JPH07146359A - Fm−cwレーダ装置における検出状態評価装置 - Google Patents

Fm−cwレーダ装置における検出状態評価装置

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JPH07146359A
JPH07146359A JP5291867A JP29186793A JPH07146359A JP H07146359 A JPH07146359 A JP H07146359A JP 5291867 A JP5291867 A JP 5291867A JP 29186793 A JP29186793 A JP 29186793A JP H07146359 A JPH07146359 A JP H07146359A
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Atsushi Ashihara
淳 芦原
Yasushi Okada
泰仕 岡田
Kiichirou Sawamoto
基一郎 澤本
Katsuki Ichinose
勝樹 一瀬
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Abstract

(57)【要約】 【目的】送波信号の周波数のリニアリティの良否や他の
FM−CWレーダ装置の送波信号の干渉の有無等、FM
−CWレーダ装置による対象物の検出状態の良否を簡単
に評価することができるFM−CWレーダ装置における
検出状態評価装置を提供する。 【構成】対象物の相対距離を検出するためにビート信号
の周波数の検出を行う検出期間TW を複数の小期間TS1
〜TS7に分割し、各小期間TS1〜TS7におけるビート信
号のスペクトル分布を求める周波数分析手段と、各小期
間TS1〜TS7におけるビート信号のスペクトル分布の特
性を相互に比較し、それらが相互に略一致するか否かに
より対象物の相対距離の検出状態の良否を判断する良否
判断手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、FM−CWレーダ装置
による対象物の検出状態を評価する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば自動車においては、自己車
両の前方や後方等に存在する他の車両等の対象物の自己
車両に対する相対距離や相対速度を自己車両に搭載した
レーダ装置を用いて検出し、これに応じて車間距離の保
持、制動等の自動走行制御や、各種警報を行うようにし
たものが開発されており、この種のレーダ装置において
は、比較的近距離の対象物の検出が可能で、また、シス
テム構成を比較的簡略なものとし易い等の理由により、
一般にFM−CWレーダ装置が用いられている。
【0003】このFM−CWレーダ装置による対象物の
相対距離や相対速度の検出は以下のように行われる。
【0004】すなわち、例えば図2に示すように、周波
数fX とfY の間で周波数を直線的に増減するように、
換言すれば三角波状に周波数を変調させてなる信号を送
波信号として、該送波信号と同一周波数を有する電磁波
を対象物に向かって送波すると共に、該対象物により反
射された反射波を受波する。この時、反射波の受波信号
は、送波信号と同様に三角波状に周波数変調されたもの
となるのであるが、電磁波を送受波するアンテナと対象
物との間を往復するのに要する時間τの遅れを送波信号
に対して生じ、このため、送波信号と受波信号とを同一
時間軸上で比較すると、両信号の間には、前記遅れ時間
τに比例した周波数差fB を生じる。この場合、遅れ時
間τは、対象物の相対距離に比例するため、上記周波数
差fB も対象物の相対距離に比例し、対象物の相対距離
をDとすると、次式(1)が成り立つ。
【0005】D=k・fB ……(1) 式(1)において、kは電磁波の伝播速度(=光速)
と、送受波信号の周波数の時間的変化率とにより定まる
定数である。
【0006】このような基本原理に基づいて、FM−C
Wレーダ装置は、送波信号と受波信号とをミキシングす
ることにより、両信号の周波数差fB の周波数を有する
ビート信号を生成し、そのビート信号の周波数fB を検
出する。この場合、ビート信号の周波数fB の検出は、
例えば送波信号と受波信号との両者の周波数が共に増加
する期間(図2中、参照符号TW を付した期間)や、両
者の周波数が共に減少する期間において行われる。そし
て、検出したビート信号の周波数fB から前記式(1)
により対象物の相対距離Dを求める。FM−CWレーダ
装置は、前述のような電磁波の送受波を例えば図2に示
したように繰り返しつつ、各々の電磁波の送受波による
相対距離Dの検出を行い、対象物の相対距離Dを時々刻
々検出する。
【0007】尚、対象物の相対速度は相対速度Dを時間
的に微分したものであるので、相対距離Dを充分短い時
間間隔で検出すれば、該相対距離Dの時間的変化率によ
り対象物の相対速度を検出することができる。
【0008】ところで、このようなFM−CWレーダ装
置において、対象物の相対距離を精度よく検出するため
には、送波信号の周波数変化の直線性(所謂、リニアリ
ティ)が必要である一方、送波信号の発振器や、その周
波数を変調・制御するための回路の発熱等に起因して、
送配信号の周波数変化のリニアリティが低下する場合が
あり、このような場合には、対象物の相対距離の検出を
精度よく行うことが困難となる。また、送波信号の周波
数のリニアリティが良好であっても、例えば他車に搭載
されたFM−CWレーダ装置から送波された電磁波を自
己車両のFM−CWレーダ装置が受波すると、両者の電
磁波の送波タイミングによっては、両者の電磁波が相互
に干渉し、対象物の相対距離の検出を精度よく行うこと
が困難となる場合もある。
【0009】すなわち、図11を参照して、同図(a)
示のように送波信号の周波数のリニアリティが良好であ
ると、受波信号の周波数のリニアリティも良好となる。
この場合は、FM−CWレーダ装置においては、例えば
