JPH07143894A - タンパク質の生産方法 - Google Patents

タンパク質の生産方法

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JPH07143894A
JPH07143894A JP5293554A JP29355493A JPH07143894A JP H07143894 A JPH07143894 A JP H07143894A JP 5293554 A JP5293554 A JP 5293554A JP 29355493 A JP29355493 A JP 29355493A JP H07143894 A JPH07143894 A JP H07143894A
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JP
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protein
gene
thermus
dna
thermostable
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JP5293554A
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Yasuo Oshima
泰郎 大島
Akihiko Yamagishi
明彦 山岸
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 選択マーカー遺伝子を含有し、資化性タンパ
ク質あるいは生育上必須となるタンパク質をコードする
遺伝子を欠失させたサーマス属菌を、非耐熱性タンパク
質をコードする構造遺伝子が該選択マーカー遺伝子のフ
ランキング領域ではさまれたDNAで形質転換して相同
部位組換えを行い、次いで昇温して該選択マーカー遺伝
子の欠失及び非耐熱性構造遺伝子を発現する形質転換体
を選択し、更に該形質転換体を培養して、該非耐熱性構
造遺伝子のコードする非耐熱性タンパク質を耐熱性タン
パク質として発現させることによりタンパク質を生産す
る。 【効果】 本発明の方法により、耐熱性の付与が望まれ
る非耐熱性のタンパク質を、人為的に耐熱化することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝子組換え技術によ
り、非耐熱性タンパク質をコードする遺伝子を高熱性菌
であるサーマス属菌中において発現させ、耐熱性タンパ
ク質を生産させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする問題点】一般
に、タンパク質は熱に対して不安定である。しかし、高
熱性菌はその生育温度が50℃以上と高く、その菌が有
する酵素は、そのような高い生育温度付近で最大活性を
示す。また、高熱性菌の構成タンパク質は、高い生育温
度において十分高次構造を保っている。
【0003】そこで通常の酵素に見られるように、常温
では安定だが高温では不安定なタンパク質を、高い温度
においても安定にその機能を発現するようなタンパク質
に置き換えることができれば、その酵素などのタンパク
質を使用した系が安定化され、特に発酵産業等の工業的
なプロセスにおいて有益に使用され得ると考えられた。
【0004】近年、種々の高熱性菌から各種タンパク質
が分離精製され、常温で安定なタンパク質と同様な機能
を有するタンパク質が幾つか見いだされている。しかし
このような方法では見いだされるタンパク質の種類や数
は制限されており、十分には実用化されていないのが現
状である。常温では安定だが高温では不安定な酵素など
のタンパク質を、人工的に、高い温度においても安定に
その機能を発現するような耐熱性のタンパク質に変える
ことができれば、それらタンパク質の利用範囲は著しく
広がる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、先に選
択マーカー遺伝子としてイソプロピルリンゴ酸デヒドロ
ゲナーゼ遺伝子を用いて、選択マーカー遺伝子と非耐熱
性構造遺伝子のキメラタンパク質を耐熱化する方法を発
明した(特開平4−252193号公報)。本願発明者
らは、選択マーカー遺伝子として、挿入、欠失両方にポ
ジティブ選択マーカーとなるものを用いることにより、
野生株、欠損株の両方がポジティブ選択でき、更に、非
耐熱性外来タンパク質をコードする遺伝子を開始コドン
から終止コドンまでを入れ替えると、該遺伝子がコード
する非耐熱性のタンパク質が耐熱化できることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明の要旨は、選択マーカー遺
伝子を含有し、資化性タンパク質あるいは生育上必須と
なるタンパク質をコードする遺伝子を欠失させたサーマ
ス属菌を、非耐熱性タンパク質をコードする構造遺伝子
