JPH07144278A - プラズマアーク溶接方法 - Google Patents

プラズマアーク溶接方法

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JPH07144278A
JPH07144278A JP17077594A JP17077594A JPH07144278A JP H07144278 A JPH07144278 A JP H07144278A JP 17077594 A JP17077594 A JP 17077594A JP 17077594 A JP17077594 A JP 17077594A JP H07144278 A JPH07144278 A JP H07144278A
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welding
gas
plasma arc
plasma
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JP17077594A
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Inventor
Mikio Minonishi
幹夫 箕西
Iwao Kurokawa
巌 黒川
Masamitsu Kitahashi
正光 北橋
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Komatsu Ltd
Original Assignee
Komatsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラズマアークによる点溶接、線溶接の溶接
終了部の割れやブローホールの発生を防止できるように
する。 【構成】 プラズマアークを用いて複数のワークを溶接
するプラズマアーク溶接において、溶接工程を本溶接工
程とブローホール処理工程に分け、本溶接工程では、時
間T1 、ガス流量Q1 、及び電流値I1 、または電流値
を中心に、設定された周波数でパルス状に変化させた電
流値によるプラズマアークにて、ワークを加熱、溶融す
ることにより溶接し、ブローホール処理工程では、上記
本溶接工程の終了後にあらかじめ設定した時間T2 にわ
たってプラズマガスの流量だけをQ2 に減少させて引き
続き溶接部を加熱することにより上記本溶接にて溶接部
に入り込んだガスを追い出すようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマアークによ
り、点溶接を行ない、またはプラズマアークにより行な
われた線溶接の終端部処理を行なうためのプラズマアー
ク溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラズマアーク溶接で、特にこれによる
点溶接は従来の抵抗スポット溶接に対して、ワークの片
側より溶接できることから、複雑な形状のワークや、大
きなワークに対応できるといった利点を有するため、種
々の分野で利用されてきた。
【0003】しかしながら、従来のプラズマ溶接では、
溶接終了時に、周辺への熱の拡散により溶接部が急冷さ
れるため、溶接内部に残留したガスが閉じ込められ、そ
れがブローホールとなったり、凝固時に表面に熱応力集
中が起こっていわゆる凝固割れが発生してしまうといっ
た問題があり、これにより溶接品質の信頼性に問題があ
り、強度、特に疲労強度が要求されるワークの溶接には
あまり利用されていなかった。
【0004】この問題に対して、従来技術でのアークス
ポット溶接において、主溶接とクレータ溶接との間に、
スロープ電流制御を行なうと共に、その後設けられた溶
接休止時間経過後に、再度クレータ溶接を行なうことに
よりピンホール、及びクレータ割れを防止するアークス
ポット溶接法がある(例えば特開昭52−120940
号公報)。
【0005】図1に上記従来技術における溶接電流とガ
ス流量の概略なシーケンスを示す。このシーケンスによ
れば、 (1)主電流I11でT11時間溶接を行なう。 (2)その後溶接電流をスロープ電流13に切り替えて徐
々に電流を落として溶融金属の冷却勾配を緩やかにして
溶融池内のガス放出を促進させてピンホール発生を防止
すると共に、アークを徐々に弱くしてクレータ処理を行
