JPH0715241U - 給油式工具ホルダー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ホルダー内部に給油路を備えて、ホルダー内
部から工具の油孔に直接給油できる給油式工具ホルダー
を提供すること。 【構成】 工具後端面２ｂに開口する油孔１３を備えた
切削工具２をボルト３によって固定する給油式工具ホル
ダー１であって、ホルダー先端面１ａに周方向に条設さ
れて工具後端面２ｂとの間で油中継室８を形成する凹溝
条８ａと、ホルダー１の内部に設けられて先端部が前記
凹溝条８ａ内に開口した給油通路９とを備え、ホルダー
先端面１ａに工具後端面２ｂを当接させて工具側油孔１
３を油中継室８に開口させた状態で切削工具２を取付け
るようにする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ホルダー先端部に、例えば正面フライスのように径が比較的大きく てその先端外周部に刃物を設けた切削工具を、ボルトによって固定する工具ホル ダーであって、内部に給油通路を有する給油式工具ホルダーに関する。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】

ホルダー先端部に上記正面フライスのような切削工具をボルトによって固定す る工具ホルダーでは、切削工具の中心部からホルダー先端部の中心部にボルトを 螺入して工具を固定するようになっているため、ホルダー内部から工具の油孔に 切削油を供給する給油方式は採用されていない。従って、このような工具ホルダ ーで固定される切削工具による切削加工においては、切削油供給装置から油管を 介して延出した噴射ノズルを切削加工位置近傍に適宜に配置して、この噴射ノズ ルにより切削油を工具先端部に噴射するようにしていたが、切削油噴射ノズルの 位置設定作業に非常な手間がかかる上、場所をとる等の不都合があった。

【０００３】 本考案は、上記の課題に鑑み、ホルダーの内部に給油通路を設けて、ホルダー 内部から工具の油孔に直接給油できる給油式工具ホルダーを提供することを目的 とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る工具ホルダーは、工具後端面２ｂに開口する油孔１３を備えた切 削工具２をボルト３によって固定する給油式工具ホルダー１であって、ホルダー 先端面１ａに周方向に条設されて工具後端面２ｂとの間で油中継室８を形成する 凹溝条８ａと、ホルダー１の内部に設けられて先端部が前記凹溝条８ａ内に開口 した給油通路９とを備え、ホルダー先端面１ａに工具後端面２ｂを当接させて工 具側油孔１３を前記油中継室８に開口させた状態で切削工具２を取付けるように したものである。

【０００５】

【実施例】

実施例について図面を参照して説明すると、先ず図１〜図６において、１は工 具ホルダー、２は、このホルダー１の先端部にボルト３によって取付け固定され る切削工具で、例えば正面フライスからなる。工具ホルダー１には軸方向ほぼ中 央部にマニピュレータ用把持部４が設けられ、このホルダー１の後端側はホルダ ー駆動用のスピンドルに取付けられるテーパ状シャンク部５を形成しており、そ してホルダー先端面１ａの中央部には円筒状の嵌合軸部６が同心状に一体突設さ れ、この嵌合軸部６には、ねじ孔６ａが同心状に設けられている。

【０００６】 この工具ホルダー１は、ホルダー駆動用スピンドル側から切削油が供給される 所謂センタースルータイプのホルダーで、図１、図３及び図４に示すように、ホ ルダー１の中心軸線に沿って設けられ、一端部がホルダー後端面１ｂに開口し、 他端部がホルダー１の中央部で閉塞された径大の給油通路７と、ホルダー先端面 １ａの周辺部において周方向に条設されて工具後端面２ｂとの間に油中継室８， ８を形成する円弧状の凹溝条８ａ，８ａと、それぞれの内端部が前記径大給油通 路７に開口し且つ外端部（先端部）が前記各凹溝条８ａ内に開口した給油通路９ とが設けられている。両給油通路９，９はホルダー１の中心軸線に関し対称位置 に設けてある。

【０００７】 また、図３及び図４に示すように、ホルダー先端面１ａにおける前記嵌合軸部 ６の両側対称位置に一対の位置決め用係合凸部１０，１０が突設されている。各 係合凸部１０は、ホルダー先端面１ａに凹設された凹陥部１１に基部が嵌合され た状態でビス１２により固定してある（図３及び図６参照）。

