JPH07139474A - 圧縮機の起動負荷低減装置 - Google Patents

圧縮機の起動負荷低減装置

Info

Publication number
JPH07139474A
JPH07139474A JP5287881A JP28788193A JPH07139474A JP H07139474 A JPH07139474 A JP H07139474A JP 5287881 A JP5287881 A JP 5287881A JP 28788193 A JP28788193 A JP 28788193A JP H07139474 A JPH07139474 A JP H07139474A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
suction
compressor
passage
spool valve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5287881A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Ota
太田  雅樹
Sokichi Hibino
惣吉 日比野
Hiroaki Furuta
博章 古田
Yasunori Makino
泰憲 牧野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Automatic Loom Works Ltd filed Critical Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority to JP5287881A priority Critical patent/JPH07139474A/ja
Publication of JPH07139474A publication Critical patent/JPH07139474A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)
  • Control Of Positive-Displacement Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】圧縮室へ冷媒ガスを供給する吸入通路を絞るこ
とにより、圧縮機起動時の圧縮負荷を小さくする圧縮機
の起動負荷低減装置を提供する。 【構成】エバポレータから圧縮機の圧縮室に冷媒ガスを
供給する吸入通路27の途中にスプール弁7を擁する弁
ハウジング8が配設されている。圧縮機の停止時には、
スプール弁7はスプリング26の付勢力により吸入通路
27を遮断している。スプール弁7は一端にオイルダン
パー室30を有しており、圧縮機の起動時には他端に吸
入冷媒ガス圧力が作用するため、該スプール弁7は緩や
かに吸入通路27を開口する。スプール弁7の軸方向中
央に区画形成された中間室29と吸入室3の比較的低圧
の位置とがガス通路34で連通されているため、スプー
ル弁7の開口は確実に行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両空調用として使
用される圧縮機の起動時における圧縮負荷を低減させる
装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、車両空調用の圧縮機は車両エンジン
とクラッチを介して作動連結されており、該圧縮機はク
ラッチが接続されると車両エンジンにより駆動される。
そのため、該圧縮機の起動時には車両エンジンに負荷が
かかり、特にその負荷が急激なものである場合には不快
なショックとして走行フィーリングが低下してしまう。
また、エバポレータの凍結を防止するため、或いは車室
内温度を空調の設定温度に近づけるため、圧縮機の起動
及び停止が短いサイクルで行われることもあり、起動の
度にこのような現象が生じることになる。さらには、圧
縮機が突然全負荷で起動されると圧縮機の機体及びクラ
ッチに負担がかかるため、圧縮機及びクラッチの耐久性
が低下する。
【0003】上述のような不具合に対応するために、実
公平4−22071号公報で示されるような圧縮機起動
時の負荷を低減させるための手段が講じられている。該
公報の起動トルク低減装置では、図9に示されるよう
に、圧縮機の吸入室51へ冷媒ガスを吸入する吸入口5
2に、上面が開口した円筒形のリテーナ53の開口端が
固定されており、該リテーナ53の内部に、下面が開口
した円筒形の可動子54が上下方向に移動可能に収容さ
