JPH07183488A - Mos制御形サイリスタおよびその製造方法 - Google Patents

Mos制御形サイリスタおよびその製造方法

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JPH07183488A
JPH07183488A JP32830693A JP32830693A JPH07183488A JP H07183488 A JPH07183488 A JP H07183488A JP 32830693 A JP32830693 A JP 32830693A JP 32830693 A JP32830693 A JP 32830693A JP H07183488 A JPH07183488 A JP H07183488A
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JP
Japan
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type
base region
region
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gate electrode
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JP32830693A
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Toronnamuchiyai Kuraison
トロンナムチャイ クライソン
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲート電極に負の電圧を印加したときに形成
されるP形チャネルの面方位を(110)方位とするこ
とにより、ラッチアップ状態にあるサイリスタを確実か
つ迅速にターンオフさせる。 【構成】 (110)方位のP+形シリコン基板1上に
形成されたN-形ベース領域3と、N-形ベース領域3上
にゲート絶縁膜4を介して形成されたゲート電極5と、
ゲート電極5をマスクにしてP形ベース領域6、N形カ
ソード領域7およびP+形カソード領域8を順に形成し
たMOS制御形サイリスタであり、ゲート電極5に負の
電圧を印加したときにP形ベース領域6とP+形カソー
ド領域8との間に形成されるP形チャネルの面方位を
(110)方位とする。これにより、P形チャネルを通
過する正孔の移動度が向上し、ラッチアップ状態にある
サイリスタは確実かつ迅速にターンオフする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラッチアップ状態にあ
るサイリスタを、確実かつ迅速にターンオフさせるMO
S制御形サイリスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9は従来のMOS制御形サイリスタ
(以下、単にサイリスタと呼ぶこともある)の構造を示
す図である。図9において、1は(100)方位のSi
基板を用いて形成されたP+形アノード領域であり、そ
の下面にはアノード電極2が接続されている。また、P
+形アノード領域1の上面にはN-形ベース領域3が形成
され、その上面にはSiO2膜等によるゲート絶縁膜4
を介してゲート電極5が形成されている。ゲート電極5
の所定箇所にはエッチング等によってN-形ベース領域
3が露出するように溝が掘られ、露出したN-形ベース
領域3の上面に、順にP形ベース領域6とN形カソード
領域7が形成されている。N形カソード領域7の上面に
は一対のP+形カソード領域8が相対して形成され、N
形カソード領域7とP+形カソード領域8はカソード電
極9に接続されている。
【0003】図5は図9に示す従来のMOS制御形サイ
リスタの製造方法を説明する図であり、この図を用いて
従来の製造方法を順を追って説明する。図5(a)で
は、(100)方位のP+形基板をP+形アノード領域1
として用い、その上面にエピタキシャル成長法などによ
ってN-形ベース領域3を形成し、さらにその上面にゲ
ート絶縁膜4を介してゲート電極5を形成する。次に、
フォトリソグラフィー法などによってゲート電極5およ
びゲート絶縁膜4の一部を除去してN-形ベース領域3
を露出し、露出したN-形ベース領域3の上面にイオン
注入等によってP形ベース領域6を形成する。
【0004】図5(b)では、ゲート電極5をマスクに
