JPH07138753A - スパッタリング装置およびスパッタリング方法 - Google Patents
スパッタリング装置およびスパッタリング方法Info
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- JPH07138753A JPH07138753A JP5323520A JP32352093A JPH07138753A JP H07138753 A JPH07138753 A JP H07138753A JP 5323520 A JP5323520 A JP 5323520A JP 32352093 A JP32352093 A JP 32352093A JP H07138753 A JPH07138753 A JP H07138753A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 大面積にわたって良質な薄膜を再現性よく形
成することを可能にしたスパッタリング装置を提供す
る。 【構成】 成膜容器1内に、表面に薄膜が形成される基
板3と、ターゲット51を保持するためのターゲットホ
ルダを兼ねると共に、ターゲット51近傍にマグネトロ
ンプラズマを生成するための電界供給手段と主磁界供給
手段とが一体化されたマグネトロン・スパッタリング源
5とが対向配置されており、さらに基板3表面近傍にお
けるマグネトロンプラズマの空間的分散量を低減する補
助磁界供給手段としての電磁石8を具備している。
成することを可能にしたスパッタリング装置を提供す
る。 【構成】 成膜容器1内に、表面に薄膜が形成される基
板3と、ターゲット51を保持するためのターゲットホ
ルダを兼ねると共に、ターゲット51近傍にマグネトロ
ンプラズマを生成するための電界供給手段と主磁界供給
手段とが一体化されたマグネトロン・スパッタリング源
5とが対向配置されており、さらに基板3表面近傍にお
けるマグネトロンプラズマの空間的分散量を低減する補
助磁界供給手段としての電磁石8を具備している。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マグネトロン・スパッ
タリング現象を利用して試料面上に化合物薄膜等を形成
するスパッタリング装置およびスパッタリング方法に関
する。
タリング現象を利用して試料面上に化合物薄膜等を形成
するスパッタリング装置およびスパッタリング方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】スパッタリング現象を利用して基板面上
に各種の化合物薄膜を形成する方法は、比較的簡単な装
置構成で高速に成膜が可能であるため、工業的に幅広く
使用されている。CVD法に比べた場合のスパッタリン
グ法の大きな利点は、低い基板温度(例えば 400℃以
下)条件下でも種々の薄膜の形成が可能な点である。こ
の低温成膜性は、特にマグネトロン・スパッタリング法
を採用した場合に顕著であり、低耐熱性の樹脂基板をも
試料として用いることができ、さらに幅広い応用が期待
されている。
に各種の化合物薄膜を形成する方法は、比較的簡単な装
置構成で高速に成膜が可能であるため、工業的に幅広く
使用されている。CVD法に比べた場合のスパッタリン
グ法の大きな利点は、低い基板温度(例えば 400℃以
下)条件下でも種々の薄膜の形成が可能な点である。こ
の低温成膜性は、特にマグネトロン・スパッタリング法
を採用した場合に顕著であり、低耐熱性の樹脂基板をも
試料として用いることができ、さらに幅広い応用が期待
されている。
【0003】マグネトロン・スパッタリング法は、スパ
ッタリング源近傍に電界(E)と直交する磁界(B)を
供給し、プラズマ中の電子をE×Bの方向に運動させる
ことによって、プラズマをスパッタリング源の極近傍の
領域に閉じ込め、基板温度の上昇を抑制している。マグ
ネトロン・スパッタリング法の付随的効果としては、通
常よりも低いガス圧力下で動作が可能であるため、不純
物混入量の少ない良質な薄膜が得られる点、プラズマが
スパッタリング源近傍に集中するので、スパッタリング
源へのイオン入射密度を高くでき、その結果としてスパ
ッタリングレートを高くできる点等が挙げられる。
ッタリング源近傍に電界(E)と直交する磁界(B)を
供給し、プラズマ中の電子をE×Bの方向に運動させる
ことによって、プラズマをスパッタリング源の極近傍の
領域に閉じ込め、基板温度の上昇を抑制している。マグ
ネトロン・スパッタリング法の付随的効果としては、通
常よりも低いガス圧力下で動作が可能であるため、不純
物混入量の少ない良質な薄膜が得られる点、プラズマが
スパッタリング源近傍に集中するので、スパッタリング
源へのイオン入射密度を高くでき、その結果としてスパ
ッタリングレートを高くできる点等が挙げられる。
【0004】しかしながら、大面積にわたって一様に電
界Eや磁界Bを印加することが困難であるために、マグ
ネトロン放電分布は不均一になり、それに伴って基板へ
流入するプラズマ量も分布を持つことになる。このプラ
ズマ量の分布のために、静止対向型のマグネトロン・ス
パッタリング法では、大面積に均一な膜質を持つ薄膜を
形成することが難しく、さらに通過型や試料ホルダ回転
型等の場合においても、膜厚方向に膜質変動のある薄膜
が形成されやすいという問題があった。このような傾向
は、酸素や窒素等の電子親和性ガスを使用した反応性ス
パッタリング法で形成した化合物薄膜の場合に特に顕著
に現れる。これは、基板に流入するプラズマ流には反応
性ガス中の負イオンやラジカルが含まれており、これら
負イオンやラジカルが膜質に大きな影響を与えるためで
ある。
界Eや磁界Bを印加することが困難であるために、マグ
ネトロン放電分布は不均一になり、それに伴って基板へ
流入するプラズマ量も分布を持つことになる。このプラ
ズマ量の分布のために、静止対向型のマグネトロン・ス
パッタリング法では、大面積に均一な膜質を持つ薄膜を
形成することが難しく、さらに通過型や試料ホルダ回転
型等の場合においても、膜厚方向に膜質変動のある薄膜
が形成されやすいという問題があった。このような傾向
は、酸素や窒素等の電子親和性ガスを使用した反応性ス
パッタリング法で形成した化合物薄膜の場合に特に顕著
に現れる。これは、基板に流入するプラズマ流には反応
性ガス中の負イオンやラジカルが含まれており、これら
負イオンやラジカルが膜質に大きな影響を与えるためで
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のマグネトロン・スパッタリング法では、基板等の試料
上でプラズマ量を平均化することが困難であり、これに
起因して大面積に均一な膜質の薄膜、特に化合物薄膜を
形成することが難しいという問題があった。
のマグネトロン・スパッタリング法では、基板等の試料
上でプラズマ量を平均化することが困難であり、これに
起因して大面積に均一な膜質の薄膜、特に化合物薄膜を
形成することが難しいという問題があった。
【0006】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、従来のマグネトロン・スパッタリン
グ法で形成された化合物薄膜等にみられる膜質の不均一
性を改善し、大面積にわたって良質な薄膜を再現性よく
形成することを可能にしたスパッタリング装置およびス
パッタリング方法を提供することを目的としている。
になされたもので、従来のマグネトロン・スパッタリン
グ法で形成された化合物薄膜等にみられる膜質の不均一
性を改善し、大面積にわたって良質な薄膜を再現性よく
形成することを可能にしたスパッタリング装置およびス
パッタリング方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のスパッタリング
装置は、ガス供給系と排気系とが連通された成膜容器
と、前記成膜容器内に配置されるターゲットの近傍にマ
グネトロンプラズマを生成するための電界を供給する電
界供給手段と、前記マグネトロンプラズマの生成に寄与
する主磁界を供給する主磁界供給手段と、前記ターゲッ
トを原料とする薄膜が表面に形成される試料の表面近傍
における前記マグネトロンプラズマの空間的分散量を低
減させる補助磁界を供給する補助磁界供給手段とを具備
することを特徴としている。
装置は、ガス供給系と排気系とが連通された成膜容器
と、前記成膜容器内に配置されるターゲットの近傍にマ
グネトロンプラズマを生成するための電界を供給する電
界供給手段と、前記マグネトロンプラズマの生成に寄与
する主磁界を供給する主磁界供給手段と、前記ターゲッ
トを原料とする薄膜が表面に形成される試料の表面近傍
における前記マグネトロンプラズマの空間的分散量を低
減させる補助磁界を供給する補助磁界供給手段とを具備
することを特徴としている。
【0008】また、本発明のスパッタリング方法は、ガ
ス供給系と排気系とが連通された成膜容器内に、ターゲ
ットおよびこのターゲットを原料とする薄膜を表面に形
成するための試料を配置する工程と、前記成膜容器内を
所定のガス雰囲気に設定すると共に、前記ターゲットの
近傍に電界および主磁界を供給して、前記成膜容器内に
マグネトロンプラズマを生成させる工程と、前記成膜容
器内に補助磁界を供給して、前記試料の表面近傍におけ