なう。 (3)一定時間T14にわたってアークを停止する。 (4)再びクレータ電流I12でT12時間溶接を行なう。 (5)アークを停止して溶接を終了する。 以上の溶接方法で冷却時の割れを無くし、信頼性の高い
溶接を可能にしようとしている。
【0006】また従来のプラズマアーク溶接方法にあっ
ては、図2に示すようなトーチを用いて、先端がとがっ
ている電極aの周囲からプラズマガスbを軸方向に放出
するようになっており、さらにその周囲に設けたノズル
cからプラズマアークを囲繞するシールドガスdを軸方
向に放出するようになっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術でのクレ
ータ処理方法では、アーク力を徐々に弱くしていく過程
において、電流減少と同時にアーク柱が細くなって行く
ことから、アークスポット部の端部に入り込んだガスの
逃げ場がなくなり、結果としてブローホールとして残留
してしまう。また、ワーク冷却時の割れは溶接部の表面
にだけ発生するわけではなく、溶接部のかなり深い部分
まで及ぶことがあるため、従来技術のように、割れの処
理ために、微弱な電流で溶接部を再溶融させても、この
深い部分に発生した割れを取りきることはできなかった
り、逆に十分な電流値で再溶融させると溶融部分が大き
くなりすぎて再び凝固割れが発生してしまう、といった
問題があった。また図2に示すようなトーチを用いた方
法では、プラズマガスの放出方向とシールドガスの放出
ガスとがプラズマトーチと同軸方向となっていたため、
溶接部から発生する金属蒸気やスパッタがノズル内部に
入り込みやすかった。
【0008】本発明は上記のことにかんがみなされたも
ので、従来技術では取り切れなかった溶接終了部に発生
するブローホールをなくすることができると共に、あら
ゆる材料に対してクラックの発生を防止することがで
き、さらに、溶接部から発生する金属蒸気やスパッタが
ノズル内部に入り込むのを防止できると共に、高エネル
ギ密度が要求されるワークや溶接時の溶融プールの安定
性が要求されるワークに対しても対応することができる
ようにしたプラズマアーク溶接方法を提供することを目
的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるプラズマ
アーク溶接方法は、プラズマアークを用いて複数のワー
クを溶接するプラズマアーク溶接において、溶接工程
を、本溶接工程とブローホール処理工程に分け、または
本溶接工程とクラック処理工程に分け、または、本溶接
工程とブローホール処理工程及びクラック処理工程に分
け、各溶接工程で、それぞれ適切な条件で溶接を行な
う。そして上記本溶接工程では、時間T1 、ガス流量Q
1 、及び電流値I1 、または電流値を中心に設定された
周波数でパルス状に変化させた電流値でワークをプラズ
マアークにて加熱溶融することにより溶接する。ブロー
ホール処理工程では、上記本溶接工程の終了後にあらか
じめ設定された時間T2 にわたってプラズマガスの流量
だけを減少させて引き続き溶接部を加熱することにより
上記本溶接工程にて溶接部に入り込んだガスを追い出
す。クラック処理工程では、上記、本溶接工程終了後あ
るいはブローホール処理工程終了後に、溶接終了部をあ
らかじめ設定した時間T3 にわたってアークを停止させ
た後、時間T4 にわたって電流値I2 、ガス流量Q3
アークを放出する加熱パターンを1回以上数回繰り返し
て、段階的に小さな溶融池を作ることにより、クラック
を徐々に小さくして除去する。また上記各工程における
溶接時間、ガス流量、電流値を任意に設定可能にすると
共に、クラック処理工程の1サイクルごとに、この工程
での溶接時間T3 ,T4 、ガス流量Q3 、電流I2 を変
化させたシーケンスで制御しながら溶接を行なう。さら
に、プラズマガスを電極14の周囲から旋回流として噴
出させ、またシールドキャップの内側から上記プラズマ
ガスの旋回流と同一方向あるいは逆方向の旋回流にして
シールドガスを噴出させる。
【0010】
【作 用】本溶接工程では、ワークがプラズマアーク
によって加熱、溶融されて溶接されるが、このとき溶接
部の内部にはプラズマガスの気泡が入り込んでいる。そ
してこの気泡は次の工程であるブローホール処理工程で
溶接部から追い出される。クラック処理工程では、溶接
部に生じた割れは、溶融と凝固を繰り返す間に、段階的
