JPH0716878B2 - 砥石の製造方法 - Google Patents

砥石の製造方法

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JPH0716878B2
JPH0716878B2 JP8258389A JP8258389A JPH0716878B2 JP H0716878 B2 JPH0716878 B2 JP H0716878B2 JP 8258389 A JP8258389 A JP 8258389A JP 8258389 A JP8258389 A JP 8258389A JP H0716878 B2 JPH0716878 B2 JP H0716878B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は砥石の製造方法に関し、さらに詳しく言うと、
たとえば半導体材料、硬脆材料、金属材料等の超精密仕
上げを短時間で行なうことができて、特に鏡面仕上げに
好適に使用することのできる新規な砥石の製造方法に関
する。
[従来技術および発明が解決しようとする課題] 各種工作物の表面加工に用いられる砥石の製造方法とし
ては、たとえばビトリファイド法、シリケート法、ベー
クライト法、ゴム法、マグネシア法などが知られてい
る。
ビトリファイド法は、たとえば、結合剤で隈なく被覆し
て湿潤状態にした砥粒を圧搾成形してから、乾燥させ
て、その後、旋削成形したものを最高1320℃付近の温度
にて焼成する方法であり、シリケート法は、結合剤にケ
イ酸ナトリウムを使用して低温で焼成する方法である。
また、ベークライト法は、フェノール樹脂を結合剤に使
用する方法であり、ゴム法はゴムを結合剤に使用する方
法であり、マグネシア法は酸化マグネシウムを含有する
結合剤であるオキシクロライドボンドを使用する方法で
ある。
そして、これら従来の製造方法においては、いずれも砥
粒と結合剤との圧搾成形を行なう必要がある。
一方、表面粗さの小さい精密加工を行なうためには、粒
子径の小さい超微粒砥粒を用いて砥石を形成することが
望まれる。
しかしながら、従来の製造方法により、たとえば一次粒
子径が1μm以下である超微粒砥粒を使用して砥石を製
造すると、前記の圧搾成形において、粒子間に存在する
空気の影響が相対的に大きくなるので、結果的に充填密
度が低下して所期の表面粗さを有する砥石を得ることが
できないという問題が生ずる。
そして、この問題は、たとえば半導体材料等の特に精密
の表面加工が要求される分野においては、所望の精度で
表面加工を行なうことができないという問題を招く。
そこで、かかる問題を解決するために、種々の提案がな
されている。
たとえば、特公昭59−46739号あるいは特開昭57−16305
5号公報においては、研磨材微粒子の流体懸濁液中に
浮力により加工ホルダーを浮べること、該ホルダーか
ら間隔をおいてポリシャを設けること、加工物ホルダ
ーに取付けた加工物の加工面のポリシャ面とを平行に保
持すること、加工物ホルダーとポリシャとに互いに逆
方向の回転運動を付与して加工面のポリシャ面とが作る
空間内に前記懸濁液の層流を形成すること、前記懸濁
液中に加工物以外の場所に設けた電極とポリシャとに直
流電圧を印加すること、及び研磨材微粒子を電気泳動
によりポリシャ面上に引付けて加工物表面に作用する研
磨材微粒子数を制御すること、を包含してなる表面研磨
法が開示されている。
しかしながら、この方法は、表面粗さが砥石の大きさに
大きく左右され、また、加工変質層のない高品質の加工
を達成することはできるものの、加工面とポリシャ面と
を互いに別々の回転軸により相反する方向へ回転させて
それらの面に砥粒懸濁液の層流状態を形成させねばなら
ないので、加工面の対向面間との距離の調節、回転面の
速度調節、砥粒の種類および濃度、懸濁用流体、電場の
強さ等を調節しなければならないので煩雑である。
また、この方法は、所謂流動砥粒による研磨に特有の問
題点として表面粗さに砥粒粒径が関与するところが大き