る前記マグネトロンプラズマの空間的分散量を低減させ
る工程とを具備することを特徴としている。
ス供給系と排気系とが連通された成膜容器内に、ターゲ
ットおよびこのターゲットを原料とする薄膜を表面に形
成するための試料を配置する工程と、前記成膜容器内を
所定のガス雰囲気に設定すると共に、前記ターゲットの
近傍に電界および主磁界を供給して、前記成膜容器内に
マグネトロンプラズマを生成させる工程と、前記成膜容
器内に補助磁界を供給して、前記試料の表面近傍におけ
る前記マグネトロンプラズマの空間的分散量を低減させ
る工程とを具備することを特徴としている。
【0009】
【作用】本発明のスパッタリング装置においては、マグ
ネトロンプラズマ生成用の主磁界供給手段の他に、試料
表面近傍におけるマグネトロンプラズマの空間的分散量
を低減させる、すなわち試料表面に流入するプラズマ量
を平均化する補助磁界供給手段を設けている。具体的に
本発明者らの実験によれば、上記主磁界供給手段によっ
て発生するターゲット面と平行な方向の磁界をターゲッ
ト面と平行な方向に移動させるという比較的簡単な方法
によって、成膜容器内のあらゆる方向の磁界を全て均一
にしなくても、試料表面近傍におけるプラズマ量を平均
化できることが分かった。このような本発明のスパッタ
リング方法によれば、上述したプラズマ量を平均化する
ことによって、従来の化合物薄膜等にみられる膜質の不
均一性が改善され、大面積に良質な薄膜を再現性よく形
成することが可能となる。
ネトロンプラズマ生成用の主磁界供給手段の他に、試料
表面近傍におけるマグネトロンプラズマの空間的分散量
を低減させる、すなわち試料表面に流入するプラズマ量
を平均化する補助磁界供給手段を設けている。具体的に
本発明者らの実験によれば、上記主磁界供給手段によっ
て発生するターゲット面と平行な方向の磁界をターゲッ
ト面と平行な方向に移動させるという比較的簡単な方法
によって、成膜容器内のあらゆる方向の磁界を全て均一
にしなくても、試料表面近傍におけるプラズマ量を平均
化できることが分かった。このような本発明のスパッタ
リング方法によれば、上述したプラズマ量を平均化する
ことによって、従来の化合物薄膜等にみられる膜質の不
均一性が改善され、大面積に良質な薄膜を再現性よく形
成することが可能となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
する。
【0011】図1は、本発明を適用した第1の実施例に
よる平行平板型のスパッタリング装置の概略構成を示す
図である。図中1は成膜容器であり、この成膜容器1の
一方の側面には 2つのガス導入ポート11、12が、も
う一方の側面にはガス排出ポート13が設けられてい
る。ガス導入ポート11は、反応性ガス供給系91に接
続されており、この反応性ガス供給系91から供給量調
節用のコンダクタンスバルブ92を介して成膜容器1内
に反応性ガスが供給される。また、ガス導入ポート12
は、Arガス供給系101に接続されており、このArガス
供給系101から供給量調節用のコンダクタンスバルブ
102を介して成膜容器1内にArガスが供給される。ガ
ス排出ポート13は、排気系111に接続されており、
この排気系111により排気系バルブ112を介して成
膜容器1内のガスが排気される。
よる平行平板型のスパッタリング装置の概略構成を示す
図である。図中1は成膜容器であり、この成膜容器1の
一方の側面には 2つのガス導入ポート11、12が、も
う一方の側面にはガス排出ポート13が設けられてい
る。ガス導入ポート11は、反応性ガス供給系91に接
続されており、この反応性ガス供給系91から供給量調
節用のコンダクタンスバルブ92を介して成膜容器1内
に反応性ガスが供給される。また、ガス導入ポート12
は、Arガス供給系101に接続されており、このArガス
供給系101から供給量調節用のコンダクタンスバルブ
102を介して成膜容器1内にArガスが供給される。ガ
ス排出ポート13は、排気系111に接続されており、
この排気系111により排気系バルブ112を介して成
膜容器1内のガスが排気される。
【0012】成膜容器1内の上部には、薄膜が表面に形
成される試料を保持するための試料ホルダ2がその面を
水平にして電気的に浮いた形で設置されており、その下
面に試料として基板3が支持されている。基板3の前方
には、シャッタ4が電気的に浮いた形で、シャッタ固定
台9をスライドさせて開閉自在となるように設けられて
いる。成膜容器1の底部には、基板3に対向するよう
に、電界供給手段と主磁界供給手段とが一体となったマ
グネトロン・スパッタリング源5が設けられており、直
流電源6で駆動されるようになっている。また、マグネ
トロン・スパッタリング源5は、ターゲット51を保持
するためのターゲットホルダも兼ねている。マグネトロ
ン・スパッタリング源5から発生する電界の方向は、基
板3からターゲット51に向かう方向であり、ターゲッ
ト面への投入電力密度は例えば 0.4〜 1.0W/cm2 に設定
する。
成される試料を保持するための試料ホルダ2がその面を
水平にして電気的に浮いた形で設置されており、その下
面に試料として基板3が支持されている。基板3の前方
には、シャッタ4が電気的に浮いた形で、シャッタ固定
台9をスライドさせて開閉自在となるように設けられて
いる。成膜容器1の底部には、基板3に対向するよう
に、電界供給手段と主磁界供給手段とが一体となったマ
グネトロン・スパッタリング源5が設けられており、直
流電源6で駆動されるようになっている。また、マグネ
トロン・スパッタリング源5は、ターゲット51を保持
するためのターゲットホルダも兼ねている。マグネトロ
ン・スパッタリング源5から発生する電界の方向は、基
板3からターゲット51に向かう方向であり、ターゲッ
ト面への投入電力密度は例えば 0.4〜 1.0W/cm2 に設定
する。
【0013】マグネトロン・スパッタリング源5の周囲
には、補助磁界供給手段として、交流電源または直流電
源7が接続された電磁石8が設置されている。この電磁
石8から発生する磁界の方向や強さは、電磁石8に印加
する電流によって、自由に変えることができるように構
成されている。
には、補助磁界供給手段として、交流電源または直流電
源7が接続された電磁石8が設置されている。この電磁
石8から発生する磁界の方向や強さは、電磁石8に印加
する電流によって、自由に変えることができるように構
成されている。
【0014】図2は、図1に示したスパッタリング装置
のマグネトロン・スパッタリング源5と試料である基板
3、例えばガラス基板との間における磁界の方向を矢印
で示したものである。ここで、磁界はターゲット51下
にある永久磁石52から発生するが、図中Bh が基板3
表面においてターゲット51面および基板3面と平行な
磁界である。基板3表面で平行磁界Bh が生じる位置
は、永久磁石52の強度等によって決まる。この実施例
の装置では、平行磁界Bh の強度は 75G、また発生する
位置は基板3の中央から 5.1cmであった。そして、平行
磁界Bh の前後の基板3表面における磁界は、平行では
なく傾いている。しかしながら、この平行磁界Bh の基
板3表面での位置は、電磁石8から発生する磁界の強度
あるいは方向を変化させることによって制御することが
できる。つまり、電磁石8と永久磁石52とからそれぞ
れ発生した磁界の和が全体の磁界を形成し、それに伴っ
て平行磁界Bh の位置が基板3の表面上を移動する。そ
の結果、基板3表面近傍におけるプラズマ分布が変化
し、プラズマの空間的分散量が低減する。
のマグネトロン・スパッタリング源5と試料である基板
3、例えばガラス基板との間における磁界の方向を矢印
で示したものである。ここで、磁界はターゲット51下
にある永久磁石52から発生するが、図中Bh が基板3
表面においてターゲット51面および基板3面と平行な
磁界である。基板3表面で平行磁界Bh が生じる位置
は、永久磁石52の強度等によって決まる。この実施例
の装置では、平行磁界Bh の強度は 75G、また発生する
位置は基板3の中央から 5.1cmであった。そして、平行
磁界Bh の前後の基板3表面における磁界は、平行では
なく傾いている。しかしながら、この平行磁界Bh の基
板3表面での位置は、電磁石8から発生する磁界の強度
あるいは方向を変化させることによって制御することが
できる。つまり、電磁石8と永久磁石52とからそれぞ
れ発生した磁界の和が全体の磁界を形成し、それに伴っ
て平行磁界Bh の位置が基板3の表面上を移動する。そ
の結果、基板3表面近傍におけるプラズマ分布が変化
し、プラズマの空間的分散量が低減する。
【0015】図3は、図2における主磁界と補助磁界の
ベクトルの和がターゲット51面および基板3面に対し
て平行になる位置を結んだ線を、ターゲット51の短軸
方向の距離(X)を横軸に、ターゲット51から基板3
方向への距離(Z)を縦軸として記載したものである。
電界は、図3において略マイナスZ方向に印加されるた
め、ターゲット51付近に生成したプラズマは、図3に
記載した線におおよそ沿って基板3面に到達する。図3
において、線Xは主磁界のみによる場合、線Yは主磁界
に加えて基板3面付近のプラズマ分布を基板3の中心方
