JPH07289262A - 部位特異的変異導入方法 - Google Patents
部位特異的変異導入方法Info
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- JPH07289262A JPH07289262A JP7063484A JP6348495A JPH07289262A JP H07289262 A JPH07289262 A JP H07289262A JP 7063484 A JP7063484 A JP 7063484A JP 6348495 A JP6348495 A JP 6348495A JP H07289262 A JPH07289262 A JP H07289262A
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Abstract
及びそれに用いるためのベクターを提供する。 【構成】 部位特異的変異の標的となるDNA断片を挿
入した2本鎖DNAベクターを熱変性することにより1
本鎖DNAを形成させる工程を含む部位特異的変異導入
方法。選択プライマーを用いて1本鎖DNAから2本鎖
DNAを調製する工程を含む部位特異的変異導入方法。
前記各方法に用いるためのベクターであって、1箇所以
上のアンバーコドンを含む薬剤耐性遺伝子を有する部位
特異的変異導入用ベクター。
Description
用される部位特異的変異導入(Site-Specific Mutagene
sis)を、より一層簡素化するための方法及びそれに使用
するベクターに関する。
伝子をクローニングし、発現するだけの技術では、有用
な物質を単にそのまま大量に取得するための方法として
も成功する例は少ない。部位特異的変異導入法によっ
て、最大の発現量を得るためにフレームを合わせ、また
アミノ酸配列を変えることなく開始コドン付近のDNA
配列を変える操作は、最低限必要な技術である。また、
クローニング発現させた蛋白質をより有用なものにする
ため、部位特異的変異導入法を用いて、アミノ酸を削
除、変換し、その物質の特異性を変化させ、その物質が
酵素である場合なら、最適pH、安定性、基質特異性、
Km値等を操作する技術は必須である。更に、蛋白質工
学研究分野の手法としても、部位特異的変異導入法を用
いてDNAレベルでの変異導入、削除は、研究をより迅
速、正確に行う技術として重要である。
ップトデュプレックス法)は次の項目から成っている。 (1)まず、ファージ由来の1本鎖と2本鎖で存在でき
るベクターであってアンバーコドンを含むベクターに目
的の変異を導入したいDNAをクローニングする。 (2)クローンの一本鎖DNAをファージ感染により調
製する。 (3)この1本鎖DNAと、外来DNAの挿入されてい
ない2本鎖ベクターを直鎖状にしたものとを、変性後ハ
イブリダイズさせて、目標DNAの部分が一本鎖でベク
ターの部分が2本鎖になっているDNA(ギャップトデ
ュプレックスDNA)を形成させる。 (4)次に導入したい変異のとおりに化学合成したオリ
ゴヌクレオチド(変異プライマー)をハイブリダイズさ
せて、ポリメラーゼ反応とリガーゼ反応によりギャップ
を埋め、目的の変異点以外は完全に相補的な2本鎖DN
Aを調製する。 (5)このDNAを、mutSの宿主大腸菌(DNAの修復
能力を欠損している株)にトランスフェクションし、親
DNAを持つファージクローンと変異DNAを持つファ
ージクローンを成育させる。 (6)更に、 sup°の宿主大腸菌にトランスフェクショ
ンし、目的の変異DNAを持つファージクローンを選択
する。 しかしながら、この方法はファージ感染による1本鎖D
NAの調製や、外来DNAの挿入されていない2本鎖ベ
クターの調製が必要であり、操作が煩雑である。更に、
ファージベクターを使用するので、大きなDNA断片、
例えば5kb以上の長さのDNAは挿入されにくく、ま
た、ファージ特有の複製過程で変異が起こりやすい欠点
が指摘されている。特開平1−252291号公報に
は、これらの課題を解決するためのベクターとして、プ
ラスミド/ファージ融合ベクターが記載されている。こ
