JPH07175187A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料

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JPH07175187A
JPH07175187A JP32018793A JP32018793A JPH07175187A JP H07175187 A JPH07175187 A JP H07175187A JP 32018793 A JP32018793 A JP 32018793A JP 32018793 A JP32018793 A JP 32018793A JP H07175187 A JPH07175187 A JP H07175187A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、画像保存性に優れ、かつ発
色性、色再現性及び現像処理時の安定性に優れたハロゲ
ン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。 【構成】 下記一般式〔M−I〕または〔M−II〕で表
されるマゼンタカプラーを少なくとも1つ含有すること
を特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は画像保存性、発色性及び
色再現性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より直接鑑賞用に供されるカラー印
画紙などにおいては通常発色色素画像形成のためイエロ
ーカプラー、マゼンタカプラー及びシアンカプラーの組
合せが用いられる。これらのカプラーから得られる発色
色素画像の堅牢性を向上させ、長年にわたって保存し、
利用し続けるために今まで多くの努力がなされてきた。
【0003】しかし、カラー写真の色素画像の褪色又は
変色を防止し、半永久的に品質の高い画像を保存したい
というユーザーの要望に答えるためにはいまだ十分とは
言いがたい。すなわち、アルバム保存等の暗所保存性に
関しては近年「コニカカラー100年プリント」に代表さ
れるように大幅な改良がなされており、満足しうる長い
期間にわたって写真画像の保存が可能となってきたが、
これに対して、光にさらされた状態での明所保存性(耐
光性)に関してはいまだ不十分なレベルであり改良が望
まれている。特に、上記イエロー、マゼンタ、シアンの
3色の色素の中でもマゼンタ色素は最も耐光性が弱く、
その改良に努力がなされてきた。
【0004】特に、近年開発されたピラゾロアゾール系
マゼンタカプラーは、従来用いられている5−ピラゾロ
ン系マゼンタカプラーと異なり、発色色素が430nm付近
に副吸収を持たないため、基本的に色再現性に対して有
利であるという特徴を有しているが、ピラゾロアゾール
系マゼンタカプラーから得られるマゼンタ色素は5-ピラ
ゾロン系マゼンタカプラーから得られるマゼンタ色素に
比べて耐光性が劣ることが知られており、これに対して
多くの改良技術が提案されている。例えば、特開昭56-1
59644号、同59-125732号、同61-145552号、同60-262159
号、同61-90155号、特開平3-39956号各公報等に記載さ
れたフェノールもしくはフェニルエーテル系化合物、特
開昭61-73152号、同61-72246号、同61-189539号、同61-
189540号、同63-95439号各公報等に記載されたアミン系
化合物、特開昭61-140941号、同61-145554号、同61-158
329号、同62-183459号各公報等に記載された金属錯体、
特開平2-100048号公報等に記載された包接化合物、ヘテ
ロ環状化合物等を用いることが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの化合
物を用いた場合、カプラーの発色濃度が低下したり、経
時保存時に色汚染が発生したり、添加された化合物自体
の着色により色汚染を生じたり、好ましくない色調の変
化を引き起こしたり、カプラーを含む分散物の分散性、
経時安定性が劣化したりすることがある。さらに、上記
改良技術は耐光性の向上に大きな効果を示すものである
が、それでもなおマゼンタ色素の耐光性はイエロー色素
やシアン色素の耐光性に比べて劣るのが現状であり、こ
のため褪色過程において画像のカラーバランスが崩れて
写真の色がイエローやシアン方向にシフトして不自然な
変色を生じてしまうという問題がある。さらに、ピラゾ
ロトリアゾール骨格に立体障害の大きい分岐アルキル基
を置換することにより耐光性を向上させる技術が特開昭
61-65245号公報等で提案されているが、やはり十分なレ
ベルに達しているとは言い難い。また発色性及び色再現
性の向上を目的にした研究が続けられ、例えば特開昭60
-55343号、同60-98434号、同61-120152号等の各公報に
は各種の誘導体が記載されている。しかしながら、上記
カプラーはカプラーの発色性、色素の分光吸収特性とも
未だ満足いくレベルでなく、更なる改良が望まれてい
る。
【0006】更に上記のピラゾロトリアゾール系カプラ
