JPH07137261A - 熱インクジェット記録ヘッド、その製造方法およびそれを載置した記録装置 - Google Patents

熱インクジェット記録ヘッド、その製造方法およびそれを載置した記録装置

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JPH07137261A
JPH07137261A JP14800793A JP14800793A JPH07137261A JP H07137261 A JPH07137261 A JP H07137261A JP 14800793 A JP14800793 A JP 14800793A JP 14800793 A JP14800793 A JP 14800793A JP H07137261 A JPH07137261 A JP H07137261A
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JP
Japan
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electrode wiring
ink
heating resistor
recording head
film
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JP14800793A
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Takashi Fujikawa
孝 藤川
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、発熱抵
抗体と、電極配線と、保護膜とを備える熱インクジェッ
ト記録ヘッドにおいて、基板上に電極配線パターンの形
状で溝が形成されその上に印刷、塗布により有機金属を
用いて電極配線が付設され次に発熱抗体が形成されてい
る。 【効果】 電極配線パターンを一回または二回に分けて
形成し電極配線による段差を低減しかつ一定の抵抗を発
熱抵抗体に付与することができるので、第一保護膜の電
極配線へのステップカバレージ性が確実となり、不良が
少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体噴射記録方式の熱
インクジェットプリンターにおけるプリンターヘッドの
熱エネルギー発生構造に関し、特に、電極配線や発熱抵
抗体等によるステップ(段差)カバレージ性に優れた積
層構造を有する熱インクジェット記録ヘッドおよびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、液体噴射記録方式の熱インクジェ
ットプリンターヘッド(以下熱インクジェット記録ヘッ
ド)の製造方法は成膜プロセス、フォトリソプロセス及
び、ノズル形成プロセスとから製造されている。本発明
では、この内、成膜プロセス(および膜構造)に特徴を
有するものであるため、それ以外のノズル形成プロセス
等の説明は省略するが、省略された部分は公知技術に基
づいて実施することができる。
【0003】成膜プロセスには、大きく分けて厚膜法と
薄膜法とに分かれる。厚膜法は、スクリーン印刷機等に
より印刷を行い、さらにこれを焼成炉で焼成し膜形成を
行うもので、製造設備が安価で製造工程が簡単であり、
主に低価格のサーマルヘッド等の製造に用いられている
が、印刷という物理的な方法により成膜を行うので薄膜
(1000nm以下程度)を精度良く形成することが困
難で、熱インクジェット記録ヘッド等の精密な膜構造が
要求される部分には適用されていない。一方薄膜法は、
スパッタリング法や蒸着法等、半導体プロセスと同様の
方法で作成するものであり、熱インクジェット記録ヘッ
ド及び、低消費電力、高解像度なサーマルヘッド等の製
造に用いられているが、製造設備が高価でかつ工程が複
雑になる。更に、熱インクジェット記録ヘッドにおける
熱エネルギー発生構造を薄膜法で形成した場合は次に述
べるステップカバレージ性が低いという重大な問題点が
ある。
【0004】まず、従来の熱インクジェット記録ヘッド
の、基本的構成を図5に示し、図5のA−A’の断面図
を図6に示す。この図6は、熱インクジェット記録ヘッ
ドの基本的な膜構成を示したものである。この図におい
て、基板シリコンウエハー等の基板1の上に、熱酸化膜
等の絶縁・蓄熱層2があり、その上に順に電極配線3、
発熱抵抗体4、第一保護膜5(耐インク層)、第二保護
膜6(耐キャビテーション層)等で構成されている。こ
れらの膜は全てスパッタリング装置で成膜された薄膜
で、フォトリソ技術等でパターニングされる。図7は図
5のA−A’部分周辺の電極配線と発熱抵抗体の膜構成
を示す部分平面図である。熱インクジェット記録ヘッド
を製造するには、さらにノズルを形成、天板ガラスを接
合し外部との電気信号接続をワイヤーボンディングで行
えばよい。
【0005】上記の構造における膜の種類は大別する
と、発熱抵抗膜、電極配線膜、第一保護膜(耐インク
層)、第二保護膜(耐キャビテーション層)の四つにな
る。ここで、特に第一保護膜(耐インク層)の薄膜法に
よるスパッタリング成膜は、発熱抵抗体及び電極配線に
より形成されるステップ(段差)のカバレージ性を上げ
るため、通常、バイアススパッタ成膜法を採用してい
る。かかるステップカバレージとは、ステップ(段差)
のある膜の上にさらに成膜した場合、下にあった膜のエ
ッジ部、つまり膜の縁の部分の上になる膜の被覆状態を
言う。ステップ部の膜被覆状態が悪いと、ステップ部の
亀裂等からインクが染み込み、発熱抵抗体の断線や、イ
ンクを介しての電気的短絡の原因となり、インク吐出制
御機能が劣化する。
【0006】ところで、かかるバイアススパッタ成膜も
完全ではなく、成膜の前にすでに大きい段差がある場合
はカバーしきれない。即ち、バイアススパッタ成膜は装
