JPH07145123A - アクリルアミドの製造方法 - Google Patents

アクリルアミドの製造方法

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JPH07145123A
JPH07145123A JP6165469A JP16546994A JPH07145123A JP H07145123 A JPH07145123 A JP H07145123A JP 6165469 A JP6165469 A JP 6165469A JP 16546994 A JP16546994 A JP 16546994A JP H07145123 A JPH07145123 A JP H07145123A
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阿部  剛也
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明により、アクリロニトリルを強酸性カ
チオン交換樹脂と接触させ、次いで1級および/または
2級アミノ基を有する樹脂または活性炭と接触させる少
くとも2つの精製工程、若しくはそれ以上の精製工程を
経た後、銅系触媒の存在下で水和反応させるアクリルア
ミドの製造方法が提供される。 【効果】 本発明の方法によれば、通常品質のアクリロ
ニトリルを用いても高品質のアクリルアミドが得られ、
更に分子量が十分に高く、水溶性も良好な凝集剤用ポリ
アクリルアミドの製造原料として特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アクリロニトリルを、
銅系触媒の存在下、水と接触水和してアクリルアミドを
製造する方法に関する。さらに詳しくは、分子量が十分
高く、水溶性も良好なポリマー製造を可能とする、高品
質なアクリルアミドを製造する為の、原料アクリロニト
リルの精製法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリルアミドは従来から、アクリルア
ミド系ポリマーとして、製紙薬剤、凝集剤、石油回収
剤、等に用いられ、また、種々のポリマーの原料コモノ
マーとして広い用途を有している。これらの用途に供さ
れるアクリルアミドの製法としては、古くはいわゆる硫
酸法により製造されていたが、近年に至り、銅系触媒の
存在下に反応させる接触法が開発され、現在では硫酸法
に代わって工業的に実施されている。
【0003】アクリルアミドの上記の用途のうち、特に
凝集剤は、近年排水処理用などに用途が拡大され、これ
に伴って品質性能の向上に著しい努力が払われている。
中でも、凝集剤として用いられるアクリルアミド系ポリ
マーについては、その性能に直接影響するといわれる高
分子量化の傾向が著しく、最近は1000万以上特に1
500万程度の高分子量のものが求められている。これ
は他の用途に求められているアクリルアミド系ポリマー
あるいは他のポリマーに求められている分子量が、通常
100万以下であることに比較して遥かに高い。加うる
に得られたアクリルアミド系ポリマーは凝集剤として、
通常、水に溶解して用いられる為に、速やかにかつ不溶
解分を残さず溶解することが必要とされる。また、アク
リルアミドモノマーの有毒性のために、ポリマー中未反
応モノマーが、例えば0.2重量%以下の微量であるこ
とも必要とされる。
【0004】これらの要求は、高分子量化とは両立し難
い性質であり、その達成に著しい努力が払われている所
以である。また、このような高分子量アクリルアミド系
ポリマーは、アクリルアミドの一用途に過ぎないとはい
うものの、かかる用途に適したものでなければ広く一般
の用にも供し得ないものであり、本発明の方法もかかる
用途に供し得るアクリルアミドの製造に関するものであ
る。
【0005】なお、本発明にいう分子量とは、後述する
実施例1に示す試験方法によるものであり、また、水溶
性が問題とされるのは、通常水性媒体中で得られたポリ
マーを乾燥して、水分を20重量%以下、特に10重量
%程度の乾燥粉体とした場合であり、本発明にいう水溶
性も主としてこの意味で用いられる。
【0006】このような、高分子量かつ十分な水溶性を
もつアクリルアミド系ポリマーを製造するためには、ポ
リマーの製造方法のみならず、アクリルアミドの品質に
よるところが大きいとされ、さらには原料のアクリロニ
トリルの品質の与える影響が大きいとされている。
【0007】アクリロニトリルは、通常プロピレンのア
ンモオキシデーションにより合成される。アクリロニト
リルの用途はアクリル繊維や、ABS樹脂がその大半を
占める。接触水和法アクリルアミド原料用のアクリロニ
トリルは、これらの主要な用途より不純物の少ない高品
質なものが要求され、それを満たすため通常は蒸留精製
工程の運転条件を強化するなどの対策をとることが一般
的である。
【0008】また、接触水和法に適したアクリロニトリ
ルにするために、いくつかの方法が提案されている。
【0009】例えば、特開昭63−118305号公報
では、原料であるアクリロニトリル中のオキサゾール
を、H型のカチオン交換樹脂と接触させることにより、
200ppm以下、より好ましくは25ppm以下とす
ることにより、このアクリロニトリルを用いて銅系触媒
の存在下、水和反応により合成されたアクリルアミド
は、オキサゾールを含むアクリロニトリルから同様にし
て合成したアクリルアミドに比べ、安定性が高く、ま
た、ポリマーとしたときの水溶液の粘度が高いこと、ま
た、カチオン交換樹脂の再生法として、熱水、水蒸気、
