JPH07145812A - 動圧気体軸受およびその動圧気体軸受の製造方法 - Google Patents

動圧気体軸受およびその動圧気体軸受の製造方法

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JPH07145812A
JPH07145812A JP5292908A JP29290893A JPH07145812A JP H07145812 A JPH07145812 A JP H07145812A JP 5292908 A JP5292908 A JP 5292908A JP 29290893 A JP29290893 A JP 29290893A JP H07145812 A JPH07145812 A JP H07145812A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、動圧気体軸受に関し、動圧気体膜
特有の圧縮性効果を利用して半径方向の軸受剛性を高め
ることができ、高速安定でしかも不釣り合い振動の小さ
い高速・高精度な動圧気体軸受を提供することを目的と
してる。 【構成】 固定軸3の輪郭線に、周方向に複数周期の規
則的な凹部A1〜A3および凸部B1〜B3を形成し、凹部
1〜A3および凸部B1〜B3の始点から終点までの一周
期を調和波形から構成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、円筒部材が高速回転す
ることにより軸部材と円筒部材との間に動圧空気圧力を
発生させ、該動圧空気圧力により前記円筒部材を前記軸
部材から浮上支持させる動圧気体軸受およびその動圧気
体軸受の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】小型ロータは一般に転がり軸受で支えら
れているが、10000rpm以上の回転速度になると振動、騒
音および軸受部の潤滑油の寿命が問題になる。このため
10000rpm以上の高速、高精度軸受としては気体軸受が使
用されることが多い。従来のロータの回転によって自ら
の自重を支持する圧力を発生する動圧気体軸受として
は、真円軸受、ティルティングパッド軸受が使用されて
いる。
【0003】このうち真円軸受は加工が容易であり、垂
直ロータを支持する場合には自重により偏心力が作用し
ているため軸受隙間が狭ければ15000rpm程度まで安定に
支持できるので、過去に放送用VTRのロータ支持に用
いられたことがあるが、垂直ロータを支持する場合、低
速から不安定ワールが発生するため使用できなかった。
【0004】また、ティルティングパッド軸受は軸受面
を3または4個の部分円弧のパッドに分割し、そのパッ
ドを柔らかく支えることによってロータの高速安定性を
増したもので、液体ヘリウム用ターボ膨張機の軸受など
に用いられている。しかしティルティングパッド軸受は
軸受精度が低く加工も複雑になるという欠点があるた
め、垂直ロータとして使用される場合の気体軸受には向
いていない。
【0005】ところで、上述したような軸受の不具合を
解消する軸受としては、溝付き軸受がある。この軸受
は、軸受面に回転によって外部から気体をかき込むため
の螺旋状溝が形成されたものであり、この螺旋状溝によ
って軸受に偏心が無くても半径方向の軸受反力を生じさ
せ、同心位置で半径方向の軸受強さをもたせたもので、
これにより垂直ロータであっても数万回転(rpm)の高速
まで安定に支持することができるのできる。なお、この
溝形成にあたっては、エッチングや転造、レーザ加工等
の方法が用いられている。
【0006】また、気体軸受として用いられたことはな
いが、比較的高速まで安定な液体潤滑用軸受としてター
ボ機械では多円弧軸受も利用されている。多円弧軸受は
真円軸受を2または3個に分割し、各円弧を最初の真円
状態より接近させて固定したものである。これにより軸
と軸受は各円弧部分で等価的に大きな偏心を与えられた
状態になるのでワール安定性を高めることができる。し
かし軸受を分割するので、μm以下の高精度加工は容易
ではなく、また気体圧力発生領域も少なくなるので数μ
mの微小軸受隙間が必要な気体軸受には利用されたこと
がなかった。
