JPH0714178Y2 - 合成樹脂製壜体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、２軸延伸ブロー成形体からなる合成樹脂製壜
体に関するものであり、壜体内に収容される内容物の種
類や状態によって、壜体内部にかかる負圧、さらには、
壜体内へ加圧液体を充填する際に壜体内部に対してかか
る弱カウンター圧等に対する耐圧性において、極めて優
れた作用を有する合成樹脂製壜体を提供する。

「従来の技術」 例えば、ポリエチレンテレフタレート等による合成樹脂
製のパリソンを、２軸延伸ブロー成形に付すことによっ
て得られる２軸延伸ブロー成形体は、液体を収容するた
めの壜体として広く利用されてされており、円筒形状や
角筒形状をなす容器胴部による多種類の壜体が商品化さ
れている。

特に、前記壜体内への内填物の充填操作を、例えば85℃
程度の熱充填によって、弱カウンター圧充填で行なうよ
うな場合には、前記壜体における容器胴部の肉厚の分布
およびその構造が、壜体の減圧呼吸や耐内圧性能に直接
影響するために、前記減圧吸収性能や耐内圧性能に好ま
しい性状を具備する壜体の胴部構造が種々提案されてい
る。

「考案が解決しようとする課題」 ところで、前記合成樹脂製の壜体は、延伸温度に加熱さ
れている合成樹脂製のパリソンをブロー成形用の金型内
にセットし、内部に加圧エアーを吹き込みに、場合によ
ってはさらに同時延伸棒でパリソンの底部を押し下げる
ことからなるいわゆる２軸延伸ブロー成形によって得ら
れており、材料費の低減や壜体の軽量化等の目的をクリ
ヤーする必要性から、壜胴部が薄肉の容器壁をなす壜体
に成形されている。

このことから、前記２軸延伸ブロー成形体からなる合成
樹脂製の壜体は、内容物の充填を加熱状態で行なう例え
ば各種の果汁液の場合に発生する充填後の負圧や、液体
を充填する場合に発生するカウンター圧や、壜体内に収
容されている内容物の種類や状態等によって、壜体内部
に負圧が生じたり、あるいは付加圧が発生したりするよ
うな場合には、壜体における機械的強度の弱い部分、す
なわち、肉厚の薄い部分に集中的に応力がかかり、これ
が原因して壜体胴部が局部的に歪められることとなり、
局部的に発生した不規則の変形が流通商品の商品価値を
低下させる要因となる。

これに対して、本考案の２軸延伸ブロー成形体からなる
合成樹脂製壜体は、パリソンを延伸ブロー成形する工程
における壜体胴部の形成過程の特徴を考慮してなされた
ものであり、壜体胴部の肉厚が、減圧吸収性能や耐内圧
性能において好ましい性状を発揮するに最適なものとな
るような壜体胴部の構造と機械的強度とを併せ具備する
ものであって、壜耐内部に生ずる負圧や付加圧による壜
体胴部の変形が極力阻止される２軸延伸ブロー成形体か
らなる合成樹脂製の壜体を提供する。

「課題を解決するための手段」 本考案の合成樹脂製壜体は、例えば射出成形等によって
成形されている有底円筒状体からなるパリソンを２軸延
伸ブロー成形に付すことによって得られる。

請求項１の考案は、筒形状をなす壜胴部を具備する２軸
延伸ブロー成形体からなる合成樹脂壜体１からなり、前
記壜胴部２には、複数個のパネル部ＰがランドＬから壜
胴部２内方へ陥没して形成されている。

該パネル部Ｐは、パネル部Ｐの左側辺部をなし、壜胴部
の長さ方向へ伸びる左小パネルP1と、パネル部Ｐの右側
辺部をなし、壜胴部の長さ方向へ伸びる右小パネルP2
と、前記左小パネルP1と右小パネルP2とに囲繞された上
方部分の上部小パネルP3と、前記左小パネルP1と右小パ
ネルP2とに囲繞された下方部分の下部小パネルP4とで構
成されており、かつ、前記各小パネルP1〜P4は、壜胴部
外方へ向かう独立した凸弧面をなしている。

また、請求項２の考案は、前記の合成樹脂製壜体におい
て、パネル部における上部小パネルP3と下部小パネルP4
との境界部をなしている線条部が、パネル部Ｐにおける
上方の略1/3の位置に形成されており、しかも、その周
囲から壜胴部内方へ陥没している合成樹脂製壜体からな
る。

さらに、請求項３の考案は、前記の合成樹脂製壜体にお
いて、前記合成樹脂製壜体の縦方向軸線に対して直交す
る断面でのパネル部の肉厚が、ランドの肉厚よりも厚く
形成されている合成樹脂製壜体からなる。

なお、前記合成樹脂製壜体の縦方向軸線に対して直交す
る断面のパネル部の肉厚と、ランドの肉厚との対比は、
各小パネル同士の間の境界部やパネル部の縁辺部をなす
輪郭縁部以外における厚さの対比であることは勿論であ
る。

