JPH07157883A - スポット溶接用Al系めっき鋼板 - Google Patents

スポット溶接用Al系めっき鋼板

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JPH07157883A
JPH07157883A JP5304385A JP30438593A JPH07157883A JP H07157883 A JPH07157883 A JP H07157883A JP 5304385 A JP5304385 A JP 5304385A JP 30438593 A JP30438593 A JP 30438593A JP H07157883 A JPH07157883 A JP H07157883A
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steel sheet
plated steel
plating
vapor deposition
layer
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JP5304385A
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English (en)
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Hirohiko Sakai
裕彦 堺
Masatoshi Iwai
正敏 岩井
Jiyunji Kawafuku
純司 川福
Koji Irie
広司 入江
Haruhiro Ayabe
東太 綾部
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 Al系めっき鋼板のスポット溶接性を、めっ
き層自体の変更によって改善した溶接用Al系めっき鋼
板を提供しようとする。 【構成】 Al系めっきが施された鋼板上に、Cr含有
量が1〜50重量%であるAl−Cr系合金蒸着めっき
層が、付着量:1.0〜80g/m2 で形成されたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スポット溶接して使用
されるAl系めっき鋼板に関するものであり、特にスポ
ット溶接時の溶接電流の低減を達成し、スポット溶接性
を大幅に改善したスポット溶接用Al系めっき鋼板に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】Alめっき鋼板は亜鉛めっき鋼板に比
べ、耐熱性、高温耐食性、耐酸性、赤外線反射性に優れ
ているので、自動車マフラーの素材として、或はストー
ブやトースターの反射板等として広く使用されている。
尚Alめっき鋼板は、溶融めっき法、蒸着めっき法、溶
融塩電解めっき法等の各種方法によって製造されている
が、以下では製造方法の如何を問わず、一括してAlめ
っき鋼板と呼ぶ。
【0003】Alめっき鋼板には上記した様な優れた特
性があるが、Alめっきを施していない通常の冷延鋼板
に比べて、スポット溶接性が劣るという欠点を有してい
る。これは、Alめっき層の電気伝導率が冷延鋼板に比
べて良好であるため、Alめっきを施していない冷延鋼
板に比べて同一電流値でジュール発熱量が少なく、碁石
状を呈する溶接金属(以下、「ナゲット」と呼ぶ)が生
成しにくいためであると考えられる。
【0004】こうしたことから、Alめっき鋼板をスポ
ット溶接する際には、めっき無しの鋼板をスポット溶接
するときよりも溶接電流を増加させるという手段が一般
的に採用されているが、溶接機の電流容量によっては十
分な溶接電流を確保できないという事態が生じる。また
同一条件で溶接を継続していても、溶接チップが次第に
劣化して寿命に至ってスポット溶接ができなくなるが、
Alめっき鋼板をスポット溶接ときはめっき無しの鋼板
をスポット溶接するときと比べて、チップ寿命がはるか
に短いことが知られている。このため、溶接チップの交
換やチップ先端のドレッシングを頻繁に行なう必要が生
じ、溶接自動化の障害となる。
【0005】上記ようなスポット溶接の問題は、Alめ
っき鋼板に限らずZnめっき鋼板でも同様に発生してい
る。これまでZnめっき鋼板では、スポット溶接性を向
上させる方法として、様々な方法が提案されている。例