【0007】このような理由から、垂直ロータとして使
用されることが多いレーザースキャナロータ用気体軸受
には、動圧気体軸受として溝付き軸受が多用されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の溝付き軸受にあっては、エッチングや転造、
レーザ加工等によって溝が形成されるので、軸受の加工
に必要な工数が増大してしまい、製造コストが増大して
しまうという問題があった。また、溝付き軸受は回転時
の安定性が良好な反面、真円軸受に比べてロータの不釣
り合い振動に対して動剛性が低くなってしまうという問
題があった。
【0009】そこで請求項1、2記載の発明は、動圧気
体膜特有の圧縮効果性を利用して半径方向の軸受剛性を
高めることができ、高速安定でしかも不釣り合い振動の
小さい高速・高精度な動圧気体軸受を提供することを目
的としてる。請求項3記載の発明は、ロータの安定性を
最も良好に保持することができるとともに、不釣り合い
振動に対する剛性を最も向上させることができる動圧気
体軸受を提供することを目的としてる。
【0010】請求項4〜6記載の発明は、簡単な構成で
軸部材および円筒部材のうちの何れか一方に規則的な凹
凸を形成するようにして、短時間で大量に、かつ低コス
トで生産することができる動圧気体軸受の製造方法を提
供することを目的としてる。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するために、ハウジングと、該ハウジン
グに支持された軸部材と、該軸部材と同軸にあって該軸
部材の周囲に配置された円筒部材と、を備え、該円筒部
材が高速回転することにより前記軸部材と前記円筒部材
との間に動圧空気圧力が発生し、該動圧空気圧力により
前記円筒部材が前記軸部材から浮上支持される動圧気体
軸受において、前記軸部材の放射方向断面における輪郭
線および前記円筒部材の放射方向断面における内側の輪
郭線のうちの何れか一方の輪郭線に、周方向に複数周期
の規則的な凹凸が形成され、前記凹凸の始点から終点ま
での一周期が調和波形からなることを特徴としている。
【0012】請求項2記載の発明は、上記課題を解決す
るために、ハウジングと、該ハウジングに支持された軸
部材と、該軸部材と同軸にあって該軸部材の周囲に配置
された円筒部材と、を備え、該円筒部材が高速回転する
ことにより前記軸部材と前記円筒部材との間に動圧空気
圧力が発生し、該動圧空気圧力により前記円筒部材が前
記軸部材から浮上支持される動圧気体軸受において、前
記軸部材の放射方向断面における輪郭線および前記円筒
部材の放射方向断面における内側の輪郭線のうちの何れ
か一方の輪郭線に、周方向に複数周期の規則的な凹凸が
形成され、前記凹凸の始点から終点までの一周期が調和
波形および振幅の小さい高周波成分を含んだ波形からな
ることを特徴としている。
【0013】請求項3記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1または2記載の発明において、前記
凹凸の周期の数が3であることを特徴としている。請求
項4記載の発明は、上記課題を解決するために、請求項
1〜3何れかに記載の動圧気体軸受の製造方法であっ
て、前記軸部材および前記円筒部材のうちの何れか一方
に規則的な凹凸を形成するに際し、凸曲面を有する複数
の押圧部材を、軸部材および円筒部材の何れか一方の表
面上に等間隔に配設し、軸部材および円筒部材の何れか
一方の表面を押圧部材によって複数方向から押圧するこ
とにより凹凸を形成することを特徴としている。
【0014】請求項5記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜3何れかに記載の動圧気体軸受の
製造方法であって、前記軸部材および前記円筒部材のう
ちの何れか一方に規則的な凹凸を形成するに際し、前記
規則的な凹凸の形状に形成された型に、軸部材および円
筒部材の何れか一方を挿入して軸部材あるいは円筒部材
を一方側から押圧する押出し成形により凹凸を成形する
ことを特徴としている。
【0015】請求項6記載の発明は、上記課題を解決す
るために、請求項1〜3何れかに記載の動圧気体軸受の
製造方法であって、前記軸部材および前記円筒部材のう
