JPH07181180A - 新規ストレスタンパク質p20、その精製方法、合成方法、抗体、測定方法及び免疫学的試薬 - Google Patents
新規ストレスタンパク質p20、その精製方法、合成方法、抗体、測定方法及び免疫学的試薬Info
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- JPH07181180A JPH07181180A JP32766693A JP32766693A JPH07181180A JP H07181180 A JPH07181180 A JP H07181180A JP 32766693 A JP32766693 A JP 32766693A JP 32766693 A JP32766693 A JP 32766693A JP H07181180 A JPH07181180 A JP H07181180A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 新規ストレスタンパク質p20の提供。
【構成】 ラット骨格筋あるいはヒト胸筋の抽出液から
αB、HSP28の精製方法に準じて精製を行い、スト
レスタンパク質p20リッチフラクションはイムノアッ
セイ法で検出した。ストレスタンパク質p20は、スト
レスタンパク質に対する抗体の量的変化を簡単に把握す
る手段として有用であるので、自己免疫性疾患の診断薬
として使用できる。また、その抗体は、患者血清あるい
は血漿中のストレスタンパク質p20の濃度を測定する
ことができるので、生体の受けたストレスの程度を測定
すること等ができる。
αB、HSP28の精製方法に準じて精製を行い、スト
レスタンパク質p20リッチフラクションはイムノアッ
セイ法で検出した。ストレスタンパク質p20は、スト
レスタンパク質に対する抗体の量的変化を簡単に把握す
る手段として有用であるので、自己免疫性疾患の診断薬
として使用できる。また、その抗体は、患者血清あるい
は血漿中のストレスタンパク質p20の濃度を測定する
ことができるので、生体の受けたストレスの程度を測定
すること等ができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なストレスタンパ
ク質p20、その精製方法、その合成方法、その抗体、
その測定方法及びその免疫学的試薬に関する。
ク質p20、その精製方法、その合成方法、その抗体、
その測定方法及びその免疫学的試薬に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】今日ス
トレスタンパク質として知られる一連のタンパク質は、
ショウジョウバエの唾液線染色体において、これを高温
にさらした場合にパフが誘導される事から、1974年
にチセレスとミッチェルによって熱ショックタンパク質
として見いだされたのが最初であった。今日ではこのよ
うな熱ショック応答はすべての生物に普遍的に観察され
る現象である事が知られており、通常生育している温度
より高温にさらした場合、細菌、酵母の細胞から植物や
動物の培養細胞に至るまですべての細胞でショウジョウ
バエの熱ショックタンパク質とほぼ同じ分子量のタンパ
ク質の合成が非常に亢進される。また、これらの熱ショ
ックタンパク質のうちいくつかのものは重金属、エタノ
ール、亜砒酸塩などの毒物によっても誘導される事から
より一般的な意味でストレス応答と呼ばれるようにな
り、それに伴って熱ショックタンパク質もストレスタン
パク質と呼ばれるようになった。さらに、多くのストレ
スタンパク質はストレスにさらされた時だけでなく、ス
トレスにさらされていない正常の細胞においても発現し
ている事が明らかにされた。即ち、ストレスタンパク質
は、細胞にストレスがかかったときに初めて発現するタ
ンパク質と、正常な細胞においても発現しているタンパ
ク質の2種類に分ける事ができる。
トレスタンパク質として知られる一連のタンパク質は、
ショウジョウバエの唾液線染色体において、これを高温
にさらした場合にパフが誘導される事から、1974年
にチセレスとミッチェルによって熱ショックタンパク質
として見いだされたのが最初であった。今日ではこのよ
うな熱ショック応答はすべての生物に普遍的に観察され
る現象である事が知られており、通常生育している温度
より高温にさらした場合、細菌、酵母の細胞から植物や
動物の培養細胞に至るまですべての細胞でショウジョウ
バエの熱ショックタンパク質とほぼ同じ分子量のタンパ
ク質の合成が非常に亢進される。また、これらの熱ショ
ックタンパク質のうちいくつかのものは重金属、エタノ
ール、亜砒酸塩などの毒物によっても誘導される事から
より一般的な意味でストレス応答と呼ばれるようにな
り、それに伴って熱ショックタンパク質もストレスタン
パク質と呼ばれるようになった。さらに、多くのストレ
スタンパク質はストレスにさらされた時だけでなく、ス
トレスにさらされていない正常の細胞においても発現し
ている事が明らかにされた。即ち、ストレスタンパク質
は、細胞にストレスがかかったときに初めて発現するタ
ンパク質と、正常な細胞においても発現しているタンパ
ク質の2種類に分ける事ができる。
【0003】主要なストレスタンパク質は生物種により
異なるが、分子量などから4つのグループに分けること
ができる。即ち、 1.83kDa〜90kDaの高分子量のもの 2.66〜78kDaのHSP70ファミリーと呼ばれ
るもの 3.58〜65kDaのHSP60ファミリーと呼ばれ
るもの 4.15〜30kDaの低分子量のもの 哺乳類ではこのほかに100〜110kDaのタンパク
質も知られている。
異なるが、分子量などから4つのグループに分けること
ができる。即ち、 1.83kDa〜90kDaの高分子量のもの 2.66〜78kDaのHSP70ファミリーと呼ばれ
るもの 3.58〜65kDaのHSP60ファミリーと呼ばれ
るもの 4.15〜30kDaの低分子量のもの 哺乳類ではこのほかに100〜110kDaのタンパク
質も知られている。
