JPH0713559Y2 - 回転式椅子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、座椅子や脚体付椅子に
おける座部を座部支持体上に回転自在に軸支してなる回
転式椅子に関するものであり、特に軸受部の緩みやガタ
ツキが発生し難い安定した支持状態を長期間維持するこ
とができる回転式椅子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、椅子に座った状態のまま、あるい
は腰掛けた状態のままで身体を回転させたりあるいはひ
ねったりすることができるようにして周囲の物を取りや
すくしたり、または立ち上がり易くした回転式の椅子
は、事務用デスクの椅子をはじめとして最近では家庭で
寛ぐための座椅子にまで広範囲で使用されてきている。

【０００３】このような回転式椅子は、座るための座部
とこの座部をささえる座部支持体との間を軸体によって
回転自在に接合させて構成しており、一般には図６およ
び図７に示す如く中央に貫通孔を設けた厚めの鋼板より
なる上部接合板17を座部２の下面に固着させるととも
に、座部支持体１の上面にも同様な貫通孔を有する厚め
の鋼板よりなる上部接合板18を固着し、上記貫通孔同士
に該貫通孔と略同一直径または若干小さめの直径のボル
ト19を挿通させてナット20等の締結具を螺合させて両鋼
板を上記ボルト19を軸として上下の接合板17，18を回転
自在に接合した構成にされていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の回転式椅子の構成によれば、座部２と座部支
持体１との間をボルト19およびナット20の接合によって
回転自在に接合しているので、座部２を何回も左右に回
転させる動作を繰り返していると上記ボルト19とナット
20の螺合に次第に緩みを生じて、ボルト19による回転軸
にグラツキが発生し易いという問題点があった。

【０００５】また、軸体を上下の接合板に貫通させて取
り付けたものであるので、座部２の傾きによって鋼板か
らなる接合板17，18の貫通孔と軸体（ボルト19）の接点
に歪み（鋼板の変形）が生じやすく回転が円滑でなくな
り、軸体（ボルト19）と貫通孔の接点で金属の摩擦音を
発生しやすくなる問題があった。

【０００６】本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであり、回転式椅子の回転軸にガタツキや摩擦
にによるキシミ音が発生することがない安定した回転を
長期間維持することができる軸受構造を有する回転式椅
子を提供するものである。

【０００７】

【課題を達成するための手段】上記課題を達成するため
に本考案の回転式椅子は、座部支持体１上に座部２を回
転自在に軸支してなる回転式椅子において、上記座部２
の下面中央部には、軸筒10を下方に向かって一体的に突
設してなる座部回転板９か固定されていると共に、該座
部回転板９の軸筒10外周に樹脂製筒体13が被嵌され、上
記軸筒10が座部支持体１の上面中央部に固定された軸受
具８の固定軸筒部７に前記樹脂製筒体13を介して回転自
在に嵌入され、かつ上記軸筒10と固定軸筒部７とが抜け
止めされていることを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】すなわち、本考案の回転式椅子によれば、座部
回転板９の下面に下方に向かって軸筒10を一体的に突設
してあり、この座部回転板９が座部２の下面中央部に固
定されているので、ボルトによる軸体のごとく緩みを生
じることがない。

【０００９】また、本考案の回転式椅子によれば、上記
軸筒10の外周に樹脂製筒体13が被嵌され、該樹脂製筒体
13を介して上記軸筒10が座部支持体１の軸受具８の固定
軸筒部７に回転自在に嵌入されているので、軸筒10の回
転に際して金属同士が擦れ合うような摩擦音が発生しな
いとともに、軸筒10が固定軸筒部７に嵌合されているの
で、軸筒10が曲がるような変形を生じにくい構造であ
り、長期間スムーズな回転が維持できるものである。

【００１０】

【実施例】次に本考案の実施例を図面について説明す
る。図１及び図２は、座椅子に適用した本発明の回転式
椅子の一実施例を示すものであり、畳や絨毯，カーペッ
ト等の床面に配置して座った状態で使用する回転式の椅
子を示す。

【００１１】この座椅子形式の回転式椅子は、床面に配
する座部支持体１と、この座部支持体１の上部に回転自
在に軸支された座部２とで構成されており、座部支持体
１は金属パイプを曲げ加工して矩形リング型に形成した
台輪部分３と、この台輪部分３の内側に溶接で固着した
金属パイプからなる２本の平行した座部受け体４が設け
られている。