送受波信号の両者の周波数が共に増加する期間TW にお
いて、両信号をミキシングしてビート信号を生成し、こ
れにより同図(b)に示すようなビート信号が得られ
る。このとき、該ビート信号のスペクトル分布(周波数
分布)は、同図(c)に示すように、基本的には対象物
の相対距離に対応する周波数fP において急峻なピーク
(極大値)をもつような分布となる。従って、ビート信
号の周波数を検出すると、その検出される周波数は対象
物の相対距離に対応する周波数fP となり、該周波数f
P から前記式(1)に従って、対象物の相対距離を精度
よく求めることができる。
【0010】一方、図12を参照して、同図(a)示の
ように送波信号の周波数のリニアリティが不良となる
と、受波信号の周波数のリニアリティも不良となり、こ
の場合には、送受波信号の両者の周波数が共に増加する
期間TW において、両信号をミキシングすると、同図
(b)に示すようなビート信号が得られる。このとき、
該ビート信号のスペクトル分布は、上記のように急峻な
分布とはならず、同図(c)に示すように、対象物の相
対距離に対応する周波数fP を含んで広がりをもった分
布となり、このことは、ビート信号が、対象物の相対距
離に対応する周波数fP 成分以外の他の周波数成分を多
く含むことを意味する。従って、このような場合に、ビ
ート信号の周波数を検出しても、対象物の相対距離に対
応する周波数fP を検出することが困難となって、対象
物の相対距離の検出精度が低下し易い。
【0011】また、図13を参照して、例えば同図
(a)に示すように、自己のFM−CWレーダ装置の送
受波信号に対して他車等のFM−CWレーダ装置の送波
信号を受波すると、自己の送受波信号の周波数が共に増
加する期間TW において、送受波信号をミキシングして
なるビート信号は、同図(b)に示すような信号とな
る。このとき、該ビート信号のスペクトル分布は、図1
2の場合と同様に急峻な分布とはならず、図13(c)
に示すように、対象物の相対距離に対応する周波数f P
を含んで広がりをもった分布となる。従って、このよう
な場合に、ビート信号の周波数を検出しても、対象物の
相対距離に対応する周波数fP を検出することが困難と
なって、対象物の相対距離の検出精度が低下する。尚、
このような他車等のFM−CWレーダ装置の送波信号の
干渉は、自己のFM−CWレーダ装置の送波信号と他車
等のFM−CWレーダ装置の送波信号との送波タイミン
グによっては、生じない場合もある。
【0012】このようにFM−CWレーダ装置において
は、送波信号の周波数のリニアリティが低下し、あるい
は、他のFM−CWレーダ装置の送信波の干渉がある
と、対象物の相対距離の検出精度の低下を招き、このよ
うな状態で対象物の検出を行うことは好ましくない。特
に、自動車用のFM−CWレーダ装置においては、それ
による対象物の相対距離や相対速度の検出に応じて、制
動等の自動走行制御を行ったり、あるいは運転者等への
警報を行うようにしているため、上記のような状態で対
象物の相対距離や相対速度の検出を継続することは好ま
しくなく、上記のような状態では、相対距離や相対速度
の検出を中止したり、あるいは、その旨を警報したりす
ることが望ましい。
【0013】しかしながら、従来のFM−CWレーダ装
置においては、送波信号の周波数のリニアリティの低下
や、他のFM−CWレーダ装置の送信波の干渉等の状態
を検出できるようにしたものがなく、このため、そのよ
うな検出状態を評価できるようにすることが望まれてい
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる背景に
鑑み、送波信号の周波数のリニアリティの良否や他のF
M−CWレーダ装置の送波信号の干渉の有無等、FM−
CWレーダ装置による対象物の検出状態の良否を簡単に
評価することができるFM−CWレーダ装置における検
出状態評価装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる目的を達
成するために、周波数を時間的に直線的に変調せしめた
電磁波を対象物に向かって送波する手段と、該電磁波の
反射波を受波する手段と、該電磁波の送波信号の一部と
該反射波の受波信号とを混合することにより前記対象物
の相対距離に応じた周波数を有するビート信号を生成す
る手段と、該ビート信号の所定の期間における周波数を
前記対象物の相対距離に対応する周波数として検出し、
その検出された周波数から前記対象物の相対距離を検出
する手段とを備えたレーダ装置において、その相対距離
の検出状態の良否を評価する装置であって、前記ビート
信号の周波数を検出する前記所定の期間を複数の小期間
に分割し、各小期間における該ビート信号の周波数のス
ペクトル分布を求める周波数分析手段と、前記各小期間
における前記ビート信号のスペクトル分布のあらかじめ
定められた特性を相互に比較し、該特性が互いに略一致
するとき前記相対距離の検出状態を良好と判断すると共
に該特性が互いに略一致しないとき前記相対距離の検出
状態を不良と判断する良否判断手段とから成ることを特
徴とする。
【0016】そして、前記レーダ装置は、前記電磁波の
送波を繰り返すレーダ装置であって、前記良否判断手段
により前記相対距離の検出状態が不良であると判断され
たとき、該電磁波の送波タイミングを変更する送波タイ
ミング変更手段を備えたことを特徴とする。
【0017】また、前記良否判断手段により比較する前
記各小期間におけるビート信号のスペクトル分布の特性
は、各スペクトル分布におけるスペクトルレベルが極大
値となるピーク周波数と、該ピーク周波数の位置におけ
る各スペクトル分布のQ値であることを特徴とする。
【0018】また、前記周波数分析手段及び良否判断手
段は、前記の評価処理を周期的に繰り返す手段であっ
て、該良否判断手段は、前記各小期間のビート信号のス
ペクトル分布におけるスペクトルレベルが極大値となる
ピーク周波数を検出する手段と、今回の評価処理と前回
の評価処理とで前記相対距離の検出状態を不良であると