れている。該可動子54は、その上壁下面とリテーナ5
3の下壁上面との間に配設されたスプリング55によ
り、通常は吸入口52の周縁部に押し付けられて吸入口
52を閉鎖している。
【0004】この可動子54の外周面とリテーナ53の
内周面との間には隙間56があり、冷媒ガスの流路とな
る。また、リテーナ53の周壁上部には適宜の数のガス
通孔57が穿設されており、リテーナ53の下壁中央に
はガス吸入口58が穿設されると共にリテーナ53側か
ら吸入室51側へのガス流出を阻止する逆止弁59が付
設されている。
【0005】このような構成の起動トルク低減装置で
は、圧縮機の停止状態において図9に示されるように、
可動子54はスプリング55の押圧力により吸入口52
の周縁部に押し付けられて吸入口52を閉鎖している。
そして圧縮機が起動されると、吸入管路を伝って吸入口
52に達した冷媒ガスが可動子54の上壁上面を押圧
し、それと同時に吸入室51内に残存していた冷媒ガス
が圧縮室に吸入されて吸入室51内のガス圧P2が低下
するため、リテーナ53内の冷媒ガスが隙間56を通っ
て吸入室51内に流出する。この冷媒ガスの流出により
リテーナ53内部のガス圧P3が低下するため、吸入口
52における冷媒ガスのガス圧P1がスプリング55の
押圧力とP3との和よりも大きくなり、図10に示され
るように可動子54が下降して吸入口52及びガス通孔
57が開口する。
【0006】リテーナ53の下壁に穿設されたガス吸入
口58及び逆止弁59は、圧縮機の停止時に吸入室51
内の冷媒ガスをリテーナ53内部に流入させて、可動子
54を上方に移動し易くするために設置されたものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成の起動トルク低減装置では、圧縮機の起動時に
おけるリテーナ内の冷媒ガスの流出が速やかに行われる
ため、起動後間もなく吸入口及びガス通孔が全開状態に
なり、圧縮機は全負荷運転を余儀なくされてしまい、起
動負荷低減の効果が充分ではない。リテーナ内の冷媒ガ
スの流出を緩やかに行わせるためには隙間を狭く形成す
ればよいが、そのためには可動子の外周面及びリテーナ
の内周面の寸法交差を厳しく設定しなければならず、製
造工程における加工が困難になり各製品間のばらつきも
大きくなってしまう。また、スプリングの押圧力を大き
くすれば吸入口及びガス通孔は開口されにくくなるが、
このスプリングの押圧力に吸入口の冷媒ガスの圧力を対
抗させて可動子を押圧下降させるため、スプリングの押
圧力もあまり大きくはできない。
【0008】この発明は、上述の従来技術に存在する問
題点に着目してなされたものであって、その目的は、圧
縮機起動後に圧縮負荷を緩やかに上昇させることによ
り、充分な起動負荷低減効果が得られる圧縮機の起動負
荷低減装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、この発明は以下のように構成されている。すなわ
ち、外部のエバポレータから吸入通路を介して冷媒ガス
を圧縮機の圧縮室に吸入し、該冷媒ガスに圧縮作用を施
した後、外部へ吐出する圧縮機において、該吸入通路の
途中に配設された弁ハウジングと、該弁ハウジング内に
移動可能に収容され該吸入通路を開閉するスプール弁
と、該スプール弁を前記吸入通路を閉鎖する方向に付勢
する付勢手段と、該スプール弁の軸方向の一端に形成さ
れたオイルダンパー室とで構成され、該スプール弁の他
端には吸入通路中の冷媒ガス圧力が作用することを特徴
としている。
【0010】前記弁ハウジングは、例えばエバポレータ
と圧縮機の吸入室とを連通する吸入通路の途中に接続さ
れる。またこの発明において、前記オイルダンパー室
に、冷媒ガス中に含まれる潤滑用オイルが供給された
り、前記スプール弁の軸方向中央部分に、オイルダンパ
ー室と隙間を介して連通される中間室が設けられたり、
さらには、前記スプール弁に前記中間室とオイルダンパ
ー室とを連通するオイル通路と、該オイル通路内のオイ
ルの通過を中間室からオイルダンパー室へ向かう一方向
のみ許容する逆止弁とが設けられたりしていると効果的
である。
【0011】さらには、前記吸入室内における吸入通路
の開口位置とは異なる位置と、前記中間室とを連通する
ガス通路が設けられていると効果的である。この場合、
前記吸入室が吐出室の外方域で環形状に形成されている
ときには、該吸入室を周方向に区画する隔壁を設け、前
記ガス通路を、吸入室内の吸入通路の開口位置とは隔壁
で隔てられた位置と中間室との間に連通させると、さら