に小さくなって、処理後の溶接部の表面および内部の割
れの発生が抑えられる。さらに、シールドガスを適切に
旋回させることにより、入熱密度が最適化される。
【0011】
【実 施 例】本発明の実施例を図3以下に基づいて説
明する。図3は本発明方法における溶接パラメータの時
間変化の様子を示すものであり、溶接開始指令が与えら
れると、まず本溶接工程がスタートし、一定時間T1
一定のガス流量Q1 、及び一定の電流値I1 (または一
定の電流値I1 を中心に設定された周波数でパルス状
に、またはSin波状に変化させながら)で、図4に示
すように被加工材である2つのワーク1,2をプラズマ
トーチ3からのプラズマアーク4によって加熱、溶融さ
せて溶接する。このとき、図4(a)に示すように、溶
接部5の内部にはプラズマガス、または溶接材から発生
したガスによる気泡6が入り込んでいる。
【0012】ブローホール処理工程は、本溶接終了後に
行なわれ、あらかじめ設定された一定時間T2 にわたっ
てプラズマガス流量のみをQ2 に減少させて引き続き溶
接部を加熱することにより、図4(b)に示すように溶
接部5に入り込んだガスを追い出す。このブローホール
処理工程では本溶接工程と比較して、溶接電流I1 は不
変で、ガス流量だけをQ1 →Q2 に減少させているの
で、プラズマアーク4のアーク柱の太さはほとんど変化
しないで、本溶接工程で溶融した部分は引き続き溶融状
態のままであり、かつプラズマガス流量を溶融部に入り
込まないレベルまで減少させているので溶接部に入り込
んだガスが放出される。
【0013】クラック処理工程は、本溶接終了後、また
はブローホール処理を行なった場合は、さらにその終了
後に行なわれる。そしてこのクラック処理工程は溶接終
了部をあらかじめ設定した一定時間(以下これをアフタ
ーショットピッチ時間という)T3 だけアークを停止さ
せた後、一定時間(以下これをアフターショット時間と
いう)T4 、一定の電流値I2 、ガス流量Q3 でアーク
を放出する加熱パターンを数回繰り返すことにより、ク
ラックを段階的に小さくすることより、最終的にクラッ
クをなくす。
【0014】ここで、上記クラック処理工程の原理を説
明する。T3 時間のアーク停止の間に図4(c)に示す
ように溶接部5に比較的深い割れ7が発生する。その
後、I2 の電流値、Q3 のガス流量で短時間のアーク放
出をして溶接部5を加熱すると、図4(d)に示すよう
に、溶接部の中に溶接部5より小さい溶融プール5aが
でき、凝固割れを再度溶融させる。その後の冷却過程で
再度凝固割れが発生するが、上記したように溶融プール
5aが小さいことにより、これに対応してこのときの凝
固割れは初期の割れより小さなものとなる。
【0015】さらに同様のサイクルで再加熱すると、周
辺への熱の拡散によってどんどん冷却されていくので、
生成される上記溶融プール5aはどんどん小さくなって
ゆき、これと同時に発生する割れもどんどん小さくなっ
ていく。そしてこのサイクルを数回繰り返すと図4
(e)に示すように、溶接部5の表面及び内部の割れの
発生が抑えられる。
【00016】さらに、本発明では様々な材質、板厚の
ワークに対応できるように、上記工程の溶接パラメータ
を自由に設定でき、かつ自動でシーケンシャルに制御し
ながら溶接を行なうシステムとした。これにより、クラ
ック処理工程で溶接部表面を再溶融させるときの溶接電
流値やガス流量を可変にし、生成する溶融プールの大き
さを調整することによってクラックの発生をさらに少な
くできる。
【0017】上記プラズマアーク溶接方法の実施例で用
いた装置は図5、図6に示すようになっていて、プラズ
マトーチ3は多関節ロボット8のロボットアーム9の先
端に取り付けてあり、このプラズマトーチ3は多関節ロ
ボット8の作動によりあらゆる方向の溶接に対応できる
ようになっている。なお図中10はプラズマ電源、11
は高周波ボックス、12は制御装置である。
【0018】そして上記プラズマトーチ3の構成は図6
に示すようになっていて、ノズル13内に設けられた電
極14の外側基部にスワラ15が設けてあり、このスワ
ラ15によってプラズマガス16が強い旋回流となって
電極14の先端に向けて流出するようになっている。上
記スワラ15は図7に示すようになっていて、電極14
を囲繞する空間に対して複数のガス噴出口15aが接線