置依存性が大きく、条件出しが必要で汎用機等の成膜装
置では成膜状態が不安定化する要素が多く、また、基板
内のバイアスの掛かり方も不安定な場所が多く、それが
実際の第一保護膜(耐インク層)の膜厚分布や発熱抵抗
体及び電極配線膜のステップカバレージ性に悪影響を及
ぼす。電極配線は一定の電気抵抗に調整するために一定
の厚みが必要であり電極配線を薄くして段差を低減する
には限界がある。従って、従来の発熱抵抗体の上にスパ
ッタリング法により電極配線膜を形成する方法では電極
配線の縁における段差が十分に低減できないので、第一
保護膜をバイアススパッタ成膜で形成しても安定して優
れたステップカバレージ性を獲得するのは困難であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述従来技
術の実情に鑑み、電極配線、発熱抵抗体等の構造を改良
することにより、それらによる段差を低減させ、インク
吐出制御機能の不良原因の一つとなっているステップカ
バレージ性の性能を向上させることを目的とする。
【0008】本発明の他の目的は、スパッタリング法に
よらずに電極配線を形成することにより、かかる改良さ
れた構造を簡便に構築することを目的とする。
【0009】本発明の更に他の目的は、上記ヘッドを載
置した性能の高い記録装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明は、絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、通電によ
り液路中のインクに熱エネルギーを作用させ吐出口から
インクを吐出させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体に通電
するための電極配線と、該電極配線をインクから保護す
るための保護膜とを備える熱インクジェット記録ヘッド
において、基板上に電極配線パターンの形状で溝が形成
されその上に電極配線が付設され次に発熱抗体が形成さ
れていることを特徴とする熱インクジェット記録ヘッド
であり、また、絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、通
電により液路中のインクに熱エネルギーを作用させ吐出
口からインクを吐出させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体
に通電するための電極配線と、該電極配線をインクから
保護するための保護膜とを備える熱インクジェット記録
ヘッドにおいて、基板上に電極配線パターンの形状で溝
が形成されその上に第一電極配線が付設され次に発熱抵
抗体が形成されその上に第二電極配線が付設されている
ことを特徴とする熱インクジェット記録ヘッドである。
基板上に溝を設けそこに電極配線を形成しかつ発熱抵抗
体をその上に形成することにより、電極配線パターンを
一回または二回に分けて形成し電極配線による段差を低
減しかつ一定の抵抗を発熱抵抗体に付与することができ
るので、第一保護膜の電極配線膜へのステップカバレー
ジ性を、従来技術よりも確実にし、不良の少ない熱イン
クジェット記録ヘッドとすることができる。
【0011】また、本発明は、絶縁・蓄熱層が設けられ
た基板上に、通電により液路中のインクに熱エネルギー
を作用させ吐出口からインクを吐出させる発熱抵抗体
と、該発熱抵抗体に通電するための電極配線と、該電極
配線をインクから保護するための保護膜とを備える熱イ
ンクジェット記録ヘッドの製造において、基板上に電極
配線パターンの形状で溝を形成し、その上に有機金属か
らなる液体を用いて電極配線を印刷またはスピンコート
等の塗布により付設し次に発熱抵抗体を形成することを
特徴とする熱インクジェット記録ヘッドの製造方法であ
り、また、絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、通電に
より液路中のインクに熱エネルギーを作用させ吐出口か
らインクを吐出させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体に通
電するための電極配線と、該電極配線をインクから保護
するための保護膜とを備える熱インクジェット記録ヘッ
ドの製造において、基板上に電極配線パターンの形状で
溝を形成し、その上に有機金属からなる液体を用いて第
一電極配線を印刷またはスピンコート等の塗布により付
設し次に発熱抵抗体を形成し続いて無機金属材料で第二
電極配線を形成することを特徴とする熱インクジェット
記録ヘッドの製造方法である。従来、平面な基板上にス
パッタリングで膜形成していた電極配線を、溝を形成し
た基板上に印刷またはスピンコート等の塗布で成膜でき
る有機金属を用いて形成し、発熱抵抗体をスパッタリン
グ法または蒸着法等の方法で形成することにより、電極
配線パターンを一回または二回に分けて形成し段差を減
らしかつ発熱抵抗体を一定の抵抗に調整することができ
るので、第一保護膜の電極配線膜へのステップカバレー
ジ性を、従来技術よりも確実にし、不良の少ない熱イン
クジェット記録ヘッドを簡便な方法により製造すること
ができる。
【0012】また本発明は、上記の記録ヘッドを特に、
記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐出口が複数設け
られているフルラインタイプのものであり、また、本発
明は、記録媒体の被記録面に対してインクを吐出するイ
ンク吐出口が設けられている上記記録ヘッドと、該記録
ヘッドを載置するための部材とを少なくとも具備するこ
とを特徴とする記録装置である。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】図1乃至図4は本発明のインクジェット記
録ヘッドの熱エネルギー発生構造の一例を示す模式図で
ある。図1と図2は電極配線膜を溝付き基板上の全面に