れは、アンバーコドンを含むアンピシリン耐性遺伝子と
バクテリオファージM13由来のインタージェニックリ
ージョンを含んだ約3.2kbの融合ベクターである。こ
のベクターは、比較的大きなサイズの遺伝子が挿入でき
る利点があり、更に、複製時に変異が生じる不安定性が
認められない。しかし、このベクターを用いて部位特異
的変異導入を行う場合でもやはりヘルパーファージを感
染させて1本鎖DNAを調製しなければならず、また、
外来DNAの挿入されていない直鎖状2本鎖DNAの調
製も必要であり、操作が煩雑である。更に、このベクタ
ーはアンピシリン耐性遺伝子を含むので以下のような問
題も有している。すなわち、アンピシリン耐性は該遺伝
子がコードするβ−ラクタマーゼによるアンピシリンの
不活化によってもたらされるが、この酵素は分泌性タン
パク質であるので、過剰量の菌体をプレートにまくと、
分泌されて漏れだしたβ−ラクタマーゼのためにその部
分のアンピシリンが不活化され、アンピシリン感受性の
菌も生育してしまう。したがって、1枚のプレートにま
くことができる菌体量が限られている。
がより簡便な部位特異的変異導入方法、及びそれに用い
るためのベクターを提供することにある。
発明の第1の発明は部位特異的変異導入方法に関し、部
位特異的変異の標的となるDNA断片を挿入した2本鎖
DNAベクターを熱変性することにより1本鎖DNAを
形成させる工程を含むことを特徴とする。本発明の第2
の発明は部位特異的変異導入に用いるためのベクターに
関し、1箇所以上のアンバーコドンを含むクロラムフェ
ニコール耐性遺伝子又はカナマイシン耐性遺伝子を有す
ることを特徴とする。
ベクターは、1箇所以上のアンバーコドンを含むクロラ
ムフェニコール耐性遺伝子又はカナマイシン耐性遺伝子
を含む。クロラムフェニコール耐性は、該遺伝子がコー
ドするクロラムフェニコールアセチルトランスフェラー
ゼによるクロラムフェニコールの不活化によってもたら
される。また、カナマイシン耐性は、該遺伝子がコード
するアミノグリコシド3′−ホスホトランスフェラーゼ
によるカナマイシンの不活化によってもたらされる。こ
れらの酵素は菌体内酵素なので、従来のアンピシリン耐
性のような問題はなく1枚のプレートにより多くの菌体
をまくことができる。特に、カナマイシン耐性遺伝子を
もつベクターは、他の薬剤耐性遺伝子を持つベクターに
比べて各薬剤存在下で培養した菌体からのベクターの収
率が高いので、特に好ましい。本発明のベクターは、そ
の他の配列、例えば適当なクローニングサイトを含んで
いてもよい。なお、本発明のベクターは部位特異的変異
導入に好適であるが、一般的なクローニングベクターと
しても効果的な使い方がある。すなわち、一般に、ある
クローニングベクターにクローニングされているDNA
断片を別のベクターに移しかえる際には、元のベクター
由来のバックグラウンドを除くために、DNA断片を精
製するか、別のベクターとして薬剤耐性が元のベクター
とは異なるベクターを選択して、元のベクター由来のク
ローンを除去する。しかし、本発明のベクターの適当な
クローニングサイトにDNA断片をクローニングしてお
けば、このベクターと同じ薬剤耐性(クロラムフェニコ
ール耐性又はカナマイシン耐性)をもつ他のベクターに
再クローニングする場合でも、supE宿主菌から sup°宿
主菌へと菌株を変えるだけで元のベクター由来のバック
グラウンドを容易に除去することができる。
は、例えば以下の工程によって行うことができる。 (1)本発明のベクターに標的となるDNAを挿入す
る。 (2)(1)で調製したDNA挿入ベクター、変異プラ
イマー、及び選択プライマーを、選択プライマーが過剰
の状態で混合して熱変性を行いこれらをハイブリダイズ
させる。 (3)ポリメラーゼ反応とリガーゼ反応により、変異プ
ライマーと選択プライマーとの間を埋め、目的の変異点
及び選択配列中の変異点以外は完全に相補的な二本鎖D
NAを調製する。 (4)このDNAで、mutSの宿主大腸菌を形質転換し、
親DNAを持つクローンと変異DNAを持つクローンを
成育させる。 (5)更に、 sup°の宿主大腸菌を形質転換し、クロラ
