JPH0714980Y2 - カメラのフレキシブル基板収納構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「技術分野」 本考案は、撮影情報表示装置またはデータ写し込み装置
を備えたカメラの、ボディと裏蓋との間で情報等を伝達
するフレキブルコードの収納構造に関する。

「従来技術およびその問題点」 近年のカメラは、撮影時の年月日、時刻等をフィルムに
写し込めるデータ写し込み装置や、シャッタスピード、
撮影モード等の撮影情報を液晶パネル等の表示器で表示
する撮影情報表示装置を備えたものが増えている。

このデータ写し込み装置は、発光部、モニタ部およびク
ロック、オートダイアリ装置、バッテリ等を含む制御部
からなる。発光部は、複数のセグメントで１個のキャラ
クタを構成する発光素子が複数個並設されたモジュール
からなり、裏蓋の圧板の裏側に設けられている。そし
て、発光部を発光させてのデータの写し込み、そのデー
タの設定、切換は、制御装置により制御され、またその
発光は、シャッタのレリーズに同期して行われる。した
がって、制御部、バッテリがカメラボディに設けらてい
る場合は、発光部にカメラボディ内の制御部から制御信
号、情報を伝達し、バッテリから給電しなければならな
い。

同様に、表示器が裏蓋に設けられ、制御部、バッテリが
カメラボディに設けられた撮影情報表示装置において
も、裏蓋の表示器に、カメラボディ内の制御部から情報
伝達、バッテリから給電しなければならない。そこで、
このような裏蓋とカメラボディ間の情報伝達等用コード
として従来は、可撓性を有する薄板板に、複数のリード
線を絶縁状態で平行に固定したフレキシブル基板を用い
ていた。

裏蓋とカメラボディ間のフレキシブル基板は、ボディに
形成された引出し口から引き出され、裏蓋に形成された
引出し口から導入されている。ところがこの引出し口の
間隔は、裏蓋の開閉により変化する。例えば、第２図お
よび第４図に示すように、裏蓋12の引出し口17およびカ
メラボディ30の引出し口32がヒンジ13よりも内方にある
場合には、裏蓋を閉じた際には狭く、開いた際には広く
なる。しかし、この種フレキシブル基板は、幅が広いの
で曲る方向が限られ、しかも曲り難い。そのため、裏蓋
を閉じる際に、余ったフレキシブル基板が、遮光用の
溝、フランジに挟まれて折れたり、フィルムに触れると
いう問題がある。

そこで従来は、第５図に示すように、裏蓋内のフレキシ
ブル基板40に２個所の屈曲部40a、40bを形成し、この屈
曲部40a、40b間の中央部分40cを折り曲げて、山形の伸
縮可能な可撓部を形成してある。そして、屈曲部40bを
ばね42で引っ張って、裏蓋とカメラボディ間の部分40b
に常時テンションをかけていた。この構造によれば、裏
蓋を開閉する際に引出し口が接離しても、その間隔の変
化に応じてばね42が伸縮し、フレキシブル基板40を裏蓋
内から送り出したり、引込むので、裏蓋を閉じた際に部
分40bが弛むことがない。したがって、フレキシブル基
板40の部分40bが、遮光用の溝、フランジに挟まれた
り、フィルムに触れたりすることがない。

しかしながら従来のこの構造は、ばね42の取り付けが面
倒で、フレキシブル基板装着作業が困難であるという問
題があった。また、中央部分40cで折り曲げるので、こ
の部分のリード線が切れ易いという問題もあった。

「考案の目的」 本考案は、上記問題意識に基づいてなされたもので、裏
蓋、カメラボデイ間にフレキシブル基板が配線されたカ
メラにおいて、カメラへの装着が容易で、遮光用のフラ
ンジ、水密用のパッキンに触れたり、挟まれて折れた
り、また、フィルム、パトローネに触れることもないカ
メラのフレキシブル基板収納構造を提供することを目的
とする。

「考案の概要」 本考案は、カメラボディ内に収納されたバッテリ、制御
手段などの電気部材と、このカメラボディに開閉自在に
枢着された裏蓋内に収納された撮影情報表示装置の表示
部、データ写し込み装置の発光部などの電気部材とを接
続する板状のフレキシブル基板であって、上記フレキシ
ブル基板に、その板厚面内において湾曲した、そのねじ
れまたは撓みによって全体として伸縮する湾曲部を形成
したこと、に特徴を有する。

「考案の実施例」 以下図示実施例に基づいて本考案を説明する。

発光部10は、複数のセグメントで１個のキャラクタを構
成する発光素子が複数固並設された公知のデートモジュ
ールからなる。この発光部10は、裏蓋12にばねを介して
装着された圧板14の裏面に装着されている。なお発光部
10の発光素子は、裏蓋12に穿たれた窓から表に臨んでい
る。また裏蓋12は、ヒンジ13を介して回動自在にカメラ
ボディ30に取り付けられ、裏蓋12と圧板14との間には、
裏蓋12の内面を覆うパネル16が装着されている。