印刷した後、フォトリソ技術によりパターニングしたも
の、図3と図4は電極配線膜を溝付き基板上にパターン
印刷した後、フォトリソ技術によりパターニングしたも
のである。図1乃至図4の構造と図6の構造とを比較す
ると電極配線による段差は図1乃至図4のものでは大幅
に低減していることがわかる。更に、パターン印刷した
図3および図4に示したものでは電極配線のエッジ部が
なだらかになっており電極配線による段差は図1および
図2に示したものより一層低減している。図1および図
3に示した構造は電極配線が2層あり溝上の第一電極配
線3’と発熱抵抗体上の第二電極配線11を備えてい
る。第二電極配線11は配線抵抗低減の目的で設けられ
るものである。図1乃至図4において発熱抵抗体4は電
極配線3または3’の上に設けられているが、発熱抵抗
体は電極配線に比較して厚みが薄く段差の原因になり難
いので、従来の発熱抵抗体の上に電極配線を形成する構
造に比べて第一保護膜のステップカバレージ性が大幅に
改善される。図1と図3における第二電極配線11は比
較的厚く発熱抵抗体の上に設けられるが、発熱抵抗体は
第一電極配線の段差をカバーしているのでその縁付近に
は小さな段差があり、従来技術(図6)の一段の段差に
対して2〜3段に段差があり一段当りの段差は比較的小
さくなっている。
【0015】基板1はシリコンウエハー、ガラス板等の
上に絶縁・蓄熱層2としてSiO2等の熱酸化膜を10
00〜3000nm形成したものである。溝は、基板上
に電極配線パターンの形状で形成されその深さは図1お
よび図3の構造では200〜300nm程度であり、図
2および図4では500〜600nm程度である。溝の
巾は30〜35μm程度であり、電極配線3または3’
の基板上の巾よりも4〜8μm程度狭い巾であるとよ
い。電極配線3または3’はAu、Rh、Bi等からな
り、その製造方法から印刷またはスピンコート等の塗布
可能な有機金属を焼成したものである。電極配線は溝を
埋め更に基板上から15〜25nm程度突出している。
この突出した部分の厚みは従来のもの(500〜600
nm)よりも大幅に小さいので、第一保護膜のステップ
カバレージ性を顕著に向上させる。発熱抵抗体4はイン
クに熱エネルギーを作用させるのもであり図5のAー
A’付近に設けられ、HfB2等からなりその厚みは1
30〜150nm程度で、電極配線3または3’をカバ
ーするように形成されている。従来技術のものと異なり
基板上を広く被覆していおらず、第一保護膜を形成する
ときの段の数を増加させ一段当りの段差を低減させるも
のである。図1および図3の第二電極配線3’はAl等
からなり、厚みは250〜300nm程度である。巾は
34〜43μm程度で、発熱抵抗体4の電極配線による
段差部分よりも4〜6nm程度小さいとよく、段数を多
くして段差を小さくし第一保護膜のステップカバレージ
性を向上することができる。第一保護膜5はSiO2
からなり、厚みは1.5〜1.9μm程度である。第二
保護膜はTa等からなり、厚みは500〜600nm程
度である。最外層である第二保護膜における段差は最大
でも2750〜2800nm程度であり従来の3025
〜3075nmに比較して大幅に低減されている。な
お、電極配線のシート抵抗は50〜60Ω/□程度、発
熱抵抗体におけるシート抵抗は17〜19Ω/□程度と
なるように調製されていればよい。
【0016】上述した構造の調製において、基板の溝形
成は公知のエッチング技術に基づいて実施できる。電極
配線部分は本発明では、従来のスパッタリング法と異な
り、印刷または塗布という物理的な処理により行う。こ
のような物理的な処理であっても基板にあらかじめ溝が
形成されているので、レベリング処理により表面が滑ら
かで一定の厚みの電極配線が調製できる。印刷またはス
ピンコート等の塗布手段としては半導体等の分野で採用
されている印刷、スピンコート等の塗布技術を応用する
ことができる。印刷では全面印刷の他、パターン印刷を
することもできる。パターン印刷では電極配線のエッジ
部がなだらかな状態になり、段差を一層低減することが
できる。印刷、スピンコート等の塗布により電極配線を
形成するには、材料として有機金属からなる液体を用い
る。例えば、金メタルオーガニックス,APシリーズ
(田中貴金属工業(株)製)等の粘度5,000〜3
0,000cps程度の液状の有機金属が挙げられる。
これらの有機金属は110〜130℃前後で乾燥した
後、810〜850℃で焼成することで金属体となる。
焼成した電極配線は次にフォトリソ技術によりエッチン
グしパターニングする。発熱低抗体はスパッタリングに
より成膜できる。成膜はシートの抵抗値により制御する
ことができる。成膜後はフォトリソ技術によりパターニ
ングする。第二電極配線もスパッタリングにより成膜で
き成膜後はフォトリソ技術によりパターニングする。
【0017】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギ−を利用して飛翔液滴を形成し、記
録を行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装
置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0018】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この記録方
式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれ
にも適用可能である。
【0019】この記録方式を簡単に説明すると、液体
(インク)が保持されているシートや液路に対応して配
置されている電気熱変換体に、記録情報に対応して液体
(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様