【0004】これらのストレスタンパク質の構造は、種
を越えて非常によく保存されていることから、生体内に
おいて重要な役割を担っていることが予想されていた。
ストレスタンパク質の重要な機能として、タンパク質の
正しい折り畳みへの関与や他のタンパク質との複合体の
形成、タンパク質の安定化が知られている。例えば、タ
ンパク質が合成後細胞膜を越えて細胞質以外のコンパー
トメントに局在化する反応においては、ストレスタンパ
ク質の結合によって不必要な折り畳みを回避して膜を通
過し易いような構造を保っており、膜を通過した後では
細胞内小器官の中でさらに別のストレスタンパク質が結
合して正しい折り畳み、会合を助ける。このようにタン
パク質の折り畳みや会合状態を制御して機能的構造体の
形成を助けるが、自らはその構造体の最終的な構成要素
とはならないような因子のことを一般に「分子シャペロ
ン」と呼んでいる。
を越えて非常によく保存されていることから、生体内に
おいて重要な役割を担っていることが予想されていた。
ストレスタンパク質の重要な機能として、タンパク質の
正しい折り畳みへの関与や他のタンパク質との複合体の
形成、タンパク質の安定化が知られている。例えば、タ
ンパク質が合成後細胞膜を越えて細胞質以外のコンパー
トメントに局在化する反応においては、ストレスタンパ
ク質の結合によって不必要な折り畳みを回避して膜を通
過し易いような構造を保っており、膜を通過した後では
細胞内小器官の中でさらに別のストレスタンパク質が結
合して正しい折り畳み、会合を助ける。このようにタン
パク質の折り畳みや会合状態を制御して機能的構造体の
形成を助けるが、自らはその構造体の最終的な構成要素
とはならないような因子のことを一般に「分子シャペロ
ン」と呼んでいる。
【0005】HSP70ファミリーやHSP60ファミ
リーは分子シャペロンとして知られる代表的なものであ
る。ストレスタンパク質のもう一つの機能は、タンパク
質レベルや細胞レベルの信号伝達機構の調節における中
心的な役割である。HSP90と呼ばれるストレスタン
パク質のファミリーがこの点で特に注目を集めている。
リーは分子シャペロンとして知られる代表的なものであ
る。ストレスタンパク質のもう一つの機能は、タンパク
質レベルや細胞レベルの信号伝達機構の調節における中
心的な役割である。HSP90と呼ばれるストレスタン
パク質のファミリーがこの点で特に注目を集めている。
【0006】HSP90はp50と呼ばれるタンパク質
とともにガンウイルスであるラウス肉腫ウイルスの作り
出すpp60srcと呼ばれる酵素に結合し、酵素活性
の調節を行っている。pp60srcはHSP90及び
p50が結合している間は酵素活性を持たず細胞をガン
化することはできないが、これら3分子の複合体が細胞
膜に近づくとHSP90、p50は解離してpp60s
rcは細胞膜に埋め込まれ、酵素活性を持つようにな
る。同様の現象はほかのいくつかのガンウイルスの作り
出す酵素タンパク質についても観察されている。
とともにガンウイルスであるラウス肉腫ウイルスの作り
出すpp60srcと呼ばれる酵素に結合し、酵素活性
の調節を行っている。pp60srcはHSP90及び
p50が結合している間は酵素活性を持たず細胞をガン
化することはできないが、これら3分子の複合体が細胞
膜に近づくとHSP90、p50は解離してpp60s
rcは細胞膜に埋め込まれ、酵素活性を持つようにな
る。同様の現象はほかのいくつかのガンウイルスの作り
出す酵素タンパク質についても観察されている。
【0007】HSP90はまた、細胞内のステロイドホ
ルモンレセプターに結合し、その活性を調節している。
ステロイドホルモンレセプターはステロイドホルモンが
存在しない状態ではHSP90等のタンパク質と結合し
て不活性な状態に保たれているが、ステロイドホルモン
と結合するとレセプターはHSP90と解離してDNA
に結合し、ある種の遺伝子を活性化したり逆に抑制した
りする。
ルモンレセプターに結合し、その活性を調節している。
ステロイドホルモンレセプターはステロイドホルモンが
存在しない状態ではHSP90等のタンパク質と結合し
て不活性な状態に保たれているが、ステロイドホルモン
と結合するとレセプターはHSP90と解離してDNA
に結合し、ある種の遺伝子を活性化したり逆に抑制した
りする。
【0008】このようなストレスタンパク質の機能を利
用して、ストレスタンパク質の実用面への応用が考えら
れる。心筋梗塞や脳卒中の患者では、心臓や脳への血流
の循環が一時的に滞って虚血状態に陥ることがあるが、
血流の再開によって急速に酸素の供給が再開されると、
フリーラジカルが生成され、さらに傷害を大きくする。
短時間の虚血状態の後、血流の再開によって引き起こさ
れるストレス応答の強さは傷害の程度とよく相関するこ
とから、ストレスタンパク質の量の変化を測ることによ
って組織や器官の傷害のマーカーとして使うことができ
る。一方、ストレスタンパク質を多く発現している細胞
は、虚血による傷害を受けにくいため、薬剤等で人工的
にストレスタンパク質を増やすことによって手術時虚血
による組織傷害の改善に利用することができる。
用して、ストレスタンパク質の実用面への応用が考えら
れる。心筋梗塞や脳卒中の患者では、心臓や脳への血流
の循環が一時的に滞って虚血状態に陥ることがあるが、
血流の再開によって急速に酸素の供給が再開されると、
フリーラジカルが生成され、さらに傷害を大きくする。
短時間の虚血状態の後、血流の再開によって引き起こさ
れるストレス応答の強さは傷害の程度とよく相関するこ
とから、ストレスタンパク質の量の変化を測ることによ
って組織や器官の傷害のマーカーとして使うことができ
る。一方、ストレスタンパク質を多く発現している細胞
は、虚血による傷害を受けにくいため、薬剤等で人工的
にストレスタンパク質を増やすことによって手術時虚血
による組織傷害の改善に利用することができる。
【0009】結核、マラリヤ、ハンセン病などの感染症
では生体の免疫系がこれら微生物のストレスタンパク質
