JPH0715472B2 - アルブミン吸着用担体 - Google Patents

アルブミン吸着用担体

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JPH0715472B2
JPH0715472B2 JP62011026A JP1102687A JPH0715472B2 JP H0715472 B2 JPH0715472 B2 JP H0715472B2 JP 62011026 A JP62011026 A JP 62011026A JP 1102687 A JP1102687 A JP 1102687A JP H0715472 B2 JPH0715472 B2 JP H0715472B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、例えば試料中に含まれるアルブミンの測定に
好適に使用できるアルブミン吸着用担体、特に糖化アル
ブミンを選択的に吸着させることができる吸着担体に関
する。
従来の技術及びその問題点 直径数ミリの粒状物表面に抗体(もしくは抗原)を結合
させた固相化抗体(もしくは抗原)を用いて、該抗体に
対する試料中の抗原をエンザイムイムノアッセイ(EI
A)やラジオイムノアッセイ(RIA)等により測定する方
法は知られている(例えば特公昭61−46784号公報参
照)。
この方法は、担体とする上記粒状物の表面に、捕捉せん
とする目的物の特異抗体を固相化しておいて、免疫学的
な抗原−抗体反応を利用して目的物を捕捉するものであ
り、例えば血清等の複雑な組成の蛋白複合体からアルブ
ミンを特異哲に捕えるには、抗アルブミン抗体、例えば
IgGを固相化した担体を用い、これにアルブミンを結合
捕捉させるのが一般的であった。
しかしながら、上記のような抗アルブミン抗体を用いる
場合、抗体に固相化される抗アルブミン抗体自体の量も
それほど多くない上に、該抗体に特異的に結合するアル
ブミンの量にも制約があり、該固相化担体によつて捕え
得るアルブミンの量が少量に過ぎ、血清中のアルブミン
を測定する目的には十分満足し得るものではなかった。
一方、アルブミン、特に血清中のアルブミンは、生体内
に投与された薬物の体内における運搬等の体内動態に深
く関与し、薬効の発現に大きな係わりを有することが知
られている。従って医薬等の開発や病理学の研究等にお
いて、該アルブミンの測定は大きな意義を持つ。例えば
血清中のアルブミンと他の成分との比率とか、更には全
アルブミン中におけるアルブミン−薬物複合体の含有比
率を測定することは有意義である。しかしながら、前述
の抗アルブミン抗体を固相化した担体は、上記目的に使
用するにはアルブミン吸着能が十分ではなく、これに代
る新しい担体の開発が斯界で要望されている。
問題点を解決するための手段 本発明の目的は、上記斯界の要望に合致する新しいアル
ブミン吸着用担体であって、殊に特異的アルブミン吸着
能に優れ、EIA法、RIA法等によるアルブミンの測定に有
用で、しかもその測定操作等を簡便とし、更に試料中の
他の成分からのアルブミン分離ないし捕捉や、アルブミ
ン中のより細分化された成分の測定にも有効に使用し得
るアルブミン吸着用担体を提供することにある。
問題点を解決するための手段 上記目的は、粒子状樹脂成型物表面に、シバクロンブル
ーが結合されてなるアルブミン吸着用担体により達成さ
れる。
本発明のアルブミン吸着用担体を構成する樹脂成型物
は、粒子状形態を有する限り、その形状は任意であり、
例えば球状が一般的であるが、柱状や筒状であってもよ
く、また表面積を増やすためにその表面に凹凸が付され
た形態でもよい。また上記粒子の大きさは、通常その直
径が約1〜20m程度であるのが実用的である。
上記樹脂成型物は、種々の成型手段により作成でき、特
に射出成型法によるのが好適である。
また上記成型物を構成する樹脂は、水に不溶性であり、
樹脂自体がシバクロンブルーと結合し得る官能基、例え
ばアミノ基、水酸基、カルボキシル基等を有するか、又
は成型物となされた後、該成型物表面に上記官能基を生
じさせ得る種類から適宜選択される。好適な具体例とし
ては例えばポリメチルメタクリレート、アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体、酢酸セルロース等を例示できる。
之等樹脂はその表面に上記官能基を有することが重要で
ある。この官能基は既に樹脂自体に含まれている場合が
あり、この場合上記樹脂成型物は、之等の官能基を有す