ーは発色現像液の条件のわずかな変動に対して、その発
色性が影響を受けやすいことが明らかになった。特に発
色現像液のpH値の変動に対して影響を受けやすいこと
(以後、pH変動性という。
【0007】)が判った。
【0008】一方、特開昭63-291058号にはピラゾロア
ゾール環に結合している炭素原子上に窒素原子が結合し
ているマゼンタカプラーが開示されており、ピラゾロア
ゾールカプラーから形成される色素において望ましい深
相色相シフト、最大濃度の増化等を効果として挙げてい
る。
【0009】しかしながら、特開昭63-291058号に具体
的に記載されている化合物はpH変動性においては未だ
満足するものではなかった。
【0010】本発明の目的は、画像保存性に優れ、かつ
発色性、色再現性及び現像処理時の安定性に優れたハロ
ゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成またはによって達成される。
【0012】 下記一般式〔M−I〕または〔M−I
I〕で表されるマゼンタカプラーを少なくとも1つ含有
することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材
料。
【0013】
【化3】
【0014】式中、R1及びR3はそれぞれ置換基を表
し、Xは水素原子または発色現像主薬の酸化体との反応
により離脱する基を表し、L1及びL2は直鎖または分岐
の炭化水素鎖を表し、R2及びR4はそれぞれ
【0015】
【化4】
【0016】を表す。R5、R6、R7、R8、R9及びR
10はそれぞれ脂肪族基、芳香族基または複素環基を表
し、該脂肪族基、芳香族基は各々置換基を有してもよ
い。
【0017】 前記一般式〔M−I〕または〔M−I
I〕で表されるマゼンタカプラーの分子量が1500以下で
あることを特徴とする上記記載のハロゲン化銀カラー
写真感光材料。
【0018】以下に本発明を更に具体的に説明する。
【0019】R1、R3、R5、R6、R7、R8、R9及び
10で表される脂肪族基は、直鎖状でも分岐状でも環状
でも良く、また飽和でも不飽和でも良い。また、この脂
肪族基は他の置換基によって置換されていてもよく、そ
の置換基としては特に制限はないが、代表的にはアリー
ル、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキ
ルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル等
の各基が挙げられるが、この他にハロゲン原子及びシク
ロアルケニル、アルキニル、複素環、スルホニル、スル
フィニル、ホスホニル、アシル、カルバモイル、スルフ
ァモイル、シアノ、アルコキシ、複素環オキシ、シロキ
シ、アシルオキシ、カルバモイルオキシ、アミノ、アル
キルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミ
ノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカル
ボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシ
カルボニル、ヒドロキシ、カルボキシ、複素環チオ等の
各基、ならびにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物
残基等も挙げられる。
【0020】アリール基としては、フェニル基が好まし
い。
【0021】アシルアミノ基としては、アルキルカルボ
ニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げら
れる。
【0022】スルホンアミド基としては、アルキルスル
ホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げ
られる。
【0023】アルキルチオ基におけるアルキル基として
は、直鎖状でも分岐状でも環状でも良く、さらに他の置
換基によって置換されていても良く、例えばメチル基、
エチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、ネオペンチル
基、クロルメチル基、メトキシメチル基等が挙げられ
る。アリールチオ基におけるアリール基としては、フェ
ニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基が挙げられ、さら
にそれらは他の置換基によって置換されていても良く、
例えば2-クロルフェニル基、4-メトキシフェニル基等が
挙げられる。
【0024】アルケニル基としては、炭素原子数2〜32
のもの、シクロアルキル基としては、炭素原子数3〜1
2、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖
でも分岐でもよい。
【0025】シクロアルケニル基としては、炭素原子数
3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
【0026】スルホニル基としては、アルキルスルホニ
ル基、アリールスルホニル基等;スルフィニル基として
