JPH0717761B2 - 繊維強化ゴム成形体及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化ゴム成形体及びその製造方法

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JPH0717761B2
JPH0717761B2 JP62157511A JP15751187A JPH0717761B2 JP H0717761 B2 JPH0717761 B2 JP H0717761B2 JP 62157511 A JP62157511 A JP 62157511A JP 15751187 A JP15751187 A JP 15751187A JP H0717761 B2 JPH0717761 B2 JP H0717761B2
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和雄 八木
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、繊維強化ゴム成形体及びその製法に関するも
ので、より詳細には、加硫ゴムのマトリックスと、この
マトリックスに積層乃至埋設された分子配向及びシラン
架橋超高分子量ポリエチレン繊維の補強層とから成り、
高強度等の機械的特性に優れ、電気的特性にも優れた繊
維強化ゴム成形体に関する。本発明はまたその製造方法
にも関する。
(従来の技術) 特開昭58−171951号公報には、超高分子量のポリエチレ
ン繊維又はポリプロピレン繊維の網状組織、及びポリエ
チレン結晶域又はポリプロピレン結晶域を有し融点又は
粘着点がポリオレフィン繊維の融点よりも少くとも3℃
低い重合物から成るマトリックスとから成る複合構造物
が記載されており、この複合物は理論推定値よりも高い
実測強度を示し、この複合物の強度増加の原因は成形時
に生ずる繊維の結晶性損失を補って余りあるある種の好
ましい作用に基づくものであろうことも記載されてい
る。
(発明が解決しようとする問題点) 超高分子量ポリエチレンの延伸繊維は、高い弾性率及び
高い引張強度を有するが、ポリエチレン本来の欠点、即
ち耐熱性に劣るという欠点をそのまま有している。
一般に、ポリエチレンの分子配向により、或いはポリエ
チレンの架橋によりポリオレフィンの耐熱性が向上する
こと自体は公知であるが、この従来技術における耐熱性
の向上には自ら限界があり、所詮はポリエチレンの融点
が110乃至140℃の比較的低い範囲にあるという制約を根
本的には免れないものであって、本発明者等の知る限
り、ポリエチレンの成形体を180℃の温度に10分間曝し
た後においては、殆んどのものが融解し、その強度が失
われるのである。
かくして、ポリオレフィン繊維を、その融点よりも高い
温度において未加硫ゴムと複合硬化させ、この複合構造
物中にポリオレフィン戦域が本来の配向結晶化状態にお
いて存在するような繊維強化ゴム成形体は未だ知られる
に至っていない。
従って、本発明の目的は、加硫ゴムのマトリックスとこ
れに積層乃至埋設されたポリオレフィン繊維の補強層と
の複合構造を有し、この複合構造中にポリオレフィン繊
維が本来の配向結晶状態において存在し、その結果とし
て著しく高い機械的強度とが付与される繊維強化ゴム成
形体及びその製法を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、加硫温度が220℃以下のゴムのマトリ
ックスと、該マトリックスに積層乃至埋設された分子配
向及びシラン架橋超高分子量ポリエチレン繊維の補強層
に少なくとも1層とから成り、該補強層が超高分子量ポ
リエチレン繊維の配向結晶構造を実質上保有しているこ
とを特徴とする繊維強化ゴム成形体が提供される。
本発明によればまた、分子配向及びシラン架橋超高分子
量ポリエチレンのフイラメント、或いはこのフイラメン
トから成る不織布、織布又は編布を面方向に配置し且つ
その端部を拘束した状態で、加硫温度が220℃以下の未
加硫ゴムとを合体させ加硫させることを特徴とする繊維
強化ゴム成形体の製造方法が提供される。
(作 用) 本発明は、超高分子量ポリエチレンの分子配向シラン架
橋繊維を拘束条件下で、加硫温度が220℃以下の未加硫
ゴムとを複合構造に合体させた後、加硫(架橋)させる
と形成される複合構造中に、前記繊維の配向結晶構造が
実質上保有されるという新規発見に基づくものである。
本発明において使用する補強繊維は、超高分子量ポリエ
チレンにシラン類をグラフトさせたものを成形し、この
成形物を延伸した後シラン架橋を行うことにより製造さ
れるが、この延伸架橋成形体は、これを構成する少なく
とも一部の重合体鎖の融点が原料超高分子量ポリエチレ
ン本来の融点に比して、拘束条件下において顕著に向上
しているという新規な特性を有する。尚拘束条件下と
は、繊維に積極的な緊張は与えられていないが、自由変
形が防止されるように例えば端部が固定されている条件
あるいは枠等の他の物体に巻かれている条件を意味す
る。
即ち、本発明に用いる超高分子量ポリエチレンの分子配
向シラン架橋体は一般に、拘束状態で示差走査熱量計で
測定したとき、二回目昇温時の主融解ピークとして求め
られる超高分子量ポリエチレン本来に結晶融解温度(T
