JPH07136802A - 旋削加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピニオンラック機構によって刃具ホルダを半
径方向に移動させながら刃具を被加工物に当接させて曲
面加工を行うようにした旋削加工装置において、刃具ホ
ルダに作用する切削抵抗の軸方向成分と、ピニオンによ
るラックの駆動時に該ラックに作用する軸方向成分とを
同一向きに作用させるようにして切削抵抗の変動及びラ
ック駆動による刃具の微動を防止して被加工物の加工面
粗さ及び平面精度を大幅に向上させる。 【構成】 刃具が固定された刃具ホルダをピニオンラッ
ク機構によって半径方向に移動させるように構成すると
共に刃具ホルダに固定したラックをピニオンに対して刃
具の反対側において噛合させることにより、被加工物を
切削するとき刃具ホルダに作用する切削抵抗の軸方向成
分とピニオンによるラックの駆動時に該ラックに作用す
る力の軸方向成分とが同一向きに作用するようにした構
成を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、旋削加工装置に係り、
特にピニオンラック機構によって刃具ホルダに装着され
た刃具を半径方向に移動させながら被加工物に当接させ
て曲面加工を行うようにした旋削加工装置において、被
加工物を切削する際刃具ホルダに作用する切削抵抗の軸
方向成分とピニオンによるラックの駆動時に該ラックに
作用する力の軸方向成分とを同一向きに作用させるよう
に構成することにより、切削抵抗の変動及びラック駆動
による刃具ホルダ、即ち刃具の微動を防止して被加工物
の加工面粗さ及び平面精度を大幅に向上させることがで
きるようにした旋削加工装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車輛のリアアクスルハウジングの製作に
は、曲面加工することが必要となるが、該曲面加工は通
常、図８から図１１において、旋削加工装置１により刃
具２を回転させると共に回転軸の半径方向に移動させな
がら被加工物であるリアアクスルハウジング３の被加工
面３ａに当接させて加工が行われている。

【０００３】従来の旋削加工装置１の構造は、移動基台
４が基台（図示せず）に固定されたガイドレール５に摺
動自在に嵌合しており、該ガイドレール５により案内さ
れて往復移動できるようになっている。

【０００４】移動基台４の側面には、回転刃物台６が回
動自在に装着され、駆動装置（図示せず）によって駆動
されて水平軸を中心として回動できるようになってい
る。

【０００５】回転刃物台６の正面側には、該回転刃物台
６の回転軸に対して半径方向に形成された２つのガイド
溝６ａが平行に設けられており、夫々のガイド溝６ａに
は刃具２が固定された断面Ｔ字形の刃具ホルダ８が嵌合
し、回転刃物台６に固定されたガイド板７によって刃具
ホルダ８の軸方向の移動が制限された状態とされ、該刃
具ホルダ８が回転刃物台６の回転軸に対して半径方向に
摺動自在に装着されている。

【０００６】刃具ホルダ８の裏面８ａには、ラック８ｂ
が形成されており、該ラック８ｂは回転刃物台６に回動
自在に装着された２連ピニオン９の刃具ピニオン９ａに
噛合し、該刃具ピニオン９ａを回転させることによって
ラック８ｂをガイド溝６ａに沿って半径方向に移動させ
るようになっている。

【０００７】２連ピニオン９の駆動ピニオン９ｂは、移
動基台４に固定された油圧シリンダ１０のピストンロッ
ド１１に形成された駆動ラック１１ａに噛合しており、
油圧シリンダ１０に圧力油を供給してピストンロッド１
１を往復動させることにより駆動ラック１１ａに噛合す
る駆動ピニオン９ｂ及び刃具ピニオン９ａを回転させ、
刃具ピニオン９ａに噛合するラック８ｂをガイド溝６ａ
に沿って移動させて刃具２を刃具ホルダ８と共に回転刃
物台６の回転軸に対して半径方向に移動させるようにな
っている。

【０００８】図１０及び図１１において、リアアクスル
ハウジング３の加工は、該リアアクスルハウジング３を
ワークホルダ（図示せず）に固定した後、駆動装置（図
示せず）を始動して回転刃物台６を回転させ、更に制御
装置（図示せず）によって制御して移動基台４をガイド
レール５に沿って移動させながら油圧シリンダ１０に圧
力油を供給してピストンロッド１１を往復動させる。