は、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基
等;ホスホニル基としては、アルキルホスホニル基、ア
ルコキシホスホニル基、アリールオキシホスホニル基、
アリールホスホニル基等;アシル基としては、アルキル
カルボニル基、アリールカルボニル基等;カルバモイル
基としては、アルキルカルバモイル基、アリールカルバ
モイル基等;スルファモイル基としては、アルキルスル
ファモイル基、アリールスルファモイル基等;アシルオ
キシ基としては、アルキルカルボニルオキシ基、アリー
ルカルボニルオキシ基等;カルバモイルオキシ基として
は、アルキルカルバモイルオキシ基、アリールカルバモ
イルオキシ基等;ウレイド基としては、アルキルウレイ
ド基、アリールウレイド基等;スルファモイルアミノ基
としては、アルキルスルファモイルアミノ基、アリール
スルファモイルアミノ基等;複素環基としては5〜7員
のものが好ましく、具体的には2-フリル基、2-チエニル
基、2-ピリミジニル基、2-ベンゾチアゾリル基等;複素
環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好
ましく、例えば3,4,5,6-テトラヒドロピラニル-2-オキ
シ基、1-フェニルテトラゾール-5-オキシ基等;複素環
チオ基としては、5〜7員の複素環チオ基が好ましく、
例えば2-ピリジルチオ基、2-ベンゾチアゾリルチオ基、
2,4-ジフェノキシ-1,3,5-トリアゾール-6-チオ基;シロ
キシ基としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシ
ロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基等;イミド基とし
ては、コハク酸イミド基、3-ヘプタデシルコハク酸イミ
ド基、フタルイミド基、グルタルイミド基等;スピロ化
合物残基としては、スピロ[3.3]ヘプタン-1-イル等;
有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ[2.2.1]ヘ
プタン-1-イル、トリシクロ[3.3.1.137]デカン-1-イ
ル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-イル
等が挙げられる。
【0027】R1、R3、R5、R6、R7、R8、R9及び
10で表わされる芳香族基としては、フェニル基、1-ナ
フチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
【0028】R1、R3、R5、R6、R7、R8、R9及び
10で表わされる芳香族基の置換基としては、脂肪族基
の場合と同様のものを挙げることができる。
【0029】R1、R3、R5、R6、R7、R8、R9及び
10で表わされる複素環基としては、5〜7員環のもの
が好ましく、2-フリル基、2-チエニル基、2-ピリミジニ
ル基、2-ベンゾチアゾリル基などが挙げることができ、
1、R3、R5、R6、R7、R8、R9及びR10で表わさ
れる複素環の置換基としては、脂肪族基の場合と同様の
ものを挙げることができる。
【0030】R1、R3、R5、R6、R7、R8、R9及び
10として好ましくは、水素原子、及び置換又は無置換
のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケ
ニル基、アルキニル基であり、最も好ましくは、置換又
は無置換のアルキル基、アリール基である。
【0031】また、R2及びR4で表される置換基として
は−COOR5,−OCOR6,−OSO2R7,−SO3R8 ,−O−(0=)
P<(−OR9)(−OR10)が挙げられ、好ましくは−OCOR6
−OSO2R7,−O−(0=)P<(−OR9)(−OR10)である。更に
好ましいものとしては−OCOR6,−OSO2R7が挙げられ
る。また耐光性の観点からは−O−(O=)P<(−OR9)(−O
R10)が好ましい。
【0032】一般式〔M−I〕及び〔M−II〕において
1及びL2は直鎖あるいは分岐の炭化水素鎖であり、好
ましくは分岐の炭化水素鎖である。
【0033】Xで表わされる発色現像主薬の酸化体と反
応して脱離し得る基としては、例えばハロゲン原子(塩
素原子、臭素原子、弗素原子等)及びアルコキシ、アリ
ールオキシ、複素環オキシ、アシルオキシ、スルホニル
オキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ
カルボニル、アルキルオキザリルオキシ、アルコキシオ
キザリルオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、複素環
チオ、アルキルオキシチオカルボニルチオ、アシルアミ
ノ、スルホンアミド、N原子で結合した含窒素複素環、
アルキルオキシカルボニルアミノ、アリールオキシカル
ボニルアミノ、カルボキシル等の各基が挙げられるが、
好ましくはハロゲン原子、特に塩素原子である。
【0034】以下に、本発明のマゼンタカプラーの代表
具体例を示すが、本発明はこれらにより限定されるもの
