JPH07150327A - ガスワイピング方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっき浴面で発生するスプラッシュを未然に
防止することのできるガスワイピング方法とその装置を
提供する。 【構成】 連続溶融金属めっきラインにおいて、めっき
浴４内を通過したストリップ３の表面にワイピングノズ
ル１からワイピングガス６を噴射してストリップ３の表
面に付着した余剰の溶融金属を除去すると共に、めっき
浴面５で発生するスプラッシュ７を防止すべく、ストリ
ップ３の表面に沿って流下するワイピングガス６にスプ
ラッシュ防止ノズル２からスプラッシュ防止ガス８を噴
射し、ワイピングガス６の流れを減衰させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、連続溶融金属めっきラ
インに用いられ、ガスワイピング時に発生するスプラッ
シュ（跳ね返り）を防止できるガスワイピング方法およ
びその装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、連続溶融金属（溶融亜鉛）めっき
ラインで広く使用されているめっき装置は、図５に示す
ように、前処理を行ったストリップ３をめっき浴４に浸
漬した後、引き上げられるストリップ３に付着した溶融
金属が所定の厚みになるようにワイピングガス６を吹き
つけるガスワイピング方式で行うのが一般的である。

【０００３】すなわち、ストリップ３をシンクロール１
８および一対のサポートロール１９を介してめっき浴４
を充填したシンク２０内を通過させた後、ストリップ３
の両面側に位置するワイピングノズル１からストリップ
３にワイピングガス６を噴射し、余分な溶融金属めっき
を除去するものである。

【０００４】近年、めっき品質の向上や生産性向上の要
求に伴い、めっき厚みの均一化、極薄化ならびに美麗化
が要求されるようになってきており、例えば、生産性向
上のためにラインを高速化すると、ストリップ３に付着
して持ち上げられる溶融金属の量が増加するため、従来
と同等の溶融金属を付着した製品を製造するにはワイピ
ング力を従来以上に強力にすることが必要である。

【０００５】ちなみに、従来の一般的なめっき装置にお
ける操業条件は、ワイピングノズルへ供給されるワイピ
ングガス６の圧力が約０．２kg／m²〜３．０kg／m²程
度、ワイピングノズルからストリップまでの距離が約１
０ｍｍ〜４０ｍｍ程度であり、またワイピングノズルの
ガス噴射口９のスリットギャップの大きさは０．５ｍｍ
〜３ｍｍ程度である。

【０００６】ワイピング力を強化するには、ワイピン
グ圧力の増大、ノズルスリットギャップの増大による
ワイピングガス量の増大、ワイピングノズルのストリ
ップへの近接化、前記〜の組合せ等が考えられ
る。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図６に
示すように、ワイピング力を強化すると、ワイピング後
にワイピングガスがストリップ表面上を急速に流下して
めっき浴面５を激しく叩き、これによってスプラッシュ
（跳ね返り）７が増大すると云う問題がある。

【０００８】この結果、スプラッシュ７した溶融金属が
ワイピング後のストリップ表面（めっき面）に付着して
製品の外観を損ねたり、スプラッシュ７した溶融金属が
ワイピングノズルに付着すると、ワイピングジェットが
乱れ、製品の表面品質やめっき厚の均一性が低下した
り、表面疵を発生させる原因となると云う問題がある。

【０００９】また、ワイピングガスがめっき浴面５を激
しく叩くことによって、めっき浴面５上のドロス除去作
業が困難になるといった作業環境面での弊害をも招くと
云う問題がある。

【００１０】特に極薄い金属（亜鉛）付着量が要求され
る製品においては、その要求に応えるためにワイピング
ノズルをストリップにごく至近距離まで接近させ、かつ
ワイピングノズルへの供給ガス圧を高めて余剰な溶融金
属の払拭力をより強力にする必要があるが、この場合、
ストリップに衝突するガス圧力（流速）も高くなり、ス
トリップ衝突後にめっき浴面５に向かって流れるガス圧
力（流速）が必然的に高くなり、さらにガス流量も増加
するので、スプラッシュ７が生じ易くなると云う問題が
ある。