m)よりも少なくとも10℃高い温度に少なくとも2個の
結晶融解ピーク(Tp)を有すると共に、全融解熱量当り
のこの結晶融解ピーク(Tp)に基づく融解熱量が40%以
上及び温度範囲Tm+35℃〜Tm+120℃における高温側融
解ピーク(Tp1)に基づく融解熱量の総和が全融解熱量
当り5%以上であるという特性を有している。
重合体の融点は、重合体中の結晶の融解に伴なうもので
あり、一般に示差走査熱量計での結晶融解に伴なう吸熱
ピーク温度として測定される。この吸熱ピーク温度は、
重合体の種類が定まれば一定であり、その後処理、例え
ば延伸処理や架橋処理等によってそれが変動することは
殆んどなく、変動しても、最も変動する場合として良く
知られている延伸熱処理でも高々15℃程度高温側へ移動
するに留まる。
添付図面第1図は、本発明に用いる超高分子量ポリエチ
レンの分子配向シラン架橋フィラメント繊維の拘束条件
下に測定した示差走査熱量計における吸熱曲線であり、
第2図は原料超高分子量ポリエチレンの吸熱曲線であ
り、第3図は第2図の超高分子ポリエチレンの延伸フィ
ラメントについてのやはり拘束条件下での吸熱曲線であ
り、第4図は第2図の超高分子ポリエチレンにシラン架
橋を行った未延伸フイラメントについての拘束条件下で
の吸熱曲線である。尚、原料や処理条件の詳細について
は後述する例を参照されたい。
これらの結果から、超高分子量ポリエチレンの単なる延
伸物やシラン架橋物では、未処理の超高分子量ポリエチ
レンと殆んど同じ約135℃に結晶融解に伴なう吸熱ピー
クを示し、またシラン架橋物ではピーク面積(融解熱
量)が未処理のもののピーク面積に比して減少している
のに対して、本発明に用いる延伸架橋繊維では、未処理
の超高分子量ポリエチレンの融解ピーク温度の位置には
小さいピークが残留するが、大きいピークはむしろかな
り高温側に移行していることがわかる。
第5図は、第1図の試料をセカンド・ラン(第1図の測
定を行った後、2回目の昇温測定)に賦したときの吸熱
曲線を示す。第5図の結果から再昇温の場合には結晶融
解の主ピークは未処理の超高分子量ポリエチレンの融解
ピーク温度と殆んど同じ温度に表われ、第5図の測定時
には試料中の分子配向は殆んど消失していることから、
第1図の試料における吸熱ピークの高温側への移行は、
繊維中での分子配向と密接に関連していることを示して
いる。
本発明に用いる配向架橋繊維において、結晶融解温度が
高温側に移行する理由は、未だ十分には解明されるに至
っていないが、本発明者等はこの理由を次のように推定
している。即ち、シラングラフト超高分子量ポリエチレ
ンを延伸操作に賦すると、シラングラフト部分が選択的
に非晶部となり、この非晶部を介して配向結晶部が生成
する。次いで、この延伸繊維をシラノール縮合触媒の存
在下に架橋させると、非晶部に選択的に架橋構造が形成
され、配向結晶部の両端がシラン架橋で固定された構造
となる。通常の延伸繊維では、配向結晶部両端の非晶部
分から結晶融解が進行するのに対して、本発明に用いる
延伸架橋繊維では、配向結晶部両端の非晶部が選択的に
架橋され、重合体鎖が動きにくくなっているため、配向
結晶部の融解温度が向上するものと認められる。
本発明に用いる超高分子量ポリエチレンの分子配向シラ
ン架橋繊維では、該ポリエチレンの本来の融点よりも高
い温度においても、その繊維形態は勿論のこと、配向結
晶形態が維持されることから、この繊維を拘束条件下
に、加硫温度が220℃以下の未加硫ゴムに積層乃至埋設
させた後、架橋させることにより、引張り強度、曲げ強
度、弾性率、耐衝撃性等の機械的性質に優れた繊維強化
ゴム成形体を得ることができる。
とくに本発明では、従来のポリエチレン繊維では全く不
可能であった150℃を越える加硫温度を有するゴムとの
繊維強化ゴム成形体を得ることができる。
(好適態様の説明) 繊維強化ゴム成形体 本発明の繊維強化ゴム成形体の一例を示す第6図におい
て、この成形体1は加硫温度が220℃以下のゴム2と該
マトリックス2中に埋設され或いは該マトリクス2と積
層された分子配向及びシラン架橋超高分子量ポリエチレ
ン繊維の補強層3とから成っている。この繊維補強層3
は一層又は二層以上の多層で設けられていてもよい。第
6図に示す具体例では、繊維補強層3は加硫ゴムのマト
リックス中に完全に埋設されていて、成形体の両表面4
a,4bは実質上加硫ゴムのみから成っているが、第7図の
具体例に示す通り、繊維補強層3は加硫ゴムと一体に積
層された形で、表面4a,4bの一方又は両方に或いはその
近傍に存在していてもよい。
本発明の繊維強化ゴム成形体では繊維補強層3を構成す
る超高分子量ポリエチレン繊維がその配向結晶構造を実
質上保有している。この補強層3は、成形体1の全面に
わたって埋設乃至積層され、且つ成形体1の少なくとも
一軸方向に指向している分子配向及びシラン架橋超高分
子量ポリエチレンのフイラメント、或いはこのフイラメ
ントから成る不織布、織成物又は編成物から成ってい
る。
繊維補強層と加硫ゴムとの割合いは、用途や厚み等によ
ってもかなり変化するが、一般に言って、繊維補強層が
全体の20乃至80容積%、特に40乃至70容積%を占めるよ
うな割合いで存在するのが望ましい。
繊維補強層の容積比が上記範囲よりも少ない場合には繊
