JPH07170990A - L−カルニチンの製造法 - Google Patents

L−カルニチンの製造法

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JPH07170990A
JPH07170990A JP8823991A JP8823991A JPH07170990A JP H07170990 A JPH07170990 A JP H07170990A JP 8823991 A JP8823991 A JP 8823991A JP 8823991 A JP8823991 A JP 8823991A JP H07170990 A JPH07170990 A JP H07170990A
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JP
Japan
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carnitine
acremonium
culture
cephalosporium
producing
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JP8823991A
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Kazuo Nakahama
一雄 中濱
Mikio Izawa
幹夫 伊澤
Tsuneo Kanamaru
恒夫 金丸
Susumu Shinagawa
進 品川
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】L−カルニチンの発酵生産において、工業的に
有利な方法を開発する。 【構成】セファロスポリウム属またはアクレモニウム属
に属し、L−カルニチンを生産する能力を有する微生物
を培養し、培養物中にL−カルニチンを生成蓄積せし
め、これを採取する。 【効果】本発明の発酵法により、L−カルニチンを有利
に製造でき、また、応用微生物学の領域で通常用いられ
る、生産菌株の変異育種によって、より高い生産量を期
待することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、心臓疾患や脂肪血症の
治療剤として有用であり、また高カロリー輸液として使
用できることが知られているL−カルニチンの製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】L−カルニチンは化学合成法などによっ
て製造されることが知られているが、このような化学合
成法によるとラセミ体が生成するためその分割のための
工程が必須となるので製造工程が煩雑となる。一方、エ
メリセラ属(特開昭60−214890号公報),リゾ
ップス属(特開平2−119786号公報),モナスカ
ス属(特開平2−69188号公報),サッカロミセス
属(特開平2−79967号公報)などの微生物を用い
てL−カルニチンを醗酵生産する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
ではL−カルニチンの生産量が低く、工業的にL−カル
ニチンを生産することは容易ではなく、さらに有利な製
造法が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者らは、醗酵法によりL−カルニチンを有利に製造す
る方法を得る目的で鋭意研究した結果、セファロスポリ
ウム属またはアクレモニウム属に属する微生物が上記の
微生物よりもはるかに多量のL−カルニチンを生産する
ことを見いだし、これに基づいてさらに研究した結果、
本発明を完成した。
【0005】即ち本発明は、(1)セファロスポリウム
属またはアクレモニウム属に属し、L−カルニチンを生
産する能力を有する微生物を培養し、培養物中にL−カ
ルニチンを生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴
とするL−カルニチンの製造法および(2)微生物が、
セファロスポリウム・アクレモニウム(アクレモニウム
・クリソゲナム)である(1)の製造法に関する。
【0006】本発明に用いる微生物としては、セファロ
スポリウム(Cephalosparium)属またはアクレモニウム
(Acremonium)属に属し、L−カルニチンを生産する能
力を有するものであればいずれでも用いることができ
る。その例としてはセファロスポリウム・アクレモニウ
ム(Cephalosporium acremonium)〔アクレモニウム・
クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)〕などが挙げ
られ、さらに具体的には、セファロスポリウム・アクレ
モニウムC−10(アクレモニウム・クリソゲナムAT
CC 48272),セファロスポリウム・アクレモニ
ウムK−121(アクレモニウム・クリソゲナムATC
C 20427)などが挙げられる。上記の微生物はア
メリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(Americ
an Type Culture Collection)から入手することができ
る。
【0007】本発明の培養に用いられる培地は、用いら
れる微生物が利用し得る栄養源を含むものなら、液状で
も固状でもよいが、大量に処理するときには液体培地を
用いるのがより適当である。培地には同化し得る炭素
