JPH07166238A - 塑性変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れる熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

塑性変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れる熱延鋼板の製造方法

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JPH07166238A
JPH07166238A JP31535093A JP31535093A JPH07166238A JP H07166238 A JPH07166238 A JP H07166238A JP 31535093 A JP31535093 A JP 31535093A JP 31535093 A JP31535093 A JP 31535093A JP H07166238 A JPH07166238 A JP H07166238A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】塑性変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優
れる熱延鋼板の製造方法を提供する。 【構成】0.040wt%C、0.20wt%Si、
1.50wt%Mn、0.051wt%Nb、0.00
40wt%P、0.0010wt%S、0.0030w
t%Ca、0.035wt%Alを含有し、残部がFe
及び不可避的不純物からなる組成の鋼を、1150℃に
加熱し、この加熱温度から950℃までは、総合圧下率
62%で圧延し、950℃から788℃までは総合圧下
率65%で圧延し、790℃から550℃までの温度範
囲では12℃/sで冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石油天然ガス資源の海
洋輸送や陸上輸送、採掘資源の処理設備の配管等に使用
される、UOE鋼管、スパイラル鋼管、ERW鋼管など
の溶接によって製造される鋼管の素材として用いる塑性
変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れる熱延鋼板
(鋼帯も含む)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石油天然ガス資源の採掘輸送には、鋼管
が用いられている。石油天然ガスは現在並びに将来にわ
たって我々の生活を支える重要なエネルギー資源であ
り、その開発当初には、採掘された原油や天然ガスの多
くが硫化水素を含まない良質のもので比較的安価かつ安
全に処理された。ところが、今世紀の石油危機を契機と
して硫化水素を含むものも多く採掘されるようになって
きており、典型的な例としては、ヨーロッパの北海域で
採掘される天然ガスは、ほとんど硫化水素を含むもので
ある。このため、この環境に耐え得る鋼管が望まれるよ
うになってきた。湿潤環境では硫化水素は酸性の腐食性
溶液の環境を形成して、鋼管の内面を腐食し、かつ致命
的なクラックを発生させ、最悪の場合には鋼管は破壊に
至る。このため、優れた耐食性が要求されるのが近年の
石油天然ガス資源開発に供せられる鋼管のおかれる現状
である。ここでいうクラックは、例えば湿潤環境におい
て、硫化水素による腐食の過程で発生する水素が鋼中に
進入することにより発生する水素誘起割れであり、この
割れは硫化物応力腐食割れ(以降SSCと呼ぶ)と呼ば
れている。このような湿潤環境は、海洋輸送を行なうオ
フショアラインパイプで典型的に見られる環境である。
近年はこの耐SSC特性に対する要求は厳しくなり、適
用される鋼材はNACE溶液環境に示されるような酸性
の環境を前提として評価される。
【0003】従来、鋼管の耐SSC特性の評価は、NA
CE規格TMO1−77で規定される、定荷重型の引張
応力を負荷することで行なわれてきた。この試験方法に
よる評価では、負荷応力は材料の規定最低降伏強さ(S
MYS)の70〜90%の弾性域であることがほとんど
で、それ以上の高い応力状態すなわち塑性変形下の耐S
SC特性は実質的には試験されていないのが現状であ
る。このような評価の仕方は、フープストレス(円周方
向応力)が作用するような配管胴体部の応力条件を考慮
した場合には妥当であるが、接合部や配管形状などから
応力集中を起こし高い応力が発生するような場合におけ
る割れ抵抗性を評価する方法としては必ずしも十分とは
いえない。
【0004】1992年にはNACEによってTMO1
−77が改定され、塑性変形を伴うような環境下での耐