が該選択マーカー遺伝子のフランキング領域ではさまれ
たDNAで形質転換して相同部位組換えを行い、次いで
昇温して該選択マーカー遺伝子の欠失及び非耐熱性構造
遺伝子を発現する形質転換体を選択し、更に該形質転換
体を培養して、該非耐熱性構造遺伝子のコードする非耐
熱性タンパク質を耐熱性タンパク質として発現させるこ
とを特徴とするタンパク質の生産方法に存する。
【0007】以下、本発明につき詳細に説明する。 選択マーカー遺伝子(以下、「マーカー遺伝子」と
略記する) 本発明で使用されるマーカー遺伝子としては、挿入、欠
失両方にポジティブ選択マーカーとなるものであれば特
に制限はされない。具体的には、オロチジン−5−フォ
スフェイトピロフォスフォリラーゼ(以下、「pyr
E」と略記する)が挙げられる。pyrEは、例えばサ
ーマス・サーモフィラス(Thermusthermo
philus) HB27が有する染色体DNAより調
製することができる。
【0008】マーカー遺伝子pyrEを含有するDNA
ライブラリーとしては、T.thermophilus
HB27から調製してきた染色体DNAを用いて、適
当な制限酵素で切断後、pUC19(Gene,33
103−119(1985))等のプラスミドにクロー
ニングし、常法により大腸菌に形質転換する(Mole
cular Cloning (1982)p249,
Cold Spring Harbor Lab
s.)。このライブラリーを用い、サーマス菌pyrE
欠損株の復帰を指標として、サーマス菌野生型pyrE
を大腸菌上にクローニングできる。更に、上記のスクリ
ーニング陽性のコロニーから、Sangerらのジデオ
キシ法(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,74,5463(1977))によって、目的とす
るDNAを含むDNAフラグメントの塩基配列が決定で
きる。
【0009】 宿主 本発明で用いられる宿主は、選択マーカー遺伝子を含有
し、サーマス属菌由来でその資化性タンパク質あるいは
生育上必須となるタンパク質をコードする遺伝子を欠失
した、または欠失させたサーマス属菌である。耐熱化さ
せたい非耐熱性のタンパク質がサーマス属菌の資化にと
って必要なタンパク質の場合、宿主からそのタンパク質
をコードする遺伝子、あるいはその資化経路に関与して
それを失った場合生育できず、耐熱化の目的の外来タン
パク質が発現した場合生育できる、というようなタンパ
ク質をコードする遺伝子を欠失させなければならない。
例えば、該タンパク質をコードする遺伝子を欠失させ、
フランキング領域(5’側と3’側の近傍領域)だけを
挿入したプラスミドを用いて野生株を形質転換させ、そ
の後相同部位組換えを行うことにより容易に得ることが
できる。本発明で用いられる宿主は、非耐熱性タンパク
質をコードする構造遺伝子がマーカー遺伝子のフランキ
ング領域ではさまれたDNAで形質転換し、相同部位組
換えが行われるとマーカー遺伝子欠損株となる。マーカ
ー遺伝子としてpyrEを用いた場合は、pyrE遺伝
子欠損株となり、ウラシル要求性となる。同時に5−フ
ルオロオロト酸(以下、「5FOA」と略記する)耐性
となる。従って、5FOA耐性株をいくつか得、その中
から安定したウラシル要求変異株を選択することによ
り、容易に相同部位組換え体株を得ることができる。
【0010】 発現ベクター 上記の宿主を形質転換するために本発明で使用するD
NAの特徴は、耐熱性タンパク質として生産させたい外
来タンパク質を、記載の選択マーカー遺伝子の5´側
と3´側の近傍領域、即ちフランキング領域で挟まれた
DNA断片を含むことにある。本発明においては、かか
るDNAは、形質転換の中で核外遺伝子として存在させ
て発現させるのではなく、後述の相同部位組換えによっ
て染色体の選択マーカー遺伝子の位置に組み込み発現さ
せるので、選択マーカー遺伝子と非耐熱性構造遺伝子が
該選択マーカー遺伝子のフランキング領域で挟まれたD
NA断片は、宿主の染色体と相同部位組換えし得る形態
であれば特に制限はない。もとよりかかるDNA断片を
発現ベクターに組み込んで使用してもよい。
【0011】 外来非耐熱性構造遺伝子 耐熱化される外来非耐熱性構造遺伝子とは、常温では正
常な蛋白機能を有するが、温度を上げるに従ってその機
能が低下し、ついには失われてしまうようなタンパク質
をコードするような遺伝子である。好ましくは、そのタ
ンパク質の機能がサーマス属菌の資化にとって必要であ
るもの、あるいは生育のために必須であるものである。
例えば、C源としてラクトースのみを用いたとき必要と
なるβ−ガラクトシターゼや、生育培地に抗生物質カナ
マイシンを入れたとき必須となるカナマイシンヌクレオ
チジルトランスフェラーゼなどが挙げられる。
【0012】宿主の形質転換 宿主の形質転換は、例えば、Y.Koyamaら(J.