を標的として使っていることが知られてきたことから、
これらストレスタンパク質を感染症に対するワクチンと
して、あるいは生体の免疫性を高めるための補助剤とし
て使うことが考えられる。また、微生物のストレスタン
パク質とヒトのストレスタンパク質は非常によく似てお
り、RAやSLEでは自己のストレスタンパク質に対す
る抗体がしばしば見いだされることから、これら自己免
疫疾患との関連が疑われており、微生物のストレスタン
パク質に対する抗体を測定することで病気の診断にも役
立つ。
では生体の免疫系がこれら微生物のストレスタンパク質
を標的として使っていることが知られてきたことから、
これらストレスタンパク質を感染症に対するワクチンと
して、あるいは生体の免疫性を高めるための補助剤とし
て使うことが考えられる。また、微生物のストレスタン
パク質とヒトのストレスタンパク質は非常によく似てお
り、RAやSLEでは自己のストレスタンパク質に対す
る抗体がしばしば見いだされることから、これら自己免
疫疾患との関連が疑われており、微生物のストレスタン
パク質に対する抗体を測定することで病気の診断にも役
立つ。
【0010】傷害を受けた細胞で発現するストレスタン
パク質の量を測定することにより、医薬品、化粧品、食
品添加物の毒性を評価することもできる。本発明者ら
は、上記のような知験に基づき、既に低分子熱ショック
タンパク質の一種であるHSP28及びαBクリスタリ
ンをヒト骨格筋より精製し、その性状について明らかに
してきたが、これらのストレスタンパク質を精製するな
かから、新たなストレスタンパク質p20を単離するこ
とに成功し、本発明を完成するに至ったものである。
パク質の量を測定することにより、医薬品、化粧品、食
品添加物の毒性を評価することもできる。本発明者ら
は、上記のような知験に基づき、既に低分子熱ショック
タンパク質の一種であるHSP28及びαBクリスタリ
ンをヒト骨格筋より精製し、その性状について明らかに
してきたが、これらのストレスタンパク質を精製するな
かから、新たなストレスタンパク質p20を単離するこ
とに成功し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本第1発
明は、骨格筋に含まれ、二量体を最小単位として存在す
る分子量約2万のストレスタンパク質p20にある。本
第2発明は、上記ストレスタンパク質p20の抗体にあ
る。
明は、骨格筋に含まれ、二量体を最小単位として存在す
る分子量約2万のストレスタンパク質p20にある。本
第2発明は、上記ストレスタンパク質p20の抗体にあ
る。
【0012】本第3発明は、上記抗体を用いてイムノア
ッセイ法により精製することを特徴とする上記ストレス
タンパク質p20の精製方法にある。本第4発明は、ペ
プチド合成法により合成することを特徴とする上記スト
レスタンパク質p20の合成方法にある。
ッセイ法により精製することを特徴とする上記ストレス
タンパク質p20の精製方法にある。本第4発明は、ペ
プチド合成法により合成することを特徴とする上記スト
レスタンパク質p20の合成方法にある。
【0013】本第5発明は、上記抗体を用いることを特
徴とする上記ストレスタンパク質p20の測定方法にあ
る。本第6発明は、上記ストレスタンパク質p20を測
定するための免疫学的試薬にある。
徴とする上記ストレスタンパク質p20の測定方法にあ
る。本第6発明は、上記ストレスタンパク質p20を測
定するための免疫学的試薬にある。
【0014】ストレスタンパク質p20は、骨格筋より
HSP28及びαBクリスタリンを精製する際に同時に
精製され、ストレスタンパク質p20のリッチフラクシ
ョンはイムノアッセイ法で検出される。ストレスタンパ
ク質p20は、αBクリスタリンと類似の配列を有し、
50%近い相同性を示す。
HSP28及びαBクリスタリンを精製する際に同時に
精製され、ストレスタンパク質p20のリッチフラクシ
ョンはイムノアッセイ法で検出される。ストレスタンパ
ク質p20は、αBクリスタリンと類似の配列を有し、
50%近い相同性を示す。
【0015】ヒト及びラットに由来するストレスタンパ
ク質p20は、以下の配列を持つ160個または162
個のアミノ酸よりなる。
ク質p20は、以下の配列を持つ160個または162
個のアミノ酸よりなる。
【0016】
【数1】
【0017】 (但し、M:メチオニン K:リジン I:イソロイシン L:ロイシン R:アルギニン A:アラニン V:バリン G:グリシン P:プロリン E:グルタミン酸 Q:グルタミン T:スレオニン S:セリン Y:チロシン W:トリプトファン F:フェニルアラニン D:アスパラギン酸 H:ヒスチジン C:システイン) 上記のように、ヒトのストレスタンパク質p20とラッ
トのストレスタンパク質p20は、90%近い相同性を
示し、分子量は、それぞれ17,135と17,504
である。ストレスタンパク質p20は、骨格筋のうちで
も、特に赤筋や心筋に多く存在する。
トのストレスタンパク質p20は、90%近い相同性を
示し、分子量は、それぞれ17,135と17,504
である。ストレスタンパク質p20は、骨格筋のうちで
も、特に赤筋や心筋に多く存在する。
【0018】本発明のストレスタンパク質p20は、ス
トレスタンパク質に対する抗体の量的変化を簡単に把握
する手段として有用であるので、自己免疫性疾患の診断
薬として使用できる。本発明のストレスタンパク質p2
0の抗体は、上記ストレスタンパク質p20を適当な単
体と結合させ、マウス、ウサギ、ラットあるいはヤギな
どの動物に免疫することによって得ることができる。上
記本発明の抗体は、ストレスタンパク質p20、例え
ば、患者血清あるいは血漿中のストレスタンパク質p2
0の濃度を測定することができる。従って、この測定値
から、生体の受けたストレスの程度を測定すること等が
できる。このため、本発明の抗体を用いることにより、
上記ストレスタンパク質p20を測定するための免疫学
的試薬を得ることができる。抗体としては、ポリクロー