ムフェニコール又はカナマイシン存在下で培養を行い、
アンバー変異が復帰してクロラムフェニコール耐性又は
カナマイシン耐性を獲得した、すなわち目的の変異DN
Aを持つクローンを選択する。
は、薬剤耐性遺伝子の中に1箇所以上のアンバーコドン
を含む配列をいう。また、選択プライマーとは、選択配
列に相補的な配列を有し、かつアンバー変異を復帰させ
る変異を持つプライマーをいう。
よって形成させるので、従来のようなファージ感染によ
る1本鎖DNAの調製といった複雑な操作を必要としな
い。その結果、操作が簡略化され、かかる日数も1日少
なくてすむ。熱変性の結果生じた1本鎖DNAは、従来
のようにギャップトデュプレックスDNAを形成させる
のに用いてもよく、前述の例のように選択プライマーと
変異プライマーをハイブリダイズさせて用いてもよい。
熱変性の方法としては、1本鎖DNAが形成される方法
であれば何でもよいが、例えば、90〜100℃で数分
間処理したのち、氷上で急冷すればよい。
Aから選択プライマーを用いて2本鎖DNAを調製する
工程も含む。この工程は、従来のようにギャップトデュ
プレックスDNAを形成させる工程を経ないので、クロ
ーンされていない直鎖状2本鎖DNAを調製する必要が
なく、選択プライマーとなるオリゴヌクレオチドを準備
するだけでよい。選択プライマーの長さは特に限定され
ないが、20mer 程度が一般的である。選択プライマー
を選ぶ位置としては、選択配列中のアンバーコドンとの
ミスマッチが選択プライマーの配列の真ん中から5′個
になるように選ぶ方がよい。 (5)の工程においては、クロラムフェニコール又はカ
ナマイシン存在下で培養した菌体からいったんDNAを
抽出して、再度 sup°の宿主大腸菌に形質転換すれば、
更に高い効率で部位特異的変異導入を行うことができ
る。
の典型的な流れを示す。図中、CmR、CmS はそれぞれク
ロラムフェニコール耐性、クロラムフェニコール感受性
を、KmR 、KmS はそれぞれカナマイシン耐性、カナマイ
シン感受性を表す。
明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
の構築 (1)クロラムフェニコール耐性遺伝子を含むベクター
の構築 pHSG1337〔ジーン(Gene) 、第61巻、第63〜74頁
(1987)に記載〕のクロラムフェニコール耐性遺伝
子(cat-1)内にあるPvuII サイトを消失させ、かつその
部分にアンバー変異を2箇所導入するために、配列表の
配列番号1に示す5′末端リン酸化オリゴヌクレオチド
プライマーを作製した。このプライマーは、本来はCで
ある4番目と13番目の塩基をTに変えてあり、その結
果、グルタミンコドン(CAG)に代わってアンバーコ
ドン(TAG)が出現するようになっている。0.5μ
gのpHSG1337(約0.6pmol) と60pmolの上記プライ
マーを40μlのBA緩衝液(20mM トリス−塩酸
pH 7.5、10mM MgCl2 、50mM NaC
l)に溶解し、95℃で3分間インキュベートした後氷
中で急冷した。次に、6μlの10×T4PL緩衝液
(100mM トリス−塩酸 pH7.5、5mM dNT
P、10mM ATP、20mM ジチオスレイトール)、
20単位のT4 DNA ポリメラーゼ、1500単位
のT4 DNA リガーゼを加え、蒸留水で60μlに
した後25℃で2時間インキュベートした。反応液を、
エタノール沈殿したのち乾燥し50μlのPvuII 緩衝液
(10mM トリス−塩酸 pH 7.5、7mM MgC
l2 、7mM 2−メルカプトエタノール、60mM Na
Cl)に溶解して、10単位のPvuII を加え、37℃で
2時間反応させた。反応液10μlを大腸菌BMH71
−18株(supE、mutS) にトランスフォームし、15μ
g/mlクロラムフェニコールを含むLB培地3mlを加
え、37℃で一晩培養した。培養液1mlからプラスミド
をアルカリ−SDS法で回収し、エタノール沈殿、乾燥
し、20μlのTE緩衝液(10mM トリス−塩酸 p
H 7.5、1mMEDTA)に溶解した。この溶液4μ