Bacteriol.,166,338−340(19
86))の報告した方法に従って行うことができる。形
質転換させる時、DNAまたは、形質転換させたい遺伝
子を持つプラスミドを保持する菌(例えば大腸菌)を培
養液に混ぜるが、その時の温度は約50℃から80℃の
適度なものを選び培養する。また、形質転換に用いる培
養液としてはサーマス属菌用最少培地を用い、カルシウ
ムイオン、マグネシウムイオン等の2価のイオン濃度
を、それぞれ1〜3mMに調製することにより、形質転
換の効率を上げることができるので好ましい。
【0013】 相同部位組換え 上記のようにして形質転換し、約50〜80℃の温度
の条件下において相同部位組換えを行う。例えば、染色
体DNAの選択マーカー遺伝子のフランキング領域と発
現ベクター中の該フランキング領域との相同の2つの領
域が組換えを起こし、染色体上に発現ベクター中の非耐
熱性構造遺伝子が組み込まれる。
【0014】この組換えは、形質転換後、サーマス属菌
用最少培地プレートで、約50〜70℃の温度の条件下
で24〜48時間培養している間に起こる。充分に相同
組換えを行わせるため、再度、同じ培地プレートで同じ
条件下で培養し、続いてサーマス属菌用栄養培地で約6
0〜70℃で12〜24時間培養後、最後にサーマス属
菌用最少培地で約60〜80℃の温度の条件の下で48
〜96時間培養する。このように、培養を繰り返し行う
ことは、相同組換えを充分に行わせるのに効果的である
のと同時に、導入した非耐熱性構造遺伝子を、耐熱性の
構造遺伝子に変えるのに効果的である。また、効率よく
非耐熱性構造遺伝子を耐熱性の構造遺伝子に変えるため
には、培養菌体に変異処理を行えばよい。具体的には、
例えば、紫外線照射、エチジウムブロマイド処理、ニト
ロソグアニジン処理等が挙げられる。ニトロソグアニジ
ン処理の場合、好熱菌を好熱菌栄養培地に植え継ぎ、ニ
トロソグアニジン(0.1〜10mg/ml程度)を加
え、生育限界温度より高い温度で一晩からに二晩培養す
ればよい。
【0015】 目的のタンパク質が発現している形質
転換体を得る手順 上記のように形質転換を行った後、例えば、後述の実施
例に示すようなサーマス属用最少培地プレートで形質転
換の時より5〜15℃程度低いか同じ温度で、24〜4
8時間位培養する。生育してきたものを、同培地プレー
トで今度は、形質転換後の最初の培養より5〜10℃高
いか、同じくらいの温度で、24〜48時間培養する。
ここで生育してきた菌をサーマス属菌用の栄養培地で充
分培養し、該菌が生育できる範囲のなるべく高い温度
(この場合は組み込む非耐熱性タンパク質の性質によ
る)の条件下でサーマス属菌用最少培地を用い、48〜
96時間培養する。
【0016】このような、培養の繰り返しや培地の種類
を途中で変えることは、必ずしもこの通りやらなくても
よいが、重要なのはこのような方法を行うことによって
相同部位組換えや、導入された非耐熱性構造遺伝子を耐
熱性構造遺伝子に転換させることを、充分に行わせるこ
とにある。生育してきた菌を単離して染色体に目的の該
遺伝子が組み込まれているかどうかをサザンハイブリダ
イゼーション等の方法を用いて調べ、該形質転換体から
組み込まれた非耐熱性構造遺伝子がコードするタンパク
質を精製し耐熱性を調べる。例えば、それが酵素なら、
高い温度(50−80℃)における活性を調べて耐熱度
を測定し、耐熱性を持った目的のタンパク質が得られて
いることを確認する。
【0017】
【発明の効果】本発明の方法により、耐熱性の付与が望
まれる非耐熱性のタンパク質を、人為的に耐熱化するこ
とができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例に
おける操作は、特に記載する場合を除き次のI−VII の
方法に従った。 I 制限酵素によるDNAの切断は、市販されている制
限酵素を用い、その標品に示されている組成の緩衝液を
用い、1μgのDNAに対して2単位の酵素を使用し
て、37℃で1時間反応させた。
【0019】II 大腸菌の形質転換はMolecula
r Cloning(1982)p249,Cold
Spring Harbor Labs.に記載の方法
に、大腸菌からのプラスミドの精製は、同p.86の記
載の方法に従った。
【0020】III T4DNAリガーゼによるDNAの