判断したとき、前回の評価処理と今回の評価処理とで検
出された前記ピーク周波数を相互に比較する手段と、そ
の比較結果により前記相対距離の検出状態を不良である
と判断された原因を特定する手段とを具備することを特
徴とする。
【0019】また、前記良否判断手段による前記各小期
間のビート信号のスペクトル分布の比較結果に基づい
て、前記対象物の相対距離の検出の際に前記ビート信号
の周波数を検出する前記所定の期間を設定する検出期間
設定手段を備え、該検出期間設定手段は、前記各小期間
のうち、ビート信号のスペクトル分布の特性が相互に略
一致する連続した複数の小期間を合成してなる期間を前
記所定の期間として設定することを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明によれば、前記対象物の相対距離を検出
する際に、前記ビート信号の周波数を検出する前記所定
の期間を分割してなる前記複数の小期間において、前記
周波数分析手段により各小期間のスペクトル分布が求め
られ、それらのスペクトル分布の特性が前記良否判断手
段により比較される。このとき、前記FM−CWレーダ
装置の送波信号のリニアリティが良好であり、また、他
のFM−CWレーダ装置の送波信号の干渉がなければ、
前記ビート信号の前記各小期間におけるスペクトル分布
は相互に略同一の分布となると考えられる。従って、ス
ペクトル分布の比較すべき特性を適切に定めておけば、
前記各小期間における各スペクトル分布の特性が相互に
略一致する場合には、FM−CWレーダ装置の送波信号
のリニアリティが良好であり、また、他のFM−CWレ
ーダ装置の送波信号の干渉がないと考えられるので、前
記良否判断手段は、FM−CWレーダ装置による対象物
の相対距離の検出状態が良好であると判断し、一方、そ
れ以外の場合は、FM−CWレーダ装置の送波信号のリ
ニアリティの不良や、あるいは、他のFM−CWレーダ
装置の送波信号の干渉が生じていると考えられるので、
前記良否判断手段は、FM−CWレーダ装置による対象
物の相対距離の検出状態が不良であると判断する。
【0021】前記FM−CWレーダ装置が電磁波の送波
を繰り返すものである場合には、前記良否判断手段によ
り検出状態の不良が判断されたときに、前記送波タイミ
ング変更手段により、前記電磁波の送波タイミングが変
更され、これにより、他のFM−CWレーダ装置の送波
信号の干渉により検出状態の不良が生じた場合に、その
ような状態を解消することが可能となる。尚、電磁波の
送波タイミングの変更は規則的に行ってもよく、あるい
は乱数的にランダムに行ってもよい。
【0022】また、前記各小期間のスペクトル分布の相
互に比較すべき特性としては、例えば各スペクトル分布
の前記ピーク周波数と、Q値とを用いることが好まし
い。これは、FM−CWレーダ装置の送波信号のリニア
リティの不良や、あるいは、他のFM−CWレーダ装置
の送波信号の干渉が生じている場合には、そのような状
態が生じている前記小期間と、正常状態の小期間とで
は、前記ピーク周波数(これは対象物の相対距離に対応
する)が相互に相違し、また、そのピーク周波数の位置
におけるスペクトル分布の形状が相互に相違すると考え
られるからである。尚、前記Q値は、一般に信号波形の
先鋭度を示すものであり、FM−CWレーダ装置の送波
信号のリニアリティの不良や、あるいは、他のFM−C
Wレーダ装置の送波信号の干渉が生じている前記小期間
における前記ビート信号のスペクトル分布のQ値は、正
常状態の小期間におけるスペクトル分布のQ値よりも小
さくなる。
【0023】また、一般に、FM−CWレーダ装置の送
波信号のリニアリティの不良が生じた場合には、前述の
評価処理を繰り返し行ったとき、前記各小期間における
前記各スペクトル分布の前記ピーク周波数を検出する
と、前回の評価処理と今回の評価処理とで検出される前
記ピーク周波数がほぼ同じ周波数となることが多い。そ
こで、前記周波数分析手段及び良否判断手段による前記
の評価処理を周期的に繰り返す場合に、前記各小期間の
ビート信号のスペクトル分布の前記ピーク周波数を検出
しておき、今回の評価処理と前回の評価処理とで検出状
態の不良が判断されたとき、前回の評価処理と今回の評
価処理とで検出された前記ピーク周波数を相互に比較す
ることにより、その不良の原因を特定することが可能と
なる。
【0024】また、FM−CWレーダ装置の送波信号の
リニアリティが良好で、また、他のFM−CWレーダ装
置の送波信号の干渉がない場合において、対象物の相対
距離を検出する場合、送受波信号の周波数が共に直線的
に増加あるいは減少する期間において、ビート信号の周
波数を検出することが好ましく、そのような期間は、実
際に電磁波の送受波を行って設定することが好ましい。
そこで、前記良否判断手段による前記各小期間のビート
信号のスペクトル分布の比較結果に基づいて、前記スペ
クトル分布の特性が相互に略一致するような連続した複
数の小期間を合成してなる期間を、対象物の相対距離の
検出に際して前記ビート信号の周波数を検出すべき前記
所定の期間として設定する。このように設定された期間
においては、その期間を構成する前記各小期間における
スペクトル分布の特性が相互に略一致するので、電磁波
の送受波信号の周波数が共に直線的に増加あるいは減少
していると考えられ、従って、相対距離の検出を精度よ
く行うことが可能となる。
【0025】
【実施例】本発明の一例を図1乃至図10を参照して説
明する。図1は本実施例の検出状態評価装置を含むFM
−CWレーダ装置のシステム構成図、図2は図1のレー
ダ装置による電磁波の送受波信号を示す説明図、図3乃
至図5は図1のレーダ装置の作動を説明するためのフロ
ーチャート、図6乃至図10は図1のレーダ装置の作動
を説明するための説明図である。
【0026】図1を参照して、本実施例におけるFM−
CWレーダ装置は例えば自動車に搭載されたものであ
り、1は電磁波の送波信号を生成する発振器、2は発振
器1が生成する送波信号の周波数を時間的に変調・制御