く、液中でのみ作用し、乾式では適用することができな
い。また、平面度が悪くて、面だれを生じ易いと言う問
題点も有する。
本発明は、前記流動砥粒研磨の問題点を解決するために
なされたのである。
本発明の目的は、表面粗さが小さくて加工変質層のない
精密加工が可能であって、しかも仕上時間を著しく短縮
した新規な砥石を容易に製造することのできる方法を提
供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記課題を解決するために、本発明者が鋭意検討を重ね
た結果、懸濁液中の超微粒砥粒を特定の手段により処理
すると、表面粗かが小さくて加工変質層のない精密加工
が可能であって、しかも仕上時間を著しく短縮すること
のできる新規な砥石を容易に製造することができること
を見い出して、本発明に到達した。
すなわち、前記課題を解決するための本発明は、超微粒
砥粒を分散させてなる懸濁液に通電することにより、懸
濁液中の超微粒砥粒を電気泳動により凝集させて固形化
することを特徴とする砥石の製造方法である。
本発明の方法における前記超微粒砥粒として、たとえ
ば、一次粒子径が1μm以下のSiO2、Al2O3、TiO2、Si
C、Cr2O3、CaCO3、ZrO2、ダイヤモンド、CeO2、Fe2O3
を挙げることができる。何れの種類の超微粒砥石が好ま
しいかは、被研磨面の材質等により適宜に決定される。
さらにダイヤモンドのように疎水性粒子の場合には、そ
の表面に界面活性剤を被覆することにより親水性にして
から使用することもできる。
この超微粒砥粒を懸濁させる媒液としては、たとえば、
水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコー
ル、グリセリン、およびこれらの水溶液等を挙げること
ができる。
懸濁液中の前記超微粒砥粒の濃度については特に制限が
ないのであるが、懸濁液中で砥粒が均一に分散し、かつ
通電時における砥粒の泳動に支障のない範囲内で高濃度
である方が良く、通常は、10〜30%である。
また、この懸濁液に結合剤を存在させておくことによ
り、砥石の固形化を促進することができると共に、砥石
の形成の際に前記超微粒砥粒同士が前記結合剤により、
砥石の形状保持性を向上させることができる。
前記結合剤は、電気泳動により超微粒砥粒と共に移動し
ても良く、また、電気泳動によって移動しないものであ
っても良い。電気泳動により移動しない結合剤は、電気
泳動により移動する超微粒砥粒に付着して、超微粒砥粒
に随伴して移動する。
いずれにせよ前記結合剤としては、水硬化ウレタン、浸
透性エマルジョンであるアクリル酸系化合物や酢酸ビニ
ル等のエマルジョン、アクリルアセチレンや酢酸ビニル
とPOEアルキルフェノールエーテルやアルキルベンゼン
スルホン酸ソーダ等の界面活性剤との混合物、アルギン
酸ナトリウム、寒天、にかわ、ゼラチン、デンプン類、
メチルセルローズ、カルボキシメチルセルローズ等のセ
ルローズ類、水ガラスやケイ酸ナトリウム等のシリケー
ト類の水溶性または水に分散可能な樹脂類をあげること
ができる。
この場合、前記懸濁液中に存在させる前記結合剤の濃度
は、超微粒砥粒の種類により適宜に決定することができ
るのであるが、通常、1〜30%である。
また、前記懸濁液中に加えても良い添加剤として、シリ
コンオイル、フッ素系界面活性剤、フッ素オイルのよう
な撥水剤、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリ
ウム等の潤滑剤等を添加しておいても良い。
本発明の方法は、前記懸濁液中の超微粒砥粒を電気泳動
により凝集させて固形化することにより砥石を形成す
る。
本発明に方法は、例えば、第1図に示す装置を使用する
ことにより、砥石を形成することができる。
第1図に示すように、適宜の容器1の中に前記超微粒砥
粒の懸濁液2を入れ、この懸濁液2中に電極Aおよび電
極Bを挿入する。
電極Aは適宜の駆動装置により回転可能にする。なお、
