JPH07138884A - ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト - Google Patents

ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト

Info

Publication number
JPH07138884A
JPH07138884A JP28486893A JP28486893A JPH07138884A JP H07138884 A JPH07138884 A JP H07138884A JP 28486893 A JP28486893 A JP 28486893A JP 28486893 A JP28486893 A JP 28486893A JP H07138884 A JPH07138884 A JP H07138884A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
belt
fiber cord
latex
nitrile rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP28486893A
Other languages
English (en)
Inventor
Chikashi Tomahara
史 笘原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bando Chemical Industries Ltd filed Critical Bando Chemical Industries Ltd
Priority to JP28486893A priority Critical patent/JPH07138884A/ja
Publication of JPH07138884A publication Critical patent/JPH07138884A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベルト走行時における力学的疲労による接着
剤層の破損、走行環境上起こる熱老化による接着剤層の
熱硬化破損、湿潤老化による接着剤層の裂傷を防止して
ベルト寿命を大幅に改善する。 【構成】 レゾルシン−ホルマリン縮合物、H−NBR
ラテックスおよびCOOH−H−NBRラテックスを主
成分とする処理液で処理されたゴム補強用繊維コード
(ベルト抗張体)4をベルト本体3に埋設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム補強用繊維コード
およびそれを用いた伝動ベルトの改良に関し、特に耐熱
性、耐水性および耐屈曲疲労性等の物性向上対策に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、伝動ベルトの寿命および信頼性の
向上への要求が高まりつつある。かかる伝動ベルトとし
て歯付ベルトは種々の分野で多用されている。特に、自
動車のエンジンに用いられるOHC駆動用歯付ベルト
は、高負荷でかつ多軸で使用される上に、エンジンの熱
により100〜140℃にも達する高温条件下におかれ
る。また、走行中の天候により雨がエンジンルームに入
り込み、エンジンの熱との相乗により高湿条件下となる
こともある。このような過酷条件に起因して歯付ベルト
の耐用寿命が短くなる問題がある。
【0003】この歯付ベルトの耐用寿命の短縮化の一態
様として、ベルト抗張体である繊維コードの接着剤層が
破壊し、もしくは繊維コードと接着剤界面が破壊し、繊
維コードの破断、ひいてはベルトの切断に至るものが多
い。この原因として、 ベルトにかかる繰返し伸張圧縮応力による接着剤層
の亀裂、 高温条件による接着剤の硬化劣化に伴う接着剤層の
亀裂、 高湿条件による接着剤の吸水膨潤、裂傷、繊維との
界面破壊といったことが考えられる。
【0004】したがって、歯付ベルトの過酷条件下での
耐用寿命を増すには、接着剤層の耐屈曲疲労性、耐熱性
および耐水性等の物性の向上が重要な因子となる。
【0005】ところで、従来のベルト本体を構成するゴ
ム配合物と繊維コードの接着は、RFL液(レゾルシン
−ホルマリン(RF)縮合物とゴムラテックス(L)の
混合物)で繊維コードを処理し、未加硫ゴム配合物と密
着加硫することにより行われており、接着性、耐熱性お
よび耐屈曲疲労性を向上させるため、R/Fの比率、ラ
テックスの種類について種々提案され実施されている。
【0006】例えば、耐熱性と耐水性を向上させるため
に、耐熱性の高い水素化ニトリルゴム(H−NBR)ラ
テックスやカルボキシル化水素化ニトリルゴム(COO
H−H−NBR)ラテックスを用いたRFLで処理する
こと(特開昭63−248879号公報、特開昭63−
270877号公報)、また、耐屈曲疲労性と耐熱性を
満足させるために、一層目にH−NBRラテックス等と
いった耐熱性の良いラテックスを用いたRFLで処理
し、二層目に柔軟なビニルビリジン(Vp)ラテック
ス、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックス等を
用いたRFLで処理すること(特開平1−213478
