の中空孔を
径方向外側に配置した構造としたのである。

【０００９】

【作用】上記の構造においては、ホルダ本体を工作機械
の主軸に取付けた状態で、主軸からホルダ本体の貫通孔
に切削液を供給すると、その切削液は貫通孔から工具の
挿入孔と中空孔に送られる。この場合、工具挿入孔に給
油孔のない工具が挿入されていると、工具挿入孔は工具
で塞がれるため、切削液は中空孔に送られ、工具挿入孔
の周囲から吐出される。また、工具挿入孔に給油孔を備
える工具が挿入されている場合は、貫通孔の切削液は工
具内部の給油孔に入り込み、工具の内部を通って吐出さ
れる。この構造では、貫通孔に対して工具挿入孔の後端
部の径が大きく、その挿入孔後端部に対して中空孔が大
径側に配置してあるため、貫通孔に供給された切削液は
次第に大径側へ移動し、その移動につれて作用する遠心
力が大きくなる。この遠心力により、切削液に運動エネ
ルギが付加されることになり、圧力上昇の効果が期待で
きる。また、回転しているホルダ本体の内部を通して切
削液が供給されるため、切削液の圧力が回転エネルギと
して失なわれることがなく、圧力損が生じない。

【００１０】

【実施例】以下、この考案の実施例を添付図面に基づい
て説明する。図１乃至図２に示すように、ホルダ本体１
は、後端に工作機械の主軸に着脱自在に取付けられるテ
ーパ状のシャンク２を備え、そのシャンク２の先端側
に、キー溝４を備えたフランジ部３が設けられている。

【００１１】上記ホルダ本体１の先端は円筒部５となっ
ており、その円筒部５の内部に工具挿入孔６が形成され
ている。また、ホルダ本体１の内部には、その軸線に沿
ってシャンク２の後端面から工具挿入孔６の後端部６ａ
に貫通する貫通孔７が形成されている。この貫通孔７
は、後端部に、シャンク２を主軸に引き込むプルタッド
ボルト（図示略）のねじ部８が形成され、中央部に、中
空のストッパボルト１０がねじ込まれるねじ部９が形成
されている。このストッパボルト１０は、工具の後端面
と当接して工具の取付け長さを調整するものであり、そ
の端部には、ドライバー等の回動用工具を係合させるた
めの切欠溝１１が形成されている。ここで、上記工具挿
入孔６の後端部６ａの径ｄ ₁ は、貫通孔７の径ｄ ₂ より
も大きく（ｄ ₁ ＞ｄ ₂ ）設定されている。

【００１２】一方、ホルダ本体先端の円筒部５の外周面
には、防塵カバー１３を備えた締付け具１２が取付けら
れている。この締付け具１２は、回動自在に保持される
回動用リング１４と、その回動用リング１４と円筒部５
の間に組込まれる複数のニードルローラ１５から成り、
その各ニードルローラ１５の軸線は円筒部５の軸線に対
して傾斜をもつように保持されている。この締付け具１
２では、回動用リング１４を回動させると、ニードルロ
ーラ１５を介して円筒部５に径方向の力が加わり、工具
挿入孔６が拡大又は縮径して工具を着脱する。

【００１３】また、上記円筒部５の内部には、その径方
向の変形を容易にするために、工具挿入孔６を取囲むよ
うに複数の中空孔１６と１７が形成されている。この中
空孔１６、１７は、円筒部５の先端面に開口して軸方向
に延びており、そのうち一方の中空孔１６は、工具挿入
孔６とほぼ同じ長さに形成され、他方の中空孔１７はそ
れより短かく形成されている。

【００１４】また、上記中空孔１６において一部の孔
（この実施例では４個の中空孔１６’）は、他のものよ
りさらに軸方向に長く形成されており、その中空孔１
６’の奥側端部が、環状溝１８を介して上記工具挿入孔
６の後端部６ａに連通されている。ここで、各中空孔１
６’が配置されるピッチ径ｄ ₃ は、工具挿入孔６の後端
部６ａの径ｄ ₁ よりも大きく（ｄ ₃ ＞ｄ ₁ ）設定されて
いる。

【００１５】また、上記４個の中空孔１６’の先端に
は、図５に示すようにコイルバネ１９を介してボール状
のノズル２０が回動可能に取付けられ、そのノズル２０
の内部に油孔２１が形成されている。このノズル２０
は、コイルバネ１９の弾性力により任意の方向に姿勢を
保持することができ、油孔２１を通る切削液の吐出方向
を自由に調整することができるようになっている。

