JPH07166206A - 永久磁石合金粉末とその製造方法 - Google Patents

永久磁石合金粉末とその製造方法

Info

Publication number
JPH07166206A
JPH07166206A JP5341647A JP34164793A JPH07166206A JP H07166206 A JPH07166206 A JP H07166206A JP 5341647 A JP5341647 A JP 5341647A JP 34164793 A JP34164793 A JP 34164793A JP H07166206 A JPH07166206 A JP H07166206A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
permanent magnet
alloy powder
phase
iron
grain size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5341647A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirokazu Kanekiyo
裕和 金清
Satoru Hirozawa
哲 広沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP5341647A priority Critical patent/JPH07166206A/ja
Publication of JPH07166206A publication Critical patent/JPH07166206A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/057Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
    • H01F1/0571Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 含有する希土類が少ないFe−B−R系磁石
のiHcを向上させ、5kOe以上の保磁力iHcと6
kG以上の残留磁束密度Brを有するR−Fe−B系磁
石用希土類永久磁石合金粉末とその製造方法の提供す
る。 【構成】 希土類元素の含有量が少ない特定組成の(F
e,Co)−Mn−B−R合金溶湯(RはNdまたはP
r)を超急冷法にて実質的にアモルファス組織あるいは
微細結晶とアモルファスが混在する組織となし、これに
特定条件の結晶化熱処理を施すことにより、α−鉄及び
鉄を主成分とする強磁性金属間の軟磁性相と、Nd2
14B型結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉末粒子中
に共存し、各構成相の平均結晶粒径が1nm〜50nm
の範囲にある微結晶集合体を得ることにより、R2Fe
14B相のキュリー温度が上昇し、iHcの温度係数が改
善され、特性値は、iHc≧5.0kOe、Br≧7k
G、(BH)max≧8MGOeとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、各種モーターやアク
チュエーター並びに磁気センサー用などに最適な希土類
ボンド磁石用合金粉末とその製造方法に係り、希土類元
素の含有量が少ない特定組成のFe−Mn−B−Rまた
は(Fe,Co)−Mn−B−R合金溶湯を回転ロール
を用いた超急冷法、スプラット急冷法、ガスアトマイズ
法あるいはこれらの併用法にてアモルファス組織あるい
は微細結晶とアモルファスが混在する組織とし、特定の
熱処理にてα−鉄及び鉄を主成分とする強磁性の軟磁性
相とNd2Fe14B型結晶構造の硬磁性相との微細結晶
集合体からなる合金粉末を得、これを樹脂にて結合する
ことにより、ハードフェライト磁石では得られない5k
G以上の残留磁束密度Brを有するFe−B−R系磁石
を得ることができる永久磁石合金粉末とその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】家電用機器や電装品用に用いられるステ
ッピングモーター、パワーモーター並びにアクチュエー
ターなどに使用される永久磁石は主にハードフェライト
磁石に限定されていたが、低温でのiHc低下に伴う低
温減磁特性が有ること、セラミックス材質のために機械
的強度が低くて割れ、欠けが発生し易いこと、複雑な形
状が得難いことなどの問題があった。
【0003】今日、自動車は省資源のため車両の軽量化
による燃費の向上が強く要求されており、自動車用電装
