JPH07167B2 - 酸素濃縮装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、大気から酸素濃度の高められた酸素濃縮空気
を安定して得るための酸素濃縮装置に関する。さらに詳
細には、本発明は、酸素又は窒素を選択的に吸着し得る
吸着剤を充填した吸着床を用いた圧力変動吸着型酸素濃
縮装置であって、吸着床において圧力変動を発生させる
ために気体の流路を切り換える自動流路切換弁を改良し
た優れた酸素濃縮装置を提供するものである。

〈従来技術〉 近年、ぜんそく，肺気腫症，慢性気管支炎等の呼吸器系
器官の疾患に苦しむ患者が多く、その好適な治療法の１
つに酸素療法がある。

かかる酸素療法に用いられる酸素源としては、従来酸素
ボンベが用いられていたが、最近になって空気中から酸
素濃縮空気を取得する酸素濃縮装置が開発されたので、
それを用いた酸素療法が大巾に普及するようになって来
ている。

酸素濃縮装置には、吸着型酸素濃縮装置と膜型酸素濃縮
装置の両方があるが、これらは病院や家庭において長期
間にわたって使用する必要があり、また移動が容易にな
るように装置全体がコンパクトであることが望ましい。

この吸着型酸素濃縮装置としては、吸着床での吸着と脱
着を圧力変動により繰り返し行わせる圧力変動吸着型の
ものが主として用いられるが、吸着床の圧力を変動させ
る方法として通常、コンプレッサーで加圧された空気を
吸着床に供給して加圧し、大気と連通させ、場合によっ
てポンプを介して吸着床内の圧力を減圧することがなさ
れる。

かかる吸着床の圧力を変動させるのに、コンプレッサー
と吸着床を連結した導管の途中に流路切換弁が用いられ
るが、その流路切換弁として、例えば４方弁の如く連結
導管の数が多い場合には通常スプール弁が用いられる。

しかしながらスプール弁を用いた場合には、スプール自
体とそれを収納する外側容器であるスリーブの間の狭め
られた間隔部に微小固形物が付着したりしてスプールの
動きが円滑に行われなくなりやすく、長期間の安定した
酸素濃縮操作が困難な場合があった。

この装置を使用している者が呼吸器系疾患患者であり、
装置の突然の運転停止は出来るだけさけねばならず、安
定した長期運転を確保するための改善が強く望まれてい
た。

〈発明の目的〉 本発明は、かかる従来の圧力変動吸着型酸素濃縮装置の
問題点を解決して、長期間安定した運転が確保され、且
つコンパクトな酸素濃縮装置を提供することを目的とし
ている。

〈発明の構成〉 本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意研究した
結果、多連式ポペット型弁を用いることが有効であるこ
とを見い出し本発明に到達した。

即ち本発明は、 酸素又は窒素を選択的に吸着し得る吸着剤を充填した１
基又は２基以上の吸着床と、該吸着床に連結されたポン
プ手段、及び該吸着床からの酸素濃縮空気を貯留するた
めのタンク手段を具備し、該ポンプ手段により該吸着床
における圧力を変動せしめて吸着工程と脱着工程を繰り
返すことにより原料空気から酸素濃縮空気を取得するた
めの圧力変動吸着型酸素濃縮装置において、該ポンプ手
段と吸着床を連結する為の導管手段及び／又は該タンク
手段と吸着床を連結する為の導管手段の途中に自動的に
作動し得る一体化した多連式ポペット型弁を具備せしめ
て、該吸着工程と脱着工程を繰り返すようにしたことを
特徴とする酸素濃縮装置に関するものである。

以下本発明について、必要に応じて図面を用いながら詳
述する。第１図は、本発明の酸素濃縮装置の好ましい実
施態様の１例を示したものである。同図において、吸着
床７は酸素よりも窒素を吸着しやすいモレキュラーシー
ブ5A等の吸着剤が充填されたものであり、リリーフバル
ブ２を備えたコンプレッサー１が流路切換弁である２連
式ポペット型弁３を介して導管によって吸着床７に連結
されており、さらにサージタンク11が自動開閉弁９を介
して導管によって吸着床７に連結されている。また流路
切換弁３には吸気マフラー５を備えた吸気用導管4bと排
気マフラー６を備えた排気用導管4eが設けられている。
さらにサージタンク11には、減圧弁13を備えた酸素濃縮
空気取出し用導管15が設けられている。尚この導管15に
は、さらに自動開閉弁，除菌フィルター，流量設定器，
加湿器，鼻カニューラ（これらは図示せず）等が具備さ
れている方が実用上便利である。