に効果的である。
【0012】
【作用】上述の構成の起動負荷低減装置によると、圧縮
機の停止時には、スプール弁が付勢手段により吸入通路
を閉鎖する方向に付勢されているため、吸入通路は冷媒
ガスの通過する有効断面積を絞られ、冷媒ガスはエバポ
レータから吸入通路を介して圧縮機の圧縮室に充分に吸
入されることができない。
【0013】この状態から圧縮機が起動されると、吸入
通路が途中で絞られているため、圧縮機は小負荷運転で
起動される。この時、スプール弁が閉鎖している箇所よ
りエバポレータ側の吸入通路内で冷媒ガスの圧力が上昇
してくるため、この圧力がスプール弁の一端に作用して
スプール弁を吸入通路を開放する方向に押圧し、吸入通
路の有効断面積が徐々に拡大され始める。スプール弁は
他端にオイルの満たされたオイルダンパー室を有するた
め、このオイルダンパー室内のオイルが徐々にオイルダ
ンパー室外に移動し、それに伴いスプール弁が吸入通路
を開口する方向に移動するため、この吸入通路の有効断
面積の拡大は緩やかに行われる。
【0014】この際、スプール弁の軸方向中央部分に中
間室が設けられている場合には、スプール弁の下降時
に、オイルダンパー室内のオイルが徐々に中間室内に移
動する。吸入室を有する圧縮機の場合には、吸入通路の
有効断面積が拡大され始めると、それまでより多量の冷
媒ガスが吸入通路を通過して圧縮機の吸入室に吸入され
始める。しかしながら、吸入室はある程度の大きさの体
積を有するため、吸入室内の冷媒ガス圧力は均一にはな
らず、吸入室内においては吸入通路の開口位置近辺で圧
力が最大となり、該開口位置より離間した位置ほど該開
口位置と比較して低圧になる。
【0015】この吸入室内における該開口位置より離間
した位置と、スプール弁の軸方向中央部の中間室とがガ
ス通路で連通されている場合には、スプール弁の中間室
は常にスプール弁の一端に作用している吸入通路内の冷
媒ガス圧よりも低圧に保たれ、スプール弁は吸入通路の
開口方向に確実に移動する。さらに、スプール弁の中間
室が低圧に保たれることにより、オイルダンパー室内の
オイルが中間室に移動し易くなるため、スプール弁の移
動がさらに確実なものになる。
【0016】吸入室が吐出室の外方域で環形状に形成さ
れている場合には、該吸入室を周方向に区画する隔壁を
設けることにより、吸入室内における圧力差を大きくす
ることができる。そして、吸入通路の開口位置とは該隔
壁を挟んだ逆側にガス通路を開口させることにより、上
述の作用を顕著に生じさせることが可能である。上述の
ようにスプール弁は緩やかな速度で吸入通路を開口して
いく。それに伴い圧縮機の負荷も徐々に増大していき、
スプール弁が吸入通路を全開する位置まで移動される
と、圧縮機は全負荷運転を開始する。
【0017】圧縮機が停止されると、吸入通路内の冷媒
ガス圧力が低下するため、スプール弁は付勢手段の付勢
力により吸入通路を閉鎖する方向へ移動する。この際、
中間室とオイルダンパー室とを連通するオイル通路とこ
のオイル通路に付随する逆止弁とが設けられている場合
には、中間室内のオイルはオイル通路を伝ってオイルダ
ンパー室へ移動するため、この中間室内のオイルの移動
は短時間で行われ、圧縮機の停止後、スプール弁は速や
かに移動し吸入通路の有効断面積を縮小する。その後圧
縮機の停止状態が継続される場合は、吸入通路と中間室
内の冷媒ガス圧力が均一になるため、スプール弁は付勢
手段の付勢力により吸入通路の有効断面積を縮小した状
態を維持し続ける。
【0018】
【実施例】以下にこの発明を具体化した第1実施例につ
いて、図1〜6に従って説明する。図1は、圧縮機全体
の側断面を示している。図1において、圧縮機の外郭の
一部を構成するシリンダブロック1の前端にはフロント
ハウジング2が結合され、同後端には吸入室3が吐出室
4の外方域で環形状に形成されているリヤハウジング5
が、弁板6を介して結合されている。さらに、リヤハウ
ジング5の後端には内部にスプール弁7を収容した弁ハ
ウジング8が結合されている。
【0019】そして、フロントハウジング2内に形成さ
れたクランク室9には、車両エンジンにクラッチを介し
て連結された駆動軸10が挿通され、該駆動軸10はフ
ロントハウジング2及びシリンダブロック1にそれぞれ
ラジアル軸受11及び12を介して回転自在に支承され
ている。クランク室9内の駆動軸10上には回転斜板1
3が固着され、該回転斜板13の後面側には揺動板14
が相対回転可能に支持され、揺動板14はその外縁部に
設けられた案内部14aと通しボルト15との係合によ
