JPH0716148Y2 - 湯水混合栓 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は湯水混合栓に関するものである。

〔従来の技術〕

上記の湯水混合栓として、混合栓本体の水流路と湯流路
との混合部に装填された湯水混合弁が、中心部に感温媒
体が内装され且つこの混合栓本体の軸線方向に摺動自在
に構成されていると共に、回転に伴う、前記混合栓本体
の軸線方向の、螺進により前記湯水混合弁による湯水の
混合比を設定変更する混合比設定部材が前記湯水混合弁
内の感温媒体に向合わせで前記混合栓本体側のホルダー
の内部に螺合装着され、当該混合比設定部材に回転操作
具が連動連結されて成るものがある。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記の湯水混合栓におけるホルダーと混合比
設定部材は、例えば銅合金等の金属製のものであって、
該ホルダーと混合比設定部材の極く僅かな製作誤差に起
因して、前記ホルダーに対する混合比設定部材の回転軸
芯が芯ズレしたり、或いは、前記回転操作具の芯ズレに
起因して前記混合比設定部材に無理な力が掛かって、前
記ホルダーに対する混合比設定部材の回転軸芯が芯ズレ
したりし易く、このため、前記湯水混合比を設定変更す
べく回転操作した際に、前記ホルダーと混合比設定部材
とが螺合部で軋み合って不快な軋み音を発する欠点があ
った。

また、上記の湯水混合栓は前記混合比設定部材とは別に
湯水混合弁の中心部に内装された感温媒体がこの混合比
設定部材に向き合って設けられる構成であるから、上記
混合比設定部材とホルダーとの回転軸芯の芯ズレはこの
湯水混合弁の作動にも大きな影響を与え、スムースな弁
の調整移動並びに作動が行えなくなる欠点があった。

本考案は、極めて簡単な改良によって、前記芯ズレに起
因する不快な金属性の軋み音の発生を効果的に抑止させ
るとともに、湯水混合弁のスムースな湯水の混合比調整
並びに作動が可能になる湯水混合栓を提供することを目
的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために本考案は、冒頭に記載した
湯水混合栓、即ち、混合栓本体の水流路と湯流路との混
合部に装填された湯水混合弁が、中心部に感温媒体が内
装され且つこの混合栓本体の軸線方向に摺動自在に構成
されていると共に、回転に伴う、前記混合栓本体の軸線
方向の、螺進により前記湯水混合弁による湯水の混合比
を設定変更する混合比設定部材が前記湯水混合弁内の感
温媒体に向合わせで前記混合栓本体側のホルダーの内部
に螺合装着され、当該混合比設定部材に回転操作具が連
動連結されて成る湯水混合栓において、前記ホルダーと
混合比設定部材との間に、当該両者の相対回転軸芯をほ
ゞ同芯状にするための軟質の合成樹脂リングが設けられ
ている点に特徴を有する。

〔作用〕

上記の特徴構成によれば、製作誤差に起因してホルダー
と混合比設定部材の相対回転軸芯に芯ズレを生じる状況
であっても、両者の回転軸芯が合成樹脂製のリングによ
って同芯状に芯合わせされることで、該両者間での不快
な金属性の軋み音の発生が抑止される。しかも、湯水混
合弁内の感温媒体とこの混合比設定部材との相対的な向
き合い位置が常に正しく同芯状に芯合わせされて保たれ
る。

しかも、上記合成樹脂製リングが軟質であるから、該合
成樹脂製リングとホルダーあるいは混合比設定部材との
間で不快な音を発することもない。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図ならびに第２図は湯水混合栓の断面を示し、第３
図は湯水混合栓の全体を示すものであって、図におい
て、１は混合栓本体で、給湯用および給水用偏心管2,3
の接続口部a,bと、該口部a,bに連なる湯および水の流路
4,5と、当該両流路4,5が合流する湯水の混合部６、及
び、流路切り換え具７によって前記混合部６に選択的に
連通される蛇口８とシャワー９の接続管部10,11を備え
ている。

12は前記湯流路４と混合部６との境界部に設けられた筒
状の湯側弁座で、前記混合栓本体１の開口部に螺着され
る有底筒状のホルダー13によって混合栓本体１の内部に
固定されている。

14は筒状の湯水混合弁で、前記混合部６に臨む水流路５
の端部を弁座ｃとして、該弁座ｃと前記筒状の湯側弁座
12との間でスライド自在に設けられ、かつ、スプリング
15によって前記湯側弁座12を閉じる方向に付勢されてい
る。そして、該湯水混合弁14の筒中心部には、検出温度
が設定温度よりも低くなるほどピストンｄを突出させる
サーモスタット16が保持されている。

17は有底筒状の混合比設定部材で、第４図にも示すよう
に、内部には圧縮コイルスプリング18によって付勢され
たピストン受け19が内蔵され、かつ、該混合比設定部材
17の外周面部に形成された雄ネジｅが前記ホルダー13の
内周面部に形成された雌ネジｆに螺合されている。

20は前記ホルダー13の底部に保持された回転操作軸で、
前記ホルダー13と同芯の軸芯まわりで回転のみ自在に設
けられ、かつ、該回転操作軸20の一端側には回転操作具
21が連動連結されている。そして、この回転操作軸20の
他端側には、セレーション（その他、四角形や六角形等
でも良い。）による異径部ｇが連設されていて、当該異
径部ｇが相対回転不能の状態で前記混合比設定部材17の
底部に貫設されている。

而して、前記回転操作具21の回転操作に伴って前記混合
比設定部材17が回転すると共に、該混合比設定部材17と
ホルダー13の螺合部において当該混合比設定部材17が螺
進し、これに追従して前記湯水混合弁14がスライド操作
されるもので、この湯水混合弁14のスライドによって湯
水の混合比が設定変更される。

