JPH07147160A

JPH07147160A - 鉛蓄電池

Info

Publication number: JPH07147160A
Application number: JP5293172A
Authority: JP
Inventors: Yoshihiro Eguchi; 能弘江口; Takamasa Yoshida; 隆正吉田
Original assignee: Yuasa Corp; Yuasa Battery Corp
Current assignee: Yuasa Corp
Priority date: 1993-11-24
Filing date: 1993-11-24
Publication date: 1995-06-06

Abstract

(57)【要約】【目的】深い放電が繰り返されても正極活物質と格子
体との界面の放電を抑制でき、長寿命で減液の少ない鉛
蓄電池を提供すると共に生産性に優れた鉛蓄電池を提供
する。【構成】本発明の鉛蓄電池は、アンチモンを含まない
鉛合金からなるエキスパンド格子体とアンチモン化合物
を含む正極活物質とからなる正極板を備えたことを特徴
とする。そして、上記鉛蓄電池にアンチモン難透過性の
セパレータを用いた方が減液量の点で好ましい。また、
アンチモン化合物としてＳｂ₂Ｏ₃，Ｓｂ₂Ｏ₅または
これらの混合物を鉛粉に対して０．０１〜１．０質量％
正極活物質に添加されていることが寿命性能の上で望ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は正極板にアンチモンを含
まないエキスパンド格子体を用いた鉛蓄電池に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】自動車用鉛蓄電池のように流動する電解
液を有する鉛蓄電池は、使用中に電解液が減少するため
アンチモンを含まない鉛合金またはアンチモンが２質量
％以下の鉛合金を格子体とした正極板を使用し、電解液
の減少を抑制し補水作業をほとんど不要にしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の技術で述べたア
ンチモンを含まない、例えばＰｂ−Ｃａ−Ｓｎ合金格子
体を用いた鉛蓄電池は、深い放電が繰り返されると、格
子体表面にＰｂＳＯ₄層が形成され早期に容量が低下す
る。一方、低濃度のアンチモンを有する鉛合金を用いた
電池は、Ｐｂ−Ｃａ−Ｓｎ合金を用いた電池に比べて電
池の減液が多く、生産性の良いエキスパンド格子体にし
難いという欠点を有している。従って、本発明の目的
は、深い放電が繰り返されても正極活物質と格子体の界
面の放電を抑制し、長寿命で減液の少ない鉛蓄電池を提
供すると共に生産性に優れた鉛蓄電池を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、アンチモンを含まない鉛合金からなるエ
キスパンド格子体とアンチモン化合物を含む正極活物質
とからなる正極板を備えたことを特徴とする鉛蓄電池で
ある。そして、上記鉛蓄電池にアンチモン難透過性のセ
パレータを用いた方が減液量を少なくできる点で好まし
い。また、アンチモン化合物としてＳｂ₂Ｏ₃，Ｓｂ₂
Ｏ₅またはこれらの混合物を鉛粉に対して０．０１〜
１．０質量％添加されることが寿命性能の上で好まし
い。

【０００５】

【作用】アンチモンを含まない鉛合金からなるエキスパ
ンド格子体はアンチモンを含む鉛合金からなるエキスパ
ンド格子体に比べ生産性に優れる。また、正極活物質に
アンチモン化合物が添加されていると、正極活物質とエ
キスパンド格子体との界面にＰｂＳＯ₄層が形成される
のを抑制する。さらに、セパレータにアンチモン難透過
性のものを用いると、陰極板にアンチモンイオンが到達
しなくなり減液量が抑制できる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。（実施例１）鉛粉中にＳｂ₂Ｏ₃を質量比で０．０１，
０．０５，０．１，０．５，１．０，２．０，３．０％
添加し、それぞれに水および希硫酸を加え活物質ペース
トを作製した。該ペーストを従来の製法により作製した
Ｐｂ−Ｃａ−Ｓｎ合金からなるエキスパンド格子体にペ
ースティングして７種類の正極板を得た。この正極板
と、従来法により作製されたペースト式負極板と、ポリ
エチレンセパレータとで極板群を構成し、電槽内へ挿入
した後、比重１．２８の硫酸を主体とする電解液を注入
して本発明電池Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇを得た。ま
た、鉛粉中にＳｂ₂Ｏ₃を添加しないで作製した正極板
と、その他は上記と同様な構成の比較電池Ｈを得た。さ
らに、鉛粉中にＳｂ₂Ｏ₃を添加しないで、Ｐｂ−１．
５質量％Ｓｂ合金の鋳造格子体を用いた正極板と、その
他は上記本発明の電池と同様な構成の比較電池Ｉを得
た。尚、上記電池Ａ〜Ｉは、公称容量が１．５Ａｈ、正
極板の大きさが縦３８mm，横６７mm，厚さ２mmであっ
た。

