JPH07142294A - コイン形電気二重層コンデンサー及びその組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スポット溶接を要することなくリングを負極
缶及び正極缶に位置決め設置出来ること、及び予めリン
グ内に電極を成形し、電極の組立時におけるハンドリン
グ性を改善するほか、組立工程における工数の削減を図
った。 【構成】 正極缶１０側に設置される電極部は、周囲に
正極缶１０の内径にほぼ等しい外径の位置決めフランジ
１６ａを設けた金属製リング１６とリング１６内に予め
一体に成形された分極性電極１８からなるとともに、負
極缶１２側に配置される電極部は、周囲に負極缶１２の
内径にほぼ等しい外径の位置決めフランジを設けた金属
製負極リングまたは前記負極缶の内径にほぼ等しい外径
の金属製負極側リング２０とリング２０内に予め一体に
成形された分極性電極１８とからなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コイン形電気二重層コ
ンデンサー及びその組立方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】コイン形電気二重層コンデンサーは充電
時に負極缶および正極缶を通じて取り入れられた正負の
電荷を分極性電極内に蓄え、放電時にはその電荷を前記
負極缶および正極缶を通じて徐々に外部に放出する１種
の二次電池と同じ使用形態で使用できる。

【０００３】分極性電極の負極缶，正極缶に対する配置
方法としては、従来では、金属製ネットをスポット溶接
した負極缶及び正極缶の内底面に直接分極性電極を成形
する方法がある。

【０００４】この方法は、負極缶及び正極缶を夫々下型
に設置し、その内面に上型を配置し、この上型の内側に
活性炭、導電剤、及び結着剤の混合粉末を入れ、次いで
ポンチを上型の内側に下降してペレット状にプレス成形
するものである。

【０００５】しかしながら、このような方法では、上型
の肉厚分を確保するために正極缶、負極缶の外径寸法に
比べて成形された電極の径が小さくなり、静電容量が小
さなものとなる。

【０００６】そこで、本出願人は先に金属製のリングを
用いてこれの内部に電極を成形する方法を提案した。

【０００７】図４は同リングを用いたコイン形電気二重
層コンデンサーを示すもので、この電気二重層コンデン
サーは、偏平容器状の正極缶１および負極缶２の夫々の
内面に配置された金属製リング３と、各リング３の内部
に充填成形された分極性電極４と、両電極４間に介在さ
れたセパレータ５および前記電極４内に含浸された電解
液とを備え、前記負極缶２に正極缶１の周囲を封口ガス
ケット６を介してカシメることにより内部を密封した構
造である。

【０００８】このコンデンサーの組立工程は、図５に示
すように、まずリング３を正極缶１及び負極缶２の内面
にそれぞれスポット溶接３ａにより固定し、合剤側をペ
レット状の電極４とする仮成形を行う。

【０００９】次に、この仮成形した電極４をそれぞれの
リング３内に落とし込み、この内側にプレス本成形によ
って電極４を一体化し、電極部とする。

【００１０】次いで、負極缶２に封口ガスケット６を嵌
めた後、各電極部に電解液を注液して含浸させ、負極缶
２側の電極４の表面にセパレータ５を設置し、正極缶１
を負極缶２の上部に被せ、正極缶１の周囲をカシメるこ
とにより密閉すれば、図４に示すコイン形電気二重層コ
ンデンサーを完成する。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかし、以上の方法で
は仮成形した電極をリング３内に落とし込む過程におい
て、仮成形された電極は非常に脆いため、ハンドリング
性が悪く、リング３に落とし込む際に割れたり欠けたり
しやすく、歩留まり低下の要因となっていた。

【００１２】また組立手順としては、リング３のスポッ
ト溶接工程、電極４の仮成形工程、仮成形された電極４
をリング３内に落とし込む工程、および本成形工程を経
た後組立を行うため、工数が多くかかるなどの問題もあ
った。