してP形ベース領域6の上面にリンまたはヒ素等の不純
物をイオン注入した後に熱拡散し、N形カソード領域7
を形成する。ここで行うイオン注入は、結晶軸である<
100>方向に対して5°以上、例えば7°傾けて行
う。このように、結晶軸から所定角度傾けてイオン注入
することにより、不純物をP形ベース領域6の浅い箇所
に注入することができる。注入された不純物は熱拡散に
よってP形ベース領域6の縦方向(P+アノード領域1
方向)に進入し、N形カソード領域7の縦方向の厚さは
所定値Wになる。また、熱拡散によってN形カソード領
域7は横方向にも広がる。
【0005】図5(c)では、ゲート電極5をマスクに
してボロン等の不純物をイオン注入し、一対のP+形カ
ソード領域8を相対して形成する。このとき、P+形カ
ソード領域8とP形ベース領域6との間隔Lによって、
ゲート電極5に負の電圧を印加した際に形成されるP形
チャネルのチャネル長が定まる。この場合、P形チャネ
ル長Lは図5(b)の熱拡散の条件によって定まり、L
はWの約0.8倍である。図5(d)では、PSG等に
よる層間絶縁膜10およびカソード電極9となるAl膜
を形成して、図9に示すサイリスタが完成する。
【0006】図9に基づいて従来のMOS制御形サイリ
スタの動作を説明する。カソード電極9を接地してアノ
ード電極2に正の電圧を印加すると、N-形ベース領域
3とP形ベース領域6の間に逆バイアス電圧がかかるた
め、このサイリスタには電流は流れない。
【0007】この状態でゲート電極5に正の電圧を印加
すると、図10に示すように、P形ベース領域6のゲー
ト絶縁膜4側の界面にN形チャネルC1が形成されるた
め、N形カソード領域7の電子は、このN形チャネルC
1を通ってN-形ベース領域3に進入する。この結果、
-形ベース領域3とP形ベース領域6の間の逆バイア
ス電圧が低くなり、P+形アノード領域1からの正孔は
-形ベース領域3を通ってP形ベース領域6に進入
し、さらにN形カソード領域7を通ってP+形カソード
領域8に達する。これにより、アノード電極2からカソ
ード電極9に電流が流れてサイリスタはターンオンす
る。このようなMOS制御形サイリスタは、N形MCT
(MOS CONTROLLED THYRISTOR)とも呼ばれる。
【0008】以上の動作を図11に示す等価回路を用い
て説明する。図9に示すP+形アノード領域1、N-形ベ
ース領域3およびP形ベース領域6とで、図11に示す
PNPトランジスタTR1が構成され、N-形ベース領
域3、P形ベース領域6およびN形カソード領域7と
で、NPNトランジスタTR2が構成される。また、ゲ
ート電極5に正の電圧を印加したときに形成されるN形
チャネルC1は、図11に示すMOSゲートG1のドレ
インD、ソースS間の経路に置き換えられる。
【0009】図11において、カソード電極K(9)を
接地してアノード電極A(2)に正の電圧を印加した場
合、ゲート電極G(5)が0ボルトであれば、MOSゲ
ートG1はオフ状態であり、TR1のベースに電流は流
れない。したがって、TR1はオンせず、TR2のベー
スにも電流は流れないためTR2もオンせず、結局アノ
ード電極A(2)からカソード電極K(9)に電流は流
れない。
【0010】ゲート電極G(5)に正の電圧を印加する
と、MOSゲートG1がオン状態になり、TR1のベー
スからMOSゲートのドレインD、ソースSを介してカ
ソード電極K(9)に電流が流れる。これにより、TR
1がオンしてアノード電極A(2)からTR1のコレク
タに電流が流れる。この電流はTR2のベースに流れる
ため、TR2がオンし、結局アノード電極A(2)から
の電流は、図示のL1およびL2の経路を通ってカソー
ド電極K(9)に流れる。
【0011】この状態では、TR1のコレクタを流れる
電流によってTR2はオン状態を維持し、TR2のコレ
クタを流れる電流によってTR1はオン状態を維持する
ため、ゲート電極G(5)に印加する電圧を0ボルトに
しても、アノード電極A(2)からカソード電極K
(9)に電流は流れ続ける。すなわち、図9に示すサイ
リスタは、いったんゲート電極G(5)に正の電圧を印
加した後は、負の電圧を印加しない限り、いわゆるラッ
チアップ状態を維持する。
【0012】このようなラッチアップ状態では、P+
アノード領域1からの正孔とN形カソード領域7からの
電子が、図9に示すN-形ベース領域にそれぞれ大量に
進入して蓄積するため、N-形ベース領域3で電導度変
調が起こり電導度が上昇する。これにより、サイリスタ
