JPH07150137A - 有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子

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JPH07150137A
JPH07150137A JP5299463A JP29946393A JPH07150137A JP H07150137 A JPH07150137 A JP H07150137A JP 5299463 A JP5299463 A JP 5299463A JP 29946393 A JP29946393 A JP 29946393A JP H07150137 A JPH07150137 A JP H07150137A
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JP
Japan
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derivative
group
injection layer
compound
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JP5299463A
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English (en)
Inventor
Yoshio Hironaka
義雄 弘中
Hiroaki Nakamura
浩昭 中村
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Priority to JP5299463A priority Critical patent/JPH07150137A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高輝度を有し、かつ発光効率が高い上、寿命
の長い有機電界発光素子を提供すること。 【構成】 有機化合物層の少なくとも一層が、一般式
(I) 【化1】 〔Yはアルキル基又はアリール基、nは1〜3の整数で
ある。〕で表されるキノリン残基が2位,3位,5位,
6位,7位又は8位で連結した構造を有するジキノリン
誘導体及び/又はトリキノリン誘導体を含有してなる有
機電界発光素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な有機電界発光素子
に関する。さらに詳しくは、特定のジキノリン誘導体や
トリキノリン誘導体を有機化合物層の少なくとも一層に
用いることにより、高輝度化、高発光効率化及び長寿命
化が達成された有機電界発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電界発光を利用した電界発光素子は、自
己発光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるた
め、耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各
種表示装置における発光素子としての利用が注目されて
いる。この電界発光素子には、発光材料に無機化合物を
用いてなる無機電界発光素子と有機化合物を用いてなる
有機電界発光素子とがあり、このうち、有機電界発光素
子は、印加電圧を大幅に低くしうるために、その実用化
研究が積極的になされている。この有機電界発光素子の
構成については、陽極/発光層/陰極の構成を基本と
し、これに正孔注入層や電子注入層を適宜設けたもの、
例えば陽極/正孔注入層/発光層/陰極や、陽極/正孔
注入層/発光層/電子注入層/陰極などの構成のものが
知らされている。該正孔注入層は、陽極より注入された
正孔を発光層に伝達する機能を有し、また、電子注入層
は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有
している。そして、該正孔注入層を発光層と陽極との間
に介在させることによって、より低い電界で多くの正孔
が発光層に注入され、さらに、発光層に陰極又は電子注
入層より注入された電子は、正孔注入層が電子を輸送し
ないので、正孔注入層と発光層との界面に蓄積され発光
効率が上がることが知られている。
【0003】従来、有機電界発光素子の発光効率を高め
るために、上記のように電子注入層を設けることが試み
られ、該電子注入層に種々の有機化合物が用いられてき
たが、いずれもエキサイプレックスの形成がみられた
り、高輝度な発光が得られるものの、発光寿命が短いな
どの欠点があった。また、長時間の通電により、電極と
有機化合物層の剥離が生じたり、有機化合物層と電極が
結晶化し白濁化する現象が生じるため、このような剥離
や結晶化を防ぐ必要があった。他方、有機電界発光素子
の構成成分として、2,3,4−トリフェニルキノリン
を利用した例が開示されている(米国特許第5,077,142
号明細書)。しかしながら、該化合物は融点が低いため
に、有機電界発光素子のアモルファス薄膜層として使用
しても結晶化がすぐ起こり、短期間でほとんど発光しな
くなるなど、寿命が極めて短いという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、高輝度を有し、かつ発光効率が高い上、
寿命の長い有機電界発光素子を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の好
ましい性質を有する有機電界発光素子を開発すべく鋭意
研究を重ねた結果、有機化合物層の少なくとも一層、特
に電子注入層に、特定の構造のジキノリン誘導体やトリ
キノリン誘導体を用いることにより、その目的を達成し
うることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて
完成したものである。すなわち、本発明は、発光層を少
なくとも含む単層構造又は多層構造の有機化合物層と、
この有機化合物層を挾持する一対の電極とを備えた有機
電界発光素子において、前記有機化合物層の少なくとも
一層が、一般式(I)