第1図において3で示すのは電極ブラシである。
電極Aと電極Bとの間に直流電圧を印加する。電極Aお
よび電極Bの何れを陽極または陰極にするかは、超微粒
砥粒の帯電状態による。たとえば、媒液としてのアルコ
ール中に懸濁したAl2O3は負に帯電しているので、電極
Aを陽極とする。媒液としての水中に懸濁したSiO2は負
に帯電するから、電極Aを陽極とする。一般には、超微
粒砥粒と媒液との誘電率を比較した場合に、誘電率の小
さい超微粒砥粒は負に、誘電率の大きい超微粒砥粒は正
に帯電する傾向がある。したがって、媒液の種類と超微
粒砥粒の種類とに応じて、電極Aの正負が決定される。
電極Aと電極Bとの間に印加する電圧は、特に制限がな
い。
超微粒砥粒の懸濁液中に浸漬した電極Aと電極Bとの間
に電圧を印加すると、電気泳動現象が起こり、電極の表
面に超微粒砥粒が凝集して固化し、充填密度の大きな砥
石層4が形成される。
砥石層においては、前記超微粒砥粒は、ファンデルワー
ルス引力により緩やかに結合しているものと思われる。
表面に砥石層を形成した電極を懸濁液から引き挙げてこ
れを乾燥すると、砥石層はなおその形状を保持してい
る。しかし、指でその砥石層を触ると、超微粒砥粒が指
に付着する程度の柔らかさであり、このように砥石層に
おいて超微粒砥粒が緩やかに結合していることが本発明
により製造される砥石の特長である。
本発明の目的である、表面粗さを小さくすることの要求
される精密加工においては、必ずしも砥石が強固に結合
していることを要せず、上記のように電気泳動により凝
集しただけの状態であっても、水の表面張力を結合力と
した所謂低結合の液体ボンド砥石として使用されること
ができる。
また、砥石層における超微粒砥粒を結合させて、ある程
度の硬さを必要とする場合、あるいはさらに成形する必
要のある場合には、結合剤を使用するか、結合剤を使用
することなく高温雰囲気中で燒結することも可能であ
る。
より強固に結合するために、結合剤を使用するのが良
い。
なお、前述したことではあるが、前記結合剤は、前記懸
濁液中に含ませておき、電気泳動により移動する前記超
微粒砥粒に随伴させるか、あるいは超微粒砥粒と砥石と
共に電極に電気泳動させても良いし、電気泳動により前
記超微粒砥粒のみを凝集させてからこれに結合剤を付与
しても良い。
電気泳動により超微粒砥粒と結合剤とを同時に凝集させ
る場合、下式により結合剤および超微粒砥粒が泳動す
る。
V=εhE/μ [ただし、Vは電気泳動度、εは溶媒の誘電率、μは溶
媒の粘性率、hは粒子のゼータ電位、Eは電場の強さを
表わす。] したがって、泳動する粒子の固有のゼータ電位により、
また、与える電場の大きさを変えることにより、あるい
は正負を逆転させることにより、結合剤および砥粒を同
時にあるいは選択的に泳動させることができる。よっ
て、砥粒と結合剤との凝集状態を適正に制御することが
でき、また、砥石層の厚さやその強度を適宜に設定する
ことができる。
電気泳動により前記超微粒砥粒を凝集させてからこれに
結合剤を付与しても良く、その方法として、電極の表面
で固化した砥石層を、結合剤を含有する溶液中に浸漬す
る方法、前記砥石層に前記溶液をスプレーもしくは注入
する方法、あるいは、前記方法の実施後に乾燥固化した
砥石層にさらに前記溶液を注入する方法等を採用するこ
とができる。
電極の表面に形成された砥石層はそのまま砥として使用
される。
この砥石による研磨は通常、前記超微粒砥粒を懸濁する
懸濁液中で行なうのが好ましい。
例えば、第2図に示すように、前記懸濁液2中で回転す
る前記砥石層4に被研磨材5を接触させると共に電極A
および電極Bに電圧を印加する。
このとき、砥石層における超微粒砥粒は緩やかに結合し
ているので、砥石層が被研磨材に接触することにより超
微粒砥粒が砥石層から脱落するのであるが、電極A,B間
に電圧が印加されているので、電気泳動現象により砥石
層に移動して来た懸濁液中の超微粒砥粒が前記脱落した
後に補われて、良好なメカノケミカルポリッシングを行
なうことができる。