な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動
信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せし
め、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この
様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信
号に一対一対応した気泡を形成出来るため、特にオンデ
マンド型の記録法には有効である。この気泡の成長、収
縮により吐出孔を介して液体(インク)を吐出させて、
少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス
形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれる
ので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成
でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第4463359号明細書、同第4345
262号明細書に記載されているようなものが適してい
る。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国
特許第4313124号明細書に記載されている条件を
採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。
【0020】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体の組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)
の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許
第4459600号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発
明に含まれる。
【0021】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成においても本発明は有効である。
【0022】更に、本発明が有効に利用される記録ヘッ
ドとしては、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に
対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドがある。
このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示されて
いるような記録ヘッドを複数組み合わせることによって
フルライン構成にしたものや、一体的に形成された一個
のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【0023】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0024】又、本発明の記録装置に、記録ヘッドに対
する回復手段や、予備的な補助手段等を付加すること
は、本発明の記録装置を一層安定にすることができるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニング
手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別
の加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
手段を付加することも安定した記録を行なうために有効
である。
【0025】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて
構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カ
ラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0026】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0027】加えて、熱エネルギーによるヘッドやイン
クの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状
態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に
防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状
態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにし
ても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイン
クが液化してインク液状として吐出するものや記録媒体
に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を
持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0028】このようなインクは、特開昭54−568
47号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記
載されているような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に
液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体
に対して対向するような形態としても良い。