えば特開昭55−110783号公報には、Znめっき
表面にAl23 等の酸化物皮膜を生成せしめ、該酸化
物皮膜の高融点および高電気抵抗を利用してスポット溶
接性を向上させると共に、電極チップとめっき金属との
接触を防げ、該チップの溶損を防止してチップの寿命延
長を図る技術が開示されている。また特開昭59−10
4463号公報には、ZnO/Zn比を0.1〜0.7
0にした酸化皮膜をZnめっき鋼板の表面に加熱処理に
よって生成させ、スポット溶接性を向上させる技術が開
示されている。
【0006】上記の様にZnめっき鋼板においては、ス
ポット溶接性を改善する技術が各種提案されているが、
実際には上記の様な技術はほとんど実用化されておら
ず、実用的ではないという問題がある。Alめっき鋼板
よりもスポット溶接性が良好であるといわれるZnめっ
き鋼板においても、この様な状況であり、ましてAlめ
っき鋼板もしくはAl系めっき鋼板においてはめっき層
自体のスポット溶接性を改善する技術はこれまで提案さ
れていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこうした状況
の下になされたものであって、その目的は、Al系めっ
き鋼板のスポット溶接性を、めっき層自体の変更によっ
て改善したスポット溶接用Al系めっき鋼板を提供しよ
うとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明とは、Al系めっきが施された鋼板上に、Cr含有率
が1〜50重量%であるAl−Cr系合金蒸着めっき層
が、付着量:1.0〜80g/m2 で形成された点に要
旨を有するスポット溶接用Al系めっき鋼板である。
【0009】また前記Al−Cr系合金蒸着めっき層の
表面に、Alの水和酸化物を主成分とする化成処理皮膜
が形成することも有効であり、この様な構成を採用する
ことによって、Alめっき鋼板のスポット溶接性を更に
向上させることができる。
【0010】更に、Al−Cr系合金蒸着めっき層の表
面に限らず、通常のAl系めっき層が形成されたAl系
めっき鋼鈑の表面に、Alの水和酸化物を主成分とする
化成処理皮膜が形成することも有効であり、この様な構
成を採用することによっても、化成処理皮膜自体の作用
によってAl系めっき鋼板のスポット溶接性を向上させ
ることができる。
【0011】
【作用】本発明者らは、めっき層自体を変更することに
よって、Alめっき鋼板のスポット溶接性を改善すると
いう観点から検討を重ねた。その結果、Alめっきが施
された鋼板上に、Cr含有率を適切に調整したAl−C
r系合金蒸着めっき層を適切な付着量で形成させれば、
Alめっき鋼板のスポット溶接性が著しく改善されるこ
とを見いだし、本発明を完成した。本発明の構成によっ
てスポット溶接性が改善された理由は、Al−Cr系合
金蒸着めっき層による下記の様な2つの作用によるもの
と考えられる。 (1)Al−Cr系合金蒸着めっき層が、Alめっき鋼
板の溶接電流を低下させる。 (2)Al−Cr系合金蒸着めっき層中のCrが、チッ
プ先端の消耗を抑制する。
【0012】Alめっき鋼板がめっき無しの鋼板に比
べ、スポット溶接時の溶接電流が高い理由は、Alの電
気伝導率がFeに比べ大きいためジュール熱による発熱
が低下するのが大きな理由であることは既に述べた通り
であるが、その他にもAlの融点および硬度がFeに比
べ低いため、溶接初期にAlめっき層が塑性変形を起こ
し、更には溶解して通電面積を増加させるためであると
考えられる。従って、めっき層、特にめっき表層の電気
伝導率を低下させ、硬度ならびに融点を上昇させること
ができれば、Alめっき鋼板の欠点である溶接電流の増
加は抑制されると考えられる。Al−Cr系合金蒸着め
っき層は、そのCr含有率の増加とともに電気伝導率を
減少させることができ、且つ硬度および融点をAlめっ
きよりも上昇させることができるので、Alめっき鋼板
の表層にAl−Cr系合金蒸着めっき層を形成させるこ
とによって、スポット溶接時の溶接電流を低下させるこ
とができたのである。
【0013】一方、スポット溶接を連続的に行なうと、
ついには溶接チップ先端が劣化してスポット溶接が不可
能になるが、Alめっき鋼板ではチップの寿命がめっき
無しの鋼板より大幅に劣り、チップの寿命が短いといわ
