JPH0716453A

JPH0716453A - セラミック系吸着除去剤

Info

Publication number: JPH0716453A
Application number: JP18704793A
Authority: JP
Inventors: Kunio Nomura; 邦雄野村; Fumio Seshimo; 文夫瀬下; Takuji Miyamoto; 卓二宮本; Katsumi Kamimura; 克己上村; Masaaki Nagano; 雅章永野; Minoru Hirahara; 稔平原; Toshiharu Nakamura; 俊治中村; Norio Niwa; 功雄丹羽
Original assignee: Mitsuboshi Kogyo Co Ltd
Current assignee: Mitsuboshi Kogyo Co Ltd
Priority date: 1993-06-29
Filing date: 1993-06-29
Publication date: 1995-01-20
Anticipated expiration: 2011-01-24
Also published as: JPH084743B2

Abstract

(57)【要約】【構成】（Ａ）炭酸カルシウムと粘土を含む石灰石水
洗ケーキを母材とし、これに海泡石およびフライアッシ
ュ、ゼオライト等のシリカ系粉体を配合し、成形後に１
１００〜１３００℃程度で焼成して農薬、リン等の有害
成分ののセラミック系吸着除去剤とする。【効果】農薬、リン等の有害成分を除去する機能を有
し、吸着された多種類の農薬を速やかに分解・除去し、
当初より農薬、リン等の有害成分の除去効果の変動がな
く、長期にわたり効果が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ゴルフ場等で用いられ
ている農薬と肥料の流出防止などを目的とした有害成分
の吸着除去剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ゴルフ場の芝を病虫害から守り、
育成するために多量の殺虫剤、除草剤、および殺菌剤な
らびに肥料が使用されている。都道府県の行政機関で
は、農薬による環境汚染を防止するために農薬の適正使
用と農薬の総量規制を指導している。一方、民間企業で
は、各種の農薬対策商品や除去システムを販売してい
る。このうち対策商品については、多種類の農薬を直ち
に除去でき、しかも永年にわたり除去効果を維持できる
ものは少ない。最近、二酸化珪素、酸化カルシウム、酸
化アルミニウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化マグネシ
ウム、酸化カリウムからなる金属酸化物を焼成してなる
多孔質焼結体に活性炭等の吸着物質を配合した農薬吸着
分解剤が見られる（特開平４−１１００３５号公報）
が、多種類の農薬について必ずしも長期間にわたり除去
効果を期待することはできそうにない。

【０００３】現在、湖沼での富栄養化による水質悪化は
社会問題となっており、湖沼に処理排水を流入させてい
る事業所には窒素、リンの排出量が規制されているが、
農薬、栄養塩類の同時除去については全く対策商品がな
いのが現状である。また、除去システムについては、主
に懸濁物質と農薬の除去を目的としたものであり、シス
テムの導入とその維持管理に経済的な負荷も大きいのが
現状である。さらに、農薬やリン、窒素以外の有害成分
についても、排水中からの吸着・除去が望まれているも
のが多い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、ゴルフ場等
からの農薬および肥料の流出防止等を目的として使用さ
れる有害成分のセラミック系吸着除去剤を提供するもの
である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のセラミック系吸
着除去剤は、炭酸カルシウムと粘土を含む石灰石水洗ケ
ーキを母材とし、これに海泡石およびシリカ系粉粒体を
配合し、この配合物を成形後に焼成してなることを特徴
とする。

【０００６】

【発明の作用】本発明のセラミック系吸着除去剤は、農
薬、リンなどを吸着・除去する機能を有しており、吸着
された農薬等については生分解機能と加水分解機能があ
いまって、簡便な施工により多種類の農薬を効果的に除
去するものである。とりわけ、本発明のセラミック系吸
着除去剤は、農薬およびリンの除去機能に優れており、
吸着された農薬は分解・除去されるため、通常の使用に
おいては、吸着された農薬が破過容量に達することは稀
であるので、永年にわたり除去効果を発揮することが可
能になった。