連結は、以下のようにして行った。連結する2個の断片
は、1μg/10μlになるように、連結緩衝液(66
mMのTris−HCl(pH7.5)、6.6mMの
MgCl2 、10mMのジチオスレイトールからなる)
に溶解し、66μMのATPを加え、さらにT4リガー
ゼを0.1単位/μg−DNAとなるように加えて、4
℃で18時間反応させた。
【0021】IV DNA溶液からのDNA精製のために
は、次のような操作を行う。反応液等のDNAを含む溶
液に対し等量のフェノール/クロロホルムを加えた後激
しく混和し、遠心分離操作により核酸を含む水層を回収
するいわゆるフェノール/クロロホルム抽出を行う。こ
の様にして得られた水層に、1/10量の3M酢酸ナト
リウムもしくは等量の4M酢酸アンモニウムと水層の2
倍容のエタノールを加えて混和し、−20℃で一晩もし
くは−80℃で15分以上静置した後、15000回転
で遠心を行い核酸を沈澱物として回収する、いわゆるエ
タノール沈澱を行う。
【0022】V DNAのゲルからの切り出しは、Mo
lecular Cloning(1982)p16
4,Cold Spring Harbor Lab
s.に記載の方法に従った。
【0023】VI 好熱菌サーマス属の形質転換は、基本
的にはY.Koyamaら(J.Bacterio
l.,166,338−340(1986))の記載の
方法に従った。また培地組成については、2価イオンの
濃度による影響を考え次のようなものを用いることもで
きる。これをサーマス属菌用最少培地(8gポリペプト
ン、4g酵母エキス、2gNaCl/滅菌水1リット
ル;上記組成の他に2mMMgCl2 、2mM CaC
2 の濃度で2価イオンが含まれている。これらを混合
後、NaOHでpH7.5に調製した)と呼び、用いる
ことにした。またプレートを作製する場合、1L用の組
成にまず滅菌水500ccを加え、それとは別にジュラ
ンガム10g/500ccを調製し、別々にオートクレ
ーブ後混ぜ合わせ、冷めないうちに(約60−70℃以
上あるうちに)シャーレにまく。またジュランガムを溶
かすときに水を加熱しながら、スターラーで攪はんし、
ジュランガムを少しずつ入れ溶かすようにして泡を作ら
ないようにする。この操作は好熱菌を死滅させるのに有
効である。また形質転換する場合でなく、普通の培養の
時は、Tanakaらの方法(Biochem.,
,677−682(1981))に従い、これをサー
マス属菌用栄養培地として以下に用いた。この培地での
プレートの作製は、前記のプレートの作製方法と同様に
して行った。
【0024】VII DNAの突出末端を平滑末端化する
方法は次のようにして行った。つまり約0.1−2μg
のDNAに20μlの滅菌水、10×nick tra
nslation buffer(この溶液の組成は、
次の文献MolecularCloning(198
2)Cold Spring Harborの記載の方
法に従った)2.5μlを加え、更にこの溶液にdAT
P,dGTP,dCTP,dTTPのそれぞれの濃度が
2mMになっている溶液を1μlを加え、最後に東洋紡
(株)製のKlenowフラグメントを0.5μl(5
単位)加え、16℃、30分反応させた。
【0025】実施例1 pyrE遺伝子のクローニン
グ 基質となるサーマス・サーモフィラス(Thermus
thermophilus) HB27の染色体DN
Aを、常法に従って調製した。すなわち培養菌体よりフ
ェノール−クロロホルム法 Molecular Cl
oning(1982)Cold Spring Ha
rborに従い、若干の改良を加え以下のごとく調製し
た。
【0026】サーマス・サーモフィラス(Thermu
thermophilus)HB27を上記の培地
100mlに植菌して培養した後集菌し、この菌体をT
ES(10mM Tris−HCl(pH7.5),1
mM EDTA,50mMNaCl)で洗浄後TE(1
0mM Tris−HCl(pH7.5),1mMED
TA)5mlに懸濁し、リゾチーム10mgを加えて3
7℃で30分間インキュベートした後、凍結−再融解を
繰り返して細胞を破壊した。次に1/2量の1%(w/
v)のSDSを穏やかに振とうしながら加え、更にプロ
テイナーゼK(シグマ社製)を終濃度0.1mg/ml
になるように加えて、60℃で5時間インキュベートす