れるZnめっき鋼板に比べても劣っている。このような
チップの劣化は、鋼板表面のめっき層などがチップに固
着し、固着層がチップ金属と合金化して脆くなって剥離
していくことにより、チップ先端が損傷して溶接時の通
電面積が徐々に増大する現象である。このため、一定電
流で溶接していると、電流密度としては徐々に減少して
発熱量が少なくなり、ついにはナゲット形成に必要な電
流密度が確保できなくなるためにスポット溶接ができな
くなる。しかしながらAlめっき鋼板上にAl−Cr系
合金蒸着めっき層が形成されると、Al−Cr系合金蒸
着めっき層中のCrがAlとチップ材質であるCu系合
金との相互拡散を抑制し、このためチップ先端の剥離が
起こりにくくなると考えられる。
【0014】本発明におけるAl−Cr系合金蒸着めっ
き層の組成および付着量の限定理由は、下記の通りであ
る。まずAl−Cr系合金蒸着めっき層中のCr含有量
は、1〜50重量%とする必要がある。Cr含有量が1
%未満では、溶接電流低下およびチップ寿命延長の効果
が達成されまいためである。一方、Cr含有量が50重
量%を超えると、上記各効果が飽和すると共に、Al−
Cr系合金蒸着めっき層が極めて脆くなってしまい、該
めっき層の密着性が低下する。またCr含有量が50重
量%を超えると、Al−Cr系合金めっき層を蒸着めっ
き法で形成するのが極めて困難になる。尚Al−Cr系
合金蒸着めっき層中に、第3元素としてSi,Ti,N
i,Zr,Mg,Fe,Mn等を添加することも可能で
あり、これらの元素はAl−Cr系合金めっき層の強度
向上や電気伝導率の低下に寄与する。
【0015】上記の様なAl−Cr系合金蒸着めっき層
の付着量は、1.0〜80g/m2の範囲とする必要が
ある。めっき付着量が1.0g/m2 未満では、Cr含
有量の絶対値が少なくなるので、溶接電流低下およびチ
ップ寿命延長の効果が達成されないからである。一方、
めっき付着量が80g/m2 を超えると、上記各効果が
飽和する。また蒸着めっきではめっき時に蒸発潜熱のた
め鋼板温度が上昇するが、この温度上昇は基本的にめっ
き付着量に比例するので、めっき付着量が多くなると鋼
板温度が上昇し、ついにはAlめっき層と素地鋼板との
合金化が発生し、めっき密着性の劣化を招くことにな
る。このような点および経済的な点からしても、めっき
付着量の上限は80g/m2 とするのが良い。
【0016】ところでAl−Cr系合金めっき層は、電
気めっき法ではそれを形成すること自体不可能であり、
溶融めっき法でもCr含有率の高いめっきは融点が上昇
するため極めて困難である。また溶融塩電解法では、め
っきできるという報告はあるが、工業的に実施するのは
数多くの問題点があり、実用化には至っていない。従っ
て、Alめっき鋼板上にAl−Cr合金めっき層を工業
的に形成できるのは、現在のところ蒸着めっき法のみで
ある。こうしたところから、本発明ではAlめっき鋼板
上に形成するAl−Cr系合金めっき層を「Al−Cr
系合金蒸着めっき層」と規定した。
【0017】尚Al−Cr系合金蒸着めっき層の下層と
なるめっき鋼板は、前述した各種Alめっき鋼板だけに
限らず、その鋼板の要求特性、例えば、耐熱性、耐蝕
性、耐候性等の要求に応じて種々のAl系めっき鋼板が
選択できる。その様なAl系めっき鋼板としては、耐熱
性、加工性の向上のためSiを数重量%含有した溶融A
l−Si合金めっき鋼板や、蒸着法によってAl−T
i,Al−Ni,Al−Si,Al−Zr,Al−Mg
等のAl合金めっき層を形成したAl合金系蒸着めっき
鋼板、更には溶融塩電解法によりめっき層を形成したA
l−Mnめっき鋼板等が挙げられる。またこれらのAl
系めっき層は、2層あるいは多層構造になっていても良
く、要はAl−Cr系合金蒸着めっき層の下層にAlを
含有するAl系めっき層が少なくとも1層あれば良いの
である。そうして、このAl系めっき鋼板上に、前述し
た構成のAl−Cr系合金蒸着めっき層が形成されれ
ば、該めっき層が形成されていない場合に比べて、スポ
ット溶接性が著しく改善されるのである。
【0018】本発明に係るAl系めっき鋼板を製造する
に当っては、下層となるAl系めっき鋼板を、必要に応
じて表面を脱脂、酸洗等により清浄化した後、バッチ法
によって蒸着めっきする方法も採用できるが、図1に示
す様な連続蒸着設備にてAl系めっき鋼板上にAl−C