【0029】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【0030】図8は本発明により得られた記録ヘッドを
インクジェットヘッドカートリッジ(IJC) として装着し
たインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示す外観斜視
図である。
【0031】図において、120 はプラテン124 上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行な
うノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリッジ
(IJC) である。116 はIJC 120 を保持するキャリッジH
Cであり、駆動モータ117 の駆動力を伝達する駆動ベル
ト118 の一部と連結し、互いに平行に配設された2本の
ガイドシャフト119Aおよび119Bと摺動可能とすることに
より、IJC 120 の記録紙の全幅にわたる往復移動が可能
となる。
【0032】126 はヘッド回復装置でありIJC 120 の移
動経路の一端、例えばホームポジションと対向する位置
に配設される。伝動機構123 を介したモータ122 の駆動
力によって、ヘッド回復装置126 を動作せしめ、IJC 12
0 のキャッピングを行なう。このヘッド回復装置126 の
キャップ部126AによるIJC 120のキャッピングに関連さ
せて、ヘッド回復装置126 内に設けた適宜の吸引手段に
よるインク吸引もしくはIJC 120 へのインク供給経路に
設けた適宜の加圧手段によるインク圧送を行ない、イン
クを吐出口より強制的に排出させることによりノズル内
の増粘インクを除去する等の吐出回復処理を行なう。ま
た、記録終了時等にキャッピングを施すことによりIJC
が保護される。
【0033】130 はヘッド回復装置126 の側面に配置さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード131 は、ブレード保持部材13
1Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置126
と同様、モータ122 および伝導機構123 によって動作
し、IJC 120 の吐出面との係合が可能となる。これによ
り、IJC 120 の記録動作における適切なタイミングで、
あるいはヘッド回復装置126 を用いた吐出回復処理後
に、ブレード131 をIJC 120 の移動経路中に突出させ、
IJC 120 の移動動作に伴ってIJC 120 の吐出面における
結露、濡れあるいは塵埃等をふきとるものである。
【0034】
【実施例】
実施例1 図1は、本実施例のヘッドの発熱抵抗体の部分の断面図
であり、基板1上に絶縁・断熱のための絶縁・蓄熱層2
が設けられ、第一電極配線3’が溝に充填されており、
発熱抵抗体4がその上を覆い、さらに第二電極配線11
が段差を形成するように設けられており、その上にイン
ク遮断層である第一保護膜5、耐キャビテーション層で
ある第二保護膜6が設けられている。
【0035】本実施例による熱インクジェット記録ヘッ
ドの作成方法を以下に順を追って説明する。
【0036】絶縁・蓄熱層2である熱酸化膜付きシリコ
ンウエハー1を、フォトリソ技術によるエッチングで電
極配線膜の幅より3μm狭く電極配線と同パターンの溝
を形成した。エッチングの条件は、溝の深さが約230
nmになるように設定した。エッチング方法はキャノン
製GIR−261でCHF3 ・C26 、He、O2
ガスを使用してRIE(リアクティブ・ドライエッチン
グ方式)によりパターニングを行う方法によった。な
お、本実施例ではRIEでパターニングを行ったが、ウ
エットエチングで行ってもよい。
【0037】次に、上記パターニングされた熱酸化膜付
きシリコンウエハー上に、金メタルオーガニックス(田
中貴金属工業(株),AP222C)を印刷によって全
面に印刷した。印刷に使用したスクリーンは#325メ
ッシュであるが、このメッシュサイズにより任意に膜厚
がコントロールできる。この印刷された状態のままで
は、印刷したときのメッシュ痕が残るため、5〜10分
間放置し充分レベリングを行った。表面が滑らかになっ
た金メタルオーガニックスのペーストを、ペースト内に
含まれている溶剤分を排出するため、125℃の乾燥炉
で10分間乾燥した。次に、830℃の近赤外線ベルト
コンベア炉で10分間保持する条件で焼成を行った。こ
のときの膜厚は溝の底から約250nm(即ち、電極配
線は絶縁・蓄熱層上20nm程度突出する。)でシート
抵抗は約125mΩ/□であった。ただし、このシート
抵抗はウエハー全面での膜厚が250nmのときの値で
ある(予め、この値を試作によって確かめておく必要が
ある)。得られた電極配線膜3’をフォトリソ技術によ
り金を、溝の中心に沿って溝の幅より全体的に3μm程
度幅広くパターニングした。エッチング液は塩酸と硝酸
の混合液を使用した。このように形成されたシリコンウ
エハー上に発熱抵抗体4としてHfB2 をスパッタリン
グによりシート抵抗20Ω/□程度になるように成膜
(厚み130nm)し、フォトリソ技術により発熱抵抗
体部分を残すようにパターニングした。さらに、スパッ
タリングにより第二電極配線11としてAlをシート抵
抗100Ω/□になるように成膜(厚み250nm)
し、フォトリソ技術により、図1のように一回目の電極
配線と同幅にパターニングした。
【0038】次にインク遮断層の第一保護膜5であるS
iO2 及び耐キャビテーション層の第二保護膜6である
Ta膜を成膜し、フォトリソ技術により外部電極端子等
必要でない部分をエッチングした。それぞれの厚みは
1.5μmおよび500nmであり、段差は最大でも2
500nm程度であった。
【0039】このように出来上がったヘッド上に、イン
クを吐出するためのノズルを従来技術で形成し、天板ガ