ではない。
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】本発明に係る前記一般式〔M−I〕で表さ
れるマゼンタカプラーはジャーナル・オブ・ザ・ケミカ
ル・ソサイアティ(Journal of the Chemical Societ
y),パーキン(Perkin);I(1977),2047〜2052、
米国特許3,725,067号又は特開昭59-99439号、同59-1719
56号、同60-43659号、同60-172982号各公報を参考にし
て当業者ならば容易に合成することができる。
【0042】以下に本発明の化合物の合成例を示す。
【0043】[合成例] 例示化合物M−5の合成 〈合成経路〉
【0044】
【化11】
【0045】〈中間体(II)の合成〉ヒドロキシピバリン
酸(I)198gをクロロホルム350mlに溶解し、ピリジン
162mlを加える。次いで氷水浴中にて冷却しながら塩化
アセチル131.7gを1時間かけて滴下し、室温で4時間
撹拌した。反応液を希塩酸で洗浄した後、中和、水洗
し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。次に減圧下にて溶
媒を除去した後、n-ヘキサンで再結晶し、白色結晶(I
I)214.1gを得た。
【0046】〈中間体(III)の合成〉中間体(II)192.2
gをトルエン400mlに溶解し、塩化チオニル174mlを加え
5時間加熱還流した。減圧下にて溶媒と過剰の塩化チオ
ニルを留去し、中間体(III)213gを得た。
【0047】〈中間体(V)の合成〉中間体(IV)243g
をアセトニトリル1500mlに溶解し、これに中間体(II
I)213gのアセトニトリル溶液(500ml)を加え、2時
間加熱還流した。その後溶媒を減圧にて留去し、トルエ
ン700ml、濃硫酸8mlを加え2時間加熱還流した。溶媒
を減圧留去し、酢酸エチルで抽出後、炭酸水素ナトリウ
ム水溶液で中和し、水洗、乾燥させた。酢酸エチルを減
圧留去し、褐色オイル状の中間体(V)270gを得た。
【0048】〈中間体(VI)の合成〉中間体(V)189g
に無水酢酸600mlを加え、3時間加熱還流した。その後
常圧下のまま無水酢酸を留去し、冷却後メタノール500m
l、濃硫酸100mlを加え2時間加熱還流する。抽出した硫
黄を熱濾過により除去し、濾液を濃縮する。これを酢酸
エチルで抽出し、中和、水洗、乾燥を行い、減圧下にて
溶媒を留去した後、酢酸エチル/n-ヘキサンで再結晶を
行い、中間体(VI)92.3gを得た。
【0049】〈中間体(VII)の合成〉中間体(VI)63.1
gをクロロホルム350mlに溶解し、5℃まで冷却する。
これにN-クロロこはく酸イミド35.6gを1時間かけて加
え1時間撹拌した後水洗、乾燥し、減圧下にて溶媒を留
去する。酢酸エチル/n-ヘキサンで再結晶を行い、中間
体(VII)54.3gを得た。
【0050】〈例示化合物M−5の合成〉中間体(VI
I)4.0gにピリジン10mlを加え5℃まで冷却する。これ
にステアリン酸クロイド5.3gの酢酸エチル溶液10mlを3
0分かけて滴下し、その後室温で2時間撹拌する。反応
液をテトラヒドロフランで抽出し、希塩酸で洗浄した
後、中和、水洗、乾燥する。減圧下にて溶媒を留去した
後、酢酸エチル/n-ヘキサンでカラムクロマトグラフィ
ーを行い無色オイル状の例示化合物M−5を5.8g得
た。
【0051】各中間体及び例示化合物M−5の同定は1H
-NMR,FDマススペクトル及びIRスペクトルにより行っ
た。
【0052】本発明に用いられるマゼンタカプラーをハ
ロゲン化銀乳剤に含有せしめることが好ましく、含有せ
しめるには、例えば、従来公知の方法に従えばよい。例
えばトリクレジルホスフェート、ジブチルフタレート等
の沸点が175℃以上の高沸点有機溶媒または酢酸エチ
ル、プロピオン酸ブチル等の低沸点溶媒のそれぞれ単独
にまたは必要に応じてそれらの混合液に本発明に係るマ
ゼンタカプラーを単独でまたは併用して溶解した後、界
面活性剤を含むゼラチン水溶液と混合し、次に高速度回
転ミキサーまたはコロイドミルで乳化した後、ハロゲン
化銀乳剤に添加することができる。
【0053】本発明に係るマゼンタカプラーは通常ハロ
ゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル、好ましくは1
×10-2〜8×10-1モルの範囲で用いることができる。
【0054】また本発明に係るマゼンタカプラーは他の
種類のマゼンタカプラーと併用することもできる。
【0055】本発明に係るピラゾロアゾール系マゼンタ
カプラーは特開平5-224369号第35頁〜第42頁記載の一般
式[A]及び/又は一般式[B]で表される画像安定剤
と併せて用いることができる。
【0056】前記一般式[A]及び一般式[B]で表さ
れる画像安定化剤の使用量は、本発明に係るピラゾロア
ゾール系マゼンタカプラーに対して、それぞれ5〜400
モル%であることが好ましく、より好ましくは10〜250
モル%である。
【0057】本発明のピラゾロアゾール系マゼンタカプ