る樹脂を粒子状に成型することにより得られる。また上
記官能基を有しないか該官能基の不足する樹脂の場合、
該樹脂への上記官能基の導入乃至樹脂表面への官能基の
生成は、公知の化学的方法により行なうことができ、予
め粒子状に成型した樹脂成型物に対して行なうのが好ま
しい。該樹脂成型物表面に水酸基やカルボキシル基を生
成させるには、例えば該樹脂成型物を塩酸又は苛性ソー
ダを含む水溶液中に浸漬し、約40〜80℃で数時間放置
し、その表面を加水分解すればよく、これにより上記官
能基を生成させ得る。この方法は重合体分子中にアクリ
ル酸エステル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の
モノマーを含有する合成樹脂や酢酸セルロース等のセル
ロース系樹脂を主成分とする樹脂成型物に対し有効であ
る。樹脂成型物にアミノ基を導入するには、例えば特公
昭61−46784号公報に開示されているように、前記の如
くして表面を加水分解した樹脂成型物を数%のアセトン
を含む水中に分散させ、これにエチレンイミンを滴下す
る方法やアミノ化試薬としてエチレンジアミン等を用い
る公知の化学的手法を広く採用し得る。
本発明で用いられるシバクロンブルー(Cibacron Blu
e)とは、トリアジン系染料の1種であり、下記一般式
(I) 〔式中Aは水素原子又は1価の金属を示す。〕 で表わされる化合物を包含する。その具体例としては、
例えば市販品として入手可能なCibacron Blue F3GA(チ
バガイギー社)やCibacron Blue 3GA(フルカ社)等を
例示できる。
本発明のアルブミン吸着用担体は、前記粒子状樹脂成型
物表面に、上記シバクロンブルーが結合されてなるもの
であるが、この結合は成型物表面に存在するアミノ基、
水酸基、カルボキシル基等の官能基を介して行なうのが
一般的である。この官能基を介する結合反応は、例えば
上記官能基を有する樹脂成型物とシバクロンブルーの水
性溶液とを混合し、pH調製や、必要に応じて加熱を行な
い、数時間ないし数日間両者を接触させて、シバクロン
ブルー中のアミノ基、クロル基等と前記官能基とを反応
させることにより行ない得る。より詳しくは、例えば表
面にアミノ基を有する樹脂成型物にシバクロンブルーを
を結合させるには、シバクロンブルーの水溶液と成型物
粒子の水性分散液とを混合し、この混合物に苛性ソーダ
等のアルカリ性物質を加えて反応系をアルカリ性とな
し、この状態を数時間ないし数十時間維持し、その後成
型物粒子を分離して取出し、洗浄により未反応のシバク
ロンブルーを除去すればよい。
上記結合反応におけるシバクロンブルーの使用量は、樹
脂の種類、反応条件等に応じて適宜決定され特に限定さ
れるものではないが、通常樹脂中の官能基に対してシバ
クロンブルーの反応基が少なくとも当量となるものとす
るのがよく、一般には、大過剰量のシバクロンブルーが
用いられる。かくして、本発明のアルブミン吸着用担体
を収得でき、これは効果的にアルブミンを吸着するのに
充分量の上記チバクロンブルーを結合されており、アル
ブミン分析等に有効に利用できる。
尚、上記方法においては、成型物粒子の水性分散液中
に、樹脂に対する溶剤ないしは膨潤剤の少量を加えて成
型物表面に僅かに膨潤させたり、反応液中に少量の食塩
等の電解質物質を加えて、シバクロンブルーの成型物表
面への析出を促進させたりすることもでき、之等は上記
結合反応の促進や結合量の増加に有効である。
発明の効果 本発明の蛋白吸着用担体は、粒子状樹脂成型物表面にシ
バクロンブルーが結合されてなり、アルブミンに対して
高い特異吸着を有し、しかも該アルブミン吸着能は量的
にも時間的にも優れたものである。従ってこれは生体試
料、例えば血清中のアルブミンを他の成分と分離するの
に有効に利用でき、該試料中のアルブミン量の測定等に
有用である。また、本発明担体は、これを利用して吸着
されたアルブミン中に含まれる更に細分化された特定種
類のアルブミン、例えばグリコシル化アルブミン等をEI
AやRIA法等の手法により測定し、全アルブミン中の特定
種アルブミンの含有量を知り、医薬や病理学の研究や臨
床検査に役立てることも可能である。
実施例 以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げ
る。
実施例1 スチレン−無水マレイン酸共重合体(無水マレイン酸含
有量約24モル%)を、射出成型法により直径6.35mmのビ
ーズ状形態に成型した。
上記ビーズを1N NaOH水溶液に浸漬し、60℃で5時間加