向に移動させるように補助磁界を印加した場合、線Zは
主磁界に加えて基板3面付近のプラズマ分布を基板3の
外側方向に移動させるように補助磁界を印加した場合で
ある。また、図4は上記条件X、Y、Zにおける各漏洩
磁界分布を示す図である。図3および図4から明らかな
ように、本発明に従って補助磁界を印加した場合、ター
ゲット51近傍の磁界分布は実質的に変化せず、基板3
表面近傍の磁界分布のみが変化することが分かる。従っ
て、本発明によれば、ターゲット51近傍のプラズマ分
布を実質的に変化させることなく、基板3表面近傍のプ
ラズマ分布のみを実質的に変化させることができる。
ベクトルの和がターゲット51面および基板3面に対し
て平行になる位置を結んだ線を、ターゲット51の短軸
方向の距離(X)を横軸に、ターゲット51から基板3
方向への距離(Z)を縦軸として記載したものである。
電界は、図3において略マイナスZ方向に印加されるた
め、ターゲット51付近に生成したプラズマは、図3に
記載した線におおよそ沿って基板3面に到達する。図3
において、線Xは主磁界のみによる場合、線Yは主磁界
に加えて基板3面付近のプラズマ分布を基板3の中心方
向に移動させるように補助磁界を印加した場合、線Zは
主磁界に加えて基板3面付近のプラズマ分布を基板3の
外側方向に移動させるように補助磁界を印加した場合で
ある。また、図4は上記条件X、Y、Zにおける各漏洩
磁界分布を示す図である。図3および図4から明らかな
ように、本発明に従って補助磁界を印加した場合、ター
ゲット51近傍の磁界分布は実質的に変化せず、基板3
表面近傍の磁界分布のみが変化することが分かる。従っ
て、本発明によれば、ターゲット51近傍のプラズマ分
布を実質的に変化させることなく、基板3表面近傍のプ
ラズマ分布のみを実質的に変化させることができる。
【0016】図5は、図3および図4に示した磁界分布
制御の結果として、基板3表面近傍におけるプラズマの
空間的分散量が低減することを示す図である。プラズマ
量は、基板3付近に設置したプローブで実測したプラズ
マ中のイオン電流密度と浮動電位との積で示した。イオ
ン電流密度はプラズマ密度に比例する量であり、浮動電
位はプラズマ中のイオン等が基板3表面に流入する際に
持つエネルギーに相当するので、両者の積は基板3表面
に流入するプラズマ粒子束密度に相当する。図示される
ように、従来と同様に主磁界のみを印加した場合(線
X)に比べて、主磁界に加えて補助磁界を印加した場合
(線Y、Z)には、図3および図4に示した磁界移動に
伴ってプラズマ分布が移動すると同時にプラズマの空間
的分散量(図5の縦軸方向の分布幅)が低減し得ること
が明確に分かる。従って、本発明では成膜条件に応じて
プラズマの空間的分散量が低減するように、プラズマ分
布を基板3の中心方向に移動させる補助磁界(線Y)、
またはプラズマ分布を基板3の外側方向に移動させる補
助磁界(線Z)を選択的に印加すればよい。この基板3
表面近傍におけるプラズマ分布の平均化効果によって、
本発明においては後に詳述するように基板3表面に形成
される薄膜の膜質を均一化することができる。なお従来
から、ターゲット近傍のプラズマ分布を変化させてター
ゲットの利用効率を高める目的で、ターゲット付近にマ
グネトロンプラズマを生成するための主磁界を複数設け
たマグネトロンスパッタリング装置が知られており、こ
れもある意味では主磁界供給手段の他に、補助的な磁界
供給手段を設けた構成とみなすことができる。しかしな
がら、この従来の装置では、ターゲット近傍のプラズマ
分布は変化するものの、上述したような補助的な磁界供
給手段で図3および図4に示した磁界分布制御を行うこ
とは不可能であり、試料表面近傍におけるプラズマの空
間的分散量を低減するという本発明の主旨からは逸脱す
るものである。
制御の結果として、基板3表面近傍におけるプラズマの
空間的分散量が低減することを示す図である。プラズマ
量は、基板3付近に設置したプローブで実測したプラズ
マ中のイオン電流密度と浮動電位との積で示した。イオ
ン電流密度はプラズマ密度に比例する量であり、浮動電
位はプラズマ中のイオン等が基板3表面に流入する際に
持つエネルギーに相当するので、両者の積は基板3表面
に流入するプラズマ粒子束密度に相当する。図示される
ように、従来と同様に主磁界のみを印加した場合(線
X)に比べて、主磁界に加えて補助磁界を印加した場合
(線Y、Z)には、図3および図4に示した磁界移動に
伴ってプラズマ分布が移動すると同時にプラズマの空間
的分散量(図5の縦軸方向の分布幅)が低減し得ること
が明確に分かる。従って、本発明では成膜条件に応じて
プラズマの空間的分散量が低減するように、プラズマ分
布を基板3の中心方向に移動させる補助磁界(線Y)、
またはプラズマ分布を基板3の外側方向に移動させる補
助磁界(線Z)を選択的に印加すればよい。この基板3
表面近傍におけるプラズマ分布の平均化効果によって、
本発明においては後に詳述するように基板3表面に形成
される薄膜の膜質を均一化することができる。なお従来
から、ターゲット近傍のプラズマ分布を変化させてター
ゲットの利用効率を高める目的で、ターゲット付近にマ
グネトロンプラズマを生成するための主磁界を複数設け
たマグネトロンスパッタリング装置が知られており、こ
れもある意味では主磁界供給手段の他に、補助的な磁界
供給手段を設けた構成とみなすことができる。しかしな
がら、この従来の装置では、ターゲット近傍のプラズマ
分布は変化するものの、上述したような補助的な磁界供
給手段で図3および図4に示した磁界分布制御を行うこ
とは不可能であり、試料表面近傍におけるプラズマの空
間的分散量を低減するという本発明の主旨からは逸脱す
るものである。
【0017】一方、本発明のスパッタリング装置におい
ては、前述したように補助磁界の印加によって試料(基
板)表面近傍のプラズマ分布は変化するが、ターゲット
近傍のプラズマ分布は実質的に変化しなくてもよい。こ
こで、実質的に変化しないという意味は、厳密なプラズ
マ計測によればターゲット近傍のプラズマ分布は補助磁
界印加による変化が認められるが、ターゲットのエロー
ジョンパターンを積極的に変化し得るような実用的に判
別し得る変化はないということである。このように、補
助磁界供給手段により試料表面近傍におけるプラズマ量
は変化するものの、ターゲット近傍のプラズマ量は実質
的に変化しない場合は、ターゲットの利用効率を向上さ
せるための技術等と容易に組合せることができ、スパッ
タリング装置の設計の自由度に優れるものである。さら
に従来は、補助的な磁界供給手段として主にその近接位
置において強い磁界を発生する永久磁石が用いられ、そ
れがターゲット付近に設置されていたのに対し、本発明
では例えば空芯電磁コイル等の近接位置においては磁界
強度が弱く、広い範囲に磁界を供給することが可能な補
助磁界供給手段が好ましく用いられ、さらに補助磁界供
給手段を設置する位置はターゲットから離れていてもよ
い。このように、本発明のスパッタリング装置と上述し
たような従来の装置とは、装置構成が明らかに異なるも
のである。
ては、前述したように補助磁界の印加によって試料(基
板)表面近傍のプラズマ分布は変化するが、ターゲット
近傍のプラズマ分布は実質的に変化しなくてもよい。こ
こで、実質的に変化しないという意味は、厳密なプラズ
マ計測によればターゲット近傍のプラズマ分布は補助磁
界印加による変化が認められるが、ターゲットのエロー
ジョンパターンを積極的に変化し得るような実用的に判
別し得る変化はないということである。このように、補
助磁界供給手段により試料表面近傍におけるプラズマ量
は変化するものの、ターゲット近傍のプラズマ量は実質
的に変化しない場合は、ターゲットの利用効率を向上さ
せるための技術等と容易に組合せることができ、スパッ
タリング装置の設計の自由度に優れるものである。さら
に従来は、補助的な磁界供給手段として主にその近接位
置において強い磁界を発生する永久磁石が用いられ、そ
れがターゲット付近に設置されていたのに対し、本発明
では例えば空芯電磁コイル等の近接位置においては磁界
強度が弱く、広い範囲に磁界を供給することが可能な補
助磁界供給手段が好ましく用いられ、さらに補助磁界供
給手段を設置する位置はターゲットから離れていてもよ
い。このように、本発明のスパッタリング装置と上述し
たような従来の装置とは、装置構成が明らかに異なるも
のである。
【0018】次に、図1に示したスパッタリング装置を
用いた具体例として、実際に化合物薄膜としてITO薄
膜を形成し、形成されたITO薄膜の特性を評価した結
果について述べる。なお、ターゲット51としてはIT
O焼結体を、また基板3としてはガラス基板を用いた。
用いた具体例として、実際に化合物薄膜としてITO薄
膜を形成し、形成されたITO薄膜の特性を評価した結
果について述べる。なお、ターゲット51としてはIT
O焼結体を、また基板3としてはガラス基板を用いた。
【0019】まず、成膜容器1を密閉し、排気系バルブ
112を介して排気系111により成膜容器1内の圧力
が 2×10-6Torrになるまで排気した。次いで、Arガス供
給系101からコンダクタンスバルブ102を介してAr
ガスを 172sccmの流量で流入させ、成膜容器1内の全ガ
ス圧を 5×10-3Torrとした。そこに、反応性ガス供給系