lをPvuII 緩衝液50μlに溶解したのち10単位のPv
uII を加えて、37℃で2時間反応させた。反応液10
μlを、大腸菌BMH71−18株にトランスフォーム
し、15μg/mlクロラムフェニコールを含むLS寒
天培地に適当量プレーティングし、37℃で一晩培養し
た。生育したコロニーを適当量個別に拾い培養し、それ
ぞれプラスミドを回収、PvuII で処理し、切断されない
プラスミドpHSG1337am2 が得られた。
SG399 (いずれも宝酒造社製)それぞれ0.5μgを、
AccIII、ApaLI 、NcoIで処理し、1133bp(pHSG398 及び
pHSG399 から)、1144bp(pHSG396 及びpHSG397 から)
の ApaLI−NcoIフラグメントを回収した。次に、2μg
のpHSG1337am2 をApaLI 、NcoIで処理し、1095bpのフラ
グメントを回収し、4等分し、上記 pHSG396〜399 由来
のフラグメントとライゲーションし、pKF396、pKF397、
pKF398、pKF399を得た。図2にこれらのプラスミドの構
築図を示す。更に図3にpKF396〜399 の構造を示す。図
中、各プライマーの小文字は変異部位を、(Δa)はア
デニン残基欠失を、(PvuII)は2箇所のアンバーコドン
がいずれもグルタミンコドンに復帰した場合に出現する
PvuII サイトを示す。すなわち、これらのベクターは2
箇所のアンバーコドンを含むクロラムフェニコール耐性
遺伝子(cat-1am2)を持ち、lacZ′領域にマルチクロー
ニングサイトを持つためsupE宿主菌を用いればIPTGとX-
gal を含むプレートで、外来DNAの挿入の有無が容易
に判別できる。また、pUC ベクターと同じ複製開始点を
持つため、コピー数が多く、更に、これらのベクターは
サイズが小さく(2228bp又は2239bp)、大きな
サイズ(5kb以上)の遺伝子が挿入できる利点がある。
これらのベクターは、互いに異なるマルチクローニング
サイトを持つので、目的に応じて使い分けることができ
る。
ターの構築 プラスミドpHSG299(宝酒造社)をHindIII 、Sm
aIで部分消化し、T4DNAポリメラーゼにより平滑末
端とした後T4DNAリガーゼにより連結反応を行い、
カナマイシン耐性遺伝子を保持し、かつマルチクローニ
ングサイト内のHindIII −SmaI領域(30bp)を欠失
させたプラスミドp1514を構築した。次に、配列表
の配列番号2、3、4に示す5′末端リン酸化オリゴヌ
クレオチドを作製し、実施例1−(1)と同様にしてp
1514のカナマイシン耐性遺伝子(agr)内にある
HindIII 、SmaI、ClaIの各サイトを消失させた。更にカ
ナマイシン耐性遺伝子にアンバー変異を2箇所導入する
ために、配列表の配列番号5に示す5′末端リン酸化オ
リゴヌクレオチドを作製し、ジーン、第152巻、第2
71〜275頁(1995)に記載の方法に従いプラス
ミドDNAにニックを入れ、アンバー変異が導入された
カナマイシン耐性遺伝子(agr−3)をもつプラスミ
ドp299−5を構築した。次に、前出のジーンに記載
のプラスミドpKF16cをAseIで処理し、T4DNA
ポリメラーゼにより平滑末端とし、更にBglIで処理して
マルチクローニングサイトを含む338bpのDNA断
片を回収した。次に、p299−5をNspIで処理し、T
4DNAポリメラーゼで平滑末端とし、更にBglIで処理
し、カナマイシン耐性遺伝子を含む1931bpのDN
A断片を回収し、上記pKF16c由来の338bpの
DNA断片と連結してプラスミドp1529を構築し
た。次に、p1529をDsaIで処理し、T4DNAポリ
メラーゼにより平滑末端とした後に連結反応を行い61
bpのDsaI−DsaI領域を欠失させて、プラスミドpKF
296を構築した。一方、前出のジーンに記載のプラス
ミドpKF17c、pKF18c、pKF19cをNdeI
とBglIで処理し、マルチクローニングサイトを含む22
9bp(pKF17c)、217bp(pKF18c、
pKF19c)のDNA断片を回収した。次に、pKF