維補強による引張り強度、曲げ強度、弾性率、耐衝撃
性、耐クリープ性等の改善が十分でなく、また容積比が
上記範囲を越えて多くなると、一体化した繊維強化ゴム
成形品への成形が困難となる傾向がある。
補強層 本発明に用いる分子配向及びシラン架橋超高分子量ポリ
エチレン繊維は、極限粘度〔η〕が5dl/g以上の超高分
子量ポリエチレン、シラン化合物、ラジカル開始剤及び
稀釈剤を含む組成物を熱成形し、シラン化合物がグラフ
トされた超高分子量ポリエチレンの成形物が延伸し、延
伸中又は延伸後に該成形物の延伸成形体中にシラノール
縮合触媒を含浸させ、次いで該延伸成形体を水分と接触
させて架橋することにより製造される。
超高分子量ポリエチレン(A)とは、デカリン溶媒135
℃における極限粘度〔η〕が5dl/g以上、好ましくは7
ないし30dl/gの範囲のものである。
かかる超高分子量ポリエチレンとは、エチレンあるいは
エチレンと少量に他のα−オレフィン、例えばプロピレ
ン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキ
セン等とを所謂チーグラー重合により、重合することに
より得られるポリエチレンの中で、遥かに分子量が高い
範疇のものである。
一方、グラフト処理に使用するシラン化合物としては、
グラフト処理と架橋処理とが可能なシラン化合物であれ
ば任意のものでよく、このようなシラン化合物は、ラジ
カル重合可能な有機基と加水分解可能な有機基との両方
を有するものであり、下記一般式 RnSiY4-n ………(1) 式中、Rはラジカル重合可能なエチレン系不飽和を含む
有機基であり、Yは加水分解可能な有機基であり、nは
1又は2の数である で表わされる。
ラジカル重合性有機基としては、ビニル基、アリル基、
ブテニル基、シクロヘキセニル基等のエチレン系不飽和
炭化水素基や、アクリルオキシアルキル基、メタクリル
オキシアルキル基等のエチレン系不飽和カルボン酸エス
テル単位を含有するアルキル基等を挙げることができる
が、ビニル基が好適である。加水分解可能な有機基とし
ては、アルコキシ基やアシルオキシ基等が挙げられる。
シラン化合物の適当な例は、これに限定されないが、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等である。
先ず、上記超高分子量ポリエチレン、シラン化合物、ラ
ジカル開始剤及び稀釈剤を含む組成物を溶融押出等によ
り熱成形することによりシラングラフトと成形とを行
う。即ち、ラジカルよりシラン化合物の超高分子量ポリ
エチレンへのグラフトが生じる。
ラジカル開始剤としては、この種のグラフト処理に使用
されているラジカル開始剤は全て使用でき、例えば有機
ペルオキシド、有機ペルエステル、チロニトリル、ジメ
チルアゾイソブチレートがある。超高分子量ポリエチレ
ンの溶融混練条件下でグラフトを有効に行うためには、
ラジカル開始剤の半減期温度が100乃至200℃の範囲にあ
ることが望ましい。
シラングラフト超高分子量ポリエチレンの溶融成形を可
能にするために、上記成分と共に稀釈剤を配合する。こ
のような稀釈剤としては、超高分子量ポリエチレンに対
する溶剤や、超高分子量ポリエチレンに対して相溶性を
有する各種ワックス状物が使用される。
前記超高分子量ポリエチレン100重量部当りシラン化合
物は0.1乃至10重量部、特に0.2乃至5.0重量部、ラジカ
ル開始剤は触媒量、一般に0.01乃至3.0重量部、特に0.0
5乃至0.5重量部及び稀釈剤は9900乃至33重量部、特に19
00乃至100重量部の量で使用するのがよい。
溶融混練は一般に150乃至300℃、特に170乃至270℃の温
度で行なうのが望ましく、配合はヘンシェルミキサー、
V型ブレンダー等による乾式ブレンドで行ってもよい
し、或いは単軸或いは多軸押出機を用いる溶融混合で行
ってもよい。
溶融混合物を紡糸口金を通して押出し、フイラメントの
形に成形する。この場合、紡糸口金より押出された溶融
物にドラフト、即ち溶融状態での引き伸しを加えること
もできる。溶融樹脂のダイ・オリフィス内での押出速度
V0と冷却固化した未延伸物の巻き取り速度Vとの比をド
ラフト比として次式で定義することができる。
ドラフト比=V/V0 ……(2) かかるドラフト比は混合物の温度及び超高分子量ポリエ
チレンの分子量等によるが通常は3以上、好ましくは6
以上とすることができる。
得られる未延伸フイラメントを延伸処理する。
シラングラフトポリエチレンフイラメントの延伸は、一
般に40乃至160℃、特に80乃至145℃の温度で行うのが望
ましい。未延伸フイラメントを上記温度に加熱保持する
ための熱媒体としては、空気、水蒸気、液体媒体の何れ
をも用いることができる。しかしながら、熱媒体とし
て、前述した稀釈剤を溶出除去することができる溶媒で
しかもその沸点が成形体組成物の融点よりも高いもの、
具体的にはデカリン、デカン、灯油等を使用して、延伸
操作を行なうと、前述した稀釈剤の除去が可能となると
共に、延伸時の延伸むらの解消並びに高延伸倍率の達成
が可能となる。
延伸操作は、一段或いは二段以上の多段で行うことがで
きる。延伸倍率は、所望とする分子配向効果にも依存す
るが、一般に5乃至80倍、特に10乃至50倍の延伸倍率と
なるように延伸操作を行えば満足すべき結果が得られ
る。