【００１６】この実施例の工具用ホルダは上記のような
構造であり、図１は、工具挿入孔６にストレートコレッ
ト２２を用いて給油孔のない工具Ａを装着した例を示し
ている。このストレートコレット２２は、複数のスリッ
トで縦割りされたコレット２３と、そのコレット２３の
端部にナット２４を介して取付けたストッパボルト２５
とから成り、コレット２３を工具挿入孔６に挿入した状
態で締付け具１２により工具挿入孔６を変形させると、
コレット２３が縮径して工具Ａを把持する。

【００１７】この図１に示す構造では、工作機械の主軸
に設けた油路からホルダ本体１の貫通孔７に切削液が供
給されると、工具挿入孔６の前端部がストレートコレッ
ト２２と工具Ａにより塞がれているため、貫通孔７の切
削液はストッパボルト１０の内部と工具挿入孔６の後端
部６ａを通って中空孔１６’に流れ込み、ノズル２０の
油孔２１を通って加工位置に吐出される。この場合、切
削液は、貫通孔７から工具挿入孔６、中空孔１６’へと
ホルダ本体１の中心位置から大径側に向かって移動する
ため、その移動する間に切削液には次第に大きな遠心力
が作用し、運動エネルギが付加される。このため、切削
液の圧力は減圧されることがなく、逆に運動エネルギに
よって漸次増圧され、大きな圧力で加工位置に供給され
る。また、切削液は、主軸から回転するホルダ本体１の
内部を通って移動するため、移動の途中で、切削液の圧
力が回転エネルギに消耗されることがなく、圧力損失が
生じない。

【００１８】一方、図６は、内部に給油孔Ｃを備えた工
具Ｂを装着した場合の例を示したものである。この場合
は、ストレートコレット２２を使用せず、工具Ｂの後端
面をホルダ本体１内部のストッパボルト１０に当接さ
せ、締付け具１２の締付けにより工具挿入孔６の周面で
直接工具Ｂを締付けて把持している。

【００１９】この構造では、貫通孔７に供給された切削
液は、ストッパボルト１０の内部を通って工具Ｂの給油
孔Ｃに流れ込み、工具Ｂ内部を通って加工位置に送られ
る。

【００２０】なお、上記図６の構造において、工具挿入
孔６に給油孔の無い工具Ａを直接装着するようにしても
よい。その場合は、貫通孔７からストッパボルト１０の
内部に入り込んだ切削液が、ストッパボルト１０端部の
切欠溝１１から環状溝１８に流れ、中空孔１６’を通っ
て加工位置に送られることになる。

【００２１】

【効果】以上のように、この考案は、ホルダ本体の内部
に切削液の通路となる貫通孔を設け、給油装置を不要に
したので、構造の簡略化と、ホルダ外径の小径化を図る
ことができ、低価格で取回し性のよいホルダを提供する
ことができる。

【００２２】また、ホルダ本体を軸方向に貫通する貫通
孔から、工具挿入孔や軸方向に延びる中空孔に切削液が
流れるようにしたので、切削液の流路における折れ曲が
りを小さくすることができ、抵抗の少ないスムーズな切
削液の供給が行なえる利点がある。加えて、貫通孔に対
して工具挿入孔や中空孔を大径側に配置し、その間を移
動する間に切削液に遠心力による運動エネルギを付加す
るようにしたので、切削液の圧力を増大して切削位置に
送り出すことができ、高速回転時における切削液不足を
確実に解消することができる。

【００２３】さらに、貫通孔から工具挿入孔と中空孔の
両方に切削液を送れるので、給油孔を備える工具に対し
てもその給油孔を利用して切削液を供給することがで
き、工具の有効な使用が行なえる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の工具用ホルダを示す断面図

【図２】同上の一部縦断正面図

【図３】図１のIII −III 線に沿った断面図

【図４】図１のIV−IV線に沿った断面図

【図５】同上のノズルの取付け部分を示す断面図

【図６】実施例の他の使用例を示す断面図

【符号の説明】

１ホルダ本体２シャンク６工具挿入孔７貫通孔１０ストッパボルト１２締付け具１６、１６’、１７中空孔

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ホルダ本体の先端に工具の挿入孔を、後
端に工作機械の主軸に着脱されるシャンクを設け、ホル
ダ本体の先端外周に、工具の挿入孔を径方向に変形させ
る締付け具を取付け、その工具の挿入孔の周囲に、ホル
ダ本体の先端に開口して軸方向に延びる複数の中空孔を
設けた工具用ホルダにおいて、上記ホルダ本体の内部
に、軸線に沿ってホルダ本体の後端から工具の挿入孔後
端部に貫通する貫通孔を設け、その工具の挿入孔後端部
と上記一部の中空孔を連通させ、上記貫通孔の径に対し
て挿入孔後端部の径を大きくし、その挿入孔後端部に対
して上記一部の中空孔を径方向外側に配置したことを特
徴とする工具用ホルダ。