JPH07147134A - 電子銃の組立方法及び組立用治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 組立用治具６の２本の軸合わせ用ピン６ｂ
は、第１グリッド電極１、第２グリッド電極３、及び第
３グリッド電極５にそれぞれ設けられた軸合わせ用孔７
に案内され、貫通されることにより、電子銃の軸合わせ
を行う。 【効果】 電子銃の組み立て時の組立精度を向上させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラーテレビジョンの
受像管の電子銃の組立方法及び組立用治具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、カラーテレビジョンの受像管内の
電子銃の組み立て時には、電子ビームの軸合わせのため
に、図４に示すように、電子銃を構成する第１グリッド
電極１及び第２グリッド電極３に設けられたビーム通過
孔８に、第１グリッド電極１側から組立用治具６のガイ
ドピン６ａを通してＸ方向及びＹ方向の位置を決定する
と同時に、各電極の回転を規制している。また、第３グ
リッド電極５の外周部分に孔５ａを設け、この孔５ａに
組立用治具９の突起９ａを嵌め合わせることにより、第
３グリッド電極５のＹ方向の位置を決定するとともに、
第３グリッド電極５の回転を規制している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な組立用治具を用いて電子銃を組み立てる場合には、各
電極の外径に基づいて位置決めを行っているが、各電極
の外径は十分な精度が出せるわけではない。従って、第
２グリッド電極と第３グリッド電極とのそれぞれ対向す
るビーム通過孔の軸ずれが生じる可能性がある。

【０００４】そこで、組立用治具のガイドピンの長さを
延長し、第３グリッド電極のビーム通過孔までガイドピ
ンを通して、第２グリッド電極と第３グリッド電極との
間のビーム通過孔の軸ずれを少なくすることが考えられ
る。

【０００５】しかし、第１グリッド電極、第２グリッド
電極及び第３グリッド電極にそれぞれ設けられているビ
ーム通過孔の径は同じ大きさである場合はあっても、第
１グリッド電極から第３グリッド電極へと小さくなる場
合はない。よって、電子銃の組立用治具のガイドピンを
第１グリッド電極側から第３グリッド電極側まで貫通さ
せ、軸合わせを行うことは、物理的に不可能である。

【０００６】そこで、本発明は上述の実情に鑑み、電子
銃の組み立て時に、容易にビーム通過孔の軸合わせを行
うことができ、また、組立精度を高めることができる電
子銃の組立方法及び組立用治具を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る電子銃の組
立方法は、上記複数の電極には複数の軸合わせ用孔が形
成されており、これら複数の軸合わせ用孔は上記複数の
電極に設けられた複数の電子ビームの通過孔とは別に設
けることにより上述した課題を解決する。

【０００８】また、上記複数の電極に形成された複数の
軸合わせ用孔に、先端側の径が基端側の径より小さい組
立用治具の複数の軸合わせ用ピンを案内し、貫通させ
て、上記複数の電極の軸合わせを行うことを特徴とす
る。

【０００９】ここで、上記複数の軸合わせ用ピンには、
それぞれ先端側の小径部と基端側の大径部とから成る、
少なくとも２段の径を設けることを特徴とする。

【００１０】さらに、上記複数の電極はプリフォーカス
レンズを形成する電極であることを特徴とする。

【００１１】また、本発明に係る電子銃の組立用治具
は、先端側の径が基端側の径より小さい複数の軸合わせ
用ピンを有し、これら複数の軸合わせ用ピンは上記複数
の電極に設けられた複数の軸合わせ用孔に案内され、こ
れら複数の軸合わせ用孔を貫通することを特徴とする。

【００１２】ここで、上記複数の電極の軸合わせ用孔の
径においては、陰極側の電極に形成された径のほうが、
スクリーンに近い側の電極に形成された径より大きくな
るように穿設形成されており、上記複数の軸合わせ用孔
に案内される複数の軸合わせ用ピンの径は、上記複数の
軸合わせ用孔の径と一致するものである。

【００１３】

【作用】本発明においては、複数の電極から成る電子銃
を組み立てる際に、先端の径が基端の径より小さい軸合
わせ用ピンを有する組立用治具を複数の電極に貫通させ
るので、電子銃の組立精度を高めることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について、図
面を参照しながら説明する。図１には、本発明に係る電
子銃の組立方法により組み立てられる複数の電極の構成
を示す。