する変調制御回路、3は発振器1からアイソレータ4、
方向性結合器5及びサーキュレータを介して付与される
送波信号に応じて該送波信号と同一周波数の電磁波を送
波し、また送波した電磁波の反射波を受波するアンテ
ナ、7は方向性結合器を介して分配・入力される送波信
号の一部とアンテナ3からサーキュレータ6を介して入
力される受波信号とをミキシングして両信号の時間的周
波数差に相当する周波数を有するビート信号を生成する
ミキサー、8はミキサー7により生成されたビート信号
を増幅するアンプ、9はアンプ8により増幅されたビー
ト信号をA/D変換するA/D変換器、10はA/D変
換器9によりA/D変換されたビート信号を時系列的に
記憶保持するメモリ、11はメモリ10に記憶保持され
たビート信号のデータを分析処理することにより対象物
の相対距離の検出や、その検出状態の評価等を行う信号
処理装置、12はA/D変換器9によりA/D変換され
たビート信号のメモリ10への記憶保持のタイミングを
規定するタイミング信号と周波数変調された電磁波の送
波タイミングを規定するタイミング信号とをそれぞれ信
号処理装置11の指示により生成してメモリ10及び変
調制御回路2に付与するタイミング信号生成回路、13
は発振器1の電源回路である。アンテナ3は指向性を有
するものであり、例えば自己車両の前方に存在する他車
等の対象物Aに向かって電磁波を送波する。
【0027】信号処理装置11は、マイクロコンピュー
タ等を含む電子回路により構成されたものであり、その
構成を大別すると、対象物Aの相対距離D等の検出を行
うべくビート信号のデータ処理等を行う検出用信号処理
部14と、その検出状態の良否の評価等を行うべくビー
ト信号のデータ処理等を行う評価用信号処理部15とか
ら構成されている。そして、評価用信号処理部15は、
その機能的構成として、ビート信号のデータを周波数分
析する周波数分析手段16と、その周波数分析により得
られるビート信号のスペクトル分布を基に、検出用信号
処理部14による対象物Aの相対距離D等の検出状態の
良否を判断する良否判断手段17と、発振器1の電源回
路13に電源停止指令を出力する電源停止指示手段18
と、図示しないブザー等の警報器に警報指令を出力する
警報指示手段19と、電磁波の送波タイミングをタイミ
ング信号生成回路12を介して変調制御回路2に指示す
る送波タイミング指示手段20と、ビート信号のデータ
をメモリ10に記憶保持させるタイミングをタイミング
信号生成回路12を介してメモリ10に指示する検出タ
イミング指示手段21とを備えている。
【0028】これらの構成において、送波タイミング指
示手段20及びタイミング信号生成回路12は送波タイ
ミング変更手段22を構成し、検出タイミング指示手段
21及びタイミング信号生成回路12は検出期間設定手
段23を構成する。
【0029】次に、本実施例の装置の作動を、その各部
の詳細な説明と併せて説明する。
【0030】まず、本実施例のFM−CWレーダ装置の
基本的作動(以下、レーダ処理作動という)を説明す
る。
【0031】本実施例のFM−CWレーダ装置におい
て、発振器1により生成される送波信号は、その周波数
が変調制御回路2により前記図2に実線で示したように
三角波状に変調制御され、そのような変調制御が、信号
処理装置11の指示によりタイミング信号生成回路12
から出力されるタイミング信号に従って、途中に休止期
間TO を存しつつ周期的に繰り返される。そして、この
ように周波数を変調制御された送波信号が、アイソレー
タ4、方向性結合器5及びサーキュレータ6を介してア
ンテナ3に付与され、これにより、アンテナ3から送波
信号と同一周波数を有して三角波状に周波数変調された
電磁波が、車両の前方に存在する対象物Aに向かって周
期的に送波される。
【0032】このような電磁波の送波時において、対象
物Aによる反射波がアンテナ3により受波され、その受
波信号がサーキュレータ6を介してミキサー7に入力さ
れる。この時、ミキサー7には、発振器1から出力され
た送波信号の一部が方向性結合器5を介して分配・入力
されており、ミキサー7はこれらの送波信号及び受波信
号をミキシングする。これにより、前述したように、基
本的には対象物Aの自己車両に対する相対距離Dに対応
する周波数を有するビート信号(図11(b)参照)が
生成される。
【0033】ミキサー7により生成されたビート信号
は、アンプ8により必要な振幅レベル増幅され、さら
に、A/D変換器9により所定のサンプリングタイム毎
にA/D変換された後に、そのデジタル化されたビート
信号の振幅データがメモリ10に時系列的に記憶保持さ
れる。この場合、メモリ10は、信号処理装置11の指
示によりタイミング信号生成回路12から出力されるタ
イミング信号に従ってビート信号の振幅データを時系列
的に記憶保持し、三角波状に周波数変調された電磁波の
送受波が行われる毎に、その送受波時の所定の期間内に
おいてビート信号の振幅データを時系列的に記憶保持す
る。本実施例においては、上記所定の期間として、例え
ば図2に示したように送受波信号の両者の周波数が共に
増加する期間TW (以下、検出期間TW という)が設定
されている。
【0034】尚、検出期間TW は、本実施例のレーダ装
置のレーダ処理作動に先立って前記検出期間設定手段2
3により設定されるのであるが、これについては後述す
る。また、検出期間TW は、送受波信号の両者の周波数
が共に減少する期間で設定してもよい。
【0035】このように、メモリ10に記憶保持された
ビート信号のデータを基に、信号処理装置11の検出用
信号処理部14により、以下に説明するように対象物A
の相対距離Dが検出される。
【0036】すなわち、図3のフローチャートを参照し
て、検出用信号処理部14は、まず、前記検出期間TW
においてメモリ10に記憶保持されたビート信号のデー
タを周波数分析し、そのスペクトル分布を求める(図3
のSTEP1)。この周波数分析は、例えば周波数分析
の演算処理手法であるFFT(高速フーリエ変換手法)