品はより一層の小型、軽量化が求められている。また、
自動車用電装品以外の家電用モーターなどの用途におい
ても、性能対重量比を最大にするための設計が検討され
ており、現在のモーター構造では磁石材料としてBrが
5〜7kG程度のものが最適とされているが、従来のハ
ードフェライト磁石では得ることができない。
【0004】例えば、Nd−Fe−B系ボンド磁石では
かかる磁気特性を満足するが、金属の分離精製や還元反
応に多大の工程並びに大規模な設備を要するNdなどを
10〜15at%含有しているため、ハードフェライト
磁石に比較して著しく高価である。また、多極着磁の際
の磁極間ピッチが最小1.6mm程度であるため、ステ
ッピングモーターの回転むらの改善並びにサーボモータ
ーに匹敵する位置決め精度を得るためのより一層の多極
着磁ができず、現在のところ、5kG以上のBrを有
し、安価で容易に多極着磁が可能な永久磁石材料は、見
出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、Nd−Fe−B
系磁石において、最近、Nd4Fe7719(at%)近
傍でFe3B型化合物を主相とする磁石材料が提案
(R.Coehoorn等、J.de Phys.,C
8,1988,669〜670頁)された。この磁石材
料はアモルファスリボンを熱処理することにより、軟磁
性であるFe3Bと硬磁性であるNd2Fe14Bの結晶集
合組織を有する準安定構造の永久磁石であるが、iHc
が2〜3kOe程度と低く、またこのiHcを得るため
の熱処理条件が狭く限定され、工業生産上実用的でな
い。
【0006】このFe3B型化合物を主相とするNd−
Fe−B磁石のNdの一部をDyとTbで置換してiH
cを3〜5kOeに改善する研究が発表されているが、
高価な元素を添加するため原材料の価格が上がる問題の
ほか、添加希土類元素はその磁気モーメントがNdやF
eの磁気モーメントと反平行して結合するため磁化並び
に減磁曲線の角型性が劣化する問題がある(R.Coe
hoorn、J.Magn,Magn,Mat.、83
(1990)228〜230頁)。
【0007】他の研究(Shen Bao−genら,
J.Magn, Magn,Mat.、89(199
1)335〜340頁)として、Feの一部をCoにて
置換してキュリー温度を上昇させ、iHcの温度係数を
改善するものであるが、Coの添加にともないBrを低
下させる問題がある。
【0008】いずれにしてもFe3B型Nd−Fe−B
系磁石は、超急冷法によりアモルファス化した後、熱処
理して硬磁性材料化できるが、iHcが低く、かつ前記
熱処理条件が狭く、安定した工業生産ができず、ハード
フェライト磁石の代替えとして安価に提供することがで
きない。
【0009】この発明は、含有する希土類が少ないFe
−B−R系磁石(Rは希土類元素)のiHcを向上さ
せ、安定した工業生産を可能にするため、5kOe以上
の保磁力iHcと6kG以上の残留磁束密度Brを有し
ハードフェライト磁石に匹敵するコストパフォーマンス
を有し、安価に提供できるR−Fe−B系磁石を得るた
めの永久磁石合金粉末とその製造方法の提供を目的とし
ている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、軟磁性相と
硬磁性相が混在する低希土類濃度の鉄基永久磁石材料の
iHcを向上させ、安定した工業生産を可能にする永久
磁石合金粉末を目的に種々検討した結果、希土類元素の
含有量が少なく、鉄基合金にMnを添加しあるいはさら
に一部Coで置換した特定組成の合金溶湯を超急冷法等
にてアモルファス組織あるいは微細結晶とアモルファス
が混在する組織となし、特定の昇温速度による熱処理に
て微細結晶集合体を得ることにより、ハードフェライト
磁石では得られなかった6kG以上の残留磁束密度Br
を有するボンド磁石に最適の永久磁石合金粉末が得られ
ることを知見し、この発明を完成した。
【0011】この発明は、組成式を(Fe1-aCoa
100-x-y-zMnxyz (但しRはPrまたはNdの1
種または2種)と表し、組成範囲を限定する記号x、
y、z、aが下記値を満足し、α−鉄及び鉄を主成分と
する強磁性の軟磁性相と、Nd2Fe14B型結晶構造を
有する硬磁性相とが同一粉末粒子中に共存し、各構成相
の平均結晶粒径が1nm〜50nmの範囲にあり、平均
粒径が3μm〜500μm、磁気特性がiHc≧5kO
e、Br≧6kG、(BH)max≧7MGOeである
ことを特徴とする永久磁石合金粉末である。 0.01≦x≦7at% 10≦y≦30at% 3≦z≦6at% 0.005≦a≦0.5
【0012】また、この発明は、(1)組成式を(Fe