【００１５】図１の第１グリッド電極１、第２グリッド
電極３、及び第３グリッド電極５は、電子銃において電
子ビームの発散を抑えるプリフォーカス電極を構成する
ものである。これら第１グリッド電極１、第２グリッド
電極３、及び第３グリッド電極５の各断面、即ち同一平
面上には、電子ビームが通過するビーム通過孔８の他
に、電子ビームの軸合わせ用（組立位置出し用）の２つ
の軸合わせ用孔７が設けられている。また、組立用治具
６には、２つのガイドピン６ａの他に、２つの軸合わせ
用ピン６ｂが設けられている。これら軸合わせ用ピン６
ｂを、上記第１グリッド電極１、第２グリッド電極３、
及び第３グリッド電極５の軸合わせ用孔７に案内して、
貫通させることにより、電子銃の組み立て時の軸合わせ
が行われる。この方法を用いることにより、電子銃の組
立における組立精度を、各電極のビーム通過孔や外径に
基づいて行われる電子銃の組立における組立精度よりも
高めることができる。また、従来、第３グリッド電極の
位置決めの際に使用していた組立用治具は不要となる。

【００１６】また、図２には、本発明に係る電子銃の組
立方法により組み立てられた電子銃の具体的な構成を示
す。実際の電子銃の組み立て時には、図２に示すよう
に、第１グリッド電極１と第２グリッド電極３との距離
と平行を保つために、第１グリッド電極１と第２グリッ
ド電極３との間にスペーサ２が挿入され、また、第２グ
リッド電極３と第３グリッド電極５との距離と平行を保
つために、第２グリッド電極３と第３グリッド電極５と
の間にスペーサ４が挿入されており、第１グリッド電極
１、スペーサ２、第２グリッド電極３、スペーサ４、及
び第３グリッド電極５の順に並べられたそれぞれの電極
及びスペーサに設けられた軸合わせ用孔に、組立用治具
６の２本の軸合わせ用ピン６ｂが、上記第１グリッド電
極１側から案内され、貫通される。

【００１７】尚、上記スペーサ２、４は、組立用治具６
の軸合わせ用ピン６ｂが上記各電極及びスペーサに貫通
され、電子銃の軸合わせが行われた後に取り外されるも
のである。

【００１８】ところで、上述のように、複数の電極の軸
合わせ用孔に組立用治具の軸合わせ用ピンを差し込んで
貫通させた場合には、上記複数の電極には、その貫通量
分だけ摩擦による圧力がかかるので、上記複数の電極に
は変形が生じ易い。また、逆に、複数の電極から差し込
んだ軸合わせ用ピンを引き抜く際にも、同様に、上記複
数の電極には変形が生じ易い。

【００１９】この電極の変形が生じると、電子銃の組立
精度や組立後のパーツ精度の確保ができなくなり、各電
極間で電子ビームの方向が歪み、この電子ビームの軌道
にばらつきが生じる。即ち、電子ビームの特性である電
子ビームの集束や３本の電子ビームの集中等に劣化を起
こすことになる。従って、組立用治具６の軸合わせ用ピ
ン６ｂと各電極との摩擦を少なくするためには、上記組
立用治具６の軸合わせ用ピン６ｂの先端側の径を小さく
することが考えられる。

【００２０】図３には、本発明に係る電子銃の組立用治
具を用いた電子銃の組み立て時の具体的な構成を示す。
図２に示す具体的な構成と同様に、各電極及びスペーサ
が、第１グリッド電極１、スペーサ２、第２グリッド電
極３、スペーサ４、第３グリッド電極５の順に並べら
れ、組立用治具６の２本の軸合わせ用ピン６ｂがこれら
の電極及びスペーサに設けられた軸合わせ用孔に案内さ
れ、貫通されている。ここで、上記組立用治具６の２本
の軸合わせ用ピン６ｂの径は２段であり、具体的には、
上記第１グリッド電極１、スペーサ２、及び第２グリッ
ド電極３が差し込まれる基端側は大径部となっており、
スペーサ４及び第３グリッド電極５が差し込まれる先端
側は小径部となっている。

【００２１】図４には、本発明に係る電子銃の組立用治
具を用いた電子銃の組み立て時の第２の具体的な構成を
示す。図４に示す組立用治具の軸合わせ用ピンの構成
は、図３に示す組立用治具の軸合わせ用ピンの構成とは
異なっている。即ち、上記組立用治具６の軸合わせ用ピ
ン６ｂの第１グリッド電極１、スペーサ２、第２グリッ
ド電極３、及びスペーサ４に案内される基端側の径は大
径部となっており、第３グリッド電極５が案内される先
端側の径は小径部となっている。ここで、上記軸合わせ
用ピン６ｂの基端側の径の太さをＤ１で示し、先端側の
径の太さをＤ２で示すとすると、これらの径の太さの比
はＤ１＞Ｄ２となる。

【００２２】このように、組立用治具６の軸合わせ用ピ
ン６ｂの基端側の径の太さと先端側の径の太さとを変え
ることにより、複数の電極の軸合わせ用孔に軸合わせ用
ピン６ｂを案内して貫通させる際の、上記複数の電極に
かかる圧力を、従来のガイドピンを用いて軸合わせを行
った場合よりも減らすことができるので、上記複数の電
極には変形が生じにくくなる。同様に、複数の電極を貫
通させた軸合わせ用ピン６ｂを引き抜く際にも、上記複
数の電極にかかる圧力を、従来のガイドピンを用いた場
合よりも減らすことができるので、上記複数の電極には
変形が生じにくくなる。