【０００９】そして該ピストンロッド１１の駆動ラック
１１ａに噛合する駆動ピニオン９ｂを介して刃具ピニオ
ン９ａを回転させ、該回転をラック８ｂに伝達して刃具
ホルダ８をガイド溝６ａに沿って移動させ、刃具２を刃
具ホルダ８と共に回転刃物台６の回転軸に対して半径方
向に移動させながらリアアクスルハウジング３の加工面
３ａに当接させて該加工面３ａに曲面加工を施す。

【００１０】ここで油圧シリンダ１０により刃具ピニオ
ン９ａを回転させてラック８ｂ、即ち刃具ホルダ８を半
径方向に移動させるとき、該ラック８ｂには移動の反力
が作用するが、該反力の軸方向成分は刃具ピニオン９ａ
から刃具ホルダ８に矢印Ａ方向に作用し、刃具ホルダ８
を同方向に移動させるのでガイド溝６ａ中で回転刃物台
６と刃具ホルダ８との間に隙間δ₁ が生ずる。

【００１１】一方刃具２をリアアクスルハウジング３に
当接させて加工を行うと加工による切削抵抗の軸方向成
分が刃具２に矢印Ｂ方向に作用し、刃具ホルダ８を同方
向に移動させるのでガイド溝６ａ中でガイド板７と刃具
ホルダ８との間に隙間δ₂ が生ずる。

【００１２】即ち、刃具ピニオン９ａを回転させて刃具
ホルダ８を半径方向に移動させるときには刃具ホルダ８
が矢印Ａ方向に、またリアアクスルハウジング３を加工
するときには切削抵抗が刃具２を介して刃具ホルダ８を
矢印Ｂ方向に移動させようとするので、刃具ホルダ８に
固定されている刃具２は、ラック８ｂの移動に伴う反力
及び切削抵抗の大きさによって矢印Ａ又はＢ方向にわず
かではあるが移動することとなり、特に削り代が変動す
るような条件での加工においては刃具２が矢印Ａ又はＢ
方向に交互に移動しながら加工することになり、加工面
３ａの面粗さが荒くなるばかりでなく、平面精度にも悪
影響を及ぼすという欠点があった。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は，上記した従
来技術の欠点を除くためになされたものであって、その
目的とするところは、刃具が固定された刃具ホルダをピ
ニオンラック機構によって半径方向に移動させるように
構成すると共に、刃具ホルダに固定したラックをピニオ
ンに対して刃具の反対側において噛合させることによ
り、被加工物を切削するとき刃具ホルダに作用する切削
抵抗の軸方向成分とピニオンによるラックの駆動時に該
ラックに作用する力の軸方向成分とが同一向きに作用す
るようにすることであり、またこれによって切削加工時
の刃具の軸方向の微動を防止できるようにすることであ
る。

【００１４】また他の目的は、上記構成により切削抵抗
変動等の有無にかかわらず刃具を常に安定させた状態で
加工できるようにすることであり、またこれによって被
加工物の加工面粗さ及び平面精度を大幅に向上させるこ
とである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】要するに本発明は、回転
する刃物台に装着された刃具を被加工物に当接させて該
被加工物を加工する旋削加工装置において、駆動装置に
より駆動されて回転する回転刃物台と、該回転刃物台の
回転軸に対して半径方向に往復動自在に前記回転刃物台
に装着された刃具ホルダと、該刃具ホルダに装着され半
径方向に移動しながら前記被加工物に当接して該被加工
物を加工する刃具と、ピニオンに対して前記刃具の反対
側において噛合すると共に前記刃具ホルダに固定されて
該刃具ホルダを前記回転刃物台の回転軸に対して半径方
向に移動させるラックとを備え、前記被加工物を切削す
るとき前記刃具ホルダに作用する切削抵抗の軸方向成分
と前記ピニオンによる前記ラックの駆動時に該ラックに
作用する力の前記軸方向成分とが同一向きに作用するよ
うに構成したことを特徴とするものである。

【００１６】

【実施例】以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。図１から図７において、本発明に係る旋削加工
装置２０は、回転刃物台２１と、刃具ホルダ２２と、刃
具２３と、ラック２４とを備えている。