【０００７】（試験１）次に、上記電池Ａ〜Ｉをサイク
ル寿命試験に供した。その結果を表１のサイクル寿命数
の項に示した。なお、試験条件は、放電電流０．４５
Ａ、放電終止電圧１．７Ｖ、充電電流０．２４５Ａ、充
電時間８時間とし、放電持続時間が２時間を割ったとこ
ろで寿命とした。

【０００８】

【表１】

【０００９】表１より明らかなように本発明電池Ａ〜Ｇ
は、比較電池Ｈよりサイクル寿命が長く、比較電池Ｉと
略同等の寿命性能が得られた。即ち、格子体にアンチモ
ンを含まないエキスパンド正極板に於て、活物質にアン
チモン化合物を添加することで、低アンチモン格子体を
用いた正極板と比較しても深放電寿命性能は劣らない。
ただし、本発明電池Ｆ、Ｇは、初期容量が少なかった。
尚、上記実施例において添加物をＳｂ₂Ｏ₃としている
が、Ｓｂ₂Ｏ₅またはこれらの混合物を添加しても略同
等の結果が得られた。

【００１０】（試験２）次に本発明による電池Ａ、Ｂ、
Ｃ、Ｄ、Ｅと比較電池Ｈ、Ｉのフロート試験を行い減液
量を調査した。その結果を表１の減液量の項に示し
た。フロート試験条件は、試験温度４０℃、フロート電
圧２．４０Ｖ、試験期間は２１日とし２１日目の減液量
を測定した。表１から明らかなように、Ｓｂ₂Ｏ₃の添
加量が１．０％以下の電池Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅの減液量
は低アンチモン格子体を用いた電池Ｉの減液量以下にな
ることが分かる。即ち、格子体にアンチモンを含まない
エキスパンド正極板に於て、活物質にアンチモン化合物
を添加することで、低アンチモン格子体を用いた正極板
と比較しても減液性能は劣らない。

【００１１】（試験３）上記電池Ａ〜Ｅ、Ｈ、Ｉのセパ
レータにアンチモン難透過性であるダラミックＩＩ２５
０Ｖ（商品名）を用いた時の電池のフロート試験を行い
減液量を調査した。その結果を表１の減液量に示し
た。なお、フロート試験は、試験２と同一条件で行っ
た。表１から明らかなように、アンチモン難透過性セパ
レータを用いた電池の減液量は、従来セパレータを用い
た電池と比較して大幅に減少することが分かる。即ち、
格子体にアンチモンを含まないエキスパンド正極板に於
て、活物質にアンチモン化合物を添加した電池でも、ア
ンチモン難透過性セパレータを用いることにより低アン
チモン格子体を用いた正極板と比較しても減液性能の優
れたペースト式鉛蓄電池が得られる。

【００１２】（実施例２）実施例１と同様の正極板と負
極板を用い、セパレータとして微細ガラスマットを用い
て極板群を作製し、この極板群を電槽内へ挿入した後、
比重１．２８の硫酸を主体とする電解液を前記ガラスマ
ットに注入して本発明の密閉形鉛蓄電池Ａ’〜Ｇ’と従
来の密閉形鉛蓄電池Ｈ’を得た。尚、実施例１の電池Ｉ
に対応する密閉形鉛蓄電池Ｉ’は作製しなかった。

【００１３】（試験４）実施例２で得られた電池Ａ’〜
Ｈ’について、試験１と同様の条件でサイクル寿命試験
を行った。その結果を表２に示す。

【００１４】

【表２】

【００１５】表２より、本発明の電池Ａ’〜Ｆ’は従来
の電池Ｈ’に比べ寿命性能は同等以上であり、密閉形鉛
蓄電池においても正極活物質にアンチモン化合物を添加
すれば効果があることが分った。尚、本発明電池Ｇ’
は、従来電池Ｈ’より寿命性能が劣るが、非アンチモン
合金からなるエキスパンド格子体を用いているので、生
産性に優れる。

【００１６】

【発明の効果】本発明は上述の通り構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。（１）請求項１によれば、寿命性能に優れ、減液量を少
なくできる鉛蓄電池を提供できる。また、アンチモンを
含まないエキスパンド格子体を用いているので生産性に
優れる。（２）請求項２によれば、上記効果に加え、さらに減液
量を少なくできる。（３）請求項３によれば上記（１）の効果の内寿命性能
の効果を格段に優れたものにできる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】正極活物質とエキスパンド格子体とから
なる正極板を備えた鉛蓄電池において、前記正極活物質
はアンチモン化合物を含有しているものであり、前記格
子体はアンチモンを含まない鉛合金からなることを特徴
とする鉛蓄電池。
【請求項２】アンチモン難透過性セパレータを用いる
ことを特徴とする請求項１記載の鉛蓄電池。
【請求項３】請求項１及び２記載のアンチモン化合物
はＳｂ₂Ｏ₃，Ｓｂ₂Ｏ₅またはこれらの混合物であっ
て鉛粉に対して０．０１〜１．０質量％添加されている
ことを特徴とする鉛蓄電池。