91からコンダクタンスバルブ92を介して O2 ガスを
1sccmの流量で流入させた。この O2 ガス流量は、IT
O薄膜の膜質を大きく左右するため重要である。この実
施例の装置にとって、 1sccmは通常より少ない流量であ
り、最も適切なO2 流量と比較した場合、 O2 不足の条
件である。
112を介して排気系111により成膜容器1内の圧力
が 2×10-6Torrになるまで排気した。次いで、Arガス供
給系101からコンダクタンスバルブ102を介してAr
ガスを 172sccmの流量で流入させ、成膜容器1内の全ガ
ス圧を 5×10-3Torrとした。そこに、反応性ガス供給系
91からコンダクタンスバルブ92を介して O2 ガスを
1sccmの流量で流入させた。この O2 ガス流量は、IT
O薄膜の膜質を大きく左右するため重要である。この実
施例の装置にとって、 1sccmは通常より少ない流量であ
り、最も適切なO2 流量と比較した場合、 O2 不足の条
件である。
【0020】この状態で、電磁石8を直流電源7に接続
し、補助磁界を基板3からマグネトロン・スパッタリン
グ源5に向かう方向へ印加した。これによって、基板3
表面での平行磁界Bh を基板3の内側方向へ移動させ
た。そして、シャッタ4は閉じたままDCマグネトロン
プラズマを励起させ、ターゲット51表面のコンディシ
ョニングを行った。
し、補助磁界を基板3からマグネトロン・スパッタリン
グ源5に向かう方向へ印加した。これによって、基板3
表面での平行磁界Bh を基板3の内側方向へ移動させ
た。そして、シャッタ4は閉じたままDCマグネトロン
プラズマを励起させ、ターゲット51表面のコンディシ
ョニングを行った。
【0021】この後、シャッタ4を開けてスパッタリン
グ粒子を基板3側へ導き、 7分間成膜を行って、基板3
上にITO薄膜を形成した。このようにして得られたI
TO薄膜をAとする。また、本発明との比較のために、
補助磁界を印加しない以外は、ITO薄膜Aと同じプロ
セスで形成したITO薄膜をBとする。
グ粒子を基板3側へ導き、 7分間成膜を行って、基板3
上にITO薄膜を形成した。このようにして得られたI
TO薄膜をAとする。また、本発明との比較のために、
補助磁界を印加しない以外は、ITO薄膜Aと同じプロ
セスで形成したITO薄膜をBとする。
【0022】この実施例のスパッタリング装置におい
て、磁界強度を測定した結果、補助磁界を印加しない状
態での平行磁界Bh の位置は、図2に示したように、基
板中央から 5.1cmであったが、補助磁界を印加すること
によって、方向は同一で、位置が 1.5cm基板中央よりに
移動することが分かった。
て、磁界強度を測定した結果、補助磁界を印加しない状
態での平行磁界Bh の位置は、図2に示したように、基
板中央から 5.1cmであったが、補助磁界を印加すること
によって、方向は同一で、位置が 1.5cm基板中央よりに
移動することが分かった。
【0023】また、ガラス基板へ流入するプラズマ量
(以下、プラズマ流入量と称する)を、プローブ法によ
り実際にプラズマ計測を行って求められる浮動電位とイ
オン電流密度との積に比例する値として考えると、図5
に示される通り、主磁界のみの場合には、浮動電位とイ
オン電流密度との積は、基板中央部では 78mW/cm2 、中
央から 9.0cmの周辺部では 127mW /cm2 と極めて分布が
不均一であったが、補助磁界を印加することによって、
夫々130mW/cm2 、140mW/cm2 と、面内での分布のバラツ
キが小さくなっていた。さらにこのとき、 O2 ガスの流
量を全スパッタガス流量の0.30〜 0.86%に設定する限
り、特に再現性よく同様のことが起きていることも判明
した。
(以下、プラズマ流入量と称する)を、プローブ法によ
り実際にプラズマ計測を行って求められる浮動電位とイ
オン電流密度との積に比例する値として考えると、図5
に示される通り、主磁界のみの場合には、浮動電位とイ
オン電流密度との積は、基板中央部では 78mW/cm2 、中
央から 9.0cmの周辺部では 127mW /cm2 と極めて分布が
不均一であったが、補助磁界を印加することによって、
夫々130mW/cm2 、140mW/cm2 と、面内での分布のバラツ
キが小さくなっていた。さらにこのとき、 O2 ガスの流
量を全スパッタガス流量の0.30〜 0.86%に設定する限
り、特に再現性よく同様のことが起きていることも判明
した。
【0024】以上のようにして得られたITO薄膜A、
Bについて、基板中央からの位置に基く抵抗率分布を測
定した。その結果を図6に示す。図6から明らかなよう
に、補助磁界を印加しつつ成膜することにより、大面積
に良質なITO薄膜を再現性よく形成できることが分か
る。これは、平行磁界Bh の位置を内側に移動させる
と、プラズマ流入量が基板中央部と周辺部で少なかった
のを増加させることができ、基板表面でのプラズマ量を
平均化することによって、例えばITO薄膜等の化合物
薄膜にみられる膜質の不均一性を改善できたからであ
る。なお、ITO薄膜の抵抗率分布の不均一性を、基板
加熱を行い成膜温度を上昇させることで改善することも
できるが、本発明では基板加熱を行わずに均一な膜を得
られるので、低耐熱性の基板でも試料として用いること
ができる。従って、基板材料の選択の幅を広げられると
いう利点がある。また、基板加熱と基板表面でのプラズ
マ量の平均化との併用によって、さらなるITO薄膜の
膜質の均一化、低抵抗化が実現可能である。
Bについて、基板中央からの位置に基く抵抗率分布を測
定した。その結果を図6に示す。図6から明らかなよう
に、補助磁界を印加しつつ成膜することにより、大面積
に良質なITO薄膜を再現性よく形成できることが分か
る。これは、平行磁界Bh の位置を内側に移動させる
と、プラズマ流入量が基板中央部と周辺部で少なかった
のを増加させることができ、基板表面でのプラズマ量を
平均化することによって、例えばITO薄膜等の化合物
薄膜にみられる膜質の不均一性を改善できたからであ
る。なお、ITO薄膜の抵抗率分布の不均一性を、基板
加熱を行い成膜温度を上昇させることで改善することも
できるが、本発明では基板加熱を行わずに均一な膜を得
られるので、低耐熱性の基板でも試料として用いること
ができる。従って、基板材料の選択の幅を広げられると
いう利点がある。また、基板加熱と基板表面でのプラズ
マ量の平均化との併用によって、さらなるITO薄膜の
膜質の均一化、低抵抗化が実現可能である。
【0025】次に、上記スパッタリング装置を用いた第
2の具体例について述べる。上述した第1の具体例にお
けるITO薄膜の形成プロセスのうち、 O2 流量を 1sc
cmから 2sccmに変えると共に、補助磁界供給手段(電磁
石8)で発生させる補助磁界を第1の具体例とはまった
く逆の方向にした。使用した装置にとって上記 2sccmと
いう O2 流量は、最も適切な O2 流量と比較した場合、
O2 が過剰なITO薄膜の形成条件である。その他の条
件は、第1の具体例と同様にして、ITO薄膜の成膜を
行った。
2の具体例について述べる。上述した第1の具体例にお
けるITO薄膜の形成プロセスのうち、 O2 流量を 1sc
cmから 2sccmに変えると共に、補助磁界供給手段(電磁
石8)で発生させる補助磁界を第1の具体例とはまった
く逆の方向にした。使用した装置にとって上記 2sccmと
いう O2 流量は、最も適切な O2 流量と比較した場合、
O2 が過剰なITO薄膜の形成条件である。その他の条
件は、第1の具体例と同様にして、ITO薄膜の成膜を
行った。
【0026】上記した条件でのITO薄膜形成時の磁界
強度を測定した結果、補助磁界を印加しない状態での平
行磁界Bh の位置は基板中央から 5.1cmであったが、補
助磁界の印加によって 4.0cm基板外側へ移動したことが
分かった。また、基板表面へのプラズマ流入量を測定し
た結果、図5に示される通り、補助磁界を印加しない場
合には、基板中央からの位置に対してプラズマ流入量が
著しく不均一であったのに対し、補助磁界を印加するこ
とによって、±数 mW/cm2 以内の僅かな変動に抑えるこ
とができた。さらにこのとき、 O2 ガスの流量を全スパ
ッタガス流量の0.87〜 1.71%に設定する限り、特に再現
性よく同様のことが起きていることも判明した。
強度を測定した結果、補助磁界を印加しない状態での平
行磁界Bh の位置は基板中央から 5.1cmであったが、補
助磁界の印加によって 4.0cm基板外側へ移動したことが
分かった。また、基板表面へのプラズマ流入量を測定し
た結果、図5に示される通り、補助磁界を印加しない場
合には、基板中央からの位置に対してプラズマ流入量が
著しく不均一であったのに対し、補助磁界を印加するこ
とによって、±数 mW/cm2 以内の僅かな変動に抑えるこ
とができた。さらにこのとき、 O2 ガスの流量を全スパ
ッタガス流量の0.87〜 1.71%に設定する限り、特に再現
性よく同様のことが起きていることも判明した。
【0027】図7は、この第2の具体例で形成したIT
O薄膜の基板中央からの位置と抵抗率との関係を調べた
結果である。平行磁界Bh の位置を外側に移動させて成