方向に向けて設けてある。このガス噴出口15aは電極
14の軸心と直角状、あるいは少し電極14の先端側へ
傾斜した状態にしてある。
【0019】17はシールドキャップであり、これの内
側がシールドガス流路18となっており、これからシー
ルドガス19が噴出するようになっている。そしてこシ
ールドガス流路18内にはノズル13に対してシールド
キャップ17を絶縁状態に支持する絶縁リング20が介
装してあるが、この絶縁リング20には上記シールドガ
ス19が通るガス通路19aが、上記スワラ15のガス
噴出口15aと同様の形状や方向に、あるいはその他シ
ールドガスに旋回流を与え得るように設けられていて、
シールドガス19に旋回流を与えるようになっている。
この絶縁リング20による旋回流は、上記プラズマガス
16の旋回流と同一方向、あるいは逆方向となってい
る。
【0020】プラズマトーチ3の電極14には銅ホルダ
14aに電極としてタングステン棒、またはハフニウム
棒を埋め込んだ構造のものを用いた。この電極14の材
質は溶接時に使用するプラズマガスによって決定され、
プラズマガスに非酸化性気体を用いるときにはタングス
テンが、また酸化性気体を用いるときにはハフニウムを
用いる。また電極14は先端がフラットになった形状を
しており、さらに銅ホルダ14aの内部に水ジャケット
21が設けてあり、電極14を水にて冷却するようにし
ている。
【0021】上記構成のプラズマトーチ3によれば、プ
ラズマトーチ16に強い旋回流が与えられることによ
り、ノズル13より噴出したプラズマジェットの噴出す
る方向は電極14の軸方向成分と電極14の軸方向と垂
直の成分とに分解されるため、溶接部に対するプラズマ
ジェットの圧力を一定にすれば、プラズマガスに旋回流
を与えない場合に比較してプラズマガス流量を増加させ
ることができる。これにより、溶接中に発生する金属、
蒸気ガスがノズル内部に入り込みにくくすることができ
る。
【0022】また、電極14の先端をフラットにしたこ
とにより、金属蒸気やスパッタがノズル内部に入り込ん
でも電極が受けるダメージは、とがった電極を用いる場
合と比較してはるかに小さくなり、金属蒸気やスパッタ
に対して鈍感になる。またとがった電極を用いる場合の
ように、電極を再研磨してとがらせる必要かないため、
長時間にわたって安定した溶接を行なうことができる。
【0023】さらに、電極内部を直接水冷していること
から、電極14の熱負荷を大幅に低減できるので、電極
の消耗をとがった電極を用いる場合と比較してはるかに
減らすことができる。また、アルミニウムなどの酸化被
膜を持った金属を溶接するときに使用するような電極と
母材の極性の反転を行なっても、また、この極性が交互
に反転する交流溶接を行なっても、電極14の消耗は少
なく、長時間にわたって安定に溶接を行なうことができ
る。
【0024】一方シールドガス19に旋回流を与えるこ
とによりシールド効果を向上することができるが、この
シールドガス19の旋回流の旋回方向がプラズマガス1
6の旋回方向と同じ方向の場合は、プラズマアーク4を
強く緊縮させる効果があり、高エネルギー密度が要求さ
れるようなワークに対して有効である。そしてこれを本
溶接工程に用いた場合、溶融池表側径を小さく保ったま
ま、必要とするナゲット径が得られる。また、溶湯が撹
拌されることによりブローホール除去にも有効に働くと
考えられる。
【0025】またシールドガス19の旋回流の旋回方向
がプラズマガス16の旋回方向と逆方向の場合は、プラ
ズマアーク4の持つ旋回流成分を緩和させる作用がなさ
れるため、溶接時、溶融プールを安定に保つことができ
る。これを、ブローホール処理工程で用いることによ
り、ガスが抜ける時間をより長く確保できる。また大き
なナゲット、すなわち、大きな強度が要求される点溶接
に有効である。
【0026】次に上記構成のプラズマトーチを用いた本
発明の溶接方法による実施例の第1の具体例を説明す
る。溶接対象の2つのワーク1,2は軟鋼板(SP
C)、板厚tが双方とも2.3mmで、ワーク1側から
点溶接する。また溶接方向は下向きである。加工機には
図5に示した多関節ロボット8を用いた。溶接条件は表
1及び図8に示した。
【0027】
【表1】
【0028】使用したガスはプラズマガス、シールドガ
ス共にアルゴンガスに小量(20%)の水素ガスを混合