メタノール、わずかに酸性の水溶液または、これらの混
合物と接触させることが、記されている。
【0010】また、特公昭57−26264号公報で
は、無機酸または酸性カチオン交換樹脂により精製した
アクリロニトリルを銅系触媒存在下で、水和反応させる
と、精製しないものに比べ、触媒活性の劣化が防止でき
ると記されている。
【0011】また、特公昭57−26586号公報で
は、アセチルアセトン等とアクリロニトリル中のアクロ
レインとを反応させ、蒸留等により、その反応生成物と
アクリロニトリルを分離し、アクロレイン濃度を1.5
ppm以下、より好ましくは0.8ppm以下とする
と、このアクリロニトリルを銅系触媒の存在下で水和反
応して得られるアクリルアミドは、ポリマーとした場
合、水溶性の良いものが得られると記されている。
【0012】また、特公昭58−1108号公報では、
1級および/または2級アミノ基を交換基として有する
ポーラス形イオン交換樹脂と接触させることによりアク
リロニトリル中のアクロレインを0.8ppm以下と
し、これを銅系触媒の存在下で水和反応して得られるア
クリルアミドは、ポリマーとした場合、良好な水溶性と
十分に高い分子量を持つと記されている。
【0013】また、同様に特開昭58−134063号
公報では、1級および/または2級アミノ官能基を有す
るゲル型の弱塩基性イオン交換樹脂と接触させることに
よりアクリロニトリル中のアルデヒド類、実質的にアク
ロレインを低減させると、これより得られるアクリルア
ミドは、これを重合したポリマーの水溶性が改善され、
また、アクリルアミドそのものを同様の処理を行うこと
により、これを重合して得られるポリマーの水溶性を改
善し、十分に高い分子量を得ることが出来ると記されて
いる。
【0014】また、特公昭61−9303号公報では、
アクリロニトリルを水抽出および/または水抽出蒸留に
よりアセトニトリルの含有量を20ppm以下、より好
ましくは、10ppm以下とした後、これを銅系触媒の
存在下、100〜140℃の温度で水和反応して得られ
るアクリルアミドは、ポリマーとした場合の水溶性が改
善される事が記されている。
【0015】また、1948年成立の米国特許第244
4589号では、無機シアン化物と有機物から合成した
アクリロニトリルは、微量のイオン性不純物、および微
量の中性の不純物を含有し、この不純物がアクリロニト
リルを原料とする合成反応生成物の単離を妨害するう
え、収率を低下させることを指摘している。このアクリ
ロニトリルをカチオン交換体(例えば、フェノールとホ
ルムアルデヒドの縮合物、あるいは、スルホン化石炭
等)およびアニオン交換樹脂(例えば、グアニジン、尿
素、ホルムアルデヒドの縮合物等)で処理し、イオン性
物質を除去した後、脱色剤(たとえば、活性炭)による
処理を行うと、イオン交換物質、脱色剤のそれぞれ単独
では出来なかった脱色が可能になるとし、さらに実施例
では、カチオン交換体、アニオン交換樹脂、活性炭の順
に処理したアクリロニトリルは、これを重合すると、ア
クリロニトリルの重合速度が大きくなること等が記載さ
れている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等の知見によ
ると、上記の技術を用いて、アクリロニトリル中のオキ
サゾール、アクロレイン、アセトニトリル、等を除去し
ても、これを銅系触媒の存在下、水と接触水和して得ら
れるアクリルアミドの品質は、これを単独、或いは、他
のコモノマーと重合して得られるアクリルアミド系ポリ
マーの水溶性及び分子量に関して不十分である。
【0017】また、現在一般的に行われている蒸留精製
工程の運転条件を強化することで、不純物の少ないアク
リロニトリルを製造し、アクリルアミド製造用原料とす
る方法では、蒸留精製工程での回収ロスや蒸気などの用
役原単位の悪化などの、大きな犠牲を伴っている。更
に、このようにして得られた低不純物アクリロニトリル
を接触水和に用いると、概ね良好な品質のアクリルアミ
ドとなるが、時に品質が不十分な製品も生じて品質の安
定性に欠け、高品質アクリルアミドの商業的生産技術と
しては、不十分なものである。
【0018】また、前述のカチオン交換体、アニオン交
換樹脂、活性炭を用いた実施例が記載されている、19
48年の米国特許USP2444589の成立当時は、
(イ)プロピレンのアンモオキシデーション法によるア
クリロニトリルの製造法および、(ロ)銅系触媒の存在
下におけるアクリロニトリルの水和反応で得られるアク
リルアミドの製造法は、いずれも工業化されていない。
そしてこの特許の方法による、(ハ)プロピレンのアン
モオキシデーション法により製造されたアクリロニトリ
ルの精製および、(ニ)銅系触媒の存在下で、アクリロ
ニトリルと水とを接触水和して得られるアクリルアミド
を単独、或いは、他のコモノマーと重合して得られるア
クリルアミド系ポリマーの物性に関する効果について
は、この特許中に記載は無く、また、これまでに、公知
の例も無い。
【0019】さらに、前述の実施例ではアクリロニトリ
ルを、カチオン交換体、アニオン交換樹脂、活性炭の順
で処理しているが、この特許の主張するところは、イオ
ン性物質を除去することにより、着色等の原因となる中
性の不純物を容易に除去することであり、即ち、脱色剤
(例えば、活性炭)処理の前に、カチオン交換処理およ
びアニオン交換処理を行えばよく、このイオン交換処理
におけるカチオン交換処理とアニオン交換処理の順序を
限定するものではない。
【0020】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