ラス等を接合し外部との電気信号接続をワイヤーボンデ
ィングで行った。
【0040】得られたヘッドの実配線抵抗及び密着強度
を測定したところ、電極配線膜を成膜する第一の電極配
線膜である金メタルオーガニックスと第二の電極配線膜
であるAl膜の実配線抵抗及び密着強度が懸念されたに
も拘らず、実配線抵抗に関しては、実際に配線の抵抗値
を測定したところ、平均17.4Ωであった。従来技術
の場合平均が15.8Ω程度であったのでほぼ同等であ
る。密着強度に関しては、実際のパターンでキャノン製
CDS−630ハイプレッシャー洗浄機で圧力150k
g/cm2 に設定し一分間の剥離試験を3回行ったが剥
離は認められず、これも従来技術と同等と確認された。
【0041】ステップカバレージ性は、アルコール液中
に銅板及びサンプルを置き、銅板を陽極、サンプルを陰
極として電流を流し、サンプルの不良箇所に銅を付着さ
せる、銅デコレーション法のリーク(ピンホール)試験
により検査した結果、図8に示すように従来技術により
製造されたものに比べてリーク(ピンホール)による不
良発生率が有意に低減していた。
【0042】実施例2 図2は、本実施例のヘッドの発熱抵抗体の部分の断面図
であり、基板1上に絶縁・断熱のための絶縁・蓄熱層2
が設けられ、電極配線3が溝に充填されており、発熱抵
抗体4がその上を覆い、その上にインク遮断層である第
一保護膜5、耐キャビテーション層である第二保護膜6
が設けられている。
【0043】本実施例による熱インクジェット記録ヘッ
ドの作成方法を以下に順を追って説明する。
【0044】絶縁・蓄熱層2である熱酸化膜付きシリコ
ンウエハー1を、フォトリソ技術によるエッチングで電
極配線膜の幅より3μm狭く電極配線と同パターンの溝
を形成した。エッチングの条件は、溝の深さが約500
nmになるように設定した。エッチング方法は実施例1
と同様である。
【0045】次に、上記パターニングされた熱酸化膜付
きシリコンウエハー上に、金メタルオーガニックス(田
中貴金属工業(株)製,AP222C)を印刷によって
全面に印刷した。印刷は実施例1と同様にして行った。
次に、焼成は、830℃の近赤外線ベルトコンベア炉で
10分間保持する条件で焼成を行い、再度、同条件で印
刷焼成を行った。このときの膜厚は溝の底から約510
nm(即ち、電極配線は絶縁・蓄熱層上10nm程度突
出する。)でシート抵抗は約60mΩ/□であった。得
られた電極配線膜3をフォトリソ技術により金を、溝の
中心に沿って溝の幅より全体的に3μm程度幅広くパタ
ーニングした。エッチング液は塩酸と硝酸の混合液を使
用した。
【0046】このように形成されたシリコンウエハー上
に発熱抵抗体4としてHfB2 をスパッタリングにより
シート抵抗20Ω/□程度になるように成膜(厚み13
0nm)し、フォトリソ技術により発熱抵抗体部分を残
すようにパターニングした。次にインク遮断層の第一保
護膜5であるSiO2 及び耐キャビテーション層の第二
保護膜6であるTa膜を成膜し、フォトリソ技術により
外部電極端子等必要でない部分をエッチングした。それ
ぞれの厚みは1.5μmおよび500nmであり、段差
は最大でも2150nm程度であった。
【0047】このように出来上がったヘッド上に、イン
クを吐出するためのノズルを従来技術で形成し、天板ガ
ラス等を接合し外部との電気信号接続をワイヤーボンデ
ィングで行った。
【0048】得られたヘッドの実配線抵抗及び密着強度
を測定したところ、電極配線膜を成膜する第一の電極配
線膜である金メタルオーガニックスと第二の電極配線膜
であるAl膜の実配線抵抗及び密着強度が懸念されたに
も拘らず、実施例1と同様にいずれも従来技術と同等と
確認された。
【0049】ステップカバレージ性をリーク試験法によ
り検査した結果、実施例1と同様に図8に示すように従
来技術により製造されたものに比べてリークによる不良
品発生率が有意に低減していた。
【0050】実施例3 図3は、本実施例のヘッドの発熱抵抗体の部分の断面図
であり、基板1上に絶縁・断熱のための絶縁・蓄熱層2
が設けられ、第一電極配線3’が溝に充填されており、
発熱抵抗体4がその上を覆い、さらに第二電極配線11
が段差を形成するように設けられており、その上にイン
ク遮断層である第一保護膜5、耐キャビテーション層で
ある第二保護膜6が設けられている。
【0051】本実施例による熱インクジェット記録ヘッ
ドの作成方法を以下に順を追って説明する。
【0052】絶縁・蓄熱層2である熱酸化膜付きシリコ
ンウエハー1を、実施例1と同様にして加工し、深さ約
230nmの溝を形成した。
【0053】次に、上記パターニングされた熱酸化膜付
きシリコンウエハー上に、金メタルオーガニックス(田
中貴金属工業(株)製,AP222C)を用いて印刷に
よって電極配線をパターン印刷した。この印刷された状
態のままでは、印刷したときのメッシュ痕が残るため、
5〜10分間放置し充分レベリングを行った。表面が滑
らかになったペーストを、ペースト内に含まれている溶
剤分を排出するため、125℃の乾燥炉で10分間乾燥
した。次に、830℃の近赤外線ベルトコンベア炉で1
0分間保持する条件で焼成を行った。このときの膜厚は
溝の縁部分で底から約250nm、溝の中心部分では2
70nmでシート抵抗は約125mΩ/□であった。た
だし、このシート抵抗はウエハー全面での膜厚が250
nmのときの値である(予め、この値を試作によって確
かめておく必要がある)。ただし、このパターン印刷は
熱インクジェット記録ヘッドの微細パターンには追随し
ない。そのため、電極配線をさらにフォトリソ技術によ
りパターニングした。パターニングは金の溝を中心に沿
って溝の幅より全体的に3μm程度幅広くパターニング
した。エッチング液は塩酸と硝酸の混合液を使用した。
【0054】このように形成されたシリコンウエハー上
に発熱抵抗体4としてHfB2 をスパッタリングにより