り自転が拘束されている。さらに、シリンダブロック1
に貫設されたボア16内に収容された単頭ピストン17
と該揺動板14とはコンロッド18により連節されてい
る。したがって、駆動軸10が回転運動を行うと回転斜
板13を介して揺動板14が前後揺動を行い、それに伴
い単頭ピストン17がボア16内を前後動する。
【0020】また、シリンダブロック1の軸心部分には
クランク室9内へ突出したボス部1aが形成されて、該
ボス部1aに穿設された中心軸孔には上述のラジアル軸
受12が内装圧入されており、該ラジアル軸受12に支
承された駆動軸10の後端は、中心軸孔内に収納された
スラストレース21及び皿ばね22によって支持されて
おり、該皿ばね22の付勢力は、該駆動軸10に固着さ
れた回転斜板13とフロントハウジング2との間に介装
されたスラスト軸受23により受承されている。
【0021】弁ハウジング8内にはスプール弁7が軸方
向に移動可能に収容され、弁ハウジング8の底部に敷設
された円柱部材24と該スプール弁7の下部に付設され
たリテーナー部材25との間に介装されたスプリング2
6により、該スプール弁7は上方に押圧付勢されてい
る。弁ハウジング8の上部開口端には吸入通路としての
吸入管路27の一端面が固着されており、該吸入管路2
7の他端面はエバポレータに接続されている。また、弁
ハウジング8内上方には環形状の吸入室3の上部に連通
する吸入孔28が貫設されている。
【0022】スプール弁7には軸方向中央部に環状溝7
aが形成され、該環状溝7aにより弁ハウジング8内に
は中間室29が区画形成されている。また、スプール弁
7は該環状溝7aより上部が上方に開口する円筒容器形
状の弁頭部7b、同じく該環状溝7aより下部が円柱形
状のダンパー部7cとなっている。ダンパー部7cによ
り弁ハウジング8内には圧縮機の潤滑オイルで満たされ
たオイルダンパー室30が区画形成されている。
【0023】該弁頭部7bは、吸入管路27から弁ハウ
ジング8内に流入された冷媒ガスの圧力が直接作用する
ように、吸入管路27の開口端部に対向して設置されて
いる。また、弁頭部7bの底壁には、弁頭部7b内の空
間と中間室29とを連通するオイル落とし穴31が設け
られている。スプール弁7がスプリング26により上方
に付勢されているときには、該弁頭部7bにより前記吸
入孔28が閉鎖され、吸入管路27と吸入室3との連通
が遮断される。
【0024】ダンパー部7cは周囲の側壁との間に適度
な隙間を有しているため、オイルはオイルダンパー室3
0と中間室29との間を少量ずつ行き来することが可能
である。また、ダンパー部7cには中間室29とオイル
ダンパー室30とを連通するオイル通路32が設けられ
ており、該オイル通路32の下端には逆止弁33が付設
されている。該逆止弁33により該オイル通路32内の
オイルの通過は中間室29からオイルダンパー室30へ
向かう一方向のみ許容される。逆止弁33の開度は、前
述のリテーナー部材25への当接により規制される。
【0025】リヤハウジング5の壁内には、図1及び図
2に破線で示されるようなガス通路34が設けられてお
り、中間室29と吸入室3の下部とを連通している。環
形状の吸入室3内には吸入管路27からの冷媒ガスが吸
入孔28を介して供給されるが、該吸入室3がある程度
の体積を有するため室内において冷媒ガス圧力が一定に
はならない。つまり、吸入室3内の上部は前記吸入孔2
8が開口しているため最も高圧となり、下部は吸入室3
内において上部と最も離間しているため、上部と比較し
て最も低圧となる。中間室29はガス通路34により吸
入室3の下部と連通されているため、常に吸入管路27
から供給される冷媒ガス圧力よりも低圧の状態に保たれ
ている。
【0026】次に、上述のように構成された起動負荷低
減装置の動作を説明する。圧縮機が停止されているとき
には、図1に示されるように、スプール弁7はスプリン
グ26により上方の吸入管路27の端面に押圧付勢され
ている。このため、吸入管路27と吸入室3とを連通す
る吸入孔28はスプール弁7の弁頭部7bにより遮蔽さ
れている。
【0027】圧縮機が車両の駆動エンジンに連結される
ことにより起動されると、圧縮機の駆動軸10が回転
し、それとともに該駆動軸10に固着された回転斜板1
3も回転運動を行う。回転斜板13の回転運動はその後
端側に相対回転可能に支持された揺動板14の往復運動
に変換され、揺動板14にコンロッド18を介して連結
されたピストン17がボア16内を往復動する。ピスト
ン17の往動時にはピストン17の後端面とボア16と