る。次に等量のTE飽和フェノール・クロロホルムを加
え、一晩室温で穏やかに振とうする。遠心後、上層をと
り等量のクロロホルムを加え再抽出する。遠心後の上層
に等量のエタノールを加えた後ガラス棒でDNAを巻き
とり、70%、85%、99.5%のエタノールで順次
脱水する。次にDNAを3mlのTEバッファーに溶解
させた後100℃、10分間の加熱処理したRNase
A水溶液を終濃度10μg/mlになるように加えて3
7℃で1時間保温する。その後、フェノール処理、エタ
ノール沈澱によりDNAを回収する。この結果700μ
gの染色体DNAが得られた。
【0027】上記のように調製した染色体DNA5μg
を、制限酵素BamHIでIの方法に従い反応し、IVの
方法によりDNAを回収した。この切断したDNAを、
Iの方法に従い制限酵素BamHIで切断しIVの方法に
よりDNAを回収したプラスミドpUC19とIII の方
法で連結した。この連結ベクターを大腸菌HB101に
IIの方法で形質転換した。次にサーマス・サーモフィラ
ス HB27を、ウラシル(50μg/ml)を含むVI
の好熱菌培地プレート上で生育後、紫外線照射を60秒
行い、70℃で3時間培養した。ニトロセルロースフィ
ルター(ミリポア社製)にレプリカをとり、5FOA
(0.2mg/ml)を含むVIの好熱菌培地プレート上
に移し、70℃で3時間培養した。このプレート上に生
えてきた5FOA耐性株17個をピックアップし、更に
ウラシルを含まない培地で生えなかった4個のコロニー
をpyrE欠損株として選んだ(FOR1,4,13,
17)。これら4個の株のオロチジン−5−フォスフェ
イト ピロフォスフォリラーゼ(以下「OMPppas
e」と略記する)、オロチジン−5−フォスフェイト
デカルボキシラーゼ(以下「OMPdcase」と略記
する)活性を調べた。ウラシル要求性となるのは、これ
らのどちらかが欠失した場合で、pyrE欠損株はOM
Pppase活性を失ったものである。各コロニー、F
OR1,4,13,17をウラシルと5FOAを含むVI
の好熱菌培地10mlで一晩培養後、3000回転、1
0分間で集菌し、20mM Tris−HCl(pH
8.0)1mlに溶解し、超音波破砕(100W,10
分)行った。OMPdcaseの活性測定は、20mM
Tris−HCl(pH8.0)、2mM MgCl
2 、0.2mM OMPをトータル1mlとし、そこに
上記好熱菌抽出物50μlを加えて、50℃でインキュ
ベートし、吸光度285nmの減少を測定した。OMP
ppaseの活性測定は、20mM Tris−HCl
(pH8.0)、2mM MgCl2 、0.3mM オ
ロテイト ナトリウム、0.1mM PRPP(5−ホ
スホリボシル−1−ピロリン酸)をトータル1mlと
し、そこに上記の好熱菌抽出物50μlを加えて、50
℃でインキュベートし、吸光度295nmの減少を測定
した。表1に示すように、FOR4以外はOMPppa
seを失い,OMPdcase活性を持っていた。ここ
で1unitは1μmolの基質が生産物となる活性を
表す。
【0028】
【表1】 表 1 ──────────────────────────────────── wild FOR1 FOR4 FOR13 FOR17 ──────────────────────────────────── OMPdcase(unit/mg protein) 0.398 0.538 0.004 0.679 0.414 OMPppase(unit/mg protein) 0.090 0.005 0.084 0.008 0.004 ──────────────────────────────────── FOR13をVIの好熱菌培地で培養し、対数増殖期の菌
を3000回転、10分間で集菌し、VIの最小培地で2
回洗った後、ウラシルの入ってないVIの好熱菌培地プレ
ート上に2×107 cellsになるようにまき、上記
のように調製した、大腸菌ライブラリーのレプリカフィ
ルター(ミリポア社製)をその上に載せた。4個の陽性
コロニーが確認された。この位置に相当する大腸菌のマ
スタープレート上のコロニーから、プラスミドをIIの方
法によりプラスミドを精製し、ジデオキシ法により目的
のDNAの塩基配列を決定した。このプラスミドをpO
M17とする。