そして、混合湯水の温度が高くなると、前記サーモスタ
ット16のピストンｄが突出されて相対的に前記湯水混合
弁14が湯側弁座12から離間され、逆に混合湯水の温度が
低くなると、前記サーモスタット16のピストンｄが引退
されて、相対的に前記湯水混合弁14が湯側弁座12に接近
し、もって、前記混合部６での混合湯水の温度を設定温
度に近似させるように自動的に温度調節が成されるよう
になっている。

かかる湯水の混合栓において、第１図ならびに第４図に
も示すように、前記混合比設定部材17のピストン受け19
側の外周面部に環状の凸部22を連設すると共に、当該凸
部22と混合比設定部材17の底部側部分17aの外周面部の
夫々に、環状の凹部h,iを形成する一方、軟質の合成樹
脂製リング23を、その一部を前記凹部h,iから露出させ
る状態で当該凹部h,iに嵌入保持させ、この合成樹脂製
リング23,23をホルダー13の内面に押圧させるように弾
性変形させながら、前記混合比設定部材17をホルダー13
に螺合させてある。

かかる構成によれば、前記２個の合成樹脂製リング23,2
3を介して前記混合比設定部材17が両端支持の状態で前
記ホルダー13に保持されて、当該合成樹脂製リング23,2
3の弾性復元力の作用で前記混合比設定部材17の回転軸
芯が前記ホルダー13の回転軸芯とほゞ同芯状に芯合わせ
される。

従って、製作誤差に起因して前記ホルダー13と混合比設
定部材17の相対回転軸芯に芯ズレを生じたり、あるい
は、前記回転操作軸20の芯ズレによる無理な力が混合比
設定部材17に掛かって前記相対回転軸芯が芯ズレする状
況であっても、前記芯合わせが達成されることで、前記
ホルダー13と混合比設定部材17の螺合部において、不快
な金属性の軋み音が発生することを抑止できる。

勿論、前記合成樹脂製リング23が軟質であるから、該合
成樹脂製リング23とホルダー13あるいは混合比設定部材
17との間で不快な音を発することもない。

尚、前記混合比設定部材17を２個の合成樹脂製リング2
3,23を介して両端支持させる構成故に、特に混合比設定
部材17が長軸構造のものを対象にして実施する上で好適
であるが、混合比設定部材17が短尺のものを対象にする
ならば、例えば第５図に示すように、前記底部側部分17
aの合成樹脂製リング23を省略したり、あるいは、ピス
トン受け19側の合成樹脂製リング23を省略したりして、
前記混合比設定部材17を一端側で支持する構成とするも
良い。

また、前記合成樹脂製リング23をホルダー13側に保持さ
せるも良く、あるいは、前記２個の合成樹脂製リング2
3,23を設ける構成において、前記ホルダー13と混合比設
定部材17の夫々に各１個の合成樹脂製リング23を保持さ
せて実施するも良い。

尚、第５図に示す混合比設定部材17とホルダー13におい
て、第４図に示すものとは構造が異なるが構成的には同
じものであって、この同じ構成部品に同符号を付して、
その説明を省略する。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の湯水混合栓によれば、ホル
ダーと混合比設定部材との間に合成樹脂製リングを設け
ることによって、製作誤差に起因してホルダーと混合比
設定部材の相対回転軸芯に芯ズレを生じる状況下であっ
ても、当該相対回転軸芯をほゞ同芯状にすることができ
るようになり、而して、ホルダーと混合比設定部材の螺
合部での不快な金属性の軋み音の発生を効果的に抑止で
きるに至り、しかも、前記合成樹脂製リングが軟質であ
るから、該合成樹脂製リングとホルダーあるいは混合比
設定部材との間で不快な音を発することもなく、全体と
して、極めて簡単な改良によって従来の欠点を解消でき
るに至ったのである。また、湯水混合弁内の感温媒体と
この混合比設定部材との相対的な向き合い位置が常に正
しく同芯状に芯合わせされて保たれるために、即ち、両
者が同芯状にないためにいずれか一方に偏荷重が働き作
動の円滑さを欠くという虞れがなくなるために、回転操
作具によって混合比を調整するに際して、この回転操作
具の調整操作を的確に感温媒体から湯水混合弁へ伝達で
き、この湯水混合弁をスムースに調整移動させて、混合
比の的確な調整を可能にするとともに、感温媒体の作動
が正しく湯水混合弁へ伝達され、この湯水混合弁の作動
がスムースで的確な湯水の混合が可能になる格別の効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は主要部を破断した湯水混合栓の平面図、第２図
は同じく側面図、第３図は蛇口とシャワーを備えた湯水
混合栓の斜視図、第４図はホルダーと混合比設定部材の
断面図、第５図は別実施例のホルダーと混合比設定部材
の断面図である。 １…混合栓本体、４…湯流路、５…水流路、６…混合
部、13…ホルダー、14…湯水混合弁、17…混合比設定部
材、21…回転操作具、23…合成樹脂製リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】混合栓本体の水流路と湯流路との混合部に
   装填された湯水混合弁が、中心部に感温媒体が内装され
   且つこの混合栓本体の軸線方向に摺動自在に構成されて
   いると共に、回転に伴う、前記混合栓本体の軸線方向
   の、螺進により前記湯水混合弁による湯水の混合比を設
   定変更する混合比設定部材が前記湯水混合弁内の感温媒
   体に向合わせで前記混合栓本体側のホルダーの内部に螺
   合装着され、当該混合比設定部材に回転操作具が連動連
   結されて成る湯水混合栓において、前記ホルダーと混合
   比設定部材との間に、当該両者の相対回転軸芯をほゞ同
   芯状にするための軟質の合成樹脂製リングが設けられて
   いることを特徴とする湯水混合栓。