JPH07171387A - 花粉症アレルゲン除去材 - Google Patents

花粉症アレルゲン除去材

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JPH07171387A
JPH07171387A JP32021693A JP32021693A JPH07171387A JP H07171387 A JPH07171387 A JP H07171387A JP 32021693 A JP32021693 A JP 32021693A JP 32021693 A JP32021693 A JP 32021693A JP H07171387 A JPH07171387 A JP H07171387A
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sulfonic acid
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cloth
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隆夫 清水
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和俊 寺田
Seisuke Takashima
征助 高島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】花粉症の原因となるアレルゲンを不活性化さ
せ、花粉症用マスク、カ−テン、カ−ペット等に有用な
花粉症アレルゲン除去材を提供する。 【構成】スルホン酸変性ポリビニルアルコ−ル系共重合
体の水分散体を塗布してなる布帛からなり、布帛表面の
該共重合体量が布帛全体に対して1重量%以上であるこ
とを特徴とする花粉症アレルゲン除去材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大気中に浮遊している
花粉症の原因物質(アレルゲン)を除去する花粉アレル
ゲン除去材、とくに花粉症用マスクに関する。
【0002】
【従来の技術】我国において、1963年に「花粉症」
という症例報告がなされて以来、毎年2月〜4月の植物
の開花期と合致するようにおびただしい「花粉症」患者
が発生している。これらの患者には、鼻炎、頭痛、流涙
症(涙目)、全身倦怠感等多彩な症状がみられ、不快感
を訴える者が多い。「花粉症」はアレルギ−疾患と総称
されているが、その原因物質(アレルゲン)は極めて多
種多様であり、患者個人によってアレルゲンが異なると
いう複雑さがある。このアレルゲン関連物質として最も
一般的なものは、イネ科植物花粉、雑草花粉、樹木花
粉、真菌、動物表皮、昆虫、ダニ、室内塵埃等であり、
通常は微小の形態をしている。
【0003】とくにスギ花粉症患者は国内、国外とも全
人口の数パ−セントにも達するといわれており、年々深
刻な問題が提起されている。ところで、このスギ花粉は
走査型電子顕微鏡による観察では、長径が約30μであ
って、中央部が凹んだ楕円半球の形状であり、その表面
に直径約1μの顆粒状物質が認められる。
【0004】現在、スギ花粉症の診断は、スギ花粉から
採取された成分を50%のグリセリン−生理食塩水に溶
解した試料を、乱刺または切皮法によって出血しない程
度に傷つけられた皮膚面に1滴滴下し、15〜30分後
の膨疹径が対照の2倍以上または5mm以上となる場合
を陽性とする方法によっている。
【0005】比較的軽度の花粉症に対処する措置とし
て、一般にマスクが用いられており、水に濡らしたマス
クも試みられている。また、大気中に存在する細菌やア
レルゲン物質を弱体化させ、および/または変性させる
装置として、内部に紫外線および赤外線発生装置を組み
込んだ装置が提案されている(特開昭62−24965
4号公報)。一方、比較的重度の患者に対しては、減感
作療法、抗ヒスタミン剤やステロイド剤等の薬剤による
療法が現在実施されている[例えば、「耳鼻咽喉科臨
床」誌、Vol.83、No.1、P166〜167
(1990)]。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】通常のマスクで物理的
に花粉を補足するには極めて目の細かい布を用いる必要
があるが、このような布を用いると呼吸するのに負荷が
かかりすぎる。しかも、このようなマスクを用いても花
粉の呼吸器への侵入を完全に阻止することは困難であ
り、仮に花粉を完全に捕捉できたとしても、アレルゲン
物質までを阻止することは困難である。また、減感作療
法においては治療エキスの入手が困難であるため、適用
には限界があり、抗アレルギ−剤に抗ヒスタミン剤また
はステロイド剤を併用する薬剤療法に頼らざるを得ない
のが現状である。薬剤療法によればある程度の症状の軽
減は認められるものの、通院の煩わしさに加え、薬剤を
継続的に使用することによる副作用の心配がある。本発
