JPH07180287A - 補強用配筋および繊維補強鉄筋コンクリート柱梁体並びにその製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリートの乾燥収縮に際して鉄筋等の拘
束力を低減したコンクリートの補強用配筋、およびそれ
を用いた繊維補強鉄筋コンクリート柱粱体、並びにその
技術的に容易な製法を提供する。 【構成】 コンクリートの補強に適用する配筋構造であ
って、複数の長尺状の主筋2 、2 、帯筋3 および主筋2
に架設し、その端部を外方に突出させた係止脚部4 、4
を有する係止筋5 、5 とからなる補強用配筋1 、および
補強用配筋を用いた鉄筋コンクリート柱粱体において、
主筋2 、2 で形成した多角形に仕切り部材6 、6 を外
接、固定し、該仕切り部材6 、6 のさらに外周に繊維補
強セメントコンクリート7 を筒状に周設一体化し、かつ
係止筋5 の係止脚部4 、4 を繊維補強セメントコンクリ
ート7 内に埋入してなる繊維補強鉄筋コンクリート柱梁
体8 、並びにその製法からなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は建築物、構築物における
繊維補強セメントコンクリートの補強用に適用する配筋
構造、およびそれを用いたコンクリート柱粱体並びにそ
の製法に関する。

【０００２】

【従来技術とその問題点】例えば従来の鉄筋コンクリー
ト梁を例示すれば、添付図２Ｃに示す横断面図にあらわ
されるように、鉄筋コンクリート梁8'は主筋2 帯筋3 お
よび通常のセメントコンクリート7"により形成される。
しかるに、このような従来形態においては、長期にわた
るコンクリートの乾燥収縮がある一方、鉄筋による拘束
があるため応力が発生し、ひいては多数の亀裂が生じ易
い。従って梁として使用するケースにおいては、図示の
全体厚みD に対し、厚みt で示した曲げ引張力のかかる
コンクリート下面側10 (通例カブリ厚と称する) につい
ては亀裂が生ずる部分として、建築・構築物等における
強度計算上も耐引張力ゼロと算定し、全体厚D −カブリ
厚t すなわちH が有効厚として計算される。

【０００３】なお、セメントコンクリート材料として繊
維補強セメントコンクリートを使用すれば、繊維の掛止
補強作用により耐引張に効果があるが、前記同様な形態
を採ればコンクリート自体の乾燥収縮、それに対する鉄
筋による拘束、従って応力が発生し、依然として亀裂が
生ずる危惧があることは否めない。

【０００４】本発明にかかわる従来技術として、特開昭
51−56531 号には鉄筋コンクリート構造物の柱体におい
て柱体内にコンクリート量の節減および重量の軽減のた
めに空洞部を設けることや、該空洞部に軽石やスポンジ
状のものを充填することが開示され、また、実開昭57−
180013号には、スチールファイバーを混入した繊維補強
コンクリートの中空断面にコンクリートを打設充填する
ことが開示されている。しかしこれら公知例において
は、鉄筋全体がコンクリート内に埋入されるため、上記
従来例同様の問題がある。

【０００５】さらに実開平3 −40417 号には、中空プレ
キャストコンクリート柱において、該中空筒体の肉厚内
にワイヤーメッシュを埋設することが開示されている
が、ワイヤーメッシュ全体がコンクリート内に埋入され
るため、前記同様の問題が危惧される。

【０００６】本発明はこれら公知例と目的、構成、効果
を異にし、コンクリートの乾燥収縮に際して鉄筋等の拘
束力を低減したコンクリートの補強用配筋、およびそれ
を用いて形成し、軽量で省資源の観点からも有用な繊維
補強鉄筋コンクリート柱粱体、並びにその製法を提供す
るものである。