上記延伸中或いは延伸後に成形物中にシラノール縮合触
媒を含浸させ、次いで延伸成形体を水分と接触させて架
橋を行わせる。
シラノール縮合触媒としては、それ自体公知のもの、例
えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテー
ト、ジブチル錫ジオクトエート等のジアルキル錫ジカル
ボキシレート;チタン酸テトラブチルエステル等の有機
チタネート;ナフテン酸鉛等を用いることができる。こ
れらのシラノール縮合触媒は、液体媒体中に溶解させた
状態で、未延伸成形体或いは延伸成形体と接触させるこ
とにより、これらの成形体中に有効に含浸させることが
できる。例えば、延伸処理を液体媒体中で行う場合に
は、この延伸用液体媒体中にシラノール縮合触媒を溶解
しておくことにより、延伸操作と同時に、シラノール縮
合触媒の成形体への含浸処理を行うことができる。
成形体中に含浸されるシラノール縮合触媒の量は、所謂
触媒量でよく、直接その量を規定することは困難である
が、一般には、未延伸或いは延伸剤の成形体と接触する
液体媒体中に、10乃至100重量%、特に25乃至75重量%
の量でシラノール縮合媒体を添加し、この液体媒体とフ
イラメントとを接触させることにより、満足すべき結果
が得られる。
延伸成形体の架橋処理は、シラノール縮合触媒を含浸さ
せたシラングラフト超高分子量ポリエチレンの延伸成形
体を水分と接触させることにより行われる。架橋処理条
件としては50乃至130℃の温度で、3乃至24時間、延伸
成形体と水分との接触を行わせるのが有利である。この
目的のために、水分は熱水或いは熱水蒸気の形で延伸成
形体に作用させるのがよい。この架橋処理時に、延伸成
形体を拘束条件下におき、配向緩和を防止するようにす
ることもでき、或いは逆に非拘束条件下において、或る
程度の配向緩和が生じるようにしてもよい。
尚、延伸成形体が架橋処理した後、更に延伸処理(通常
3倍以下)を行うと、引張強度等の機械的強度が更に改
善される。
本発明で用いる分子配向及びシラン架橋超高分子量ポリ
エチレン繊維は、拘束条件下において、超高分子量ポリ
エチレン本来の結晶融解温度(Tm)に比してはるかに高
い温度にも結晶融解ピーク(Tp)を示すという驚くべき
特徴を有している。
超高分子量ポリエチレン本来の結晶融解温度(Tm)は、
この繊維を一度完全に融解した後冷却して、成形体にお
ける分子配向を緩和させた後、再度昇温させる方法、所
謂示差走査型熱量計におけるセカンド・ランで求めるこ
とができる。
前に説明した第1図から明らかな通り、本発明で用いる
フイラメントは、超高分子量ポリエチレン本来の結晶融
解温度(Tm)よりも少なくとも10℃高い温度に、少なく
とも2個の結晶融解ピーク(Tp)を有し、しかも全融解
熱量当りのこの結晶融解ピーク(Tp)に基づく融解熱量
が40%以上、特に60%以上であるという特徴を有する。
一般に、本発明で用いる繊維における結晶融解ピーク
(Tp)は、温度範囲Tm+35℃〜Tm+120℃における高温
側融解ピーク(Tp1)と、温度範囲Tm+10℃〜Tm+35℃
における低温側ピーク(Tp2)との2つに表われること
が多く、Tmの融解ピークそのものは著しく小さい。
尚、高温側融解部(Tp1)は成形体のシラングラフト量
に関係し、シラングラフト量が少ない場合には融解曲線
に明確な極大点(ピーク)が現われず、ブロードな極大
点(ピーク)あるいは低温側融解部(Tp2)の高温側にT
m+35℃〜Tm+120℃に亘ってショルダーもしくはすそ
(テール)として現われることが多い。
又、Tmの融解ピークが極端に小さい時は、Tp1の融解ピ
ークショルダーに隠れ確認できない場合もある。仮にTm
の融解ピークがなくても超高分子量ポリエチレンフイラ
メンの機能はなんら差し障りはない。Tm+35℃〜Tm+12
0℃における高温側融解ピーク(Tp1)と温度範囲Tm+10
℃〜Tm+35℃における低温側融解ピーク(Tp2)はそれ
ぞれ試料の調製条件や、融点の測定条件によりさらに2
つ以上の融解ピークに分かれる場合もある。
これらの高い結晶融解ピーク(Tp1,Tp2)は、超高分子
量ポリエチレンフイラメントの耐熱性を顕著に向上させ
るように作用するものであるが、高温の熱履歴後での強
度保持率向上に寄与するのは、高温側融解ピーク(T
p1)であると思われる。
従って、温度範囲Tm+35℃〜Tm+120℃の高温側融解ピ
ーク(Tp1)に基づく融解熱量の総和は、全融解熱量当
り5%以上、特に10%以上であることが望ましい。
又、高温側融解ピーク(Tp1)に基づく融解熱量の総和
が上述の値を満している限りにおいては、高温側融解ピ
ーク(Tp1)が主たるピークとして突出して現われない
場合、つまり小ピークの集合体もしくはブロードなピー
クになったとしても、耐熱性は若干失なわれる場合もあ
るが、耐クリープ特性については優れている。
成形体における分子配向の程度は、X線回折法、複屈折
法、螢光偏光法等で知られることができる。本発明に用
いる延伸シラン架橋フィラメントの場合、例えば呉祐
吉、久保輝一郎:工業化学雑誌第39巻、992頁(1939)
に詳しく述べられている半価巾による配向度、即ち式 式中、H゜は赤道線上最強のパラトロープ面のデバイ環
に沿っての強度分布曲線の半価幅(゜)である。