【００１７】回転刃物台２１は、刃具２３を回転させる
ためのものであって、移動基台２５に回動自在に配設さ
れており、駆動装置（図示せず）によって駆動されて水
平軸を中心として回動できるようになっている。

【００１８】移動基台２５は、基台（図示せず）に固定
されたガイドレール２６に摺動自在に嵌合しており、該
ガイドレール２６により案内されて往復移動できるよう
になっている。

【００１９】回転刃物台２１の正面側には該回転刃物台
２１の回転軸に対して半径方向に２つのガイド溝２１ａ
が形成され、夫々のガイド溝２１ａには刃具２３が固定
された断面Ｔ字形の刃具ホルダ２２が摺動自在に嵌合
し、回転刃物台２１に固定されたガイド板２８によって
刃具ホルダ２２の軸方向の移動が制限された状態とされ
ている。そして該刃具ホルダ２２が回転刃物台２１の回
転軸に対して半径方向に摺動自在に構成されている。

【００２０】刃具ホルダ２２は、刃具２３を保持しなが
ら回転刃物台２１の回転軸に対して半径方向に移動させ
るためのものであって、図４において、後方に伸びる２
本の腕２２ａに該２本の腕２２ａを連結するようにラッ
ク２４が固定されている。

【００２１】回転刃物台２１には刃具ピニオン２９ａ及
び駆動ピニオン２９ｂからなる２連ピニオン２９が２
本、対角線上に回動自在に装着されており、刃具ピニオ
ン２９ａは２本の腕２２ａとラック２４とで形成される
角穴２２ｂに挿通された状態でラック２４と噛合して配
設されている。

【００２２】２本の２連ピニオン２９の駆動ピニオン２
９ｂは、移動基台２５に固定された油圧シリンダ３０の
ピストンロッド３１の上下面に形成されている駆動ラッ
ク３１ａに夫々噛合しており、油圧シリンダ３０に圧力
油を供給してピストンロッド３１を往復動させることに
より駆動ラック３１ａに噛合する駆動ピニオン２９ｂを
回転させるようになっている。

【００２３】そして刃具ピニオン２９ａを回転させて刃
具ピニオン２９ａに噛合するラック２４を駆動して刃具
ホルダ２２をガイド溝２１ａに沿って移動させ、刃具２
３を刃具ホルダ２２と共に回転刃物台２１の回転軸に対
して半径方向に移動させるようになっている。

【００２４】本発明は、上記のように構成されており、
以下その作用について説明する。図６及び図７におい
て、被加工物の一例たるリアアクスルハウジング３１の
加工は、該リアアクスルハウジング３１を旋削加工装置
２０のワークホルダ（図示せず）に固定した後、駆動装
置（図示せず）を始動させて回転刃物台２１を回転さ
せ、更に制御装置（図示せず）によって制御して移動基
台２５をガイドレール２６に沿って移動させながら油圧
シリンダ３０に圧力油を供給してピストンロッド３１を
往復動させる。

【００２５】ピストンロッド３１の往復動は、駆動ラッ
ク３１ａに噛合する駆動ピニオン２９ｂ及び刃具ピニオ
ン２９ａを回転させ、該回転はラック２４に伝達されて
刃具ホルダ２２をガイド溝２１ａに沿って移動させ、刃
具２３を刃具ホルダ２２と共に回転刃物台２１の回転軸
に対して半径方向に移動させてリアアクスルハウジング
３１の加工面３１ａを曲面加工する。

【００２６】ここで油圧シリンダ３０により刃具ピニオ
ン２９ａを回転させてラック２４を駆動する際、該ラッ
ク２４には反力が作用するがその軸方向成分は、矢印Ｃ
方向に向いて作用するので、該ラック２４に固定されて
いる刃具ホルダ２２にも矢印Ｃ方向の力が働き、刃具ホ
ルダ２２は回転刃物台２１のガイド溝２１ａに押し付け
られた状態で刃具ホルダ２２と回転刃物台２１との間に
隙間ができることなく該ガイド溝２１ａ中を半径方向に
移動する。