ラーと前記画像安定化剤は同一層中で用いられるのが好
ましいが、該カプラーが存在する層に隣接する層中に前
記画像安定化剤を用いてもよい。
【0058】本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀
組成としては、塩化銀、塩臭化銀または塩沃臭化銀があ
る。また更に、塩化銀と臭化銀の混合物等の組合せ混合
物であってもよい。
【0059】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に
は、ハロゲン化銀として臭化銀、沃臭化銀、沃塩化銀、
塩臭化銀、塩沃臭化銀および塩化銀等の通常のハロゲン
化銀乳剤に使用される任意のものを用いることができ
る。
【0060】ハロゲン化銀粒子は、粒子内において均一
なハロゲン化銀組成分布を有するものでも、粒子の内部
と表面層とでハロゲン化銀組成が異なるコア/シエル粒
子でもよい。
【0061】ハロゲン化銀粒子は、潜像が主として表面
に形成されるような粒子であってもよく、また主として
粒子内部に形成されるような粒子であってもよい。
【0062】ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十
四面体のような規則的な結晶形を持つものでもよいし、
球状や板状のような変則的な結晶形を持つものでもよ
い。これらの粒子において、{100}面と{111}面の比
率は任意のものが使用できる。
【0063】またこれら結晶形の複合形を持つものでも
よく、様々な結晶形の粒子が混合されていてもよい。
【0064】ハロゲン化銀粒子の粒子サイズとしては好
ましくは、0.05〜30μ、更に好ましくは0.1〜20μのも
のを用いることができる。
【0065】ハロゲン化銀乳剤は、いかなる粒子サイズ
分布を持つものでも使用できる。粒子サイズ分布の広い
乳剤(多分散乳剤と称する。)を用いてもよいし、粒子
サイズ分布の狭い乳剤(単分散乳剤と称する。)を単独
または数種類混合して用いてもよい。また多分散乳剤と
単分散乳剤を混合して用いてもよい。本発明に用いられ
るカプラーには、色補正の効果を有するカラードカプラ
ー及び現像主薬の酸化体とのカップリングによって現像
抑制剤、現像促進剤、漂白促進剤、現像剤、ハロゲン化
銀溶剤、調色剤、硬膜剤、カブリ剤、カブリ防止剤、化
学増感剤、分光増感剤及び減感剤のような写真的に有用
なフラグメントを放出する化合物が包含される。これら
のうち、現像に伴って現像抑制剤を放出し、画像の鮮明
性や画像の粒状性を改良する所謂DIR化合物を用いて
もよい。
【0066】このDIR化合物には、カップリング位に
直接抑制剤が結合したものと、抑制剤が2価基を介して
カップリング位に結合しており、カップリング反応によ
り離脱した基内での分子内求核反応や分子内電子移動反
応等により抑制剤が放出されるように結合したもの(タ
イミングDIR化合物と称する。)が含まれる。また抑
制剤も離脱後拡散性のものとそれほど拡散性を有してい
ないものを、用途により単独でまたは併用して用いるこ
とができる。
【0067】芳香族第1級アミン現像剤の酸化体とカッ
プリング反応を行うが、色素を形成しない無色カプラー
(競合カプラーともいう。)を色素形成カプラーと併用
して用いることもできる。
【0068】本発明において好ましく用いられるイエロ
ーカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド系カ
プラーを挙げることができる。これらのうち、ベンゾイ
ルアセトアニリド系及びピバロイルアセトアニリド系化
合物が有利に使用できる。
【0069】本発明において好ましく用いられるシアン
カプラーとしては、フェノールまたはナフトール系カプ
ラーが挙げられる。
【0070】感光材料の乳剤層間(同一感色性層間及び
/又は異なった感色性層間)で現像主薬の酸化体又は電
子移動剤が移動して色濁りが生じたり、鮮鋭性が劣化し
たり、粒状性が目立つのを防止するために色カブリ防止
剤を用いることもできる。
【0071】本発明の感光材料には、色素画像の劣化を
防止する画像安定剤を用いることができる。好ましく用
いることができる化合物はRD17643号のVII項Jに記載
されているものである。
【0072】感光材料の保護層、中間層等の親水性コロ
イド層は感光材料が摩擦等で帯電することに起因する放
電によるカブリ防止及び画像の紫外線による劣化を防止
するために紫外線防止剤を含んでいてもよい。
【0073】感光材料の保存中のホルマリンによるマゼ
ンタ色素形成カプラー等の劣化を防止するために、感光
材料にホルマリンスカベンジャーを用いることができ
る。
【0074】本発明は、カラーネガフィルム、カラーペ
ーパー、カラーリバーサルフィルム等に好ましく適用す
ることができる。
【0075】
【実施例】次に本発明を実施例に基づき説明するが、本
発明の実施態様はこれに限定されない。
【0076】実施例1 紙支持体の片面にポリエチレンを、もう一方の面に酸化
チタンを含有するポリエチレンをラミネートした支持体
上に、以下の表1、表2に示す構成の各層を酸化チタン
を含有するポリエチレン層の側に塗設し、多層ハロゲン