を用いて行われる。かかる周波数分析により、基本的に
は、前述したように、前記図11(c)に示したような
スペクトル分布が得られる。すなわち、対象物Aの相対
距離Dに対応する周波数fP においてピーク(極大値)
をもつような急峻なスペクトル分布が得られる。
【0037】次いで、検出用信号処理部14は、得られ
たスペクトル分布において、スペクトルレベルがピーク
となる周波数(ピーク周波数)fP を検出する(図3の
STEP2)。このようなピーク周波数fP の検出は、
例えばスペクトルレベルが所定の閾値以上で、且つスペ
クトルレベルの周波数に対する変化が増加傾向から減少
傾向に転じる周波数を検出することにより行われる。
【0038】そして、検出用信号処理部14は、検出し
たピーク周波数fP を対象物Aの相対距離Dに対応する
周波数として、そのピーク周波数fP から前記式(1)
に従って対象物Aの相対距離Dを求め、その求めた相対
距離Dを図示しない自動走行制御装置等に出力する(図
3のSTEP3)。
【0039】本実施例のレーダ装置のレーダ処理作動に
おいては、三角波状に周波数変調された電磁波の送受波
が行われる毎に前述の作動が繰り返され、これにより、
対象物Aの相対距離Dが時々刻々検出される。
【0040】尚、検出された相対距離Dを時間的に微分
してなる値が対象物Aの自己車両に対する相対速度であ
るので、対象物Aの相対速度をも検出する場合には、例
えば、相対距離Dの検出の時間間隔をΔt、該時間間隔
Δtにおける相対距離Dの変化量をΔDとすると、次式
(2)により対象物Aの相対速度Vを求めることができ
る。
【0041】V=ΔD/Δt ……(2) 本実施例の装置においては、かかるレーダ処理作動と並
行して、信号処理装置11の評価用信号処理部15によ
り、相対距離Dの検出状態の評価が行われ、次に、その
評価処理作動を説明する。
【0042】図4及び図6を参照して、評価用信号処理
部15は、まず、前述したようにメモリ10に記憶保持
された前記検出期間TW のビート信号のデータを、周波
数分析手段16により、複数(本実施例では7個)の小
期間TS1〜TS7に分割し(図4のSTEP1)、その各
小期間TS1〜TS7におけるビート信号のデータを周波数
分析してスペクトル分布を求める(図4のSTEP
2)。ここで、周波数分析手段16による周波数分析
は、前記検出用信号処理部14と同様に、FFTを用い
て行われる。
【0043】このような周波数分析により、図6の上側
に示すように、送受波信号のリニアリティが良好な場合
には、各小期間TS1〜TS7に対応して、同図下側に示す
ようなスペクトル分布が得られる。この場合には、各小
期間TS1〜TS7におけるスペクトル分布は、いずれも、
対象物Aの相対距離Dに対応する周波数fP においてピ
ークをもつような急峻なスペクトル分布となり、相互に
同一の分布となる。
【0044】また、図7の上側に示すように、送受波信
号のリニアリティの不良が生じている場合には、各小期
間TS1〜TS7に対応して、同図下側に示すようなスペク
トル分布が得られる。この場合には、これらのスペクト
ル分布のうちには、相互に一致しないものが生じる。例
えば、小期間TS1,TS6のスペクトル分布を比較する
と、両者はその形状や広がり具合等が相互に相違し、ま
た、各々のスペクトル分布においてスペクトルレベルが
極大値となるピーク周波数fP も相互に相違する。
【0045】また、図8の上側に示すように、送受波信
号のリニアリティが良好で、他車等のFM−CWレーダ
装置による電磁波の送波信号を受波した場合には、各小
期間TS1〜TS7に対応して、同図下側に示すようなスペ
クトル分布が得られる。この場合には、図7の場合と同
様に、これらのスペクトル分布のうちには、相互に一致
しないものが生じる。
【0046】上記のように各小期間TS1〜TS7における
スペクトル分布が求められると、次に、前記良否判断手
段17により、各スペクトル分布の特性を示すパラメー
タとして、各スペクトル分布におけるスペクトルレベル
が極大値となるピーク周波数と、そのピーク周波数の位
置におけるQ値とが求められる(図4のSTEP3)。
ここで、図10を参照して、各スペクトル分布における
ピーク周波数fP の検出は、前述のレーダ処理作動の場
合と同様に、スペクトルレベルが所定の閾値以上で、且
つスペクトルレベルの周波数に対する変化が増加傾向か
ら減少傾向に転じるような周波数を検出することにより
行われる。また、Q値は、例えばピーク周波数fP と、
該ピーク周波数fP におけるスペクトルレベルSP の1
/2のレベルにおけるスペクトル分布の周波数幅Δfと
を用いて、次式(3)により求められる。
【0047】Q=fP /Δf ……(3) 次いで、良否判断手段17は、各小期間TS1〜TS7にお
けるスペクトル分布について求められたピーク周波数f
P 及びQ値をそれぞれ各スペクトル分布について相互に
比較し、それらが相互に略一致するか否かにより前記レ
ーダ処理作動における検出状態の良否を判断する(図4
のSTEP4)。この場合、各スペクトル分布のピーク
周波数fP 及びQ値がそれぞれ相互に一致するか否か
は、例えば互いに比較する一組のスペクトル分布のピー
ク周波数fP 及びQ値のそれぞれの差が所定の数値範囲
内に収まるか否かにより判断する。
【0048】かかる判断においては、図6に示したよう
なスペクトル分布が得られる場合、すなわち、リニアリ
ティの不良や他のFM−CWレーダ装置の送波信号の干
渉がない場合には、各小期間TS1〜TS7におけるスペク
トル分布のピーク周波数fP及びQ値がそれぞれ相互に
略一致するため、前記レーダ処理作動による検出状態が
良好であると判断される(図4のSTEP4においてY
ES)。
【0049】前記評価用信号処理部15は、基本的に
は、前記メモリ10に新たなビート信号のデータが記憶
保持される毎(三角波状に周波数変調された電磁波の送
受波が行われる毎)に、前述の評価処理作動を繰り返
す。
【0050】一方、例えば送受波信号のリニアリティの