で形成される圧縮室が拡大することにより吸入ポート1
9及び吸入弁(図示略)を介して吸入室3から冷媒ガス
が吸入され、ピストン17の復動時には圧縮室が収縮す
ることにより吐出ポート20及び吐出弁(図示略)を介
して冷媒ガスが吐出室4に吐出される。
【0028】このとき、スプール弁7により吸入管路2
7と吸入室3との連通が遮断されているため、吸入室3
には冷媒ガスが供給されない。そのため、ピストンの前
後運動による圧縮作用は低負荷で行われることになり、
駆動軸10の駆動トルクは小さい状態にある。そして、
吸入室3内の圧力が徐々に低下するため、吸入室3とガ
ス通路34により連通されている中間室29内の圧力も
低下してくる。またこのとき、吸入管路27内の冷媒ガ
スが吸入室3に排出されないため、吸入管路27内の圧
力は徐々に増大していく。
【0029】時間の経過とともに、吸入管路27内の冷
媒ガス圧力がスプリング26の付勢力より増大すると、
スプール弁7は弁頭部7bを冷媒ガス圧力により押圧さ
れ下降を開始する。このスプール弁7の下降は、ダンパ
ー部7cが下方のオイルダンパー室30内に満たされた
オイルの抵抗を受け、オイルがダンパー部7cと弁ハウ
ジング8側壁との隙間から少量ずつ中間室29に抜ける
のと共に行われるため、その速度は緩やかなものにな
る。このとき、オイル通路32は逆止弁33により閉鎖
されているため、オイルの通過を許容しない。
【0030】スプール弁7が上述のように下降してい
き、図3で示されるように吸入孔28がわずかに開口さ
れると、吸入管路27から弁ハウジング8上部に導出さ
れた冷媒ガスが吸入室3に吸入され始め、圧縮機の圧縮
負荷が徐々に増大していく。しかし、この時点ではまだ
吸入室3内に吸入される冷媒ガス量が少ないため、吸入
室3内の冷媒ガス圧力は偏りが大きく、吸入室3内の上
部と下部との圧力差が大きい。この低圧の下部と中間室
29とがガス通路34で連通されているため、スプール
弁7にさらに開弁方向に力が働くとともに、オイルダン
パー室30内のオイルが中間室29へ抜けやすくなり、
スプール弁7は下降動作を続ける。そして、吸入孔28
の開口面積が増大していくのに伴い冷媒ガスの流量が増
加し、弁頭部7bの底壁上面が冷媒ガスの動圧を受ける
ため、スプール弁にはさらに開弁方向に力が働き、スプ
ール弁7は図4に示されるような吸入孔28の全開位置
まで下降する。このようにして吸入孔28が全開にされ
ると、圧縮機は通常の全負荷運転を開始する。
【0031】圧縮機の運転中は、冷媒ガス中に含まれる
ミスト状の潤滑オイルが、吸入管路27から導出された
冷媒ガスとともに弁頭部7bの底壁上面に当たり、弁頭
部7bの円筒容器内に溜まる。このオイルは、ガス通路
34により常に弁頭部7bの上方より低圧に保たれた中
間室29にオイル落とし穴31を伝って吸引され、さら
にダンパー部7cと弁ハウジング8側壁との隙間やオイ
ル通路32を伝ってオイルダンパー室30に溜まる。こ
のオイルはオイルダンパー室30を満たした後は、その
上方の中間室29をも満たしていく。このオイルの動作
と並行して、常にオイルは冷媒ガス中に溶け込み、また
は巻き上げられて中間室29及びオイルダンパー室30
から流出していくため、オイルは常にある一定量だけオ
イルダンパー室30及び中間室29に溜まることにな
る。
【0032】圧縮機が停止されると、吸入管路27内及
び弁頭部7b上方の冷媒ガス圧力が低下するため、スプ
ール弁7はスプリング26の付勢力により閉弁方向に移
動する。このとき図5に示されるように、オイル通路3
2に付着された逆止弁33が開き、中間室29内のオイ
ルがオイル通路32を通過してオイルダンパー室30へ
抜けるため、スプール弁7の閉弁方向への移動は速やか
に行われ、圧縮機停止後間もなく吸入管路27と吸入室
3との連通は閉ざされる。その後圧縮機の停止状態が継
続されると、吸入管路27内と中間室29内の冷媒ガス
圧力が均一になるため、スプール弁はスプリング26の
付勢力により吸入管路27と吸入室3との連通を閉ざし
た状態を維持し続ける。
【0033】図6は圧縮機起動後の圧縮負荷が増加して
いく様子を示したものであり、破線が起動負荷低減装置
を設置していない従来の圧縮機におけるもの、実線がこ
の実施例の圧縮機におけるものである。この図に示され
るように、この実施例においては圧縮機の起動後、圧縮
負荷が徐々に増加していくため、圧縮機と車両エンジン
との間に介在するクラッチが接続され圧縮機が起動され
る瞬間に、車両エンジンに急激な負荷が作用しない。そ
れにより、車両が減速することによる不快感やショック