明の目的は、薬剤療法によることがなく、簡単にアレル
ゲン物質の呼吸器への侵入を防ぐことのできるマスク、
カ−テン、カ−ペット等人体用または室内用花粉アレル
ゲン除去材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成するため、とくにスギ花粉のアレルゲンに注目し
た。該アレルゲンは分子量が(4.5〜5.0)×10
4 であること(TaniaiM.et al;FEBS Lett, 239; 329-33
2, 1988)、および紫外線測定により該アレルゲンは分子
末端にカルボン酸を有する植物性の蛋白質であること、
等に鑑み鋭意検討した結果、スルホン酸塩またはスルホ
ン酸を有するポリビニルアルコ−ル系共重合体で該アレ
ルゲン物質を科学的に吸着することにより、該アレルゲ
ン物質がヒトの鼻腔内や口腔内に侵入する機会を抑制す
ることができることを見出だし、本発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、スルホン酸変性ポリ
ビニルアルコ−ル系共重合体の水分散体を塗布してなる
布帛からなり、布帛表面の該共重合体量が布帛全体に対
して1重量%以上であることを特徴とする花粉症アレル
ゲン除去材である。
【0009】本発明に係わるスルホン酸変性ポリビニル
アルコ−ル系共重合体(以下、スルホン酸変性PVA系
共重合体と称する)とは、分子中スルホン基を導入せし
めたPVA系共重合体であって、該共重合体はPVAと
濃硫酸を反応させる方法、PVAをヨウ素、臭素等で酸
化処理した後に酸性亜硫酸ソ−ダ水溶液と反応させる方
法、あるいはPVAとスルホン基を有するアルデヒド化
合物を酸触媒下で反応させスルホアセタ−ル化する方法
などの後変性の方法、エチレンスルホン酸、アリルスル
ホン酸、メタアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸また
はそれらの塩と酢酸ビニルとを共重合せしめた後、ケン
化反応によりスルホン基を含有したPVAを製造する方
法等によって得られる。
【0010】また、特開昭56−72006号公報に記
載されているように、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ぎ酸ビニル等のビニルエステルと下記式(I)で示
される化合物をアルコ−ルの存在下でラジカル重合開始
剤を用いて共重合させ、しかる後に該共重合体のアルコ
−ル溶液にアルカリまたは酸触媒を作用させて該共重合
体中のビニルエステル部分を部分的あるいは全部ケン化
せしめてビニルアルコ−ルにすることにより製造された
スルホン酸変性PVA系共重合体であってもよい。
【0011】
【化1】 (R1 は水素原子または低級アルキル基、R2 はアルキ
ル基、R3 、R4 、R5は水素原子またはアルキル基、
Mは水素原子またはアルカリ金属を示す。)
【0012】上記化合物の具体例としては、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそのア
ルカリ金属塩、2−アクリルアミド−1−メチルプロパ
ンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、2−メタクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそのア
ルカリ金属塩を挙げることができる。
【0013】本発明に係わるスルホン酸変性PVA系共
重合体におけるスルホン酸変性量は用途に応じて適宜選
択され、とくに制限はない。また該共重合体の重合度に
ついても制限はないが、300〜30000が好まし
く、500〜10000であることがより好ましい。重
合度が300未満の場合、該共重合体の水分散体を塗布
した布帛は、高温多湿下において塗布物がはがれ、アレ
ルゲン除去の効果がなくなる等のトラブルを生じやす
い。さらに、該共重合体のケン化度は60〜99.9モ
ル%が好ましく、70〜99.5モル%がより好まし
い。ケン化度が60モル%より小さい場合には、水への
溶解性が低下する傾向にあるので好ましくない。また、
該共重合体に含有されるスルホン基は酸の状態でも、ア
ルカリ金属等の塩基の状態でもよい。
【0014】本発明の水分散体中におけるスルホン酸変
性PVA系共重合体濃度は、布帛表面に塗布しやすい濃
度であればとくに制限はなく、通常、5重量%以上であ
ることが好ましい。また、スルホン酸変性PVA系共重
合体の水への溶解性を考慮すると該PVA系共重合体の
濃度は30重量%以下であることが好ましい。
【0015】布帛表面におけるスルホン酸変性PVA系
共重合体の塗布量は、布帛全体に対して1重量%以上で
ある必要があり、1重量%未満ではアレルゲン吸着効果
が低い。塗布量の上限はとくに制限はないが、あまり塗
布量が多いと、布帛の柔軟性が失われるので10重量%
以下であることが好ましい。
【0016】本発明において、布帛とは、織物、編物、