【００１１】本発明はこうした問題に鑑み創案されたも
ので、めっき浴面５で発生するスプラッシュを未然に防
止することのできるガスワイピング方法とその装置を提
供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明に係るガスワイピング方法は、連続溶融金属めっきラ
インにおいて、めっき浴内を通過したストリップの表面
にワイピングガスを噴射してストリップの表面に付着し
た余剰の溶融金属を除去すると共に、めっき浴面で発生
するスプラッシュを防止すべく、ストリップの表面に沿
って流下するワイピングガスにスプラッシュ防止ガスを
噴射し、ワイピングガスの流れを減衰させるものであ
る。

【００１３】前記目的を達成する本発明のガスワイピン
グ装置は、一対のワイピングノズルと一対のスプラッシ
ュ防止ノズルとで構成し、一対のワイピングノズルは、
連続溶融金属めっきラインにおいて、めっき浴内を通過
したストリップの表面に付着した余剰な溶融金属を除去
すべく、めっき浴上位にストリップを挟んで対向位置し
て設け、さらに一対のスプラッシュ防止ノズルは、スト
リップの表面を流下するワイピングガスにスプラッシュ
防止ガスを噴射してめっき浴面で発生するスプラッシュ
を防止すべく、一対のワイピングノズルの下位に設け
た。

【００１４】一対のスプラッシュ防止ノズルを、同期的
にあるいはそれぞれ独立して、ストリップの表面に対し
て接離自在とすると良い。

【００１５】

【作用】本発明の作用を、図４を参照しながら説明す
る。めっき浴を通過したストリップの表面には溶融金属
が余剰に付着しているが、この余剰な溶融金属は、ワイ
ピングノズルからストリップ面に噴射されるワイピング
ガスによって除去される。

【００１６】ストリップの表面に噴射されたワイピング
ガスの一部は、ストリップの表面に沿って流下してめっ
き浴面を叩きスプラッシュを発生させることになるが、
本発明においては、スプラッシュ防止ノズルからスプラ
ッシュ防止ガスをワイピングガスに、当該ガスの流れを
減衰させるべく噴射することとしたので、スプラッシュ
の発生を未然に防止できる。

【００１７】すなわち、ストリップに衝突後、ストリッ
プの表面（めっき面）に沿って流下するワイピングガス
は、スプラッシュ防止ガスの噴射によってその流れが減
衰されるため、めっき浴面を叩く力も極めて小さくな
り、よってめっき浴面で生じるスプラッシュの発生が未
然に防止される。

【００１８】一対のスプラッシュ防止ノズルを、同期的
にあるいはそれぞれ独立して、ストリップの表面に対し
て接離自在とすると、あらゆるめっき厚の製品に容易に
対応できる。

【００１９】例えば、一対のスプラッシュ防止ノズルを
同期的にストリップに対して接離自在とした場合は、ス
トリップの両表面のめっき厚を等しく施すべく、一対の
ワイピングノズルのそれぞれから等しい圧力や量のワイ
ピングガスを噴射する場合、ストリップの両表面を流下
する同圧・同量のワイピングガスを等しく減衰すること
ができ、めっき面を損傷すること等なくスプラッシュを
確実に防止することができる。

【００２０】また、一対のスプラッシュ防止ノズルをそ
れぞれ独立してストリップの表面に対して接離自在とす
ると、ストリップの両表面のめっき厚を異なったものと
すべく、一対のワイピングノズルのそれぞれから異なっ
た圧力や量のワイピングガスを噴射する場合、その違い
に対応してストリップとの距離をそれぞれ異なるものと
することができるので、めっき面を損傷せずスプラッシ
ュを未然に防止することが可能となる。

【００２１】

【実施例】本発明の一実施例を図３及び図４を参照しな
がら説明する。本実施例においては、めっき浴面５の上
方に位置する一対のワイピングノズル１の直下にスプラ
ッシュ防止ノズル２を配置している。