ナル抗体の他にモノクローナル抗体を用いることができ
る。
トレスタンパク質に対する抗体の量的変化を簡単に把握
する手段として有用であるので、自己免疫性疾患の診断
薬として使用できる。本発明のストレスタンパク質p2
0の抗体は、上記ストレスタンパク質p20を適当な単
体と結合させ、マウス、ウサギ、ラットあるいはヤギな
どの動物に免疫することによって得ることができる。上
記本発明の抗体は、ストレスタンパク質p20、例え
ば、患者血清あるいは血漿中のストレスタンパク質p2
0の濃度を測定することができる。従って、この測定値
から、生体の受けたストレスの程度を測定すること等が
できる。このため、本発明の抗体を用いることにより、
上記ストレスタンパク質p20を測定するための免疫学
的試薬を得ることができる。抗体としては、ポリクロー
ナル抗体の他にモノクローナル抗体を用いることができ
る。
【0019】また、上記抗体を用いてイムノアッセイ法
によりストレスタンパク質p20を精製することができ
る。本発明のストレスタンパク質p20は、上記抗体を
用いて精製することにより得ることができるが、他の方
法として、従来の液相法、固相法などの方法で得ること
ができる。このうち、より簡単には、固相法による市販
のペプチド合成機を用いて得ることができる。
によりストレスタンパク質p20を精製することができ
る。本発明のストレスタンパク質p20は、上記抗体を
用いて精製することにより得ることができるが、他の方
法として、従来の液相法、固相法などの方法で得ること
ができる。このうち、より簡単には、固相法による市販
のペプチド合成機を用いて得ることができる。
【0020】固相法においてはポリマー性の支持体に前
記ペプチドのC末端側から、そのアミノ酸残基に対応し
たアミノ酸を縮合させペプチド結合を形成させる。縮合
方法としては、例えばDCC法、酸無水物法、活性化エ
ステル法などの方法を使用することができる。α−アミ
ノ基の保護基としてはBoc基又はFmoc基が使用で
きる。例えば、ペプチド自動合成装置を用いて合成する
時にはその装置のマニュアル指示に従い適宜アミノ酸の
性質を考慮して選択するのが好ましい。
記ペプチドのC末端側から、そのアミノ酸残基に対応し
たアミノ酸を縮合させペプチド結合を形成させる。縮合
方法としては、例えばDCC法、酸無水物法、活性化エ
ステル法などの方法を使用することができる。α−アミ
ノ基の保護基としてはBoc基又はFmoc基が使用で
きる。例えば、ペプチド自動合成装置を用いて合成する
時にはその装置のマニュアル指示に従い適宜アミノ酸の
性質を考慮して選択するのが好ましい。
【0021】固相法において使用される保護アミノ酸の
保護基としては、ペプチド合成において一般的に使用さ
れる物が用いられる。たとえばα−アミノ基にBoc基
を用いるとき、Asp、Gluのカルボキシル基には、
エステル基により保護されるベンジル基又はシクロヘキ
シル基が、Thrのヒドルキシル基にはベンジル基が、
Lysの側鎖アミノ基にはp−クロロベンジルオキシカ
ルボニル基がそれぞれ用いられる。
保護基としては、ペプチド合成において一般的に使用さ
れる物が用いられる。たとえばα−アミノ基にBoc基
を用いるとき、Asp、Gluのカルボキシル基には、
エステル基により保護されるベンジル基又はシクロヘキ
シル基が、Thrのヒドルキシル基にはベンジル基が、
Lysの側鎖アミノ基にはp−クロロベンジルオキシカ
ルボニル基がそれぞれ用いられる。
【0022】液相法にて合成するときには固相法と同
様、通常のペプチド合成法にしたがって行うことができ
る。公知の方法として例えば泉屋信夫著、「ペプチド合
成の基礎と実験」、丸善(株)、1975年などに記載
されている方法などが挙げられる。
様、通常のペプチド合成法にしたがって行うことができ
る。公知の方法として例えば泉屋信夫著、「ペプチド合
成の基礎と実験」、丸善(株)、1975年などに記載
されている方法などが挙げられる。
【0023】次に保護基及び支持体からの脱離は、α−
アミノ基保護基にBoc基を用いるときにはスカベンジ
ャーを含むフッ化水素、TFMSAなどを用いて行われ
る。スカベンジャーとしてはチオアニソール、エタンジ
チオール、ジメチルスルフィドなどが用いられる。ま
た、α−アミノ基保護基にFmoc基を用いるときに
は、フェノールとTFAとを含む混合物などを用いるこ
とができる。
アミノ基保護基にBoc基を用いるときにはスカベンジ
ャーを含むフッ化水素、TFMSAなどを用いて行われ
る。スカベンジャーとしてはチオアニソール、エタンジ
チオール、ジメチルスルフィドなどが用いられる。ま
た、α−アミノ基保護基にFmoc基を用いるときに
は、フェノールとTFAとを含む混合物などを用いるこ
とができる。
【0024】ストレスタンパク質p20の精製には一般
的に使用されるイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィ
ー、ゲルクロマトグラフィー、逆相型液体クロマトグラ
フィー等を単独にあるいは組み合わせて用いることによ
って行うことができる。精製されたストレスタンパク質
p20のアミノ酸組成は、アミノ酸分析装置によって容
易に測定することができる。
的に使用されるイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィ
ー、ゲルクロマトグラフィー、逆相型液体クロマトグラ
フィー等を単独にあるいは組み合わせて用いることによ
って行うことができる。精製されたストレスタンパク質
p20のアミノ酸組成は、アミノ酸分析装置によって容
易に測定することができる。
【0025】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下に本発明の好適な実施例を説明す
る。 1.ストレスタンパク質p20の精製法 1)凍結胸筋(ヒト)500gまたは冷凍骨格筋(ラッ
ト)750gを4倍量(v/w)の50mM燐酸ナトリ
ウム緩衝液、pH7.0(含5mM EDTA, 0.