膜したITO薄膜をa、比較のために補助磁界を印加し
ない以外は同一条件で形成したITO薄膜をbとする。
図7より、 O2 過剰の状態(O2 流量:2sccm)の場合に
は、平行磁界Bh の位置を外側に移動させることによっ
て、プラズマ流入量が基板中央部と周辺部の中間付近
(中央から5.1cm)で異常に多かったのを減少させること
ができ、基板表面でのプラズマ量を平均化することによ
って、化合物薄膜にみられる膜質の不均一性が改善さ
れ、抵抗率分布が大面積にわたって均一化されたITO
薄膜が得られることが分かる。このようにして、大面積
に良質な化合物薄膜を、第1の具体例と同様に再現性よ
く形成することができた。
O薄膜の基板中央からの位置と抵抗率との関係を調べた
結果である。平行磁界Bh の位置を外側に移動させて成
膜したITO薄膜をa、比較のために補助磁界を印加し
ない以外は同一条件で形成したITO薄膜をbとする。
図7より、 O2 過剰の状態(O2 流量:2sccm)の場合に
は、平行磁界Bh の位置を外側に移動させることによっ
て、プラズマ流入量が基板中央部と周辺部の中間付近
(中央から5.1cm)で異常に多かったのを減少させること
ができ、基板表面でのプラズマ量を平均化することによ
って、化合物薄膜にみられる膜質の不均一性が改善さ
れ、抵抗率分布が大面積にわたって均一化されたITO
薄膜が得られることが分かる。このようにして、大面積
に良質な化合物薄膜を、第1の具体例と同様に再現性よ
く形成することができた。
【0028】さらに、以上の 2つの具体例について詳細
に検討した結果、以下のようにしてもさらによいことが
判明した。
に検討した結果、以下のようにしてもさらによいことが
判明した。
【0029】(1) プラズマ流入量が最も大きくなる位
置は、平行磁界Bh の位置と一致した。そこで、例えば
電磁石に交流電源を接続して交流磁界を発生させ、基板
へのプラズマ流入量分布を時間的に変化させて、スパッ
タ時間内の基板上全ての位置でのプラズマ流入量の和が
一定になるようにすれば、膜質に分布のない均一な化合
物薄膜を形成することができる。
置は、平行磁界Bh の位置と一致した。そこで、例えば
電磁石に交流電源を接続して交流磁界を発生させ、基板
へのプラズマ流入量分布を時間的に変化させて、スパッ
タ時間内の基板上全ての位置でのプラズマ流入量の和が
一定になるようにすれば、膜質に分布のない均一な化合
物薄膜を形成することができる。
【0030】(2) ITO薄膜の抵抗率は、マグネトロ
ン放電を励起する主磁界供給手段のみから磁界を発生さ
せる場合と同様に、 O2 流量に敏感であり、 O2 流量を
一定の範囲にすることでさらに均一性のよい薄膜を得る
ことが可能である。具体的には、この O2 ガスの流量
は、全スパッタガス流量の0.30〜 1.71%の範囲とするこ
とが好ましい。また、 O2 流量の制御のみでは、再現性
のよい薄膜を得ることが困難であるため、基板上全ての
位置に均等に O2 を供給するために、ガス導入ポートの
形状を工夫、例えばシャワー状に基板に O2 を吹き付け
るような装置構成にすることで、ある程度の O2 流量の
変動があっても再現性のよい薄膜を形成することができ
る。
ン放電を励起する主磁界供給手段のみから磁界を発生さ
せる場合と同様に、 O2 流量に敏感であり、 O2 流量を
一定の範囲にすることでさらに均一性のよい薄膜を得る
ことが可能である。具体的には、この O2 ガスの流量
は、全スパッタガス流量の0.30〜 1.71%の範囲とするこ
とが好ましい。また、 O2 流量の制御のみでは、再現性
のよい薄膜を得ることが困難であるため、基板上全ての
位置に均等に O2 を供給するために、ガス導入ポートの
形状を工夫、例えばシャワー状に基板に O2 を吹き付け
るような装置構成にすることで、ある程度の O2 流量の
変動があっても再現性のよい薄膜を形成することができ
る。
【0031】(3) 成膜する化合物薄膜は、ITOに限
るものではなく、他の透明導電物質例えば酸化錫、酸化
亜鉛等であってもITOの場合と同様の効果を期待する
ことができる。さらには、金属や半導体の酸化物、窒化
物、硫化物もITOの場合と同様の効果を期待すること
ができる。
るものではなく、他の透明導電物質例えば酸化錫、酸化
亜鉛等であってもITOの場合と同様の効果を期待する
ことができる。さらには、金属や半導体の酸化物、窒化
物、硫化物もITOの場合と同様の効果を期待すること
ができる。
【0032】次に、本発明のスパッタリング装置の第2
の実施例について、図8および図9を参照して説明す
る。この実施例におけるスパッタリング装置は、補助磁
界供給手段である電磁石(空芯コイル)8が、成膜容器
1の内部とは真空シール14を介して隔離されている。
すなわち、図9に示すように、例えばステンレス材やAl
等の非磁性部材からなる真空シール14内に、交流電源
または直流電源7に接続された電磁石8が設置されてお
り、この電磁石8に印加する電流により補助磁界供給手
段より発生する磁界の方向や強さは自由に変えられる。
また、図9に示すように、真空シール14内には、電磁
石8を冷却するための水冷機構15が設置されている。
上記以外の構成については、前述した第1の実施例と同
一構成とされている。
の実施例について、図8および図9を参照して説明す
る。この実施例におけるスパッタリング装置は、補助磁
界供給手段である電磁石(空芯コイル)8が、成膜容器
1の内部とは真空シール14を介して隔離されている。
すなわち、図9に示すように、例えばステンレス材やAl
等の非磁性部材からなる真空シール14内に、交流電源
または直流電源7に接続された電磁石8が設置されてお
り、この電磁石8に印加する電流により補助磁界供給手
段より発生する磁界の方向や強さは自由に変えられる。
また、図9に示すように、真空シール14内には、電磁
石8を冷却するための水冷機構15が設置されている。
上記以外の構成については、前述した第1の実施例と同
一構成とされている。
【0033】上述したように、補助磁界供給手段である
電磁石8を放電空間である成膜容器1の内部から真空隔
離することによって、放電空間の不純物濃度を低減させ
ることができる。すなわち、補助磁界供給手段である電
磁石8を成膜容器1内に直接設置すると、電磁石8から
の脱ガス等により、プラズマ中の不純物濃度が増加し、
これによりスパッタ成膜した薄膜中の不純物濃度が高ま
るおそれがあるためである。また、補助磁界供給手段を
真空シールすることにより、補助磁界供給手段自体を冷
却、例えば水冷することができる。従って、補助磁界供
給手段として電磁石8を用いる場合には、電磁石8の発
熱が抑えられるため、電磁石8の設計を変えることな
く、より大きな電流を印加することが可能となる。これ
により、印加できる補助磁界の幅が広がるため、基板3
へのプラズマ流入量分布をより大きく変化させることが
でき、放電分布の制御性をより高めることができる次
に、図8に示したスパッタリング装置を用いた具体例と
して、実際に化合物薄膜としてITO薄膜を形成し、形
成された薄膜の特性を評価した結果について述べる。タ
ーゲット51としてはITO焼結体を、また基板3とし
てガラス基板を用いた。
電磁石8を放電空間である成膜容器1の内部から真空隔
離することによって、放電空間の不純物濃度を低減させ
ることができる。すなわち、補助磁界供給手段である電
磁石8を成膜容器1内に直接設置すると、電磁石8から
の脱ガス等により、プラズマ中の不純物濃度が増加し、
これによりスパッタ成膜した薄膜中の不純物濃度が高ま
るおそれがあるためである。また、補助磁界供給手段を
真空シールすることにより、補助磁界供給手段自体を冷
却、例えば水冷することができる。従って、補助磁界供
給手段として電磁石8を用いる場合には、電磁石8の発
熱が抑えられるため、電磁石8の設計を変えることな
く、より大きな電流を印加することが可能となる。これ
により、印加できる補助磁界の幅が広がるため、基板3
へのプラズマ流入量分布をより大きく変化させることが
でき、放電分布の制御性をより高めることができる次
に、図8に示したスパッタリング装置を用いた具体例と
して、実際に化合物薄膜としてITO薄膜を形成し、形
成された薄膜の特性を評価した結果について述べる。タ
ーゲット51としてはITO焼結体を、また基板3とし
てガラス基板を用いた。
【0034】まず、成膜容器1を密閉し、排気系バルブ
112を介して排気系111により成膜容器1内の圧力
が 2×10-6Torrになるまで排気した。次いで、Arガス供
給系101からコンダクタンスバルブ102を介してAr
ガスを 172sccmの流量で流入させて、成膜容器1内の全
ガス圧を 5×10-3Torrとした。そこに、反応性ガス供給
系91からコンダクタンスバルブ92を介して O2 ガス
を 1sccmの流量で流入させた。
112を介して排気系111により成膜容器1内の圧力
が 2×10-6Torrになるまで排気した。次いで、Arガス供
給系101からコンダクタンスバルブ102を介してAr
ガスを 172sccmの流量で流入させて、成膜容器1内の全
ガス圧を 5×10-3Torrとした。そこに、反応性ガス供給
系91からコンダクタンスバルブ92を介して O2 ガス
を 1sccmの流量で流入させた。