かかる酸素濃縮装置は、流路切換弁３が２個のポペット
型３方弁を一体化せしめた２連式ポペット型弁であるこ
とを特徴とするものである。かかる２連式ポペット型弁
３の作動により流路の切り換え状況を示したのが第２図
である。即ち第２図（ａ）では、吸気用導管4bとコンプ
レッサー手段１の吸引側導管4cと連結し、コンプレッサ
ー手段１の吐出側導管4dと吸着床７の原料空気導入用導
管4fを連結させた状態にあり、吸着床７に原料空気を導
入することができる。尚この状態では、例えば合わせて
自動開閉弁９を開くことにより、その初期においてはサ
ージタンク11から酸素濃縮空気を逆流させて両方の圧力
を均圧化し吸着床を部分的に加圧せしめ、その後さらに
所定時間だけ空気導入を続けて窒素の吸着を行ない酸素
濃縮空気を吐出させる吸着工程が実施されるようにする
ことが好ましい。

第２図（ｂ）では、吸着床７からの空気を排出するため
の排出用導管4aとコンプレッサー手段１の吸引側導管4c
を連結し、コンプレッサー手段１の吐出側導管4dと排気
用導管4eを連結した状態にあり、コンプレッサー手段１
を介して吸着床７から空気を排出することができる。
尚、この状態において、例えば合わせて自動開閉弁９を
閉じることによって、吸着床の加圧された空気を逆流さ
せて排出するのみならず、さらに吸着床内の圧力を大気
圧より低くすることによって吸着された窒素を出来るだ
け脱着させるようにすることが好ましい。

この様にして、第１図に示す装置では、２連式ポペット
型弁３を自動的に作動せしめて吸着床７の圧力を変動さ
せて窒素の吸着，脱着を繰り返すことによって酸素濃縮
空気を取得することが可能である。

尚、ポペット型弁の好ましい機構としては、例えば第２
図（ａ）における4a及び4bの導管に通じる各々の流路に
設けられた２個の弁座が相面して位置し、その間に両弁
座に対し個々に適合し得るポペット型弁部を設け且つそ
の弁部が往復運動し得る軸に具備されているものが挙げ
られる。即ちその軸が往復運動して4a側の弁座に弁部が
適合した場合に4bと4cが連通する。また、２連式等の多
連式の各々の弁の流路を集中させたマニホールド部を具
備させてそれらを一体化せしめるようにしたものが、弁
全体がコンパクトにできるので実用上有利である。

かかる多連式ポペット型弁を自動的に作動させるための
弁の形式としては、直流励磁型電磁弁，交流励磁式電磁
弁，空気作動式自動弁，パイロット作動型電磁弁等が好
ましく、中でも直流励磁型電磁弁，空気作動式自動弁，
及びパイロット作動型電磁弁等が鉄芯等の動きがゆるや
かでライフが長く且つ作動時の発生音が小さく低騒音化
の対策上好ましく、特に直流励磁型電磁弁が実用的であ
る。

また本発明における吸着床は１基又は２基以上のいずれ
であってもよいが、医療用の小型の酸素濃縮装置の場合
には３基以下が好ましく、特に１基又は２基の場合が望
ましい。吸着床が２基以上の場合には、各吸着床を順次
貯留タンクと連結する等のために、貯留タンクと吸着床
を連結するための導管手段、場合によっては吸着床通し
を連通するための導管手段においても多連式ポペット型
弁を具備せしめることが好ましい。尚微少固形物が混入
しやすい側、例えば吸着床とコンプレッサーの間の導管
に多連式ポペット型弁を必ず具備させることが好まし
い。さらにポンプ手段としては、前記した如く減圧手段
をも兼ねたコンプレッサー手段の他に、単なるコンプレ
ッサーや、真空ポンプ、場合によってはブロアー形式の
もの等が挙げられる。

本発明の酸素濃縮装置の用途としては、特に限定される
ものではなく、医療用等の長期間安定な運転が必要な用
途が好ましい。

〈発明の効果〉 本発明の酸素濃縮装置は、長期間安定した運転が確保で
きる優れた特性を有し、さらに、装置全体をコンパクト
にしやすい利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の酸素濃縮装置の好ましい実施態様例
を模式的に示したものである。また第２図は、第１図に
おける２連式ポペット型弁の作動状態を模式的に示した
ものである。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】酸素又は窒素を選択的に吸着し得る吸着剤
   を充填した１基又は２基以上の吸着床と、該吸着床に連
   結されたポンプ手段、及び該吸着床からの酸素濃縮空気
   を貯留するためのタンク手段を具備し、該ポンプ手段に
   より該吸着床における圧力を変動せしめて吸着工程と脱
   着工程を繰り返すことにより原料空気から酸素濃縮空気
   を取得するための圧力変動吸着型酸素濃縮装置におい
   て、該ポンプ手段と吸着床を連結する為の導管手段及び
   ／又は該タンク手段と吸着床を連結する為の導管手段の
   途中に自動的に作動し得る一体化した多連式ポペット型
   弁を具備せしめて、該吸着工程と脱着工程を繰り返すよ
   うにしたことを特徴とする酸素濃縮装置。
2. 【請求項２】該多連式ポペット型弁が、２個のポペット
   型３方弁を一体化せしめた２連式ポペット型弁である特
   許請求の範囲第１項記載の酸素濃縮装置。