のターンオン時のオン抵抗が小さくなり、サイリスタに
は大量の電流を流すことができるようになる。また、ラ
ッチアップ時には、電流が縦方向(図9の矢印方向)に
流れるため、流せる電流の量は基板の面方位に依存しな
い。このため、従来は拡散定数や酸化レート等の製造プ
ロセスに関する種々の定数値が既知である(100)方
位の基板を用いてMOS制御形サイリスタを製造してい
た。
【0013】次に、図9に示すサイリスタのゲート電極
5に負の電圧を印加すると、P形ベース領域6の表面に
形成されていたN形チャネルC1は消滅し、その代わり
に図12に示すように、P+形カソード領域8とP形ベ
ース領域6の間のゲート絶縁膜4側の界面付近にP形チ
ャネルC2が形成される。その結果、P形ベース領域6
とP+形カソード領域8とが電気的に接続され、サイリ
スタのオン時にP+形アノード領域1からN-形ベース領
域3を通ってP形ベース領域6に注入されて蓄積してい
る大量の正孔はこのP形チャネルC2を通ってP+カソ
ード領域8に進入する。このため、N形カソード領域7
からP形ベース領域6を通ってN-形ベース領域3に縦
方向に進入する電子が減少する。これによって、サイリ
スタはラッチアップ状態から脱し、アノード電極2から
カソード電極9に電流は流れなくなり、サイリスタはタ
ーンオフする。
【0014】このターンオンからターンオフに移行する
動作を図11(b)に示す等価回路を用いて説明する
と、ゲート電極5に負の電圧を印加したときに形成され
るP形チャネルC2は、図示のMOSゲートG2のドレ
インD、ソースS間の経路に置き換えられる。サイリス
タのオン時に図示の経路L2を流れる電流はすべてTR
2のベース端子に流れるのに対し、MOSゲートG2が
オンすると経路L2を流れる電流の一部がMOSゲート
G2にも流れるようになる。その結果、TR2のベース
電流が減少し、これによりTR2のコレクタ電流すなわ
ちTR1のベース電流も減少する。その結果、TR1,
TR2は双方ともオン状態を維持できなくなり、サイリ
スタはターンオフする。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】図13に示すように、
正孔と電子の移動度はともに面方位によって変化し、
(110)方位のときに最も正孔の移動度が大きく、
(100)方位での正孔の移動度は(110)方位に比
べて2分の1程度にすぎない。したがって、従来のよう
に、P形チャネルC2部分が(100)方位に形成され
ている場合、P形チャネルC2を通れる正孔の量は制限
される。すなわち、(100)方位の基板上に形成され
たP形チャネルC2部分の抵抗は大きい。このため、図
12において、ターンオン時に大量の電流が流れている
状態でゲート電極5に負の電圧を印加すると、P形ベー
ス領域6に蓄積している大量の正孔は、P形チャネルC
2部分の抵抗によってP+カソード領域8に進入でき
ず、結局サイリスタはターンオフせず、ラッチアップ状
態を維持し続ける。すなわち、図11(b)に示すMO
SゲートG2の抵抗が大きければMOSゲートG2にあ
まり電流が流れず、したがってTR1およびTR2のベ
ース電流の量はターンオン時とあまり変わらず、TR1
およびTR2はオン状態を維持し、サイリスタはオン状
態(ラッチアップ状態)を維持する。
【0016】P形チャネルC2の抵抗を下げるために
は、例えばP形チャネルC2のチャネル長Lを短くする
ことが考えられる。特に、N形MCTの場合には、P+
形カソード領域8とP形ベース領域6の間にかかる電圧
は小さいため、ピンチオフを考慮する必要はなく、P形
チャネル長Lは短いほど望ましい。しかし、図5に示す
従来の製造方法では、イオン注入後の熱拡散によってP
形チャネル長Lが規定されるため、P形チャネル長L
は、N形カソード領域の厚さWの約0.8倍というほぼ
決まった値になる。したがって、チャネル長Lを短くす
ると厚さWも小さくなってしまう。
【0017】また、従来のN形MCTは、P形チャネル
C2を正孔が移動する際に界面散乱の影響を受けやす
く、この界面散乱によって移動度が小さくなるという問
題もある。図3は、P形チャネル付近の界面状態と、P
形チャネルを移動する正孔の移動経路を示す図である。
図示のように、界面は平面ではなく、凹凸を繰り返して
いる。P形ベース領域6とP+形カソード領域8間の電
位差(以下、ドレイン電圧と呼ぶ)とゲート電圧が図示
の細線矢印の向きに印加される場合、それらを合成した
合成電圧の向きは太線矢印で示される。