ちの何れか一方に規則的な凹凸を形成する際し、前記規
則的な凹凸を有する金型に樹脂を射出し、該樹脂に金型
の内周面を転写することにより射出成形によって軸部材
および円筒部材のうちの何れか一方を形成するとともに
該一方に凹凸を形成することを特徴としている。
【0016】
【作用】請求項1記載の発明では、軸部材の放射方向断
面における輪郭線および円筒部材の放射方向断面におけ
る内側の輪郭線のうちの何れか一方の輪郭線に、周方向
に複数周期の規則的な凹凸が形成され、前記凹凸の始点
から終点までの一周期が調和波形からなっている。
【0017】したがって、動圧気体膜特有の圧縮性効果
が利用されて半径方向の軸受剛性が高められる。この結
果、高速安定でしかも不釣り合い振動の小さい高速・高
精度な動圧気体軸受が得られる。請求項2記載の発明で
は、軸部材の放射方向断面における輪郭線および円筒部
材の放射方向断面における内側の輪郭線のうちの何れか
一方の輪郭線に、周方向に複数周期の規則的な凹凸が形
成され、前記凹凸の始点から終点までの一周期が調和波
形および振幅の小さい高周波成分を含んだ波形からなっ
ている。
【0018】したがって、動圧気体膜特有の圧縮性効果
が利用されて半径方向の軸受剛性が高められる。この結
果、高速安定でしかも不釣り合い振動の小さい高速・高
精度な動圧気体軸受が得られる。請求項3記載の発明で
は、凹凸の周期の数が3であるので、ロータの安定性が
最も良好に保持されるとともに、不釣り合い振動に対す
る剛性が最も向上される。
【0019】請求項4記載の発明では、軸部材および円
筒部材のうちの何れか一方に規則的な凹凸を形成するに
際し、凸曲面を有する複数の押圧部材を、軸部材および
円筒部材の何れか一方の表面上に等間隔に配設し、軸部
材および円筒部材の何れか一方の表面を押圧部材によっ
て複数方向から押圧することにより凹凸を形成するよう
にしている。
【0020】したがって、簡単な構成で軸部材および円
筒部材のうちの何れか一方に規則的な凹凸が形成され、
軸部材および円筒部材のうちの何れか一方が短時間で大
量に生産され、動圧気体軸受の製造コストが低減され
る。請求項5記載の発明では、軸部材および円筒部材の
うちの何れか一方に規則的な凹凸を形成するに際し、規
則的な凹凸の形状に形成された型に、軸部材および円筒
部材の何れか一方を挿入して軸部材あるいは円筒部材を
一方側から押圧する押出し成形により凹凸が成形され
る。
【0021】したがって、簡単な構成で軸部材および円
筒部材のうちの何れか一方に規則的な凹凸が形成され、
軸部材および円筒部材のうちの何れか一方が短時間で大
量に生産され、動圧気体軸受の製造コストが低減され
る。請求項6記載の発明では、軸部材および円筒部材の
うちの何れか一方に規則的な凹凸を形成する際し、規則
的な凹凸を有する金型に樹脂を射出し、該樹脂に金型の
内周面を転写することにより射出成形によって軸部材お
よび円筒部材のうちの何れか一方が成形されるとともに
該一方に凹凸が形成される。
【0022】したがって、簡単な構成で軸部材および円
筒部材のうちの何れか一方に規則的な凹凸が形成され、
軸部材および円筒部材のうちの何れか一方が短時間で大
量に生産され、動圧気体軸受の製造コストが低減され
る。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
図1〜7は請求項1、3、4、5、6何れかに記載の発
明に係る動圧気体軸受およびその動圧気体軸受の製造方
法の一実施例を示す図である。まず、構成を説明する。
図1において、1はモータハウジング(ハウジング)であ
り、このハウジング1の底部を構成する固定軸台座2の
中央部には固定軸3(軸部材)が垂直に嵌入・固定されて
いる。
【0024】この固定軸3の外周には後述するラジアル
軸受面3a、3b(動圧空気軸受)が設けられており、ラ
ジアル軸受面3a、3bは固定軸3の中心部を挟んで上
下に形成されている。また、ラジアル軸受面3a、3b
は円筒状の回転軸4(円筒部材)の内周面に対向してお
り、ラジアル軸受面3a、3bの内周面とが所定間隔を
隔てることにより、固定軸3に対して回転軸4が回転可
能になっている。
【0025】回転軸4の上部には、ミラー受けフランジ