1-aCoa100-x-y-zMnxyz (但しRはPrまた
はNdの1種または2種)と表し、組成範囲を限定する
記号x、y、z、aが上記値を満足する合金溶湯を回転
ロールを用いた超急冷法、スプラット急冷法、ガスアト
マイズ法あるいはこれらを組み合せて急冷し、アモルフ
ァス組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在する組
織となし、(2)さらに結晶化が開始する温度付近から
600℃〜750℃の処理温度までの昇温速度が10℃
/分〜50℃/秒になる結晶化熱処理を施し、(3)α
−鉄及び鉄を主成分とする強磁性の軟磁性相と、Nd2
Fe14B型結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉末粒子
中に共存し、各構成相の平均結晶粒径が1nm〜50n
mの範囲にある微結晶集合体を得たのち、(4)必要に
応じてこれを、平均粒径3μm〜500μmに粉砕して
磁石合金粉末を得ることを特徴とする永久磁石合金粉末
の製造方法である。
【0013】組成の限定理由 希土類元素RはPrまたはNdの1種また2種を特定量
含有のときのみ、高い磁気特性が得られ、他の希土類、
例えばCe、LaではiHcが2kOe以上の特性が得
られず、またSm以降の中希土類元素、重希土類元素は
磁気特性の劣化を招来するとともに磁石を高価格にする
ため好ましくない。Rは、3at%未満では5.0kO
e以上のiHcが得られず、また6at%を超えると6
kG以上のBrが得られないため、3〜6at%の範囲
とする。好ましいRの範囲は4〜5.5at%である。
【0014】Bは、10at%未満では超急冷法を用い
てもアモルファス組織が得られず、熱処理を施しても3
kOe未満のiHcしか得られない、また。30at%
を越えると5kOe以上のiHcが得られないため、1
0〜30at%の範囲とする。好ましいBの範囲は15
〜20at%である。
【0015】Mnは、iHcの向上に有効であるが、
0.01at%未満ではかかる効果が得られず、また、
7at%を超えるとBrが大きく低下し、6kG以上の
Brが得られないため、0.01〜7at%の範囲とす
る。好ましいMnの範囲は1〜5at%である。
【0016】Coは、Br、減磁曲線の角型性及び温度
特性の向上に有効であるが、Feに対する置換量が0.
5%未満ではかかる効果が得られず、また、50%を超
えると6kG以上のBrが得られないため、Feに対す
る置換量はFe+Coの0.5〜50%の範囲とする。
好ましいCoの範囲はFe+Coの2〜10%である。
【0017】Feは、上述の元素の含有残余を占める。
【0018】製造条件の限定理由 この発明において、上述の特定組成の合金溶湯を超急冷
法にてアモルファス組織あるいは微細結晶とアモルファ
スが混在する組織となし、結晶化が開始する温度付近か
ら600℃〜750℃の処理温度までの昇温速度が10
℃/分〜50℃/秒になる結晶化熱処理を施すことによ
り、α−鉄及び鉄を主成分とする強磁性の軟磁性相と、
Nd2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉
末粒子中に共存し、各構成相の平均結晶粒径が1nm〜
50nmの範囲にある微結晶集合体を得ることが最も重
要であり、合金溶湯の超急冷処理には公知の回転ロール
を用いた超急冷法を採用できるが、実質的にアモルファ
ス組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在する組織
が得られれば、回転ロールを用いた超急冷法の他にもス
プラット急冷法、ガスアトマイズ法あるいはこれらを組
み合せた急冷方法を採用してもよい。例えば、Cu製ロ
ールを用いる場合は、そのロール表面周速度が10〜5
0m/秒の範囲が好適な急冷組織が得られるため好まし
い。すなわち周速度が10m/秒未満ではアモルファス
とならず好ましくなく、ロール表面周速度が50m/秒
を超えると、結晶化の際、良好な硬磁気特性の得られる
微細結晶集合体とならず好ましくない。ただし、超急冷
後の組織において、少量のα−Fe相や準安定Nd−F
e−B化合物相が急冷薄帯中に存在しても特性を著しく
低下させるものでなく許容される。
【0019】この発明において、上述の特定組成の合金
溶湯を超急冷法にて実質的にアモルファス組織あるいは
微細結晶とアモルファスが混在する組織となした後、磁
気特性が最高となる熱処理は組成に依存するが、熱処理
温度が600℃未満ではNd2Fe14B相が析出しない
ためiHcが発現しない、また750℃を超えると粒成
長が著しく、iHc、Br及び減磁曲線の角型性が劣化