r系合金蒸着めっきを形成することが、大量生産という
観点からして有利である。図1中、1は繰出しロール、
2,14はシャー、3は溶接機、4は前処理室、5は入
側真空ロックシステム、6は電子銃、7a,7bは蒸着
室、8は蒸発槽、9は電子ビーム、10は出側ロックシ
ステム、11は窒素冷却装置、12は後処理装置、13
はスキンパス圧延機、15は巻取りロール、16は鋼帯
を夫々示す。尚蒸着室7a,7b内には図示した様に、
通常1つの蒸発槽8が設置されるのであるが、下層のA
l系めっき層も蒸着めっき法にて形成する場合には、例
えば図2に示す様に、蒸着室7a,7b内に複数の蒸着
槽8a,8bを備えた連続蒸着設備を用いると、1回の
通板で本発明のAl系めっき鋼板を製造することができ
有利である。
【0019】また図1に示した設備構成のうち、後処理
装置12は主に化成処理皮膜を形成する為のものである
ので、化成処理皮膜を形成しない場合は、後処理装置1
2を設けなくても良い。
【0020】ところで本発明のAl系めっき鋼板におい
ては、スポット溶接性を更に向上させるという観点から
して、Al−Cr系合金蒸着めっき層の表面に、Alの
水和酸化物を主成分とする化成処理皮膜を更に形成する
ことも有効であるのは上述した通りである。この様な化
成処理皮膜は、基本的には絶縁皮膜であるが、その膜厚
が薄いために適度の電気抵抗を有している。このため、
スポット溶接時には、この皮膜によって電気抵抗が高く
なり、通電時の発熱が大きくなり、結果として少ない溶
接電流でナゲットが形成されるようになり、溶接可能電
流範囲が増加する。
【0021】上記の様な化成処理皮膜をAl−Cr系合
金蒸着めっき層の表面に形成するに当っては、Al−C
r系合金蒸着めっき層の表面を適切な温度にしてめっき
層表面と水を接触させれば良い。このときAl−Cr系
合金蒸着めっき層の表面温度は、200〜70℃の温度
状態にするのが好ましい。即ち、Al−Cr系合金蒸着
めっき層の表面温度が200℃を超えると、水とめっき
層との接触による反応が急速に進み過ぎるので、生成す
る化成処理皮膜の膜厚が厚くなり過ぎ、却ってスポット
溶接性が低下する傾向があり、70℃未満では、化成処
理皮膜が殆ど形成されない。またAl−Cr系合金蒸着
めっき層の表面温度を上記の温度状態にする手段につい
ては、特に限定するものではないが、生産性を考慮すれ
ば、真空蒸着処理によって上昇した表面温度を積極的に
利用すれば良い。このためには、真空中で蒸着したAl
系めっき金属材を、その温度が低下してしまうまでに大
気中に導き、水と接触させる必要があるので、真空から
大気にAl系めっき金属材を連続的に導入するロックシ
ステム(図1に示した出側ロックシステム10)が必要
になる。
【0022】この様に、高温のAl系めっき層と水とが
接触・反応することによって、めっき層表面にはAlの
水和酸化物を主体とする化成処理皮膜が生成される。そ
してこの化成処理皮膜が、上述した様にスポット溶接性
を良好にするのであるが、この処理皮膜はAl系めっき
金属材が腐食環境に晒されたときに、上述した様にAl
系めっき層自体の腐食(特に白錆発生)を抑制する保護
皮膜としての機能も発揮する。
【0023】上記の様な化成処理皮膜を形成する際にお
ける水の形態は、気体、液体の如何を問わないが、接触
する際のめっき層表面温度を200〜70℃程度にする
必要があるので、水蒸気の噴霧、熱水中への浸漬、熱水
の噴霧もしくはこれらの併用が好ましい。また接触する
水に可溶性燐酸化合物を含有させれば、生成する化成処
理皮膜中にAlの燐酸塩化合物を含有させることにとな
り、化成処理皮膜がより強固になって、耐食性を一段と
向上させることができる。このとき添加する可溶性燐酸
化合物としては、正燐酸、メタ燐酸、ピロ燐酸等の縮合
燐酸、亜燐酸、次亜燐酸等の各種燐酸化合物、およびこ
れらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が
使用できる。このうち溶液のpHや溶解度等を考慮する
と、燐酸二水素ナトリウムが好適である。また可溶性燐
酸化合物の濃度は、0.1〜50g/リットル程度が好
ましい。即ち、可溶性燐酸化合物の濃度が0.1g/リ
ットル未満ではその添加効果が発揮されず、50g/リ
ットルを超えると燐酸塩化合物添加の効果が飽和するば