不織布等を示し、これらはマスク、カ−テン、カ−ペッ
ト、シ−ツ等、種々の用途にあわせてその構成、形態等
を適宜選択して加工することができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により何等限定されるも
のではない。実施例中における血清中の抗体の測定は以
下の方法により測定した。 《測定方法》鳥居薬品(株)製スギ花粉アレルゲン1ml
を生理食塩液100mlに溶解した検査液(以下、この液
をアレルゲン溶液と記す)2mlに、スルホン酸変性PV
A系共重合体が塗布された布帛片を0.2g浸漬し、室
温にて1時間放置した。次いでその処理液を孔径0.2
μのポ−ルフィルタ−[ゲルマン(株)製]を用いて濾
過し、濾液0.5mlをスギ花粉症既往の被験者の血清
1.0mlに添加し、血清中の抗体(IgE抗体)をRA
ST法にて測定した。
【0018】実施例1〜4 下記の布帛を使用して、血清中の抗体を測定した。結果
を表1に示す。 実施例1:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸ナトリウムを5モル%共重合した酢酸ビニル
(ケン化度75モル%)の10重量%水溶液を綿ブロ−
ドに塗布し、該スルホン酸変性PVA系共重合体の塗布
量が5重量%である布帛。 実施例2:実施例1で使用した水溶液をイオン交換樹脂
を用いてスルホン酸ナトリウムをスルホン酸に変えた水
溶液を綿ブロ−ドに塗布し、該スルホン酸変性PVA系
共重合体塗布量が5重量%である布帛。 実施例3:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸ナトリウムを3モル%共重合した酢酸ビニル
(ケン化度88モル%)の10重量%水溶液を綿ブロ−
ドに塗布し、該スルホン酸変性PVA系共重合体の塗布
量が5重量%である布帛。 実施例4:実施例3で使用した水溶液をイオン交換樹脂
を用いてスルホン酸ナトリウムをスルホン酸に変えた水
溶液を綿ブロ−ドに塗布し、該スルホン酸変性PVA系
共重合体塗布量が5重量%である布帛。
【0019】比較例1〜2 下記の繊維を使用して、血清中の抗体を測定した。結果
を表1に示す。 比較例1:木綿(脱脂綿) 比較例2:汎用PETを溶融紡糸して得た繊維
【0020】参考例1 スギ花粉症既往の被験者の血清のみの例である。
【0021】参考例2 参考例1の血清1.0mlに生理食塩液0.5mlを添加
したときの例である。
【0022】参考例3 参考例1の血清1.0mlにアレルゲン溶液0.5mlを
添加したときの例である。
【0023】各例での場合の実験結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1における参考例1は、スギ花粉症既往
の被験者の血清中の抗体価を測定したものであり、かな
りの高い価を示している。参考例2はこの血清に生理食
塩液を加え、生理食塩液の希釈効果をみたもの、すなわ
ち(−)コントロ−ルしたものであり、参考例3は血清
にアレルゲン溶液を加え(+)コントロ−ルしたもので
ある。
【0026】表1に示されるように、特定の塩または基
が共重合されたPVA系共重合体の水分散体が塗布され
た布帛を用いた場合、血清中の抗体価は参考例2程度ま
で回復しており、アレルゲンが完全に該布帛に吸着され
ていることがわかる。
【0027】実施例5および比較例3 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウムを5モル%共重合した酢酸ビニル(ケン化度1
00%)の10重量%水溶液をイオン交換樹脂を用い
て、スルホン酸ナトリウムをスルホン酸に変え、該水溶
液に目付30g/m2 のレ−ヨン不織布を浸漬して乾燥
した。スルホン酸変性PVA系化合物の塗布量は6重量
%であった。
【0028】比較のために、未処理のレ−ヨン不織布を
用いた。これら各々の不織布を3枚重ねてガ−ゼで包
み、市販のマスクの内側にセットして着用実験を行なっ
た。花粉が飛びやすい4月に3週間かけて本実施例品の
着用者2名(A)、比較例品の着用者2名(B)で着用
テストを実施した結果、血液中のアレルゲン抗体の増加
量が、(B)に比較して(A)の場合は1/6と著しく
小さく、花粉の吸着除去の有効性が明確に確認できた。
【0029】
【発明の効果】本発明の除去材は、大気中に浮遊してい
る花粉アレルゲンを簡単に不活性化でき、花粉アレルゲ
ンの人体への侵入を防ぐことができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スルホン酸変性ポリビニルアルコ−ル系共
    重合体の水分散体を塗布してなる布帛からなり、布帛表
    面の該共重合体量が布帛全体に対して1重量%以上であ
    ることを特徴とする花粉症アレルゲン除去材。
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