し、上述の磁気特性が得られないため、熱処理温度は6
00〜750℃に限定する。熱処理雰囲気は酸化を防止
するため、Ar、N2ガスなどの不活性ガス雰囲気もし
くは10-2Torr以上の真空中が好ましい。得られる
合金粉末の磁気特性は熱処理時間には依存しないが、6
時間を超えると若干時間の経過とともにBrが低下する
傾向にあるため、熱処理時間は6時間未満が好ましい。
【0020】この発明において重要な特徴として、熱処
理に際して結晶化が開始する温度付近からの昇温速度で
あり、10℃/分未満の昇温速度では、昇温中に粒成長
が起こり、良好な硬磁気特性が得られる微細結晶集合体
とならず、5kOe以上のiHcが得られず好ましくな
い。また、50℃/秒を超える昇温速度では、600℃
を通過してから生成するNd2Fe14B相の析出が十分
に行われず、iHcが低下するだけでなく、磁化曲線の
第2象限にBr点近傍に磁化の低下のある減磁曲線とな
り、(BH)maxが劣化するため好ましくない。な
お、熱処理に際して結晶化が開始する温度までの昇温速
度は任意であり、急速加熱などを適用して処理能率を高
めることができる。
【0021】結晶構造 この発明による希土類永久磁石合金粉末の結晶相は、α
−鉄及び鉄を主成分とする強磁性の軟磁性相と、Nd2
Fe14B型結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉末粒子
中に共存し、各構成相の平均結晶粒径が1nm〜50n
mの微細結晶集合体からなることを特徴としている。さ
らに好ましい平均結晶粒径は1nm〜20nmである。
この発明において、永久磁石合金の平均結晶粒径が50
nmを超えると、減磁曲線の角型性が著しく劣化し、B
r≧6kG、(BH)max≧7MGOeの磁気特性を
得ることができない。また、平均結晶粒径は細かいほど
好ましいが、1nm未満の平均結晶粒径を得ることは工
業生産上困難であるため、下限を1nmとする。
【0022】磁石化方法 特定組成の合金溶湯を前述の超急冷法にてアモルファス
組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在する組織と
なし、結晶化が開始する温度付近から600℃〜750
℃の処理温度までの昇温速度が10℃/分〜50℃/秒
になる結晶化熱処理を施すことにより、平均結晶粒径が
1nm〜50nmの微細結晶集合体として得たこの発明
による希土類磁石合金粉末を用いて磁石化するには、7
50℃以下で固化、圧密化できる公知の焼結磁石化方法
並びにボンド磁石化方法の何れも採用することができ、
必要な場合は、当該合金を平均粒径が3μm〜500μ
mの合金粉末に粉砕したのち、公知のバインダーと混合
して所要のボンド磁石となすことにより、5kG以上の
残留磁束密度Brを有するボンド磁石を得ることができ
る。
【0023】
【作用】この発明は、希土類元素の含有量が少ない特定
組成の(Fe,Co)−Mn−B−R合金溶湯(RはN
dまたはPr)を前述の超急冷法にて実質的にアモルフ
ァス組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在する組
織となし、得られたリボン、フレーク、球状粉末を結晶
化が開始する温度付近から600℃〜750℃の処理温
度までの昇温速度が10℃/分〜50℃/秒になる結晶
化熱処理を施すことにより、α−鉄及び鉄を主成分とす
るFe−Mnなどの強磁性の軟磁性相と、Nd2Fe14
B型結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉末粒子中に共
存し、各構造相の平均結晶粒径が1nm〜50nmの範
囲にある微結晶集合体を得る。この際、Mnを加えるこ
とで組織がMnを含まない組成に比べ約1/2〜1/3
に微細化されることと、Mnの一部が硬磁性相であるR
2Fe14B相のFe原子と置換することでR2Fe14B相
の異方性定数が向上することにより、iHcは改善され
る。しかし、同時にMnはFeとの磁気的結合が反強磁
性的であるため磁化の低下を招来するが、Feの一部が
Coの一部で置換されることにより磁化の低下が抑制さ
れ、Brの低下を招くことなくiHcを改善することが
でき、また、R2Fe14B相のFeの一部がCoの一部
で置換されることでキュリー温度が上昇し、iHcの温
度係数が改善され、iHc≧5kOe、Br≧6kG、
(BH)max≧7MGOeの磁気特性を有する温度特
性の優れた永久磁石合金粉末を得ることができる。
【0024】
【実施例】 実施例1 表1のNo.1〜5の組成となるように、純度99.5
%以上のFe、Co、Mn、B、Nd、Prの金属を用