【０００７】

【問題点を解決するための手段】本発明は、コンクリー
トの補強に適用する配筋構造であって、横断面視におい
て多角形を形成するように平行に配した複数の長尺状の
主筋2 、2 と、これら主筋2 、2 間を嵌着または連結固
定した帯筋3 と、主筋2 の一ないし複数本に架設し、そ
の端部を前記主筋により形成される多角形の外方に突出
させた係止脚部4 、4 を有する係止筋5 、5 とからなる
補強用配筋1 、前記補強用配筋を用いた繊維補強鉄筋コ
ンクリート柱粱体において、主筋2 、2 で形成した多角
形に仕切り部材6 、6 を外接、固定し、該仕切り部材6
、6 のさらに外周に繊維補強セメントコンクリート7
を筒状に周設一体化し、かつ係止筋5 の係止脚部4 、4
を繊維補強セメントコンクリート7 内に埋入してなる鉄
筋コンクリート柱梁体8 、前記鉄筋コンクリート柱粱体
の製法において、仕切り部材6 、6 を外接、固定した補
強用配筋1 を、筒状成形枠9 内に収容し、これら成形枠
9 内周と仕切り部材6 、6 の外周との間の空間内に繊維
混入セメントコンクリートスラッジを注入し、硬化せし
め、さらに成形枠9 を離型する繊維補強鉄筋コンクリー
ト柱梁体8の製法、からなる。

【０００８】しかして、コンクリートに補強配筋を形成
する係止筋のフレキシブルな係止脚を埋入するようにし
たことにより、コンクリートの乾燥収縮に際しても補強
配筋に拘束されず、応力の発生を抑え、従ってコンクリ
ートに亀裂を起生し難く、また、コンクリート柱粱体を
繊維補強セメントコンクリートで形成し、かつ中空孔を
設けたので全体重量を軽減でき、高層建築物・構築物等
における柱粱体として有用で、省資源上からも有効であ
り、製造も技術的に容易であるという作用効果を奏する
ものである。

【０００９】

【実施例】以下実施例を例示して本発明を詳述する。添
付図面において、図１は本発明の配筋構造の部分斜視
図、図２は配筋構造を採用したセメントコンクリート柱
梁体の横断面図であり、図２Ａおよび図２Ｂは本発明に
かかるもの、図２Ｃは従来例にかかるものである。図３
はコンクリート柱粱体の製造状況を示す部分斜視図であ
る。

【００１０】図１の配筋構造において、補強用配筋1
は、横断面視において多角形を形成するように平行に配
した複数の長尺状の主筋2 と、これら主筋2 間を例えば
フープ状に巻着した帯筋3 と、主筋2 の一ないし複数
本、本実施例においては二本に架設し、その端部を前記
主筋により形成される多角形の外方に突出させた係止脚
部4 、4 を有する係止筋5 、5 とからなる。係止筋5 、
5 は主筋2 の長手方向にわたり適宜間隔をもって多数列
設する。

【００１１】なお、帯筋3 は前記の主筋2 にフープ状に
巻回したものを適宜間隔で列設する以外にも、スパイラ
ル状に巻回するもの、主筋相互にトラフ筋を連結固定す
るもの等も含まれる。これら主筋、帯筋の配筋構造は従
来技術と特に変わるものではない。

【００１２】係止筋の係止脚部4 、4 は、図２Ａ、図２
Ｂに示すように、繊維補強セメントコンクリート7 に埋
入されるものであるが、セメントコンクリートの乾燥収
縮に対し、これを拘束しないようにフレキシブルな材質
のものを選択し、あるいは直径数mmないし 5〜6mm 程度
の鋼材を採用する。係止筋は図１、図２Ａのように二本
の主筋に架け渡す場合もあるが、図２Ｂの符号5aに示す
ように一本の主筋に巻回する場合もあり、あるいは複数
本の主筋に架け渡すこともできる。

【００１３】前記のとおり、係止筋のフレキシブルな係
止脚部4 、4 をセメントコンクリートに埋入するように
したので、セメントコンクリートの収縮に際しフレキシ
ブルに対応でき、従ってセメントコンクリートの応力発
生、ひいては亀裂の発生を抑えることができる。

【００１４】図２ＡまたはＢの鉄筋コンクリート柱粱体
8 は、補強用配筋1 における主筋2、2 で形成した多角
形を覆うごとく、石膏板、石綿セメント板、金属薄板、
ラス板、木質・紙質板等の適宜板材、本実施例において
は石膏板よりなる仕切り部材6 、6 を外接、固定し、該
被覆仕切り部材6 、6 のさらに外周に、ガラス繊維、炭
素繊維、金属繊維、有機繊維等で補強したセメントコン
クリート、本実施例においてはガラス繊維補強セメント
コンクリート7 を筒状に周設一体化し、かつ係止筋5 の
係止脚部4 、4 を繊維補強セメントコンクリート7 内に
埋入して形成される。