【００２３】尚、図３及び図４には、２段の異なる太さ
の径を備えた組立用治具の軸合わせ用ピンを示したが、
上記軸合わせ用ピンの径の段数を増やし、さらに多くの
太さの異なる径、例えば、複数の電極にそれぞれ対応し
た太さの径を備えることにより、各電極にかかる圧力
を、さらに減らすことができる。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明に係る電子銃の組立方法においては、複数の電極には
複数の軸合わせ用孔が形成されており、これら複数の軸
合わせ用孔は上記複数の電極に設けられた複数の電子ビ
ームの通過孔とは別に設けることにより、電子銃の組立
精度を向上させることができる。

【００２５】また、上記複数の電極に形成された複数の
軸合わせ用孔に、先端側の径が基端側の径より小さい組
立用治具の複数の軸合わせ用ピンを案内し、貫通させ
て、上記複数の電極の軸合わせを行うことにより、電子
銃を構成する複数の電極が変形することを抑え、電子ビ
ームの特性の劣化を防ぐことができる。

【００２６】さらに、上記複数の軸合わせ用ピンには、
先端側の小径部と基端側の大径部とから成る、少なくと
も２段の径を設けることにより、電子銃を構成する複数
の電極が変形することを抑え、電子ビームの特性の劣化
を防ぐことができる。また、複数の電極に軸合わせ用ピ
ンを貫通させる際の作業性を高めることができる。

【００２７】そのうえ、上記複数の電極はプリフォーカ
スレンズを形成する電極であることにより、電子銃を構
成する複数の電極が変形することを抑え、電子ビームの
特性の劣化を防ぐことができる。

【００２８】本発明に係る電子銃の組立用治具は、先端
側の径が基端側の径より小さい複数の軸合わせ用ピンを
有し、これら複数の軸合わせ用ピンは上記複数の電極に
設けられた複数の軸合わせ用孔に案内され、これら複数
の軸合わせ用孔を貫通することにより、電子銃の組立精
度を向上させることができる。また、電子銃を構成する
複数の電極が変形することを抑え、電子ビームの特性の
劣化を防ぐことができる。さらに、複数の電極に軸合わ
せ用ピンを貫通させる際の作業性を高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る電子銃の組立方法の概略的な構成
を示す図である。

【図２】本発明に係る電子銃の組立方法による電子銃の
組立時の具体的な構成を示す図である。

【図３】本発明に係る電子銃の組立用治具を用いた電子
銃の組立時の具体的な構成を示す図である。

【図４】本発明に係る電子銃の組立用治具を用いた電子
銃の組立時の第２の具体的な構成を示す図である。

【図５】従来の電子銃の組立方法の概略的な構成を示す
図である。

【符号の説明】

１・・・・・第１グリッド電極 ２、４・・・スペーサ ３・・・・・第２グリッド電極 ５・・・・・第３グリッド電極 ６・・・・・組立用治具 ６ｂ・・・・軸合わせ用ピン ７・・・・・軸合わせ用孔 ８・・・・・ビーム通過孔

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の電極により電子銃を組み立てる電
   子銃の組立方法において、 上記複数の電極には複数の軸合わせ用孔が形成されてお
   り、これら複数の軸合わせ用孔は上記複数の電極に設け
   られた複数の電子ビームの通過孔とは別に設けることを
   特徴とする電子銃の組立方法。
2. 【請求項２】 上記複数の電極に形成された複数の軸合
   わせ用孔に、先端側の径が基端側の径より小さい組立用
   治具の複数の軸合わせ用ピンを案内し、貫通させて、上
   記複数の電極の軸合わせを行うことを特徴とする請求項
   １記載の電子銃の組立方法。
3. 【請求項３】 上記複数の軸合わせ用ピンには、それぞ
   れ先端側の小径部と基端側の大径部とから成る、少なく
   とも２段の径を設けることを特徴とする請求項２記載の
   電子銃の組立方法。
4. 【請求項４】 上記複数の電極はプリフォーカスレンズ
   を形成する電極であることを特徴とする請求項２記載の
   電子銃の組立方法。
5. 【請求項５】 複数の電極により電子銃を組み立てる電
   子銃の組立方法で用いられる組立用治具において、 先端側の径が基端側の径より小さい複数の軸合わせ用ピ
   ンを有し、これら複数の軸合わせ用ピンは上記複数の電
   極に設けられた複数の軸合わせ用孔に案内され、これら
   複数の軸合わせ用孔を貫通することを特徴とする電子銃
   の組立用治具。