【0029】実施例2 インテグレーションベクターの
作製 ベクターpUC19を制限酵素KpnIでIの方法によ
り切断した後、10×CIPバッファー、アルカリフォ
スファターゼ(東洋紡社製)を加え37℃、1時間イン
キュベートし、脱リン酸化した(以下、「脱リン酸化処
理」と略記する)。次に、pyrE遺伝子を持つベクタ
ーpOM17をKpnIでIの方法により切断した後、
電気泳動を行い、Vの方法で1.7kbpのフラグメン
トを回収し、IVによりDNAを精製した。このフラグメ
ントと先ほどのベクターをIII の方法で連結し、大腸菌
JM109にIIの方法で形質転換した。得られたコロニ
ーをランダムにピックアップして培養後、IIの方法でプ
ラスミドを精製し、制限酵素KpnI、XbaIでIの
方法で切断、電気泳動により、フラグメントの挿入を確
認し、pUC19のlacプロモーターの向きとpyr
E遺伝子の向きが逆向きなプラスミドpUK2を製作し
た。
【0030】pUK2のpUC19部分のマルチクロー
ニングサイトにあるXbaIサイトを取り除くために、
BamHIとHindIII でIの方法で反応後、IVによ
りDNAを精製し、TEに溶解し、DNAの平滑末端反
応をVII の方法で行った後III の方法で連結し、IIによ
り大腸菌JM109に形質転換した。得られたコロニー
をランダムにピックアップして培養後、IIによりプラス
ミドを精製、XbaIでIの方法で反応し、切断され
ず、サイトがなくなったものをpUK2−4とした。
【0031】実施例3 カナマイシン耐性遺伝子とイン
テグレーションベクターの連結 カナマイシン耐性遺伝子は、H.Lioaら(Proc
eeding National Academy o
f Science USA,83,576−580
(1986))のTK101株由来のものを用いた。こ
のカナマイシン耐性遺伝子をポリメラーゼ チェイン
リアクション法(以下「P.C.R.法」と略記する)
(Sciece,239,487−491(198
3))によりXhoI,EcoRIサイトを持ったフラ
グメントとして得た。P.C.R.法は、パーキンエル
マーシータス DNAサーマルサイクラーを使用して、
その使用説明書に基づき、ジーンアンプキットを使って
行った。すなわち基質DNApBST16を1μl
(0.5μg相当量)、10倍濃度の反応緩衝液(50
0mMKCl,100mM Tris−HCl(pH
8.3)15mM MgCl2,0.1%(w/v)ゼ
ラチン)10μl、1.25mM 4dNTP 16μ
l、50μM プライマー1、2(配列表の配列番号
1、2)各5μl、Taqポリメラーゼ 0.5μlを
加えて100μlの系とする。反応は94℃で2分間
(変性ステップ)、55℃で2分間(アニーリングステ
ップ)、72℃で2分30秒(伸長ステップ)のインキ
ュベーションを25サイクル行った。反応後、電気泳動
し、Vにより790bpのDNAを回収、IVによりDN
Aを精製し、TEに溶解した。このDNAをXhoI,
EcoRIでIの方法により切断、IVにより精製後、VI
I によりDNA平滑末端反応を行った。次に、pUK2
−4をXbaIで反応し、IVにより精製後、TEに溶解
して、VII によりDNA平滑末端反応を行った。反応
後、IVにより精製、TEに溶解して、脱リン酸化処理し
た。このベクターと上記の790bpのフラグメントを
III により連結し、IIの方法で形質転換した。得られた
コロニーをランダムにピックアップして培養後、IIの方
法でプラスミドを精製、ジデオキシ法により配列を決定
し、カナマイシン耐性遺伝子の挿入を確認した。このプ
ラスミドをpKM3とした。
【0032】実施例4 好熱菌への導入、相同組換え サーマス・サーモフィラス HB27に、上記作製ベク
ターpKM3をVの方法で形質転換し、5FOAプレー
トにまき、70℃で24〜48時間培養した。発現した
5FOA耐性コロニーをカナマイシン濃度を25μg/
mlとしたプレートに撒き、48℃で一晩培養した。得
られたコロニーを再度、5FOAプレートにまき、70
℃で24〜48時間培養した。得られたコロニーから常
法により、染色体DNAを調製し、上記P.C.R.法
で作製したカナマイシン耐性遺伝子を含む790bpD
NA断片をプローブとして、常法によりサザンハイブリ
ダイゼーションを行い、陽性の結果を得た。こうして得