【0018】図3(a)はドレイン電圧が大きい場合、
図3(b)はドレイン電圧が小さい場合(例えば、ドレ
イン電圧が0.5ボルト)を示す。図3(a),(b)
の合成電圧を比較すると、ドレイン電圧の小さい図3
(b)の太線矢印の方が、界面方向を向いている。この
ため、図3(b)の方が界面の凹凸の影響を強く受け、
図示のように、正孔の移動経路が長くなり、正孔の移動
度が小さくなる。N形MCTのターンオン時には、アノ
ード・カソード間の電圧は約1ボルト以下になるため、
ドレイン電圧は約0.5ボルト以下になる。したがっ
て、P形チャネルC2を移動する正孔の移動経路は図3
(b)のようになり、正孔の移動度が小さくなる。
【0019】このような問題を解決するため、図9のP
+形アノード領域1、N-形ベース領域3、P形ベース領
域6、N形カソード領域7およびP+カソード領域8の
各電導形をすべて逆にした、P形MCTを用いることも
考えられる。P形MCTの場合、ターンオフ時に形成さ
れるチャネルはN形である。図13に示すように、電子
の移動度は正孔よりも大きく、また、基板の面方位が
(100)面の場合が最も移動度が大きい。このため、
N形MCTよりもP形MCTの方が先に商品化されてい
る(例えば、HARRIS SEMICONDUCTOR社 MCTV75P60E1ま
たはMCTA75P60E1等)。
【0020】しかし、P形MCTを使用する際は、図1
4(a)に示すように、カソードに負荷を接続した、い
わゆるハイサイドスイッチ構成にする必要があり、電圧
制御が面倒になるという問題がある。すなわち、P形M
CTをターンオンさせるためには、ゲート電極G(5)
の電圧をアノード電極A(2)の電圧よりも低くする必
要があり、一方ターンオフさせるためには、ゲート電極
G(5)の電圧をアノード電極A(2)の電圧よりも高
くする必要があり、ゲート電極G(5)に電源電圧以上
の電圧を印加する必要があり、電圧制御が複雑になる。
なお、P形MCTを、図14(b)に示すように、アノ
ード電極A(2)に負荷を接続した、いわゆるローサイ
ドスイッチ構成にして負の電圧を用いることも考えられ
るが、ローサイドスイッチ構成の場合には負の電源電圧
を用意しなければならず、またゲート電極G(5)に負
の電圧を印加しなければならず、やはり電圧制御が複雑
になる。
【0021】一方、図14(c)に示すように、N形M
CTをローサイドスイッチ構成にすると、ゲート電極G
(5)に0ボルトより大きい電圧を印加すればターンオ
ンし、0ボルトにすればターンオフするため、P形MC
Tに比べて回路が簡易化する(HARRIS SEMICONDUCTOR社
MCT USER'S GUIDE P2.2 参照)。
【0022】本発明の目的は、ゲート電極に負の電圧を
印加したときに形成されるP形チャネルの面方位を(1
10)方位とすることにより、ラッチアップ状態にある
サイリスタを確実かつ迅速にターンオフさせるMOS制
御形サイリスタおよびその製造方法を提供することにあ
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】実施例を示す図1に対応
づけて本発明を説明すると、本発明は、P形アノード1
上に形成されたN形ベース領域3と、このN形ベース領
域3上に、ゲート絶縁膜4を介して形成されたゲート電
極5と、ゲート絶縁膜4およびゲート電極5の所定箇所
を除去して露出させたN形ベース領域3上に、P形ベー
ス領域6、N形カソード領域7およびP形カソード領域
9を順に形成するMOS制御形サイリスタに適用され、
ゲート電極5に負の電圧を印加したときにP形ベース領
域6とP形カソード領域9との間に形成されるP形チャ
ネルC2の面方位を(110)方位にすることにより、
上記目的は達成される。請求項2に記載の発明は、(1
10)方位のP形シリコン基板上にN形ベース領域3を
形成する工程と、N形ベース領域3上にゲート絶縁膜4
を介してゲート電極5を形成する工程と、ゲート絶縁膜
4およびゲート電極5の所定箇所を除去してN形ベース
領域3を露出させる工程と、露出させたN形ベース領域
3上に、P形ベース領域6を形成する工程と、P形ベー
ス領域6上に、<110>方向からチャネリングを起こ
させるようにN型不純物をイオン注入してN形カソード
領域7を形成する工程と、N形カソード領域7上にP形
不純物をイオン注入してP形カソード領域9を形成する
工程とを備えることにより、上記目的は達成される。請
求項3に記載の発明は、請求項2に記載されたMOS制