【0006】
【化6】
【0007】〔式中、Yはアルキル基又はアリール基、
nは1〜3の整数を示し、Yが複数ある場合は、各Yは
同じでも異なっていてもよい。〕で表されるキノリン残
基が2位,3位,4位,5位,6位,7位又は8位で連
結した構造を有するジキノリン誘導体及び/又はトリキ
ノリン誘導体を含有することを特徴とする有機電界発光
素子を提供するものである。本発明の有機電界発光素子
においては、有機化合物層の少なくとも一層に、ジキノ
リン誘導体及び/又はトリキノリン誘導体を含有させる
ことが必要である。該ジキノリン誘導体やトリキノリン
誘導体としては、一般式(I)
【0008】
【化7】
【0009】で表されるキノリン残基が2位,3位,4
位,5位,6位,7位又は8位で連結した構造を有する
ものが用いられる。上記一般式(I)において、Yはア
ルキル基又はアリール基、nは1〜3の整数を示し、該
Yが複数ある場合は、各Yは同じでも異なっていてもよ
い。該ジキノリン誘導体としては、例えば一般式(II)
又は(III)
【0010】
【化8】
【0011】で表される化合物を好ましく挙げることが
できる。
【0012】上記一般式(II)及び(III)において、Y
1 及びY2 は、それぞれメチル基やエチル基などのアル
キル基、フェニル基などの置換基を有しないアリール基
や各種置換基を有するアリール基を示す。該置換基とし
ては、例えばメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル
基などのアルキル基、メトキシ基,エトキシ基,プロポ
キシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基、フェニル基,
トリル基などのアリール基、フェノキシ基,トリルオキ
シ基などのアリーロキシ基、あるいはシアノ基,ニトロ
基,さらには各種ハロゲン原子などが挙げられる。該Y
1 及びY2 はたがいに同一であってもよいし、異なって
いてもよい。また、a及びbは、それぞれ1〜3の整数
を示し、Y1 が複数ある場合は、各Y1 は同じでも異な
っていてもよく、Y2 が複数ある場合は、各Y2 は同じ
でも異なっていてもよい。また、Z1 は単結合又は
【0013】
【化9】
【0014】で表される基を示す。ここで、R1 ,R2
及びR3 は、それぞれ独立に水素原子,各種ハロゲン原
子,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基などの
アルキル基、フェニル基,トリル基などのアリール基、
メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基な
どのアルコキシ基、フェノキシ基,トリルオキシ基など
のアリーロキシ基、シアノ基又はニトロ基を示す。
【0015】一方、トリキノリン誘導体としては、例え
ば一般式(IV)又は(V)
【0016】
【化10】
【0017】で表される化合物を好ましく挙げることが
できる。上記一般式(IV)及び(V)において、Y3
4 及びY5 としては、前記一般式(II)及び(III)に
おけるY1 及びY2 と同じものを挙げることができる。
該Y3 ,Y4 及びY5 はたがいに同一であってもよい
し、異なっていてもよく、c,d及びeはそれぞれ1〜
3の整数を示す。また、Y3 が複数ある場合は、各Y3
は同じでも異なっていてもよいし、Y4 が複数ある場合
は、各Y4 は同じでも異なっていてもよく、Y5 が複数
ある場合は、各Y5 は同じでも異なっていてもよい。さ
らに、Z2
【0018】
【化11】
【0019】で表される基を示す。上記一般式(II),
(III)で表されるジキノリン誘導体や一般式(IV),
(V)で表されるトリキノリン誘導体の具体例として
は、次に示す化合物を挙げることができるが、もちろん
これらに限定されるものではない。
【0020】
【化12】
【0021】
【化13】
【0022】
【化14】
【0023】
【化15】
【0024】これらのジキノリン誘導体やトリキノリン
誘導体は一種用いてもよいし、二種以上を組み合わせて
用いてもよい。また、本発明の有機電界発光素子におい
ては、該ジキノリン誘導体やトリキノリン誘導体からな
る薄膜を電子注入層として用いるのが特に望ましい。
【0025】次に、本発明の素子に用いられる上記ジキ
ノリン誘導体やトリキノリン誘導体の製造方法について
説明する。例えば、一般式(II−1)で表されるジキノ
リン誘導体は、次の反応式
【0026】
【化16】
【0027】で示されるように、o−アミノベンゾフェ
ノン(VI)とp−ジアシルベンゼン(VII)とを縮合させ
ることにより製造することができる。また、一般式(II
I −1)で表されるジキノリン誘導体は、次の反応式
【0028】
【化17】
【0029】で示されるように、3,3’−ジベンゾイ
ルベンジジン(VIII)とアシルベンゼン類(IX)とを縮
合させることにより製造することができる。さらに、式
(IV−1)で表されるトリキノリン誘導体〔化合物(1
1)〕は、次の反応式
【0030】
【化18】
【0031】で示されるように、o−アミノベンゾフェ
ノン(VI)と1,3,5−トリアセチルベンゼン(X)
とを縮合させることにより製造することができる。上記
縮合反応は、例えばクレゾール溶媒中において、ポリリ
ン酸の存在下、該二種の原料を130℃前後で10〜3
0時間程度加熱、攪拌することにより行われる。また、
精製方法としては、例えば反応終了液を50wt%程度
の濃度のメタノール水溶液に加えて洗浄し、オイル状化
合物を得たのち、水洗後、エタノールなどに溶解させ、
これに水を少量ずつ加え、沈殿物を生成させる方法など
を用いることができる。第1表に、前記化合物(1)〜
(17)の原料を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】本発明の有機電界発光素子は、有機化合物
層の少なくとも一層が、上記一般式(I)で表されるキ
ノリン残基を有するジキノリン誘導体やトリキノリン誘
導体を含有するものであって、その素子構成としては、
陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極,陽極/
発光層/電子注入層/陰極,陽極/正孔注入層/発光層
/陰極,陽極/発光層/陰極型などが挙げられる。該ジ
キノリン誘導体やトリキノリン誘導体は、好ましくは発
光層,電子注入層を構成するものである。素子構成にお
いては、正孔注入層や電子注入層は必要ではないが、こ
れらの層を有する素子は発光性能が向上する利点があ
る。また、一対の電極間に上記正孔注入層,発光層,電
子注入層を混合させた形で挟持させてもよい。さらに、
各成分を安定に存在させるため、高分子化合物などのバ
インダーを用いて混合層を作製してもよい。
【0036】ここで、本発明の有機電界発光素子とし
て、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極型を
例にして説明する。本発明の素子は、基板に支持されて
いることが好ましい。この基板については特に制限はな
く、従来の有機電界発光素子に慣用されているものであ
ればよく、例えばガラス,透明プラスチック,石英など
からなるものを用いることができる。
【0037】この電界発光素子における正極としては、
仕事関数の大きい(4eV以上)金属,合金,電気伝導
性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好
ましく用いられる。このような電極物質の具体例として
はAuなどの金属,CuI,ITO,SnO2 ,ZnO
などの導電性透明材料が挙げられる。該正極は、これら
の電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、
薄膜を形成させることにより作製することができる。こ
の電極より発光を取り出す場合には、透過率を10%よ
り大きくすることが望ましく、また、電極としてのシー
ト抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料
にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜
200nmの範囲で選ばれる。
【0038】一方、陰極としては、仕事関数の小さい
(4eV以下)金属,合金,電気伝導性化合物及びこれ
らの混合物を電極物質とするものが用いられる。このよ
うな電極物質の具体例としては、ナトリウム,ナトリウ
ム−カリウム合金,マグネシウム,マグネシウム−銀合
金,リチウム,マグネシウム/銅混合物,マグネシウム
−インジウム合金,Al/Al2 3 ,インジウム,ア
ルミニウム−リチウム合金などが挙げられる。該陰極
は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方
法により、薄膜を形成させることにより、作製すること
ができる。また、電極としてのシート抵抗は数百Ω/□
以下が好ましく、膜厚は通常10〜500nm,好まし
くは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を
透過させるため、有機電界発光素子の陽極又は陰極のい
ずれか一方が、透明又は半透明であれば発光効率が向上
し好都合である。
【0039】本発明の素子における発光層の発光材料と
しては、上記一般式(I)で表されるキノリン残基を有
するジキノリン誘導体やトリキノリン誘導体が好まし
い。このジキノリン誘導体やトリキノリン誘導体が発光
層以外で用いられている場合は、発光層の発光材料につ
いて特に制限されることはなく、従来公知の化合物の中
から任意のものを選択して用いることができる。発光材
料としては、例えば、多環縮合芳香族化合物、ベンゾオ
キサゾール系,ベンゾチアゾール系,ベンゾイミダゾー
ル系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキサノイド化
合物、ジスチリルベンゼン系化合物など薄膜形成性の良
い化合物を用いることができる。ここで、上記多環縮合
芳香族化合物としては、例えばアントラセン,ナフタレ
ン,フェナントレン,ピレン,クリセン,ペリレン骨格
を含む縮合環発光物質や、約8個の縮合環を含む他の縮
合環発光物質などを挙げることができる。
【0040】上記ベンゾオキサゾール系,ベンゾチアゾ
ール系,ベンゾイミダゾール系などの蛍光増白剤として
は、例えば特開昭59−194393号公報に記載され
ているものを用いることができ、その代表例としては、
2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾ
オキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール;4,
4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサ
ゾリル)スチルベン;4,4’−ビス(5,7−ジ−
(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリ
ル)スチルベン;2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペン
チル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン;2,5−
ビス(5−(α,α,−ジメチルベンジル)−2−ベン
ゾオキサゾリル)チオフェン;2,5−ビス(5,7−
ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾ
リル)−3,4−ジフェニルチオフェン;2,5−ビス
(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン;
4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニ
ル;5−メチル−2−(2−(4−(5−メチル−2−
ベンゾオキサゾリル)フェニル)ビニル)ベンゾオキサ
ゾール;2−(2−(4−クロロフェニル)ビニル)ナ
フト(1,2−d)オキサゾール等のベンゾオキサゾー