で定義される配向度(F)が0.90以上、特に0.95以上と
なるように分子配向されていることが、耐熱性や機械的
性質の点で望ましい。
また、シランのグラフト量は、延伸架橋成形体を135℃
の温度でp−キシレン中で4時間抽出処理を行って、未
反応のシランや含有される稀釈剤を抽出除去し、重量法
或いは原子吸光法でSiの定量を行うことにより求めるこ
とができる。本発明に用いる繊維のシラングラフト量
は、超高分子量ポリエチレン当りのSi重量%として表わ
して、0.01乃至5重量%、特に0.035乃至3.5重量%の範
囲にあることが、耐熱性の点で望ましい。即ち、グラフ
ト量が上記範囲よりも少ない場合には架橋密度が本発明
の場合に比して小さく、一方上記範囲よりも多い場合に
は結晶性が低下して、何れも耐熱性が不十分となる。
本発明に用いる分子配向−シラン架橋繊維では、繊維を
構成する少なくとも一部の重合体鎖の結晶融解温度が前
述したように著しく高温側に移行していることから、極
めて耐熱性に優れており、160℃での10分間の熱履歴を
与えた後での強度保持率が80%以上、好ましくは180℃
で10分間の熱履歴を与えた後での強度保持率が60%以
上、特に80%以上、さらには200℃で5分間の熱履歴を
与えた後での強度保持率が80%以上であるという、従来
の超高分子量ポリエチレンからは全く予想だにできない
驚くべき耐熱性を示す。
また本発明に用いるフイラメントは耐熱クリープ特性、
例えば荷重;30%破断荷重、温度;70℃の条件下で未架橋
フイラメントが1分間放置後50%以上の伸びを示すに対
して該フイラメントは30%以下、更には20%以下と極め
て優れている。
また、本発明に用いるフイラメントは更に荷重:50%破
断荷重、温度:70℃の条件下で未架橋物が1分間を待た
ずして伸長破断するのに対して、1分間放置後の伸びは
20%以下を示す。
また、この成形体は、グラフトされ且つ架橋されたシラ
ン類を含むことから、接着性、特に種々の樹脂類との接
着性にも優れており、この事実は後述する例を参照する
ことにより容易に了解されよう。
更に、このフイラメントは超高分子量ポリエチレンから
成り、しかも有効に分子配向が付与されていることか
ら、機械的特性にも優れており、例えば延伸フィラメン
トの形状で20GPa以上の弾性率と1.2GPa以上の引張強度
を示す。
分子配向シラン架橋フイラメントの単繊維の繊度は、特
に制限はないが、強度の点で一般に0.5乃至20デニー
ル、特に1乃至10デニールの範囲にあることが望まし
い。
このフイラメントは、一般にマルチフイラメント、マル
チフイラメント合撚糸、これらからなる不織布、織布或
いは編布の形で熱可塑性樹脂に対する繊維補強層として
使用される。
重合体マトリックス 本発明に用いるマトリックス用加硫ゴムは、未加硫ゴム
の加硫温度が220℃以下のものでなければならない。加
硫温度が200℃を越えると、繊維強化ゴム成形体中に組
込まれた分子配向及びシラン架橋超高分子量ポリエチレ
ン繊維がその配向結晶構造を実質的に失うようになる。
用いるマトリックス用ゴムは、好ましくは100乃至200
℃、特に150乃至180℃に加硫温度を有するものが望まし
い。
このようなマトリックス用ゴムの好適なものとして、天
然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニ
トリルゴム(アクリロニトリル・ブタジエンゴム:NB
R)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、
クロロプレンゴム(CR)、ポリスルフイドゴム、ウレタ
ンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム(IIR)、クロルス
ルフオン化ゴム、エピクロヒドリンゴム、ふっ素ゴム、
シリコーンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM,EP
R)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM,EP
T)、エチレン・ブテンゴム、エチレン・ブテン・ジエ
ンゴム、等を挙げることができる。
本発明に用いるゴムには、それ自体公知の配合剤、イオ
ウ、加硫促進剤、加硫助剤、滑剤、カーボンブラック、
ステアリン酸、亜鉛華、タルク、クレー、炭酸カルシウ
ム、シリカ、酸化防止剤、耐候安定剤、プロセスオイ
ル、粘着付与剤、顔料、発泡剤、有機パーオキサイド、
等の1種又は2種以上を公知の処方によって配合してお
く。
製法 本発明の成形体は、前述した種々の形態の繊維補強層を
面方向に配置し、前述した未加硫ゴムと合体後、架橋さ
せることにより製造される。
繊維補強層と未加硫ゴムとの合体架橋は種々の方法で行
われる。例えば、予じめ架橋剤等を混練した配合ゴムの
フイルム乃至シートと、繊維補強層とを重ね合せ、配合
ゴムは架橋するが、補強層中の超高分子量ポリエチレン
繊維の配向結晶構造は実質上維持される温度で、この重
ね合わせたものを圧着架橋させる。この圧着操作はホッ
トプレスのようにバッチ操作乃至半連続操作で行っても
よいし、また熱ロールプレスのように連続的に行っても
よい。この圧着操作の際、繊維補強層はその端部が拘束