5が形成されるとともに、ミラー押え6およびポリゴン
ミラー7が取付けられている。ポリゴンミラー7は回転
軸4のミラー受けフランジ5に当接しており、ボルト8
によってがミラー押え6を介してこのポリゴンミラー7
がフランジ5に押し付けられている。また、ミラー押え
5はその中心部にアキシャル磁気軸受9を構成するマグ
ネット10を保持している。
【0026】アキシャル軸受9は、固定軸3の軸線上で
互いに反発し合う3つマグネット10、11、12からなり、
マグネット12がマグネット10の上方で上ケース13に装着
され、マグネット11が固定軸3の上端に固定されること
によって、回転軸4、ミラー押え6、ポリゴンミラー7
およびマグネット10からなる回転体14(ロータ)が固定軸
3から上方に浮上するように付勢され、非接触で支持さ
れている。なお、上ケース13の周囲壁部には偏向用窓15
が設けられており、この偏向用窓15はレーザ光をポリゴ
ンミラー7に対して出入射させるものである。
【0027】また、回転軸4の外周部にはロータマグネ
ット16が取付けられており、モータハウジング1の内周
部にはマグネット16に対向して駆動コイル17が固定され
ている。このため、駆動コイル17に3相の交流電圧が印
加されると、回転軸4の回りに回転磁界が形成され、こ
れにマグネット16が反発、吸収されて回転体14がマグネ
ット16とともに回転し、ポリゴンミラー7が回転駆動さ
れる。
【0028】一方、図2に示すように、回転軸3の放射
方向断面における輪郭線(ラジアル軸受面3a、3b)に
は、周方向に3周期の規則的な凹部A1〜A3および凸部
1〜B3が形成され、該凹部A1〜A3および凸部B1
3の始点から終点までの一周期が調和波形からなって
いる。次に、作用を説明する。
【0029】駆動コイル17に3相の交流電圧が印加され
ると、回転軸4の回りに回転磁界が形成され、これにマ
グネット16が反発あるいは吸引されて回転体14がマグネ
ット16と共に回転し、ポリゴンミラー7が回転駆動され
る。本実施例では、回転体14の回転時に固定軸3および
回転軸4の間のラジアル軸受面3a、3bの圧縮効果性
が利用されて半径方向の軸受剛性が得られる。
【0030】この点について説明する。図2に示すよう
に軸受隙間(固定軸3のラジアル軸受面3a、3bと回
転軸4の間の隙間)hは偏心がない状態で次式のように
近時的に表される。 h=c+e・COS(nθ)…… 但し、cは軸受半径隙間(5μm前後の値)、eは凹凸の
周期の振幅、θは軸受の角度位置、nは凹凸の周期の個
数でn≧2以上に設定されている(本実施例では、nは
3である)。
【0031】本実施例では実験の結果nを3にした場合
が回転体14の安定性が最も良好で、不釣り合い振動に対
する剛性の観点からも優れていることが判明したので、
nを3に設定した。但し、本実施例では、nを3にして
いるが、近時的に式に(n≧2)で示す調和的な隙間形
状変化を与えることにより、動圧気体軸受の安定性を高
めることができる。
【0032】以下、上述した効果を裏付ける実験結果を
図3〜5に基づいて説明する。図3は、垂直の回転体14
で、(軸受幅/軸受径)を0.7、nを3、軸受隙間cを5
μmに設定した場合に、e=0.5および1μmにのときの
回転体14の安定限界となる無次元質量および無次元慣性
モーメントを軸受数Λの関数として示したものであり、
無次元質量および無次元慣性モーメントの実際の設計例
の値を横線で示している。
【0033】この図3から明らかなように、eを1μm
とすれば、軸受数Λが10程度まで安定となり、40000rpm
程度まで安定に回転させることができることが分る。こ
の結果、回転体14をさらに小型軽量化すれば、さらに回
転体14を高速で回転させることが可能となる。図4は凹
凸(すなわち、うねり)の周期nを変化させて、Λ=5
(約21500rpm)、e=1.0μmのときの安定限界となる回転
体14の質量および慣性モーメントを示したものである。
【0034】図4から明らかなように、n=3のときが
最も安定性が良好で、続いてn=3、4、5の順に安定
性が悪くなり、その次はn=2または6となることが分
る。図5は回転速度30000rpmにおける57.5mm・mgの不釣
り合いに対する振動振幅の凹凸の個数nを横軸に、凹凸