を抑制し、クラッチ及び圧縮機の耐久性を向上させるこ
とができる。
【0034】また、車両空調用の圧縮機はエバポレータ
の凍結防止のため、或いは車室内温度を空調の設定温度
に近づけるため、短いサイクルで起動及び停止を繰り返
すことがある。この実施例においては、圧縮機の停止時
に速やかにスプール弁が閉弁方向に移動するため、すぐ
に圧縮機が再起動される場合でも、低負荷で圧縮機の起
動を開始させることが可能であり、圧縮機の断続運転に
対応できる。
【0035】次にこの実施例を具体化した第2実施例に
ついて、図7に従って説明する。この実施例では、吸入
室3内の吸入孔28近傍に環形状の吸入室3を周方向に
区画する隔壁40が形成されており、図7に示されるよ
うに吸入孔28の開口位置とは隔壁40で隔てられた吸
入室3内の位置と前記中間室29とがガス通路41で連
通されている。この実施例におけるその他の構成は全て
実施例1と同様である。
【0036】この実施例においても、圧縮機の起動時に
スプール弁7は緩やかに下降し、圧縮機の圧縮負荷が徐
々に増加していくので、圧縮機起動時の車両の減速を抑
制することができる。またこの実施例では、吸入室3に
隔壁40を設けることにより吸入室3内における吸入孔
28の開口位置とガス通路41の開口位置とをさらに離
間させることができ、圧力差を大きくすることができた
ため、中間室29内が上述の実施例よりも低圧に保たれ
る。このため、圧縮機の起動時に、スプール弁7の弁頭
部7b1おける上下の圧力差が大きくなり、さらにはオ
イルダンパー室30内のオイルが中間室29へ抜け易く
なるので、スプール弁7の開弁がさらに確実に行われ
る。また、圧縮機運転中に弁頭部7bに溜まったオイル
がオイル落とし穴31を伝って吸引されやすくなるので
オイルダンパー室30及び中間室29下部に安定してオ
イルが供給され、スプール弁7の開弁時のオイルダンパ
ー機能を確実なものにする。
【0037】次に、この発明を具体化した第3実施例に
ついて、図8に従って説明する。この実施例では、図8
に示されるように円筒形の弁ハウジング50が吸入通路
としての吸入管路51の途中に接続されており、弁ハウ
ジング50の上端に一端がエバポレータに接続された吸
入管路51aの他端が接続されている。また、弁ハウジ
ング50の側壁に貫設された吸入孔52には吸入管路5
1bの一端が接続し、該吸入管路51bの他端は圧縮機
の吸入室3に接続されている。弁ハウジング50内部の
構成は上述の実施例と同様であり、ただし、ガス通路3
4,41の代わりに、圧縮機の吸入室3内における吸入
管路51bの開口位置とは最も離間した位置と中間室2
9とが、弁ハウジング50の側壁に貫設されたガス通孔
53及びガス通路としてのガス配管54により連通され
ている。
【0038】この実施例においても、スプール弁7は圧
縮機の起動後徐々に吸入孔52を開口し、圧縮負荷が緩
やかに上昇する。そのため、圧縮機起動時の車両の減速
を抑制することができる。なお、この発明は上述の実施
例の構成に限定されるものではなく、この発明の趣旨か
ら逸脱しない範囲で、各部の構成を任意に変更して具体
化することも可能である。例えば、以下のように変更し
て実施することができる。
【0039】1) 本発明を斜板式、ベーン式又はスク
ロール式の圧縮機に適用する。 2) 本発明を可変容量型の圧縮機に適用する。 3) 本発明をクランク室にオイル溜まりを有する圧縮
機に適用する場合に、オイル溜まりからオイルダンパー
室へオイルを供給するオイル供給路を設ける。 4) オイルダンパー室用のオイルとして専用のオイル
を使用し、その専用オイルの供給機構を設ける。
【0040】5) 圧縮機の停止時にスプール弁は吸入
管路を全閉せずに、吸入管路の有効断面積を絞るのみと
する。 6) ガス通路及びガス配管を、吸入室側において吸入
管路の開口位置とは異なる任意の位置に開口させる。 7) 弁頭部を円柱形に形成し、その側面に上下方向の
溝を走らせてオイル落とし穴とする。
【0041】また、この発明の起動負荷低減装置は、エ
バポレータから圧縮機の圧縮室に冷媒ガスを供給する吸
入通路の途中の任意の箇所に設けることができる。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
圧縮機を起動したときに圧縮機にかかる負荷が小さく徐
々に全負荷運転に移行していくので、圧縮機起動時の不
快感やショックが防止されるという優れた効果を奏す
る。また、圧縮機にかかる負荷を徐々に増大させるた
め、圧縮機及びクラッチにかかる負担が小さくて済み、