されていることが重要であり、これは例えば、プレス用
基板に繊維を予じめ巻き付けて端部を拘束するか、或い
は繊維補強層に、圧着操作の際、適当なテンションを加
えておくことにより達成される。繊維が機械長手方向と
これに直角方向とに配列している場合には、これら両方
向に繊維の自由収縮を許容しないようなテンションをか
けておけばよい。
本発明による繊維強化樹脂成形体は、二次元状の形状の
ものに限定されない。例えば、繊維補強層を、フイラメ
ント或いはこのフイラメントの不織布、織成物又は編成
物の形で管状に配置し、配合ゴムを被覆した後、架橋さ
せれば管状の繊維強化樹脂成形体が得られる。また、電
線や光ケーブルを芯として、上記成形法を適用すると、
繊維強化成形体のシースを形成させることができる。
(発明の効果) 本発明によれば、分子配向及びシラン架橋超高分子量ポ
リエチレン繊維を、拘束条件下において、ゴムと合体さ
せた後架橋させて、一体化させることにより、前記加硫
ゴムのマトリックス中に前記繊維の配向結晶構造を実質
上保有した状態で繊維補強層として存在させることがで
きる。
それ故、この成形体には前記繊維の優れた引張特性が付
与され、更にこの繊維はシラン変性されていることによ
り、加硫ゴムとの接着性にも優れており、かくして高弾
性率、高強度の成形体が得られ、高圧ホース、引布、タ
イヤをはじめ、種々の用途に好適に用いることができ
る。
(実施例) 次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、
本発明はその要旨を越えない限りそれらの実施例に制約
されるものではない。
実施例 1 <シラン架橋延伸超高分子量ポリエチレン繊維の調製> グラフト化および紡糸 超高分子量ポリエチレン(極限粘度〔η〕=8.20dl/g)
の粉末:100重量部に対してビニルトリメトキシシラン
(信越化学製):10重量部及び2,5−ジメチル−2,5−ジ
(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂製:商
品名、パーヘキサ25B):0.1重量部を均一に配合した
後、超高分子量ポリエチレン100重量部に対してパラフ
ィンワックスの粉末(日本精蝋製、商品名、ルバックス
1266、融点=69℃):370重量部添加混合し混合物を得
た。次いで該混合物をスクリュー式押出機(スクリュー
径=20mmφ、L/D=25)を用いて、設定温度200℃で溶融
混練を行ない、引き続き、該溶融物をオリフィス径2mm
のダイより紡糸し、シラングラフト完了した。紡糸繊維
は180cmのエアーギャップで室温の空気にて冷却固化
し、未延伸超高分子量ポリエチレンシラングラフト繊維
とした。この未延伸糸は800デニールであり、紡糸時の
ドラフト比率は36.4であった。また、この際の巻き取り
速度は90m/minであった。
シラングラフト量の定量 上記方法にて調製された未延伸グラフト繊維約8gを135
℃に加熱保持したp−キシレン200ccに溶解した。次い
で常温にて過剰のヘキサン中に超高分子量ポリエチレン
を析出させ、パラフィンワックスと未反応シラン化合物
を除去した。この後、重量法にてSi重量%で求めたグラ
フト量は0.57重量%であった。
延伸 前記の方法で超高分子量ポリエチレン混合物から紡糸さ
れたグラフト化未延伸繊維を次の条件で延伸し配向延伸
繊維を得た。三台のゴデットロールを用いてn−デカン
を熱媒とした延伸槽にて二段延伸を行った。このとき第
一延伸槽内温度は110℃、第2延伸槽内温度は120℃であ
り槽の有効長はそれぞれ50cmであった。延伸に際しては
第1ゴデットロールの回転速度を0.5m/minとして第3ゴ
デットロールの回転数を変更することにより、所望の延
伸比の繊維を得た。又、第2ゴデットロールの回転速度
は、安定延伸可能な範囲で適宜選択した。但し、延伸比
は第1ゴデットロールと第3ゴデットロールとの回転比
より計算して求めた。
得られた繊維を低圧下、室温にて乾燥し延伸超高分子量
ポリエチレンシラングラフト繊維とした。
架橋触媒の含浸 前記方法で調製されたシラン化合物グラグト超高分子量
ポリエチレンの配向繊維をさらに架橋する場合には延伸
時第2延伸槽に熱媒としてn−デカンおよびn−デカン
と等量のジブチル錫シラウレートの混合物を用い、パラ
フィンワックスを抽出すると同時に、ジブチル錫ジラウ
レートを繊維中に含浸した。得られた繊維は、減圧下室
温にてデカン臭のなくなるまで乾燥した。
架橋 この後繊維は沸水中で12時間放置して架橋を完了させ
た。
デル分率の測定 上記方法にて得られたシラン架橋延伸超高分子量ポリエ
チレン繊維約0.4gをパラキシレン200mlの入っているコ
ンデンサーを装置した三角フラスコに投入し、4時間沸
騰状態にて撹拌した。次いで不溶物をステンレス製300m
eshの金網で過した。80℃の減圧下で乾燥後、秤量し
不溶物の重量を求めた。ゲル分率は以下の式で求めた。
上記の調製試料のゲル分率は51.4%であった。
引張弾性率、引張強度および破断点伸度はインストロン
万能試験機1123型(インストロン社製)を用いて室温
(23℃)にて測定した。クランプ間の試料長は100mmで
引張速度100mm/minとした。但し、引張弾性率は初期弾
性率である。計算に必要な繊維断面積はポリエチレンの