水分解反応させ、次いでアセトン5%を含む水中に移
し、これに過剰量のエチレンイミンを滴下し、常温で約
3時間反応させ、その後、ビーズを取出して洗浄し、か
くしてアミノ基が表面に導入されたスチレン−無水マレ
イン酸共重合体ビーズを得た。
次いで、シバクロンブルー(Cibacron Blue 3GA,フルカ
社製)1.0gを蒸留水に溶解して調製した溶液100mlを1
容の容器中に入れ、該容器に、上記で作成したビーズ
600個を蒸留水300mlとテトラヒドロフラン50mlとの混合
液に混合、分散させた液を加え、5分間緩かに攪拌し
た。その後、容器にNaCl10gの蒸留水溶液50mlを添加し
て、30分間攪拌後、5N NaOH2.5mlを添加し、更に3日間
攪拌して反応させた。反応終了後、容器から反応液を除
き、ビーズを蒸留水、1M NaCl水溶液、5M尿素水溶液及
び蒸留水で順次充分に洗浄して、本発明の蛋白吸着用ビ
ーズを調製した。
〈蛋白吸着性試験〉 ヒト血清アルブミン(HSA、ベーリンガー社製)の20〜3
0μg蛋白量/mlクエン酸緩衝液(pH5.5)溶液を調製
し、これに実施例1で得た本発明アルブミン吸着用ビー
ズを加えて、30分間室温でインキュベートし、上記溶液
から減少した蛋白量を測定し、その減少量よりビーズに
吸着した蛋白量を算出した。
その結果、本発明ビーズ1個当たりの蛋白吸着量は平均
1.95μg蛋白量(C.V.=4.9%、n=20)であり、各ビ
ーズ間の蛋白吸着量には、殆んどバラツキがなかった。
また、上記において、HSA溶液の代りに正常ヒト血清を
使用して、同様にして本発明ビーズの上記血清中蛋白の
吸着量を求めると共に、RIA法により上記血清中HSAの吸
着量を求めた。
その結果、本発明ビーズに吸着された蛋白の92.5%(平
均)がHSAであることが確認された。
なお、比較のため、孔ヒト血清アルブミン抗体(ベーリ
ンガー社製)を、ポリスチレンビーズに吸着させた担体
(20μg/mlの抗体溶液に上記ビーズを一夜含浸させた
後、0.15%ゲラチンによりブロックして作成したもの)
を用いて、125I−HSAを用いたスキチャープロット解析
により、上記担体へのHSA吸着量を求めた結果、平均100
ng/ビーズであった。
〈グルコシル化蛋白の測定試験〉 スタンダードとして、HSAとグルコースとの非酵素的結
合反応物を還元処理して得た還元型グルコシル化HSA(G
lc−HSA)を、アフィゲルブルーカラムを用いたアフィ
ニティークロマトグラフィーにより精製して利用した。
尚、該Glc−HSAは、アミノ酸分析の結果から60.6%のリ
ジン残基がグルコシル化さていると認められ、また免疫
反応に関与するGlc−Lys残基は、以下の方法により得ら
れた還元型グルコシル化リジン誘導体を基準として全リ
ジン残基の28.6%であると認められた。
(還元型グルコシル化リジン誘導体の製造) N−2−(N−ベンゾイルグリシル)−L−リジン(蛋
白質研究奨励会)200mg及びD−グルコース129mgを、水
及びジオキサン(1:1)混液10mlに溶解させ、これにNaB
CNH3100mgを加え、室温で3〜4日間保持した。次いで
反応系内に酢酸を加えて反応を停止させ、蒸着後、メタ
ノールを加えて蒸留した。これを、TSK120Tカラム(東
洋曹達社製)を用いたカラムクロマトグラフイー〔溶媒
A;90%アセトニトリル、内部標準50mM TFA、溶媒B;5%
アセトニトリル、グラジエントA10%+B90%→A60%+B
40%〕により精製して、リテンシヨンタイム9.93分(2m
l/分)にN2−(N−ベンゾイルグリシル)−N6−D−グ
ルシトール−L−リジンを得た。
収率58.2%。
6N−塩酸を用いた加水分解(120℃、20時間)後のアミ
ノ酸アナライザー(日立835)によるアミノ酸分析の結
果、グリシン及びグリシトールリジンがほぼ等モル量確
認された。
上記Glc−HSAのスタンダードの希釈系列[0=ブラン
ク、0.39、0.78、1.56、3.1225、6.25、12.5、25、50ピ
コモル(免疫反応に関与するGlc−Lys残基換算量]を20
μづつチューブにサンプリングし、各チューブに30mM
セミカルバジドの10mMアニリン水溶液(pH5)200μづ
つを加えて、軽く振盪した。
実施例1で調製したアルブミン吸着用ビーズ1個を上記
チューブに加え、30分間、室温(20〜30℃)でインキュ
ベーションした。その後、反応液をアスピレーターは吸
引過し、生理食塩水1〜2mlを入れ、ビーズを洗浄
し、洗液を完全に除去した。この操作を2回繰返した。