号公報)等といった処理が行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、H−N
BRラテックスを用いるRFLは、RFL皮膜に柔軟性
が欠けるため前述のの問題が残る。また、抗張体にガ
ラス繊維コードを用いた場合、フィラメント群の集束力
が劣るためガラス繊維コード内に空隙が発生し、の問
題が起こる。また、RFL(L=H−NBR)/RFL
(L=Vp)の二層処理を施したものでは、Vpラテッ
クスを用いる以上、耐熱性は十分ではなく、の問題が
起こり、さらに、異なる材料で二層処理を行うためコス
トも高くなる。また、COOH−H−NBRラテックス
を用いた場合は接着力が高まるが、吸水率が高まってR
FL皮膜が膨潤し、耐水走行が低下する。
【0008】すなわち、上記の耐屈曲疲労性、耐熱
性、耐水性の3つの問題点をすべて解決する処理剤が
得られていないのが現状である。
【0009】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、ゴムラテックスに複数
種のNBRラテックスを用いることにより、繊維コード
の耐熱性、耐屈曲疲労性および耐水性を改良し、伝動ベ
ルトの抗張体として用いた場合に、ベルト走行時におけ
る力学的疲労による接着剤層の破損、走行環境上起こる
熱老化による接着剤層の熱硬化破損、湿潤老化による接
着剤層の裂傷を防止してベルト寿命を大幅に改善せんと
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の第1の解決手段は、レゾルシン−ホルマリ
ン縮合物、水素化ニトリルゴム(H−NBR)ラテック
スおよびカルボキシル化水素化ニトリルゴム(COOH
−H−NBR)ラテックスを主成分とする処理液でゴム
補強用繊維コードを処理したことを特徴とする。
【0011】本発明の第2の解決手段は、第1の解決手
段において、水素化ニトリルゴム(H−NBR)ラテッ
クスとカルボキシル化水素化ニトリルゴム(COOH−
H−NBR)ラテックスの混合割合を固形分で100:
50〜100:5wt比にしたことを特徴とする。
【0012】本発明の第3の解決手段は、レゾルシン−
ホルマリン縮合物、水素化ニトリルゴム(H−NBR)
ラテックスおよびカルボキシル化ニトリルゴム(COO
H−NBR)ラテックスを主成分とする処理液でゴム補
強用繊維コードを処理したことを特徴とする。
【0013】本発明の第4の解決手段は、第3の解決手
段において、水素化ニトリルゴム(H−NBR)ラテッ
クスとカルボキシル化ニトリルゴム(COOH−NB
R)ラテックスの混合割合を固形分で100:50〜1
00:5wt比にしたことを特徴とする。
【0014】本発明の第5の解決手段は、レゾルシン−
ホルマリン縮合物、水素化ニトリルゴム(H−NBR)
ラテックスおよびカルボキシル化水素化ニトリルゴム
(COOH−H−NBR)ラテックスを主成分とする処
理液で処理されたゴム補強用繊維コードをベルト本体に
埋設したことを特徴とする。
【0015】本発明の第6の解決手段は、第5の解決手
段において、水素化ニトリルゴム(H−NBR)ラテッ
クスとカルボキシル化水素化ニトリルゴム(COOH−
H−NBR)ラテックスの混合割合を固形分で100:
50〜100:5wt比にしたことを特徴とする。
【0016】本発明の第7の解決手段は、レゾルシン−
ホルマリン縮合物、水素化ニトリルゴム(H−NBR)
ラテックスおよびカルボキシル化ニトリルゴム(COO
H−NBR)ラテックスを主成分とする処理液で処理さ
れたゴム補強用繊維コードをベルト本体に埋設したこと
を特徴とする。
【0017】本発明の第8の解決手段は、第7の解決手
段において、水素化ニトリルゴム(H−NBR)ラテッ
クスとカルボキシル化ニトリルゴム(COOH−NB
R)ラテックスの混合割合を固形分で100:50〜1
00:5wt比にしたことを特徴とする。
【0018】上記レゾルシン−ホルマリン(RF)縮合
物におけるレゾルシンとホルマリンとの重合割合は1:
0.5〜1:3mol 比で、好ましくは1:1〜1:2mo
l 比である。また、このRF樹脂とH−NBRラテック
スの混合割合は固形分で1:5〜1:20wt比である。
好ましくは、伝動ベルトの抗張体として有機繊維を用い
る場合は1:5〜1:10wt比、ガラス繊維を用いる場
合は1:10〜1:20wt比である。H−NBRラテッ
クスとCOOH−H−NBRラテックスもしくはH−N
BRラテックスとCOOH−NBRラテックスの混合割
合(ブレンド比)は固形分で100:50〜100:5
wt比であり、好ましくは100:30〜100:10wt
比である。COOH−H−NBRラテックスもしくはC
OOH−NBRラテックスの比率が50重量部を超える
と吸水率が高くなって耐水性に劣る一方、5重量部を下
回るとCOOH−H−NBRラテックスもしくはCOO
H−NBRの効果が発現せず耐屈曲疲労性が劣るからで
ある。したがって、COOH−H−NBRラテックスも
しくはCOOH−NBRの添加量は、熱老化後の破断伸
び(EB )およびRFL皮膜の柔軟性を保持する観点か
ら50重量部以下であることが好ましい。
