JPH0717980U - ドライ真空ポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ポンプ高温による潤滑油の劣化を防ぐことを可
能にする。 【構成】オイルパンの一壁面を構成する軸受ハウジング
の壁面部に、潤滑油の油滴を一旦受け止めて、これを徐
々に軸受部に誘導する油滴ガイド部を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、半導体製造装置その他の真空応用分野において広く利用されるド ライ真空ポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図３に、ドライ真空ポンプの一種であるクロータイプの従来例を示す。このも のは、互いに平行に配設された駆動軸１および従動軸２上に一対のロータ３、４ を軸着し、これらのロータ３、４の外縁をケーシング５で囲繞して構成したポン プ機構から成り立っており、実施例ではこのポンプ機構が共通の軸上に４段タン デムに連接されている。また、前記駆動軸１および従動軸２の両端はベアリング ６、７を介して軸受ハウジング部材８、９に支承される。一対のロータ３、４は ケーシング５内に固体接触を避けるべく所定のクリアランスを保って非接触状態 で対抗しポンプ作用を行う。９は吸気ポート、１０は排気ポートである。そして 、前記駆動軸１および従動軸２の軸端部同士はタイミングギヤ１１、１２により 連結され、駆動軸１に図示しない駆動源から動力を入力することにより、両軸１ 、２が同期逆回転し、各ポンプ機構において前段の排気ポート１３から吸気ポー ト１４を介して吸い込んだガスを圧縮しつつ次段の排気ポート１３′に圧送する というポンプ作用を営むようになっている。この場合、前段の排気ポートがない 右端のポンプ機構は吸気口１４′からガスを吸い込み、次段の吸気ポートがない 最終段即ち左端のポンプ機構は排気口１０にガスを圧送することになる。

【０００３】 このようにポンプ機構を多段に設ける理由は、この種のドライ真空ポンプが油 を使用せず、前述のようにロータ３、４とケーシング５との間に十分なクリアラ ンスを確保していることから、排気効率が低下しやすいのでこれを補うためであ る。

【０００４】 オイルパン１９内には、タイミングギヤー１１、１２、およびベアリング７を 潤滑する潤滑油２０が溜められている。潤滑油２０はタイミングギヤー１１の回 転によってはね上げられ、一部がベアリング７に到達してベアリング７を潤滑す る。なお、１６は軸受ハウジング９内に設けられたベアリング７を冷却する冷却 水還流路、１７は真空シール用カバー部材である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、この種のポンプは、排気するガスによって生ずる生成物によるダメ ージを受けないためにポンプ温度を高く維持する必要があり、軸受部のみ冷却水 により冷却している。ところが、潤滑油の冷却は考慮されていないため、高温に なり潤滑性能が劣化しやすかった。

【０００６】 この考案は、このような不都合を解決するために、潤滑油の冷却をはかったド ライ真空ポンプを提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案は、かかる目的を達成するために、オイルパンの一壁面を構成する軸 受ハウジングの壁面部に、タイミングギヤーの回転によってはね上げられた潤滑 油の油滴を一旦受け止めて、これを徐々に軸受部に誘導する油滴ガイド部を設け たものである。

【０００８】

【作用】

タイミングギヤ１１によりはねあげられた潤滑油２０の一部は軸受けハウジン グ９の開放端面の外側に設けられた油滴ガイドに沿ってベアリング７の方向へ流 れる間に、軸受冷却用の冷媒によって直接的に冷却される。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の実施例を、図１及び図２を参照して説明する。なお、このポ ンプの基本的な構造は図３に示したものとほぼ同様であり、対応する部分には同 一符号を付して示した。

【００１０】 図１および２において、１５はガイド板、１５ａがガイド板に固定された油滴 ガイドで本実施例の要部を構成する。１８はベアリング７とガイド板１５を冷却 する冷却水環流路である。冷却効果を向上させるためガイド板１５は直接冷却し ている。図２において、油滴ガイド１５ａは外側より内側に向かって下方傾斜し ている。孔の中心ｍ、ｎは、それぞれ駆動軸１および従動軸２の軸中心と同心で ある。ガイド板１５は冷却水環流路１８をシールする他にベアリング７の外輪の 固定にも使用されている。

【００１１】 タイミングギヤ１１によりはねあげられた潤滑油２０の一部はガイド１５ａの 傾斜にそって下方に流れる。この間にガイド板１５との接触により間接冷却され た潤滑油は、ベアリング７の方向に流入しベアリング７を潤滑して、オイルパン １９へ戻る。

【００１２】

【考案の効果】

この考案は以上のように、高温状態で使用されるドライ真空ポンプの泣き所で ある潤滑油の劣化問題を、軸受ハウジング部に設けられた油滴ガイドにより油滴 を受け止めて、これを徐々に軸受部誘導する間に潤滑油を冷却するようにしたの で、冷却作用が向上し、潤滑性能の劣化を防ぐ実用的に極めて有用な効果を奏す る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例のドライ真空ポンプの断面図

【図２】本考案の実施例のガイド板の構造

【図３】従来のクロータイプドライ真空ポンプの断面図

【符号の説明】

１…駆動軸 ２…従動軸 ３、４…ロータ ８、９…軸受ハウジング １１、１２…タイミングギヤー １５…ガイド板 １５ａ…ガイド １６、１８…冷却水還流路 １９…オイルパン ２０…潤滑油

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端をタイミングギヤーで連結した互いに
   平行な二本の回転軸に、互いに非接触状態で対抗するよ
   うに取り付けた一対のロータと、これらロータを囲繞す
   るケーシングとからなるポンプエレメントを、前記軸に
   沿って複数段タンデムに連接してなる多段ポンプ機構
   と、前記軸の軸受またそのハウジング部を強制冷却する
   手段と、前記タイミングギヤーを収容するオイルパンと
   を備え、このオイルパン内の潤滑油をタイミングギヤー
   の回転によってはね上げ、前記軸受部を潤滑するように
   したドライ真空ポンプにおいて、オイルパンの一壁面を
   構成する軸受ハウジングの壁面部に、潤滑油の油滴を一
   旦受け止めてこれを徐々に軸受部に誘導する油滴ガイド
   部を設け、潤滑油を直接的に冷却しながら軸受部へ供給
   するようにしたことを特徴とするドライ真空ポンプ。