5mM PMSF)でホモジェナイズし、20000×
g/30分の遠沈上清を取る。その上清に硫酸アンモニ
ウムを加え(40%飽和)、塩析する分画を遠沈で集
め、300−400mlの10mM燐酸カリウム緩衝
液、pH8.0(含1mM EDTA)に懸濁し、これ
を透析チューブに入れ、同じ燐酸緩衝液に対して透析す
る(5リットル×2)。
かにするために、以下に本発明の好適な実施例を説明す
る。 1.ストレスタンパク質p20の精製法 1)凍結胸筋(ヒト)500gまたは冷凍骨格筋(ラッ
ト)750gを4倍量(v/w)の50mM燐酸ナトリ
ウム緩衝液、pH7.0(含5mM EDTA, 0.
5mM PMSF)でホモジェナイズし、20000×
g/30分の遠沈上清を取る。その上清に硫酸アンモニ
ウムを加え(40%飽和)、塩析する分画を遠沈で集
め、300−400mlの10mM燐酸カリウム緩衝
液、pH8.0(含1mM EDTA)に懸濁し、これ
を透析チューブに入れ、同じ燐酸緩衝液に対して透析す
る(5リットル×2)。
【0026】2)透析物を遠沈(78000×g/1
h)し、不溶物を除き、上清をDEAE−セファロース
(Sepharose)カラム(5×30cm)にかけ
る。カラムは上記燐酸緩衝液、pH8.0で充分洗って
から、吸着したp20は、燐酸緩衝液の濃度勾配(0.
01−0.4M)を上昇させ、溶出する。図1に酵素免
疫測定法で測定したp20の溶出曲線を示す。尚、バッ
クの実線は、波長280nmで測定したタンパク質の溶
出曲線である。
h)し、不溶物を除き、上清をDEAE−セファロース
(Sepharose)カラム(5×30cm)にかけ
る。カラムは上記燐酸緩衝液、pH8.0で充分洗って
から、吸着したp20は、燐酸緩衝液の濃度勾配(0.
01−0.4M)を上昇させ、溶出する。図1に酵素免
疫測定法で測定したp20の溶出曲線を示す。尚、バッ
クの実線は、波長280nmで測定したタンパク質の溶
出曲線である。
【0027】3)イムノアッセイ法で検出したp20を
含む分画を集め、硫安を加えて(50%飽和)p20を
沈澱させ、これを4mlの50mMトリス−塩酸緩衝
液、pH7.8(含1mM EDTA)に溶かす。不溶
物を遠沈除去後、上清をバイオーゲル(Bio−Ge
l) A−5m カラム(2.5×60)にかける。カ
ラムは上記トリス−塩酸緩衝液を流し、p20を溶出す
る。図2に酵素免疫測定法で測定したp20の溶出曲線
を示す。尚、バックの実線は、波長280nmで測定し
たタンパク質の溶出曲線である。
含む分画を集め、硫安を加えて(50%飽和)p20を
沈澱させ、これを4mlの50mMトリス−塩酸緩衝
液、pH7.8(含1mM EDTA)に溶かす。不溶
物を遠沈除去後、上清をバイオーゲル(Bio−Ge
l) A−5m カラム(2.5×60)にかける。カ
ラムは上記トリス−塩酸緩衝液を流し、p20を溶出す
る。図2に酵素免疫測定法で測定したp20の溶出曲線
を示す。尚、バックの実線は、波長280nmで測定し
たタンパク質の溶出曲線である。
【0028】4)p20を含む分画を集め、限外濾過膜
[UK−10,Advantec(アドバンテック),
東京]で約20mlに濃縮し、これを0.1M酢酸ナト
リウム緩衝液、pH4.0(含7M尿素,1mM EG
TA ,1mM DTT)(以後、酢酸/尿素緩衝液)
に対して4℃で透析する。透析物をFPLCシステム
[ファルマシア(Pharmacia)]にセットし
た、ハイロード S セファロース(Hiload S
Sepharose)カラム(16/10)にかけ
る。カラムは酢酸/尿素緩衝液で平衡化する。カラムに
吸着したp20は酢酸/尿素緩衝液の食塩濃度を上昇
(0−0.5M/120ml)させて溶出する。図3に
酵素免疫測定法で測定したp20の溶出曲線を示す。
尚、バックの点線は、波長280nmで測定したタンパ
ク質の溶出曲線である。p20は、HSP27/28と
αBとの間に分離溶出される。p20は二つのピークと
して溶出される。前者をp20−S、後者をp20−L
とし、両分画をそれぞれ集め、アミコン セントリフロ
(Amicon Centriflo)CF25 を使
って濃縮(2−3ml)する。
[UK−10,Advantec(アドバンテック),
東京]で約20mlに濃縮し、これを0.1M酢酸ナト
リウム緩衝液、pH4.0(含7M尿素,1mM EG
TA ,1mM DTT)(以後、酢酸/尿素緩衝液)
に対して4℃で透析する。透析物をFPLCシステム
[ファルマシア(Pharmacia)]にセットし
た、ハイロード S セファロース(Hiload S
Sepharose)カラム(16/10)にかけ
る。カラムは酢酸/尿素緩衝液で平衡化する。カラムに
吸着したp20は酢酸/尿素緩衝液の食塩濃度を上昇
(0−0.5M/120ml)させて溶出する。図3に
酵素免疫測定法で測定したp20の溶出曲線を示す。
尚、バックの点線は、波長280nmで測定したタンパ
ク質の溶出曲線である。p20は、HSP27/28と
αBとの間に分離溶出される。p20は二つのピークと
して溶出される。前者をp20−S、後者をp20−L
とし、両分画をそれぞれ集め、アミコン セントリフロ
(Amicon Centriflo)CF25 を使
って濃縮(2−3ml)する。
【0029】5)濃縮したp20−Sおよびp20−L
分画を、酢酸/尿素緩衝液で平衡化したスーパーデック
ス(Superdex)75pg カラム[ハイロード
(Hiload)26/60]にかけ、同じ緩衝液で溶
出する。p20−Lは、重合体であり、カラムのボイド
ボリューム(void volume)近くに溶出さ
れるが、p20−Sは、二量体であり、低分子量領域に
溶出する。図4に酵素免疫測定法で測定したp20の溶
