JPH071545A - 合成樹脂シ−ト押出成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】マニホ−ルド部の分流性能をよく維持しつつ樹
脂の滞留・焼き付きを充分に軽減できる合成樹脂シ−ト
押出成形用金型を提供する。 【構成】樹脂流路中にマニホ−ルドを有するＴ型マニホ
−ルド金型において、マニホ−ルド中央の分流箇所の樹
脂流路面に樹脂滞留防止用の角錐状膨出部５を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は合成樹脂シ−トの押出成
形に使用する金型に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】押出成形法によって合成樹脂シ−トを製
造するには、バレルから送られてくる樹脂をシ−ト成形
用金型によりシ−ト巾方向に拡げつつ押出し、この押出
したシ−ト状合成樹脂をポリシングロ−ルに通して艶出
しを行い、ポリシングロ−ルから出てくるシ−ト状合成
樹脂を走行ロ−ル群で移送し、この移送中に自然冷却に
よって冷却固化し、冷却固化したシ−ト状合成樹脂を引
取りロ−ルで引き取っている。

【０００３】上記のシ−ト成形用金型としては、フィシ
ュテ−ルダイ、Ｔ型マニホ−ルドダイ、サ−キュラダ
イ、更には、スクリュ−ダイ等が知られているが、塩化
ビニルシ−トの押出成形には、通常、Ｔ型マニホ−ルド
ダイが使用されている。

【０００４】図４の（イ）は従来のＴ型マニホ−ルドダ
イの縦断面図を、図４の（ロ）は図４の（イ）における
ロ−ロ断面図をそれぞれ示し、更に、図５の（イ）、図
５の（ロ）並びに図５の（ハ）は、図４の（ロ）におけ
るイ−イ断面図、ロ−ロ断面図並びにハ−ハ断面図をそ
れぞれ示している。

【０００５】図４の（イ）並びに図４の（ロ）におい
て、１３'はパ-ティング面を、２’は断面が円形の樹脂
流入路を、３'，３'は断面が涙滴形の分流路を、４'は
平行間隙流路を、４１'は平行間隙流路４'のうち間隙が
チョ−クバ−（図示されていない）で調整される部分を
それぞれ示し、分流路３'の涙滴形断面寸法は、図５の
（イ）乃至図５の（ハ）から明らかなように、分流路末
端に至るほど長さ並びに半円形部径が次第に小とされ、
また、平行間隙流路の間隙寸法は金型の全巾にわたって
一様とされている。

【０００６】図４の（イ）並びに（ロ）において、押出
機のバレルより樹脂流入路２'に送入された樹脂が、分
流路３',３'により金型の巾両端に向け流動され、この
分流路３’の途中の各位置ににおいて、その位置での平
行間隙流路部分の長さｘに比例する流動抵抗に応じその
平行間隙流路部分を経て直線流れ（金型軸方向流れ）で
流動されていく。

【０００７】この場合、分流路３’においては、樹脂流
入点ｐから分流路端末に近づくほど、すなわち、金型の
巾中央点から巾両端に向かうほど流動抵抗が高くなる
が、平行間隙流路においては、金型の巾中央点から巾両
端に向かう位置ほど流路が短くなって流動抵抗が低くな
り、結局、何れの樹脂流線においても、全体としての流
動抵抗が等しくなり、全巾にわたって流量の一様化が図
られている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】図４の（イ）並びに
（ロ）において、位置ａは、左右の分流路３’，３’の
境界の稜線３３’並びに各分流路３’，３’と平行間隙
流路４’との稜線３４’，３４’の３稜線が交叉する角
であり、この角ａの背後においては、渦状の後流が生
じ、樹脂が滞留して熱分解により炭化され、更に、樹脂
の焼き付きが生じ易く、製品品質の低下、製品表面での
傷、凹凸発生の原因となる。

【０００９】かかる傷、製品表面での凹凸発生等のもと
では、押出作業を停止し、金型を分解し、焼き付いた樹
脂を除去しなければならない。而るに、従来のＴ型マニ
ホ−ルド金型においては、上記の角背後での樹脂の焼き
付きが生じ易く、相当頻繁に金型を分解・清掃する必要
があり、押出機の稼働率が低く、歩留まりも悪く、その
対策が必要である。