られた株をKB305とした。
【0033】実施例4 ニトロソグアニジンによる変異
導入 KB305株をVIの好熱菌培地に植え継ぎ、ニトロソグ
アニジン(2.5mg/ml)、カナマイシン(200
μg/ml)を加え64℃で3日間培養した。得られた
株をKN502株とした。 実施例5 温度耐性試験 野生株HB27、カナマイシン耐性遺伝子導入株KB3
05、変異処理した株KN502を、カナマイシン15
0μg/mlを含む培地で、種々の温度で培養した(表
2)。その結果、KB305株は56℃、KN502株
は少なくとも66℃まで耐性を示すことがわかった。
【0034】
【表2】 表 2 ─────────────────────────── 菌 株 温度(℃) 56 64 66 72 ─────────────────────────── HB27 − − − − KB305 + − − − KN502 + + + ± ───────────────────────────
【0035】実施例6 耐熱化酵素からの遺伝子回収及
び変異部位 耐熱化したKN502株から、常法により染色体DNA
を調製し、制限酵素KpnIでIの方法で切断し、IVの
方法によりDNAを精製、pUC19のKpnIサイト
にIII の方法で連結し、大腸菌JM109にIIの方法で
形質転換しカナマイシン(25μg/ml)入りのLB
プレートに撒いた。得られた陽性コロニーから、IIの方
法でプラスミドを精製しジデオキシ法でカナマイシン耐
性遺伝子の配列を決定した。開始コドンから513bp
の塩基配列をTK101株由来の同配列と比較したとこ
ろ、389番目のAがGに変異しており、それによりア
ミノ酸がLysからArgに変わっていた。
【0036】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCTACTCGAG CAAATCTAAA 20
【0037】配列番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCTAGAATTC CGTAACCAAC 20
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 選択マーカー遺伝子を含有し、資化性タ
    ンパク質あるいは生育上必須となるタンパク質をコード
    する遺伝子を欠失させたサーマス属菌を、非耐熱性タン
    パク質をコードする構造遺伝子が該選択マーカー遺伝子
    のフランキング領域ではさまれたDNAで形質転換して
    相同部位組換えを行い、次いで昇温して該選択マーカー
    遺伝子の欠失及び非耐熱性構造遺伝子を発現する形質転
    換体を選択し、更に該形質転換体を培養して、該非耐熱
    性構造遺伝子のコードする非耐熱性タンパク質を耐熱性
    タンパク質として発現させることを特徴とするタンパク
    質の生産方法。
  2. 【請求項2】 選択マーカー遺伝子が、ウラシル合成酵
    素オロチジン−5−フォスフェイトピロフォスフォリラ
    ーゼ(pyrE)であることを特徴とする請求項1記載
    のタンパク質の生産方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005019437A1 (ja) * 2003-08-22 2005-03-03 Suntory Limited 脂質生産菌の育種方法

Cited By (4)

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WO2005019437A1 (ja) * 2003-08-22 2005-03-03 Suntory Limited 脂質生産菌の育種方法
JPWO2005019437A1 (ja) * 2003-08-22 2007-11-01 サントリー株式会社 脂質生産菌の育種方法
CN100381558C (zh) * 2003-08-22 2008-04-16 三得利株式会社 脂质生产菌的育种方法
JP4537319B2 (ja) * 2003-08-22 2010-09-01 サントリーホールディングス株式会社 脂質生産菌の育種方法

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