の振幅eをパラメータにとって示したものである。図5
からも明らかなように、n=3のときが最も振動振幅が
小さく、動剛性が大きいことが分る。
【0035】以上の解析結果から安定性と不釣り合い振
動の観点からn=3が最も優れることが分る。また、n
が大きくなるに従って特性が悪化するが、n=2、また
は6でも真円動圧気体軸受に比べて安定性は著しく向上
するので問題はない。次に、軸受隙間が正弦的に変化す
ると、動圧気体軸受としての安定が高まり、しかも不釣
り合い振動に対する動剛性が向上するのかを図6に基づ
いて説明する。
【0036】図6は、固定軸3のラジアル軸受面3a、
3bと回転軸4の内周面4aが同心状態で矢印R方向に
回転した場合に、軸受数が大きい場合の圧力分布Pを模
擬的に示したものである。固定軸3の外周面と回転軸4
の内周面4aが同心であっても、凹凸の周期の長さでe
の偏心量を有する局部的な動圧気体軸受がn個形成され
るようになる。気体軸受の場合、圧縮性の非線形効果に
よって軸受数Λが高くなるに従い、狭まり隙間領域でな
く最小軸受隙間位置の圧力が高まり、最大隙間領域の負
圧は小さくなる。このため、軸受の偏心がなくても中心
に向かう軸受反力が発生し、偏心が生じると偏心方向と
逆の方向にさらに大きな気体膜圧力が生じる。
【0037】また、真円軸受の不安定性の原因である接
線方向の気体膜圧力もあまり生じないため、動圧軸受の
安定性を高め、不釣り合い振動に対する応答振幅を低減
することができる。これに対して、油等の液体軸受では
圧縮性がないので、凹凸の狭まり隙間部で正圧が、ま
た、広がり隙間部で負圧が生じ両者が平均的にキャンセ
ルされるようになるので、半径方向の軸受剛性効果は少
ない。このため、液体軸受で軸受面を滑らかでない面に
分割し、実効的に大きな偏心を生じさせるような多円弧
軸受を用いている。
【0038】一方、多円弧軸受は円弧部での実効的な偏
心率を比較的大きくするので、最小隙間と最大隙間の差
が大きく、軸受隙間を小さくしなければならない気体軸
受では、有効に気体膜圧力を発生させることができな
い。また、軸受を分割して組合せるので、高精度加工が
容易でなく、小型で高精度が必要な動圧気体軸受には適
さない。
【0039】次に、上述した固定軸3の凹部A1〜A3
よび凸部B1〜B3の製造方法を図7に基づいて説明す
る。図7において、21は凹凸が形成される前の固定軸3
の状態を示す母材であり、22は凸曲面を有する複数の押
圧部材である。この押圧部材22を母材21の外方の円周方
向に等間隔で配設し(同図(a)参照)、この押圧部材22に
よって母材21を外方から押圧することにより(同図(b参
照)、母材21を塑性変形させて該母材21の外周面に凹部
1〜A3および凸部B1〜B3を形成する。
【0040】押圧時には、押圧する量に比例して凹凸
(うねり)の振幅eは増加する。実際、押圧部材22の押圧
量や材質、先端の曲面性は、設計上の事項であり、適宜
行なわれる。このように本実施例では、固定軸3の輪郭
線に、周方向に複数周期の規則的な凹部A1〜A3および
凸部B1〜B3を形成し、凹部A1〜A3および凸部B1
3の始点から終点までの一周期を調和波形から構成し
ているので、動圧気体膜特有の圧縮性効果を利用して半
径方向の軸受剛性を高めることができる。この結果、高
速安定でしかも不釣り合い振動の小さい高速・高精度な
動圧気体軸受を得ることができる。
【0041】また、凹凸の周期の数を3にしているの
で、ロータの安定性を最も良好に保持することができる
とともに、不釣り合い振動に対する剛性を最も向上させ
ることができる。また、固定軸3に規則的な凹凸を形成
するに際し、凸曲面を有する複数の押圧部材22を、母材
21の表面上に等間隔に配設し、母材21の表面を押圧部材
22によって複数方向から押圧することにより凹凸を形成
するようにしているため、簡単な構成で固定軸3に規則
的な凹凸を形成することができ、固定軸3を短時間で大
量に生産することができる。この結果、動圧気体軸受の
製造コストを低減することができる。
【0042】なお、本実施例では、固定軸3の外周面に
凹凸を径径しているが、これに限らず、回転軸4の放射
方向断面における内側の輪郭線に凹凸を成形しても良