源、消化し得る窒素源,無機物質,微量栄養素が適宜配
合される。炭素源としては、たとえばブドウ糖,乳糖,
ショ糖,麦芽糖,デキストリン,でん粉,マニトール,
ソルビトール,グリセロール,油脂類(例、大豆油,オ
リーブ油,ヌカ油,ごま油,ラード油,チキン油な
ど),各種脂肪酸(例、ラウリン酸,ミリスチン酸,パ
ルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸など),窒素源
としては、たとえば肉エキス,酵母エキス,乾燥酵母,
大豆粉,脱脂大豆粉,コーン・スチープ・リカー,ペプ
トン,綿実粉,癈糖蜜,尿素,チオ尿素,アンモニウム
塩類(例、硫酸アンモニウム,塩化アンモニウム,硝酸
アンモニウム,酢酸アンモニウムなど)その他が用いら
れる。さらにナトリウム,カリウム,カルシウム,マグ
ネシウムなどを含む塩類,鉄,マンガン,亜鉛,コバル
ト,ニッケルなどの金属塩類,リン酸,ホウ酸などの塩
類や酢酸,プロピオン酸などの有機酸の塩類が適宜用い
られる。その他、アミノ酸(例、グルタミン酸,アスパ
ラギン酸,アラニン,リジン,バリン,メチオニン,プ
ロリン等),ペプチド(例、ジペプチド,トリペプチド
等),ビタミン類(例、B1,B2,ニコチン酸,B12
C等),核酸類(例、プリン,ピリミジンおよびその誘
導体)等を含有させてもよい。もちろん培地のpHを調
節する目的で無機または有機の酸、アルカリ類等を加
え、あるいは消泡の目的で油脂類,表面活性剤等の適量
が添加される。培地のpHは4〜10であり、とくに6
〜9が好ましい。
【0008】培養の手段としては静置培養,振とう培
養,通気撹拌培養のいずれでもよいが、大量の培養には
通気撹拌培養が望ましい。培養の温度は15℃〜37℃
であるが、とくに22℃〜30℃が望ましい。培養時間
としては培養条件によって異なるが3〜24日であり、
とくに6〜18日が望ましい。
【0009】上記の方法で微生物を培養し、培養物中に
L−カルニチンを生成蓄積させる。次にこの培養物から
L−カルニチンを採取する。生成したL−カルニチンは
主として培養ろ液中に存在するので、培養物をろ過また
は遠心分離によってろ液と菌体とに分離し、そのろ液か
ら精製するのが有利である。しかし培養物から、直接に
精製することも可能である。
【0010】L−カルニチンを採取するには微生物が生
産する代謝産物を採取するのに通常用いられている手段
を適宜利用することができる。たとえばろ過または遠心
分離によって菌体を除去したのち、そのろ液から一般に
有効物質を分離,精製する方法を用いる。
【0011】すなわち適当な溶媒に対する溶解性および
溶解度の差、溶液からの析出法および析出速度の差、種
々の吸収親和力の差、イオン交換体によるイオン交換ク
ロマトグラフィーあるいは減圧濃縮,凍結乾燥,結晶
化,再結晶,乾燥などの手段が単独あるいは任意の順序
に組合わせて、または反復して利用される。
【0012】本発明で生産されたL−カルニチンは例え
ばN−アシルエメリアミン(特開昭58−96049号
公報)およびキャンディダ・ウチリス(Candia utili
s)IFO 0619を用いる微生物定量法(特開平1
−225500号公報)などによって定量することが出
来る。
【0013】
【作用】このようにして得られたL−カルニチンは、心
臓疾患の治療剤〔循環器科,14巻5号386ページ及
び394ページ(1983年);ジャーナル・オブ・ア
プライド・ビオケミストリー(Journal of Applied Bio
chemistry)3巻328ページ(1981年)参照〕,
脂肪血症の治療剤〔ドラッグ・アンダー・エクスペリメ
ンタル・アンド・クリニカル・リサーチ(Drug under e
xperimental andclinical research)9巻12号925
ページ(1983年)参照〕として用いられ、また、高
カロリー輸液〔外科と代謝・栄養 17巻1号82ペー
ジ(1983年);特開昭54−154512号公報参
照〕として用いられることが知られている。
【0014】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。 実施例1 セファロスポリウム・アクレモニウムC−10を0.1
%硫安,3%コーン・スティープ・リカー,4%コーン
スターチ,0.8%脱脂大豆粉(soybean me
al),5%糖蜜,2.4%オレイン酸メチル,0.3
%炭酸カルシウム,pH7.0からなる10mlの培地(1
00ml容三角フラスコ中)に接種し、28℃で3日間振
とう培養した。得られた培養液の1.5mlを2%ショ
糖,1.25%硫酸カルシウム,0.8%コーン・スティ
ープ・リカー,5%糖蜜,6%脱脂大豆粉,3%オレ
イン酸メチル,0.5%炭酸カルシウム,pH6.4から
なる15mlの培地(20 0ml容三角フラスコ中)に移
し、23.5℃で8,12,16日間振とう培養し た。
この培養液を遠心分離し、上清を得た。
【0015】実施例2 実施例1で得られた培養上清の中のL−カルニチンをN
−アシルエメリアミン(特開昭58−96049号公
報)およびキャンディダ・ウチリスIFO 0619を
用いる微生物定量法(特開平1−225500号公報)
で定量した結果を〔表1〕に示す。
【表1】 上記の16日培養の培養上清(1μl)をセルロースの
薄層クロマトグラフィー用スポットフィルム(東京化
成)にスポットし、n−プロパノール−28%アンモニ
ア水−水(70:2:28)の溶媒系で展開したのち、
キャンディダ・ウチリスIFO 0169およびN−ア