【００１２】上記台輪部分３は、金属パイプを矩形リン
グ型に曲げ加工してエンドレス形状に接合させて形成す
るものであるが、特に本実施例では、金属パイプの接合
部分５を断面形状が偏平な楕円形状になるように下面側
（床面に接する側）を若干窪ませて形成してある。

【００１３】すなわち、この台輪部分３における金属パ
イプの接合部分５は、金属パイプの端面同士が完全に合
致させることは困難であり端面同士に若干のズレが発生
して僅かではあるが段違いを生じて、畳表や絨毯，カー
ペット等の表面を擦って傷付ける場合があり、このよう
な金属パイプの接合部分５における床仕上げ材の表面の
傷を防止させる目的で該接合部分５を偏平な楕円形状な
るように下面側を若干窪むように絞り成形している。

【００１４】したがって、この接合部分５の窪みによっ
て金属パイプの接合部分で畳表や絨毯，カーペット等の
表面を擦って傷付ける恐れがなくなり、安心して使用で
きるものである。

【００１５】また、この台輪部分３の内側に設けた金属
パイプからなる２本の平行した座部受け体４の中央部に
は、鋼板の中央部を下方に向かって絞り加工によって円
筒型の筒状に突設してなる固定軸筒部７を有する軸受具
８を、その平面部６を溶接して固着されている。

【００１６】上記固定軸筒部部７は、直径が３〜８cmの
円筒型に形成してあり、後述する軸体および樹脂製筒体
が嵌入可能な直径で軸受具８に一体に形成されている。

【００１７】上記座部支持体１の上方に回転自在に軸支
されている座部２は、一例として背もたれ付きの座部を
設けてあり、座部２の内部にはクッション材と共に合板
などの台板（図示せず）が配設されており、該座部２の
下面中央部に円筒形の軸筒10を一体に設けた鋼板製の座
部回転板９が固定されている。

【００１８】この、座部回転板９は、図３，図４に示す
如く、その中央部下面側に上記円筒形の軸筒10の上端が
溶接などによって一体に設けてあり、該軸筒10の外周に
ナイロン等の樹脂成形体からなる樹脂製筒体13が嵌着さ
れている。

【００１９】また、上記座部回転板９は、軸筒10の周辺
に連続した平面部11の四隅部にネジ固定するネジ孔12が
設けてあり、該ネジ孔12を通して座部２の内部に配設し
た台板（図示せず）下面にネジ固定されている。

【００２０】上記樹脂製筒体13の上端外周面にはフラン
ジ部14が設けてあり、該フランジ部14の上端面には周溝
14a が凹設されている。また、上記樹脂製筒体13の胴部
外周面数カ所には縦溝15が形成されている。

【００２１】この樹脂製筒体13は、その内径が前記軸筒
10の外径と略同一寸法にして形成されており、その外径
が先に述べた座部支持体１の軸受具８の固定軸筒部７の
内径と略同一寸法にして形成されている。

【００２２】従って、樹脂製筒体13を軸筒10の外周に嵌
着させ、該樹脂製筒体13を介して軸受具８の固定軸筒部
７に嵌入させると、樹脂性筒体13のフランジ部14が座部
回転板９の平面部11の下面と軸受具８の平面部上面の間
に介在されるとともに、軸筒10と固定軸筒部７との間に
樹脂製筒体13の胴部が介在して座部回転板９と軸受具８
の両者が直接接触するのを防止している。また、上記樹
脂製筒体13の縦溝15は固定軸筒部７の内周面との接触面
積を少なくして、樹脂製筒体13の外周面を滑りやすくし
て軸筒10および樹脂製筒体13が固定軸筒部７の中でスム
ーズに回転できるように構成されている。

【００２３】上記座部回転板９の軸筒10は前記固定軸筒
部７の長さよりも若干長く形成されてあり、、図３に示
す如く樹脂製筒体13を介して軸受具８の固定軸筒部７に
嵌入した時に、固定軸筒部７の開口下端から突出する下
端部を外側に拡径、屈曲させることによって抜け止め係
止部16を一体に形成してある。この抜け止め係止部16
は、座部回転板９を軸受具８に接合して軸筒10が抜け出
るのを防止するものである。