【００１３】この発明は以上の問題を解決するものであ
って、その目的は、スポット溶接を要することなくリン
グを負極缶及び正極缶に位置決め設置出来ること、及び
予めリング内に電極を本成形し、電極の組立時における
ハンドリング性を改善するほか、組立工程における工数
の削減を図ったコイン形電気二重層コンデンサー及びそ
の製造方法を提供するものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のコイン形電気二重層コンデンサーは、偏平
容器状の負極缶及び正極缶の内面に分極性電極からなる
電極部を配置し、電解液を注液した後セパレータを挟ん
で前記電極部同士を対向させた状態で前記負極缶及び正
極缶間を封口ガスケットを介して密封するコイン形電気
二重層コンデンサーにおいて、前記正極缶側に配置され
る前記電極部は、周囲に前記正極缶の内径にほぼ等しい
外径の位置決めフランジを設けた金属製正極側リングと
該正極側リング内に予め一体に成形された分極性電極か
らなるとともに、前記負極缶側に配置される前記電極部
は前記負極缶の内径にほぼ等しい外径の位置決めフラン
ジを設けてなる金属製負極側リング或いは前記負極缶の
内径にほぼ等しい外径の金属製負極側リングと該負極側
リング内に予め一体に成形された分極性電極からなるこ
とを特徴とする。

【００１５】また本発明の電気二重層コンデンサーの組
立方法は、偏平容器状の負極缶及び正極缶の内面に分極
性電極からなる電極部を配置し、電解液を注液した後セ
パレータを挟んで前記電極部同士を対向させた状態で前
記負極缶及び正極缶間を封口ガスケットを介して密封す
るコイン形電気二重層コンデンサーの組立方法におい
て、前記各電極部は活性炭、導電剤、バインダーを含む
混合粉末からなる分極性電極を予め金属製リングの内側
に一体にプレス成形することによって電極一体化リング
を形成してなることを特徴とする。

【００１６】

【作用】以上の構成によれば、負極缶及び正極缶にリン
グ一体化電極を設置する際に、正極缶側ではリングの周
囲フランジが正極缶の内周に接することによってリング
の位置決めがなされ、負極缶側ではリングの外周または
周囲フランジが負極缶の内周に接することによって位置
決めがなされる。

【００１７】また、予めリング内部に分極性電極が本成
形されているので、搬送や負極缶及び正極缶への装着に
際してはリングの周囲を把持して搬送及び装着動作を行
うことができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

【００１９】図１はこの発明方法を適用して得られたコ
イン形電気二重層コンデンサーを示す。このものは、正
極缶１０の内面に設置されたリング１６と、リング１６
の内側に予め一体に成形された分極性電極１８と、同じ
く負極缶１２の内面に設置されたリング２０と、リング
２０の内側に予め一体にプレス成形された分極性電極１
８と、両分極性電極１８間に介在されたセパレータ２２
及び前記分極性電極１８に含浸された電解液を備え、前
記正極缶１０と負極缶１２を封口ガスケット２４を介し
てカシメることにより内部を密封した構造である。

【００２０】前記正極缶１０側のリング１６はその周囲
に位置決め用フランジ１６ａを形成したもので、このフ
ランジ１６ａは前記正極缶１０の内側寸法より僅かに小
さく、前記分極性電極１８を一体化した状態で正極缶１
０内に配置されることによりリング１６の位置決めがな
される寸法に設定されている。

【００２１】また、これにより封口ガスケット２４はフ
ランジ１６ａを押さえる機能も兼用している。

【００２２】負極缶１２側のリング２０は前記リング１
６と同一径であり、負極缶１２の内径のぎりぎりの箇所
に位置決め嵌合される寸法に設定されている。

【００２３】分極性電極１８は重量比で７７％の活性炭
粉末、２０％アセチレンブラック、および残部テフロン
バインダーの混合物からなるものであり、組立に先立
ち、この混合粉末を成形型により夫々のリング１６、２
０内に加圧圧縮することによってリング１６、２０内に
密着した状態で成形されることにより、一体の電極部を
構成する。

【００２４】図２はその組立に用いられるプレス成形金
型を示すもので、リング１６または２０が設置される下
型３０と、リング１６または２０の周囲及び上部周縁を
包囲し、これを下型３０上に固定する上型３１と、上型
３１内を昇降するポンチ３２を備えている。

【００２５】成形にあたっては、上型３１内に固定され
たリング１６または２０の内部に所定量の合剤粉末を供
給した後ポンチ３２を下降させて、加圧することでリン
グ１６または２０内に分極性電極１８がペレット状に一
体化される。

【００２６】組立は以上の成形作業終了後行われ、その
組立手順は図３に示すごとく次の通りである。

【００２７】まず、封口ガスケット２４を負極缶１２
に嵌める。

【００２８】次に、分極性電極１８とリング２０を一
体化した負極側電極部を負極缶１２の内面に装着する。
このときのハンドリング操作は、リング２０の外周を持
って作業を行えば、内部に充填されている分極性電極１
８の割れや欠けを防止でき、リング２０はその外径によ
り負極缶１２の中央に位置決めされる。