シート抵抗20Ω/□程度になるように成膜(厚み13
0nm)し、フォトリソ技術により発熱抵抗体部分を残
すようにパターニングした。さらに、スパッタリングに
より第二電極配線11としてAlをシート抵抗100Ω
/□になるように成膜(厚み250nm)し、フォトリ
ソ技術により、図1のように一回目の電極配線と同幅に
パターニングした。
【0055】次にインク遮断層の第一保護膜5であるS
iO2 及び耐キャビテーション層の第二保護膜6である
Ta膜を成膜し、フォトリソ技術により外部電極端子等
必要でない部分をエッチングした。それぞれの厚みは
1.5μmおよび500nmであり、段差は殆ど無く、
電極配線パターン形状が蒲鉾型になっており、そのため
保護膜のステップ形状が段差ではなくなだらかな傾斜に
なることに特徴がある。このように出来上がったヘッド
上に、インクを吐出するためのノズルを従来技術で形成
し、天板ガラス等を接合し外部との電気信号接続をワイ
ヤーボンディングで行った。
【0056】得られたヘッドの実配線抵抗及び密着強度
を測定したところ、電極配線膜を成膜する第一の電極配
線膜である金メタルオーガニックスと第二の電極配線膜
であるAl膜の実配線抵抗及び密着強度が懸念されたに
も拘らず、実配線抵抗に関しては、実際に配線の抵抗値
を測定したところ、平均17.4Ωであった。従来技術
の場合平均が15.8Ω程度であったのでほぼ同等であ
る。密着強度に関しては、実際のパターンでキャノン製
CDS−630ハイプレッシャー洗浄機で圧力150k
g/cm2 に設定し一分間の剥離試験を3回行ったが剥
離は認められず、これも従来技術と同等と確認された。
【0057】ステップカバレージ性をリーク試験法によ
り検査した結果、実施例1と同様に従来技術により製造
されたものに比べてリークによる不良品発生率が有意に
低減していた。
【0058】実施例4 図4は、本実施例のヘッドの発熱抵抗体の部分の断面図
であり、基板1上に絶縁・断熱のための絶縁・蓄熱層2
が設けられ、電極配線3が溝に充填されており、発熱抵
抗体4がその上を覆い、その上にインク遮断層である第
一保護膜5、耐キャビテーション層である第二保護膜6
が設けられている。
【0059】本実施例による熱インクジェット記録ヘッ
ドの作成方法を以下に順を追って説明する。
【0060】絶縁・蓄熱層2である熱酸化膜付きシリコ
ンウエハー1を、フォトリソ技術によるエッチングで電
極配線膜の幅より3μm狭く電極配線と同パターンの溝
を形成した。エッチングの条件は、溝の深さが約500
nmになるように設定した。エッチング方法は実施例1
と同様である。
【0061】次に、上記パターニングされた熱酸化膜付
きシリコンウエハー上に、金メタルオーガニックス(田
中貴金属工業(株),AP222C)を用いて印刷によ
って電極配線膜をパターン印刷した。この印刷された状
態のままでは、印刷したときのメッシュ痕が残るため、
5〜10分間放置し充分レベリングを行った。表面が滑
らかになったペーストを、ペースト内に含まれている溶
剤分を排出するため、125℃の乾燥炉で10分間乾燥
した。次に、830℃の近赤外線ベルトコンベア炉で1
0分間保持する条件で焼成を行い、再度、同条件で印刷
焼成を行ったところ、このときの膜厚は約510nmで
シート抵抗は約60mΩ/□であった。得られた電極配
線膜をフォトリソ技術により金を溝を中心に沿って全体
的にパターニングし、次にインク遮断層の第一保護膜5
であるSiO2 及び耐キャビテーション層の第二保護膜
6であるTa膜を成膜し、フォトリソ技術により外部電
極端子等必要でない部分をエッチングした。それぞれの
厚みは1.5μmおよび500nmであり、段差は殆ど
無く、電極配線エッジ部の形状がなだらかになってお
り、そのため保護膜のステップ形状の段差が小さくなる
ことに特徴がある。
【0062】このように出来上がったヘッド上に、イン
クを吐出するためのノズルを従来技術で形成し、天板ガ
ラス等を接合し外部との電気信号接続をワイヤーボンデ
ィングで行った。
【0063】得られ多ヘッドの実配線抵抗及び密着強度
を測定したところ、電極配線膜を成膜する第一の電極配
線膜である金メタルオーガニックスと第二の電極配線膜
であるAl膜の実配線抵抗及び密着強度が懸念されたに
も拘らず、実施例1と同様にいずれも従来技術と同等と
確認された。
【0064】ステップカバレージ性をリーク試験法によ
り検査した結果、実施例1と同様に図8に示すように従
来技術により製造されたものに比べてリークによる不良
品発生率が有意に低減していた。
【0065】なお、上記実施例では、発熱抵抗体等の成
膜にはスパッタリング技術が用いられたが、本発明では
それに限定させることなく、蒸着法等によって成膜して
もよい。また、上記ヘッド構造は基板、絶縁・蓄熱層、
電極配線(または第一電極配線および第二電極配線)、
発熱抵抗体、第一保護膜、第二保護膜からなるものであ
ったが、本発明ではそれらの構造に限定されず、基板、
絶縁・蓄熱、発熱抵抗体、電極配線、保護膜等の構造の
ものであってもよい。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、基板上に溝を設け
そこに電極配線を形成しかつ発熱抵抗体をその上に形成
したことにより、電極配線パターンを一回または二回に
分けて形成し電極配線による段差を低減しかつ一定の抵
抗を発熱抵抗体に付与することができるので、第一保護
膜の電極配線膜へのステップカバレージ性を、従来技術
よりも確実にし、不良の少ない熱インクジェット記録ヘ
ッドとすることができた。
【0067】また、従来、平面な基板上にスパッタリン
グで膜形成していた電極配線を、溝を形成した基板上に
印刷または塗布で成膜できる有機金属を用いて形成し、
発熱抵抗体をスパッタリング法または蒸着法等の方法で
形成したことにより、電極配線パターンを一回または二
回に分けて形成し段差を減らしかつ発熱抵抗体を一定の