【０００８】 一方、切削工具２には、図１、図２及び図６に示すように、一端が工具後端面 ２ｂの周辺部に開口し且つ他端が工具外周面先端部に開口する２つの油孔１３， １３が軸対称位置に設けられていると共に、工具ホルダー１の嵌合軸部６が嵌合 し且つこの軸部６の突出長さよりも若干長い軸部嵌合孔１４と、この軸部嵌合孔 １４より径大で工具先端面２ａに開口するボルト頭部収納凹所１５とが同軸状に 連設され、そして工具先端外周には複数の刃物１６が突設されている。

【０００９】 また、切削工具２の後端面２ｂ所要位置には、図２に示すように、工具ホルダ ー１に設けられた前記一対の係合凸部１０，１０とそれぞれ係合する係合凹部１ ７，１７が設けてある。この係合凸部１０と係合凹部１７は、互いに係合するこ とによって、軸部嵌合孔１４に工具ホルダー１の嵌合軸部６が嵌合して工具後端 面２ｂが工具ホルダー１の先端面１ａに当接した状態で、前記各油孔１３の一端 がホルダー先端面１ａの油中継溝８に的確に開口しうるように位置決めするもの である。

【００１０】 上述した工具ホルダー１に切削工具２を取付けるにあたって、工具ホルダー１ の嵌合軸部６を切削工具２の軸部嵌合孔１４に嵌合させると共に、ホルダー１側 の各係合凸部１０を工具２側の各係合凹部１７に係合させて、ホルダー先端面１ ａと工具後端面２ｂとを互いに当接させることにより、ホルダー１側の各凹溝条 ８ａが工具後端面２ｂとの間で油中継室８を形成すると共に、工具２側の各油孔 １３が前記油中継室８に開口し、これによってホルダー１側の給油用中央孔７が 油連通路９及び油中継室８を介して工具２側の油孔１３と連通連結する。しかし て、ボルト３の螺軸部３ａを嵌合軸部６のねじ孔６ａに螺入し、ボルト頭部３ｂ がボルト頭部収納凹所１５の内端面１８に当接するまで締め込むことによって、 切削工具２は工具ホルダー１に対し図１に示すような状態に締結固定される。

【００１１】 この切削工具２の取付けにあたっては、ボルト３の螺軸部３ａをホルダー１側 嵌合軸部６のねじ孔６ａに螺入して、ボルト頭部３ｂがボルト頭部収納凹所１５ の内端面１８に当接するまで締め込むだけでよいから、取付け操作がきわめて簡 単且つ容易である。この場合、ホルダー１側の各係合凸部１０を工具２側の各係 合凹部１７に係合させることによって、工具２側の各油孔１３がホルダー先端面 １ａの油中継溝８に的確に開口させることができるため、特別な位置決め作業が 不要となる。

【００１２】 上記のように切削工具２を固定した工具ホルダー１を工作機械のホルダー駆動 用スピンドルに装着した状態において、このスピンドルの内部側からホルダー１ の径大給油通路７に切削油が供給され、この切削油は、前記給油通路７の内端部 より各給油通路２を通って各油中継室８に導入され、この油中継室８より切削工 具２の油孔１３に供給されて、この工具２先端部から噴射される。この場合、工 具ホルダー１内の給油通路７に供給された切削油は、これと連通する各給油通路 ９から工具２側の油孔１３に直接導入されず、一旦各油中継室８に導入されるた め、スピンドル側からの供給圧力に変動があっても、この油中継室８で圧力を均 一化され、従って工具２側の油孔１３から一様な圧力の切削油を噴射させること ができる。

【００１３】 尚、図５は、工具後端面との間で油中継室を形成する凹溝条の他の例を示して いる。即ち、この凹溝条２８ａは、ホルダー先端面１ａの周辺部に環状に連続形 成されたものである。この場合、位置決め用の係合凸部１０は、図示のように、 凹溝条２８ａの一部を塞ぐようにして突設される。