出曲線を示す。尚、バックの点線は、波長280nmで
測定したタンパク質の溶出曲線である。
分画を、酢酸/尿素緩衝液で平衡化したスーパーデック
ス(Superdex)75pg カラム[ハイロード
(Hiload)26/60]にかけ、同じ緩衝液で溶
出する。p20−Lは、重合体であり、カラムのボイド
ボリューム(void volume)近くに溶出さ
れるが、p20−Sは、二量体であり、低分子量領域に
溶出する。図4に酵素免疫測定法で測定したp20の溶
出曲線を示す。尚、バックの点線は、波長280nmで
測定したタンパク質の溶出曲線である。
【0030】6)p20−L、p20−Sを含む分画を
それぞれ集め、酢酸/尿素緩衝液で平衡化したTSKS
P−5PW カラム(0.8×7.5cm)にかけ、同
上緩衝液中の食塩濃度を上げて(0−0.4M)、p2
0を溶出させる。図5に溶離液のタンパク質濃度を示
す。尚、バックの点線は、溶離液のNaCl濃度を示
す。主蛋白ピークを10mM ヘプス(Hepes)緩
衝液、pH7.5に透析し、尿素を除去し、ー20℃で
凍結保存する。
それぞれ集め、酢酸/尿素緩衝液で平衡化したTSKS
P−5PW カラム(0.8×7.5cm)にかけ、同
上緩衝液中の食塩濃度を上げて(0−0.4M)、p2
0を溶出させる。図5に溶離液のタンパク質濃度を示
す。尚、バックの点線は、溶離液のNaCl濃度を示
す。主蛋白ピークを10mM ヘプス(Hepes)緩
衝液、pH7.5に透析し、尿素を除去し、ー20℃で
凍結保存する。
【0031】以上の各精製操作によって得られた分画の
合計容積、合計量、イムノアッセイにより決定したp2
0の合計量、そのタンパク質中の割合及び収率をそれぞ
れ表1(ヒト)及び表2(ラット)に示す。尚、収率
中、括弧内は、p20中のp20−L及びp20−Sの
収率を示す。
合計容積、合計量、イムノアッセイにより決定したp2
0の合計量、そのタンパク質中の割合及び収率をそれぞ
れ表1(ヒト)及び表2(ラット)に示す。尚、収率
中、括弧内は、p20中のp20−L及びp20−Sの
収率を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】7)得られたp20を還元剤無添加でSD
S−PAGEすると、二量体の位置にもバンドが検出さ
れる。同一条件で、ラット骨格筋粗抽出液でも二量体が
検出されることから、細胞中では二量体を最小単位とし
て存在していることがわかる。ラット組織でのp20の
分布は、αB、HSP28と同様に骨格筋、特に赤筋や
心筋に多く存在した。これら筋組織抽出液を庶糖濃度勾
配遠心すると、HSP28の場合と同様に重合型と解離
型の2つの成分に分離し、熱ストレスを与えた後の2成
分の変化は、同一検体中のHSP28の変動と類似して
いる。以上の結果より、p20は、ストレスタンパク質
として機能するタンパク質であることが示された。
S−PAGEすると、二量体の位置にもバンドが検出さ
れる。同一条件で、ラット骨格筋粗抽出液でも二量体が
検出されることから、細胞中では二量体を最小単位とし
て存在していることがわかる。ラット組織でのp20の
分布は、αB、HSP28と同様に骨格筋、特に赤筋や
心筋に多く存在した。これら筋組織抽出液を庶糖濃度勾
配遠心すると、HSP28の場合と同様に重合型と解離
型の2つの成分に分離し、熱ストレスを与えた後の2成
分の変化は、同一検体中のHSP28の変動と類似して
いる。以上の結果より、p20は、ストレスタンパク質
として機能するタンパク質であることが示された。
【0035】2.p20の一次構造決定 上記1.6)で得られたヒト及びラットのp20を各種
プロテアーゼまたはCNBrで処理し、各フラグメント
を分離後、ペプチドシーケンサーで分析して、一次構造
を決定した。結果を式2に示す。
プロテアーゼまたはCNBrで処理し、各フラグメント
を分離後、ペプチドシーケンサーで分析して、一次構造
を決定した。結果を式2に示す。
【0036】
【数2】
【0037】 (但し、M:メチオニン K:リジン I:イソロイシン L:ロイシン R:アルギニン A:アラニン V:バリン G:グリシン P:プロリン E:グルタミン酸 Q:グルタミン T:スレオニン S:セリン Y:チロシン W:トリプトファン F:フェニルアラニン D:アスパラギン酸 H:ヒスチジン C:システイン) 上記式2から、p20は、αBクリスタリンと類似の配
列を有し、50%近い相同性を示すことがわかる。ま
た、ヒトのp20とラットのp20は、90%近い相同
性を示すことがわかる。ヒトのp20は、160個のア
ミノ酸よりなり、分子量が17,135である。一方、
ラットのp20は、162個のアミノ酸よりなり、分子
量が17,504である。
列を有し、50%近い相同性を示すことがわかる。ま
た、ヒトのp20とラットのp20は、90%近い相同
性を示すことがわかる。ヒトのp20は、160個のア
ミノ酸よりなり、分子量が17,135である。一方、
ラットのp20は、162個のアミノ酸よりなり、分子
量が17,504である。
【0038】3.p20に対する抗血清の作製とイムノ
アッセイ系の作製 1)精製したp20溶液を完全アジュバントと1:1の
割合で混合し、ウサギ皮内十数カ所に注射する(0.2
mg/ウサギ)。上記の免疫を2週間隔で繰り返し、4
回目の免疫終了1週間後に採血する(60−80ml/
ウサギ)。以後は、一ケ月間隔で免疫・採血を繰り返
す。
アッセイ系の作製 1)精製したp20溶液を完全アジュバントと1:1の
割合で混合し、ウサギ皮内十数カ所に注射する(0.2
mg/ウサギ)。上記の免疫を2週間隔で繰り返し、4
回目の免疫終了1週間後に採血する(60−80ml/
ウサギ)。以後は、一ケ月間隔で免疫・採血を繰り返
す。
