JPH0713784Y2 - 除湿器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は除湿器に関し、特に、ペルチェ素子を用いた
除湿器に関するものである。

〔従来技術および解決しようとする課題〕

従来、ペルチェ素子をヒートポンプとして用い、除湿す
べき系の空気をファンにより強制対流によって除湿器の
内部に取り入れる機構、および除湿した水を蒸発させる
蒸発機構を合せ持った除湿器は、コンプレッサーを使用
したものに対して小型化が可能であるとともに、メンテ
ナンスフリーといった利点を有している。

しかし、この反面、コンプレッッサー型のものに対して
除湿能力がかなり劣りより一層の除湿能力の向上が望ま
れている。

すなわち、従来のペルチェ素子を使用した除湿器の概略
を第５図に示すが、小型薄型を考慮した場合、強制対流
用のファンとして軸流ファン31を使用してこの軸流ファ
ン31と、ペルチェ素子32で冷却される冷却フィン33とを
平行に配置し、軸流ファン31によって除湿器の外方に空
気を流出させることにより、除湿器の内部に流入する空
気が冷却フィン33に当たったのちに放熱フィン34に当た
り、こののち軸流ファン31で流出させる系を有し、ま
た、冷却フィン33で除去された水は蒸発器35に導いて蒸
発させるようにしている。

このために軸流ファンによる風を冷却フィンの表面に対
して垂直方向に当てること、および一番流速の早い軸流
ファンの出口付近の風を冷却フィンに当てるということ
が困難であり、このことが軸流ファンを用いた除湿器に
おける除湿能力の向上を妨げている一因であった。

この考案は前記のような従来のようなものを改善したも
のであって、冷却フィンに対して垂直方向であるととも
に、流速の早い風を当てるようにして除湿能力を向上さ
せることのできる除湿器を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するためにこの考案は、基板と、この
基板の表側の上端部に装着されるラジアルファンと、こ
のラジアルファンの下方の前記基板に装着されるペルチ
ェ素子と、このペルチェ素子の一面に装着されるととも
に、上端部に前記ラジアルファンの吹出し口と対向する
半円形状の切欠部が形成され、かつ、下端中央部が所定
の角度で下方に突出する平板状の基部、およびこの基部
の一面に一体に設けられるとともに、各々の上端が前記
ラジアルファンの同心円上に位置し、かつ、下端が基部
の下端に位置して隣接するものどうしが互いに接続され
る上下方向に延びる複数のフィンからなる冷却フィン
と、この冷却フィンの下方の前記基板に設けられる上下
方向に延びる複数のフィンからなる放熱フィンとを具え
た手段を採用したものである。

〔作用〕

この考案は上記の手段を採用したことにより、ラジアル
ファンの吹出し口に冷却ファンの基部の切欠部が対向す
るとともに、ラジアルファンの同心円上に冷却フィンの
複数のフィンの上端が位置することになる。したがっ
て、ラジアルファンから吹出された流速の速い風は、冷
却フィンの基部の切欠部および複数のフィンの上端部に
よって効率よく冷却フィンに取り込まれることになる。

〔実施例〕

以下、図面に示すこの考案の実施例について説明する。

第１図および第２図にはこの考案による除湿器の実施例
が示されていて、この除湿器は、基板１の表側に、強制
対流用ファンとしての除湿用のラジアルファン２と、ペ
ルチェ素子３および冷却フィン４と、放熱フィン５とを
上方から下方に順次配設して除湿部６を形成してある。

この場合、前記基板１は上部に対して下部が突出してい
るとともに、下部は中央部が一番深くなって切り込まれ
た状態となっている。

また、前記冷却フィン４は、前記基板１の上部に位置し
てペルチェ素子３の上面に取付けられるとともに、下端
中央部が所定の角度θで突出しているホームベース状を
なす基部７と、この基部７と上面で上下方向に延びる複
数のフィン８、８……とを有し、前記基部７の上側は半
円状に切り欠かれた切欠部９が形成されていて、この切
欠部９に前記ラジアルファン２が位置しており、また、
各フィン８、８……は、その上端が前記ラジアルファン
２を中心とした円心円上に位置してそれらで半円形状を
なし、かつ、下端は前記基部７の下端まで達して隣接す
るものどうしが互いに接続されて、基部７の下端とほぼ
同じ形状に形成されている。

また、この冷却フィン４の下側に位置する放熱フィン５
は、前記基板１の下部の上面に取付けられて上下方向に
延びる複数のフィン11、11、……を有し、かつ、このフ
ィン11、11……の上端は前記基板の下部の端部に一致し
ているので中央部のフィン11が最も下方に位置した状態
となっている。

一方、前記基板１の裏側には上部に放熱フィン12が、ま
た、下部に蒸発用のラジアルファン13がそれぞれ配設さ
れているとともに、放熱フィン12とラジアルファン13と
の間の前記基板１には、綿布、不織布等の吸水性材料14
が配設され、これによって蒸発部15が形成されている。

さらに、前記基板１の中央部の前記冷却フィン４と放熱
フィン５との間には水路となる孔16が穿設されていて、
この孔16には前記吸水性材料14が覆った状態となってい
る。