い。この場合には、押圧部材を回転軸4の内周面に挿通
し、押圧部材を回転軸4の内周面から外方を向かって移
動させることにより、回転軸4の内周面を押圧すれば良
い。
【0043】このように回転軸3あるいは固定軸4の何
れか一方に凹凸を形成する場合には、その決定方法とし
ては、加工のし易さを基準に決定すれば良い。また、凹
凸の振幅eは、大きい方が良いが軸受隙間cの1/2以上
になると、最小軸受隙間が小さくなり、塵垢等に対する
摩耗の信頼性が低下するので充分な安定性を確保できる
範囲内で最小限度の凹凸の振幅が望ましい。
【0044】また、本実施例では、押圧部材21によって
凹凸を形成しているが、これに限らず、規則的な凹凸の
形状に形成された型に、固定軸3あるいは回転軸4の何
れか一方を挿入して固定軸3あるいは回転軸4を一方側
から押圧する押出し成形により凹凸を成形しても良い。
また、その他に、規則的な凹凸を有する金型に樹脂を射
出し、該樹脂に金型の内周面を転写することにより射出
成形によって固定軸3および回転軸4のうちの何れか一
方を成形するとともに該一方に凹凸を形成しても良い。
何れの場合であっても、固定軸3あるいは回転軸4の何
れか一方を短時間で大量に生産することができ、動圧気
体軸受の製造コストを低減することができる。
【0045】図8は請求項2記載の動圧気体軸受の一実
施例を示す図であり、本実施例では、固定軸の放射方向
断面における輪郭線に、周方向に複数周期の規則的な凹
凸が形成され、前記凹凸の始点から終点までの一周期が
調和波形および振幅の小さい高周波成分を含んだ波形か
らなることを特徴とするものであり、固定軸の構造が上
記実施例と異なるのみでその他の構成は同様であるた
め、異なる部分のみ説明をする。
【0046】図2および図6においては、式でn=3
の場合を示し、また、図3〜5においては、式でnが
2以上の値をとる場合の安定性および不釣り合い振動特
性を示したが、実際に固定軸の外面あるいは回転軸の内
面に凹凸を加工する場合には、必ずしも理想的な式で
示される形状にはならない。本実施例では、図8に示す
ように固定軸31の外周面のラジアル軸受面をおむすび型
に形成したものである。すなわち、固定軸31の放射方向
断面における輪郭線に、周方向に複数周期の規則的な凹
凸を形成し、前記凹凸の始点から終点までの一周期を調
和波形および振幅の小さい高周波成分を含んだ波形から
構成している。
【0047】このようにする理由は、軸受隙間hが次式
で表されるからである。 h=c+e1・COS(n1θ)+e2・COS(n2θ)+e3・COS(n3θ)+…… すなわち、凹凸波形の成分は1つの調和波形では表せな
いので、複数の高周波成分を有する。しかし、一般に
は、基本波n1以外の高周波成分n2、n3……の振幅
2、e3……はe1に比べて小さい。したがって、本実
施例にあっても、安定性不釣り合い振動に対する特性は
既に述べた式で表される軸受の特性とほとんど変わら
ず、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0048】なお、本実施例にあっても、このような波
形を固定軸31でなく、回転軸に形成しても良い。また、
固定軸31は上述したような製造方法で形成されているた
めその説明を省略する。
【0049】
【発明の効果】請求項1、2記載の発明によれば、動圧
気体膜特有の圧縮性効果を利用して半径方向の軸受剛性
を高めることができ、高速安定でしかも不釣り合い振動
の小さい高速・高精度な動圧気体軸受を得ることができ
る。請求項3記載の発明によれば、ロータの安定性を最
も良好に保持することができるとともに、不釣り合い振
動に対する剛性を最も向上させることができる。
【0050】請求項4〜6記載の発明によれば、簡単な
構成で軸部材および円筒部材のうちの何れか一方に規則
的な凹凸を形成するようにして、短時間で大量に、かつ
低コストで動圧気体軸受を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1、3、4、5、6何れかに記載の発明
に係る動圧気体軸受の製造方法によってを製造された固
定軸を有する動圧気体軸受の断面図である。
【図2】図1の回転軸を一点鎖線で切断したときのA方
向矢視断面図である。