【００２９】次に、負極側電極部上に電解液を注液し
て含浸させるとともに、負極缶１２側の分極性電極１８
上にセパレータ２２を設置し、次いで分極性電極１８と
リング１６を一体化した正極缶側電極部をセパレータ２
２上に載置後、この正極缶側電極部上に電解液を注液し
て含浸させる。なお、電解液は（Ｅｔ）₄ ＮＢＦ₄ をＰ
Ｃに溶解したものなどが用いられる。正極側電極部の設
置時におけるハンドリング操作も前記と同様である。

【００３０】次に、正極側電極部の上に正極缶１０を
被せ、カシメ工程により前記正極缶１０の周囲を負極缶
１２にカシメることで、図１に示すように相互が絶縁さ
れ、内部密封されたコイン形電気二重層コンデンサーが
完成する。

【００３１】尚、上記実施例では負極缶１２側のリング
２０の外径を負極缶１２の内径のぎりぎりの個所に位置
決めされる寸法に設定しているが、上記実施例の場合と
異なり負極缶１２の形状を変更してその内径を大きくし
た場合には、リング２０に負極缶の内径にほぼ等しい外
径の位置決めフランジを設けるようにする。

【００３２】

【発明の効果】以上実施例によって詳細に説明したよう
に、本発明に係るコイン形電気二重層コンデンサーにあ
っては、負極缶及び正極缶にリングを設置する際には正
極缶側ではリングの周囲フランジが正極缶の内周に接す
ることによってリングの位置決めがなされ、負極缶側で
はリングまたはそのフランジの外周が負極缶の内周に接
することによって位置決めがなされるため、リングのス
ポット溶接が不要となる。また、予めリング内部に電極
が成形されているので、搬送や装着に際してはリングの
周囲を把持して行うことができるため、電極の割れや欠
けを防止でき、歩留まりが向上する。

【００３３】また、本発明の組立方法にあっては、従来
行っていたリングの負極缶及び正極缶側へのスポット溶
接工程を省略できるとともに、このリングに電極を充填
する際に必要な仮成形工程を省略でき、また仮成形され
た電極の落し込み工程も省略出来るので、工数を削減出
来、また前記落し込み時における割れや欠けを原因とし
た歩留まり低下も防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るコイン形電気二重層コンデンサー
の完成状態の断面図である。

【図２】電極のプレス成形用金型を示す断面図である。

【図３】本発明方法による製造工程説明図である。

【図４】従来のコイン形電気二重層コンデンサーの完成
状態の断面図である。

【図５】従来方法による製造工程の説明図である。

【符号の説明】

１０ 正極缶 １２ 負極缶 １６ 正極缶側リング １６ａ フランジ １８ 分極性電極 ２０ 負極缶側リング ２２ セパレータ ２４ 封口ガスケット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 光宏 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)発明者 山崎 龍也 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 偏平容器状の負極缶及び正極缶の内面に
   分極性電極からなる電極部を配置し、電解液を注液した
   後セパレータを挟んで前記電極部同士を対向させた状態
   で前記負極缶及び正極缶間を封口ガスケットを介して密
   封するコイン形電気二重層コンデンサーにおいて、前記
   正極缶側に配置される前記電極部は、周囲に前記正極缶
   の内径にほぼ等しい外径の位置決めフランジを設けた金
   属製正極側リングと該正極側リング内に予め一体に成形
   された分極性電極からなるとともに、前記負極缶側に配
   置される前記電極部は、前記負極缶の内径にほぼ等しい
   外径の位置決めフランジを設けてなる金属製負極側リン
   グ或いは前記負極缶の内径にほぼ等しい外径の金属製負
   極側リングと該負極側リング内に予め一体に成形された
   分極性電極からなることを特徴とするコイン形電気二重
   層コンデンサー。
2. 【請求項２】 偏平容器状の負極缶及び正極缶の内面に
   分極性電極からなる電極部を配置し、電解液を注液した
   後セパレータを挟んで前記電極部同士を対向させた状態
   で前記負極缶及び正極缶間を封口ガスケットを介して密
   封するコイン形電気二重層コンデンサーの組立方法にお
   いて、前記各電極部は活性炭、導電剤、バインダーを含
   む混合粉末からなる分極性電極を予め金属製リングの内
   側に一体にプレス成形することによって電極一体化リン
   グを形成してなることを特徴とするコイン形電気二重層
   コンデンサーの組立方法。