密度を0.96g/cm3として繊維の重量と長さを測定して求
めた。
この様にして得られたシラン架橋延伸超高分子量ポリエ
チレン繊維の物性を表1に示す。
又、二回目昇温時の主融解ピークとして求められる超高
分子量ポリエチレン本来の結晶融解温度(Tm)は132.2
℃であり、Tpに基づく融解熱量の全結晶融解熱量に対す
る割合、およびTp1に基づく融解熱量の全結晶融解熱量
に対する割合はそれぞれ73%と22%であった。この時Tp
2の主たるものは151.0℃であり、Tp1の主たるものは22
6.5℃であった。
クリープ特性の評価 クリープテストは、熱応力歪測定装置TMA/SS10(セイコ
ー電子工業株式会社製)を用いて試料長1cm、雰囲気温
度70℃で行なった。破断荷重の30%荷重での結果を第8
図に示す。本実施例で調製したシラン架橋延伸超高分子
量ポリエチレン繊維(試料−1)は、後述の比較例1で
調製した延伸超高分子量ポリエチレン繊維(試料−2)
と比較していづれの場合も著しくクリープ特性が改良さ
れていることが分る。
また、雰囲気温度70℃において、室温での破断荷重の50
%に相当する荷重で行なったクリープ試験で、過重直後
から1分、2分および3分後の伸びを表2に示した。
熱履歴後の強度保持率 熱履歴試験は、ギヤーオープン(パーフェクトオープ
ン:田葉井製作所製)内に放置することによって行なっ
た。試料は、約3mの長さでステンレス枠の両端に複数個
の滑車を装置したものに折り返しかけて試料両端を固定
した。この際試料両端は試料がたるまない程度に固定
し、積極的に試料には張力をかけなかった。結果を表3
に示す。
繊維強化ゴム成形体の成形 表4に示す配合組成で蒸気水冷式2本ロール(3″×
8″,191−WM型.安田製機製作所製)で配合ゴムを30分
間で調製する。このときのロール表面温度は前ロールが
50℃、後ロールが60℃、回転数は前ロール12.6rpm、後
ロール15.7rpmである。
配合ゴムの物性は表5の通りである。
前述の条件にて調製されるシラン架橋延伸超高分子量ポ
リエチレン繊維のマルチファイバーを用いて、織成され
るクロス(布組織=簾織,質量=310g/m2,糸密度縦=23
本/2.54cm,横=2本/2.54cm)を強化繊維として上記、
配向ゴムを包埋し、加硫することにより、以下の条件で
厚さ2mmの繊維強化加硫シートを調製する。クロスの周
囲をプレス金型の周辺に固定し、2mmのスペーサーを用
いて加熱プレスにて157.2℃で10分間加熱する。このと
きの圧力は試料に約50Kg/cm2加わる。この後、水冷プレ
スにて冷却し繊維強化ゴム成形体の成形を終了した。得
られた繊維強化ゴム成形体はJIS3合ダンベルで簾織繊維
縦方向で打ち抜き、引張試験に供する。引張試験はイン
ストロン万能試験機(モデル−1123:インストロン社
製)にて室温で500mm/minの引張速度で行なう。
JIS A法で求める繊維強化ゴム成形体の物性を硬さの値
とともに表6に示す。
比較例 1 表4に示した配合組成で実施例1の方法で2mm厚の加硫
シートを調製する。得られる加硫シートの物性を表7に
示す。物性は実施例1に記載の方法で測定する。
実施例 2 繊維強化ゴム成形体の成形 実施例1に記載した装置と条件により表8に示される配
合組成で配合ゴムを調製する。
得られる配合ゴムの物性を表9に示す。
実施例1に記載したシラン架橋延伸超高分子量ポリエチ
レン繊維を用いて織成するクロスと上述の配合ゴムを用
いて、実施例1に記載した方法で2mm厚の繊維強化加硫
シートを調製する。このときの加硫は、180℃で8分間
で行なう。得られる繊維強化ゴム成形体の物性を表10に
示す。
比較例 2 表8に示した配合組成で実施例1に記載された方法で配
合ゴムを調製する。得られる配合ゴムを実施例2に記載
された条件で2mm厚の加硫シートを調製する。調製され
る加硫シートの物性を表11に示す。
実施例 3 繊維強化ゴム成形体の成形 実施例1に記載された装置と条件により表12に示される
配合組成で配合ゴムを調製する。
次いで得られる配合ゴムと実施例1に記載されたシラン
架橋延伸超高分子量ポリエチレン繊維を用いて織成する
クロスとを用い、実施例1に記載された方法で2mm厚の
繊維強化加硫シートを調製する。このとき加硫は150℃
で、15分間行なう。得られる繊維強化ゴム成形体の物性
を表13に示す。
比較例 3 表12に示した配合組成で実施例1に記載の方法で配合ゴ
ムを調製する。得られる配合ゴムを実施例3に記載され
た条件で2mm厚さの加硫シートを調製する。調製される
加硫シートの物性を表14に示す。
比較例 4 延伸超高分子量ポリエチレン繊維(ダイニーマSK60:ダ
イニーマ社製,引張弾性率=80GPa,引張強度=2.4GPa,
マルチファイバー)を用いて織成されるクロス(布組織
=平織,質量=295g/m2,糸密度=31本/2.54cm:縦横同
じ)を強化繊維として、表4に組成を示す配合ゴムを用
いて実施例1に記載される方法で繊維強化ゴム成形体を
調製する。調製される繊維強化ゴム成形体をさらに実施
例1の方法で測定する物性を表15に示す。
比較例2で示すマトリックスゴムの物性(表7)に比較
し物性が著しく低下するのは、繊維が溶融するためであ
る。単なる延伸超高分子量ポリエチレン繊維では、157.