【０００７】

【発明の実施態様】セラミック系吸着除去剤の原材料の
母材をなす石灰石水洗ケーキは、石灰石採掘後の水洗選
鉱工程より発生するものである。即ち、石灰石を水洗す
ると、微細粒の粘土、石灰石粉を含んだスラリーが発生
する。これをシックナー（沈澱槽）で沈澱させた後、フ
ィルタープレス（加圧脱水装置）等で脱水したものであ
り、約７０％以上の石灰石粉と約３０％以下の粘土粉を
含んでいる。一方、海泡石は、細孔を有するという特性
をもつ。

【０００８】シリカ系粉粒体としては、フライアッシ
ュ、ゼオライトなどが挙げられ、配合物中に不足するＳ
ｉ分を補充する機能を有している。フライアッシュとし
ては、火力発電所等より発生する石炭系の普通のフライ
アッシュでよい。ゼオライトは天然ゼオライトでも合成
ゼオライトでもよい。

【０００９】石灰石水洗ケーキ（Ａ）、海泡石（Ｂ）お
よびシリカ系粉粒体（Ｃ）の配合重量比は、（Ａ）：
（Ｂ）：（Ｃ）＝４０〜６０：１０〜３０：１０〜４０
が好適であり、より好ましくは４５〜５５：１５〜２
５：２５〜３５である。上記の石灰石水洗ケーキ、海泡
石およびシリカ系粉粒体の各成分は混合された後、造粒
される。造粒には特にバインダーを必要とせず、適切量
の水分があれば普通の造粒機で造粒できる。

【００１０】造粒されたものは、１１００〜１３００℃
位の温度で焼成され、ダイカルシウムシリケート（２Ｃ
ａＯ・ＳｉＯ₂）を骨格としたセラミックとなり、農
薬、リン等に対して優れた除去機能をもつセラミック系
吸着除去剤が得られる。

【００１１】本発明のセラミック系吸着除去剤の粒径
は、その使用場所に応じて適宜選定され、例えば、芝土
中に添加する場合は透水性を考慮して１．５〜５ｍｍ径
のものが好ましく、集水マンホールなどで用いられる場
合は５〜１５ｍｍ径のものが好ましい。

【００１２】本発明のセラミック系吸着除去剤の施工方
法としては、床土中に添加する方法、床土中に層状に設
置する方法、集水管や集水ピットに設置する方法、調整
池に設置する方法、カラムに充填して被処理水を通水す
る方法などがあり、これらの方法はいずれも簡便であ
る。

【００１３】

【発明の効果】本発明のセラミック系吸着除去剤は、農
薬、リン等の有害成分を除去する機能を有しており、特
に加水分解機能に優れていることから、吸着した多種類
の農薬等を速やかに分解・除去する効果を有している。
また、農薬を長期にわたり生分解する機能を併せ有する
ものである。したがって、当初より農薬等の有害成分の
除去効果に変動がなく、長期にわたり効果が期待できる
ものである。

【００１４】特に、本発明のセラミック系吸着除去剤は
後述の実験例１，２に示すように、農薬分解能が優れて
おり、吸着を主体とする市販品よりもはるかに長期にわ
たり、その除去効能を維持できるものである。また、実
験例３に示すように、リンに対して非常に優れた除去機
能を示す。さらに、保水力、通気性、透水性、保肥力等
の物理的、化学的性質に優れているので、床土の改良に
も効果があり、また、施工も簡便である。

【００１５】また、カラムに充填して通水することによ
り、有害成分を含む排水を浄化することができる。以下
に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明
は、その主旨を超えない限りにおいて、以下の実施例に
限定されるものではない。

【００１６】

【実施例】

実施例１石灰石水洗フィルターケーキ６０重量部、海泡石２０重
量部およびフライアッシュ２０重量部を混合造粒したの
ち、１２００℃で焼成して粒径０．７５〜１ｍｍの本発
明のセラミック系除去剤を得た。