【００２２】このスプラッシュ防止ノズル２は、パイプ
に等ピッチで複数の噴射口（穴）９を開けて構成したも
のである。

【００２３】スプラッシュ防止ノズル２は、ワイピング
ノズル１のワイピングガス６圧力、およびストリップ３
（パスライン）までの距離等の種々変化するワイピング
条件に対応可能とすべく、支持レバー１１、連結レバー
１２、ピン１３等から構成されるリンク機構１０で支持
し、軸１４をモータ１５によって回転させることによ
り、レバー１２上に取り付けられたスプラッシュ防止ノ
ズル２とストリップ３までの距離を調整できる構造とし
ている。

【００２４】スプラッシュ防止ノズル２から噴射するス
プラッシュ防止ガス８は、ストリップ３との距離が調整
可能となるようにフレキシブルホース１６を介して供給
している。

【００２５】なお、本実施例においては、軸１４の回転
をモータ１５で達成するものとしているが、その他、レ
バーを介してエアあるいは電動シリンダで回転させる
等、あらゆる手段で行っても良く、またスプラッシュ防
止ノズル２への供給ガス圧力も調整できるものとしてい
る。

【００２６】また、本実施例にあっては、ストリップ３
の両表面側に位置するスプラッシュ防止ノズル２を、別
々に独立して位置調整ができるように設定しており、め
っきの厚みが両表面で異なる製品を製造する場合に、そ
のワイピング条件も異なることに対応させている。

【００２７】本発明装置の他の実施例を、図３に示す。
これは、スプラッシュ防止ノズル２をエアシリンダ１７
によって保持し、ストリップ３に対して進退移動自在と
したものである。

【００２８】スプラッシュ防止ノズル２から噴射するス
プラッシュ防止ガス８は、ストリップ３に付着してくる
溶融金属（亜鉛）の温度低下を防ぐために加熱したもの
が望ましく、さらに溶融金属の酸化を防止するために非
酸化性の不活性ガスを使用するのが望ましい。

【００２９】本発明の発明者は、本発明のより良い使用
条件を得るべく、種々の実験を行った。その結果、めっ
き浴面５から発生するスプラッシュ７を防止するには、
スプラッシュ防止ノズル２として以下の条件を備えてい
ることが必要あるいは望ましいことを確認することがで
きた。

【００３０】(1) スプラッシュ防止ノズル２のストリッ
プ３からの距離 スプラッシュ防止ノズル２の取付けはでき得る限りスト
リップ３に近接した位置がより効果的であることは明ら
かであるが、ワイピングにより飛散するめっき液のノズ
ルへの付着を防止することが不可欠であり、よって、実
用的にはストリップ３から２０ｍｍ以上離して取り付け
るのが望ましい。

【００３１】(2) スプラッシュ防止ノズル２の取り付け
高さ めっき浴面５に近すぎると（すなわちワイピングノズル
１から離れたところでは）、流下するワイピングガス６
の流れを減衰させる効果は少なく、スプラッシュ７の防
止に効果的でなく、ワイピング点に近いところで流下す
るワイピングガス６の流れを減衰させた方が効果的であ
り、スプラッシュ防止ノズル２の取付け高さはワイピン
グノズル１のガス噴射口９から３００ｍｍ以内であるこ
とが望ましい。

【００３２】(3) スプラッシュ防止ガス８の噴射方向 スプラッシュ防止ノズル２から噴射するスプラッシュ防
止ガス８の方向は、ストリップ３に対してほぼ直角かあ
るいは若干上向きの方向が良いが、しかし、あまりスプ
ラッシュ防止ノズル２の噴射角度を上向きにし過ぎる
と、逆にスプラッシュ防止ノズル２からのガス８によっ
てストリップ３表面でスプラッシュ７の発生を引き起こ
す不具合を生じ易くなるため、ストリップ３面に垂直な
面（水平）を基準にして下向きに１５°、また上向きに
３０°程度の範囲が実用上の限界である。なお、下向き
にし過ぎると流下するワイピングガス６の流れを強化す
る結果となり、めっき浴面５からのスプラッシュ７の発
生をさらに増加させることになる。