【図3】軸受数Λと安定限界質量、安定限界慣性モーメ
ントとの関係を示す図である。
【図4】うねり(凹凸)の周期数nと安定限界質量、安定
限界慣性モーメントとの関係を示す図である。
【図5】うねりの周期の数nとロータの振動振幅の関係
を示す図である。
【図6】一実施例の回転軸が矢印R方向に回転するとき
の圧力分布を表す図である。
【図7】一実施例の発明に係る動圧気体軸受の製造方法
を示す図である。
【図8】請求項2記載の発明に係る動圧気体軸受の一実
施例を示す図であり、その要部断面図である。
【符号の説明】
1 モータハウジング(ハウジング) 3、31 固定軸(軸部材) 4 回転軸(円筒部材) 22 押圧部材 A1〜A3 凹部 B1〜B3 凸部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハウジングと、 該ハウジングに支持された軸部材と、 該軸部材と同軸にあって該軸部材の周囲に配置された円
    筒部材と、を備え、 該円筒部材が高速回転することにより前記軸部材と前記
    円筒部材との間に動圧空気圧力が発生し、該動圧空気圧
    力により前記円筒部材が前記軸部材から浮上支持される
    動圧気体軸受において、 前記軸部材の放射方向断面における輪郭線および前記円
    筒部材の放射方向断面における内側の輪郭線のうちの何
    れか一方の輪郭線に、周方向に複数周期の規則的な凹凸
    が形成され、前記凹凸の始点から終点までの一周期が調
    和波形からなることを特徴とする動圧気体軸受。
  2. 【請求項2】ハウジングと、 該ハウジングに支持された軸部材と、 該軸部材と同軸にあって該軸部材の周囲に配置された円
    筒部材と、を備え、 該円筒部材が高速回転することにより前記軸部材と前記
    円筒部材との間に動圧空気圧力が発生し、該動圧空気圧
    力により前記円筒部材が前記軸部材から浮上支持される
    動圧気体軸受において、 前記軸部材の放射方向断面における輪郭線および前記円
    筒部材の放射方向断面における内側の輪郭線のうちの何
    れか一方の輪郭線に、周方向に複数周期の規則的な凹凸
    が形成され、前記凹凸の始点から終点までの一周期が調
    和波形および振幅の小さい高周波成分を含んだ波形から
    なることを特徴とする動圧気体軸受。
  3. 【請求項3】前記凹凸の周期の数が3であることを特徴
    とする請求項1または2記載の動圧気体軸受。
  4. 【請求項4】請求項1〜3何れかに記載の動圧気体軸受
    の製造方法であって、前記軸部材および前記円筒部材の
    うちの何れか一方に規則的な凹凸を形成するに際し、凸
    曲面を有する複数の押圧部材を、軸部材および円筒部材
    の何れか一方の表面上に等間隔に配設し、軸部材および
    円筒部材の何れか一方の表面を押圧部材によって複数方
    向から押圧することにより凹凸を形成することを特徴と
    する動圧気体軸受の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜3何れかに記載の動圧気体軸受
    の製造方法であって、前記軸部材および前記円筒部材の
    うちの何れか一方に規則的な凹凸を形成するに際し、前
    記規則的な凹凸の形状に形成された型に、軸部材および
    円筒部材の何れか一方を挿入して軸部材あるいは円筒部
    材を一方側から押圧する押出し成形により凹凸を成形す
    ることを特徴とする動圧気体軸受の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜3何れかに記載の動圧気体軸受
    の製造方法であって、前記軸部材および前記円筒部材の
    うちの何れか一方に規則的な凹凸を形成する際し、前記
    規則的な凹凸を有する金型に樹脂を射出し、該樹脂に金
    型の内周面を転写することにより射出成形によって軸部
    材および円筒部材のうちの何れか一方を形成するととも
    に該一方に凹凸を形成することを特徴とする動圧気体軸
    受の製造方法。
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