【0019】本発明に用いられるラテックスを構成する
H−NBRとは、不飽和ニトリル−共役ジエン共重合ゴ
ムの共役ジエン単位部分を水素化したものである。ま
た、COOH−NBRとは、不飽和ニトリル−共役ジエ
ン−エチレン型不飽和単量体三次元共重合ゴム、不飽和
ニトリル−エチレン型不飽和単量体系共重合ゴムであ
り、COOH−H−NBRとは、COOH−NBRの共
役ジエン単位部分を水素化したものである。これらのニ
トリル基含有高飽和ゴムは通常の重合手法および通常の
水素化方法を用いることにより得られるが、本発明にお
いては該ゴムの製造方法は特に限定されないことはいう
までもない。
【0020】本発明のニトリル基含有高飽和ゴムを製造
するために使用される単量体を以下に例示する。
【0021】不飽和ニトリルとしてはアクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等が、共役ジエンとしては1,
3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプ
レン、1,3−ペンタジエン等が挙げられる。エチレン
性不飽和単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびその
塩;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートのよう
な前記カルボン酸のエステル;メトキシメチルアクリレ
ート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエトキシ
エチルアクリレートのような前記不飽和カルボン酸のア
ルコキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリ
ルアミド;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、
N,N´−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−
エトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなN−置
換(メタ)アクリルアミド;シアノメチル(メタ)アク
リレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、1
−シアノプロピル(メタ)アクリレート、2−エチル−
6−シアノヘキシル(メタ)アクリレート、3−シアノ
プロピルアクリレート等の(メタ)アクリル酸シアノ置
換アルキルエステル、ビニルピリジン等が含まれる。
【0022】不飽和ニトリル−エチレン性不飽和単量体
系共重合ゴムにおいては、該不飽和単量体の一部をビニ
ルノルボーネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキ
サジエンのような非共役ジエンで置換して共重合させて
もよい。
【0023】ニトリル基含有高飽和ゴム中の不飽和ニト
リル単位の含有量は接着性の点および被着体ゴムとのな
じみより通常10〜60重量%の範囲で選択され特に限
定されない。また、熱老化後においても十分な接着強度
が得られるためには該ゴムのヨウ素価は120以下であ
り、好ましくは0〜100の範囲である。
【0024】このような本発明で使用されるニトリル基
含有高飽和ゴムは、具体的にはブタジエン−アクリロニ
トリル共重合ゴム、イソプレン−ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合ゴム、イソプレン−アクリロニトリル共
重合ゴム等を水素化したもの;ブタジエン−メチルアク
リレート−アクリロニトリル共重合ゴム、ブタジエン−
アクリル酸−アクリロニトリル共重合ゴム等およびこれ
らを水素化したもの;ブタジエン−エチレン−アクリロ
ニトリル共重合ゴム、ブチルアクリレート−エトキシエ
チルアクリレート−ビニルクロロアセテート−アクリロ
ニトリル共重合ゴム、ブチルアクリレート−エトキシエ
チルアクリレート−ビニルノルボーネン−アクリロニト
リル共重合ゴム等が例示できる。
【0025】なお、本発明の各成分重合体のヨウ素価は
JISK0070に従って求めた値である。
【0026】本発明に用いられるニトリル基含有高飽和
ゴムラテックスは該ゴムが水素化ゴムの場合は通常公知
の転相法またはラテックスの直接水素化反応により製造
され、水素化ゴムでない場合には通常の乳化重合により
製造される。
【0027】転相法は、ニトリル基含有高飽和ゴムの溶
液と乳化剤水溶液とを混合し、強撹拌により該ゴムを微
粒子として水中に乳化分散させ、さらに溶剤を除去する
方法であり、この方法によってニトリル基含有高飽和ゴ
ムのラテックスが得られる。その際のニトリル基含有高
飽和ゴム溶液としては、重合および水素化反応終了時の
溶液をそのまま、あるいは濃縮又は希釈したものを用い
ることもできるし、また、固形状態とした該ゴムを溶剤
に溶解して用いることもできる。溶剤としては該ゴム可
溶性のベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶
剤、ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化
水素系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒ
ドロフラン等のケトン類等が単独あるいは混合して用い
られる。溶液中のニトリル基含有高飽和ゴムの濃度は通
常1〜25重量%の範囲である。通常、乳化剤として
は、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸、ロジン酸、
アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸エステル等
のカリウム塩、ナトリウム塩、ポリオキシエチレン系の
ノニオン性乳化剤等が単独であるいは混合して用いられ
る。
【0028】ニトリル基含有高飽和ゴム溶液と水との容
量比は、通常3:1〜1:20の範囲である。乳化分散
させる際の撹拌機としては、各種のホモミキサー、超音
波乳化機等が使用される。乳化液からの溶剤の除去はス
チームストリッピング法等の公知の方法により行われ
る。
【0029】本発明の処理剤をベルト抗張体の処理剤と
して用いる場合には、必要に応じて加硫剤(硫黄、亜鉛
華等)、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、カ
ーボンブラック、シリカ、充填剤、分散剤、乳化剤、安
定化剤、増粘剤などを適宜配合できる。水に溶けないも
のについては水分散体として用いる。水分散体を作製す
るには常法によればよく、例えばボールミル、ホモジナ
イザーを用いればよい。なお、場合によっては、予めベ
ルト抗張体をイソシアネート化合物、エポキシ化合物等
接着性を改善する処理剤等によって処理してもよい。こ
こで用いられるエポキシ化合物、イソシアネート化合物
は通常用いられているエポキシ化合物やイソシアネート
化合物であればよい。また、本発明の処理剤で処理され
た繊維コードの外層にオーバーコート処理してもよい。
【0030】そして、上述の如き処理液でゴム補強用繊
維コードを処理するわけであるが、この処理されたゴム
補強用繊維コードをベルト抗張体として用いる場合に
は、これがベルト本体に埋設されて伝動ベルトが構成さ
れる。
【0031】ベルト抗張体としてのゴム補強用繊維コー
ドとしては、代表的には、綿、ポリビニルアルコール繊
維、脂肪族および芳香族ポリアミド繊維、ポリエステル
繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等を挙げること
ができるが、特に制限されるものではなく、従来よりゴ
ムとの接着に用いられるすべての繊維を含む。
【0032】また、伝動ベルトのベルト本体を構成する
ゴムは、天然ゴムおよび合成ゴムのいずれであってもよ
く、特に限定されるものではないが、例えばアクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルフォン化
ポリエチレンゴム、水素化ニトリルゴム等が挙げられ
る。
【0033】その加硫系としては、有機過酸化物、金属
酸化物、硫黄のどの加硫系を用いてもよく、促進剤を用
いてもよい。その材料も従来から知られているものであ
ればよく、特に限定されるものではない。
【0034】例えば、有機過酸化物であれば、ジ−t−
ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、α,α´−ビス(t−ブ
チルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチルジ(t−ブチルパーオキシ)
ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾ
イルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソ
プロピルカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等を
挙げることができる。
【0035】また、その他の加硫剤であれば、硫黄、ト
リアジン類等の加硫剤や、チアゾール類、ジチオカルバ
ミン酸塩類、チウラム類、チオウレア類等の加硫促進
剤、アルキルフェノール樹脂、臭素化アルキルフェノー
ル樹脂、N−N´−m−フェニレンジマレイミド等の樹
脂加硫剤を挙げることができる。
【0036】なお、ゴム配合物は、上記した加硫剤以外
に、さらに、通常、ゴム配合物として知られている種々
の補強性充填剤、老化防止剤、可塑剤、加硫助剤、加工
助剤等の適宜量を含有してもよい。
【0037】上記処理剤をゴム補強用繊維コードに処理
するには、通常のディッピング方法によればよい。ま
た、この処理をゴム補強用繊維コードに最終撚りをかけ
る前の段階で行うことにより、フィラメント間へのより
均一な含浸と被覆がなされる。
【0038】そして、上述の処理液をゴム補強用繊維コ
ードに処理し、これをベルト抗張体としてゴム層に加硫
接着することにより、図1に示すように、背ゴム層1と
該背ゴム層1の片面に一体に形成された複数の歯ゴム層
2とからなるベルト本体3の上記背ゴム層1に複数本の