【００３３】(4) スプラッシュ防止ノズル２の形式 ストリップ３の幅方向にほぼ一様にガスを噴射できるス
リットギャップノズルあるいはパイプに複数の噴射口
（穴）９を設けたノズルでも良く、ストリップ３表面
（めっき面）を流下してくるワイピングガス６の流れを
ほぼストリップ３幅全体にわたって弱めることのできる
ものであれば、どのような構造・形式のものでも良い。

【００３４】

【発明の効果】本発明方法および装置によると、めっき
浴面から発生するスプラッシュを確実に防止することが
可能なので、以下の効果を得ることができる。 スプラッシュを確実に防止できることからワイピング
ガス量の増加並びにワイピング圧力の増大といったワイ
ピング力の強化が可能になり、高品質（極薄目付け製品
等）なめっき製品を製造することができる。

【００３５】ライン速度を速くしてワイピングするこ
とが可能となることから生産性の向上につながる。

【００３６】スプラッシュの発生を防止できるので、
めっき面に付着して製品の外観を損ねたり、ノズルに付
着してワイピングジェットを乱して製品の表面品質、均
一性（めっき厚）の低下や表面疵の発生の原因を解消で
きる。

【００３７】めっき浴面にスプラッシュが発生しない
ので、めっき浴面上のドロス除去作業を容易に行うこと
ができ、作業環境の改善を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の一実施例を示す、一部断面側面
図。

【図２】図１に示す装置の正面図。

【図３】本発明装置の他の実施例を示す、部分側面図。

【図４】本発明の作用を示す説明図。

【図５】従来技術を示す構成図

【図６】従来技術の作用を示す説明図。

【符号の説明】

１ ； ワイピングノズル ２ ； スプラッシュ防止ノズル ３ ； ストリップ ４ ； めっき浴 ５ ； めっき浴面 ６ ； ワイピングガス ７ ； スプラッシュ ８ ； スプラッシュ防止ガス ９ ； 噴射口 １０； リンク機構 １１； 支持レバー １２； 連結レバー １３； ピン １４； 軸 １５； モータ １６； フレキシブルホース １７； エアシリンダ １８； シンクロール １９； サポートロール ２０； シンク

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続溶融金属めっきラインにおいて、め
   っき浴(4) 内を通過したストリップ(3) の表面にワイピ
   ングガス(6) を噴射して前記ストリップ(3)の表面に付
   着した余剰の溶融金属を除去すると共に、めっき浴面
   (5) で発生するスプラッシュ(7) を防止すべく、前記ス
   トリップ(3) の表面に沿って流下する前記ワイピングガ
   ス(6) にスプラッシュ防止ガス(8) を噴射し、前記ワイ
   ピングガス(6) の流れを減衰させて成るガスワイピング
   方法。
2. 【請求項２】 連続溶融金属めっきラインにおいて、め
   っき浴(4) 内を通過したストリップ(3) の表面に付着し
   た余剰な溶融金属を除去すべく、前記めっき浴(4) 上位
   に前記ストリップ(3) を挟んで対向位置する一対のワイ
   ピングノズル(1) と、前記ストリップ(3) の表面を流下
   するワイピングガス(6) にスプラッシュ防止ガス(8) を
   噴射して前記ワイピングガス(6) の流れを減衰させ、め
   っき浴面(5) で発生するスプラッシュ(7) を防止すべ
   く、前記一対のワイピングノズル(1) の下位に位置する
   一対のスプラッシュ防止ノズル(2) と、から成るガスワ
   イピング装置。
3. 【請求項３】 一対のスプラッシュ防止ノズル(2) を、
   同期的にあるいはそれぞれ独立して、ストリップ(3) の
   表面に対して接離自在として成る請求項２に記載のガス
   ワイピング装置。