したガスを用いた。また使用したノズルの口径は3.0
mmで、スワラ15のガス噴出口16は口径0.5mm
のものを4箇所に設けた。
【0029】次に、本発明の溶接方法による実施例の第
2の具体例を説明する。溶接対象の2つのワーク1,2
はステンレス板(SUS304)、板厚tが双方とも
0.8mmで、ワーク1側から点溶接する。また溶接方
向は下向きである。加工機には図5に示した多関節ロボ
ットを用いた。溶接条件は表2及び図9に示した。
【0030】
【表2】
【0031】使用したガスはプラズマガス、シールドガ
ス共にアルゴンガスに小量(20%)の水素ガスを混合
したガスを用いた。また使用したノズルの口径は3.0
mmで、スワラ15のガス噴出口16は口径0.5mm
のものを4箇所に設けた。
【0032】次に本発明のプラズマアーク溶接方法によ
る実施例の第3の具体例を説明する。溶接対象の2つの
ワーク1,2は軟鋼板(SPC)、板厚tが2.3mm
と1.6mmで、2.3mmのワーク1側から点溶接す
る。また溶接方向は上向きとしたが、溶接条件を調節す
ればあらゆる方向の溶接が可能である。加工機には図5
に示した多関節ロボット8を用いた。溶接条件は表3及
び図10に示した。
【0033】
【表3】
【0034】使用したガスはプラズマガス、シールドガ
ス共にアルゴンガスに少量(7%)の水素ガスを混合し
たガスを用いた。また使用したノズルの口径は4.0m
mで、スワラ15のガス噴出口16は口径0.5mmの
ものを4個所に設けた。クラック処理工程では後熱のサ
イクルを2〜3回繰り返すと表面割れは殆ど発生しなく
なった。
【0035】次に本発明方法の第4の実施例の具体例を
説明する。溶接対象の2つのワーク1,2は高耐候性圧
延鋼板(SPA−H)、板厚tが2.3mmと1.6m
mで、2.3mmのワーク1側から点溶接する。また溶
接方向は上向きとしたが、溶接条件を調節すればあらゆ
る方向の溶接が可能である。加工機には図11に示した
ハンドトーチ(プラズマ溶接ガン)22を用いた。溶接
条件(その1及びその2)を表4、表5と図12に示し
た。
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】使用したガスはプラズマガスは純アルゴン
ガス、シールドガスはアルゴンガスに少量(7%)の水
素ガスを混合したガスを用いた。使用したノズルの口径
及びスワラ15は上記第1の実施例のものと同じであ
る。クラック処理工程では表の通り後熱のサイクルを3
回とした。これで表面割れは殆ど発生しなくなった。
【0039】なお、この第4の実施例において、第1の
実施例と異なってプラズマガスに純アルゴンを用いた理
由は、高耐候性圧延鋼板(SPA−H)は表面がリン酸
皮膜で覆われていて水素を含んだガスをプラズマガスと
して用いると、水素がリン酸皮膜中の酸素と反応して水
分が発生する。溶接ポイントに水分が発生するとブロー
ホールの原因になるため、プラズマガスを純アルゴンと
した。
【0040】またクラック処理工程の電流値、ガス流
量、時間を実施例の第1の具体例と変えた理由は、高耐
候性圧延鋼板(SPA−H)は機械的剛性が軟鋼(SP
C)と比較して高いので溶接後、溶接部の再凝固時に発
生する集中応力はかなり大きく、また、前述したように
高耐候性圧延鋼板(SPA−H)は表面がリン酸皮膜で
おおわれているので凝固時に最後に固まる部分には他の
部分と比較して不純物が含まれる割合が大きく、その部
分は延性が弱くなってしまい、軟鋼と同じクラック処理
を行っても必ず溶接終了部の中心部に割れが残ってしま
うためである。この対策として第2の発明に示したよう
なクラック処理を行い、再溶融させる溶融プールを軟鋼
の場合より小さくして溶接部のクラックの発生を防止し
たのである。
【0041】次に、本発明の溶接法による実施例の第5
の具体例として、溶接時にアシストガスに旋回を与え
て、溶接を実施した例を示す。表6はその際の溶接条
件、表7は溶融池の径を測定したものである。メインガ
スと同一方向の旋回をアシストガスに与えることによ
り、板の裏側での溶融池径が大きくなっており、深溶け
込みになっていることが分かる。また、表側径が旋回方
向によらず、無旋回の場合に比較して小さくなっている
のは、板表面を流れる高温のガスが、旋回する低温のア
シストガスによって、希釈されていることによる。さら