【0039】2)抗血清中のp20特異抗体(ポリクロ
ーナル抗体)は、p20[4mg/2g CNBr−セ
ファロース(Sepharose)]を結合させたセフ
ァロース(Sepharose)カラムで精製する。抗
血清に硫安を加え(50%飽和)、塩析するIgG分画
を集め、10mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH7(含
0.1M Nacl,0.1% NaN3)に溶解し、
透析後、上記のカラムにかける。カラムを上記燐酸緩衝
液に1M NaClを加えた溶液で洗い、非特異的吸着
物質を除去する。カラムに吸着しているp20抗体は、
0.1Mグリシン−塩酸緩衝液、pH2.5(含1M
MaCl)を流し、溶出する。溶出した抗体は直ちにN
aOHを加えて中和する。p20抗体は、動物種特異性
が低く、ヒトあるいはラットのp20に対する抗体は、
ブタ、ウシ、モルモットなどの多種動物のp20と広く
交叉反応する。
ーナル抗体)は、p20[4mg/2g CNBr−セ
ファロース(Sepharose)]を結合させたセフ
ァロース(Sepharose)カラムで精製する。抗
血清に硫安を加え(50%飽和)、塩析するIgG分画
を集め、10mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH7(含
0.1M Nacl,0.1% NaN3)に溶解し、
透析後、上記のカラムにかける。カラムを上記燐酸緩衝
液に1M NaClを加えた溶液で洗い、非特異的吸着
物質を除去する。カラムに吸着しているp20抗体は、
0.1Mグリシン−塩酸緩衝液、pH2.5(含1M
MaCl)を流し、溶出する。溶出した抗体は直ちにN
aOHを加えて中和する。p20抗体は、動物種特異性
が低く、ヒトあるいはラットのp20に対する抗体は、
ブタ、ウシ、モルモットなどの多種動物のp20と広く
交叉反応する。
【0040】3)イムノアッセイ系の作製 精製p20抗体IgGを(pH4.5)に1%のペプシ
ン(シグマ、ブタ腸由来)を加えて消化して、F(a
b’)2フラグメントを得る。F(ab’)2フラグメ
ントは、セファデックス(Sephadex)G150
カラムを使って分離する。
ン(シグマ、ブタ腸由来)を加えて消化して、F(a
b’)2フラグメントを得る。F(ab’)2フラグメ
ントは、セファデックス(Sephadex)G150
カラムを使って分離する。
【0041】a)上記抗体フラグメント溶液(0.2m
g/ml in 0.1M燐酸緩衝液、pH7)にポリ
スチレン球(直径3mm)を浸し(4度/12時間)、
抗体を吸着させる。球は燐酸緩衝液で洗った後、A液
[10mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH7(含0.1M
NaCl、0.1% NaN3、0.1% ウシ血清
アルブミン)]中、4℃で保存する。
g/ml in 0.1M燐酸緩衝液、pH7)にポリ
スチレン球(直径3mm)を浸し(4度/12時間)、
抗体を吸着させる。球は燐酸緩衝液で洗った後、A液
[10mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH7(含0.1M
NaCl、0.1% NaN3、0.1% ウシ血清
アルブミン)]中、4℃で保存する。
【0042】b)上記抗体フラグメントを還元し、SH
基を持ったFab’フラグメントを得る。これに大過剰
の o−フェニレンジマレイミドを作用させ、SH基を
介してマレイミド基を導入する。マレイミド基を持った
抗体Fab’フラグメントと大腸菌由来のβ−D−ガラ
クトシダーゼ(一分子につきSH基を数個持つ)と混合
し、抗体Fab’とガラクトシダーゼの結合物(酵素標
識抗体)を作製する。これをストレスタンパク質p20
を測定するための免疫学的試薬とする。酵素標識抗体の
量は、酵素活性で表し、1ユニットは、1分間に1μm
olを産生する能力を示すものとする。
基を持ったFab’フラグメントを得る。これに大過剰
の o−フェニレンジマレイミドを作用させ、SH基を
介してマレイミド基を導入する。マレイミド基を持った
抗体Fab’フラグメントと大腸菌由来のβ−D−ガラ
クトシダーゼ(一分子につきSH基を数個持つ)と混合
し、抗体Fab’とガラクトシダーゼの結合物(酵素標
識抗体)を作製する。これをストレスタンパク質p20
を測定するための免疫学的試薬とする。酵素標識抗体の
量は、酵素活性で表し、1ユニットは、1分間に1μm
olを産生する能力を示すものとする。
【0043】c)イムノアッセイの手法 p20を含む検体あるいは標準p20溶液0.5mlに
抗体結合ポリスチレン球一つを加え、30℃で5時間振
とうする。球は上記A液で洗ってから、上記A液で希釈
した酵素標識抗体(2mU/0.2ml)中に移し、4
℃で一夜振とうする。球を上記A液で洗い、上記A液1
00μlを含む試験管に移す。30℃で50μlの 1
mM 4−メチルアンベリフェリ−β−D−ガラクトサ
イドを加えて振とうする。20分後に2.5mlの0.
1M グリシン−NaOH緩衝液(pH10.3)を加
えて酵素反応を止め、産生した 4−メチルアンベリフ
ェロンを蛍光光度計で測定する(励起波長360nm,
蛍光波長450nm)。標準曲線(検量曲線)を図6
(ヒト)及び図7(ラット)に示す。
抗体結合ポリスチレン球一つを加え、30℃で5時間振
とうする。球は上記A液で洗ってから、上記A液で希釈
した酵素標識抗体(2mU/0.2ml)中に移し、4
℃で一夜振とうする。球を上記A液で洗い、上記A液1
00μlを含む試験管に移す。30℃で50μlの 1
mM 4−メチルアンベリフェリ−β−D−ガラクトサ
イドを加えて振とうする。20分後に2.5mlの0.