296をNdeIとBglIで処理し、カナマイシン耐性遺伝子
を含む1983bpのDNA断片を回収し、上記229
bp又は217bpのpKF17c〜pKF19c由来
のDNA断片とライゲーションし、プラスミドpKF2
97、pKF298、pKF299をそれぞれ構築し
た。図4にpKF296〜299の構築図を示す。図中
のMCSはマルチクローニングサイトを表す。なお、p
KF296〜299はそれぞれ実施例1−(1)のpK
F396〜399と同じマルチクローニングサイトをも
っている。すなわち、これらのベクターは2箇所のアン
バーコドンを含むカナマイシン耐性遺伝子(agr−
3)を持ち、lacZ′領域にマルチクローニングサイトを
持つためsupE宿主菌を用いればIPTGとX-gal を含むプレ
ートで、外来DNAの挿入の有無が容易に判別できる。
また、pUC ベクターと同じ複製開始点を持つため、コピ
ー数が多く、更に、これらのベクターはサイズが小さく
(2216bp又は2204bp)、大きなサイズ(5kb以
上)の遺伝子が挿入できる利点がある。これらのベクタ
ーは、互いに異なるマルチクローニングサイトを持つの
で、目的に応じて使い分けることができる。
伝子のディレーションミューテーションの導入を行い、
その効率を数値化した。lacZ′遺伝子はlacZα−ペプチ
ドをコードしており、この遺伝子をlacZΔM15の遺伝
子型を持つ宿主菌に導入するとβ−ガラクトシダーゼ活
性を生ずる。したがって、lacZ′遺伝子がそのままであ
ればIPTGとX-gal の存在下で生育コロニーは青くなり、
ミューテーションが入ると生育コロニーは白くなり、こ
れらの青コロニーと白コロニーの数を比較することによ
り部位特異的変異導入の効率を数値化できる。クロラム
フェニコール耐性遺伝子内のダブルアンバー変異を復帰
させる選択プライマー(CQ2)として、配列表の配列番号
6に示す5′末端リン酸化オリゴヌクレオチドを作製し
た。すなわち、pKF399ではCQ2 の4番目と13番目のC
に対応する塩基がTであるのでストップコドンになる
(図3参照)。lacZ′遺伝子にディレーションミューテ
ーションを導入する変異プライマー(dZ) として、配列
表の配列番号7に示す5′末端リン酸化オリゴヌクレオ
チドを作製した。すなわち、dZは10番目のCと11番
目のTの間にあるAを欠落するように合成した(図3参
照)。次に、下記の表1に示すサンプルを調製した。
た。次に、それぞれの溶液を100℃で3分間インキュ
ベートし、氷中にて急冷した。次に、それぞれの溶液に
7μlの滅菌蒸留水、3μlの10×T4PL緩衝液、
0.5μlのT4 DNA リガーゼ(175単位)、
0.5μlのT4 DNA ポリメラーゼ(2単位)を
加え、25℃で2時間インキュベートした。反応終了し
た各溶液それぞれ5μlに大腸菌BMH71−18株コ
ンピテントセル50μlを加え、0℃で30分間、42
℃で2分間、次いで0℃で2分間インキュベートした
後、LS培地1mlを加え、37℃で1時間インキュベー
トした。更にLS培地2mlと1.5mg/mlのクロラムフ
ェニコール溶液30μlを加え37℃で一晩振とう培養
した。培養後、培養液1mlより煮沸法(ただしフェノー
ル処理、クロロホルム処理、及びRNase 処理は行わな
い)にて粗プラスミドDNAを調製し、100μlの滅
菌蒸留水に溶解した。このDNA溶液5μlを50μl
の大腸菌TH3α株(supE、lacZΔM15)又は大腸菌
OM279株( sup°、lacZΔM15)コンピテントセ
ルにトランスフォームしてLS培地1ml加え、37℃で
1時間インキュベートした。この溶液に15μg/mlの
クロラムフェニコールとX-gal を含む寒天培地に適当量
プレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。
それぞれのコロニー数をカウントし、部位特異的変異導
入の効率を計算した。なお、大腸菌TH3α株はsupEな
ので、アンバーコドン(TAG)がグルタミンコドン
(CAG)に復帰してもしなくても菌は生育する。一
方、大腸菌OM279株は sup°なので、アンバーコド