アクリルアミドを重合して得られるアクリルアミド系ポ
リマーの十分な水溶性と分子量を得るため、原料である
アクリロニトリルの精製法について鋭意検討を加えた結
果、本発明に到達した。
【0021】すなわち、上記した本発明の目的は、アク
リロニトリルを強酸性カチオン交換樹脂と接触させ、次
いで1級および/または2級アミノ基を有する樹脂また
は活性炭と接触させる少なくとも2つの工程を経由した
後、銅系触媒の存在下に水和反応させることを特徴とす
るアクリルアミドの製造方法の提供によって達成され
る。
【0022】本発明の1つの具体的手段は、アクリロニ
トリルを強酸性カチオン交換樹脂と接触させ、次いで1
級および/または2級アミノ基を有する樹脂と接触させ
る少くとも2つの工程を経由した後、銅系触媒の存在下
で水和反応させる方法であり、また他の手段は、アクリ
ロニトリルを強酸性カチオン交換樹脂と接触させ、次い
で活性炭と接触させた後、銅系触媒の存在下に水和反応
させる方法である。
【0023】本発明においては、アクリロニトリルが、
プロピレンのアンモオキシデーション法によって製造さ
れたものであること、アクリロニトリルを強酸性カチオ
ン交換樹脂と接触させた後、1級および/または2級ア
ミノ基を有する樹脂と接触させ、さらに活性炭と接触さ
せる方法であること、アクリロニトリルを、1級および
/または2級アミノ基を有する樹脂と接触させた後、次
いで強酸性カチオン交換樹脂と接触させ、更に活性炭と
接触させる方法であること、およびアクリロニトリルを
強酸性カチオン交換樹脂と接触させた後、活性炭と接触
させ、さらに1級および/または2級アミノ基を有する
樹脂と接触させる方法であることが好ましい。
【0024】本発明において好ましい対象とする、プロ
ピレンのアンモオキシデーションによるアクリロニトリ
ルの製造法とは、プロピレン、アンモニア、酸素あるい
は空気の混合ガスを、例えば、モリブデン−ビスマス系
触媒、ウラン−アンチモン系触媒、或いは、鉄−アンチ
モン系触媒などの触媒存在下に、直接反応させる気相接
触アンモオキシデーション反応による製造法のことであ
る。
【0025】アクリロニトリルは、合成反応ガスから通
常水に吸収することで回収され、続く精製分離工程にお
いて青酸、アセトニトリル、アセトン、アクロレイン、
メタアクリロニトリル、オキサゾール、アルデヒド類等
の副生成物と分離される。精製分離法は主に蒸留が用い
られるが、アクリルアミド原料用のアクリロニトリルを
製造する場合、通常の例えば繊維原料用等と比べ、蒸留
精製条件を強化し不純物を低減することが、一般に行わ
れている。
【0026】しかし本発明を適用すれば、通常品質のア
クリロニトリルもアクリルアミド原料用に供することが
可能となる。
【0027】次に、本発明が適用されるアクリルアミド
の製造方法について概略説明する。
【0028】本発明の方法に用いられる銅系触媒の例と
しては(A)銅線、銅粉等の形の銅と銅イオンの組み合
わせ、(B)銅化合物を還元剤で還元して得られるもの
(還元銅)、(C)銅化合物を熱などにより分解して得
られるもの(分解銅)、および(D)ラネー合金をアル
カリなどで展開して得られるもの(ラネー銅)がある。
【0029】上記の還元銅の製法の例としては、(1)
酸化銅を気相中で水素、一酸化炭素、またはアンモニア
で還元する方法、(2)銅の塩または水酸化物を、水溶
液中でホルマリン、ヒドラジン、または水素化ホウ素ナ
トリウムで還元する方法、および(3)銅の塩または水
酸化物を水溶液中で元素状のアルミニウム、亜鉛、また
は、鉄で還元する方法などがあり、得られるものの主た
る触媒成分は、何れも元素状の銅と考えられる。
【0030】上記の分解銅の製法の例としては、(1)
銅化合物を次亜塩素酸ナトリウムなどで処理して得られ
る水素化銅をアルカリ水中で熱分解する方法、(2)蟻
酸銅またはしゅう酸銅を熱分解する方法、(3)特開昭
49−108015に示されたいわゆるクラスター銅を
熱分解する方法、および(4)銅アセチリドまたは窒化
銅を直接アクリロニトリルの水和反応系へ加える方法等
があり、得られるものの主たる触媒成分は(4)項のも
のも含めて元素状の銅と考えられる。
【0031】上記のラネー銅の製法の例としては、
(1)銅−アルミニウム合金をカセイソーダ、硫酸、
水、有機アミンなどでほぼ完全に展開する方法、および
(2)銅−アルミニウム合金をカセイソーダ、硫酸、
水、有機アミンなどで部分的に展開してアルミニウムの
一部を銅とともに残す方法などがあり、得られるものの
主たる触媒成分はいずれも元素状の銅と考えられる。
【0032】これらの銅系触媒は、通常用いられる担体
に担持されていても差し支えないし、銅以外の金属、た
とえば、クロムまたはモリブデンを含んでいても差し支
えない。
【0033】上記したこれらの銅系触媒は、その調整方
法によって触媒活性自体には差異があるけれども、例え
ば、還元銅、水素化銅、ラネー銅などの相違によって副
反応などの反応形式が相違する事はなく不純物の生成傾
向に関して同一傾向を有する。
【0034】触媒は使用前および使用後を通じて酸素お
よび酸素含有ガスとの接触をさけることが望ましい。そ
の理由は、酸素が触媒としての活性を損ない、エチレン
シアンヒドリンなどの副生成物を増加させるからであ
る。
【0035】本発明のアクリロニトリルの水和反応は上
記した銅系触媒の存在下に次のようにして行われる。反
応の形式は液相中のけん濁床または固定床の触媒床で、
流通式または、回分式で行われる。
【0036】水和反応に供されるアクリロニトリルと水