【００１０】この対策のための一般的な手段としては、
上記角部の面形状を流体工学上、後流を可及的に抑制し
得る面形状とすることが考えられるが、例えば、上記分
流点の角を面取りする構成では、マニホ−ルド中央を直
進する樹脂流量が増大し、分流路に分流する樹脂流量が
減少して、マニホ−ルドの性能低下が避けられない。

【００１１】本発明の目的は、マニホ−ルド部の分流性
能をよく維持しつつ樹脂の滞留・焼き付きを充分に軽減
できる合成樹脂シ−ト押出成形用金型を提供することに
ある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の合成樹脂シ−ト
押出成形用金型は、樹脂流路中にマニホ−ルドを有する
Ｔ型マニホ−ルド金型において、マニホ−ルド中央の分
流箇所の樹脂流路面に樹脂滞留防止用の角錐状膨出部を
設けたことを特徴とする構成である。

【００１３】

【作用】マニホ−ルド中央の分流箇所の樹脂流路面に角
錐状膨出部を設けて、当該マニホ−ルド中央の樹脂の滞
留・樹脂の焼き付き防止を図っているから、膨出部のた
めに樹脂の分流を阻害することがなく、むしろ、分流量
を増加して樹脂の滞留・樹脂の焼き付きを防止できる。

【００１４】

【実施例】以下、図面により本発明の実施例を説明す
る。図１の（イ）は本発明の実施例を示す縦断面図、図
１の（ロ）は図１の（イ）におけるロ−ロ断面図であ
る。更に、図２の（イ）、図２の（ロ）並びに図２の
（ハ）は、図１の（ロ）におけるイ−イ断面図、ロ−ロ
断面図並びにハ−ハ断面図をそれぞれ示している。

【００１５】図１の（イ）並びに図１の（ロ）におい
て、１１は上金型を、１２は下金型を、１３はパ−ティ
ング面をそれぞれ示している。１４，１４は上金型１１
と下金型１２の両端に取着した閉鎖板である。

【００１６】２はバレルからの樹脂流入路であり、断面
形状は円形である。３，３は分流路であり、断面形状は
図２の（イ）乃至図２の（ハ）に示すように、涙滴形で
あって、分流路末端に至るほど涙滴形の長さ並びに涙滴
形半円形部の径が小となっている。４は分流路３，３の
直後に設けた平行間隙流路であり、その間隙寸法は一様
である。この平行間隙流路４のうち、三角部分４１の間
隙は通常、チョ−クバ−によって調整されるが、そのチ
ョ−クバ−の図示は省略してある。

【００１７】ａはマニホ−ルド中央の角を示し、この位
置において、左右の分流路３，３の境界の稜線３３、並
びに各分流路３，３と平行間隙流路４との稜線３４，３
４の３稜線が交叉している。

【００１８】５は角ａ近傍の分流路面に設けた樹脂滞留
防止用の角錐状膨出部であり、角錐頂点ｂを平行間隙流
路４の流路面４１よりも内側に位置させるように、角ａ
近傍の分流路面を左右対象に膨出させている。

【００１９】この膨出部５の後側は二等辺三角形のその
二等辺をなし、前側は稜線３４，３４に一致している。
ｎ−ｎはマニホ−ルド部の中央線であり、この中央線の
位置での分流路センタ−の断面形状は、図３に示すよう
に、樹脂流入路２の存在のために涙滴形ではなく、涙滴
形の半円形部が樹脂流入路２のために欠在しているが、
その欠在半円形部を仮想した涙滴形ｅのその半円形部の
径Ｒは、樹脂流入路４の断面径に等しくなっている。

【００２０】上記の角錐状膨出部５は、耐摩耗性金属を
肉盛溶接し、この肉盛部を研磨加工する方法、溶融樹脂
に対して非親和性のセラミック、例えば、ジリコニアセ
ラミックを溶射し、研磨加工する方法等によって設ける
ことができる。