ンがグルタミンコドンに復帰したもののみが、生育す
る。また、lacZ′部分にディレーションが入るとコロニ
ーは白く、入らないとコロニーは青くなる。結果を以下
の表2及び表3に示す。
で、部位特異的変異ミュータントが得られた。このよう
に、従来のギャップトデュプレックス法だとファージプ
ラスミド若しくはヘルパーファージの感染により1本鎖
DNAの調製を必要とするため、全工程に少なくとも3
日を必要としたが、本方法では2日で高い効率で部位特
異的変異ミュータントを得ることができた。
ce) 出版発行、T.O.ヨシダ(Yoshida)ら、モレキュラー
アプローチズ トゥ ザ スタディ アンドトリート
メント オブ ヒューマン ディズィーズ(Molecular
Approaches to the Study and Treatment of Human Dis
ease) 、第8章、第51〜55頁に記載のヒトATIII cD
NA(約1.5kbp)をpKF396のHindIII/XbaIサイトに挿入
したプラスミドp396ATを作製し、ヒトATIII 遺伝子に部
位特異的変異を導入しヒトATIII 分子異常症のDNAを
作製することを試みた。図5にプラスミドp396ATの構造
を示す。図中、各プライマーの小文字は変異部位を、
(PvuII)は2箇所のアンバーコドンがいずれもグルタミ
ンコドンに復帰した場合に出現するPvuII サイトを示
す。ヒトATIII 分子異常症は、野生型のArg406がMet に
変わり、コドンAGGがATGになっているため、制限
酵素StuIの認識配列AGGCCTが消失する。よって、
部位特異的変異が導入されているかの確認は、StuIで切
断されるかされないかで行える。ポイントミューテーシ
ョンを導入する変異プライマー(Kyt)として、配列表の
配列番号8に示す5′末端リン酸化オリゴヌクレオチド
を作製した。すなわち、10番目のGがTに変わるよう
に合成した。次に下記の表4に示すサンプルを調製し
た。
のち、実施例2と同様の手順で変異導入を行った。TH
3α株とOM279株のコロニー数を下記表5に示す。
を無作為に7個拾い、15μg/mlのクロラムフェニコ
ールを含むLS培地2mlで、37℃一晩振とう培養し
た。培養後、培養液1mlより、アルカリ−SDS法でプ
ラスミドDNAを抽出し、適当量を制限酵素StuI、Hind
III 、StuI/HindIII 、PvuII で切断処理を行い、部位
特異的変異導入の有無を確認した。その結果、6 個のプ
ラスミドについて部位特異的変異が導入されていた。
用なより簡便な部位特異的変異導入方法、及びそれに用
いるためのベクターが提供された。
れを示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 部位特異的変異導入方法において、部位
特異的変異の標的となるDNA断片を挿入した2本鎖D
NAベクターを熱変性することにより1本鎖DNAを形
成させる工程を含むことを特徴とする部位特異的変異導
入方法。 - 【請求項2】 選択プライマーを用いて1本鎖DNAか
ら2本鎖DNAを調製する工程を含む請求項1に記載の
部位特異的変異導入方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法に用いるた
めのベクターであって、1箇所以上のアンバーコドンを
含むクロラムフェニコール耐性遺伝子又はカナマイシン
耐性遺伝子を有することを特徴とする部位特異的変異導
入用ベクター。 - 【請求項4】 pKF396、pKF397、pKF398、pKF399、pKF2
96、pKF297、pKF298、pKF299から選択される請求項3に
記載のベクター。
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JP6-54795 | 1994-03-02 | ||
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1995
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