ル系、2,2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビス
ベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系、2−(2−
(4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル)ビニル)
ベンゾイミダゾール;2−(2−(4−カルボキシフェ
ニル)ビニル)ベンゾイミダゾールなどのベンゾイミダ
ゾール系などの蛍光増白剤が挙げられる。
【0041】上記金属キレート化オキサノイド化合物と
しては、例えば特開昭63−295695号公報に記載
されているものを用いることができる。その代表例とし
ては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム,ビス
(8−キノリノール)マグネシウム,ビス(ベンゾ
(f)−8−キノリノール)亜鉛,ビス(2−メチル−
8−キノリノラート)アルミニウムオキシド,トリス
(8−キノリノール)インジウム,トリス(5−メチル
−8−キノリノール)アルミニウム,8−キノリノール
リチウム,トリス(5−クロロ−8−キノリノール)ガ
リウム,ビス(5−クロロ−8−キノリノール)カルシ
ウム,ポリ(亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−
キノリノニル)メタン)などの8−ヒドロキシキノリン
系金属錯体やジリチウムエピンドリジオンなどが挙げら
れる。その他、特開平5−198378号公報記載のフ
ェノラート配位子と二つの8−キノリノラート配位子を
含有するアルミニウムキレートなども挙げることができ
る。
【0042】他には、欧州特許第0373582号明細
書に記載のジスチリルベンゼン誘導体,同038876
8号明細書に記載のジメチリデン誘導体、特開平2−1
91694号公報のクマリン誘導体、特開平2−252
793号公報のジスチリルピラジン誘導体、特開平2−
196885号公報のペリレン誘導体、特開平2−25
5789号公報のナフタレン誘導体、特開平2−289
676号公報及び同2−88689号公報のフタロペリ
ノン誘導体、特開平2−250292号公報のスチリル
アミン誘導体及び同2−289675号公報のシクロペ
ンタジエン誘導体など、目的とする発光色及び性能など
から適宜選択することができる。上記の有機化合物から
なる発光層は、所望に応じて2層以上の積層構造でもよ
く、米国特許第4,769,292号明細書に開示され
ているように蛍光物質を加えて形成してもよい。この場
合上記有機化合物は薄膜状の層であり、発光領域の機能
の注入機能及び発光機能の一部を受持ち、一方、蛍光物
質はその有機化合物の層の中に微量(数モル%以下)存
在させ、電子と正孔の再結合に応答して発光するといっ
た発光機能の一部を担っている。さらに、発光領域に用
いる有機化合物は薄膜性を有していない化合物であって
もよく、このような化合物の例としては、1,4−ジフ
ェニル−1,3−ブタジエン;1,1,4,4−テトラ
フェニル−1,3−ブタジエン;テトラフェニルシクロ
ペンタジエンなどが挙げられる。しかし、これらの薄膜
性を有しない材料は、素子の寿命が短い欠点を有する。
【0043】次に、本発明の有機電界発光素子の正孔注
入層は、正孔伝達化合物からなるものであって、陽極よ
り注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この
正孔注入層を陽極と発光層の間に介在させることによ
り、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、そ
のうえ、発光層に陰極又は電子注入層より注入された電
子は、発光層と正孔注入層の界面に存在する電子の障壁
により、発光層内の界面に累積され発光効率が向上する
など発光性能の優れた素子となる。このような正孔注入
層に用いられる正孔伝達化合物は、電界を与えられた2
個の電極間に配置されて陽極から正孔が注入された場
合、正孔を適切に発光層へ伝達しうるものであり、例え
ば104 −106 V/cmの電界印加時に少なくとも1
-6cm2 /V・秒の正孔移動度を有するものが好適で
ある。この正孔伝達化合物については、前記の好ましい
性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導
伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用さ
れているものや電界発光素子の正孔注入層に使用される
公知のものの中から任意のものを選択して用いることが
できる。
【0044】上記正孔伝達化合物としては、例えばトリ
アゾール誘導体,オキサジアゾール誘導体,イミダゾー
ル誘導体,ポリアリールアルカン誘導体,ピラゾリン誘
導体及びピラゾロン誘導体,フェニレンジアミン誘導
体,アリールアミン誘導体,アミノ置換カルコン誘導
体,オキサゾール誘導体,スチリルアントラセン誘導
体,フルオレノン誘導体,ヒドラゾン誘導体,スチルベ
ン誘導体などを挙げることができる。さらに、正孔注入
輸送材料としては、シラザン誘導体,ポリシラン系,ア
ニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特
にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。
【0045】本発明においては、上記の化合物を正孔注
入材料として使用することができるが、次に示すポルフ
ィリン化合物(特開昭63−2956965号公報など
に記載のもの)及び芳香族第三級アミン化合物及びスチ
リルアミン化合物(米国特許第4,127,412 号明細書,特
開昭53−27033号公報,同54−58445号公
報,同54−149634号公報,同54−64299
号公報,同55−79450号公報,同55−1442
50号公報,同56−119132号公報,同61−2
95558号公報,同61−98353号公報,同63
−295695号公報等参照),特に該芳香族第三級ア
ミン化合物を用いることが好ましい。