【0035】この状態で、電磁石8に直流電源7を接続
し、補助磁界を印加して基板3表面での平行磁界Bh を
基板3の内側方向に移動させた。そして、シャッタ4は
閉じたままDCマグネトロンプラズマを励起させ、ター
ゲット51表面のコンディショニングを行った。この
後、シャッタ4を開けてスパッタリング粒子を基板3側
へ導き、 7分間成膜を行い、基板3上にITO薄膜を形
成した。このようにして得たITO薄膜をCとする。
し、補助磁界を印加して基板3表面での平行磁界Bh を
基板3の内側方向に移動させた。そして、シャッタ4は
閉じたままDCマグネトロンプラズマを励起させ、ター
ゲット51表面のコンディショニングを行った。この
後、シャッタ4を開けてスパッタリング粒子を基板3側
へ導き、 7分間成膜を行い、基板3上にITO薄膜を形
成した。このようにして得たITO薄膜をCとする。
【0036】上記により得たITO薄膜Cと、前述の第
1の具体例で得たITO薄膜Aの組成分析をそれぞれ行
ったところ、ITO薄膜Cの方が不純物量が少なく、か
つ分析結果の再現性も優れていた。
1の具体例で得たITO薄膜Aの組成分析をそれぞれ行
ったところ、ITO薄膜Cの方が不純物量が少なく、か
つ分析結果の再現性も優れていた。
【0037】前述した各実施例においては、主磁界供給
手段の他に、試料へ流入するプラズマ量を制御するため
の補助磁界供給手段を設けることによる効果、および補
助磁界供給手段を成膜容器と真空遮断して得られる効果
について明確にした。次の実施例では、本発明の技術を
さらに発展させて、マルチリングカソード型のマグネト
ロン・スパッタリング源に適用した第3の実施例につい
て述べる。
手段の他に、試料へ流入するプラズマ量を制御するため
の補助磁界供給手段を設けることによる効果、および補
助磁界供給手段を成膜容器と真空遮断して得られる効果
について明確にした。次の実施例では、本発明の技術を
さらに発展させて、マルチリングカソード型のマグネト
ロン・スパッタリング源に適用した第3の実施例につい
て述べる。
【0038】マルチリングカソード型のマグネトロン・
スパッタリング源は、ターゲットの保持されるマグネト
ロン・スパッタリング源を、同心円環状もしくは矩形環
状等に複数個具備するもので、各スパッタリング源の寸
法あるいはスパッタリング源間の配置を工夫するか、も
しくは各スパッタリング源に独立に電力を供給すること
により、ターゲットに対向して配置された基板上に形成
される薄膜の膜厚分布を、静止対向型のスパッタリング
法においても均一化するものである。この実施例は、上
記マルチリングカソード型マグネトロン・スパッタリン
グ源の間に、本発明の技術であるマグネトロンプラズマ
分布制御用の補助磁界供給手段を配置したものである。
スパッタリング源は、ターゲットの保持されるマグネト
ロン・スパッタリング源を、同心円環状もしくは矩形環
状等に複数個具備するもので、各スパッタリング源の寸
法あるいはスパッタリング源間の配置を工夫するか、も
しくは各スパッタリング源に独立に電力を供給すること
により、ターゲットに対向して配置された基板上に形成
される薄膜の膜厚分布を、静止対向型のスパッタリング
法においても均一化するものである。この実施例は、上
記マルチリングカソード型マグネトロン・スパッタリン
グ源の間に、本発明の技術であるマグネトロンプラズマ
分布制御用の補助磁界供給手段を配置したものである。
【0039】図10に、この実施例によるスパッタリン
グ装置のマグネトロン・スパッタリング源と基板との概
略配置構成を示す。図10において、51a、51b、
51cは同心円環状のターゲット、5a、5b、5cは
ターゲット51a、51b、51cを保持した同心円環
状のマルチリングカソード型マグネトロン・スパッタリ
ング源、8a、8b、8cはプラズマ分布制御用の補助
磁界供給手段としての同心円環状の電磁石、6a、6
b、6cはマルチリングカソード型マグネトロン・スパ
ッタリング源5a、5b、5cにそれぞれ電力を投入す
る電源、3は対向配置された基板である。同心円環状の
マルチリングカソード型マグネトロン・スパッタリング
源5a、5b、5cには、図10に示すように、マグネ
トロン放電を励起する主磁界供給手段(NSで記載)
が、各リングカソード毎に極性を反転させて配列されて
いる。極性を交互に反転させている理由は、ターゲット
51a、51b、51c面上に発生するターゲット51
a、51b、51c面に平行な磁界強度を高くするため
であるが、主磁界供給手段の極性配列は特に限定される
ものではない。ただし、プラズマ分布制御用の補助磁界
の方向は、後述するように主磁界の方向に応じて決定さ
れるものである。また、図10には繁雑を避けるために
特に明示してはいないが、プラズマ分布制御用の補助磁
界供給手段としての電磁石8a、8b、8cは、前述し
た実施例と同様に、ステンレス材やAlに代表される非磁
性部材によって真空シールし、成膜容器と真空遮断する
ことが好ましい。
グ装置のマグネトロン・スパッタリング源と基板との概
略配置構成を示す。図10において、51a、51b、
51cは同心円環状のターゲット、5a、5b、5cは
ターゲット51a、51b、51cを保持した同心円環
状のマルチリングカソード型マグネトロン・スパッタリ
ング源、8a、8b、8cはプラズマ分布制御用の補助
磁界供給手段としての同心円環状の電磁石、6a、6
b、6cはマルチリングカソード型マグネトロン・スパ
ッタリング源5a、5b、5cにそれぞれ電力を投入す
る電源、3は対向配置された基板である。同心円環状の
マルチリングカソード型マグネトロン・スパッタリング
源5a、5b、5cには、図10に示すように、マグネ
トロン放電を励起する主磁界供給手段(NSで記載)
が、各リングカソード毎に極性を反転させて配列されて
いる。極性を交互に反転させている理由は、ターゲット
51a、51b、51c面上に発生するターゲット51
a、51b、51c面に平行な磁界強度を高くするため
であるが、主磁界供給手段の極性配列は特に限定される
ものではない。ただし、プラズマ分布制御用の補助磁界
の方向は、後述するように主磁界の方向に応じて決定さ
れるものである。また、図10には繁雑を避けるために
特に明示してはいないが、プラズマ分布制御用の補助磁
界供給手段としての電磁石8a、8b、8cは、前述し
た実施例と同様に、ステンレス材やAlに代表される非磁
性部材によって真空シールし、成膜容器と真空遮断する
ことが好ましい。
【0040】上記構成のスパッタリング装置を用いて、
以下の手順により薄膜の形成を実施した。まず、上記構
成を収納する成膜容器内部に、Arと O2 の混合ガスを所
定の流量比で導入し、排気系を操作して成膜容器内部の
ガス圧力を所定の値に設定した後、電源6a、6b、6
cを動作させて、マルチリングカソード型マグネトロン
・スパッタリング源5a、5b、5cに所定の電力比で
電力を投入し、マグネトロンプラズマを励起させる。こ
こで、マルチリングカソード型マグネトロン・スパッタ
リング源5a、5b、5cに投入する所定の電力比と
は、基板3の所定の領域内において、均一な膜厚分布が
得られる電力比を意味しており、実際上は外側のリング
カソードほどターゲット単位面積当たりの電力密度が高
くなるように電力比を設定する。このとき、各ターゲッ
ト51a、51b、51c毎に形成される薄膜は、それ
ぞれターゲット51a、51b、51c直上をピークと
するほぼガウス形の不均一な膜厚分布を呈するが、マル
チリングカソード型マグネトロン・スパッタリング源5
a、5b、5cに適切な電力投入比で電力を投入するこ
とで、ガウス形分布が適当に重なりあって、基板3の広
い領域にわたって均一な膜厚分布とすることができる。
以下の手順により薄膜の形成を実施した。まず、上記構
成を収納する成膜容器内部に、Arと O2 の混合ガスを所
定の流量比で導入し、排気系を操作して成膜容器内部の
ガス圧力を所定の値に設定した後、電源6a、6b、6
cを動作させて、マルチリングカソード型マグネトロン
・スパッタリング源5a、5b、5cに所定の電力比で
電力を投入し、マグネトロンプラズマを励起させる。こ
こで、マルチリングカソード型マグネトロン・スパッタ
リング源5a、5b、5cに投入する所定の電力比と
は、基板3の所定の領域内において、均一な膜厚分布が
得られる電力比を意味しており、実際上は外側のリング
カソードほどターゲット単位面積当たりの電力密度が高
くなるように電力比を設定する。このとき、各ターゲッ
ト51a、51b、51c毎に形成される薄膜は、それ
ぞれターゲット51a、51b、51c直上をピークと
するほぼガウス形の不均一な膜厚分布を呈するが、マル
チリングカソード型マグネトロン・スパッタリング源5
a、5b、5cに適切な電力投入比で電力を投入するこ
とで、ガウス形分布が適当に重なりあって、基板3の広
い領域にわたって均一な膜厚分布とすることができる。
【0041】一方、プラズマの生成と同時に、プラズマ
分布制御用の電磁石8a、8b、8cに適当な電流を通
電し、プラズマ分布の制御を行う。例えば、導入した全
スパッタガス中の酸素が比較的多い雰囲気においては、
前述した実施例と同様に、基板3面に流入するプラズマ
量を低く抑える方が好ましいため、主磁界供給手段の配