シルエメリアミンを含むL−カルニチン定量用寒天平板
でバイオオートグラフィー(特開平1−225500号
公報)を行った。その結果は、図−1に示すように、上
記の培養上清(1μl:1)及びL−カルニチン標準品
(0.5μg:2)のRf値はほぼ一致した。
【0016】実施例3 実施例1と同様にして得られた培養液3000mlを濾過
助剤(ハイフロスーパーセル,ジョーンズ・マンビル・
プロダクト社製,米国)を用いて濾過し、除菌した培養
濾液2000mlを得た。これをイオン交換樹脂アンバー
ライトIRA−402(OH型)(ローム・アンド・ハ
ース社製,米国)(1600ml)、アンバーライトIR
C−50(H型)(ローム・アンド・ハース社製,米
国)(1600ml)及びアンバーライトIR−120
(H型)(ローム・アンド・ハース社製,米国)(16
00ml)の3本のカラムに順に通液し、9600mlの水
で全カラムを洗浄した。IR−120のカラムのみをさ
らに4800mlの水で洗浄し、このカラムより4800
mlの2Nアンモニア水で溶出を行ない、1600mlから
4800mlまでの溶出画分をあつめて670mlまで減圧
濃縮した。この濃縮液をアンバーライトIRA−402
(OH型,640ml)のカラムに再度通し、1920ml
の水でカラムを洗浄後、通過液と洗液を合せて80mlま
で減圧濃縮した。この濃縮液を活性炭(LH2C炭,武
田薬品工業社製)に通し、80mlの水でカラムを洗浄
後、160mlの10%メタノール水で溶出を行ない40
mlから152mlまでの溶出画分をあつめて減圧濃縮し
た。得られた残留物を2mlの水に溶解して、イオン交換
樹脂PA−306S(OH型)(三菱化成工業株式会社
製)(80ml)のカラムに通した後、水100mlで溶出
を行ない、60mlから88mlまでの溶出画分をあつめて
減圧濃縮し、260mgの油状物を得た。これに1.6ml
の1N塩酸を加えて減圧濃縮し、残留物をエタノール−
アセトンから結晶化して220mgのL−カルニチン塩酸
塩を得た。得られた結晶の主な理化学データを以下に示
す。 比旋光度=−23.6゜(D線,c=0.5,水,26
℃) 元素分析(C716NO3Cl)として 計算値:C,42.54; H,8.16; N,7.09; Cl,
17.94 % 実測値:C,42.25; H,8.55; N,7.06; Cl,
17.72 % 質量分析 (M+1)+=1621 H−NMR(300MHz,重水中) δ:2.64,3.22,3.47,4.6713 C−NMR(300MHz,重水中) δ:42.9,57.1,65.7,72.5,177.0 赤外吸収スペクトル νmax(KBr)cm-1:3400, 2950, 1720, 1480, 1440,
1290, 1190, 1090, 980, 930, 880, 830, 610
【0017】実施例4 セファロスポリウム・アクレモニウムK−121を実施
例1で記載した方法と同様の方法で培養し、その培養上
清中のL−カルニチンを実施例2で記載した方法と同様
の方法で定量したところ、培地中に21μg/mlのL−
カルニチンが生産されていることがわかった。
【0018】
【発明の効果】本発明は、従来、化学合成で製造されて
いたL−カルニチンを醗酵法で多量に製造する方法に関
するものである。本発明によると、通常の合成法によっ
て生じる光学異性体のD体の関与を問題にしなくても良
く、又光学活性のL体のみを合成するための技術的煩雑
さを避けることができる利点がある。また、L−カルニ
チンを培養液中より直接採取しうる利点がある。又、醗
酵法による製造においては、応用微生物学の領域で通常
用いられる生産菌株の変異育種によって、より高い生産
量を期待することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で行なったバイオオートグラフィーに
おける各試料の生育円を模式的に示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セファロスポリウム属またはアクレモニウ
    ム属に属し、L−カルニチンを生産する能力を有する微
    生物を培養し、培養物中にL−カルニチンを生成蓄積せ
    しめ、これを採取することを特徴とするL−カルニチン
    の製造法。
  2. 【請求項2】微生物が、セファロスポリウム・アクレモ
    ニウム(アクレモニウム・クリソゲナム)である請求項
    (1)の製造法。
JP8823991A 1990-11-29 1991-04-19 L−カルニチンの製造法 Withdrawn JPH07170990A (ja)

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JP2-334973 1990-11-29
JP33497390 1990-11-29
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170072563A (ko) * 2015-12-17 2017-06-27 서울대학교산학협력단 L 카르니틴 함유 발효 산물을 이용한 l 카르니틴 함유 버섯의 재배 방법 및 이에 의하여 재배된 l 카르니틴 함유 기능성 버섯
CN115745818A (zh) * 2022-11-22 2023-03-07 安徽泰格生物科技有限公司 一种左旋肉碱盐酸盐的制备方法

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