SSC特性を評価する方法としてMethod Bが規定され
た。この方法は、俗にシェルベンド試験と呼ばれてきた
試験方法で、2つの微小貫通孔が中央部に形成された小
型板状試験片を曲げることにより、2つの微小貫通孔の
間に応力を負荷し、そこに発生する割れを評価する方法
である。2つの微小貫通孔の間では、これら微小貫通孔
による応力集中により極めて高い応力が発生し、材料は
塑性変形する。
【0005】耐SSC特性を改善する手法は数多く提案
されているが、それらは材料の降伏点を超えない範囲の
応力環境に対応した方法であり、塑性変形が生じる高応
力状態での耐SSC特性の改善に効果は期待できない。
高応力下の耐SSC特性の改善策は、その原因究明も含
めてまだ模索状態にある。現在、塑性変形環境下での耐
SSC特性を改善する方法の開示は、比較的高合金の油
性管の分野で見られるのみである。この分野で一般的に
知られている対応策としては、完全な焼入れマルテンサ
イト組織とした鋼材を高温で焼戻しする方法がある。し
かし、溶接管のように鋼板や鋼帯から造管する場合に
は、この焼入れ焼き戻しを鋼板素材で行なわなければな
らず、製造コストが高くなり、作業能率も低下する。
【0006】特公平4−50364号公報には、シェル
ベンド試験に対応する耐SSC特性の改善方法が開示さ
れており、塑性変形環境下での耐SSC特性を念頭にお
いたものと解釈できる。ここでは、焼き戻しの新しい方
法が開示されており、焼き戻し過程中に加工を加えるこ
とにより、微細な炭化物とフェライト組織が形成されて
耐SSC特性が飛躍的に向上することが示されている。
また、この公報には、第1次焼き戻し→冷間加工→再焼
き戻しの工程によっても一層耐SSC特性向上が可能で
あることが開示されている。しかし、これらの方法も前
述のように複数の熱処理工程を駆使するため、コストが
かかりかつ効率も低い。
【0007】特公平4−68375号公報には、1wt
%を超える多量のAlを添加することによりシェルベン
ド試験での耐SSC特性が向上する旨が開示されてい
る。継目無鋼管のように圧延と熱処理で製造される場合
には、多量のAlの添加は比較的問題が少ない。しか
し、溶接管の場合には、多量のAlの添加により溶接部
の靭性が著しく損なわれる可能性が極めて高く、多量の
Al添加は好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み、塑性変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れ
る熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第1の塑性変形環境での耐硫化物応力腐食割
れ性に優れる熱延鋼板の製造方法は、C:0.05wt
%以下、Si:0.5wt%以下、Mn:0.8〜1.
6wt%、Nb:0.005〜0.07wt%、P:
0.005wt%以下、S:0.001wt%以下 Ca:0.0020〜0.0040wt% Al:0.1wt%以下、を含有し、残部がFe及び不
可避的不純物からなる組成の鋼を、下記の(1)式で算
出される温度以上に加熱し、
【0010】
【数2】
【0011】該加熱温度から950℃までの温度範囲で
は、総合圧下率60%以上で圧延し、下記の(2)式か
ら算出されるAr3 温度よりも20℃低い温度以上の温
度を仕上温度として、950℃から仕上温度までの未再
結晶領域では総合圧下率80%以上で圧延し、 Ar3 =910−273×Cwt%−74×Mnwt%
−56×Niwt%−16×Crwt%−9×Mowt
%−5×Cuwt%……(2) 前記仕上温度から550℃以下までの温度範囲では、5
℃/s以上の速度で冷却することを特徴とするものであ
る。
【0012】また、上記目的を達成するための本発明の
第2の塑性変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れ
る熱延鋼板の製造方法は、第1の製造方法における鋼の
組成のうちのCを0.2wt%以下、Siを0.2wt
%以下とし、未再結晶領域での総合圧下率を65%以上
とし、仕上げ温度からの冷却を停止した後、さらに35
0〜600℃の温度範囲に0.5時間以上保定し、自然
冷却することを特徴とするものである。
【0013】ここで、第1及び第2の製造方法における
鋼が、さらに、V:0.005〜0.07wt%、T
i:0.007〜0.03wt%、Mo:0.5wt%
以下、Cu:0.7wt%以下、Ni:0.5wt%以
下、からなる群から選ばれた成分を一種又は二種以上含
有することが好ましい。
【0014】