の重量比は、実質的には任意であるが、好ましくは、6
0:40〜5:95であり、さらに好ましくは、50:
50〜10:90の範囲である。また、アクリロニトリ
ルの反応率は、好ましくは10〜98%であり、更に好
ましくは、30〜95%の範囲である。
【0037】アクリロニトリルと水との水和反応におけ
る反応温度は、好ましくは50〜200℃、さらに好ま
しくは70〜150℃の範囲である。
【0038】反応器内は、上記した温度と組成における
蒸気圧、または、それに窒素等の不活性ガスを加えた圧
力に保たれるが、その圧力は通常、常圧〜10気圧であ
る。反応器に供給される触媒、アクリロニトリル、水な
どに含まれる溶存酸素は、触媒の活性を損ない、エチレ
ンシアンヒドリン等の副生成物を増加させるので、反応
器に供給するまえに十分除去することが望ましく、また
同じ理由から反応器内は酸素を含まない雰囲気に保つ事
が望ましい。なお、水和反応後反応器から取り出される
反応液は、主として、未反応アクリロニトリル、未反応
水、およびアクリルアミドからなり、さらにエチレンシ
アンヒドリン等の副生成物と銅を含む。
【0039】上記の反応で得られた反応液は、必要なら
ば通常の蒸発または蒸留操作に付して、濃縮されたアク
リルアミド水溶液を得ると共に、未反応アクリロニトリ
ルと水を留出回収する。これらの回収物は、新規反応原
料として再使用することが出来る。
【0040】なお、本発明に記載されるアクリロニトリ
ル中の不純物等の含有量は、新規に供給されるアクリロ
ニトリルにおける含有量の事であって、新規供給分と回
収再使用分との合計量における含有量ではない。
【0041】上記の反応液を濃縮したアクリルアミド水
溶液(以下これ等の液をアクリルアミド水溶液と略称す
る)は、ついで陽イオン交換処理、キレート樹脂処理、
陰イオン交換処理、空気または酸素ガス処理、活性炭処
理の様な各種の精製方法により精製される。また、活性
炭やイオン交換樹脂と類似の方法で用いられる、いわゆ
る合成吸着樹脂(例えば、北越炭素工業社製、商品名:
吸着樹脂)も使用できる。これらの精製工程の途中また
は後に、アクリルアミド水溶液を上記の濃縮処理に付し
ても良いし、また、再濃縮することがあっても差し支え
ない。
【0042】次に、アクリロニトリルの精製法について
詳しく述べる。
【0043】アクリロニトリルの精製に用いる強酸性型
カチオン交換樹脂(イ)は、例えば、レバチットS−1
00(商品名、バイエル社製)、ダイヤイオンSK1B
(商品名、三菱化成社製)、ダウエックスHCR−W2
(商品名、ダウケミカル社製)等のゲル型樹脂、あるい
は、例えば、レバチットSP−112(商品名、バイエ
ル社製)、ダウエックスMSC−1(商品名、ダウケミ
カル社製)等のマクロポーラス型樹脂の何れでもよく、
これを希薄な酸で前処理してH型とし、十分水洗したも
のをそのまま用いることも出来るが、さらに望ましく
は、これを、熱風、乾燥窒素、または、減圧乾燥によ
り、十分乾燥して用いる。
【0044】また、1級および/または2級アミノ基を
有する樹脂を用いる場合は、交換基として1級または2
級アミノ基のいずれか、あるいは両方が存在すればよ
く、例えば、ダイヤイオンWA−20(商品名、三菱化
成社製)等のポーラス型樹脂、あるいは、例えば、レバ
チットOC1059(商品名、バイエル社製)等のゲル
型樹脂の何れでもよく、これらは、市販のものを十分に
水洗して用いることが出来る。無論、希薄なアルカリで
前処理したのち、十分水洗して用いても良い。あるい
は、希薄なアルカリでの前処理の有無を問わず、水洗後
の樹脂を熱風、乾燥窒素、または、減圧乾燥により、十
分乾燥して用いてもよい。
【0045】活性炭と接触させる場合には、用いる活性
炭は、特に種類は問わないが、例えば、カルゴンCPG
(商品名、カルゴン社製)の様なコールベース活性炭、
あるいは、白鷺LHc(商品名、武田薬品工業社製)の
様なヤシガラベース活性炭等を用いることが出来る。こ
れらの活性炭は、市販のものをそのまま用いることがで
きる。無論、水洗して用いてもよいし、あるいは、水洗
した後、熱風、乾燥窒素、または、減圧乾燥により十分
乾燥して用いてもよい。
【0046】これらの樹脂および活性炭は、塔類に充填
し、固定層としてアクリロニトリルと連続的に接触・精
製できるほか、回分式でも利用できる。しかし、精製効
率、運転の容易さ等の理由から、前者を用いることが望
ましい。
【0047】本発明では、アクリロニトリルの精製処理
にあたっては、(イ)強酸性カチオン交換樹脂との接触
は必須であるが、それと共に(ロ)1級および/または
2級アミノ基を有する樹脂 および/または (ハ)活
性炭 と接触させる。接触の順序としては、 (イ)−(ロ) (イ)−(ハ) (イ)−(ロ)−(ハ) (ロ)−(イ)−(ハ) (イ)−(ハ)−(ロ) の方法が良く、何れも本発明の範囲内である。〜の
精製処理にあたって、予め(ハ)活性炭 と接触、精製
しておく方法も良く、本発明の範囲内である。
【0048】これらの樹脂や活性炭を塔に充填して用い
る場合は、塔の材質は、例えば、SUS−304等のア
クリロニトリルに侵されない材質であれば良い。
【0049】これらの塔での処理時の液温は、通常5〜
50℃、好ましくは15〜30℃である。塔へのアクリ
ロニトリルの通液速度は、充填樹脂あるいは活性炭の容
量に対し、1時間当たり0.1〜50倍、好ましくは
0.5〜10倍程度の流量から選ばれる。
【0050】また、(イ)強酸性カチオン交換樹脂は、
アクリロニトリルと接触中、例えば、オキサゾールに代
表される塩基性物質の流出が確認された場合、常温〜1