【0046】該ポルフィリン化合物の代表例としては、
ポルフィン,1,10,15,20−テトラフェニル−
21H,23H−ポルフィン銅(II);1,10,1
5,20−テトラフェニル21H,23H−ポルフィン
亜鉛(II);5,10,15,20−テトラキス(ペン
タフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン;
シリコンフタロシアニンオキシド;アルミニウムフタロ
シアニンクロリド;フタロシアニン(無金属);ジリチ
ウムフタロシアニン;銅テトラメチルフタロシアニン;
銅フタロシアニン;クロムフタロシアニン;亜鉛フタロ
シアニン;鉛フタロシアニン;チタニウムフタロシアニ
ンオキシド;マグネシウムフタロシアニン;銅オクタメ
チルフタロシアニンなどが挙げられる。
【0047】また、該芳香族第三級アミン化合物及びス
チリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,
N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェ
ニル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TPDA);
2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プ
ロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェ
ニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−
p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−
ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェ
ニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−
メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−
トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジ
フェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−
4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−
テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフ
ェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−
(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4(ジ−p−トリ
ルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェ
ニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−
メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベン
ゼン;N−フェニルカルバゾールなどが挙げられる。ま
た、Si,SiC,CdSなどの無機物半導体の結晶,
非晶材料も用いることができる。この正孔注入層は、こ
れらの正孔注入材料一種又は二種以上からなる一層で構
成されてもよいし、あるいは、前記正孔注入層とは別種
の化合物からなる正孔注入層を積層したものであっても
よい。
【0048】また、本発明で用いる有機電界発光素子の
電子注入層は、電子注入材料からなるものであって、陰
極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有して
いる。本発明の場合は、上記一般式(I)で表されるキ
ノリン残基を有するジキノリン誘導体やトリキノリン誘
導体が好ましい。このジキノリン誘導体やトリキノリン
誘導体が、電子注入層以外で用いられている場合は、電
子注入材料について特に制限されることはなく、従来公
知の化合物の中から任意のものを選択して用いることが
できる。
【0049】本発明の有機電界発光素子における電子注
入層は、該ジキノリン誘導体やトリキノリン誘導体を、
例えば真空蒸着法,スピンコート法,キャスト法,LB
法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することが
できる。電子注入層としての膜厚は、特に制限はない
が、通常は5nm〜5μmである。この電子注入層は、
これらの電子注入材料1種又は2種以上からなる一層で
構成されてもよいし、あるいは、前記層とは別種の化合
物からなる電子注入層を積層したものであってもよい。
さらに無機物であるp型−Si,p型−SiCによる正
孔注入材料、n型α−Si,n型α−SiCによる電子
注入材料を電子注入材料として用いることができる。例
えば、国際公開WO90/05998に開示されている
無機半導体などが挙げられる。
【0050】次に、本発明の有機電界発光素子を作製す
る好適な例を説明する。例として、前記の陽極/正孔注
入層/発光層/電子注入層/陰極からなる電界発光素子
の作製法について説明すると、まず適当な基板上に、所
望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μ
m以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚にな
るように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成
させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である
正孔注入層,発光層,電子注入層の材料からなる薄膜を
形成させる。この薄膜化の方法としては、前記の如くス
ピンコート法,キャスト法,蒸着法などがあるが、均質