【００２１】何れの場合も、金型面はクロムメッキ等の
硬質メッキを施し、特に、前者の場合は、角錐状膨出部
をも含めてメッキを施し、滑らかな面に仕上げる。本発
明の金型においては、マニホ−ルド部での樹脂の滞留・
焼き付きをよく防止できる。このことは次の実施例の試
験結果からも明らかである。

【００２２】実施例 図１の（イ）並びに図１の（ロ）において、樹脂流入路
１３の円形断面の半径を１５ｍｍ，マニホ−ルド巾ｗを
１１２０ｍｍ，マニホ−ルド中央の分流路センタ−断面
の仮想涙滴形（図３）の長さＬを５０ｍｍ，同半円形部
の半径Ｒを１５ｍｍ，平行間隙流路４の間隙を２．７５
ｍｍ、マニホ−ルド中央の平行間隙最大長さｆを２００
ｍｍ、マニホ−ルド両端の平行間隙最小長さｇを１５０
ｍｍとしたＴ型マニホ−ルド金型に、高さｈが１．５ｍ
ｍ，角ａから後端までの距離が２０ｍｍ，角ａから頂点
ｂまでの距離が１０ｍｍ、横幅ｋが８０ｍｍの角錐状膨
出部５を肉盛り溶接（硬化肉盛用被覆ア−ク溶接棒を使
用）と研磨加工によって設け、金型内面並びに角錐状膨
出部にクロムメッキを施した。

【００２３】この実施例の金型を用い、押出流量３００
ｋｇ／ｈｒ、押出圧力ｋｇ／ｃｍ²の押出機により、厚
み５ｍｍ、巾１０００ｍｍの塩化ビニルシ−トを押出成
形し、他方、角錐状膨出部を設けずに実施例で使用した
Ｔ型マニホ−ルド金型を用い、実施例と同様にして塩化
ビニルシ−トを押出成形したところ、角錐状膨出部を設
けていない金型を使用した場合は、押出を開始してか
ら、実働３時間経過後に、シ−ト表面にに上記した樹脂
の焼き付きによるスジ、凹凸の発生が観察されたが、実
施例の金型使用の場合は、実働４８時間経過後において
も異常が生じていない。

【００２４】

【発明の効果】本発明の合成樹脂シ−ト押出成形用金型
は、上述した通りの構成であり、マニホ−ルド中央の分
流箇所の樹脂流路面に角錐状膨出部を設けて、当該マニ
ホ−ルド中央の樹脂の滞留・樹脂の焼き付きを軽減して
いるから、膨出部のために樹脂の分流を阻害することな
く、むしろ、分流量を増加して樹脂の滞留・樹脂の焼き
付きを防止できる。

【００２５】従って、本発明によれば、巾方向に一様厚
さの合成樹脂シ−トを、頻度の少ない金型清掃のもと
で、従って、長い生産ライフで、優れた歩留まりのもと
で製造できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１の（イ）は本発明の実施例を示す縦断面
図、図１の（ロ）は図１の（イ）におけるロ−ロ断面図
である。

【図２】図２の（イ），（ロ）並びに（ハ）は、図１の
（ロ）におけるイ−イ断面図、ロ−ロ断面図並びにハ−
ハ断面図である。

【図３】本発明の金型における分流路センタ−の断面を
示す説明図である。

【図４】図４の（イ）は本発明の実施例を示す縦断面
図、図４の（ロ）は図４の（イ）におけるロ−ロ断面図
である。

【図５】図５の（イ），（ロ）並びに（ハ）は、図４の
（ロ）におけるイ−イ断面図、ロ−ロ断面図並びにハ−
ハ断面図である。

【符号の説明】

２ 樹脂流入路 ３ 分流路 ４ 平行間隙流路 ５ 樹脂滞留防止用の角錐状膨出部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】樹脂流路中にマニホ−ルドを有するＴ型マ
   ニホ−ルド金型において、マニホ−ルド中央の分流箇所
   の樹脂流路面に樹脂滞留防止用の角錐状膨出部を設けた
   ことを特徴とする合成樹脂シ−ト押出成形用金型。