00℃の水、水蒸気、メタノール、希薄な酸、或いはこ
れらの混合物と接触させることにより、容易に再生する
ことが出来る。
【0051】このようにして得られた精製アクリロニト
リルを用いて、銅系触媒による水との接触水和法により
アクリルアミドの製造を行い、このアクリルアミドを用
いて、アクリルアミド単独、あるいは、他のコモノマー
と重合し、アクリルアミド系ポリマーとして評価した場
合、格段の水溶性向上と、十分に高い分子量が得られ
た。
【0052】他方、上記〜以外の精製方法、例え
ば、(a)(イ)強酸性カチオン交換樹脂のみのアクリ
ロニトリルの精製処理、(b)(ロ)1級および/また
は2級アミノ基を有する樹脂のみのアクリロニトリルの
精製処理、(c)(ハ)活性炭のみのアクリロニトリル
の精製処理、あるいは(d)(イ)強酸性カチオン交換
樹脂を最後に接触させる方法、例えば、(ロ)−
(イ)、(ロ)−(ハ)−(イ)他等を前述と同様の方
法で行ったところ、(a)の処理ではオキサゾール、
(b)の処理ではアクロレイン、(d)の処理では、オ
キサゾールおよびアクロレインの両者の除去をそれぞれ
分析により確認した。
【0053】しかし、(a)、(b)、(c)および
(d)の処理を行った、何れのアクリロニトリルを用い
ても、前述の、銅系触媒を用いた水との接触水和により
アクリルアミドを製造した場合、これを単独或いは他の
コモノマーと重合して得られる、アクリルアミド系ポリ
マーでは水溶性は満足できるものではなかった。
【0054】この理由については、(a)ではオキサゾ
ールのみ、(b)ではアクロレインのみの除去となり、
不十分と思われる。両者ともに除去されている(d)に
アクリルアミド品質改良効果が無かったのは、(イ)強
酸性カチオン交換樹脂を最後にすると、アクロレイン以
外のアルデヒド類等の不純物はかえって増大し、その結
果アクリルアミド品質は良くはならないものと考えられ
る。
【0055】上記した〜の方法の中では、特にの
(イ)強酸性カチオン交換樹脂、(ロ)1級および/
または2級アミノ基を有する樹脂、および(ハ)活性炭
の順に接触させた場合が、最も良い結果、即ち高品質
なアクリルアミドを得ることが出来る。
【0056】この理由は、明かではないが、本発明によ
るアクリロニトリルの精製効果は、強酸性カチオン交換
樹脂、1級および/または2級型アミノ基を有する樹
脂、あるいは、活性炭、それぞれが独立に不純物を除去
しているのみならず、ある特定の有害不純物に関して
は、(イ)強酸性カチオン交換樹脂から(ロ)1級およ
び/または2級型アミノ基を有する樹脂、次いで(ハ)
活性炭という順序で共同的に作用し、除去を行っている
ものと考えられる。
【0057】次に、凝集剤などに用いられる高分子量ア
クリルアミド系ポリマーの製造方法は概略以下のようで
ある。
【0058】アクリルアミドは単体または、他のビニル
重合型のコモノマーと共に用いられる。コモノマーとし
ては、アクリル酸およびメタクリル酸またはそれらの水
溶性塩:アクリル酸およびメタクリル酸のアルキルアミ
ノアルキルエステルまたはそれらの第4級アンモニウム
誘導体:N−(ジメチルアミノプロピル)メタクリルア
ミドまたはその4級アンモニウム誘導体:酢酸ビニル:
アクリロニトリル等を挙げることが出来る。これらのコ
モノマーとアクリルアミドとの混合比率は、普通、アク
リルアミド100モルに対して100モル以下、特に5
0モル以下である。
【0059】アクリルアミドとコモノマーとの重合は、
水溶液重合、乳化重合等の周知の方法で行われるが、こ
のうち最も広く用いられる、水溶液重合の一般的方法を
述べる。
【0060】アクリルアミドとコモノマーの合計濃度は
普通5〜60重量%とする。重合開始剤には、過硫酸カ
リウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベン
ゾイル等の過酸化物:アゾビスイソブチロニトリル、2
・2’−アゾビス(4−アミジノプロパン)2塩酸塩、
4・4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸ナトリウ
ム)などのアゾ系遊離基開始剤:上記過酸化物と重亜硫
酸ナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第一鉄アン
モニウム等の還元剤を併用するいわゆるレドックス系触
媒が用いられる。
【0061】重合反応の温度に関しては、アクリルアミ
ドとコモノマーとの合計濃度が15重量%以上であって
得られるポリマーの分子量が1000万以上の高分子量
の場合には、冷却などによる温度の制御が困難であるた
め、普通断熱的な重合の形式が採られ、この場合、重合
系の温度は重合の進行と共に重合熱によって上昇する。
この場合において重合の開始時の温度は、−5〜40℃
の範囲から選ばれることが多く、反応終了後の温度は例
えば、55〜100℃の高温に達する。
【0062】分子量を1000万以上、特に1500万
程度の高分子量とするため、アクリルアミドおよびコモ
ノマーの合計濃度、使用する重合開始剤の種類と濃度、
反応温度などについて工夫がなされる。未反応アクリル
アミドを例えば0.2重量%以下の微量とするためにも
同様の工夫がなされるが、特に2種類以上の重合開始剤
を異なった温度領域で作用させる方法が多く提案され実
施されている。
【0063】上記のような重合反応によって得られるも
のは、含水ゲル、即ちアクリルアミドとコモノマーとを
水溶液にするために用いた水をほぼそのまま含むゴム状
のゲルであるが、通常はこれを乾燥粉末状の製品とする