な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいな
どの点から、真空蒸着法が好ましい。この薄膜化に、こ
の蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化
合物の種類,分子堆積膜の目的とする結晶構造,会合構
造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜4
00℃,真空度10-6〜10-3Pa,蒸着速度0.01〜
50nm/秒,基板温度−50〜300℃,膜厚5nm
〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。これらの層
の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm
以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるよ
うに、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形
成させ、陰極を設けることにより、所望の電界発光素子
が得られる。なお、この電界発光素子の作製において
は、作製順序を逆にして、陰極,電子注入層,発光層,
正孔注入輸送層,陽極の順に作製することも可能であ
る。
【0051】また、一対の電極間に正孔注入層,発光
層,電子注入層を混合させた形で挟持させた陽極/発光
層/陰極からなる素子の作製方法としては、例えば適当
な基板の上に、陽極用物質からなる薄膜を形成し、正孔
注入材料,発光材料,電子注入材料,ポリビニルカルバ
ゾール,ポリカーボネート,ポリアリレート,ポリエス
テル,ポリエーテルなどの結着剤などからなる溶液を塗
布するか、又はこの溶液から浸漬塗工法により薄膜を形
成させ発光層とし、その上に陰極用物質からなる薄膜を
形成させるものがある。ここで、作製した発光層上に、
さらに発光層や電子注入層の材料となる素子材料を真空
蒸着し、その上に陰極用物質からなる薄膜を形成させて
もよい。
【0052】このようにして得られた電界発光素子に、
直流電圧を印加する場合には、陽極を+ ,陰極を−の
極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観
測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流
れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加す
る場合には、正極が+,負極が−の状態になったときの
み発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0053】本発明で用いる上記一般式(I)で表され
るキノリン残基を有する化合物は、その構造の中にヘテ
ロ環を含み、特に窒素原子を含む環状構造のキノリン環
を二量化又は三量化させることにより、低分子化合物で
は得られなかった種々の特性を発現させたものである。
すなわち、分子量を増加させることにより融点を高く
し、また分子構造の立体的効果により、その結晶化が抑
えられて薄膜性が向上すること、そして分子内における
ヘテロ環の増加とともに金属と有機物との付着性が向上
して破壊寿命の延長が可能となることを見出し、これら
の効果によって、本発明の有機電界発光素子を完成させ
たものである。
【0054】
【実施例】更に、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によってなんら限定されるもの
ではない。
【0055】製造例1 1,4−ビス〔2−(4−フェニルキノリル)〕ベンゼ
ン〔化合物(1)〕の製造 アルゴン雰囲気下、ポリリン酸10g及びm−クレゾー
ル20ミリリットルを140℃で2時間加熱攪拌した。
放冷後、o−アミノベンゾフェノン2.17g(11ミリ
モル)及びp−ジアセチルベンゼン0.81g(5ミリモ
ル)を加え、さらにm−クレゾール10ミリリットルを
加えたのち、アルゴンガス流通下で攪拌しながら130
℃にて20時間保持した。次に、反応終了液を50wt
%メタノール水溶液500ミリリットル中に少量ずつ加
え、赤褐色の油状物質を分離した。この油状物質をジク
ロロメタン150ミリリットルに溶解し、蒸留水で洗浄
したのち、ジクロロメタンを留去した。次に、エタノー
ル50ミリリットルに溶かし、この溶液を蒸留水500
ミリリットルに少量ずつ滴下して黄色の沈殿物を生成さ
せた。ろ別、乾燥して黄色粉末1.8gを得た。このもの
は核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定及び質量分析
により、目的化合物であることが同定された。収量74
%、融点257〜258℃、質量分析の結果、分子量4
84.6に対してM/S=486であった。 プロトン核磁気共鳴スペクトル(400MHz 1H−
NMR、溶媒:DMSO,80℃)の測定結果(図
1): δ(ppm)=7.56〜7.67ppm(m)、7.80〜
7.89ppm(m)、8.05ppm(d)、(4−位の
フェニル基のH、キノリン環の5,6,7,8位のH) δ(ppm)=8.09ppm(s:キノリン環の3位の
H) δ(ppm)=8.50ppm(s:中央フェニレン基の
H) なお、素子作製には昇華精製物を使用した。
【0056】製造例2 4,4’−ビス〔2−(4−フェニルキノリル)〕ビフ
ェニル〔化合物(2)〕の製造 製造例1において、p−ジアセチルベンゼンの代わりに
4,4’−ジアセチルビフェニル1.19g(5ミリモ
ル)を用いた以外は、製造例1と同様に実施して、黄色
の生成物2.2gを得た。このものはNMR測定及び質量
分析により、目的化合物であることが同定された。収率
78%、融点245〜246℃、質量分析の結果、M/
S=560であった。 NMR(400MHz 1H−NMR、溶媒:DMS
O,80℃)の測定結果: δ(ppm)=6.90〜7.00ppm(m)、7.16〜
7.23ppm(m)、7.53〜7.67ppm(m)、7.