ベルト抗張体(心線)4が埋設され、上記歯ゴム層2の
歯面に歯布5が接着剤(図示せず)にて一体に接着され
た伝動ベルトとしての歯付ベルトAを得ることができ
る。
【0039】
【作用】上記の構成により、本発明の第1〜4の解決手
段では、COOH−H−NBR、COOH−NBRのカ
ルボキシル基(COOH)の存在により、繊維のゴムに
対する初期接着のみならず、熱老化、湿潤老化後も接着
力が維持された上に熱老化前の破断伸び(EB )が大に
なり、また、H−NBRラテックスによってゴム補強用
繊維コードの耐熱性が良くなる。さらに、熱老化前後に
おいてもゴム補強用繊維コードの接着剤層の柔軟性が保
たれるとともに、RFL皮膜の吸水率が低減してゴム補
強用繊維コードが湿潤裂傷しにくくなる。これにより、
耐屈曲疲労性、耐熱性および耐水性のすべてを満たすゴ
ム補強用繊維コードが得られる。
【0040】本発明の第5〜8の解決手段では、上述の
如きゴム補強用繊維コードがベルト本体に埋設されるこ
とにより、ベルト走行時における力学的疲労による接着
剤層の破損、走行環境上起こる熱老化による接着剤層の
熱硬化破損、湿潤老化による接着剤層の裂傷が防止さ
れ、ベルト寿命が大幅に改善される。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0042】表1に示す処理液でガラス繊維ストランド
(フィラメント直径9μm、番手15000〜2250
0ヤード/ポンド)に固形分付着率が18%となるよう
に塗布し、250℃で1分間熱処理を行った後、所定の
本数で合撚して本実施例および比較例のゴム補強用ガラ
ス繊維コードを得た。このガラス繊維コードをベルト抗
張体(心線)4として、図1に示す如き歯付ベルトAを
作製した。ベルト本体3(背ゴム層1、歯ゴム層2)の
ゴム配合を表2に示す。また、この歯付ベルトAを用い
て下記の要領にてベルト屈曲試験を行い、そのデータを
表1に示す。さらに、本実施例および比較例におけるガ
ラス繊維コードのゴムに対する接着力およびガラス繊維
コードのRFL皮膜の特性を下記の要領にて測定し、そ
の結果をそれぞれ表1に示す。また、COOH−H−N
BRラテックスとH−NBRラテックスとのブレンド比
と、熱老化後の接着力および吸水率との関係を図4に、
RFL皮膜の熱老化後の破断伸び(EB )および接着処
理後のコード剛性との関係を図5に、ベルト走行後のベ
ルト強力維持率との関係を図6にそれぞれ示す。図4に
おいて○印は接着力、●印は吸水率である。図5におい
て○印は熱老化後のコード剛性、●印は熱老化前のコー
ド剛性、△印はRFL皮膜の熱老化後の破断伸び
(EB )である。図6において○印は熱老化後の8軸屈
曲疲労走行後のベルト強力維持率、●印は耐水8軸屈曲
疲労走行後のベルト強力維持率である。
【0043】表1および図4〜6のグラフより明らかな
ように、ベルト抗張体(心線)4の処理剤としてCOO
H−H−NBRラテックスもしくはCOOH−NBRラ
テックスを添加したものは、未添加のものよりも破断伸
び(EB )の点で大きくなっており、接着力も初期熱老
化前後において高くなっていることが判る。また、ベル
ト寿命を見ると、COOH−H−NBRラテックスもし
くはCOOH−NBRラテックスを添加したものは寿命
が向上していることが判る。
【0044】
【表1】
【0045】<ベルト屈曲試験の要領>歯付ベルトAを
図2に示すベルト屈曲試験機の4つの大プーリ11と、
相隣る大プーリ11間に配置された4つの小プーリ12
(直径30mm)とに巻き掛け、ウェイト13にて上記歯
付ベルトAに40kgf のテンションをかけた状態で、耐
水屈曲試験では屈曲回数5×107 回で屈曲走行させた
後、ベルト強力維持率を調べた。この際、水を1時間に
1リットルの割合で歯付ベルトAの歯底に滴下させた。
また、熱老化屈曲試験では熱老化条件150℃×168
時間で熱老化した後、屈曲回数1×108 回で屈曲走行
させ、その後、ベルト強力維持率を調べた。なお、この
試験に用いた歯付ベルトAは、図1に示す構造のもので
あり、ベルト幅は19mm、ベルト本体3はH−NBR、
歯布5はナイロン帆布である。
【0046】
【表2】
【0047】<接着力の測定要領>図3に示すように、
40×170×4(mm)のゴム材3´に接着処理済ガラ
ス繊維コード4を10本隙間なく敷き詰め、密着加硫し
た後、この10本のコード4に対しゴム材3´を剥離す
ることにより測定した。剥離スピードは50mm/minであ
る。試験機はインストロンを用いた。
【0048】<RFL皮膜特性の測定要領>RFL皮膜
調製後、40℃×15hrs 乾燥させたものを280℃×
2.5min熱処理し、160℃×30min プレスした。
これの引張強力を500mm/minの引張スピードでインス
トロンにて測定した。吸水率はプレス後の皮膜を3cm×
3cmシートにカットし、70℃温水に7日間浸漬してそ
の前後の重量変化を測定した。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜4に係
る本発明によれば、ゴム補強用繊維コードの処理液とし
て、H−NBRとCOOH−H−NBRとをブレンドし
たラテックス、もしくはH−NBRとCOOH−NBR