【作用】以下に、成分の限定理由を説明する。 C:Cは偏析等の局部的濃化によって、極めて高い濃度
域を形成しやすくマルテンサイトの生成を助長する。し
かし主たる鋼の強化元素であり、強度確保あるいは強度
調整のための必須成分である。優れた耐SSC特性と高
強度高靭性を具備するパイプラインを製造するために
は、Cの上限を設ける必要がある。鋼のCは0.2wt
%を超えると著しくマルテンサイトが生成しやすくな
り、かつ分解しにくくなり、本発明の圧延方法をもって
しても塑性変形環境で優れた耐SSC特性を得ることが
極めて困難になる。このためにCの上限を0.2wt%
とした。また、鋼のCは0.05wt%を超えると、優
れた低温靭性を確保することが極めて困難になる。この
ため、優れた低温靭性の確保を目的とするときは、Cの
上限を0.05wt%とした。 Si:Siも鋼の強化元素であり、固溶強化を用いるこ
とが可能であるが、この元素はマルテンサイトの生成を
助長し、かつその分解も阻害するので、少ないほうが好
ましい。ただし後述の圧延条件と組合わせる場合におい
ては、その許容される上限は0.5wt%であり、好ま
しくは0.2wt%である。 Mn:Mnは非常に強力なミクロ組織制御元素であり、
その含有率が上昇すると組織をフェライト、パーライト
からベイナイトに変化させると共に組織を微細化し、か
つ強度を向上させる。しかし、製鋼段階で発生する中心
偏析の偏析強度を助長するため、その添加量の上限は規
制されるべきである。Mnは0.8wt%未満では組織
改善効果がほとんど出ないが、一方、1.6wt%を超
えると中心偏析の偏析度が高くなり、HIC(外部応力
がない場合の水素誘起割れ)の発生を助長して、塑性変
形域に至る前に割れが発生してしまう。 Nb:Nbは制御圧延を行なって結晶粒を細かくする元
素であり、より高靭性を求めるときに添加する元素であ
る。0.005wt%未満ではNbの効果は達成できな
い。一方、0.07wt%を超えると溶接部のHAZの
靭性が劣化してしまう。 P:Pは偏析しやすい元素であり、Mnと同様にHIC
に対する抵抗性を低下させる。このため上限を規制すべ
きで、0.005wt%未満に管理すれば、特段に耐S
SC特性が低下することはない。 S:SはMnと結合してMnSを形成して、HIC特性
を著しく劣化させる。このため、極限まで少なくするこ
とが望まれるが、0.001wt%以下であればその害
はほとんどなく、次のCa添加との組合わせにより、さ
らに腐食割れ抵抗性を向上することができる。 Ca:CaはSと結合することにより、圧延過程で伸長
しないCaSを生成し、MnSを生成しないようにす
る、いわゆる形態制御元素で、0.0020〜0.00
40wt%の間の添加量が必要である。この量よりも少
ないと、十分に形態制御ができず、多いと介在物が多く
なり過ぎてかえって耐HIC特性が劣化する。 Al:Alは酸化してAl23 を生成する。Al2
3 はCaOなどとクラスタを形成しやすく、圧延後にク
ラスタが伸長してMnSと同様にHICの起点となって
割れ感受性を高める。また低応力における耐SSC特性
も劣化させる。さらに、Alは電縫鋼管ではペネトレー
タと呼ばれる酸化物介在物を形成しやすくするので低い
方が好ましい。しかし、鋼の脱酸元素であるので不可避
的に含有される。Alは0.1wt%以下であれば前述
のような問題は生じない。
【0015】上記の基本必須成分に加えて下記の成分の
うち一種または二種以上を含有しても、本発明による鋼
板(鋼帯)は優れた靭性と耐SSC特性を示す。 V:VはNbと同様な作用を示す元素であるが、0.0
05wt%未満ではその強化効果が求められず、0.0
7wt%を超えると溶接部の特性を劣化させる。 Ti:Tiは熱延鋼板の製造において巻取工程を経たと
き析出強化を利用できる強化元素であるが、0.007
wt%未満ではその効果を期待できず、また0.03w
t%を超えると強化効率が落ちて経済的でなく、溶接部
靭性も劣化させる。 Mo:Moは組織をベイニティックにする元素で、靭性
の向上に効果があるが、同時にマルテンサイトを生成し
やすくする元素でもあり、0.5wt%を上限として添
加すべきである。 Cu:Cuは1wt%を超える添加により析出強化を有
効に利用できる元素である。しかし、この析出強化は靭
性を劣化させる。一方、比較的少量の添加においても焼
入れ効果によって組織を細粒化するので強化元素として
利用することが可能である。その上限は0.7wt%で
ある。この量を超えると、析出強化が起こり靭性を劣化
させる。 Ni:Niは比較的弱い焼入れ性向上元素であるが、そ
の添加による靭性の向上効果が知られており、安定した
靭性確保のために添加してもよい。ただし、0.5wt