一方、NaBH40.3gを0.01N水酸化ナトリウム水溶液3mlに
加えて溶解させ、この0.5mlをよく冷却した0.1Mトリス
塩酸緩衝液(pH8.2)25mlに加えて軽く攪拌して、還元
用溶液を調製した。この250μづつを上記チューブに
分注し、30分間、室温で放置し、その後、反応液をアス
ピレーターで吸引過し、すべてのチューブに生理食塩
水1〜2mlを入れてビーズを洗浄し、洗液を除去した。
この操作を2回繰返した後、ビーズを別のチューブに移
しかえた。
上記ビーズの洗浄後、以下の方法により調製した。125I
標識抗体溶液200μづつをチューブに加え、室温で2
時間インキュベーションを行なった後、反応液をアスピ
レーターで吸引除去し、すべてのチューブに生理食塩水
溶液1〜2mlを入れ、ビーズを洗浄後、洗液を除去し
た。この操作を2回繰返した後、ビーズを別のチューブ
に移しかえ、放射能を測定した。
125I標識抗体の調製) 抗体として、以下の方法により得られた還元型グルコシ
ル化蛋白を認識する抗体を用いた。即ち、還元型グルコ
シル化蛋白で免疫された哺乳動物の免疫細胞と同哺乳動
物の形質細胞腫細胞とのハイブリドーマであるOAL−M
−10〔ATCC No.HB9297〕の1×106個を、RPMI−1640培
地0.5mlに懸濁させ、Balb/c系マウスに腹腔内投与し、
2〜3週間後、蓄積した腹水を採取し、目的抗体を含む
腹水2〜5ml/マウスを得た。この抗体の濃度は約0.2〜1
mg/mlであつた。この腹水5mlにPBS5ml及び飽和硫安10ml
を加え、0℃下に緩かに攪拌した。遠心分離(10000rpm
×30分、4℃)して得た沈渣を、0.05Mトリス塩酸(pH
8.6)で平衡化したセフアデツクスG−25カラム(フア
ルマシア社製)のゲル過に付した。ボイドボリウム付
近に溶出された分画を同上緩衝液で平衡化したプロテイ
ンA−セフアロースCL−4B(フアルマシア社製)に付
し、IgG分画を吸着させた後、50mMクエン酸緩衝液(pH
5.5)で充分洗浄後、酢酸緩衝液(pH4.3)でIgG2aを溶
出させて、目的の精製抗体を得た。
上記精製抗体の0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.2)にNa125I(N
EN社製)を加え、この混合物を予めヨードゲン(ピース
社製)のジクロルメタン溶液を入れ窒素ガス気流下に溶
媒をとばして乾燥したガラス試験管内で、0℃下に5分
間ゆっくり攪拌しながら反応させ、反応後、ゲル過し
て放射活性ピークに一致するアルブミン分画としての目
的の125I−標識抗体を得た。
上記グルコシル化蛋白の測定式験により得られた標準曲
線を第1図に示す。第1図中、横軸はスタンダードの濃
度(免疫反応に関与するGlc−Lys残基換算量/チュー
ブ)を、縦軸はビーズの放射能(cpm)(ブランク値を
引いた値)を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明アルブミン吸着用担体を用いて行なっ
たグルコシル化蛋白の測定試験における標準曲線を示
す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒子状樹脂成型物表面にシバクロンブルー
    が結合されてなるアルブミン吸着用担体。
  2. 【請求項2】樹脂成型物の直径が約1〜20mmである特許
    請求の範囲第1項記載の担体。
  3. 【請求項3】樹脂成型物が球状体である特許請求の範囲
    第1項記載の担体。
  4. 【請求項4】樹脂成型物が射出成型法により作成された
    ものである特許請求の範囲第1項記載の担体。
  5. 【請求項5】樹脂成型物がポリメチルメタクリレート、
    アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ス
    チレン−無水マレイン酸共重合体及び酢酸セルロースか
    ら選択される樹脂の成型物である特許請求の範囲第1項
    記載の担体。
  6. 【請求項6】樹脂成型物表面へのシバクロンブルーの結
    合が、該成型物表面に存在する官能基を介してなされた
    ものである特許請求の範囲第1項記載の担体。
  7. 【請求項7】官能基がアミノ基、水酸基カルボキシル基
    から選択されたものである特許請求の範囲第6項記載の
    担体。
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