不良が発生し、前記各小期間TS1〜TS7におけるスペク
トル分布が前記図7に示したような分布となると、ピー
ク周波数fP 及びQ値のそれぞれが相互に相違するスペ
クトル分布の組が生じるため(図7のスペクトル分布に
おいては、例えば小期間TS1,TS6のスペクトル分布の
ピーク周波数fP 及びQ値が一致しない)、この場合に
は、前記レーダ処理作動による検出状態が不良であると
判断される(図4のSTEP4においてNO)。
【0051】また、他のFM−CWレーダ装置の送波信
号の干渉が生じ、前記各小期間TS1〜TS7におけるスペ
クトル分布が前記図8に示したような分布となった場合
も、ピーク周波数fP 及びQ値のそれぞれが相互に相違
するスペクトル分布の組が生じるため(図8のスペクト
ル分布においては、例えば小期間TS1,TS3のスペクト
ル分布のピーク周波数fP 及びQ値が一致しない)、前
記レーダ処理作動による検出状態が不良であると判断さ
れる(図4のSTEP4においてNO)。
【0052】そして、このように検出状態が不良である
と判断された場合においては、前記良否判断17は、次
に、前回の評価処理作動において、検出状態の不良が生
じたか否かを判断する(図4のSTEP5)。
【0053】このとき、前回の評価処理作動において、
検出状態が良好であった場合(図4のSTEP5におい
てNO)には、前記評価用信号処理部15の送波タイミ
ング指示手段20が、前記タイミング信号生成回路12
を介して変調制御回路2に送波タイミングの変更を指示
する(図4のSTEP6)。これにより、変調制御回路
2は、次回に、三角波状に周波数変調した電磁波を送波
せしめるに際して、その送波信号の変調開始タイミング
を変更して、該電磁波の送波開始タイミングを変更す
る。このような変更は、例えば送波信号の前記休止期間
O を現在の休止期間に対して所定時間だけ減少または
増加させ、あるいは、該休止期間TO を所定の範囲内に
おいて乱数的に変化させることにより行われる。
【0054】このように電磁波の送波タイミングを変更
すると、一般には、他のFM−CWレーダ装置の送波信
号の干渉による検出状態の不良は解消される場合が多
い。
【0055】一方、前回の評価処理作動においても、検
出状態が不良であった場合(図4のSTEP5において
YES)には、前記良否判断手段17は、前回の評価処
理作動で得られた前記各小期間TS1〜TS7のスペクトル
分布のピーク周波数fP と、今回の評価処理作動により
得られた各小期間TS1〜TS7のスペクトル分布のピーク
周波数fP とが相互に略一致するか否かを判断する(図
4のSTEP7)。
【0056】この場合、前回の評価処理作動と今回の評
価処理作動との間の時間間隔における前記対象物Aの相
対距離Dの変化は充分小さいと考えられ、このような場
合には、検出状態の不良の原因が送受波信号のリニアリ
ティの不良であると、送波タイミングの変更によって
も、一般には前回の評価処理作動で得られた前記各小期
間TS1〜TS7のスペクトル分布のピーク周波数fP と、
今回の評価処理作動により得られた各小期間TS1〜TS7
のスペクトル分布のピーク周波数fP とが相互に略一致
する。これは、前回の評価処理作動と今回の評価処理作
動との間では送受波信号のリニアリティの不良の程度は
ほぼ同一であると考えられるからである。
【0057】これに対して、検出状態の不良の原因が他
のFM−CWレーダ装置の送波信号の干渉である場合に
は、一般には、前回の評価処理作動で得られた前記各小
期間TS1〜TS7のスペクトル分布と、今回の評価処理作
動により得られた各小期間T S1〜TS7のスペクトル分布
とで、ピーク周波数fP が相違する組が生じる。これ
は、他のFM−CWレーダ装置の送波信号の干渉が生じ
る期間は、送波タイミングの変更や、自己のFM−CW
レーダ装置と他のFM−CWレーダ装置とで送波信号の
送波タイミングが相互に相違すること等に起因して、前
回の評価処理作動と今回の評価処理作動とで変化するか
らである。
【0058】そこで、本実施例の装置においては、前回
の評価処理作動で得られた前記各小期間TS1〜TS7のス
ペクトル分布のピーク周波数fP と、今回の評価処理作
動により得られた各小期間TS1〜TS7のスペクトル分布
のピーク周波数fP とが相互に略一致する場合には(図
4のSTEP7においてYES)、前記良否判断手段1
7は、検出状態の不良の原因を送受波信号のリニアリテ
ィの不良であると特定する(図4のSTEP8)。そし
て、この場合には、リニアリティの不良が解消する可能
性は小さいので、前記評価用信号処理部15の電源停止
指示手段18(図1参照)が発振器1の電源回路13に
電源停止を指示し、これにより発振器1を停止させて電
磁波の送波を停止させる。また、これと並行して、前記
評価用信号処理部15の警報指示手段19が図示しない
ブザー等の警報器に警報指示を付与し、これにより、リ
ニアリティの不良が生じてレーダ装置の作動を停止せし
める旨を運転者等に報知する(図4のSTEP9)。
【0059】一方、前回の評価処理作動で得られた前記
各小期間TS1〜TS7のスペクトル分布と、今回の評価処
理作動により得られた各小期間TS1〜TS7のスペクトル
分布とで、ピーク周波数fP が相互に相違するものがあ
る場合には(図4のSTEP7においてNO)、良否判
断手段17は、検出状態の不良の原因を他のFM−CW
レーダ装置の送波信号の干渉であると特定し(図4のS
TEP10)、この場合には、前述したような送波タイ
ミングの変更が行われる(図4のSTEP6)。
【0060】このように、本実施例の装置によれば、レ
ーダ処理作動におけるビート信号の検出期間TW を分割
してなる小期間TS1〜TS7におけるスペクトル分布の特
性を相互に比較することで、レーダ処理作動による対象
物Aの相対距離Dの検出状態の良否を容易に評価するこ
とができる。そして、前回の評価処理作動と今回の評価
処理作動とで連続して検出状態の不良が認められた場合
に、前回の評価処理作動と今回の評価処理作動とでそれ