【００１５】図示のごとく主筋2 、2 はコンクリート柱
梁体8 が四角柱であるときは横断面視四角形ないし類似
の形態を形成するように配し、三角柱であるときは横断
面視三角形ないし類似の形態を形成するよう適宜配され
るが、これに限らず各種形態のものを採用でき、勿論よ
り多角形状としたり、円形状としたりすることもでき
る。

【００１６】本実施例においては、繊維補強鉄筋コンク
リート柱粱体8 は、中空孔11を形成した例を示した。す
なわち繊維補強コンクリートを使用することにより通常
の中実のコンクリート柱粱体に比し同等以上の強度が得
られ、かつ、繊維補強コンクリートが係止筋のフレキシ
ブルな係止脚部で係止されるので乾燥収縮に際する亀裂
も抑制できる。さらに軽量化できるので高層建築・構築
物の柱粱体として有用であり、省資源にも役立つという
利得を有する。

【００１７】前記中空孔11には、発泡スチロール、発泡
ウレタン等の樹脂や、繊維マット、軽量骨材等を適宜充
填し、断熱作用を増大せしめる等の適宜設計もできる。

【００１８】コンクリート柱粱体8 を製造するに際して
は、図３のコンクリート柱粱体の製造状況を示す図に参
照されるように、まず補強用配筋1 を石膏ボードその他
の仕切り板6 で被覆、固定し、これを筒状成形枠9 に収
容し、仕切り板6 と成形枠9の間の空間に矢印で示すよ
うに繊維を混合したセメントコンクリートスラッジ7'を
充填する。なお、仕切り板6 の外周と成形枠9 の内周と
の間隔が繊維補強セメントコンクリートの肉厚になるの
で、予め肉厚を設定したうえで成形枠9 が準備されこと
はいうまでもない。

【００１９】しかしてそのまま常温下、または蒸気養生
により硬化させ、硬化後離型することによりコンクリー
ト柱粱体8 が完成するものであり、複雑な製造手段を要
さず、技術的にも容易に製造できるものである。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、補強用配筋を特異な構
造としたことにより、コンクリートの乾燥収縮に際して
も配筋による拘束を減じ、応力ひいては亀裂の発生を防
ぐ。

【００２１】また、コンクリート柱粱体を繊維補強セメ
ントコンクリートで形成し、かつ中空孔を設けたので全
体重量を軽減でき、高層建築物等に有用で、省資源上か
らも有効であり、製造も技術的に容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の配筋構造の部分斜視図である。

【図２】配筋構造を採用したセメントコンクリート柱梁
体の横断面図であり、図２Ａおよび図２Ｂは本発明にか
かるもの、図２Ｃは従来例にかかるものである。

【図３】コンクリート柱粱体の製造状況を示す部分斜視
図である。

【符号の説明】1 ----補強用配筋 2.2 ----主筋 3 ----帯筋 5.5 ----係止筋 6.6 ----仕切り板 7 ----繊維補強セメントコンクリート8 ----コンクリート柱粱体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コンクリートの補強に適用する配筋構造で
   あって、横断面視において多角形を形成するように平行
   に配した複数の長尺状の主筋2 、2 と、これら主筋2 、
   2 間を嵌着または連結固定した帯筋3 と、主筋2 の一な
   いし複数本に架設し、その端部を前記主筋により形成さ
   れる多角形の外方に突出させた係止脚部4 、4 を有する
   係止筋5 、5 とからなることを特徴とする補強用配筋1
   。
2. 【請求項２】請求項１記載の補強用配筋を用いた繊維補
   強鉄筋コンクリート柱粱体において、主筋2 、2 で形成
   した多角形に仕切り部材6 、6 を外接、固定し、該仕切
   り部材6 、6 のさらに外周に繊維補強セメントコンクリ
   ート7 を筒状に周設一体化し、かつ係止筋5 の係止脚部
   4 、4 を繊維補強セメントコンクリート7 内に埋入して
   なることを特徴とするコンクリート柱梁体8 。
3. 【請求項３】請求項２記載の鉄筋コンクリート柱粱体の
   製法において、仕切り部材6 、6 を外接、固定した補強
   用配筋1 を、筒状成形枠9 内に収容し、これら成形枠9
   内周と仕切り部材6 、6 の外周との間の空間内に繊維混
   入セメントコンクリートスラッジを注入し、硬化せし
   め、さらに成形枠9 を離型することを特徴とする繊維補
   強鉄筋コンクリート柱梁体8 の製法。