かりか、処理槽やスプレー装置等に水分が蒸発して生じ
る燐酸塩結晶が増加して様々な不都合が発生する。
【0024】尚上記の様な化成処理皮膜を形成する場合
には、この皮膜自体によってスポット溶接性の向上効果
が達成されるので、この皮膜が形成されるAl系めっき
層は前記Al−Cr系合金蒸着めっき層だけでなく、純
Alめっき層の他、Al−Ti合金めっき層やAl−N
i合金めっき層等の各種Al系合金めっき層、更には上
層Al/下層Cr、上層Al/下層Ti,上層Al/下
層Si等の多層めっきにも適用可能である。要するに、
上記化成処理皮膜を形成する場合には、上層にAl−C
r系蒸着合金めっき層が形成されていなくても、本発明
におけるスポット溶接性向上効果が達成されるのであ
る。
【0025】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0026】
【実施例】
実施例1 0.8mmの冷延鋼板または溶融Alめっき(Siを8
%含有)鋼板を用い、図1に示した連続蒸着設備(但
し、後処理装置12を設けていないもの)によって、各
種Al系めっき鋼板を製造した。このとき蒸着めっきの
付着量は、投入する電子線のパワーおよびライン速度で
調節した。またCr含有率は、蒸着槽中のAl−Cr合
金溶湯のCr含有率で調節した。更に必要に応じて、図
2に示した2つの蒸着槽による二層蒸着めっきも実施し
た(下記表1のNo.5〜15,20,21)。この場
合には、鋼板(鋼帯)の進行方向の後方側の蒸着槽20
にAl−Cr合金を挿入することによって、最表面にA
l−Cr系合金めっき層を形成することができる。得ら
れた各種Alめっき鋼板について、次に示す条件でスポ
ット溶接を行ない、他の溶接条件についての適切な範囲
を調査し、スポット溶接性を評価した。 (スポット溶接条件) チップ材質:1%Cr−Cu系合金 チップ形状:ドーム型 加圧力:220kgf 通電時間:12サイクル(60Hz)
【0027】このとき溶接電流を6kAから順次増加さ
せてスポット溶接を行い、5t1/2(tは鋼板板厚:m
m、本試験では0.8mmなので5t1/2 =4.47m
m)の径のナゲットが生成する電流をナゲット形成電流
として、この電流でスポット溶接の難易度を評価した。
またチップ寿命は、溶接電流を12kAの一定値として
連続打点を行ない、ナゲットを形成しなくなる打点数を
チップ寿命とした。このときの打点は、1秒間隔で20
点連続して行ない、その後40秒休止というサイクルを
繰り返した。これらの結果を、各Al系めっき鋼板のめ
っき構成と共に下記表1に示す。尚表1には比較例とし
て、表層にAl−Cr系合金蒸着めっき層を形成してい
ないAl系めっき鋼板のスポット溶接性についても示し
た。
【0028】
【表1】
【0029】表1から、次の様に考察できる。No.1
6,17(比較例)の溶融Alめっき鋼板(8%Si含
有)と、表層に適切なAl−Cr系合金蒸着めっき層を
形成した(実施例)を比較すると、比較例のものではナ
ゲット形成電流が10kAを越えているのに対し、実施
例のものでは10kA未満であることがわかる。またチ
ップ寿命は、比較例のものでは450点以下なのに対
し、実施例のものでは800点以上となっている。
【0030】一方、図2に示した連続蒸着設備によっ
て、下層にAl−25%Siめっき、表層にAl−Cr
めっきを連続的に形成した場合には、表層のAl−Cr
めっき層の付着量が1.0〜80g/m2 で、且つCr
含有率が1〜50重量%の範囲内である実施例のもの
(No.5〜11)では、チップ寿命が800点以上と
なっているのに対し、表層めっきのない比較例のもの
(No.19)、および表層のAl−Crめっきの付着
量や組成が本発明で規定する範囲を外れた比較例では
(No.20,21)、チップ寿命が500点程度と低
いことがわかる。
【0031】更に、下層がAlめっきである実施例のも
の(No.12,13)、Al−Tiめっきである実施
例のもの(No.14)、およびAl−Niめっきであ
る実施例のもの(No.15)でも、No.21〜23
の比較例に比べてチップ寿命が向上していることがわか
る。
【0032】実施例2 0.8mmの冷延鋼板を用い、図1に示した連続蒸着設
備にて純Alめっき、Al−5%Cr合金蒸着めっきを