%を超えるとマルテンサイトの生成を助長するので、こ
れ以下の添加量とする。
【0016】次に、圧延条件を限定する理由を述べる。
石油天然ガス輸送に用いられる鋼管は、輸送効率と安全
性の面から高強度高靭性が求められる。このため、この
素材の圧延では制御圧延が前提となる。制御圧延を効果
的に実施するためにNbを添加する必要があるが、実際
に効果を発揮するNbは固溶Nbであり、圧延過程で析
出することによりその効果が得られる。したがって、圧
延に先立ちNbを固溶させておく必要がある。発明者ら
の研究によれば、一度冷却されたスラブ中の析出Nbが
全て固溶する温度は、上述した(1)式で示される。し
たがって、(1)式の温度以上に加熱する必要がある。
この温度以下のスラブ加熱温度では、制御圧延効果によ
る結晶粒の細粒化が十分ではない。
【0017】圧延時の圧下率は、再結晶域と再結晶域に
分けて制御する必要がある。主として再結晶域の圧延
は、結晶粒の粒度をそろえるための効果を期待して実施
する。発明者らの研究によれば、大きい塊状フェライト
は塑性変形環境下での耐SSC特性を劣化させるので、
これを防止するためには再結晶域の圧延で結晶粒を整粒
化しておく必要がある。総合で60%の圧下率はこのた
めに必要な圧下量である。
【0018】本発明の大きな作用のひとつが未再結晶域
での圧下率である。この領域では圧延ひずみが導入さ
れ、変態で生成するフェライトの核生成速度を向上して
細かいフェライト粒が形成される。発明者らは、この圧
延過程で80%以上の圧下率を与えることにより、制御
冷却の停止温度まで低下しても、顕著なマルテンサイト
生成が起こらないことを見出した。これは、大きな圧下
率による顕著なフェライト核生成速度の上昇に起因した
ものと考えられる。ただし、冷却は5℃/s以上の速度
でかつ室温から550℃の範囲の温度で冷却を停止する
ことが必要である。5℃/s未満の冷却速度ではフェラ
イト粒の成長によって細粒組織が得られず、靭性が劣化
する。550℃を超える温度で冷却を停止した場合に
は、冷却後の粒成長によって、フェライトが粗大化して
靭性を劣化させるだけでなく耐SSC特性も劣化させ
る。
【0019】ここで、未再結晶領域での圧下率を65%
以上80%未満にすることができる。この場合は、上述
のようにして制御したミクロ組織でも、塑性変形環境で
の耐SSC特性を向上することは向上することは困難で
ある。その理由は、室温までの冷却によってマルテンサ
イトが生成するためである。この悪影響を消去するため
には、マルテンサイトをなくする必要がある。350〜
660℃の温度で0.5時間以上保定して自然冷却する
ことにより、マルテンサイトは分解して消失する。この
効果を高め十分な分解を得るためにSiは0.2wt%
以下にする必要がある。
【0020】本発明においては、圧延を終了する温度の
下限を(2)式で算出される温度Ar3 点よりも20℃
低い温度としている。Ar3 点を下回る温度ではフェラ
イト変態が開始するため、この温度域で圧延を継続する
とフェライト粒が圧延(加工)され、加工硬化によって
硬くなり、本発明が主眼としている硬いマルテンサイト
の低減効果が十分に発揮されなくなってしまう。このた
め、耐SSC特性が劣化する。この加工硬化はAr3
よりも20℃以上低い温度域で顕著に起こるので、この
温度を圧延終了の下限とした。
【0021】以上説明したように、本発明によれば、鋼
のミクロ組織を圧延段階で耐SSC特性が優れるものに
制御できる。また、本発明の第1の製造方法によれば、
高強度、高靭性を犠牲にすることなく、むしろ向上し
て、もちろん経済的な不利益をこうむることなく、塑性
変形環境下における優れた耐SSC特性と低温靭性を兼
備する熱延鋼板を製造できる。また、本発明の第2の製
造方法によれば、高強度、高靭性を犠牲にすることな
く、また経済的な不利益をこうむることなく、塑性変形
環境下における優れた耐SSC特性を兼備する熱延鋼板
を製造できる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に説明す
る。表1及び表2は、それぞれ発明鋼と比較鋼の化学組
成、(1)式で得られる温度、(2)式で得られるAr
3 温度を示している。これらの鋼はすべて実験室的に真
空溶解法によって溶製したものである。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】次に、この鋼塊を表3及び表4にそれぞれ
示す発明法と比較法の条件で熱間圧延により厚さ16m
mの鋼板に圧延した。こうして得られた鋼板から試験片
を採取して、耐SSC特性を評価した。尚、耐SSC特