【００１７】実験例１：農薬除去機能（室内カラム試
験）ゴルフ場で汎用されている農薬を用いた。即ち、殺菌剤
としてクロロネブ、イソプロチオラン、フルトラニル、
イプロジオン、ＴＰＮ、除草剤としてプロピザミド、シ
マジン（ＣＡＴ）、殺虫剤としてフェニトロチオン（Ｍ
ＥＰ）、イソキサチオン、ダイアジノンを選定した。断
面積０．７８ｃｍ²のカラムに本発明の実施例１のセラ
ミック系吸着除去剤あるいは比較対照としての活性炭を
３ｇ積層し、表１に示した流入液濃度の溶液を１時間当
たり２５ｍｌの速度で約５２０ｍｌを連続的に流し、２
０．７５時間中の流出液中の平均農薬濃度を測定し、そ
の結果を表１に示した。

【００１８】

【表１】表１：農薬除去効果流出液濃度(mg/l) 調査対象農薬名流入液濃度(mg/l) 実施例１品活性炭クロロネブ 94.0 8.52 8.59 イソプラチオラン 328 7.11 31.2 フルトラニル 223 7.01 21.2 イプロジオン 2020 6.42 187 ＴＰＮ 789 23.3 78.0 ＣＡＴ 1325 23.6 127 プロピザミド 287 14.5 27.4 ＭＥＰ 1040 20.3 100 イソキサチオン 1040 7.03 98.6 ダイアジノン 650 16.8 60.1

【００１９】以上の実験結果を見ても、本発明によるセ
ラミック系吸着除去剤は汎用されている活性炭に比べ農
薬除去に優れていることが分かる。

【００２０】実験例２：農薬除去機能（室内カラム試
験）断面積０．７８ｃｍ²のカラムに本発明の実施例１のセ
ラミック系吸着除去剤あるいは比較対照としての市販農
薬吸着剤を３ｇ積層し、表２に示した流入液濃度の溶液
を１時間当たり３２ｍｌの速度で約７２０ｍｌを連続的
に流し、２２．５時間中の流出液中の平均農薬濃度を測
定し、その結果を表２に示した。

【００２１】

【表２】表２：農薬除去効果流出液濃度(mg/l) 調査対象農薬名流入液濃度(mg/l) 実施例２品市販農薬吸着剤クロロネブ 2.98 0.587 0.551 イソプラチオラン 2.67 0.398 0.429 フルトラニル 2.12 0.478 0.559 イプロジオン 1.50 0.293 0.391 ＴＰＮ 5.26 1.02 1.86 ＣＡＴ 11.1 4.26 4.12 プロピザミド 4.86 1.76 1.89 ＭＥＰ 3.03 0.292 0.348 イソキサチオン 1.83 0.306 0.461 ダイアジノン 2.71 0.445 0.347

【００２２】以上の実験結果を見ても、本発明によるセ
ラミック系除去剤は市販の農薬吸着剤に比べ農薬除去に
優れていることが分かる。

【００２３】実験例３：リン吸着能断面積０．７８ｃｍ²のカラムに表３に示したそれぞれ
の試料を３ｇ積層し、肥料成分としてＰＯ₄−Ｐ（リン
酸態リン）を含む肥料（芝グリーンＰ，大塚化学（株）
製）の溶液を６９５μｇ／ｃｍ²の量で添加し、３０ｍ
ｍの降雨に相当する量の水を流し、流出液中の肥料成分
を測定して肥料成分の流出量を求め、その結果を表３に
示した。

【００２４】

【表３】表３：リン吸着能流出量（μｇ／ｃｍ²）試料肥料成分実施例２品市販農薬吸着剤活性炭ＰＯ₄−Ｐ＜１１０５２９５以上の実験結果を見ても、本発明のセラミック系除去剤
によるリン吸着能は、市販の農薬吸着剤および活性炭に
比べ非常に優れていることが分かる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者永野雅章岐阜県大垣市赤坂町71−３ (72)発明者平原稔岐阜県大垣市笠木町49 (72)発明者中村俊治愛知県名古屋市中村区名駅３−28−12 (72)発明者丹羽功雄愛知県名古屋市守山区大字瀬古字柴荷102 −１

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】炭酸カルシウムと粘土を含む石灰石水洗
ケーキを母材とし、これに海泡石およびシリカ系粉粒体
を配合し、この配合物を成形後に焼成してなることを特
徴とするセラミック系吸着除去剤。