抵抗に調整するとができるので、第一保護膜の電極配線
膜へのステップカバレージ性を、従来技術よりも確実に
し、不良の少ない熱インクジェット記録ヘッドを簡便な
方法により製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すヘッドの発熱抵抗体部
分の膜構造の模式断面図である。
【図2】本発明の他の一実施例を示すヘッドの発熱抵抗
体部分の膜構造の模式断面図である。
【図3】本発明の他の一実施例を示すヘッドの発熱抵抗
体部分の膜構造の模式断面図である。
【図4】本発明の他の一実施例を示すヘッドの発熱抵抗
体部分の膜構造の模式断面図である。
【図5】従来技術によるヘッドの要部の構造を示す一部
切断斜視図である。
【図6】従来技術によるヘッドの発熱抵抗体の膜構造の
模式断面図である(図5のAーA’断面)。
【図7】従来技術と本発明によるヘッドのリーク試験結
果を示すグラフを示す。
【図8】本発明に係わる熱インクジェット記録ヘッドを
備えた記録装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 シリコンウエハー 2 絶縁・蓄熱層(SiO2 ) 3 電極配線膜1 3’ 第一電極配線 4 発熱抵抗体 5 第一保護膜(耐インク層) 6 第二保護膜(耐キャビテーション層) 7 ノズル(インク流路) 8 吐出口 9 天板ガラス 10 インク供給口 11 第二電極配線 116 キャリッジ 117 駆動モータ 118 駆動ベルト 119A、119B ガイドシャフト 120 インクジェットヘッドカートリッジ 122 クリーニング用モータ 123 伝動機構 124 プラテン 126 キャップ部材 130 ブレード 130A ブレード保持部材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、通
    電により液路中のインクに熱エネルギーを作用させ吐出
    口からインクを吐出させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体
    に通電するための電極配線と、該電極配線をインクから
    保護するための保護膜とを備える熱インクジェット記録
    ヘッドにおいて、基板上に電極配線パターンの形状で溝
    が形成されその上に電極配線が付設され次に発熱抗体が
    形成されていることを特徴とする熱インクジェット記録
    ヘッド。
  2. 【請求項2】 絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、通
    電により液路中のインクに熱エネルギーを作用させ吐出
    口からインクを吐出させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体
    に通電するための電極配線と、該電極配線をインクから
    保護するための保護膜とを備える熱インクジェット記録
    ヘッドにおいて、基板上に電極配線パターンの形状で溝
    が形成されその上に第一電極配線が付設され次に発熱抵
    抗体が形成されその上に第二電極配線が付設されている
    ことを特徴とする熱インクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、通
    電により液路中のインクに熱エネルギーを作用させ吐出
    口からインクを吐出させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体
    に通電するための電極配線と、該電極配線をインクから
    保護するための保護膜とを備える熱インクジェット記録
    ヘッドの製造において、基板上に電極配線パターンの形
    状で溝を形成し、その上に有機金属からなる液体を用い
    て電極配線を印刷または塗布により付設し次に発熱抵抗
    体を形成することを特徴とする熱インクジェット記録ヘ
    ッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 絶縁・蓄熱層が設けられた基板上に、通
    電により液路中のインクに熱エネルギーを作用させ吐出
    口からインクを吐出させる発熱抵抗体と、該発熱抵抗体
    に通電するための電極配線と、該電極配線をインクから
    保護するための保護膜とを備える熱インクジェット記録
    ヘッドの製造において、基板上に電極配線パターンの形
    状で溝を形成し、その上に有機金属からなる液体を用い
    て第一電極配線を印刷または塗布により付設し次に発熱
    抵抗体を形成し続いて無機金属材料で第二電極配線を形
    成することを特徴とする熱インクジェット記録ヘッドの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 記録媒体の記録領域の全幅にわたって吐
    出口が複数設けられているフルラインタイプのものであ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の熱インクジ
    ェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 記録媒体の被記録面に対してインクを吐
    出するインク吐出口が設けられている請求項1または2
    記載の記録ヘッドと、該記録ヘッドを載置するための部
    材とを少なくとも具備することを特徴とする記録装置。
JP14800793A 1993-06-18 1993-06-18 熱インクジェット記録ヘッド、その製造方法およびそれを載置した記録装置 Pending JPH07137261A (ja)

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