性は、NACEStandardTMO177-90 のMethod Bで規定さ
れている試験方法に準拠して評価した。本発明の目的で
ある塑性変形環境下での耐SSC特性は次に示す(3)
式によって算出される応力Sが、鋼板の降伏点の120
%となるたわみ量を与えたときの割れ発生状況で評価し
た。
【0026】 D=(S・L2 )/(6・E・t) ……(3) ここに、Dはたわみ量、Sは応力、Lは試験片の1/2
長さ、Eは弾性係数(21000kgf/mm2 を適
用)である。表3及び表4に評価結果を示した。
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】表1と表2に示される結果から、本発明に
よって製造された鋼材は、塑性変形環境下において優れ
た耐SSC特性を示すことが明白である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の塑
性変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れる熱延鋼
板の製造方法によれば、塑性変形環境下において、耐応
力腐食割れ性と低温靭性に優れる熱延鋼板を製造でき
る。また、本発明の第2の塑性変形環境での耐硫化物応
力腐食割れ性に優れる熱延鋼板の製造方法によれば、塑
性変形環境下において優れた耐SCC特性をもつ熱延鋼
板を製造できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.05wt%以下、 Si:0.5wt%以下、 Mn:0.8〜1.6wt%、 Nb:0.005〜0.07wt%、 P:0.005wt%以下、 S:0.001wt%以下 Ca:0.0020〜0.0040wt% Al:0.1wt%以下、 を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成
    の鋼を、 次式から算出される温度以上に加熱し、 【数1】 該加熱温度から950℃までは、総合圧下率60%以上
    で圧延し、 次式から算出されるAr3 温度よりも20℃低い温度以
    上の温度を仕上温度として、950℃から仕上温度まで
    の未再結晶領域では総合圧下率80%以上で圧延し、 Ar3 =910−273×Cwt%−74×Mnwt%
    −56×Niwt%−16×Crwt%−9×Mowt
    %−5×Cuwt% 前記仕上温度から550℃以下までの温度範囲では、5
    ℃/s以上の速度で冷却することを特徴とする塑性変形
    環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れる熱延鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記Cを0.2wt%以下含有し、前記
    Siを0.2wt%以下含有し、未再結晶領域での総合
    圧下率を65%以上とし、前記仕上温度からの冷却を停
    止した後、さらに350〜600℃の温度範囲に0.5
    時間以上保定し、自然冷却することを特徴とする請求項
    1記載の塑性変形環境での耐硫化物応力腐食割れ性に優
    れる熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記組成の鋼が、さらに、 V:0.005〜0.07wt%、 Ti:0.007〜0.03wt%、 Mo:0.5wt%以下、 Cu:0.7wt%以下、 Ni:0.5wt%以下、 からなる群から選ばれた成分を少なくとも一種含有して
    なることを特徴とする請求項1又は2記載の塑性変形環
    境での耐硫化物応力腐食割れ性に優れる熱延鋼板の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6517643B1 (en) 1996-06-28 2003-02-11 Nippon Steel Corporation Steel having excellent outer surface SCC resistance for pipeline

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6517643B1 (en) 1996-06-28 2003-02-11 Nippon Steel Corporation Steel having excellent outer surface SCC resistance for pipeline

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