それらの耐久性が増す。さらには、エバポレータの凍結
防止等のため圧縮機の起動と停止が頻繁に行われるよう
な場合にも、起動の度に低負荷から運転を開始させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化した第1実施例のコンプレ
ッサ全体の側断面図である。
【図2】 図1のA−A断面図である。
【図3】 スプール弁の半開口状態を示す部分断面図で
ある。
【図4】 スプール弁の全開状態を示す部分断面図であ
る。
【図5】 スプール弁の閉鎖動作時の逆止弁の開口状態
を示す部分断面図である。
【図6】 圧縮機起動後の時間と負荷の関係を示すグラ
フである。
【図7】 第2実施例におけるガス通路の連通箇所を示
す断面図である。
【図8】 第3実施例のスプール弁の設置状態を示す概
略図である。
【図9】 従来技術の起動負荷低減装置の構造を示す断
面図である。
【図10】 従来技術の起動負荷低減装置の弁開口状態
を示す断面図である。
【符号の説明】
3…吸入室、7…スプール弁、8,50…弁ハウジン
グ、26…付勢手段としてのスプリング、27,51
a,51b…吸入通路としての吸入管路、29…中間
室、30…オイルダンパー室、32…オイル通路、33
…逆止弁、34,41…ガス通路、40…隔壁、54…
ガス通路としてのガス配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 泰憲 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地株式会社 豊田自動織機製作所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部のエバポレータから吸入通路を介し
    て冷媒ガスを圧縮機の圧縮室に吸入し、該冷媒ガスに圧
    縮作用を施した後、外部へ吐出する圧縮機において、 該吸入通路の途中に配設された弁ハウジングと、該弁ハ
    ウジング内に移動可能に収容され該吸入通路を開閉する
    スプール弁と、該スプール弁を前記吸入通路を閉鎖する
    方向に付勢する付勢手段と、該スプール弁の軸方向の一
    端に形成されたオイルダンパー室とで構成され、該スプ
    ール弁の他端には吸入通路中の冷媒ガス圧力が作用する
    ことを特徴とする圧縮機の起動負荷低減装置。
  2. 【請求項2】 前記弁ハウジングはエバポレータと圧縮
    機の吸入室とを連通する吸入通路の途中に接続されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の圧縮機の起動負荷低
    減装置。
  3. 【請求項3】 前記オイルダンパー室には、冷媒ガス中
    に含まれる潤滑用オイルが貯留されることを特徴とする
    請求項1又は2記載の圧縮機の起動負荷低減装置。
  4. 【請求項4】 前記スプール弁の軸方向中央部分には、
    オイルダンパー室と隙間を介して連通される中間室が設
    けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧縮機
    の起動負荷低減装置。
  5. 【請求項5】 前記スプール弁には、前記中間室と前記
    オイルダンパー室とを連通するオイル通路と、該オイル
    通路内のオイルの通過を中間室からオイルダンパー室へ
    向かう一方向のみ許容する逆止弁とが設けられたことを
    特徴とする請求項4記載の圧縮機の起動負荷低減装置。
  6. 【請求項6】 前記吸入室内における吸入通路の開口位
    置とは異なる位置と、前記中間室とを連通するガス通路
    が設けられたことを特徴とする請求項4記載の圧縮機の
    起動負荷低減装置。
  7. 【請求項7】 前記吸入室は吐出室の外方域で環形状に
    形成されており、該吸入室を周方向に区画する隔壁が吸
    入室内に設けられ、前記ガス通路は、吸入室内の吸入通
    路の開口位置とは隔壁で隔てられた位置と中間室とを連
    通することを特徴とする請求項6記載の圧縮機の起動負
    荷低減装置。