発光部10には、裏蓋12とパネル16の間の空間に配置され
たフレキシブル基板20の一端が接続されている。このフ
レキシブル基板20は、弾性材からなる薄板に、複数のリ
ード線を互いに絶縁状態で平行に固着した公知のもので
ある。

フレキシブル基板20は、その板厚平面内において、Ｓ字
形状の湾曲部分20aが形成され、湾曲部分20aに連なる部
分20bが、パネル16に形成された引出し口17から引き出
され、光密用のフランジ18の内側からカメラボディ30に
導かれている。

部分20bは、カメラボディ30のフランジ部21の内側に形
成された引出し口32からカメラボディ30内に導かれ、制
御装置、バッテリ等に接続されている。

部分20bよりも下方で、湾曲部分20aよりも引出し口17寄
りの裏蓋12には、係止ピン22が植設されている。この係
止ピン22には、フレキシブル基板20が引出し口17から引
き出された時に湾曲部分20aが係合し、湾曲部分20aの移
動が阻止される。

裏蓋12を閉じた状態では、引出し口17、32は最も接近し
た位置にあり、その間隔は、L1である。この閉状態で
は、湾曲部分20aは、僅かしか引張り力を受けない自然
状態にある（第１図参照）。

次に、上記裏蓋12を開いた時のフレキシブル基板20の動
き、作用について説明する。裏蓋12を開くと、引出し口
17、32が離反するので、フレキシブル基板20の部分20b
が長手方向（矢印方向）の張力を受ける。第４図状態で
は、引出し口17、32の間隔はL2となり、L2−L1だけ遠く
なっている。したがって、フレキシブル基板20は部分20
bが引っ張られ、湾曲部分20aが自身の弾性によりねじ
れ、かつ引出し口17方向に移動する。このねじれによる
移動により、部分20aが引出し口17、32間の距離増加分
（L2−L1）だけ移動し、フレキシブル基板20の切断を防
止すると共に裏蓋12の開放を許容する。また、湾曲部分
20aがピン22に係合することにより、部分20bが必要以上
に引き出されるのを、あるいは湾曲部分20aが異常な形
状に変形するのを防止されている。

裏蓋12を閉じると、今度は逆に引出し口17、32の間隔が
狭くなる。したがって、部分20bを矢印方向に引っ張る
力が弱くなるので、湾曲部分20aは、自身の弾性復元力
で初期状態に復元し、第１図状態になる。この復元によ
り、部分20bが裏蓋12内に引込まれ、引出し口17、32間
の弛みが吸収される。

上記実施例では、湾曲部20aの形状をＳ字状に形成した
が、これはｚ字、Ｎ字形状でもよく、要するに、フレキ
シブル基板自身の弾性力により伸縮可能に湾曲、蛇行さ
せればよい。

「考案の効果」 以上の説明から明らかな通り、本考案は、フレキシブル
基板に、自身の弾性により伸縮する、その板厚平面内に
おいて湾曲した湾曲部分を形成し、フレキシブル基板自
身の弾性により裏蓋とカメラボディ間部分の張力調節が
なされ、裏蓋の開閉に伴なう弛みを生じさせないように
なしたので、遮光用のフランジ、水密用のパッキンに触
れたり、挟まれて折れたり、また、フィルム、パトロー
ネに触れることもないフレキシブル基板収納構造を、簡
単な構造で、かつカメラへの装着も容易に提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本願考案を適用したカメラのフレキシブル基
板の要部を、裏蓋を閉じた状態で第２図の矢印Ａ方向か
ら裏蓋を透視して示した図、第２図は同閉じた状態の要
部横断面図、第３図は、同実施例のフレキシブル基板の
要部を、裏蓋を開いた状態で第３図の矢印Ｂ方向から裏
蓋を透視して示した図、第４図は、同裏蓋を開いた状態
の横断面図、第５図は、従来のフレキシブル基板収納構
造を示す正面図である。 10……発光部、12……裏蓋、14……圧板、17……引出し
口、20……フレキシブル基板、20a……フレキシブル基
板の湾曲部分、20b……フレキシブル基板の部分、30…
…カメラボディ、32……引出し口

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カメラボディ内に収納された電気部材と、
   このカメラボディに開閉自在に枢着された裏蓋内に収納
   された電気部材とを接続する板状のフレキシブル基板で
   あって、 上記フレキシブル基板に、その板厚面内において湾曲し
   た、そのねじれおよび撓みによって全体として伸縮する
   湾曲部を形成したこと、および、 上記湾曲部を上記裏蓋内の空間に収納したこと、 を特徴とするカメラのフレキシブル基板収納構造。