実施した。このとき蒸着めっきの付着量は、投入する電
子線のパワーおよびライン速度で調節した。またCr含
有率は、蒸着槽中のAl−Cr合金溶湯のCr含有率を
35%とすることで調節した。また図2に示した2つの
蒸着槽による二層蒸着めっきによって、上層Al/下層
Si多層めっきを施したAl系めっきも実施した。
【0033】蒸着めっきを実施した鋼板について、真空
から大気に鋼帯を連続的に導入する設備(前記出側真空
ロックシステム10)を通過した後、後処理装置12に
おいて水との接触を行ない、めっき層表面に化成処理皮
膜を形成した。このときの接触方法としては、120℃
の水蒸気の噴霧、および90℃の熱水の噴霧を実施し
た。また熱水中には必要に応じて、燐酸二水素ナトリウ
ムを添加した。鋼板の温度は、窒素冷却装置11のファ
ン(図示せず)の回転数によって調節し、その温度を後
処理装置12の入り側において赤外線放射温度計によっ
て測定した。処理条件およびめっき層構造を表3に示
す。
【0034】
【表2】
【0035】得られたAl系めっき鋼板について、実施
例1と同様にしたスポット溶接性を評価した。また耐食
性についても下記の条件で評価した。 (耐食性)処理後の鋼板を70mm×150mmに切断
し、端面および裏面をシールした後、塩水噴霧試験を行
ない、表面に白錆もしくは変色が発生するまでの時間で
評価した。その結果を表4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表2,3から明らかな様に、適切な条件で
化成処理皮膜を形成したものでは、潤滑性および耐食性
が良好であることが分かる。これに対し、条件が適切で
ないものおよび化成処理皮膜を形成していないものでは
上記の効果が得られていないことがわかる。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、A
l系めっき鋼板上にAl−Cr系合金蒸着めっき層およ
び/または化成処理皮膜を形成することによって、Al
系めっき鋼板のスポット溶接性を著しく向上させること
ができる様になった。またこうした効果を発揮する本発
明の技術は、Al系めっき鋼板の用途拡大に繋がるもの
であるから、その工業的意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のAl系めっき鋼板を製造するための連
続蒸着設備の一構成例を示す概略説明図である。
【図2】本発明のAl系めっき鋼板を製造するための連
続蒸着設備の他の構成例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 繰出しロール 2,14 シャー 3 溶接機 4 前処理室 5 入側ロックシステム 6 電子銃 7a,7b 蒸着室 8,8a,8b 蒸発槽 10 出側ロックシステム 11 窒素冷却装置 12 後処理装置 13 スキンパス圧延機 15 巻取りロール 16 鋼帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 22/00 Z C23F 15/00 8414−4K (72)発明者 入江 広司 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 綾部 東太 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al系めっきが施された鋼板上に、Cr
    含有率が1〜50重量%であるAl−Cr系合金蒸着め
    っき層が、付着量:1.0〜80g/m2 で形成された
    ものであることを特徴とするスポット溶接用Al系めっ
    き鋼板。
  2. 【請求項2】 前記Al−Cr系合金蒸着めっき層の表
    面に、Alの水和酸化物を主成分とする化成処理皮膜が
    形成されたものである請求項1に記載のスポット溶接用
    Al系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 Al系めっき鋼板の表面に、Alの水和
    酸化物を主成分とする化成処理皮膜が形成されたもので
    あることを特徴とするスポット溶接用Al系めっき鋼
    板。
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