JPH0718027U

JPH0718027U - 窯用台車のベアリング型車輪

Info

Publication number: JPH0718027U
Application number: JP052977U
Authority: JP
Inventors: 倫規丹羽; 哲爾余語
Original assignee: 日本特殊陶業株式会社
Priority date: 1993-09-01
Filing date: 1993-09-01
Publication date: 1995-03-31
Also published as: US5600867A

Abstract

(57)【要約】【構成】台車Ｔの軸Ｓに嵌められた内輪２、内輪２の外
側に嵌められた外輪４、内輪２と外輪４との間に多数個
充填された転動体５を備えた車輪１において、転動体５
が、窒化ケイ素系焼結体からなることを特徴とする窯用
台車のベアリング型車輪。【効果】車輪の寿命を延ばし、車輪の交換回数を減らす
ことができる。その結果、焼成する製品の工数も減らす
ことができる。また、使用１週間程度で台車の牽引力が
小さくなるので、作業者の負担が軽くなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、窯用台車のベアリング型車輪に関する。この車輪は、トンネル窯の中で、セラミックス原料からなる成形体を載せて移動させて焼成するための台車に好適に利用され得る。

【０００２】

【従来の技術】

セラミックス原料からなる成形体を焼成して、セラミックス製品を大量且つ連続的に生産する場合、図２に示すように、成形体が入り口から出口までを通過する間に焼成を完了させるトンネル型の窯Ｋが用いられる。そして、成形体（図示省略）は、台車Ｔに載せられて軌道Ｌ上を移動させられる。

【０００３】従来、台車Ｔの車輪１は、ころがり軸受け型のものであった。すなわち、図１に示すように台車Ｔの軸Ｓに嵌められた２つの内輪２、これら内輪２の中間に嵌められた中輪３、更に外側に嵌められ２つの内輪２及び中輪３の総幅と同幅の外輪４、中輪３の両側で内輪２と外輪４に挟まれる２つの環状空間にそれぞれ多数個充填された転動体５にて車輪１を構成していた。そして、車輪１の各々の材質は、通常の工作機械用軸受けと同様に金属であり、例えば転動体５の材質としては、ＳＫＤ６１が適用されていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、窯内を移動中、車輪１は、最高５００℃程度の高温に晒される。従って、全体が金属製の車輪の場合、表面酸化、塑性変形又は摩耗により、転動体５の機能が低下して台車を引っ張るのに大きな牽引力が必要となる。また、最終的には転動体５が原形を失って機能しなくなり、車輪の交換に要する時間がセラミックス製品の工数を増す。この考案の目的は、このような課題を解決し、寿命の長い窯用台車のベアリング型車輪を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

そのため、この考案の窯用台車のベアリング型車輪は、台車の軸に嵌められた内輪、内輪の外側に嵌められた外輪、内輪と外輪との間に多数個充填された転動体を備えた車輪において、転動体が、窒化ケイ素系焼結体からなることを特徴とする。

【０００６】ここで、転動体は、玉又はコロのいずれでも良い。窒化ケイ素系焼結体には、窒化ケイ素結晶を主成分とするもののほか、サイアロン化したものも含まれる。転動体の表面粗さは、鏡面（０．０５Ｒａより平滑な面）である必要はない。セラミックス部品は、通常研磨を必要とするが、この考案の車輪は、工作機械用と異なり、低速で動く窯用台車に適用されるからである。

【０００７】

【作用】

転動体が、耐摩耗性、耐酸化性及び耐塑性変形性に優れた窒化ケイ素系焼結体からなるので、使用中に表面酸化、摩耗及び変形を生じにくい。また、窒化ケイ素系焼結体は、公知のセラミックスのなかでも特に強度、靱性が高いので、高荷重下でも欠けや破壊をお越しにくく、安心して使用できる。

【０００８】

【実施例】

この考案を図面の実施例とともに説明する。図１は、この考案の窯用台車のベアリング型車輪を示す車軸方向に沿う断面図、図２は、台車が窯内を移動する状態を示した移動方向に沿う断面図である。

【０００９】窯用台車のベアリング型車輪１は、台車Ｔの軸Ｓ（直径４０ｍｍ）に嵌められた２つの内輪２（外径４９ｍｍ）、これら内輪２の中間に嵌められたやや径大の中輪３、更に外側に嵌められ２つの内輪２及び中輪３の総幅と同幅の外輪４（外径８０ｍｍ）、中輪３の両側で内輪２と外輪４に挟まれる２つの環状空間にそれぞれ１８個充填された転動体５にて構成されている。車輪１は、内輪２、中輪３及び外輪４がＳＫＤ６１製であり、転動体５だけが次の方法で製造されたセラミックス製である。

【００１０】平均粒径０．８μｍのＳｉ₃Ｎ₄粉末９０重量％、比表面積１０ｍ³／ｇのＹ₂Ｏ ₃ ５重量％，比表面積８ｍ³／ｇのＡｌ₂Ｏ₃５重量％の各粉末を配合し、窒化ケイ素製球石及び窒化ケイ素製ミルを用いて、湿式混合を行った。混合物を乾燥させ、乾燥した混合物を２ｔｏｎ／ｃｍ²の圧力で静水圧プレス成形し、窒素ガス圧力下１７５０℃で２時間保持する条件でガス圧焼結を行い窒化ケイ素系焼結体からなる、直径１０ｍｍ×高さ１０ｍｍの転動体５を得た。尚、焼結後、転動体５の表面を後述表１に示す所定の粗さに研磨した。

【００１１】上記車輪１を総重量５００ｋｇの台車Ｔに組み付けた時の台車牽引力を測定した。その後、最高温度１５００℃、全長３０ｍの重油トンネル窯内を速度０．０２ｍ／分で移動させる条件で、４ヶ月間台車Ｔを使用し、再び台車牽引力を測定した。測定結果を表１に示す。

【００１２】比較のために転動体５としてＳＫＤ６１製のものを使用した以外は、上記の例を同一条件で台車牽引力を測定し、その結果を表１に併記した。尚、いずれの場合も車輪が回転しなくなった時点を寿命とした。

【００１３】

【表１】表１に示されるように、従来の車輪は、初期（組み付け時）よりも使用後のほうが大きな牽引力を要した。すなわち、使用により転動体の機能が劣化した。従って、車輪の寿命はせいぜい６ヶ月であった。

【００１４】これに対し、この考案の車輪は、初期（組み付け時）よりも使用後のほうが小さな牽引力で足りた。すなわち、使用によりかえって転動体の機能が向上した。従って、車輪の寿命が２年以上に延びた。これは、転動体が窒化ケイ素系焼結体からなるので、使用中も酸化、塑性変形及び摩耗がほとんど起こらなかったためであると考えられる。

【００１５】

【考案の効果】

この考案は、上記の構成を備えるので、車輪の寿命を延ばし、車輪の交換回数を減らすことができる。その結果、焼成する製品の工数も減らすことができる。また、使用１週間程度で台車の牽引力が小さくなるので、作業者の負担が軽くなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の車輪を車軸方向に沿って切断したとこ
ろを示す断面図である。

【図２】台車が窯内を移動する状態を示した移動方向に
沿う断面図である。

【符号の説明】

１ベアリング型車輪２内輪３中
輪４外輪５転動体Ｔ台車
Ｋトンネル窯Ｌ軌道Ｓ車軸

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】台車の軸に嵌められた内輪、内輪の外側
に嵌められた外輪、内輪と外輪との間に多数個充填され
た転動体を備えた車輪において、転動体が、窒化ケイ素
系焼結体からなることを特徴とする窯用台車のベアリン
グ型車輪。