[実施例] 次に本発明の方法についての実施例を示す。
(実施例1) 第1図に示す容器にコロイダルシリカの水懸濁液(濃度
30重量%)を入れ、陽極としての黄銅棒(径60mm)およ
び陰極としてのアルミニウム板(50mm×20mm)を互いに
30mmの間隔を設けて浸漬し、前記陽極を回転させなが
ら、両電極間に5Vの電圧を印加して陽極の表面にSiO2
らなる砥石層を形成した。電圧印加時間と電極に付着し
たSiO2の厚さとの関係を第2図に示す。
次いで、陽極を500rpmで回転させつつ、電極A,B間に5
〜15Vの直流電圧(電流:100〜150mA)を印加し、電極A
の表面に形成された砥石層に、表面粗さが0.467μmRaで
あるサファイア板を、60分間接触させた。
その結果、サファイア板の表面粗さが0.034μmRaに研磨
された。また、サファイア板の代りに、表面粗さが0.90
8μmRaであるチッ化珪素を使用した外は前記と同様の研
磨操作をした。
その結果、チッ化珪素の表面粗さが0.009μmRaに研磨さ
れた。
(実施例2) 前記実施例1において、結合剤としてさらにアルギン酸
ナトリウムを4重量%の濃度になるように懸濁液中に添
加した外は、前記実施例1と同様にして陽極の表面に、
SiO2からなる砥石層を形成した。
この砥石層に前記実施例1におけるのと同様にして、実
施例1におけるのと同じサファイア板を10分間接触させ
た。
その結果、サファイア板の表面粗さが0.084μmRaに研磨
された。また、サファイア板の代りに、実施例における
のと同じチッ化珪素を使用した外は前記と同様の研磨操
作をした。
その結果、チッ化珪素の表面粗さが0.053μmRaに研磨さ
れた。
(比較例1) 陽極の表面にポリシングクロスを装着し、この陽極に電
圧を印加せずに500rpmで回転させ、前記ポリシングクロ
スを、表面粗さが0.467μmRaであるサファイア板に、60
分間接触させた。
その結果、サファイアの表面粗さが0.441μmRaになっ
た。
また、このサファイア板の代りに、実施例1におけると
同じチッ化珪素を使用した外は前記と同様の研磨操作を
した。
その結果、チッ化珪素の表面粗さが0.908μmRaに研磨さ
れた。
[発明の効果] この発明の方法によると、超微粒砥粒を高密度で固化す
ることができ、メカノケミカルポリッシングが可能で、
被研磨材の表面精度を高度に、かつ加工変質層を極力少
なくして被研磨材を研磨することができる砥石を製造す
ることができる。
この方法によると、従来においては高価なダイヤモンド
砥粒を用いて複数の研磨工程により高表面精度に研磨し
ていた研磨作業を、一工程で高精度に研磨することので
きる砥石を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法を実施する一製造装置を示す概念図
および第2図は前記製造装置により砥石を電極に形成し
た場合の電圧印加時間と砥石層の厚みとの関係を示すグ
ラフである。 A,B……電極、2……懸濁液。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超微粒砥粒を分散させてなる懸濁液に通電
    することにより、懸濁液中の超微粒砥粒を電気泳動によ
    り凝集させて固形化することを特徴とする砥石の製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記懸濁液が結合剤を含有する前記請求項
    1に記載の砥石の製造方法。
  3. 【請求項3】懸濁液中の超微粒砥粒と結合剤とを電気泳
    動により凝集させる前記請求項2に記載の砥石の製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記懸濁液中の超微粒砥粒を電気泳動によ
    り凝集させた後に結合剤を付与して固形化する前記請求
    項1に記載の砥石の製造方法。
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