【００１４】 図７は他の実施例による工具ホルダー１′を示しており、これも一種のセンタ ースルータイプのホルダーである。この工具ホルダー１′には、ホルダー先端面 １ａの周辺部に工具後端面２ｂ（図１参照）との間で油中継室８，８（図１参照 ）を形成する円弧状の凹溝条８ａ，８ａと、それぞれの先端部が各凹溝条８ａ内 に開口し且つ後端部がマニピュレータ用把持部４の後端面４ａに開口する一対の 給油通路２９，２９とが設けられ、そして各給油通路２９の後端開口部には、当 該ホルダー１′をホルダー駆動用スピンドルＳに装着した時、この給油通路２９ と、スピンドルＳの端面に開口するスピンドル側給油路３０とを連通連結するた めの弾性材からなる筒状連結部材３１が固着されている。尚、この実施例は、給 油通路２９の後端部がマニピュレータ用把持部４の後端面４ａに開口するように 設けられている点を除いては、先の実施例とほとんど同じ構成であるので、同一 部材には同一符号を付して、その説明を省略する。

【００１５】 従って、このホルダー１′をスピンドルＳに装着する時に、マニピュレータ用 把持部４の後端面４ａに固着した連結部材３１を、スピンドルＳの端面に弾接さ せた状態でスピンドル側給油路３０の開口端部に連結することにより、このスピ ンドル側給油路３０とホルダー１′の給油通路２９とが連通し、それによってス ピンドルＳ側からホルダー１′の給油通路２９に切削油が供給され、この切削油 は先の実施例と同様に前記油中継室８を介して工具側油孔１３（図１参照）に供 給される。

【００１６】 図８は、図７の実施例と同様のホルダー１′であるが、マニピュレータ用把持 部４の後端面４ａに弾性連結部材３１を取付ける代わりに、スピンドル側給油路 ３０の開口端部内にスプリング３２を介して連結用スリーブ３３を取付けたもの で、このスリーブ３３は、その先端部が常時スピンドルＳの端面から突出し、前 記弾性連結部材３１と同様な作用をすることができる。

【００１７】 図９は、所謂サイドスルータイプの工具ホルダー１″を示している。この図に おいて、３４は工具ホルダー１″を回転可能に支承する従来周知の支持部材で、 この支持部材３４には位置決めピン３５がホルダー１″と並列する状態に支持さ れている。そして、このホルダー１″には、ホルダー先端面１ａの周辺部に工具 後端面２ｂ（図１参照）との間で油中継室８，８（図１参照）を形成する円弧状 の凹溝条８ａ，８ａと、支持部材３４によって支承されるホルダー１″の支承部 分１ｃを直径方向に貫通する給油通路３６と、それぞれの先端部が各凹溝条８ａ 内に開口し且つ内端部が前記直径方向給油通路３６に連通する給油通路３７，３ ７とが設けられている。

【００１８】 しかして、この実施例では、切削油は、周知のようにスピンドルを回転可能に 支持する工作機械の固定部（図示省略）側から位置決めピン３５内の給油通路３ ８に供給され、その切削油は、支持部材３４内の給油通路３９を介して工具ホル ダー１″内の前記直径方向給油通路３６に導入され、この給油通路３６から給油 通路３７，３７を経て油中継室８に導入され、そして工具側油孔１３（図１参照 ）に供給される。

【００１９】 尚、以上説明した実施例においては、ホルダー先端面に突設される嵌合軸部を 円柱状に形成したが、これを角柱状に形成し、この角柱状嵌合軸部が嵌合する工 具側の軸部嵌合孔を角孔にしてもよい。この場合には、位置決め用の係合凸部及 び係合凹部は省略することができる。尚、嵌合軸部が円柱状であれば、加工が容 易となる。

【００２０】

【考案の作用及び効果】

本考案の請求項１に係る給油式工具ホルダーによると、ホルダー先端面に切削 工具の後端面を当接させて工具側油孔を油中継室に開口させた状態で工具側から ボルトをホルダー側に螺入し締結することにより、切削工具がホルダー先端部に 取付け固定されると共に、凹溝条が工具後端面との間に油中継室が形成されて、 ホルダー内の給油通路が油中継室を介して工具側の油孔と連通連結される。しか して、ホルダー内の給油通路に供給された切削油は、油中継室に導入された後、 そこから切削工具の油孔に供給されて、工具先端部から噴射される。