いて、総量が30grとなるように秤量し、底部に直径
0.8mmのオリフィスを有する石英るつぼ内に投入
し、圧力56cmHgのAr雰囲気中で高周波加熱によ
り溶解し、溶解温度を1400℃にした後、湯面をAr
ガスにより加圧して室温にてロール周速度20m/秒に
て高速回転するCu製ロールの外周面に0.7mmの高
さから溶湯を噴出させて、幅2〜3mm、厚み20μm
〜40μmの超急冷薄帯を作製した。得られた超急冷薄
帯をCuKαの特性X線によりアモルファスであること
を確認した。
【0025】この超急冷薄帯をArガス中で結晶化が開
始する580℃〜600℃まで急速加熱した後、580
℃以上を表1に示す昇温速度で昇温し、表1に示す熱処
理温度で7分間保持し、その後室温まで冷却して薄帯を
取り出し、幅2〜3mm、厚み20μm〜40μm、長
さ3mm〜5mmの試料を作製し、VSMを用いて磁気
特性を測定した。測定結果を表2に示す。なお、試料の
構成相を、CuKαの特性X線で調査した結果、Mn量
が3at%未満のときは、α−Fe相、Fe3B相、N
2Fe14B相が混在する多相組織であったが、Mn量
が3at%以上のときは、α−Fe相、Nd2Fe14
相は確認できたものの鉄を主成分とするホウ化物相など
は存在量が少ないため確認できなかった。なお、Mnと
Coはこれらの各相でFeの一部を置換する。平均結晶
粒径はいずれも30nm以下であった。
【0026】比較例 表1のNo.11の組成となるように純度99.5%以
上のFe、B、Ndを用いて実施例1と同条件で超急冷
薄帯を作製した。得られた薄帯を実施例1と同一条件の
熱処理を施し、冷却後に実施例1と同条件で試料化(比
較例No.11)してVSMを用いて磁気特性を測定し
た。測定結果を表2に示す。なお、試料の構成相は、F
3B相を主相とするα−Fe相とNd2Fe14B相が混
在する多相組織であり、平均結晶粒径は50nm前後と
実施例No.1〜No.10に比べて粗大であった。
【0027】実施例2 実施例1で得られた表1の組成No.2の超急冷薄帯
を、表1の熱処理後に平均粒径は150μm以下に粉砕
し、エポキシ樹脂からなるバインダーを3wt%の割合
で混合したのち、12mm×12mm×8mm寸法のボ
ンド磁石を作成した。得られたボンド磁石の磁気特性
は、密度6.0g/cm3、iHc=6.0kOe、B
r=7.3kG、(BH)max=8.1MGOeであ
った。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】この発明は、希土類元素の含有量が少な
い特定組成の(Fe,Co)−Mn−B−R合金溶湯
(RはNdまたはPr)を超急冷法にて実質的にアモル
ファス組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在する
組織となし、得られたリボン、フレーク、球状粉末に特
定条件の結晶化熱処理を施すことにより、α−鉄及び鉄
を主成分とする強磁性の軟磁性相と、Nd2Fe14B型
結晶構造を有する硬磁性相とが同一粉末粒子中に共存
し、各構成相の平均結晶粒径が1nm〜50nmの範囲
にある微結晶集合体を得るもので、この際、Mnを加え
ることで組織がMnを含まない組成に比べ約1/2〜1
/3に微細化されることと、Mnの一部が硬磁性相であ
るR2Fe14B相のFe原子と置換することでR2Fe14
B相の異方性定数が向上することにより、iHcは改善
される。また、MnはFeとの磁気的結合が反強磁性的
であるため磁化の低下を招来するが、Feの一部がCo
の一部で置換されることで磁化の低下が抑制され、Br
の低下を招くことなくiHcを改善することができ、さ
らに、R2Fe14B相のFeの一部がCoの一部で置換
されることでキュリー温度が上昇し、iHcの温度係数
が改善され、iHc≧5kOe、Br≧6kG、(B
H)max≧7MGOeの磁気特性を有する温度特性の
優れた永久磁石合金粉末を得ることができる。また、こ
の発明による永久磁石合金粉末は、希土類元素の含有量
が少なく、製造方法が簡単で大量生産に適しているた
め、5kOe以上のiHc、5kG以上の残留磁束密度
Brを有し、ハードフェライト磁石を超える磁気的性能
を有するボンド磁石を提供できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、各種モーターやアク
チュエーター並びに磁気センサー用などに最適な希土類
ボンド磁石用合金粉末とその製造方法に係り、希土類元
素の含有量が少ない特定組成の(Fe,Co)−Mn−
B−R合金溶湯を回転ロールを用いた超急冷法、スプラ