とをブレンドしたラテックスを用いたので、熱老化前後
におけるゴム補強用繊維コードの接着剤層の柔軟性を保
つことができるとともに、RFL皮膜の吸水率を低減し
てゴム補強用繊維コードを湿潤裂傷しにくくすることが
でき、耐屈曲疲労性、耐熱性および耐水性のすべてを満
たすゴム補強用繊維コードを得ることができる。
【0050】請求項5〜8に係る本発明によれば、上述
の如きゴム補強用繊維コードをベルト本体に埋設したの
で、ベルト走行時における力学的疲労による接着剤層の
破損、走行環境上起こる熱老化による接着剤層の熱硬化
破損、湿潤老化による接着剤層の裂傷を防止でき、ベル
ト寿命を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯付ベルトの断面図である。
【図2】ベルト屈曲試験機の構成図である。
【図3】ガラス繊維コードのゴムに対する接着力の測定
要領を示す説明図である。
【図4】COOH−H−NBRラテックスとH−NBR
ラテックスとのブレンド比と、熱老化後の接着力および
吸水率との関係を示すグラフである。
【図5】COOH−H−NBRラテックスとH−NBR
ラテックスとのブレンド比と、RFL皮膜の熱老化後の
破断伸び(EB )および接着処理後のコード剛性との関
係を示すグラフである。
【図6】COOH−H−NBRラテックスとH−NBR
ラテックスとのブレンド比と、ベルト走行後のベルト強
力維持率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
3 ベルト本体 4 ベルト抗張体(ゴム補強用繊維コード) A 歯付ベルト(伝動ベルト)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16G 1/08 A // B29K 21:00 105:08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レゾルシン−ホルマリン縮合物、水素化
    ニトリルゴムラテックスおよびカルボキシル化水素化ニ
    トリルゴムラテックスを主成分とする処理液で処理され
    ていることを特徴とするゴム補強用繊維コード。
  2. 【請求項2】 水素化ニトリルゴムラテックスとカルボ
    キシル化水素化ニトリルゴムラテックスの混合割合は、
    固形分で100:50〜100:5wt比であることを特
    徴とする請求項1記載のゴム補強用繊維コード。
  3. 【請求項3】 レゾルシン−ホルマリン縮合物、水素化
    ニトリルゴムラテックスおよびカルボキシル化ニトリル
    ゴムラテックスを主成分とする処理液で処理されている
    ことを特徴とするゴム補強用繊維コード。
  4. 【請求項4】 水素化ニトリルゴムラテックスとカルボ
    キシル化ニトリルゴムラテックスの混合割合は、固形分
    で100:50〜100:5wt比であることを特徴とす
    る請求項3記載のゴム補強用繊維コード。
  5. 【請求項5】 レゾルシン−ホルマリン縮合物、水素化
    ニトリルゴムラテックスおよびカルボキシル化水素化ニ
    トリルゴムラテックスを主成分とする処理液で処理され
    たゴム補強用繊維コードがベルト本体に埋設されてなる
    ことを特徴とする伝動ベルト。
  6. 【請求項6】 水素化ニトリルゴムラテックスとカルボ
    キシル化水素化ニトリルゴムラテックスの混合割合は、
    固形分で100:50〜100:5wt比であることを特
    徴とする請求項5記載の伝動ベルト。
  7. 【請求項7】 レゾルシン−ホルマリン縮合物、水素化
    ニトリルゴムラテックスおよびカルボキシル化ニトリル
    ゴムラテックスを主成分とする処理液で処理されたゴム
    補強用繊維コードがベルト本体に埋設されてなることを
    特徴とする伝動ベルト。
  8. 【請求項8】 水素化ニトリルゴムラテックスとカルボ
    キシル化ニトリルゴムラテックスの混合割合は、固形分
    で100:50〜100:5wt比であることを特徴とす
    る請求項7記載の伝動ベルト。
JP28486893A 1993-11-15 1993-11-15 ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト Withdrawn JPH07138884A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28486893A JPH07138884A (ja) 1993-11-15 1993-11-15 ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28486893A JPH07138884A (ja) 1993-11-15 1993-11-15 ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07138884A true JPH07138884A (ja) 1995-05-30

Family

