JPH07158623A - 形状記憶合金を用いた鉄筋継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 締結金具に形状記憶合金を採用することによ
り鉄筋と接続金具との結合をより確実なものとなす。 【構成】 鉄筋表面に突出形成したリブ節２と対応する
内面４を備え、内面４を対向鉄筋１の両端部側面にわた
り当接して設けられる半円筒形状の一対の接続金具３
と、鉄筋両側に当接した一対の接続金具３の外周囲に嵌
挿され、かつ接続金具３を鉄筋表面に圧接する円筒形状
の締結金具７とからなる。その接続金具３と締結金具７
との互いに接する内外面を同一のテーパーに形成する。
締結金具７を加熱により収縮して復元する形状記憶合金
により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鉄筋コンクリート構
造物に使用されている鉄筋の鉄筋継手に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】表面にリブ節を突出形成した鉄筋を、一
対の半円筒形状の連結筒体と、その連結筒体の両端外周
に嵌挿した押え筒体とにより接続する鉄筋継手が、実開
平５−５２３１７号公報により既に公知となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この公知の鉄筋継手で
は、対向位置する鉄筋の端部側面にわたり当接した両側
の上記連結筒体を、端部から嵌挿した上記押え筒体によ
り分離しないように拘束しているだけなので、鉄筋と連
結筒体及び押え筒体等を不動の状態に連結することがで
きず、各部はガタついた状態にある。

【０００４】このため外径寸法が旋盤などを用いて機械
加工したほど精度がよくないリブ節付き鉄筋では、接続
後に鉄筋を引っ張ると上記ガタにより滑りが生ずるよう
になる。この滑りは僅かで接続が損なわれることはない
が、後にコンクリートのひび割れ原因となることが多
い。

【０００５】また連結筒体に嵌挿しただけの押え筒体
は、そのままでは脱落するので、これをねじ止めにより
防止しているが、現場でのねじ止めは面倒な作業で手間
を要し、鉄筋接続作業の省力化のネックともなるなどの
課題を有する。

【０００６】この発明の目的は、上記従来の鉄筋継手の
課題を形状記憶合金の採用により解決した新たな鉄筋継
手を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的によるこの発明
の特徴は、鉄筋表面に突出形成したリブ節と対応する内
面を備え、その内面を対向鉄筋の両端部側面にわたり当
接して設けられる半円筒形状の一対の接続金具と、鉄筋
両側に当接した一対の上記接続金具の外周囲に嵌挿され
て、該接続金具を鉄筋表面に圧接する円筒形状の緊締金
具とからなり、上記接続金具の外面と緊締金具の内面と
を同一のテーパーに形成し、かつ締結金具を加熱により
収縮して復元する形状記憶合金により形成してなること
にある。

【０００８】

【作 用】上記構成では、形状記憶合金による締結金具
を一対の接続金具に嵌挿してから締結金具を加熱する
と、嵌合寸法より内径を若干小さく記憶させたのち内径
を拡大形成した上記締結金具が、その加熱により記憶さ
せた元の内径に復元する際の収縮力により接続金具を締
め付けて内面を鉄筋表面に圧接する。これにより鉄筋と
接続金具及び締結金具は強固に結合し、リブ節による引
っ掛かりと摩擦抵抗により、継手に大きな引張力が作用
しても鉄筋の滑りが生じなくなる。

【０００９】

【実施例】図中１は表面周囲にリブ節２を縦リブととも
に突出形成した対向位置の鉄筋、３は所要長さの通常鋼
製の半円筒形状の一対の接続金具で、鉄筋表面と同一曲
面に形成した内面４に、中央部の凹所５とリブ節２と対
応する一定間隔ごとの多数のリブ溝６とが設けてある。

【００１０】７は円筒形状の締結金具で、加熱により収
縮して復元する形状記憶合金、たとえば鉄系形状記憶合
金（Ｆｅ−Ｓｉ−Ｍｎ合金）を切削加工または板材を円
筒形に形成して溶接するなどして製作したものからな
る。この締結金具に記憶された内径は嵌合寸法より若干
小さく、記憶後にその内径を嵌合寸法に拡大形成してあ
る。

【００１１】この締結金具７の内面と上記接続金具３の
外面は同一角度のテーパーに形成してある。このテーパ
ーにより締結金具７の嵌挿が容易となる一方、接続金具
３の外面と締結金具７の内面との当接を遊びなく行える
ので、締結金具７の収縮による締付け力を効率よく両方
の接続金具３，３に均等に作用させ得る。