ット急冷法、ガスアトマイズ法あるいはこれらの併用法
にてアモルファス組織あるいは微細結晶とアモルファス
が混在する組織とし、特定の熱処理にてα−鉄及び鉄を
主成分とする強磁性の軟磁性相とNd2Fe14B型結晶
構造の硬磁性相との微細結晶集合体からなる合金粉末を
得、これを樹脂にて結合することにより、ハードフェラ
イト磁石では得られない5kG以上の残留磁束密度Br
を有するFe−B−R系磁石を得ることができる永久磁
石合金粉末とその製造方法に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、軟磁性相と
硬磁性相が混在する低希土類濃度の鉄基永久磁石材料の
iHcを向上させ、安定した工業生産を可能にする永久
磁石合金粉末を目的に種々検討した結果、希土類元素の
含有量が少なく、鉄基合金にMnを添加し、さらに一部
Coで置換した特定組成の合金溶湯を超急冷法等にてア
モルファス組織あるいは微細結晶とアモルファスが混在
する組織となし、特定の昇温速度による熱処理にて微細
結晶集合体を得ることにより、ハードフェライト磁石で
は得られなかった6kG以上の残留磁束密度Brを有す
るボンド磁石に最適の永久磁石合金粉末が得られること
を知見し、この発明を完成した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/10 45/02 A H01F 1/053 1/06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式を(Fe1-aCoa100-x-y-z
    xyz (但しRはPrまたはNdの1種または2
    種)と表し、組成範囲を限定する記号x、y、z、aが
    下記値を満足し、α−鉄及び鉄を主成分とする強磁性の
    軟磁性相と、Nd2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性
    相とが同一粉末粒子中に共存し、各構成相の平均結晶粒
    径が1nm〜50nmの範囲にあり、平均粒径が3μm
    〜500μm、磁気特性がiHc≧5kOe、Br≧6
    kG、(BH)max≧7MGOeであることを特徴と
    する永久磁石合金粉末。 0.01≦x≦7at% 10≦y≦30at% 3≦z≦6at% 0.005≦a≦0.5
  2. 【請求項2】 組成式を(Fe1-aCoa100-x-y-z
    xyz (但しRはPrまたはNdの1種または2
    種)と表し、組成範囲を限定する記号x、y、z、aが
    下記値を満足する合金溶湯を回転ロールを用いた超急冷
    法、スプラット急冷法、ガスアトマイズ法あるいはこれ
    らを組み合せて急冷し、アモルファス組織あるいは微細
    結晶とアモルファスが混在する組織となし、さらに結晶
    化が開始する温度付近から600℃〜750℃の処理温
    度までの昇温速度が10℃/分〜50℃/秒になる結晶
    化熱処理を施し、α−鉄及び鉄を主成分とする強磁性の
    軟磁性相と、Nd2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性
    相とが同一粉末粒子中に共存し、各構成相の平均結晶粒
    径が1nm〜50nmの範囲にある微結晶集合体を得た
    のち、必要に応じてこれを平均粒径3μm〜500μm
    に粉砕して永久磁石合金粉末を得ることを特徴とする永
    久磁石合金粉末の製造方法。 0.01≦x≦7at% 10≦y≦30at% 3≦a≦6at% 0.005≦z≦0.5
JP5341647A 1993-12-10 1993-12-10 永久磁石合金粉末とその製造方法 Pending JPH07166206A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5341647A JPH07166206A (ja) 1993-12-10 1993-12-10 永久磁石合金粉末とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5341647A JPH07166206A (ja) 1993-12-10 1993-12-10 永久磁石合金粉末とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07166206A true JPH07166206A (ja) 1995-06-27

Family

ID=18347716

