JPH07158637A - リニアガイド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ボールが円滑に転動することを可能にするリニ
アガイド装置を提供することを目的とする。 【構成】リニアガイド装置１０は、周回するボール転動
溝２２が画成されたガイドブロック１２と、前記ボール
転動溝２２の第１直線部２４、第２直線部２６と第１円
弧部２８あるいは第２円弧部３０に対向するボール転動
溝４０をカバー部材１６ａあるいはカバー部材１６ｂに
画成したため、ボール転動溝４０を円弧部分で接続せ
ず、直線部分で接続するように構成できる。したがっ
て、部品の製造精度による接続部分の段差が可及的に減
少し、ボールが円滑に転動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガイドレールと、その
上を自在に走行するスライダとの間に介在する転動ボー
ルの無限循環路を設けたリニアガイド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ガイドレールとその上を変位
するスライダとの間にボールを介在させ、前記スライダ
を良好に変位させている。例えば、実開平１−６３８１
７号公報には、ボール転動溝が設けられたガイドレール
と、前記ガイドレールのボール転動溝に対向するボール
転動溝およびこれに平行するボール通路としての貫通孔
を有するスライダ本体と、半ドーナツ状のボール循環路
を有してスライダ本体の端部に接合されたエンドキャッ
プと、ボール転動溝内に転動可能に挿入された複数のボ
ールと、そのボールを保持する保持器とを備えたリニア
ガイド装置が提案されている。

【０００３】このリニアガイド装置では、図１０に示す
ように、スライダ本体２に対して、エンドキャップ４が
その端部で接合され、さらに、保持器６が前記エンドキ
ャップ４の孔部に挿入することにより、ボール循環路８
が構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにして構成されたリニアガイド装置では、ボール循環
路８の円弧部分９において、保持器６とエンドキャップ
４との接続部分とスライダ本体２とエンドキャップ４と
の接続部分とが計４カ所存在する。前記接続部分は円弧
部分９に存在するため、組み立て時に部品の製造精度の
ばらつきによって段差が形成され易く、前記ボール循環
路８をボールが円滑に転動できないおそれがある。

【０００５】本発明は、この種の問題を解決するために
なされたものであって、ボールが円滑に転動することを
可能とするリニアガイド装置を提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、側面に画成されたボール転動溝とその
溝底に沿って画成されたボール保持部用溝とを有するガ
イドレールに対して、前記ガイドレール上を跨架して変
位するスライダの前記ボール転動溝に対向する面に装着
され、前記スライダを円滑に変位させるリニアガイド装
置であって、前記ガイドレールのボール転動溝に対向す
る第１直線部と、前記第１直線部に略平行な第２直線部
と、前記第１直線部の端部と第２直線部の端部とを連続
させる第１円弧部および第２円弧部とからなるボール転
動溝を有するガイドブロックと、前記ガイドブロックの
第１円弧部に対向する半ドーナツ状の第３円弧部と、前
記第２円弧部の一端に連続し、前記ガイドブロックの第
２直線部に対向する直線部と、前記第３円弧部の他端に
連続し、前記ガイドブロックの第１直線部に対向するボ
ール保持部とからなるボール転動溝を有する第１カバー
部材と、前記ガイドブロックの第２円弧部に対向する半
ドーナツ状の第４円弧部と、前記第４円弧部の一端に連
続し、前記ガイドブロックの第２直線部に対向する直線
部と、前記第４円弧部の他端に連続し、前記ガイドブロ
ックの第１直線部に対向するボール保持部とからなるボ
ール転動溝を有する第２カバー部材と、前記ボール転動
溝に挿入される複数のボールと、前記ガイドブロックに
画成された螺孔にカバー部材の孔部を介して螺入され、
前記ガイドブロックと第１カバー部材と第２カバー部材
とを一体化させる取付部材と、を備え、前記第１カバー
部材と前記第２カバー部材の直線部およびボール保持部
の先端部同士を接続させることを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明に係るリニアガイド装置では、ボール循
環路の内周面がガイドブロックのボール転動溝のみで構
成されるとともに、その外周面が直線部と円弧部とボー
ル保持部が一体的に構成された第１および第２カバー部
材のボール転動溝のみで構成される。したがって、第１
カバー部材と第２カバー部材との接続部分は、それぞれ
の直線部同士、あるいはボール保持部同士が接続された
部分となる。すなわち、接続部分は直線状に形成されて
いる部分であるため、部品の製造精度の影響を受けにく
く、段差を可及的に小さくできる。したがって、前記リ
ニアガイド装置は、ボールを円滑に転動させることがで
きる。