化銀カラー写真感光材料試料101を作製した。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】塗布液は下記の如く調製した。
【0080】第1層塗布液 イエローカプラー(EY−1)26.7g、色素画像安定化
剤(ST−1)10.0g、色素画像安定化剤(ST−2)
6.67g、ステイン防止剤(HQ−1)0.67gおよび高沸
点有機溶媒(DNP)6.67gに酢酸エチル60cc. を加え
溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−2)水溶液
7cc.を含有する10%ゼラチン水溶液220cc.に超音波ホ
モジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー
分散液を作製した。
【0081】この分散液を下記に示す青感性ハロゲン化
銀乳剤(銀8.67g含有)と混合し、さらにイラジエーシ
ョン防止染料(AIY−1)を加え第1層塗布液を調製
した。
【0082】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に調製した。また、硬膜剤として第2層及び第4
層に(HH−1)を、第7層に(HH−2)を添加し
た。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−1)、(S
U−3)を添加し、表面張力を調整した。
【0083】以下に前述の各層中に使用される化合物の
構造式を示す。
【0084】
【化12】
【0085】
【化13】
【0086】
【化14】
【0087】
【化15】
【0088】
【化16】
【0089】 青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B) 平均粒径0.85μm、変動係数=0.07、塩化銀含有率99.5モル%の 単分散立方体塩臭化銀乳剤 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX 塩化金酸 0.5mg/モルAgX 安 定 剤 STAB―1 6×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS―1 4×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS―2 1×10-4モル/モルAgX 緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G) 平均粒径0.43μm、変動係数=0.08、塩化銀含有率99.5モル%の 単分散立方体塩臭化銀乳剤 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX 塩化金酸 1.0mg/モルAgX 安 定 剤 STAB―1 6×10-4モル/モルAgX 増感色素 GS―1 4×10-4モル/モルAgX 赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R) 平均粒径0.50μm、変動係数=0.08、塩化銀含有率99.5モル%の 単分散立方体塩臭化銀乳剤 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX 塩化金酸 2.0mg/モルAgX 安 定 剤 STAB―1 6×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS―1 1×10-4モル/モルAgX 以下に各単分散立方体乳剤中に使用された化合物の構造
式を示す。
【0090】
【化17】
【0091】次に試料101の第3層のカプラーEM−1
を等モルの下記表3に示す本発明のカプラーに入れ替え
て試料102〜107を作製した。
【0092】このようにして作製した試料を常法に従っ
て緑色光によってウエッジ露光後、下記の処理工程に従
って処理を行った。
【0093】 処理工程 温 度 時 間 発色現像 35.0±0.3℃ 45秒 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 安 定 化 30〜34℃ 90秒 乾 燥 60〜80℃ 60秒 各処理液の組成を以下に示す。
【0094】各処理液の補充量はハロゲン化銀カラー写
真感光材料1m2当たり80cc.である。
【0095】発色現像液 タンク液 補充液 純水 800cc. 800cc. トリエタノールアミン 10g 18g N,N-ジエチルヒドロキシルアミン 5g 9g 塩化カリウム 2.4g 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸 1.0g 1.8g N-エチル-N-β-メタンスルホンアミドエチル -3-メチル-4-アミノアニリン硫酸塩 5.4g 8.2g 蛍光増白剤(4,4′-ジアミノスチルベンスルホン 酸誘導体) 1.0g 1.8g 炭酸カリウム 27g 27g 水を加えて全量を1000cc.とし、タンク液においてはpH
を10.10に、補充液においてはpHを10.60に調整する。