ため、水の抽出または加熱乾燥による脱水、或いは、含
水ゲルまたは乾燥ゲルの破砕または粉砕などの処理を加
える。なお、これらの処理に先立ってまたはその途中
で、含水ゲルにカセイソーダをねりこみ加熱して、アミ
ド基の一部をカルボキシル基に変ずるなど、アクリルア
ミド系ポリマーを化学的に変性することもある。
【0064】以上のようにして高分子量化し、未反応モ
ノマーを減少させ、乾燥粉末化し、場合によっては、化
学的変性を行う結果として、得られるポリマーは、しば
しば水に溶解しにくいものとなり、凝集剤などの商品と
しての価値を失いがちである。その解決のために重合反
応の前、途中または、後に不溶化防止剤を添加する方
法、特定の重合開始剤を用いる方法、或いは、含水ゲル
の乾燥を特定の条件下で行う方法などが行われる。
【0065】本発明の方法が適用されるアクリルアミド
は、概略上記の様なアクリロニトリルの精製、水和反
応、蒸留操作、各種の精製処理およびその他の付帯的工
程からなる方法で製造され、概略上記のような高分子量
アクリルアミド系ポリマーの製造に供される。
【0066】次に実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0067】実施例1 <アクリロニトリルの精製>常法に従い、希塩酸で処理
してH型とし、十分水洗した強酸性カチオン交換樹脂レ
バチットS−100(商品名、バイエル社製)1 l
を、90℃、常圧で、約8時間乾燥後、内径70mm、
長さ400mmのSUS−304製カラムに充填した。
1級および/または2級アミノ基を有する樹脂ダイヤイ
オンWA−20(商品名、三菱化成社製)1 lを水洗
したのち、内径70mm、長さ400mmのSUS−3
04製カラムに充填した。活性炭カルゴンCPG(商品
名、カルゴン社製)1 lを水洗した後、同様に内径7
0mm、長さ400mmのSUS−304製カラムに充
填した。
【0068】この3本のカラムを、第1塔にレバチット
S−100、第2塔にダイヤイオンWA−20、第3塔
にカルゴンCPGの順になるように接続した。これにプ
ロピレンのアンモオキシデーション法で製造されたアク
リロニトリルを6 l/hrの流量で通液した。なお、
原料に用いたアクリロニトリル(LOT−1)の不純物
濃度を表−1に示したが、アクリル繊維製造などに使用
される通常品質の製品である。カラム通液後の精製アク
リロニトリルの不純物濃度も表−1に示した。
【0069】<アクリルアミドの製造>上記の方法で得
られた精製アクリロニトリルを用い、以下のように銅系
触媒の存在下で水和反応させることにより、アクリルア
ミドを得た。 水和反応の触媒:80メッシュ以下のラネー銅合金を常
法によりカセイソーダを用いて展開し、洗浄して、ラネ
ー銅触媒を製造した。製造中およびその後の取扱いに際
して、空気等の酸素含有ガスとの接触を避けた。 接触水和反応:SUS製で攪拌機と触媒分離器を内蔵し
た、約2 lの反応器に上記の触媒を400g仕込み、
これに予め、窒素ガスを用いて溶存酸素を除いたアクリ
ロニトリルと水を各々600g/hr、900g/hr
の速度で供給し、120℃で反応させた。反応液は、触
媒と共に攪拌されて懸濁液となり、ついで触媒分離器を
通って触媒を殆ど含まない液として反応器から取り出さ
れる。この反応を3日間続けた。 濃縮:得られた反応液を回分式の減圧濃縮にかけ、未反
応アクリロニトリルの全量と未反応水の一部を留去して
濃度約50重量%のアクリルアミド水溶液を得た。アク
リルアミド水溶液は、銅を含有していた。 脱銅処理:常法により希塩酸で前処理してH型とした強
酸性カチオン交換樹脂レバチットSP−112(商品
名、バイエル社製)150mlをガラス製カラムに充填
し、これに前述の濃縮処理で得られたアクリルアミド水
溶液を900ml/hrで通液した。得られた液の銅含
有量は0.01ppm以下、pHは3.5〜4.0であ
った。 pH調整:脱銅処理の間、カセイソーダを連続的に添加
して処理液のpHを約6.5に調整した。
【0070】<アクリルアミドポリマーの製造方法>上
記の方法で得られた、アクリルアミド水溶液を以下の方
法で重合し、アクリルアミドポリマーを得た。
【0071】アクリルアミド水溶液に水を加えて濃度2
0重量%とし、この500gを1lポリエチレン容器に
入れ、18℃に保ちながら、窒素を通じて液中の溶存酸
素を除き、直ちに、発泡スチロール製の保温用ブロック
のなかに入れた。
【0072】ついでこれに、200×10-6mpm(ア
クリルアミドに対するモル比)の4・4’−アゾビス
(4−シアノバレリアン酸ナトリウム)、200×10
-6mpmのジメチルアミノプロピオニトリルおよび80
×10-6mpmの過硫酸アンモニウムを各々小量の水に
溶解して、この順序に素早く注入した。これらの試薬に
は、予め窒素ガスを通じておき、また、注入およびその
前後には、上記ポリエチレン容器にも少量の窒素ガスを
通じておくなどして、酸素ガスの混入を防止した。試薬
を注入して、数分間の誘導期の後、ポリエチレン容器の
内部の温度が上昇するのが認められたので窒素ガスの供
給をとめた。約100分後に温度が約70℃の頂点に達
してから、ポリエチレン容器を保温用ブロックから取り
だし、97℃の水に2時間浸漬し、ついで冷水に浸漬し
て冷却した。
【0073】このようにして得られたアクリルアミドポ
リマーの含水ゲルを小塊にわけ、肉挽器ですりつぶし、
100℃の熱風で2時間乾燥し、高速回転刃粉砕器で粉
砕して乾燥粉末状のアクリルアミドポリマーを得た。更
にこれを篩にかけ、32〜42メッシュのものを分取