【０００８】

【実施例】本発明に係るリニアガイド装置について、好
適な実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細
に説明する。

【０００９】先ず、本実施例に係るリニアガイド装置を
説明し、次に、当該リニアガイド装置が使用されるスラ
イドアクチュエータを説明する。

【００１０】リニアガイド装置１０は、図１に示すよう
に、ガイドブロック１２、ボール１４、カバー部材１６
ａ、１６ｂ、スクレーパ１８ａ、１８ｂおよびボルト２
０ａ、２０ｂから構成される。

【００１１】ガイドブロック１２は、矩形体の側面を周
回するボール転動溝２２が画成されている。前記ボール
転動溝２２は、長手方向の側面に形成される第１直線部
２４および第２直線部２６、前記第１直線部２４と第２
直線部２６とを連続させる第１円弧部２８、第２円弧部
３０からなる。前記ガイドブロック１２の上面および短
手方向の側面には、それぞれボルト螺入用の螺孔３２、
３３（図３参照）が形成されている。

【００１２】カバー部材１６ａ、１６ｂは、略矩形体状
の本体部３４に対してカバー部３６と断面Ｌ字状の押さ
え部３８が突出して一体形成されている。前記カバー部
３６、本体部３４、押さえ部３８は、ガイドブロック１
２のボール転動溝２２に対向する面にボール転動溝４０
が画成されている。したがって、ボール転動溝４０は、
図２に示すように、前記ガイドブロック１２の第２直線
部２６に対向する直線部４２、前記第１円弧部２８ある
いは第２円弧部３０に対向する円弧部４４、前記第１直
線部２４に対向するボール保持部４６から構成される。
なお、カバー部材１６ａのカバー部３６と押さえ部３８
の先端部には、凸部４８ａ、５０ａが形成され、カバー
部材１６ｂのカバー部３６と押さえ部３８の先端部に
は、凹部４８ｂ、５０ｂが形成されている。前記本体部
３４には、前記螺孔３３に対応する孔部５２が画成され
るとともに、後述するスクレーパ用の凹部５４が画成さ
れている。

【００１３】スクレーパ１８ａは、前記カバー部材１６
ａ、１６ｂの孔部５２、５２のいずれにも対応できるよ
うに、孔部５６ａ、５６ｂが画成された板体５８と、前
記板体５８に装着され、後述するガイドレールの溝形状
に対応した凸部５９を有するシール部材６０から構成さ
れる。

【００１４】このように構成されるリニアガイド装置１
０は、ガイドブロック１２のボール転動溝２２にボール
１４を挿入し、前記ガイドブロック１２の両端部からカ
バー部材１６ａ、１６ｂを装着する。この場合、前記カ
バー部材１６ａのカバー部３６と押さえ部３８の先端に
形成された凸部４８ａ、５０ａを前記カバー部材１６ｂ
のカバー部３６と押さえ部３８の先端に形成された凹部
４８ｂ、５０ｂに嵌合して接続する。さらに、カバー部
材１６ａ、１６ｂの凹部５４にスクレーパ１８ａ、１８
ｂが嵌合される。そこで、ボルト２０ａをスクレーパ１
８ａの孔部５６ｂ、カバー部材１６ａの孔部５２に挿通
し、またガイドブロック１２の螺孔３３に螺入すること
によりスクレーパ１８ａ、カバー部材１６ａ、ガイドブ
ロック１２が一体化される。同様に、スクレーパ１８
ｂ、カバー部材１６ｂ、ガイドブロック１２がボルト２
０ｂで一体化される。この結果、図３に示すようにガイ
ドブロック１２の第２直線部２６は、カバー部材１６
ａ、１６ｂのカバー部３６によって覆われ、ボール転動
溝２２、４０で構成される部分を外部から遮断する。

【００１５】このようにして一体化されたリニアガイド
装置１０は、次のようなスライドアクチュエータ７０に
使用される。

【００１６】スライドアクチュエータ７０は、図４およ
び図５に示すように、シリンダボディ７２の上部にガイ
ドレール７４を形成し、前記ガイドレール７４上をスラ
イドテーブル７６が変位する。

【００１７】前記シリンダボディ７２には、図５に示す
ように、シール部材７８、８０によって閉塞されたシリ
ンダ室８２が平行に２つ形成され、前記シリンダ室８２
内にはピストン８４が変位自在に備えられている。前記
シリンダボディ７２の前記シリンダ室８２の軸方向に隣
接して凹部８６が画成されている。前記ピストン８４に
係合されたロッド８８は、その先端部が前記凹部８６内
で前記スライドテーブル７６の先端部に装着されたエン
ドプレート９０と係合している。