【００２７】一方刃具２３をリアアクスルハウジング３
１の加工面３１ａに当接させて加工を行う際、加工によ
る切削抵抗の軸方向成分は刃具２３に矢印Ｄ方向に作用
し、刃具ホルダ２２を同方向に移動させるので刃具ホル
ダ２２は回転刃物台２１のガイド溝２１ａに押しつけら
れた状態で刃具ホルダ２２と回転刃物台２１との間に隙
間ができることはなく、ガイド板２８と刃具ホルダ２２
との間に隙間δ₃ が形成された状態で加工が行われる。

【００２８】即ち刃具ホルダ２２を半径方向に移動させ
るときにも、またリアアクスルハウジング３１を加工す
るときにもラック２４の移動時の反力及び加工による切
削抵抗の軸方向成分は常に刃具ホルダ２２を回転刃物台
２１のガイド溝２１ａに押し付ける向き、即ち同一の向
きに作用しているので、切削抵抗の変動が生じても刃具
ホルダ２２、即ち刃具２３が微動することなく安定した
状態で加工を行うことができ、加工面３１ａの面粗さ及
び平面精度を大幅に向上させることができる。

【００２９】なお、上記実施例においては、刃具は回転
刃物台と共に回転するものとして説明したが、刃具は回
転刃物台と共に回転するものに限定されるものではな
く、刃具を単に軸方向及び半径方向に移動させるように
構成し、被加工物を回転させながら該刃具に当接させて
加工するように構成したものであってもよい。

【００３０】

【発明の効果】本発明は、上記のように刃具が固定され
た刃具ホルダをピニオンラック機構によって半径方向に
移動させるように構成すると共に、刃具ホルダに固定し
たラックをピニオンに対して刃具の反対側において噛合
させることにより、被加工物を切削するとき刃具ホルダ
に作用する切削抵抗の軸方向成分とピニオンによるラッ
クの駆動時に該ラックに作用する力の軸方向成分とが同
一向きに作用するようにすることができる効果があり、
またこの結果切削加工時の刃具の軸方向の微動を防止で
きるという効果がある。

【００３１】また上記構成により切削抵抗変動等の有無
にかかわらず刃具を常に安定させた状態で加工できるこ
とになるので、被加工物の加工面粗さ及び平面精度を大
幅に向上させることができる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１から図７は本発明の実施例に係り、図１は
旋削加工装置の全体斜視図である。

【図２】旋削加工装置の内部構造を示す部分縦断面斜視
図である。

【図３】油圧シリンダと２連ピニオンの構成を示す斜視
図である。

【図４】２連ピニオンとラック及び刃具ホルダの構成を
示す要部拡大斜視図である。

【図５】油圧シリンダの構造を示す部分破断斜視図であ
る。

【図６】旋削加工装置の横断面図である。

【図７】刃具ホルダに作用する力関係を示す要部拡大横
断面図である。

【図８】図８から図１１は従来例に係り、図８は旋削加
工装置の内部構造を示す部分縦断面斜視図である。

【図９】２連ピニオンとラック及び刃具ホルダの構成を
示す要部拡大斜視図である。

【図１０】旋削加工装置の横断面図である。

【図１１】刃具ホルダに作用する力関係を示す要部拡大
横断面図である。

【符号の説明】

２０ 旋削加工装置 ２１ 回転刃物台 ２２ 刃具ホルダ ２３ 刃具 ２４ ラック ２９ ピニオン ３１ 被加工物の一例たるリアアクスルハウジング

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転する刃物台に装着された刃具を被加
   工物に当接させて該被加工物を加工する旋削加工装置に
   おいて、駆動装置により駆動されて回転する回転刃物台
   と、該回転刃物台の回転軸に対して半径方向に往復動自
   在に前記回転刃物台に装着された刃具ホルダと、該刃具
   ホルダに装着され半径方向に移動しながら前記被加工物
   に当接して該被加工物を加工する刃具と、ピニオンに対
   して前記刃具の反対側において噛合すると共に前記刃具
   ホルダに固定されて該刃具ホルダを前記回転刃物台の回
   転軸に対して半径方向に移動させるラックとを備え、前
   記被加工物を切削するとき前記刃具ホルダに作用する切
   削抵抗の軸方向成分と前記ピニオンによる前記ラックの
   駆動時に該ラックに作用する力の前記軸方向成分とが同
   一向きに作用するように構成したことを特徴とする旋削
   加工装置。