ぞれ得られた各小期間TS1〜TS7のスペクトル分布のピ
ーク周波数fP を相互に比較することで、不良原因を特
定することができ、それに応じた適切な対応をとること
ができる。
【0061】尚、本実施例においては、レーダ処理作動
が行われる毎に、これと並行して評価処理作動を行うよ
うにしたが、レーダ処理作動が複数回行われる毎に、評
価処理作動を行うようにしてもよい。
【0062】ところで、本実施例の装置においては、例
えば、本実施例の装置の初期設定等の際に、前記レーダ
処理作動を行う際のビート信号の前記検出期間TW の設
定が行われ、この設定は、基本的には送受波信号のリニ
アリティが良好であり、また、他のFM−CWレーダ装
置の送波信号の干渉が生じないような状況下で次のよう
に行われる。すなわち、図5及び図9を参照して、ま
ず、前述のレーダ処理作動及び評価処理作動と同様に、
周波数変調された電磁波の送受波を行うことにより、対
象物の相対距離に対応する周波数を有するビート信号を
生成し、そのビート信号のデータを前記メモリ10に記
憶保持する(図5のSTEP1)。この場合、ビート信
号のデータをメモリ10に記憶保持する検出期間は、あ
らかじめ任意に初期設定しておき、例えば、図9の上側
に示すように、送波信号の周波数が増加する全期間を含
む期間TW0に設定しておく。
【0063】次いで、前述の評価処理作動の場合と同様
に、前記評価用信号処理部15の周波数分析手段16に
より、上記検出期間TW0を複数(例えば12個)の小期
間T S1〜TS12 に分割し(図5のSTEP2)、その各
小期間TS1〜TS12 におけるビート信号のデータを周波
数分析してスペクトル分布を求める(図5のSTEP
3)。
【0064】このとき、図9の上側に示すような受波信
号が得られると、各小期間TS1〜T S12 におけるにスペ
クトル分布は、同図下側に示すような分布となる。すな
わち、送受波信号の周波数が共に増加する小期間TS3
S10 においては、各小期間TS3〜TS10 のスペクトル
分布は、いずれも、対象物の相対距離に対応する周波数
P においてピークをもつような急峻な分布となるが、
それ以外の小期間TS3〜TS10 においては多数の周波数
成分が混在するために広がりをもった分布となる。例え
ば、小期間TS1においては、受波信号が得られないため
に、同図のような広がりをもった分布となり、また、例
えば小期間TS12 においては、受波信号の周波数は増加
しているものの、送波信号の周波数が減少しているた
め、同図のような広がりをもった分布となる。
【0065】次いで、評価用信号処理部15は、前述の
評価処理作動の場合と同様に、前記良否判断手段17に
より、各小期間TS3〜TS10 のスペクトル分布の特性を
示すパラメータとして、各スペクトル分布のピーク周波
数fP とQ値とを求め(図5のSTEP4)、それらの
ピーク周波数fP 及びQ値を相互に比較する(図5のS
TEP5)。
【0066】ここで、前記レーダ処理作動により、対象
物の相対距離を精度よく検出するためには、ビート信号
のスペクトル分布が、対象物の相対距離に対応する周波
数f P においてピークをもつような急峻な分布となる期
間、換言すれば、ビート信号が周波数fP 成分のみを有
するような期間を検出期間TW として設定することが好
ましい。そこで、評価用信号処理部15の前記検出タイ
ミング指示手段12(図1参照)は、上記の比較(図5
のSTEP5)に基づいて、各小期間TS1〜T S12 のう
ち、スペクトルレベルの前記ピーク周波数fP 及びQ値
がそれぞれ相互に略一致する連続した小期間を合成して
なる期間を前記検出期間TW として、これをメモリ10
に対して前記タイミング信号生成回路12を介して設定
する(図5のSTEP6)。具体的には、図9の場合に
おいては、受波信号の送波信号に対する遅れ時間が対象
物の相対距離により変化することを考慮して、例えば検
出期間TW として、連続した小期間TS4〜TS10 を合成
してなる期間を設定する。
【0067】そして、以後の前記レーダ処理作動や評価
処理作動においては、上記のように設定された検出期間
W を用いてビート信号データの処理が行われる。
【0068】このように本実施例の装置においては、ビ
ート信号の小期間TS4〜TS10 におけるスペクトル分布
の特性を相互に比較することで、レーダ処理作動に際し
てビート信号の周波数を検出すべき検出期間TW を適切
に設定することができる。
【0069】尚、本実施例においては、検出期間TW
設定を本実施例の装置の初期設定時に行うようにした
が、送受波信号のリニアリティが良好で、且つ他のFM
−CWレーダ装置の送波信号の干渉が無いような状況下
であれば、レーダ処理作動を繰り返し行う途中で検出期
間TW を設定するようにすることも可能である。
【0070】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によれば、対象物の相対距離を検出するためにビート信
号の周波数の検出を行う所定の期間を複数の小期間に分
割して、各小期間におけるビート信号のスペクトル分布
を求め、それらのスペクトル分布の特性を相互に比較す
ることによって、それらのスペクトル分布の特性が相互
に略一致するか否かにより、送受波信号のリニアリティ
の良否や、他のFM−CWレーダ装置の送波信号の干渉
の有無等、対象物の検出状態の良否を容易に評価するこ
とができる。
【0071】そして、検出状態が不良であると判断され
たとき、周波数を変調した電磁波の送波開始タイミング
を変更することにより、検出状態の不良の原因が他のF
M−CWレーダ装置の送波信号の干渉である場合に、そ
のような干渉による検出状態の不良を解消することがで
きる。
【0072】また、前記各小期間における各スペクトル
分布の比較すべき特性を各スペクトル分布のピーク周波
数及びQ値としたときには、その比較を容易且つ的確に
行うことができる。
【0073】また、検出状態の良否の評価処理を繰り返