78〜7.88ppm(m)、7.9ppm(d),8.03
ppm(s)、8.19ppm(d)、8.43ppm
(d) なお、素子作製には昇華精製物を使用した。
【0057】製造例3 6,6’−ビス(2,4−ジフェニルキノリン)〔化合
物(6)〕の製造 製造例1において、o−アミノベンゾフェノンの代わり
に3,3’−ジベンゾイルベンジジン1.96g(5ミリ
モル)を用い、かつp−ジアセチルベンゼンの代わりに
アセトフェノン1.32g(11ミリモル)を用いた以外
は、製造例1と同様に実施して、黄色の生成物1.8gを
得た。このものはNMR測定及び質量分析により、目的
化合物であることが同定された。収率64%、融点25
8〜260℃、質量分析の結果、M/S=560であっ
た。なお、素子作製には昇華精製物を使用した。
【0058】製造例4 6,6’−ビス(2,3,4−トリフェニルキノリン)
〔化合物(7)〕の製造 製造例1において、o−アミノベンゾフェノンの代わり
に3,3’−ジベンゾイルベンジジン1.96g(5ミリ
モル)を用い、かつp−ジアセチルベンゼンの代わりに
デオキシベンゾイン2.15g(11ミリモル)を用いた
以外は、製造例1と同様に実施して、黄色の生成物3.3
9gを得た。このものは、NMR測定及び質量分析によ
り、目的化合物であることが同定された。収率95%、
融点は300℃以上であり、質量分析の結果、M/S=
712であった。また、NMR(400MHz 1 H−
NMR、溶媒:CDCl3 )の結果を図2に示す。な
お、素子作製には昇華精製物を使用した。
【0059】実施例1 膜厚100nmのITO透明電極が設けられているガラ
ス基板(25mm×75mm×1.1mm:HOYA社
製)を透明支持基板とし、これをイソプロピルアルコー
ルで30分間超音波洗浄し、さらにイソプロピルアルコ
ールに浸漬して洗浄した。この透明支持基板を乾燥窒素
ガスで乾燥して、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに
固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに、N,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)〔1.1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(T
PD)200mgを入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボ
ートに、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)
ビフェニル(DPVBi)200mgを入れ、さらに別
のモリブデン製抵抗加熱ボートに、1,4−ビス〔2−
(4−フェニルキノリル)〕ベンゼン(BPQB:製造
例1の化合物)200mgを入れ、真空蒸着装置に取付
けた。まず、真空槽を4×10-4Paまで減圧したの
ち、TPDの入った前記加熱ボートに通電し、220℃
まで加熱して、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で透明支持
基板に蒸着し、膜厚60nmの正孔注入層を設けた。次
いで、DPVBiの入った前記加熱ボートに通電して2
20℃まで加熱して、蒸着速度0.1〜0.3nm/秒で上
記正孔注入層上に蒸着し、膜厚40nmの発光層を設け
た。さらに、BPQBの入った前記加熱ボートに通電し
て253℃まで加熱して、蒸着速度0.1nm/秒で上記
発光層上に蒸着し、膜厚20nmの電子注入層を設け
た。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0060】次に、真空槽をあけて、電子注入層上にス
テンレス鋼製のマスクを設置し、一方、モリブデン製抵
抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン
製の蒸着用バスケットに銀0.5gを入れ、再び真空槽を
2×10-4Paまで減圧したのち、マグネシウム入りの
ボートに通電して蒸着速度1.5〜2.0nm/秒でマグネ
シウムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱
して、蒸着速度0.1nm/秒で銀を蒸着し、上記マグネ
シウムと銀との混合物からなる対向電極とすることによ
り、目的とする有機電界発光素子を作製した。該素子の
ITO電極を陽極、マグネシウムと銀との混合物からな
る対向電極を陰極として、直流電圧12ボルトを印加し
たところ、電流密度7.8mA/cm2の電流が流れ、青
色の発光を得た。この際の発光最大波長は471nm、
発光輝度は91cd/m2 であり、発光効率は0.3ルー
メン/Wであった。窒素気流下で通電後、700時間経
過しても電極表面の剥離や白濁化は認められず、青色発
光が認められた。
【0061】実施例2〜4 実施例1において、BPQB(電子注入層)の代わりに
第2表に示す化合物を用い、蒸着時の加熱ボート温度を
変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素
子を作製し、評価を行った。結果を第2表に示す。
【0062】
【表4】
【0063】比較例1 実施例1において、BPQBの代わりに4−フェニリキ
ノリン〔CAS番号605−03−8〕を用い、蒸着時
の加熱ボート温度を100℃に変更した以外は、実施例
1と同様にして有機電界発光素子を作製した。窒素気流