【0096】漂白定着液 (タンク液と補充液は同一) エチレンジアミンテトラ酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 60g エチレンジアミンテトラ酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100cc. 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5cc. 水を加えて全量を1000cc.とし、炭酸カリウム又は氷酢
酸でpHを5.7に調整する。
【0097】安定化液 (タンク液と補充液は同一) 5-クロル-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 1.0g エチレングリコール 1.0g 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸 2.0g エチレンジアミンテトラ酢酸 1.0g 水酸化アンモニウム(20%水溶液) 3.0g 蛍光増白剤(4,4′-ジアミノスチルベンスルホン 酸誘導体) 1.5g 水を加えて全量を1000cc.とし、硫酸又は水酸化カリウ
ムでpHを7.0に調整する。
【0098】連続処理後の試料を用いて以下の評価を行
った。
【0099】〈Dmax〉最大発色濃度を測定した。
【0100】〈耐光性〉得られた試料をキセノンフェー
ドメータで7日間照射し、初濃度1.0における色素画像
の残存率(%)を求めた。
【0101】これらの結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】表3から明らかなように、本発明のマゼン
タカプラーを用いた試料102〜107は比較試料101に比べ
発色性、耐光性双方に優れている。
【0104】実施例2 実施例1の試料No.101の第3層のマゼンタカプラーを等
モルの下記表4に示すカプラーに入れ替えた試料121〜1
25を作成した。
【0105】得られた試料を用いて実施例1と同様な評
価を行った。結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】表4から明らかなように、本発明のマゼン
タカプラーを用いた試料122〜125は比較試料121に比べ
発色性、耐光性双方に優れている。
【0108】実施例3 実施例1の試料101の第3層のマゼンタカプラーを等モ
ルの下記表5に示すカプラーに入れ替えた試料131〜134
を作成した。
【0109】得られた試料を用いて実施例1と同様な評
価を行った。結果を表5に示す。
【0110】
【表5】
【0111】表5から明らかなように、本発明のマゼン
タカプラーを用いた試料132〜134は比較試料131に比べ
発色性、耐光性双方に優れている。
【0112】実施例4 実施例1の試料101〜107の反射分光吸収スペクトルを測
定し、分光吸収特性λmax及びΔλL0.2を評価した。結
果を表6に示す。
【0113】λmax;反射光学濃度1.0におけるウェッジ
の極大吸収波長を表す。
【0114】△λL0.2;反射光学濃度1.0のウェッジに
おける吸光度0.2を与える極大吸収波長よりも長波側の
波長と極大波長との差を表す(λmaxの吸光度を1.0とす
る。
【0115】この値が小さいほど吸収がシャープであ
る)。
【0116】
【表6】
【0117】表6から明らかなように、本発明のマゼン
タカプラーを用いた試料102〜107では比較カプラーを用
いた試料101に比べ△λL0.2の値が減少して(吸収がシ
ャープになって)おり色再現性が向上している。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば、画像保存性に優れ、か
つ発色性、色再現性及び現像処理時の安定性に優れたハ
ロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔M−I〕または〔M−II〕
    で表されるマゼンタカプラーを少なくとも1つ含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。 【化1】 〔式中、R1及びR3はそれぞれ置換基を表し、Xは水素
    原子または発色現像主薬の酸化体との反応により離脱す
    る基を表し、L1及びL2は直鎖または分岐の炭化水素鎖
    を表し、R2及びR4はそれぞれ 【化2】 を表す。R5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ
    脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、該脂肪族
    基、芳香族基は各々置換基を有してもよい。〕
  2. 【請求項2】 前記一般式〔M−I〕または〔M−II〕
    で表されるマゼンタカプラーの分子量が1500以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写
    真感光材料。
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