JP5287881A 1993-11-17 1993-11-17 圧縮機の起動負荷低減装置 Pending JPH07139474A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5287881A JPH07139474A (ja) 1993-11-17 1993-11-17 圧縮機の起動負荷低減装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5287881A JPH07139474A (ja) 1993-11-17 1993-11-17 圧縮機の起動負荷低減装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07139474A true JPH07139474A (ja) 1995-05-30

Family

ID=17722940

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5287881A Pending JPH07139474A (ja) 1993-11-17 1993-11-17 圧縮機の起動負荷低減装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07139474A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2034183A2 (en) 2007-09-04 2009-03-11 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki Suction structure in piston type compressor
JP2014043822A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Sanden Corp 圧縮機
US20160195077A1 (en) * 2013-09-03 2016-07-07 Sanden Holdings Corporation Compressor

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2034183A2 (en) 2007-09-04 2009-03-11 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki Suction structure in piston type compressor
JP2014043822A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Sanden Corp 圧縮機
US20160195077A1 (en) * 2013-09-03 2016-07-07 Sanden Holdings Corporation Compressor
DE112013007398B4 (de) 2013-09-03 2023-06-22 Sanden Corporation Kompressor mit verringertem Druckabfall im Ansaugdrosselventil

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100758170B1 (ko) 가변 용량형 압축기
JPH09324758A (ja) カムプレート式圧縮機
JPH08189464A (ja) 可変容量型圧縮機
JPH11257217A (ja) 片側可変容量型圧縮機
CN101526075A (zh) 旋转斜盘式压缩机
JP2000080983A (ja) 圧縮機
KR101194431B1 (ko) 가변 용량 압축기
JPH09228956A (ja) 可変容量型圧縮機
JPS61145379A (ja) 可変容量型圧縮機
JPH07139474A (ja) 圧縮機の起動負荷低減装置
JPH0737796B2 (ja) ロータリ圧縮機
JPH09242667A (ja) 往復動型圧縮機
JP2008133810A (ja) 圧縮機
JP3924713B2 (ja) 可変容量型圧縮機用制御弁
JP2674562B2 (ja) 給油制御手段を備えたスクロール冷媒圧縮機
JPH0422071Y2 (ja)
JPH11182469A (ja) スクロール型圧縮機
JPH09273483A (ja) 可変容量型圧縮機
JP2007192154A (ja) 往復動型流体機械
JP2590493B2 (ja) 圧縮機
JPH01294986A (ja) 多気筒回転式圧縮機
JPH0735037A (ja) 斜板式圧縮機の吸気機構
JP3630769B2 (ja) スクロール圧縮機
JPH06221265A (ja) 揺動斜板式可変容量圧縮機
JPH10306775A (ja) 湿式クラッチ装置を備えた流体機械