2℃で、約10分間の熱履歴ですら耐えることができず、
いかに弾性率・強度・耐クリープ特性が優れていたとし
ても、この様な調製方法を必要とする複合体中では、性
能を発揮することができない。
【図面の簡単な説明】
第1図には実施例1の方法にて調製したシラン架橋延伸
超高分子量ポリエチレン繊維の拘束条件下に測定した示
差走査熱量計における第一回目昇温時の吸熱曲線を示し
た。 第2図は実施例1で用いた超高分子量ポリエチレン粉末
を200℃で厚さ100μのプレスシートに成形したものの第
一回目昇温時の吸熱曲線を示した。 第3図には比較例1で調製した末グラフト延伸超高分子
量ポリエチレン繊維の第一回目昇温時の吸熱曲線を示し
た。 第4図には実施例1でシラングラフトされた末延伸糸の
パラフィンワックスを常温でヘキサンにより抽出し、次
いでジブチル錫ジラウレートを含浸させ、さらに実施例
1の方法で架橋した試料の第一回目昇温時の吸熱曲線を
示した。さらに第5図には第1図のシラン架橋延伸超高
分子量ポリエチレン繊維の第2回目昇温時(セカンドラ
ン)の吸熱曲線を示した。 第6図、および第7図は、成形された繊維強化ゴム成形
体の概略図(実施例での積層数と異なるが)を示した。 また第8図は、実施例1及び比較例1で調製された延伸
配向ポリエチレン繊維についてのクリープ性を示す線図
であり、室温で測定した破断荷重の30%の荷重で、70℃
の雰囲気下で測定した結果である。 第9図は実施例1にて調製した、シラン架橋延伸超高分
子量ポリエチレン繊維と比較例1にて調製した配向超高
分子量ポリエチレン繊維とについての接着性試験におい
て埋込み長さと引き抜き力との関係を示す線図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加硫温度が220℃以下のゴムのマトリック
    スと、該マトリックスに積層乃至埋設された分子配向及
    びシラン架橋超高分子量ポリエチレン繊維の補強層の少
    なくとも1層とから成り、該補強層が超高分子量ポリエ
    チレン繊維の配向結晶構造を実質上保有していることを
    特徴とする繊維強化ゴム成形体。
  2. 【請求項2】前記分子配向及びシラン強化超高分子量ポ
    リエチレン繊維が、拘束状態で示差走査熱量計で測定し
    たとき、二回目昇温時の主融解ピークとして求められる
    超高分子量ポリエチレン本来の結晶融解温度(Tm)より
    も少なくとも10℃高い温度に少なくとも2個の結晶融解
    ピーク(Tp)を有すると共に、全融解熱量当りのこの結
    晶融解ピーク(Tp)に基づく融解熱量が40%以上及び温
    度範囲Tm+35℃〜Tm+120℃における高温側融解ピーク
    (Tp1)に基づく融解熱量の総和が全融解熱量当り5%
    以上であるという特性を有するものである特許請求の範
    囲第1項記載の繊維強化ゴム成形体。
  3. 【請求項3】熱硬化性重合体がエポキシ系重合体である
    特許請求の範囲第1項記載の繊維強化樹脂成形体。
  4. 【請求項4】前記補強層は、成形体の全面にわたって積
    層乃至埋設され、且つ成形体の少なくとも一軸方向に指
    向している分子配向及びシラン架橋超高分子量ポリエチ
    レンのフィラメント、或いはこのフィラメントから成る
    不織布、織成物又は編成物から成る特許請求の範囲第1
    項記載の成形体。
  5. 【請求項5】分子配向及びシラン架橋超高分子量ポリエ
    チレンのフィラメント、或いはこのフィラメントから成
    る不織布、織布又は編布を面方向に配置し且つその端部
    を拘束した状態で、加硫温度が220℃以下の未加硫ゴム
    とを合体させ加硫させることを特徴とする繊維強化樹脂
    成形体の製造方法。
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