し、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。ポリ
マーサンプルの水分を125℃、1夜の熱風乾燥による
減量として求めたところ、何れのポリマーサンプルにつ
いても約10重量%であった。
【0074】<アクリルアミドポリマーの試験法>上記
の方法で得られたポリマーサンプルの水溶性、標準粘度
の測定を次の方法で行った。 水溶性:水溶性は、1 lビーカーに水600mlを入
れ、定められた形状の攪拌羽根で攪拌しながらポリマー
サンプル0.66g(純分0.6g)を添加し、400
rpmで2時間攪拌を行い、得られた溶液を150メッ
シュの金網で濾過し、不溶解分の多少と濾過性から、水
溶性を判断した。即ち、完溶のものを◎、完溶に近いも
のを○、不溶解分があるが、それを濾別する事ができる
ものを△、濾液の通過が遅く、不溶解分の濾過が事実上
出来ないものを×とした。なお、分子量が約1500万
以上で水溶性が○以上であれば、凝集剤としての使用に
耐える品質である。水溶性が△のものは、製紙薬剤の用
途には使えるが、凝集剤としての使用は困難である。水
溶性×では、大半の用途での使用に耐えず、商業的な価
値を持たない。 分子量:分子量は、上記と同様の操作で得られた濾液を
用いて、濃度の異なるいくつかのアクリルアミドポリマ
ー水溶液を調整し、これに1M濃度相当の硝酸ナトリウ
ムを加え、毛管型粘度計を用いて極限粘度を求め、次式
を用いて算出した。
【0075】 極限粘度式=3.73×10-4×[重量平均分子量]0.66 なお、上記の水溶性試験により得られる濾液は、水溶性
の良好な場合は、濃度0.1重量%のポリマー水溶液で
あるが、これに1M濃度相当の塩化ナトリウムを加え、
BL型粘度計でBLアダプターを用いて25℃、ロータ
ー回転数60rpmで粘度を測定した(標準粘度)。こ
のような方法で得られる標準粘度は分子量に相関のある
値として慣用されるので、本実施例でも併用した。この
ような方法で、評価した結果を表−1に示したが、得ら
れたポリマーの水溶性は◎、標準粘度5.7CPS(分
子量約1580万)と、良好な品質であった。
【0076】比較例1 アクリロニトリルの精製を省いた以外は、実施例1と同
様に行った。結果は、水溶性は×、粘度は測定不能で商
業的価値を持たないものであった。
【0077】実施例1及び比較例1を通じて、従来では
アクリルアミド原料には使えなかった通常品質のアクリ
ロニトリルに本発明を適用することで、凝集剤用として
の使用に十分耐える高品質なアクリルアミドの製造が可
能となった。
【0078】実施例2 アクリルアミド原料用として一般に用いられている、通
常の製品より高度に蒸留精製を行い不純物を減らしたア
クリロニトリル(LOT−2)を用いて、実施例1と同
様にアクリルアミドを製造した。結果を表−1に示し
た。得られたポリマーの水溶性は◎、標準粘度5.9C
PS(分子量約1670万)と非常に良好な品質であっ
た。
【0079】比較例2 アクリロニトリルの精製を省いた以外は、実施例2と同
様に行った。結果を表−1に示した。水溶性は○、標準
粘度5.6CPS(分子量約1530万)と凝集剤用と
して最低限の品質は維持した。
【0080】実施例2、比較例2を通じて、不純物濃度
の低いアクリルアミド原料用アクリロニトリルに本発明
を適用すると、品質は非常に向上することが明らかとな
った。
【0081】実施例3 アクリロニトリル(LOT−1)の精製時に、精製塔の
順序を第1塔にダイヤイオンWA−20、第2塔にレバ
チットS−100、第3塔にカルゴンCPGとした以外
は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表−2に示
した。水溶性は△、標準粘度は5.7CPSと、全く商
業的価値を持たなかったのが(比較例1)、本発明の適
用により製紙薬剤としての使用に耐える品質となった。
【0082】実施例4 使用したアクリロニトリルをLOT1−1に代え、LO
T−2とした以外は実施例3と同様に行った。結果を表
−2に示した。水溶性は◎、標準粘度は5.8CPS
(分子量約1620万)と、比較例2と比べ、かなりの
品質向上を得た。 実施例5 精製塔の順序を第1塔にレバチットS−100、第2塔
にカルゴンCPG、第3塔にダイヤイオンWA−20と
した以外は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表
−2に示した。水溶性は△、標準粘度は5.7CPS
と、全く商業的価値を持たなかったのが(比較例1)、
本発明の適用により、製紙薬剤としての使用に耐える品
質となった。
【0083】実施例6 使用したアクリロニトリルをLOT−に代えLOT−2
とした以外は実施例5と同様に行った。結果を表−2に
示した。水溶性は◎、標準粘度は5.8CPSと、比較
例2と比べ、かなりの品質向上を得た。
【0084】実施例7 精製塔の順序を第1塔にレバチットS−100、第2塔
にダイヤイオンWA−20として、活性炭を用いなかっ
た以外は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表−
2に示した。水溶性は○、標準粘度は5.7CPSと、
全く商業的価値を持たなかったのが(比較例1)、本発
明の適用により、凝集剤として使うことが可能な品質と
なった。
【0085】実施例8 精製塔の順序を第1塔にカルゴンCPG、第2塔にレバ
チットS−100、第3塔にダイヤイオンWA−20と
した以外は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表