列が図10に示すような場合には、電磁石8aからは下
向きの補助磁界を発生させて、ターゲット51a上のマ
グネトロンプラズマ分布を外向きに制御し、電磁石8b
からは上向きの補助磁界を発生させて、ターゲット51
b上のマグネトロンプラズマ分布を外向きに制御し、電
磁石8cからは下向きの補助磁界を発生させて、ターゲ
ット51c上のマグネトロンプラズマ分布を外向きに制
御する。また、この実施例においてはその効果を明らか
とするために、基板を静止した状態で薄膜の形成を実施
した。
分布制御用の電磁石8a、8b、8cに適当な電流を通
電し、プラズマ分布の制御を行う。例えば、導入した全
スパッタガス中の酸素が比較的多い雰囲気においては、
前述した実施例と同様に、基板3面に流入するプラズマ
量を低く抑える方が好ましいため、主磁界供給手段の配
列が図10に示すような場合には、電磁石8aからは下
向きの補助磁界を発生させて、ターゲット51a上のマ
グネトロンプラズマ分布を外向きに制御し、電磁石8b
からは上向きの補助磁界を発生させて、ターゲット51
b上のマグネトロンプラズマ分布を外向きに制御し、電
磁石8cからは下向きの補助磁界を発生させて、ターゲ
ット51c上のマグネトロンプラズマ分布を外向きに制
御する。また、この実施例においてはその効果を明らか
とするために、基板を静止した状態で薄膜の形成を実施
した。
【0042】上記した手順に従ってITO薄膜を形成し
た。このITO薄膜は、マルチリングカソード型マグネ
トロン・スパッタリング源5a、5b、5c上の領域に
おいて、ばらつきが±5%以内のほぼ一様な膜厚分布を示
すと共に、抵抗率もばらつきが±5%以内とほぼ一様であ
った。本発明との比較のために、同様にマルチリングカ
ソード型マグネトロン・スパッタリング源5a、5b、
5cを用い、補助磁界供給手段としての電磁石8a、8
b、8cを動作させることなく形成したITO薄膜で
は、膜厚の一様性については上記実施例と同等であった
が、抵抗率のばらつきは±30% 程度と大きかった。
た。このITO薄膜は、マルチリングカソード型マグネ
トロン・スパッタリング源5a、5b、5c上の領域に
おいて、ばらつきが±5%以内のほぼ一様な膜厚分布を示
すと共に、抵抗率もばらつきが±5%以内とほぼ一様であ
った。本発明との比較のために、同様にマルチリングカ
ソード型マグネトロン・スパッタリング源5a、5b、
5cを用い、補助磁界供給手段としての電磁石8a、8
b、8cを動作させることなく形成したITO薄膜で
は、膜厚の一様性については上記実施例と同等であった
が、抵抗率のばらつきは±30% 程度と大きかった。
【0043】上述したように、この実施例ではマルチリ
ングカソード型マグネトロン・スパッタリング源とマグ
ネトロンプラズマ制御用の補助磁界供給手段とを併用す
ることにより、大面積にわたり膜厚と抵抗率の両方が均
一な薄膜を静止対向型のスパッタリング法によって実現
することができる。従って、装置コストが低く、装置設
置面積が小さく、駆動部が少なく、かつ保守が容易な低
プロセスコストの静止対向枚葉式スパッタリング装置に
よって、大型のデバイスの作製が可能となる。また、上
述した各実施例においては、ターゲット面と試料面とを
略平行に配置したスパッタリング装置に本発明を適用し
た例について説明したが、本発明ではターゲットと試料
との相対的な配置関係は特に限定されるものではなく、
ターゲット面と試料面とが斜めもしくは垂直に配置され
ているような場合においても本発明は有効である。ま
た、ターゲット面も平面でなければならないものではな
く、円錐台状、棒状等の種々の形状のターゲットを用い
る場合においても、本発明を適用することができる。
ングカソード型マグネトロン・スパッタリング源とマグ
ネトロンプラズマ制御用の補助磁界供給手段とを併用す
ることにより、大面積にわたり膜厚と抵抗率の両方が均
一な薄膜を静止対向型のスパッタリング法によって実現
することができる。従って、装置コストが低く、装置設
置面積が小さく、駆動部が少なく、かつ保守が容易な低
プロセスコストの静止対向枚葉式スパッタリング装置に
よって、大型のデバイスの作製が可能となる。また、上
述した各実施例においては、ターゲット面と試料面とを
略平行に配置したスパッタリング装置に本発明を適用し
た例について説明したが、本発明ではターゲットと試料
との相対的な配置関係は特に限定されるものではなく、
ターゲット面と試料面とが斜めもしくは垂直に配置され
ているような場合においても本発明は有効である。ま
た、ターゲット面も平面でなければならないものではな
く、円錐台状、棒状等の種々の形状のターゲットを用い
る場合においても、本発明を適用することができる。
【0044】以下に、試料としての基板面をターゲット
面に対して傾けて配置した第4の実施例について述べ
る。図11は、この実施例における基板3とターゲット
51の概略配置を示す図であり、基板3はターゲット5
1に対して45度の角度で傾けて配置されている。なお、
これら以外の装置構成は、図1に示したスパッタリング
装置と同様である。このようなスパッタリング装置を用
いて、主磁界のみの場合の基板3表面へのプラズマ流入
量の分布、ターゲット面に平行な磁界がターゲットの内
側に移動するように補助磁界を印加した場合の基板3表
面へのプラズマ流入量の分布、ターゲット面に平行な磁
界がターゲットの外側に移動するように補助磁界を印加
した場合の基板3表面へのプラズマ流入量の分布をそれ
ぞれ調べた。それらの結果を、基板3の上方端部からの
距離(Xsub )を横軸として図12に示す。なお、図1
2における線Dは主磁界のみの場合、線Eは磁界がター
ゲットの内側に移動するように補助磁界を印加した場
合、線Fは磁界がターゲットの外側に移動するように補
助磁界を印加した場合である。図12から明らかなよう
に、基板面とターゲット面とが傾斜配置されている場合
においても、補助磁界を印加してターゲット面と平行な
方向の磁界の位置を移動させることにより、基板面への
プラズマ流入量を平均化することができ、これにより形
成される薄膜の膜質等を均一化することが可能となるこ
とが分かる。
面に対して傾けて配置した第4の実施例について述べ
る。図11は、この実施例における基板3とターゲット
51の概略配置を示す図であり、基板3はターゲット5
1に対して45度の角度で傾けて配置されている。なお、
これら以外の装置構成は、図1に示したスパッタリング
装置と同様である。このようなスパッタリング装置を用
いて、主磁界のみの場合の基板3表面へのプラズマ流入
量の分布、ターゲット面に平行な磁界がターゲットの内
側に移動するように補助磁界を印加した場合の基板3表
面へのプラズマ流入量の分布、ターゲット面に平行な磁
界がターゲットの外側に移動するように補助磁界を印加
した場合の基板3表面へのプラズマ流入量の分布をそれ
ぞれ調べた。それらの結果を、基板3の上方端部からの
距離(Xsub )を横軸として図12に示す。なお、図1
2における線Dは主磁界のみの場合、線Eは磁界がター
ゲットの内側に移動するように補助磁界を印加した場
合、線Fは磁界がターゲットの外側に移動するように補
助磁界を印加した場合である。図12から明らかなよう
に、基板面とターゲット面とが傾斜配置されている場合
においても、補助磁界を印加してターゲット面と平行な
方向の磁界の位置を移動させることにより、基板面への
プラズマ流入量を平均化することができ、これにより形
成される薄膜の膜質等を均一化することが可能となるこ
とが分かる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
補助磁界を印加してマグネトロンプラズマの空間的分散
量を低減するという比較的簡単な手法によって、成膜容
器内のあらゆる方向の磁界をすべて均一にしなくても、
試料表面でのプラズマ量を平均化することができ、化合
物薄膜等にみられる膜質の不均一性を改善することがで
き、大面積にわたって良質な薄膜を再現性よく形成する
ことができる。
補助磁界を印加してマグネトロンプラズマの空間的分散
量を低減するという比較的簡単な手法によって、成膜容
器内のあらゆる方向の磁界をすべて均一にしなくても、
試料表面でのプラズマ量を平均化することができ、化合
物薄膜等にみられる膜質の不均一性を改善することがで
き、大面積にわたって良質な薄膜を再現性よく形成する
ことができる。
【図1】 本発明の第1の実施例によるスパッタリング
装置の概略構成を示す断面図である。
装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1に示すスパッタリング装置の要部構成お
よび磁界の方向を示す図である。
よび磁界の方向を示す図である。
【図3】 主磁界と補助磁界のベクトルの和がターゲッ
ト面に対して平行になる位置を結んだ線を主磁界のみの
場合と比較して示す図である。
ト面に対して平行になる位置を結んだ線を主磁界のみの
場合と比較して示す図である。
【図4】 主磁界と補助磁界を加えた場合の漏洩磁界分
布を主磁界のみの場合と比較して示す図である。
布を主磁界のみの場合と比較して示す図である。
【図5】 主磁界と補助磁界を加えた場合の基板へのプ
ラズマ流入量と基板中央からの位置との関係を主磁界の
みの場合と比較して示す図である。