【００１８】前記ガイドレール７４は、図６に示すよう
に、その両側面にボール転動溝９２が画成され、さらに
その底面にボール保持部用溝９４が画成されている。

【００１９】スライドテーブル７６は、図６に示すよう
に、略コの字状に形成され、ガイドレール７４の側面に
対向する位置にボルト９６が螺孔３２に螺入されること
によってリニアガイド装置１０が各側面に２個ずつ、計
４個装着されている。なお、ビス９８によってガイドレ
ール７４とリニアガイド装置１０との間隔を調整するこ
とが可能である。

【００２０】このように構成されるスライドアクチュエ
ータ７０は、以下のように動作する。

【００２１】シリンダ室８２に圧縮空気を供給すること
により、ピストン８４を変位させ、ロッド８８、エンド
プレート９０を介してスライドテーブル７６を変位させ
る。スライドテーブル７６は、リニアガイド装置１０の
ボール転動溝２２の第１直線部２４にあるボール１４が
ガイドレール７４のボール転動溝９２上を転動すること
により、スライドテーブル７６が良好に変位する。な
お、前記リニアガイド装置１０のカバー部材１６ａ、１
６ｂの押さえ部３８は、ガイドレール７４のボール保持
部用溝９４内を当接することなく変位する。さらに、ス
クレーパ１８ａ、１８ｂのシール部材６０の凸部５９が
ガイドレール７４のボール転動溝９２に当接し、塵埃が
リニアガイド装置１０内へ侵入することを阻止する。

【００２２】スライドアクチュエータ７０においてこの
ように用いられるリニアガイド装置１０は、ガイドブロ
ック１２とカバー部材１６ａ、１６ｂからボール転動溝
２２、４０が画成されるため接続部分が少ない。特に、
ボール溝の円弧状に形成された部分は、ガイドブロック
１２およびカバー部材１６ａ、１６ｂがともに直線部分
から一体的にボール転動溝２２、４０を画成しているた
め、段差を生ずることがない。また、前記カバー部材１
６ａ、１６ｂのカバー部３６および押さえ部３８の凸部
４８ａ、５０ａと凹部４８ｂ、５０ｂとを嵌合させるこ
とにより確実に接続できる。しかも、前記接続部分は直
線部分であるため、部品の製造精度による影響が比較的
小さく、しかも段差が可及的に小さくなり、ボール１４
の円滑な転動を阻害することがない。

【００２３】次に、リニアガイド装置の変形例を図７乃
至図９に示す。なお、図１に示すリニアガイド装置１０
と略同一の構成要素には同一の参照符号を付すととも
に、動作についても略同一であるため、その詳細な説明
を省略する。

【００２４】この変形例に係るリニアガイド装置１００
は、ガイドブロック１０２が、直方体状のガイドブロッ
ク本体１０４と、前記ガイドブロック本体１０４に連結
される一対の半円板状のブロック体１０６ａ、１０６ｂ
とから構成される点に特徴がある。

【００２５】すなわち、ガイドブロック１０２は、直方
体状に形成された側面の長手方向に沿ってボール転動溝
２２の第１直線部２４が形成され、さらに第２直線部２
６として機能する貫通孔１０８が画成されたガイドブロ
ック本体１０４と、一対の突起部１１０ａ、１１０ｂを
介して前記ガイドブロック本体１０４の長手方向の一側
面に連結され、第１円弧部２８を有する半円板状のブロ
ック体１０６ａと、一対の突起部１１０ａ、１１０ｂを
介して前記ガイドブロック本体１０４の長手方向の他側
面に連結され第２円弧部３０を有する半円板状のブロッ
ク体１０６ｂとから構成される。ガイドブロック本体１
０４に画成された一対の取付用孔部１１２ａ、１１２ｂ
に一対の突起部１１０ａ、１１０ｂを嵌着することによ
り、一対の半円板状のブロック体１０６ａ、１０６ｂ
は、簡便にガイドブロック本体１０４に連結される。

【００２６】この場合、ガイドブロック１０２をガイド
ブロック本体１０４と一対のブロック体１０６ａ、１０
６ｂとに分割して形成することにより、ガイドブロック
１０２の製造工程が簡便となる利点がある。