前記構成からなる本各考案の合成樹脂製壜体は、通常の
２軸延伸ブロー成形によって壜体を得る際に使用されて
いる従来の通常の熱可塑性合成樹脂、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート樹脂，ポリエチレンナフタレート樹
脂をはじめ、その他のポリエステル樹脂、アクリロニト
リル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド系樹
脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポ
リ塩化ビニル樹脂等による有底円筒体、さらには、ポリ
塩化ビニリデン樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重
合体樹脂等による積層樹脂層を具備する樹脂積層構造の
有底円筒体等からなるパリソンを使用して得られるもの
であり、前記パリソンを、その内周面形状が凹凸壁面で
形成されている金型内で２軸延伸ブロー成形することに
よって、前記金型の内周面の凹凸形状が壜体の外周面の
凹凸形状に賦型されている壜体として得られる。

なお、前記本各考案の合成樹脂製壜体における複数個の
パネル部Ｐは、通常３〜８個程度に形成される。

「実施例」 以下本考案の２軸延伸ブロー成形体からなる合成樹脂製
壜体の具体的な構成を、製造実施例をもって説明する。

実施例１ 飽和ポリエステル樹脂「NHT-2050（ユニチカ（株））」
を成形用原料とする射出成形によって、口頸部が２軸延
伸ブロー成形体として得られる壜体の口頸部と同一形状
に成形されている肉厚約4.5mmの有底円筒体からなるパ
リソンを得た。

次いで、前記有底円筒体からなるパリソンを、90〜110
℃に加熱されている２軸延伸ブロー成形用の金型内にセ
ットし、２軸延伸ブロー成形に付し、そのまま、前記金
型の内周面に前記成形体の外周面を約20秒間密接させこ
とからなる熱固定処理を行なうことによって、第１図に
て符号１で示されるような形状の２軸延伸ブロー成形体
からなる合成樹脂製壜体（重量60g,容量1500ml,全高約3
05mm）、すなわち、略円筒形状をなす壜胴部２を具備す
る２軸延伸ブロー成形体からなる合成樹脂製壜体１にお
いて、その壜胴部２に、６個のパネル部P,P,P,……がラ
ンドＬから壜胴部２内方へ陥没して横方向に等間隔に形
成されている壜体１を得た なお、前記パネル部Ｐは、該パネル部Ｐの左側辺部をな
し、壜胴部の長さ方向へ伸びる左小パネルP1と、パネル
部Ｐの右側辺部をなし、壜胴部の長さ方向へ伸びる右小
パネルP2と、前記左小パネルP1と右小パネルP2とに囲繞
され、かつ、パネル部Ｐの上方部分をなす撥形状の上部
小パネルP3と、前記左小パネルP1と右小パネルP2とに囲
繞され、かつ、パネル部Ｐの下方部分をなす台形の下部
小パネルP4との組み合わせによって形成されており、し
かも、前記各小パネルP1〜P4は、壜胴部外方へ僅かに突
出するそれぞれの独立した凸弧面をなしている。

したがって、前記合成樹脂製壜体１における前記パネル
部Ｐでは、上部小パネルP3と下部小パネルP4との境界部
は、その周囲から陥没するような線条部Ｓとして形成さ
れている。

なお、前記実施例品である合成樹脂製壜体１には、前記
壜胴部２の長さ方向の上方略1/3の位置に、壜胴部２の
内方へ陥没する横断面略半円弧状の凹条溝（深さ:6mm）
３が、前記壜胴部２の全周を横方向へ巡るようにして形
成されており、該凹条溝３と、前記凹条溝３の下方に連
続する凸状帯域Ｔの下方における凹状段部４と、各パネ
ル部Ｐの枠条部の中の上縁枠条５とが、いずれも、パリ
ソンの二軸延伸ブロー成形時に、壜胴部の上方部分に位
置する樹脂が壜胴部の下方部分に延展されるようにして
移動してゆくのを防止する作用を果たし、また同時に、
肉厚の壜胴壁部を形成し、壜胴部の側壁の荷重強度を高
める作用を果しており、二軸延伸ブロー成形によって得
られる壜胴部２の上方と下方とにおいて、肉厚が不均一
になるのを阻止する作用を果たしている。

「考案の作用，効果」 請求項１の考案の合成樹脂製壜体は、筒形状をなす壜胴
部を具備する２軸延伸ブロー成形体からなるものであ
り、前記壜胴部には、複数個のパネル部がランドから壜
胴部内方へ陥没して形成されており、該パネル部は、パ
ネルの左側辺部をなし、壜胴部の長さ方向へ伸びる左小
パネルと、パネル部Ｐの右側辺部をなし、壜胴部の長さ
方向へ伸びる右小パネルと、前記左小パネルと右小パネ
ルとに囲繞された上方部分の上部小パネルと、前記左小
パネルと右小パネルとに囲繞された下方部分の下部小パ
ネルとで形成されており、しかも、前記各小パネルは、
壜胴部外方へ向かうそれぞれの独立した凸弧面をなして
いる。