ID=17684077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28486893A Withdrawn JPH07138884A (ja) 1993-11-15 1993-11-15 ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07138884A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007309523A (ja) * 2002-04-25 2007-11-29 Mitsuboshi Belting Ltd 歯付ベルト
JP2010234605A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Central Glass Co Ltd ゴム補強用ガラス繊維
US7909720B2 (en) * 2004-12-31 2011-03-22 Veyance Technologies, Inc. Fabric adhesion improvement for EPDM based low cost timing belt

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007309523A (ja) * 2002-04-25 2007-11-29 Mitsuboshi Belting Ltd 歯付ベルト
US7909720B2 (en) * 2004-12-31 2011-03-22 Veyance Technologies, Inc. Fabric adhesion improvement for EPDM based low cost timing belt
US8795456B2 (en) 2004-12-31 2014-08-05 Veyance Technologies, Inc. Fabric adhesion improvement for EPDM based low cost timing belt
JP2010234605A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Central Glass Co Ltd ゴム補強用ガラス繊維

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3601550B2 (ja) 接着剤組成物およびゴムと繊維との複合体
JPS5938046A (ja) ゴムと繊維とから成るベルト
JP2008291205A (ja) ベルト用ゴム組成物及びゴムベルト及び自動二輪車駆動用歯付ベルト
KR960001365B1 (ko) 고무 및 섬유의 접착제
WO2005098123A1 (ja) コード被覆用組成物、それを用いたゴム補強用コード、およびそれを用いたゴム製品
US5077127A (en) Adhesive for bonding rubber to fibers
JPS61207442A (ja) ゴム配合物と繊維との接着方法
US6106943A (en) Cord for reinforcing a rubber and treating material thereof
JP2008133553A (ja) ゴム補強用ガラス繊維
JPH11158744A (ja) ゴム補強用ガラス繊維コードおよびゴムベルト
JP4567708B2 (ja) 歯付ベルト
WO2006051873A1 (ja) ゴム補強用コードおよびその製造方法ならびにそれを用いたゴム製品
JPH07138884A (ja) ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト
JP3427714B2 (ja) ゴム補強用ガラス繊維コード
JP2008164167A (ja) 伝動ベルト及び伝動ベルトの製造方法
JPH1025665A (ja) ゴム補強用繊維処理剤、補強用繊維、およびゴム補強物
JP2005009010A (ja) ゴム製品の補強用繊維
JP4260420B2 (ja) 補強用繊維コード及びそれを用いた歯付ベルト
JP2004203730A (ja) ゴム補強用ガラス繊維
JP3465378B2 (ja) 水素化ニトリルゴム補強用ガラス繊維
JPH07138885A (ja) ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト
JPH07138878A (ja) ゴム補強用繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト
WO1999025784A1 (fr) Adhesif, composite comprenant un caoutchouc et une toile, et courroie crantee
JPH07138879A (ja) ゴム補強用ガラス繊維コードおよびそれを用いた伝動ベルト
KR20040105763A (ko) 고무보강용 유리 섬유 처리제, 이를 이용한 고무 보강용코드 및 고무 제품

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010130