御形サイリスタの製造方法において、P形ベース領域6
上に、N形不純物を<110>方向に対して5度以内の
角度からイオン注入してN形カソード領域7を形成する
ものである。
【0024】
【作用】請求項1に記載の発明では、ゲート電極5に負
の電圧が印加された場合すなわちサイリスタがターンオ
フの場合に、P形ベース領域6とP形カソード領域9と
の間に形成されるP形チャネルC2の面方位を(11
0)方位としたため、P形チャネルC2を移動する正孔
の移動度が大きくなり、ターンオンしているサイリスタ
は確実かつ迅速にターンオフする。請求項2に記載の発
明では、N形不純物を<110>方向からチャネリング
を起こさせるようにイオン注入してN形カソード領域7
を形成する工程を設けたため、ターンオフ時にP形ベー
ス領域6とP形カソード領域8との間に形成されるP形
チャネルC2のチャネル長が短くなり、そのオン抵抗は
小さく、したがって、ターンオンしているサイリスタは
確実かつ迅速にターンオフする。請求項3に記載の発明
では、N形不純物を<110>方向に対して5度以内の
角度からイオン注入してN形カソード領域7を形成する
ため、ターンオフ時にP形ベース領域6とP形カソード
領域8との間に形成されるP形チャネルC2のチャネル
長は短くなり、したがってそのオン抵抗は小さくなる。
【0025】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0026】
【実施例】
−第1の実施例− 図1は本発明によるN形MOS制御形サイリスタ(N形
MCT)の第1の実施例の構造を示す図である。図1は
(110)方位の基板を用いてサイリスタの各領域を形
成する点を除いて、図9に示す従来のN形MCTと同様
の構造を有するため、構造の説明を省略して図1に基づ
いてターンオフ時の動作を説明する。なお、ターンオン
時の動作は図9と同様であるため、説明を省略する。
【0027】ターンオンしているサイリスタのゲート電
極5に負の電圧を印加すると、P+形カソード領域8と
P形ベース領域6の間にP形チャネルC2が形成され
る。P形ベース領域6に蓄積している大量の正孔は、P
形チャネルC2を通ってP+形カソード領域8に進入す
る。P形チャネルC2の面方位は(110)方位である
ため、図13に示すように、正孔の移動度は十分に大き
い。したがって、P形ベース領域6の正孔は速やかにP
+形カソード領域8に移動し、サイリスタはラッチアッ
プ状態から脱してターンオフする。
【0028】また、(110)面は(100)面に比べ
て界面散乱の影響が少ない。すなわち、図2に示す(1
10)面は、図3に示す(100)面に比べて界面の凹
凸が少ないため、ドレイン電圧が大きい場合の正孔の移
動は図2(a)のようになり、図3(a)に比べて正孔
の移動経路は短くなる。その分、(110)面の方が
(100)面に比べ、正孔の移動度が大きくなり、チャ
ネル抵抗も小さくなる。この傾向は図2(b)に示すよ
うに、ドレイン電圧が小さい場合に特に顕著であり、図
3(b)に示す(100)面に比較して正孔の移動度は
格段に大きくなる。前述したように、ゲート電極5に負
の電圧を印加した場合には、P形ベース領域6とP+
カソード領域8間の電位差は0.5ボルト以下になるた
め、P形チャネルC2の移動経路は図2(b)のように
なる。
【0029】図4は図1に示すサイリスタの製造方法を
説明する図であり、この図を用いて製造方法を順を追っ
て説明する。図4(a)は面方位が(110)の基板を
用いて図5(a)と同様に製造する。図4(b)では、
ゲート電極5をマスクにして、リンまたはヒ素を<11
0>方向に対してチャネリングを起こす臨界角度以内、
例えば5°以内の角度でイオン注入する。シリコン結晶
を(110)面から眺めると、図6に示すように、シリ
コン原子のない隙間が存在する。このため、<110>
方向から注入されたイオンは、シリコン原子に衝突する
ことなく、結晶内部に進入し、これをチャネリングと呼
ぶ。そして、イオン注入する角度を<110>方向から
少しずつ傾けていき、チャネリングを起こさなくなる限
界の角度をチャネリング臨界角度と呼び、(110)面
の場合は約5°である。
【0030】チャネリング臨界角度以内でイオン注入す
ると、イオン注入された不純物はチャネリングによって
縦方向の深さW1まで進入する。その後、熱拡散を行う
と、さらにW2だけ深く進入するため、これらを合わせ
るとN形カソード領域7の縦方向の厚さWはW=W1+