【００２４】従って、上記軸筒10が樹脂製筒体13を包み
込んだ状態で固定軸筒部７の内部で回転して座部２の回
転をスムーズにするとともに、抜け止め係止部16によっ
て軸筒10の下端部の変形や抜け落ちを防止しており、図
３および図５に示すように軸筒10，樹脂製筒体13，固定
軸筒部７の３者が一体になって組み合わせられた回転軸
受構造を構成するようになり、座部回転板９が固着され
た座部２の回転に際して軸筒10のガタツキや摩擦音の発
生が防止されて安定した回転性能が発揮されるものであ
る。

【００２５】以上の実施例では、軸受構造全体の形状を
円筒型にして形成した場合を示したが、固定軸筒部７、
樹脂製筒体13、軸筒10の３者を下端に向かって徐々に小
径となる逆円錐台の形状にしてもよい。また、固定軸筒
部７に対する可動軸筒10の抜け止め構造としては、これ
らの固定軸筒部７と軸筒10との下端を有底に形成し、固
定軸筒部７の底部中央と該底部上に近接する軸筒10の底
部中央とを螺子等によって回転可能に連結した構造とし
ておいてもよい。

【００２６】また、以上の実施例では座椅子の構成にし
て、回転式の椅子を構成した場合を示したが実施例にお
ける台輪部分３を、４本あるいは３本等の脚体に代えて
構成することで脚付きの回転式椅子として形成してもよ
い。

【００２７】

【考案の効果】以上のように本考案は、座部支持体１上
に座部２を回転自在に軸支してなる回転式椅子におい
て、上記座部２の下面中央部には、軸筒10を下方に向か
って一体的に突設してなる座部回転板９か固定されてい
ると共に、該座部回転板９の軸筒10外周に樹脂製筒体13
が被嵌され、上記軸筒10が座部支持体１の上面中央部に
固定された軸受具８の固定軸筒部７に前記樹脂製筒体13
を介して回転自在に嵌入され、かつ上記軸筒10と固定軸
筒部７とが抜け止めされていることを特徴とする回転式
椅子であるので、軸受部がボルトとナットの螺合による
接合のようにネジの緩み等によるグラツキが全く生じな
い構造とすることができる。

【００２８】また、軸筒10の外周に樹脂製筒体13を被嵌
し、この樹脂製筒体13を介して軸筒10を固定軸筒部７内
に回転自在に嵌入した構造であるので、組立、製造が簡
単に行えるのは勿論、軸筒10の回転がスムーズであると
共に回転に伴う摩擦音の発生がなく使用感に優れてい
る。

【００２９】また、軸筒10は座部回転板９に一体に設け
てあるので、座部２を傾ける方向に付勢しても軸筒10が
変形し難く安定しているものであり、しかもこの軸筒10
を円筒型や円錐台形状の筒状に形成しておくことで、軸
受構造全体の太さを大きくして座部２の安定性をさらに
良好にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の回転式椅子の座椅子に適用した場合の
一実施例を示す側面図、

【図２】回転式椅子の座部支持体の部分を説明する斜視
図、

【図３】回転式椅子の回転軸部分を説明する一部拡大断
面図、

【図４】回転式椅子の回転軸部分の構成を説明する分解
斜視図、

【図５】回転式椅子の回転軸部分の構成を説明する下面
側からみた斜視図、

【図６】従来の回転式椅子を示す側面図、

【図７】図６における回転軸部分を説明する部分拡大側
面図。

【符号の説明】

１ 座部支持体 ２ 座部 ７ 固定軸筒部 ８ 軸受具 ９ 座部回転板 10 軸筒 13 樹脂製筒体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 座部支持体１上に座部２を回転自在に軸
   支してなる回転式椅子において、上記座部２の下面中央
   部には、軸筒10を下方に向かって一体的に突設してなる
   座部回転板９か固定されていると共に、該座部回転板９
   の軸筒10外周に樹脂製筒体13が被嵌され、上記軸筒10が
   座部支持体１の上面中央部に固定された軸受具８の固定
   軸筒部７に前記樹脂製筒体13を介して回転自在に嵌入さ
   れ、かつ上記軸筒10と固定軸筒部７とが抜け止めされて
   いることを特徴とする回転式椅子。