【００２１】 従って、この工具ホルダーによれば、ホルダーの先端に切削工具を取付けるだ けで、切削工具への切削油の供給を簡単容易に行わせることができる。この場合 、切削工具の油孔は、ホルダーへの工具取付け時にホルダー先端面と工具先端面 との間に形成される周方向の油中継室に開口するため、ホルダーに対する工具の 周方向取付け位置が多少ずれても、この工具側油孔をホルダー側の給油路に確実 に連通連結させることができる。また、ホルダー内の給油通路に供給された切削 油は、その給油通路から工具側の油孔に直接供給されず、一旦油中継室に導入さ れるため、給油通路に供給される油圧に変動があっても、この油中継室で圧力を 均一化され、従って工具側油孔から一様な圧力の切削油を噴射させることができ る。

【００２２】 また、この工具ホルダーでは、ホルダー先端面と工具後端面との間に油中継室 を形成する凹溝条を、工具ホルダー自体に設けているので、切削工具側には油孔 のみ設ければよく、従って消耗品である切削工具の加工が容易となって、工具コ ストの低廉化を期することができる。

【００２３】 請求項２に係る給油式工具ホルダーによると、切削工具の取付けにあたって、 ボルトを嵌合軸部のねじ孔に螺入して、ボルト頭部がボルト頭部収納凹所の内端 面に当接するまで締め込むだけでよいから、取付け操作が非常に簡単且つ容易と なる。

【００２４】 請求項３によれば、嵌合軸部が円筒状であるから製作が容易であり、またホル ダー側の係合凸部を工具側の係合凹部に係合させることによって、工具側の油孔 がホルダー先端面の油中継溝に適正に開口させることができるため、特別な位置 決め作業が不要となり、取付け操作がきわめて一層容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すもので、工具ホルダー
及びこれに取付けられた切削工具の一部断面側面図であ
る。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】工具ホルダーの一部断面側面図である。

【図４】図３に示す工具ホルダーの端面図である。

【図５】他の実施例による工具ホルダーの端面図であ
る。

【図６】図１に示す実施例における工具ホルダー、切削
工具及びボルトの分解斜視図である。

【図７】更に他の実施例による工具ホルダーの側面図で
ある。

【図８】更に他の実施例による工具ホルダーの側面図で
ある。

【図９】更に他の実施例による工具ホルダーの一部断面
側面図である。

【符号の説明】

１ 工具ホルダー １′ 工具ホルダー １″ 工具ホルダー １ａ ホルダー先端面 １ｂ ホルダー後端面 ２ 切削工具 ２ａ 工具先端面 ２ｂ 工具後端面 ３ ボルト ３ａ ボルトの螺軸部 ３ｂ ボルトの頭部 ４ マニピュレータ用把持部 ５ テーパ状シャンク部 ６ 嵌合軸部 ６ａ ねじ孔 ７ 給油通路 ８ 油中継室 ８ａ 凹溝条 ９ 給油通路 １０ 係合凸部 １３ 油孔 １４ 軸部嵌合孔 １５ ボルト頭部収納凹所 ２８ａ 凹溝条 ２９ 給油通路 ３４ 支持部材 ３５ 位置決めピン ３６ 給油通路 ３７ 給油通路

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】工具後端面に開口する油孔を備えた切削工
   具をボルトによって固定する給油式工具ホルダーであっ
   て、ホルダー先端面に周方向に条設されて工具後端面と
   の間で油中継室を形成する凹溝条と、ホルダー内部に設
   けられて先端部が前記凹溝条内に開口した給油通路とを
   備え、ホルダー先端面に工具後端面を当接させて工具側
   油孔を前記油中継室に開口させた状態で切削工具を固定
   するようにした給油式工具ホルダー。
2. 【請求項２】ホルダー先端面には中央部に嵌合軸部を一
   体突設し、その周囲に前記凹溝条を形成すると共に、前
   記嵌合軸部にボルト孔を設け、切削工具には、前記嵌合
   軸部が嵌合する軸部嵌合孔と、この軸部嵌合孔より径大
   で工具先端面に開口するボルト頭部挿入用凹所とを連設
   し、この凹所より前記嵌合軸部に螺入したボルトによっ
   て切削工具を取付けるようにした請求項１に記載の給油
   式工具ホルダー。
3. 【請求項３】前記嵌合軸部を円筒状に形成し、ホルダー
   先端面の前記嵌合軸部周辺に、工具側に設けた係合凹部
   に係合する位置決め用の係合凸部を突設してなる請求項
   １に記載の給油式工具ホルダー。