ラズマ流入量と基板中央からの位置との関係を主磁界の
みの場合と比較して示す図である。
【図6】 本発明の第1の実施例によるスパッタリング
装置を用いて形成したITO薄膜の抵抗率分布を比較例
の結果と共に示す特性図である。
装置を用いて形成したITO薄膜の抵抗率分布を比較例
の結果と共に示す特性図である。
【図7】 本発明の第1の実施例によるスパッタリング
装置を用いて形成した他のITO薄膜の抵抗率分布を比
較例の結果と共に示す特性図である。
装置を用いて形成した他のITO薄膜の抵抗率分布を比
較例の結果と共に示す特性図である。
【図8】 本発明の第2の実施例によるスパッタリング
装置の概略構成を示す断面図である。
装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】 図8に示すスパッタリング装置の要部構成を
示す図である。
示す図である。
【図10】 本発明の第3の実施例によるスパッタリン
グ装置の概略構成を示す断面図である。
グ装置の概略構成を示す断面図である。
【図11】 本発明の第4の実施例によるスパッタリン
グ装置の基板とターゲットとの概略配置構成を示す断面
図である。
グ装置の基板とターゲットとの概略配置構成を示す断面
図である。
【図12】 図11に示すスパッタリング装置における
主磁界と補助磁界を加えた場合の基板へのプラズマ流入
量と基板端部からの位置との関係を主磁界のみの場合と
比較して示す図である。
主磁界と補助磁界を加えた場合の基板へのプラズマ流入
量と基板端部からの位置との関係を主磁界のみの場合と
比較して示す図である。
1……成膜容器 2……試料ホルダ 3……基板 5……マグネトロン・スパッタリング源 51……ターゲット 52……永久磁石 8……電磁石 91……反応性ガス供給系 101…Arガス供給系 111…排気系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 修朗 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内
Claims (4)
- 【請求項1】 ガス供給系と排気系とが連通された成膜
容器と、 前記成膜容器内に配置されるターゲットの近傍にマグネ
トロンプラズマを生成するための電界を供給する電界供
給手段と、 前記マグネトロンプラズマの生成に寄与する主磁界を供
給する主磁界供給手段と、 前記ターゲットを原料とする薄膜が表面に形成される試
料の表面近傍における前記マグネトロンプラズマの空間
的分散量を低減させる補助磁界を供給する補助磁界供給
手段とを具備することを特徴とするスパッタリング装
置。 - 【請求項2】 前記補助磁界供給手段が電磁石からなる
ことを特徴とする、請求項1記載のスパッタリング装
置。 - 【請求項3】 ガス供給系と排気系とが連通された成膜
容器内に、ターゲットおよびこのターゲットを原料とす
る薄膜を表面に形成するための試料を配置する工程と、 前記成膜容器内を所定のガス雰囲気に設定すると共に、
前記ターゲットの近傍に電界および主磁界を供給して、
前記成膜容器内にマグネトロンプラズマを生成させる工
程と、 前記成膜容器内に補助磁界を供給して、前記試料の表面
近傍における前記マグネトロンプラズマの空間的分散量
を低減させる工程とを具備することを特徴とするスパッ
タリング方法。 - 【請求項4】 電磁石を用いて前記補助磁界を供給する
ことを特徴とする、請求項3記載のスパッタリング方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32352093A JP3718237B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-12-22 | スパッタリング方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5856893 | 1993-03-18 | ||
JP5-235039 | 1993-09-21 | ||
JP5-58568 | 1993-09-21 | ||
JP23503993 | 1993-09-21 | ||
JP32352093A JP3718237B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-12-22 | スパッタリング方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07138753A true JPH07138753A (ja) | 1995-05-30 |
JP3718237B2 JP3718237B2 (ja) | 2005-11-24 |
Family
ID=27296623
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32352093A Expired - Fee Related JP3718237B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-12-22 | スパッタリング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3718237B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0913169A (ja) * | 1995-06-29 | 1997-01-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スパッタリング装置 |
JPH1088341A (ja) * | 1996-09-11 | 1998-04-07 | Anelva Corp | 低圧力放電スパッタ装置及びスパッタ制御方法 |
KR100298600B1 (ko) * | 1998-12-09 | 2001-09-22 | 신현준 | 비평형 마그네트론 스퍼터링 증발원 |
KR20160117350A (ko) * | 2015-03-31 | 2016-10-10 | 에스피티에스 테크놀러지스 리미티드 | 재료 증착 장치 및 방법 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62207863A (ja) * | 1986-03-06 | 1987-09-12 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 高速スパツタリング装置 |
JPH04297575A (ja) * | 1991-03-25 | 1992-10-21 | Bridgestone Corp | 薄膜コーティング方法 |
JPH04329875A (ja) * | 1991-04-30 | 1992-11-18 | Hitachi Ltd | スパッタデポジション装置 |
-
1993
- 1993-12-22 JP JP32352093A patent/JP3718237B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS62207863A (ja) * | 1986-03-06 | 1987-09-12 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 高速スパツタリング装置 |
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JPH0913169A (ja) * | 1995-06-29 | 1997-01-14 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スパッタリング装置 |
JPH1088341A (ja) * | 1996-09-11 | 1998-04-07 | Anelva Corp | 低圧力放電スパッタ装置及びスパッタ制御方法 |
KR100298600B1 (ko) * | 1998-12-09 | 2001-09-22 | 신현준 | 비평형 마그네트론 스퍼터링 증발원 |
KR20160117350A (ko) * | 2015-03-31 | 2016-10-10 | 에스피티에스 테크놀러지스 리미티드 | 재료 증착 장치 및 방법 |
JP2016194155A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-17 | エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド | 材料を堆積させる方法及び装置 |
US10900114B2 (en) | 2015-03-31 | 2021-01-26 | Spts Technologies Limited | Method and apparatus for depositing a material |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3718237B2 (ja) | 2005-11-24 |
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