下で1時間通電したところ、消光した。陰極表面付近に
白濁がみられ、電子注入層の結晶化がみられた。
【0064】実施例5 実施例1において、DPVBi(発光層)の代わりにト
リス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムを用い、
蒸着時の加熱ボート温度を280℃に変更した以外は、
実施例1と同様の方法で素子を作製した。得られた素子
のITO電極を陽極、マグネシウムと銀との混合物から
なる対向電極を陰極として、直流電圧12.5ボルトを印
加したところ、電流密度12.3mA/cm2 の電流が流
れ、緑色の発光を得た。この際の発光最大波長は508
nm、発光輝度は108cd/m2 であり、発光効率は
0.22ルーメン/Wであった。窒素気流下で通電後、5
00時間経過しても電極表面の剥離や白濁化は認められ
ず、緑色発光が認められた。
【0065】実施例6 実施例1において、電子注入層を使用せず、DPVBi
(発光層)の代わりに6,6’−ビス(2,3,4−ト
リフェニルキノリン)(BTPQ:製造例4の化合物)
を用い、実施例1と同様にして真空槽を4×10-4Pa
まで減圧した。その後、実施例1と同様に透明支持基板
上に正孔注入層TPDを60nm成膜し、さらにBTP
Qの入ったボートを490℃まで加熱し、蒸着速度0.1
nm/秒で60nm積層した。なお、蒸着時の該基板温
度は室温であった。次に、真空槽をあけて、上記蒸着層
の上にマスクを設置してから、実施例1と同様の方法で
マグネシウム−銀混合物からなる対向電極を積層蒸着し
て、目的とする有機電界発光素子を作製した。得られた
素子のITO電極を陽極、マグネシウムと銀との混合物
からなる対向電極を陰極として、直流電圧15ボルトを
印加したところ、電流密度15.7mA/cm2 の電流が
流れ、青緑色の発光を得た。この際の発光最大波長は4
98nm、発光輝度は89cd/m2 であり、発光効率
は0.12ルーメン/Wであった。窒素気流下で通電後、
500時間経過しても電極表面の剥離や白濁化は認めら
れず、青緑色発光が認められた。
【0066】
【発明の効果】本発明の有機電界発光素子は、有機化合
物層の少なくとも一層が特定構造のジキノリン誘導体や
トリキノリン誘導体を含有するものであって、高輝度を
有し、かつ発光効率が高い上、寿命が長いという特徴を
有しており、各種表示装置における発光素子として好適
に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明における製造例1で得られた
1,4−ビス〔2−(4−フェニルキノリル)〕ベンゼ
ンの 1H−NMRチャートである。
【図2】 図2は、本発明における製造例4で得られた
6,6’−ビス(2,3,4−トリフェニルキノリン)
1H−NMRチャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光層を少なくとも含む単層構造又は多
    層構造の有機化合物層と、この有機化合物層を挾持する
    一対の電極とを備えた有機電界発光素子において、前記
    有機化合物層の少なくとも一層が、一般式(I) 【化1】 〔式中、Yはアルキル基又はアリール基,nは1〜3の
    整数を示し、Yが複数ある場合は、各Yは同じでも異な
    っていてもよい。〕で表されるキノリン残基が2位,3
    位,4位,5位,6位,7位又は8位で連結した構造を
    有するジキノリン誘導体及び/又はトリキノリン誘導体
    を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 【請求項2】 ジキノリン誘導体及び/又はトリキノリ
    ン誘導体からなる薄膜を電子注入層として用いた請求項
    1記載の有機電界発光素子。
  3. 【請求項3】 ジキノリン誘導体が、一般式(II)又は
    (III) 【化2】 〔式中、Y1 及びY2 は、それぞれアルキル基又はアリ
    ール基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっ
    ていてもよく、a及びbは、それぞれ1〜3の整数であ
    り、Y1 が複数ある場合は、各Y1 は同じでも異なって
    いてもよく、Y2が複数ある場合は、各Y2 は同じでも
    異なっていてもよい。Z1 は単結合又は 【化3】 (式中、R1 ,R2 及びR3 は、それぞれ独立に水素原
    子,ハロゲン原子,アルキル基,アリール基,アルコキ
    シ基,アリーロキシ基,シアノ基又はニトロ基であ
    る。)で表される基を示す。〕で表される化合物である
    請求項1又は2記載の有機電界発光素子。
  4. 【請求項4】 トリキノリン誘導体が、一般式(IV)又
    は(V) 【化4】 〔式中、Y3 ,Y4 及びY5 はそれぞれアルキル基又は
    アリール基を示し、それらはたがいに同一でも異なって
    いてもよく、c,d及びeは、それぞれ1〜3の整数で
    あり、Y3 が複数ある場合は、各Y3 は同じでも異なっ
    ていてもよいし、Y4 が複数ある場合は、各Y4 は同じ
    でも異なっていてもよく、またY5 が複数ある場合は、
    各Y5 は同じでも異なっていてもよい。Z2 は 【化5】 で表される基を示す。〕で表される化合物である請求項
    1又は2記載の有機電界発光素子。
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