【００１２】上記接続金具３と締結金具７とによる一対
の鉄筋１，１の連結は、先ず締結金具７の小径側が位置
する鉄筋１に締結金具７を通しておく、次に若干の間隔
を空けて対向させた両方の鉄筋１，１を挟むように、両
側から接続金具３を当接して鉄筋端末は中央部の凹所５
に、リブ節２はリブ溝６にそれぞれ収める。この場合、
鉄筋端末が切断により変形していても凹所５により収納
が可能となる。

【００１３】接続金具３の当接が済んだら上記締結金具
７を接続金具３の小径側から嵌挿する。締結金具７をテ
ーパーを利用してきつく嵌込んで両方の接続金具３，３
を不動の状態にしてから、締結金具７に高周波誘導加熱
装置をセットし、締結金具７を高温加熱（３００℃）す
る。

【００１４】加熱により締結金具７は記憶された元の内
径に収縮し、その収縮力により両方の接続金具３，３を
均等に鉄筋１，１に締付け、その内面を鉄筋表面に圧接
して一体的に接合する。

【００１５】図４及び図５に示す実施例は、短筒状の２
個の締結金具７，７を用いて接続金具３の締結を行う場
合で、接続金具３の外面を両端から中央に高く山形のテ
ーパーに形成するとともに、締結金具７の内面をも同一
の山形のテーパーに形成して、接続金具３の両端から締
結金具７を嵌挿できるようにしてある。

【００１６】この実施例の具体的な構成を参考までに示
すと次の通りである。 接続金具３の構成 長さ １００mm，外側テーパー１／２０， 端部の高さ
７．７５mm 外径（中央）１１．２５Ｒ， 外径（端部）１０Ｒ，
内径５．９５Ｒ，リブ溝 間隔８mm， 深さ２mm， 曲
率２Ｒ，

【００１７】締結金具７の構成 長さ ３６mm， 外側テーパー１／２０， 内径（小径
側）Φ２０．２５ 外径 Φ３２， 収縮量 内径の約３％， 加熱温度３
００℃

【００１８】

【発明の効果】この発明は上述のように、接続金具と緊
締金具の互いに接する内外面を同一のテーパーに形成
し、かつ円筒形の締結金具を加熱により収縮して復元す
る形状記憶合金により形成してなることから下記効果を
奏する。

【００１９】・ 継手は接続金具と締結金具とからなる
ため、接続金具を鉄筋のリブ節形状に合った接続金具と
することで鉄筋の種類に対応でき、また接続金具は２つ
割りの状態にあるので、縦リブの曲がりやずれ、鉄筋外
径のバラツキなどにも対応できる。

【００２０】・ 接続金具の外面と締結金具の内面とが
同一のテーパーに成形されているので、締結金具を接続
金具に容易に嵌挿することができ、その嵌挿も１個の締
結金具の接続金具に限らず、接続金具の中央を高く左右
にテーパーを山形に形成して、両側から２個の締結金具
を嵌挿することもできるので、場合によっては締結金具
を短く形成して、嵌挿をさらに容易となすことができ
る。またテーパーとすることによって接続金具の外面と
締結金具の内面との接触を確実になし、締結金具の収縮
力を効率よく接続金具に作用させ得る。

【００２１】・ 鉄筋の締結は締結金具を高周波誘導加
熱等により加熱するだけでよいので、従来のような締結
金具を固定する止めねじが不要となり、また鉄筋と接続
金具及び締結金具の結合も強固になるのでガタつきが起
こらず、リブ節による引っ掛かりと摩擦抵抗により継手
に大きな引張力が作用しても鉄筋に滑りが生じず、後の
コンクリートのひび割れも防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係わる形状記憶合金を用いた鉄筋
継手の一部縦断側面図である。

【図２】 図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】 接続金具の内面図である。

【図４】 この発明の他の実施例の一部縦断側面図であ
る。

【図５】 同上の接続金具の内面図である。

【符号の説明】

１ 鉄筋 ２ リブ節 ３ 接続金具 ４ 内面 ５ 凹所 ６ リブ溝 ７ 形状記憶合金による締結金具

フロントページの続き (72)発明者 水島敏文 東京都港区芝浦一丁目２番３号清水建設株 式会社内 (72)発明者 坂口 昇 東京都港区芝浦一丁目２番３号清水建設株 式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄筋表面に突出形成したリブ節と対応す
   る内面を備え、その内面を対向鉄筋の両端部側面にわた
   り当接して設けられる半円筒形状の一対の接続金具と、
   鉄筋両側に当接した一対の上記接続金具の外周囲に嵌挿
   されて、該接続金具を鉄筋表面に圧接する円筒形状の緊
   締金具とからなり、上記接続金具の外面と緊締金具の内
   面とを同一のテーパーに形成し、かつ締結金具を加熱に
   より収縮して復元する形状記憶合金により形成してなる
   ことを特徴とする形状記憶合金を用いた鉄筋継手。