【００２７】なお、前記ガイドブロック本体１０４に
は、その長手方向に沿ってボール転動溝２２の第２直線
部２６として機能する貫通孔１０８が画成されているた
め、カバー部材１１４ａ（１１４ｂ）には突出するカバ
ー部３６を設けていない。この場合、カバー部材１１４
ａ（１１４ｂ）の本体部３４には、円弧部４４の終端か
ら外部に突出する半円状の突起部１１６が形成され（図
９参照）、ガイドブロック１０２には、貫通孔１０８の
端部に前記突起部１１６に対応する形状からなる溝部１
１８が形成されている（図８参照）。従って、前記突起
部１１６を溝部１１８に嵌着することにより、直線部４
２として機能するガイドブロック本体１０４の貫通孔１
０８と、カバー部材１１４ａ（１１４ｂ）に画成された
湾曲する円弧部４４とを段差を生ずることなく位置決め
して接続することができる。

【００２８】

【発明の効果】本発明に係るリニアガイド装置によれ
ば、以下の効果が得られる。

【００２９】すなわち、ボール循環路の内周面がガイド
ブロックのボール転動溝のみで構成されるとともに、そ
の外周面が直線部と円弧部とボール保持部が一体的に構
成された第１および第２カバー部材のボール転動溝のみ
で構成される。したがって、第１カバー部材と第２カバ
ー部材との接続部分は、それぞれの直線部同士、あるい
はボール保持部同士が接続された部分となる。すなわ
ち、接続部分は直線状に形成されている部分であるた
め、部品の製造精度の影響を受けにくく、段差を可及的
に小さくできる。したがって、前記リニアガイド装置
は、ボールを円滑に転動させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るリニアガイド装置の分
解斜視図である。

【図２】本発明の一実施例に係るリニアガイド装置の横
断面図である。

【図３】本発明の一実施例に係るリニアガイド装置の縦
断面図である。

【図４】本発明の一実施例に係るリニアガイド装置が使
用されるスライドアクチュエータの一部断面斜視図であ
る。

【図５】本発明の一実施例に係るリニアガイド装置が使
用されるスライドアクチュエータの縦断面図である。

【図６】本発明の一実施例に係るリニアガイド装置が使
用されるスライドアクチュエータの縦断面図である。

【図７】本発明の変形例に係るリニアガイド装置の分解
斜視図である。

【図８】図７に示すリニアガイド装置の横断面図であ
る。

【図９】図７に示すリニアガイド装置の部分拡大図であ
る。

【図１０】従来のリニアガイド装置の横断面図である。

【符号の説明】

１０、１００…リニアガイド装置 １２、１０２…
ガイドブロック １４…ボール １６ａ、１６ｂ、１１４ａ、１１４ｂ…カバー部材 １８ａ、１８ｂ…スクレーパ ７０…スライド
アクチュエータ ７４…ガイドレール ７６…スライド
テーブル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】側面に画成されたボール転動溝とその溝底
   に沿って画成されたボール保持部用溝とを有するガイド
   レールに対して、前記ガイドレール上を跨架して変位す
   るスライダの前記ボール転動溝に対向する面に装着さ
   れ、前記スライダを円滑に変位させるリニアガイド装置
   であって、 前記ガイドレールのボール転動溝に対向する第１直線部
   と、前記第１直線部に略平行な第２直線部と、前記第１
   直線部の端部と第２直線部の端部とを連続させる第１円
   弧部および第２円弧部とからなるボール転動溝を有する
   ガイドブロックと、 前記ガイドブロックの第１円弧部に対向する半ドーナツ
   状の第３円弧部と、前記第２円弧部の一端に連続し、前
   記ガイドブロックの第２直線部に対向する直線部と、前
   記第３円弧部の他端に連続し、前記ガイドブロックの第
   １直線部に対向するボール保持部とからなるボール転動
   溝を有する第１カバー部材と、 前記ガイドブロックの第２円弧部に対向する半ドーナツ
   状の第４円弧部と、前記第４円弧部の一端に連続し、前
   記ガイドブロックの第２直線部に対向する直線部と、前
   記第４円弧部の他端に連続し、前記ガイドブロックの第
   １直線部に対向するボール保持部とからなるボール転動
   溝を有する第２カバー部材と、 前記ボール転動溝に挿入される複数のボールと、 前記ガイドブロックに画成された螺孔にカバー部材の孔
   部を介して螺入され、前記ガイドブロックと第１カバー
   部材と第２カバー部材とを一体化させる取付部材と、 を備え、前記第１カバー部材と前記第２カバー部材の直
   線部およびボール保持部の先端部同士を接続させること
   を特徴とするリニアガイド装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の装置において、ガイドブロ
   ックは、第１直線部および第２直線部を有する直方体状
   のガイドブロック本体と、前記ガイドブロック本体の一
   側面に連結され、第１円弧部を有する半円板状の第１ブ
   ロック体と、前記ガイドブロック本体の他側面に連結さ
   れ、第２円弧部を有する半円板状の第２ブロック体とか
   ら形成されることを特徴とするリニアガイド装置。