1M グリシン−NaOH緩衝液(pH10.3)を加
えて酵素反応を止め、産生した 4−メチルアンベリフ
ェロンを蛍光光度計で測定する(励起波長360nm,
蛍光波長450nm)。標準曲線(検量曲線)を図6
(ヒト)及び図7(ラット)に示す。
【0044】尚、上記実施例では、抗体を用いて精製に
よってp20を得ているが、上記アミノ酸配列によりに
基づき、ペプチド合成機によって合成しても、同じくp
20を得ることができた。以上本発明の実施例について
説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
よってp20を得ているが、上記アミノ酸配列によりに
基づき、ペプチド合成機によって合成しても、同じくp
20を得ることができた。以上本発明の実施例について
説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図1】 DEAEーセファロース(Sepharos
e)カラムによるp20の溶出曲線図である。
e)カラムによるp20の溶出曲線図である。
【図2】 バイオーゲル(Bio−Gel)Aー5mカ
ラムによるp20の溶出曲線図である。
ラムによるp20の溶出曲線図である。
【図3】 S セファロース(S Sepharos
e)カラムによるp20の溶出曲線図である。
e)カラムによるp20の溶出曲線図である。
【図4】 スーパーデックス(Superdex)75
pgカラムによるp20ーL及びp20−Sの溶出曲線
図である。
pgカラムによるp20ーL及びp20−Sの溶出曲線
図である。
【図5】 SP−5PWカラムクロマトグラフィーによ
るタンパク質の溶出曲線図である。
るタンパク質の溶出曲線図である。
【図6】 ヒトp20に対する抗体のβーD−ガラクト
サイダーゼ活性を示す標準曲線図である。
サイダーゼ活性を示す標準曲線図である。
【図7】 ラットp20に対する抗体のβーD−ガラク
トサイダーゼ活性を示す標準曲線図である。
トサイダーゼ活性を示す標準曲線図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 骨格筋に含まれ、二量体を最小単位とし
て存在する分子量約2万のストレスタンパク質p20。 - 【請求項2】 ヒトに由来し、以下の配列を持つ160
個のアミノ酸よりなる請求項1記載のストレスタンパク
質p20。 MEIPVPVQPSWLRRASAPLP GLSAPGRLFDQRFGEGLLEA ELAALCPTTLAPYYLRAPSV ALPVAQVPTDPGHFSVLLDV KHFSPEEIAVKVVGEHVEVH ARHEERPDEHGFVAREFHRR YRLPPGVDPAAVTSALSPEG VLSIQAAPASAQAPPPAAAK - 【請求項3】 ラットに由来し、以下の配列を持つ16
2個のアミノ酸よりなる請求項1記載のストレスタンパ
ク質p20。 MEIRVPVQPSWLRRASAPLP GFSTPGRLFDQRFGEGLLEA ELASLCPAAIAPYYLRAPSV ALPTAQVPTDPGYFSVLLDV KHFSPEEISVKVVGDHVEVH ARHEERPDEHGFIAREFHRR YRLPPGVDPAAVTSALSPEG VLSIQATPASAQASLPSPPAAK - 【請求項4】 請求項1、2または3記載のストレスタ
ンパク質p20の抗体。 - 【請求項5】 請求項4記載の抗体を用いてイムノアッ
セイ法により精製することを特徴とする請求項1、2ま
たは3記載のストレスタンパク質p20の精製方法。 - 【請求項6】 ペプチド合成法により合成することを特
徴とする請求項1、2または3記載のストレスタンパク
質p20の合成方法。 - 【請求項7】 請求項4記載の抗体を用いることを特徴
とする請求項1、2または3記載のストレスタンパク質
p20の測定方法。 - 【請求項8】 請求項4記載の抗体を用いることを特徴
とする請求項1、2または3記載のストレスタンパク質
p20を測定するための免疫学的試薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32766693A JP3429043B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 新規ストレスタンパク質p20、その精製方法、合成方法、抗体、測定方法及び免疫学的試薬 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32766693A JP3429043B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 新規ストレスタンパク質p20、その精製方法、合成方法、抗体、測定方法及び免疫学的試薬 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07181180A true JPH07181180A (ja) | 1995-07-21 |
JP3429043B2 JP3429043B2 (ja) | 2003-07-22 |
Family
ID=18201618
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32766693A Expired - Fee Related JP3429043B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 新規ストレスタンパク質p20、その精製方法、合成方法、抗体、測定方法及び免疫学的試薬 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3429043B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001278894A (ja) * | 2000-03-29 | 2001-10-10 | Osamu Ozawa | 血液循環障害予防および/または治療用医薬用組成物並びにその有効成分であるペプチド |
JP2008241704A (ja) * | 2007-02-27 | 2008-10-09 | Prima Meat Packers Ltd | 新規ストレスバイオマーカー及びその用途 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5856364B2 (ja) | 2006-08-04 | 2016-02-09 | 味の素株式会社 | 抑うつ病の評価方法、抑うつ病評価装置、抑うつ病評価方法、抑うつ病評価システム、抑うつ病評価プログラム、記録媒体および端末装置 |
-
1993
- 1993-12-24 JP JP32766693A patent/JP3429043B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001278894A (ja) * | 2000-03-29 | 2001-10-10 | Osamu Ozawa | 血液循環障害予防および/または治療用医薬用組成物並びにその有効成分であるペプチド |
JP2008241704A (ja) * | 2007-02-27 | 2008-10-09 | Prima Meat Packers Ltd | 新規ストレスバイオマーカー及びその用途 |
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---|---|
JP3429043B2 (ja) | 2003-07-22 |
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