つぎに前記のものの作用について説明する。

まず、除湿用のラジアルファン２が起動すると、軸線方
向に流入した空気は円周方向に排出されるが、このラジ
アルファン２によって排出される空気流は、全く円周方
向ではなく、すなわち、前記基板１に対して平行な方向
ではなく、多少流入方向先方に向いて排出されることに
より、前記冷却フィン４に対する垂直方向成分を有して
いる。

そして、流出した空気はあらかじめペルチェ素子３で冷
却されている冷却フィン４の各フィン８、８……間に流
入するが、各フィン８、８……はその上端がラジアルフ
ァン２を中心とする円周上に位置して半円状となってい
るので空気を受ける面積が大きくなっているとともに、
ラジアルファン２から所定の間隔をおいているので、す
なわち、ラジアルファン２に近い部分にはフィン８、
８、……が設けられていないので空気流が妨げられる恐
れはない。

また、冷却フィン４で除去された水は冷却フィン４の基
部７の下端が中央部に至るにしたがって順次下方となっ
ているので、中央部の一点に集中し、しかも、この位置
には孔16が穿設されているので、この水は水路である孔
16を介して基板１の反対側に流れて、吸水性材料14に浸
透する。

また、前記冷却フィン４で冷却されて除湿された空気流
は、冷却フィン４の下方に位置する放熱フィン12で昇降
されて排出される。

一方、前記冷却フィン４で除去されて前記吸水性材料14
に浸透した水は、前記ペルチェ素子３により生じた熱と
蒸発用のラジアルファン13による空気流および放熱フィ
ン12によって蒸発されて外方に排出されることとなる。

上記のような作用中に前記冷却フィン４には前記ラジア
ルファン２の流出側の速い流速の風が直接に当たるとと
もに、この風には冷却フィン４に対しての垂直成分が含
まれているので、除湿能力が著しく向上することとな
る。

なお、前記冷却フィン４の下端の角度θは、一点から水
を落下させるためには30°以上が好ましいものであり、
このようにすることにより、除湿水を蒸発部15に供給す
るための水受けの簡略化および水路の断面積を必要最小
限に抑えることができて、放熱フィンの放熱効果を向上
できる。

第３図および第４図には前記実施例に示した冷却フィン
の他の形状のものが示されていて、この冷却フィン24に
あっては、ホームベース状の基部27の上部を円状に形成
したものであり、この円状の上部にラジアルファンの取
付け用の孔25が設けられ、かつ、周縁にフィン26を突設
し、さらに、前記孔25の中心を中心として上下方向に複
数のフィン28、28、……を突設し、この場合、前記各フ
ィン28、28、……の上端は前記孔25を中心とした円周上
に位置している。

したがって、上記のように冷却フィン24を構成すること
により、前記実施例で示した冷却フィンと比較してラジ
アルファンの外周を全てフィン26、26、囲んでいるので
出口の風を受ける面積が広くなって除湿能力が向上する
ものである。

〔考案の効果〕

この考案は請求項１のように構成したことにより、ラジ
アルファンの吹出し口に冷却フィンの基部の切欠部が対
向するとともに、冷却フィンの複数のフィンの上端がラ
ジアルファンの同心円上に位置することになる。したが
って、ラジアルファンから吹出された流速の速い風は基
部の切欠部および複数のフィンの上端部によって効率よ
く冷却フィンに取り込まれることになり、除湿能力が大
幅に高まることになる。また、下端中央部が下方に突出
する基部の上面に複数のフィンを設けて、隣接するもの
どうしの下端を互いに接続したことにより、基部の下端
中央部に対応する部位の基板に孔を設けることにより、
除湿水を蒸発部に導くための水路および水受けを簡略化
することができ、全体を小型化することもできることに
なる等の優れた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による除湿器の概略平面図、第２図は
概略縦断面図、第３図は冷却フィンの他の例を示す平面
図、第４図は第３図のＡ−Ａ線に沿ってみた断面図、第
５図は従来の除湿器を示す概略断面図である。 １……基板 ２、13……ラジアルファン ３、32……ペルチェ素子 ４、24、33……冷却フィン ５、12、34……放熱フィン ６……除湿部 ７、27……基部 ８、11、26、28……フィン ９……切欠部 14……吸水性材料 15……蒸発部 16、25……孔 31……軸流ファン 35……蒸発器

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基板（１）と、この基板（１）の表側の上
   端部に装着されるラジアルファン（２）と、このラジア
   ルファン（２）の下方の前記基板（１）に装着されるペ
   ルチェ素子（３）と、このペルチェ素子（３）の一面に
   装着されるとともに、上端部に前記ラジアルファン
   （２）の吹出し口と対向する半円形状の切欠部（９）が
   形成され、かつ、下端中央部が所定の角度で下方に突出
   する平板状の基部（７）、およびこの基部（７）の一面
   に一体に設けられるとともに、各々の上端が前記ラジア
   ルファン（２）の同心円上に位置し、かつ、下端が基部
   （７）の下端に位置して隣接するものどうしが互いに接
   続される上下方向に延びる複数のフィン（８）からなる
   冷却フィン（４）と、この冷却フィン（４）の下方の前
   記基板（１）に設けられる上下方向に延びる複数のフィ
   ン（11）からなる放熱フィン（５）とを具えたことを特
   徴とする除湿器。