に、メインガスとアシストガスの旋回方向が逆の場合
の、溶接表面は平滑になっている。
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】以上のことにより、旋回方向が正反対のア
シストラインを2つ持ち、必要に応じて、どちらか一つ
あるいは両方にガスを流すことにより、溶接シーケンス
ごとにアシストガスに適切な旋回方向を与えることがで
きる。以下にその実施例を図13から図16を用いて説
明する。図13,図14(a),(b)は溶接トーチの
構造例、図15は溶接シーケンス例を示す。
【0045】まず、本溶接工程ではプラズマアークのエ
ネルギー密度を高くして、深い溶融池形状を作るため
に、2個のアシスト用スワラー23a,23bを設け、
その一方のスワラーよりアシストガスを供給して、この
アシストガスにメインガスと同じ方向の旋回を与える。
次に、ブローホール処理工程では、溶融金属の撹拌によ
って、気泡を抜くために、アシストガスを、一方あるい
は他方のアシスト用スワラーより供給して、このアシス
トガスをメインガスと同方向あるいは逆方向に旋回させ
る。最後に、クラック処理工程では、アシストガスを、
他方のアシストガス用スワラーより供給して、これをメ
インガスと逆方向に旋回させる事により、エネルギー密
度を下げ、必要な部分だけを溶かすと共に、溶融池を安
定に保ち、表面を平滑にする。このように、各溶接工程
毎に、アシストガスの旋回を、適切なものとすることに
より、深い溶け込み溶融部を得た上で、ブローホールの
除去を、さらに適切に行なうことができる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、プラズマアークを用い
て複数のワーク1,2を溶接するプラズマアーク溶接に
おいて、溶接の工程を本溶接工程、ブローホール処理工
程及びクラック処理工程に分割し、各工程に応じたシー
ケンスで制御しながら溶接を行なうことにより、従来技
術では取り切れなかった溶接終了部に発生するブローホ
ールを防止することが可能となった。また従来技術では
溶接部の表面、及び内部に発生していたクラックをあら
ゆる材料に対して防止することができた。さらにシール
ドガスを旋回しながら噴出するプラズマガスと同方向、
または逆方向に旋回させることにより、溶接部から発生
する金属蒸気やスパッタがノズル内部に入り込むのを防
止できると共に、高エネルギ密度が要求されるワークや
溶接時の溶融プールの安定性が要求されるワークに対し
ても対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のプラズマアーク溶接方法における概略的
なシーケンスを示す線図である。
【図2】従来のプラズマアーク溶接方法に用いられてい
たプラズマトーチの要部断面図である。
【図3】本発明方法の溶接パラメータの時間変化の様子
を示す線図である。
【図4】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は各
工程における溶接部様子を示す説明図である。
【図5】本発明方法を実施するための装置一例を示す斜
視図である。
【図6】本発明方法に用いるプラズマトーチの要部を示
す横断面図である。
【図7】スワラーの要部を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例の第1の実施例における溶接条
件を示す線図である。
【図9】本発明の実施例の第2の実施例における溶接条
件を示す線図である。
【図10】本発明の第3の実施例における溶接条件を示
す線図である。
【図11】ハンドトーチを示す側面図である。
【図12】本発明の第4の実施例における溶接条件を示
す線図である。
【図13】本発明の実施例の第5の実施例で使用する、
プラズマ溶融トーチの構造を示す断面図である。
【図14】本発明の実施例の第5の実施例で使用する、
プラズマ溶融トーチのアシスト旋回用の絶縁リングの断
面図であり、(a)は図13のA−A線に沿う断面図で
あり、(b)は図13のB−B線に沿う断面図である。
【図15】本発明の実施例の第5の実施例における溶融
条件を示す線図である。
【符号の説明】
1,2…ワーク、3…プラズマトーチ、4…プラズマア
ーク、5…溶接部、5a…溶融プール、6…気泡、7…
割れ、8…多関節ロボット、9…ロボットアーム、10