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5341647A Pending JPH07166206A (ja) 1993-12-10 1993-12-10 永久磁石合金粉末とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07166206A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002030595A1 (fr) * 2000-10-06 2002-04-18 Santoku Corporation Procede de fabrication par coulee de bandes d'un alliage brut pour aimant permanent nanocomposite

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002030595A1 (fr) * 2000-10-06 2002-04-18 Santoku Corporation Procede de fabrication par coulee de bandes d'un alliage brut pour aimant permanent nanocomposite
US7004228B2 (en) 2000-10-06 2006-02-28 Santoku Corporation Process for producing, through strip casting, raw alloy for nanocomposite type permanent magnet
US7547365B2 (en) 2000-10-06 2009-06-16 Hitachi Metals, Ltd. Process for producing, through strip casting, raw alloy for nanocomposite type permanent magnet

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3411663B2 (ja) 永久磁石合金並びに永久磁石合金粉末とその製造方法
JP3519443B2 (ja) 永久磁石合金粉末とその製造方法
JP2966169B2 (ja) 希土類磁石並びに希土類磁石用合金粉末とその製造方法
JP2999648B2 (ja) 希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末とその製造方法
JPH07166206A (ja) 永久磁石合金粉末とその製造方法
JPH07176417A (ja) 鉄基ボンド磁石とその製造方法
JPH10130796A (ja) 微細結晶永久磁石合金及び等方性永久磁石粉末の製造方法
JP3238779B2 (ja) 希土類磁石合金粉末とその製造方法
JP2999649B2 (ja) 希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末とその製造方法
JP3519438B2 (ja) 希土類磁石合金粉末とその製造方法
JP3710154B2 (ja) 鉄基永久磁石とその製造方法並びにボンド磁石用鉄基永久磁石合金粉末と鉄基ボンド磁石
JPH1064710A (ja) 高磁束密度を有する等方性永久磁石とその製造方法
JPH07161513A (ja) 鉄基ボンド磁石とその製造方法
JP3547016B2 (ja) 希土類ボンド磁石とその製造方法
JP4934787B2 (ja) 磁性合金およびボンド磁石
JP2966168B2 (ja) 希土類磁石並びに希土類磁石用合金粉末とその製造方法
JP3459440B2 (ja) 希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末とその製造方法
JPH0521219A (ja) 希土類永久磁石の製造方法
JP3040895B2 (ja) 希土類ボンド磁石とその製造方法
JPH0657311A (ja) 希土類磁石合金粉末の製造方法
JPH0653019A (ja) 希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末とその製造方法
JP3411659B2 (ja) 希土類磁石並びに希土類磁石合金粉末とその製造方法
JP3795056B2 (ja) 鉄基ボンド磁石及びボンド磁石用鉄基永久磁石合金粉末
JPH0636916A (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JPH0661025A (ja) Fe−B−R系ボンド磁石の製造方法