す過程で、検出状態が不良であるとの評価が2回連続し
たとき、前回の評価処理で得られた前記各小期間におけ
るスペクトル分布のピーク周波数と、今回の評価処理で
得られた各小期間におけるスペクトル分布のピーク周波
数とを相互に比較することにより、検出状態の不良の原
因が、リニアリティの不良であるか、他のFM−CWレ
ーダ装置の送波信号の干渉であるかを特定することが可
能となり、その原因に応じた適切な対応をとることがで
きる。
【0074】また、前記各小期間におけるスペクトル分
布の特性を相互に比較し、該スペクトル分布の特性が相
互に略一致する連続した複数の小期間を合成してなる期
間を、対象物の相対距離を検出するためにビート信号の
周波数を検出する所定の期間として設定する場合には、
送受波信号のリニアリティが良好で、他のFM−CWレ
ーダ装置の送波信号の干渉がないような状況下におい
て、上記のように設定された期間内でビート信号の周波
数を検出することにより、対象物の相対距離を精度よく
検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検出状態評価装置を含むFM−CWレ
ーダ装置のシステム構成図。
【図2】図1のレーダ装置による電磁波の送受波信号を
示す説明図。
【図3】図1のレーダ装置の作動を説明するためのフロ
ーチャート。
【図4】図1のレーダ装置の作動を説明するためのフロ
ーチャート。
【図5】図1のレーダ装置の作動を説明するためのフロ
ーチャート。
【図6】図1のレーダ装置の作動を説明するための説明
図。
【図7】図1のレーダ装置の作動を説明するための説明
図。
【図8】図1のレーダ装置の作動を説明するための説明
図。
【図9】図1のレーダ装置の作動を説明するための説明
図。
【図10】図1のレーダ装置の作動を説明するための説
明図。
【図11】従来技術を説明するための説明図。
【図12】従来技術を説明するための説明図。
【図13】従来技術を説明するための説明図。
【符号の説明】
16…周波数分析手段、17…良否判断手段、22…送
波タイミング変更手段、23…検出期間設定手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一瀬 勝樹 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周波数を時間的に直線的に変調せしめた電
    磁波を対象物に向かって送波する手段と、該電磁波の反
    射波を受波する手段と、該電磁波の送波信号の一部と該
    反射波の受波信号とを混合することにより前記対象物の
    相対距離に応じた周波数を有するビート信号を生成する
    手段と、該ビート信号の所定の期間における周波数を前
    記対象物の相対距離に対応する周波数として検出し、そ
    の検出された周波数から前記対象物の相対距離を検出す
    る手段とを備えたレーダ装置において、その相対距離の
    検出状態の良否を評価する装置であって、前記ビート信
    号の周波数を検出する前記所定の期間を複数の小期間に
    分割し、各小期間における該ビート信号の周波数のスペ
    クトル分布を求める周波数分析手段と、前記各小期間に
    おける前記ビート信号のスペクトル分布のあらかじめ定
    められた特性を相互に比較し、該特性が互いに略一致す
    るとき前記相対距離の検出状態を良好と判断すると共に
    該特性が互いに略一致しないとき前記相対距離の検出状
    態を不良と判断する良否判断手段とから成ることを特徴
    とするFM−CWレーダ装置における検出状態評価装
    置。
  2. 【請求項2】前記レーダ装置は、前記電磁波の送波を繰
    り返すレーダ装置であって、前記良否判断手段により前
    記相対距離の検出状態が不良であると判断されたとき、
    該電磁波の送波タイミングを変更する送波タイミング変
    更手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のFM−
    CWレーダ装置における検出状態評価装置。
  3. 【請求項3】前記良否判断手段により比較する前記各小
    期間におけるビート信号のスペクトル分布の特性は、各
    スペクトル分布におけるスペクトルレベルが極大値とな
    るピーク周波数と、該ピーク周波数の位置における各ス
    ペクトル分布のQ値であることを特徴とする請求項1記
    載のFM−CWレーダ装置における検出状態評価装置。
  4. 【請求項4】前記周波数分析手段及び良否判断手段は、
    前記の評価処理を周期的に繰り返す手段であって、該良
    否判断手段は、前記各小期間のビート信号のスペクトル
    分布におけるスペクトルレベルが極大値となるピーク周
    波数を検出する手段と、今回の評価処理と前回の評価処
    理とで前記相対距離の検出状態を不良であると判断した
    とき、前回の評価処理と今回の評価処理とで検出された
    前記ピーク周波数を相互に比較する手段と、その比較結
    果により前記相対距離の検出状態を不良であると判断さ
    れた原因を特定する手段とを具備することを特徴とする
    請求項1記載のFM−CWレーダ装置の検出状態評価装
    置。
  5. 【請求項5】前記良否判断手段による前記各小期間のビ
    ート信号のスペクトル分布の比較結果に基づいて、前記
    対象物の相対距離の検出の際に前記ビート信号の周波数
    を検出する前記所定の期間を設定する検出期間設定手段
    を備え、該検出期間設定手段は、前記各小期間のうち、
    ビート信号のスペクトル分布の特性が相互に略一致する
    連続した複数の小期間を合成してなる期間を前記所定の
    期間として設定することを特徴とする請求項1記載のF
    M−CWレーダ装置の検出状態評価装置。
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