…プラズマ電源、11…高周波電源、12…制御装置、
13…ノズル、14…電極、14a…銅ホルダ、15…
スワラ、15a…ガス噴出口、16…プラズマガス、1
7…シールドキャップ、18…シールドガス流路、19
…シールドガス、19a…ガス通路、20…絶縁リン
グ、21…水ジャケット、22…ハンドトーチ、23
a,23b…アシストガス用スワラー。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマアークを用いて複数のワークを
    溶接するプラズマアーク溶接において、溶接工程を本溶
    接工程とブローホール処理工程に分け、本溶接工程で
    は、時間T1 、ガス流量Q1 、及び電流値I1 、または
    電流値を中心に、設定された周波数でパルス状に変化さ
    せた電流値によるプラズマアークにて、ワークを加熱、
    溶融することにより溶接し、ブローホール処理工程で
    は、上記本溶接工程の終了後にあらかじめ設定された時
    間T2 にわたってプラズマガスの流量だけをQ2 に減少
    させて引き続き溶接部を加熱することにより上記本溶接
    工程にて溶接部に入り込んだガスを追い出すようにした
    ことを特徴とするプラズマアーク溶接方法。
  2. 【請求項2】 プラズマアークを用いて複数のワークを
    溶接するプラズマアーク溶接において、溶接工程を本溶
    接工程とクラック処理工程に分け、本溶接工程では、時
    間T1 、ガス流量Q1 、及び電流値I1 、または電流値
    を中心に、設定された周波数でパルス状に変化させた電
    流値によるプラズマアークにて、ワークを加熱、溶融す
    ることにより溶接し、クラック処理工程では、本溶接工
    程終了後に、あらかじめ設定した時間T3 にわたってア
    ークを停止または十分小さな電流値にした後、時間T4
    にわたって一定電流値I2 、ガス流量Q3 でアークを放
    出する加熱パターンを1回以上繰り返すことを特徴とす
    るプラズマアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】 プラズマアークを用いて複数のワークを
    溶接するプラズマアーク溶接において、溶接工程を本溶
    接工程、ブローホール処理工程及びクラック処理工程に
    分け、請求項1記載の本溶接工程及びブローホール処理
    工程を行なった後、請求項2記載のクラック処理工程を
    行なうことを特徴とするプラズマアーク溶接方法。
  4. 【請求項4】 各工程における溶接時間、ガス流量、電
    流値を任意に設定可能にすると共に、クラック処理工程
    の1サイクルごとに、この工程での溶接時間T3
    4 、ガス流量Q3 、電流I2 を変化させたシーケンス
    で制御しながら溶接を行なうことを特徴とする請求項2
    または3記載のプラズマアーク溶接方法。
  5. 【請求項5】 プラズマガスを電極14の周囲から旋回
    流として噴出させ、またシールドキャップの内側から上
    記プラズマガスの旋回流と同一方向あるいは逆方向の旋
    回流にしてシールドガスを噴出させたことを特徴とする
    請求項1,2,3または4記載のプラズマアーク溶接方
    法。
JP17077594A 1993-07-27 1994-07-22 プラズマアーク溶接方法 Pending JPH07144278A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009157463A1 (ja) * 2008-06-24 2009-12-30 小池酸素工業株式会社 プラズマ切断トーチ
JP2010005636A (ja) * 2008-06-24 2010-01-14 Japan Ship Technology Research Association プラズマ切断トーチ
JP2014176865A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Honda Motor Co Ltd アークスポット溶接装置及びアークスポット溶接方法

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