W2となる。図4(c)では、図5(c)と同様にP+
形カソード領域8を形成する。図4(b)の熱拡散を行
うと、不純物は横方向にも進入するため、P+形カソー
ド領域8とP形ベース領域6の間隔L(P形チャネル
長)は、約W2×0.8と規定される。この値は従来の
P形チャネル長約W×0.8よりも短い。図4(d)で
は、図5(d)と同様にして層間絶縁膜10およびカソ
ード電極9を形成する。
【0031】このように、本実施例では、ゲート電極5
に負の電圧を印加した場合に形成されるP形チャネルC
2の面方位を(110)方位としたため、P形チャネル
C2を移動する正孔の移動度を大きくすることができ、
ターンオンしているサイリスタを確実かつ迅速にターン
オフすることができる。また、チャネリングと熱拡散と
の二重拡散によって、N形カソード領域7の厚さWを規
定するため、従来よりも熱拡散を行う時間が短くて済
み、その分P+形カソード領域8とP形ベース領域6と
の間隔(P形チャネル長)Lを短くできる。
【0032】図4に示す製造方法では、P形ベース領域
6やP+形カソード領域8を形成する際には、チャネリ
ングを起こさない方向からイオン注入を行っているが、
チャネリングを起こす方向からイオン注入してもよい。
これにより、イオン注入の角度制御を行う手間が省け
る。
【0033】−第2の実施例− 第1の実施例は、(110)方位のシリコン基板を用い
てサイリスタの各領域を形成したのに対し、第2の実施
例は、従来と同様に(100)方位の基板を用いてサイ
リスタの各領域を形成し、P形チャネル部分だけを(1
10)方位にするものである。図7は第2の実施例の構
造を示す図である。この第2の実施例は図4に示す従来
の製造方法によって図4(c)を形成した後、ドライエ
ッチング等によって一対のP+カソード領域8の間にあ
るN形カソード領域7を直角に、すなわち<110>方
向に除去して溝を作製し、溝の底面がP形ベース領域6
に届くようにする。作製された溝の底面および側面にゲ
ート絶縁膜41を介して多結晶シリコンによるゲート電
極51を形成した後、図4(d)と同様にPSG等によ
る層間絶縁膜10とカソード電極9となるAl膜を形成
する。
【0034】このようにして形成したN形MCTでは、
ターンオン時には第1の実施例と同様の箇所にN形チャ
ネルC1が形成され、一方ターンオフ時には図7に示す
ように、溝の側面に沿って、すなわち<110>方向に
P形チャネルC2が形成される。
【0035】この第2の実施例のN形MCTは、製造プ
ロセスに関する種々の定数値が既知である(100)方
位の基板を使用してサイリスタの各領域を形成するた
め、製造誤差および基板コストの低減が図れる。また、
(100)方位の基板に溝を作製し、ターンオフ時に
は、その溝の側面にP形チャネルC2を形成するように
したため、第1の実施例のようにP形チャネルC2を基
板の横方向に形成する場合に比較して、素子構造の微細
化が図れる。また、この溝の側面は<110>方向に設
けられるため、第1の実施例と同様に、P形チャネルC
2を通る正孔の移動度を大きくすることができ、サイリ
スタを確実かつ迅速にターンオフさせることができる。
さらに、溝の側面の面積を大きくすることが容易にでき
るため、これによりP形チャネル幅を広げることがで
き、よりいっそう正孔の移動度を大きくすることができ
る。
【0036】−第3の実施例− 第3の実施例は、第2の実施例よりも溝の厚さを厚くし
てゲート電極の数を減らしたものである。図8は第3の
実施例の構造を示す図である。第3の実施例は、第2の
実施例と同様に、(100)方位の基板に側面が<11
0>方向の溝を作製する。その際、第2の実施例と異な
り、溝の底面がP形ベース領域6を貫通してN-形ベー
ス領域3に届くまで深く掘り出す。また、ゲート電極5
は溝の内部だけに設ける。このようにすると、サイリス
タがターンオンしたときに形成されるN形チャネルC1
と、ターンオフしたときに形成されるP形チャネルC2
は図8に示されるように、ともに溝の側面に沿って形成
される。また、第3の実施例では、溝の内部だけにゲー
ト電極5を設ければよいため、第2の実施例に比べてよ
りいっそうの微細化が図れる。
【0037】上記第2,第3の実施例では、(100)
方位の基板を用いる例を示したが、(110)方位と直
交する面方位の基板であればよく、例えば(111)方
位の基板を用いてもよい。
【0038】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、ゲート電極に負の電圧を印加したときに形成され