2に示した。水溶性は○、標準粘度は5.8CPSと、
全く商業的価値を持たなかったのが(比較例1)、本発
明の適用により、凝集剤として使うことが可能な品質と
なった。
【0086】実施例9 精製塔の順序を第1塔にレバチットS−100、第2塔
にカルゴンCPGとして、ダイヤイオンWA−20を用
いなかった以外は、実施例2と同様な操作を行った。結
果を表2に示した。水溶性は◎、標準粘度は5.8CP
Sと比較例2と比べ、かなりの品質向上を得た。
【0087】実施例10 第1塔にレバチットSP−112を用いた以外は、実施
例7と同様な操作を行った。結果を表2に示した。水溶
性は○、標準粘度は5.7CPSと、全く商業的価値を
持たなかったのが(比較例1)、本発明の適用により、
凝集剤として使うことが可能な品質となった。
【0088】実施例11 第1塔にレバチットSP−112を用いた以外は、実施
例1と同様な操作を行った。結果を表2に示した。水溶
性は◎、標準粘度は5.8CPSと、全く商業的価値を
持たなかったのが(比較例1)、本発明の適用により、
凝集剤としての使用に十分耐える高品質な製品となっ
た。
【0089】実施例12 ダイヤイオンWA−20(ポーラス型)の代わりに、レ
バチットOC1059(ゲル型)、カルゴンCPG(コ
ールベース活性炭)の代わりに、白鷺LHc(ヤシガラ
ベース活性炭)を用いた以外は、実施例1と同様な操作
を行った。結果を表2に示した。水溶性は◎、標準粘度
は5.8CPSと、実施例1と遜色のない結果となっ
た。
【0090】比較例3 アクリロニトリル(LOT−1)をS−100のみに通
液した。それ以外は実施例1と同様に行った。結果は、
水溶性は×と全く改善効果は観られなかった。
【0091】比較例4 低不純物のアクリロニトリル(LOT−2)をS−10
0のみに通液した。それ以外は実施例1と同様に行っ
た。結果は水溶性が△と、精製処理を行わなかった比較
例2と比べ、かえって品質は悪化した。
【0092】比較例5〜7 アクリロニトリル(LOT−1)をWA−20のみ(比
較例5)、CPGのみ(比較例6)、WA−20次いで
CPG(比較例7)に通液した以外は実施例1と同様に
行った。結果は、全く改善効果は観られなかった。
【0093】比較例8〜10 アクリロニトリル(LOT−1)をWA−20次いでS
−100(比較例8)、WA−20次いでCPG最後に
S−100(比較例9)、CPG次いでWA−20最後
にS−100(比較例10)に通液した。それ以外は実
施例1と同様に行った。結果は、全く改善効果は観られ
なかった。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【発明の効果】接触水和法アクリルアミド原料用のアク
リロニトリルは、不純物の少ない高品質なものを用いな
いと、良い品質のアクリルアミドが得られないが、本発
明の方法により、通常品質のアクリロニトリルを用いて
も、接触水和反応前に簡単なカラム吸着処理を行うだけ
で、高品質のアクリルアミドが得られ、このアクリルア
ミドは凝集剤用ポリアクリルアミドの製造原料として特
に有用である。また、接触水和法用に一般的に使用され
ている高度に蒸留精製したアクリロニトリルに対し、本
発明を適用すると、より高品質なアクリルアミドが得ら
れる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
    樹脂と接触させ、次いで1級および/または2級アミノ
    基を有する樹脂または活性炭と接触させる少くとも2つ
    の工程を経由した後、銅系触媒の存在下に水和反応させ
    ることを特徴とするアクリルアミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
    樹脂と接触させ、次いで1級および/または2級アミノ
    基を有する樹脂と接触させる少くとも2つの工程を経由
    した後、銅系触媒の存在下に水和反応させる請求項1記
    載のアクリルアミドの製造方法。
  3. 【請求項3】 アクリロニトリルを強酸性カチオン交換
    樹脂と接触させ、次いで活性炭と接触させた後、銅系触
    媒の存在下で水和反応させる請求項1記載のアクリルア
    ミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 アクリロニトリルが、プロピレンのアン
    モオキシデーション法によって製造されたものである請
    求項1記載のアクリルアミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 アクリロニトリルを1級および/または
    2級アミノ基を有する樹脂と接触させた後、さらに活性
    炭と接触させる請求項2記載のアクリルアミドの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 アクリロニトリルを、強酸性カチオン交
    換樹脂と接触させる前に1級および/または2級アミノ
    基を有する樹脂と接触させる請求項3記載のアクリルア
    ミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 アクリロニトリルを活性炭と接触させた
    後、さらに1級および/または2級アミノ基を有する樹
    脂と接触させる請求項3記載のアクリルアミドの製造方
    法。
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