しかして、請求項１の考案の合成樹脂製壜体は、該合成
樹脂製壜体における壜胴部に形成されている複数個のパ
ネル部の存在によって、壜体の内部にかかる加圧や負圧
が生ずるような場合の耐圧性において極めて優れた作用
が奏される。

すなわち、壜胴部内に諸種の要因による減圧作用が発生
した場合には、各小パネルの独立した凸弧面が前記減圧
作用を吸収する作用を果たし、パネル部は反転すること
がなく、壜胴部における大変形や不均一な変形を極力阻
止する作用が奏される。

さらに、壜胴部内に諸種の要因による加圧作用が発生し
た場合には、各隣設するパネル部P,Pによってセパレー
トされているランドL,L,L……が、縦リブの作用を奏す
ると共に、パネル部Ｐの全体もまた、それぞれが独立し
た縦リブの作用を奏するため、内圧の付加による変形を
極力阻止する作用が奏される。

また、請求項２の考案の合成樹脂製壜体は、前記の考案
の合成樹脂製壜体において、パネル部における上部小パ
ネルP3と下部小パネルP4との境界部である線条部Ｓが、
壜胴部２の内方へその周囲から陥没するようにして、前
記パネル部の上方略1/3の位置に形成されている。

しかして、この考案の合成樹脂製壜体においては、パネ
ル部における上方略1/3の位置に、上部小パネルP3と下
部小パネルP4との境界部たる線条部Ｓが、その周囲から
陥没して形成されているため、前記合成樹脂製壜体を得
る際の延伸ブロー成形工程で、前記線条部Ｓの肉厚が各
小パネルP1〜P4の肉厚よりも厚く形成されるので、前記
線条部Ｓが合成樹脂製壜体における凹状リブの作用を奏
し、該線条部Ｓによる強度の付加が得られる。

さらに、請求項３の考案の合成樹脂製壜体は、前記請求
項２の考案の合成樹脂製の壜体において、前記合成樹脂
製壜体の縦方向軸線に対して直交する断面でのパネル部
Ｐの肉厚が、ランドＬの肉厚よりも厚く形成されてい
る。

したがって、請求項３の考案の合成樹脂製壜体において
は、上部小パネルP3と下部小パネルP4との境界部をなす
前記線条部Ｓによって奏される凹状リブの作用がより顕
著であり、前記線条部Ｓによる強度の付加は果たされ
る。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の合成樹脂製壜体の１実施例品を示すもので
あり、第１図は壜体の全体を示す正面図、第２図は第１
図のII-II線切断拡大断面図、第３図は第１図のIII-III
線切断拡大端面図である。 １……合成樹脂製壜体 ２……壜胴部 P,P……パネル部、P1……パネル部Ｐの左側辺部をな
し、壜胴部の長さ方向へ伸びる左小パネル、P2……パネ
ル部Ｐの右側辺部をなし、壜胴部の長さ方向へ伸びる右
小パネル、P3……左小パネルP1と右小パネルP2とに囲繞
された上方部分の上部小パネル、P4……左小パネルP1と
右小パネルP2とに囲繞された下方部分の下部小パネル、
Ｌ……ランド、Ｓ……上部小パネルP3と下部小パネルP4
との境界部をなす壜胴部内方へ陥没する線条部。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】筒形状をなす壜胴部２を具備する２軸延伸
   ブロー成形体からなる合成樹脂壜体１において、前記壜
   胴部２には、複数個のパネル部ＰがランドＬから壜胴部
   ２内方へ陥没して形成されており、該パネル部Ｐは、パ
   ネル部Ｐの左側辺部をなし、壜胴部の長さ方向へ伸びる
   左小パネルP1と、パネル部Ｐの右側辺部をなし、壜胴部
   の長さ方向へ伸びる右小パネルP2と、前記左小パネルP1
   と右小パネルP2とに囲繞された上方部分の上部小パネル
   P3と、前記左小パネルP1と右小パネルP2とに囲繞された
   下方部分の下部小パネルP4とで構成されており、かつ、
   前記各小パネルP1〜P4は、壜胴部外方へ向かう独立した
   凸弧面をなしていることを特徴とする合成樹脂製壜体。
2. 【請求項２】実用新案登録請求の範囲第１項記載の合成
   樹脂製壜体において、パネル部における上部小パネルP3
   と下部小パネルP4との境界部をなしている線条部が、パ
   ネル部Ｐにおける上方の略1/3の位置に形成されてお
   り、しかも、その周囲から壜胴部内方へ陥没している合
   成樹脂製壜体。
3. 【請求項３】実用新案登録請求の範囲第２項記載の合成
   樹脂製壜体において、前記合成樹脂製壜体の縦方向軸線
   に対して直交する断面でのパネル部Ｐの肉厚が、ランド
   Ｌの肉厚よりも厚く形成されている合成樹脂製壜体。