るP形チャネルの面方位を(110)方位としたため、
P形チャネルを通過する正孔の移動度が向上し、ラッチ
アップ状態にあるサイリスタを確実かつ迅速にターンオ
フさせることができる。また、P形チャネルを通過する
正孔は、(110)方位の方が(100)方位よりも界
面散乱の影響を受けないため、よりいっそう正孔の移動
度が向上する。したがって、サイリスタの電流容量を大
きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるMOS制御形サイリスタの第1の
実施例の構造を示す図である。
【図2】(110)面のP形チャネル付近の界面状態と
正孔の移動経路を示す図である。
【図3】(100)面のP形チャネル付近の界面状態と
正孔の移動経路を示す図である。
【図4】図1に示すサイリスタの製造方法を説明する図
である。
【図5】従来のサイリスタの製造方法を説明する図であ
る。
【図6】<110>方向からシリコン結晶を眺めた図で
ある。
【図7】本発明によるMOS制御形サイリスタの第2の
実施例の構造を示す図である。
【図8】本発明によるMOS制御形サイリスタの第3の
実施例の構造を示す図である。
【図9】従来のMOS制御形サイリスタの構造を示す図
である。
【図10】図9のサイリスタのゲート電極に正の電圧を
印加した場合に形成されるN形チャネルを示す図であ
る。
【図11】図11(a)はターンオン時の等価回路図、
図11(b)はターンオフ時の等価回路図である。
【図12】図9のサイリスタのゲート電極に負の電圧を
印加した場合に形成されるP形チャネルを示す図であ
る。
【図13】面方位と移動度との関係を説明する図であ
る。
【図14】サイリスタのハイサイドスイッチ構成とロー
サイドスイッチ構成を示す図である。
【符号の説明】
1 P+形アノード領域 2 アノード電極 3 N-形ベース領域 4 ゲート絶縁膜 5 ゲート電極 6 P形ベース領域 7 N形カソード領域 8 P+形カソード領域 9 カソード電極 10 層間絶縁膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 29/74 Q C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 P形アノード上に形成されたN形ベース
    領域と、 このN形ベース領域上に、ゲート絶縁膜を介して形成さ
    れたゲート電極と、 前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極の所定箇所を除
    去して露出させたN形ベース領域上に、P形ベース領
    域、N形カソード領域およびP形カソード領域を順に形
    成するMOS制御形サイリスタにおいて、 前記ゲート電極に負の電圧を印加したときに前記P形ベ
    ース領域と前記P形カソード領域との間に形成されるP
    形チャネルの面方位を(110)方位にすることを特徴
    とするMOS制御形サイリスタ。
  2. 【請求項2】 (110)方位のP形シリコン基板上に
    N形ベース領域を形成する工程と、 前記N形ベース領域上にゲート絶縁膜を介してゲート電
    極を形成する工程と、 前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極の所定箇所を除
    去してN形ベース領域を露出させる工程と、 露出させた前記N形ベース領域上に、P形ベース領域を
    形成する工程と、 前記P形ベース領域上に、<110>方向からチャネリ
    ングを起こさせるようにN型不純物をイオン注入してN
    形カソード領域を形成する工程と、 前記N形カソード領域上にP形不純物をイオン注入して
    P形カソード領域を形成する工程とを備えることを特徴
    とするMOS制御形サイリスタの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載されたMOS制御形サイ
    リスタの製造方法において、 前記P形ベース領域上に、N形不純物を<110>方向
    に対して5度以内の角度からイオン注入してN形カソー
    ド領域を形成することを特徴とするMOS制御形サイリ
    スタの製造方法。
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