JPH07134179A - 車間距離計測装置およびこれを搭載した車両 - Google Patents

車間距離計測装置およびこれを搭載した車両

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JPH07134179A
JPH07134179A JP6052512A JP5251294A JPH07134179A JP H07134179 A JPH07134179 A JP H07134179A JP 6052512 A JP6052512 A JP 6052512A JP 5251294 A JP5251294 A JP 5251294A JP H07134179 A JPH07134179 A JP H07134179A
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Satoru Arita
悟 有田
Yoshiro Tasaka
吉朗 田坂
Masato Yoshida
眞人 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自車線上を走行する先行車両との車間距離を
計測する。 【構成】 レーザ光が所定の計測角度範囲わたって間欠
的に自車両の前方に投射され,被検出物体による反射光
が受光される。レーザ光の投光からその反射光の受光ま
で時間間隔が計測され,この時間間隔に基づいて被検出
物体までの距離が算出される。被検出物体までの距離,
レーザ光が投射された掃引角度に基づいて被検出物体の
相対位置が算出され,被検出物体の移動ベクトルが算出
される。被検出物体の移動ベクトルと自車両の車速に基
づいて,路側リフレクタと先行車両とが識別される。路
側リフレクタの相対位置に基づいて路側の形状が認識さ
れる。先行車両から路側までの距離,先行車両の相対位
置および移動ベクトルならびに相対位置のみおよびのそ
れぞれに基づいて,先行車両の走行車線が判定される。
自車線の先行車両までの距離で最小の距離が車間距離と
して出力される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】この発明は,先行車両との車間距離を計測
する車間距離計測装置およびこれを搭載した車両に関す
る。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来,先行する車両との車間
距離を検出する車間距離検出装置が特開昭61-23985号公
報に記載されている。この車間距離検出装置は,電磁波
を放射して前方の反射物体によって反射された反射波を
受信して反射物体を検出し,この反射物体から路側の左
右両方に設けられた路側リフレクタと,先行する車両と
を識別する。路側の左右両方の路側リフレクタの角度
(位置)に基づいて,自車両および先行車両がどの車線
を走行しているかを判別する。自車両と同一車線を走行
している先行車両との車間距離を出力する。
【0003】しかしながら,このような従来の車間距離
検出装置においては,路側の左右両方の路側リフレクタ
を検出しなければならず,路側の左右のいずれか一方に
だけ路側リフレクタが設けられている場合,または他の
車両の陰になって片側の路側リフレクタが検出できない
場合には,先行車両の車線を正確に識別できない。
【0004】また,カーブを走行している場合には,先
行車両が走行している車線の判別を自車両の操舵角に基
づいて補正しなければならない。
【0005】
【発明の開示】この発明は,自車両と同一車線上を走行
する先行車両との車間距離を計測する車間距離計測装置
を提供することを目的としている。
【0006】この発明による車間距離計測装置は車両に
搭載される。この車間距離計測装置が搭載された車両を
自車両という。
【0007】この発明による車間距離計測装置は,レー
ザ光を所定の計測角度範囲において一定角度間隔毎に一
定時間間隔で投光するとともに,レーザ光の投光時点を
表す投光タイミング信号と,投光角度を表す掃引角度信
号とを出力する投光手段,上記投光手段から投光された
レーザ光の被検出物体からの反射光を受光し,反射光を
受光した時点を表す受光タイミング信号を出力する受光
手段,上記投光手段からの投光タイミング信号と,上記
受光手段からの受光タイミング信号との時間間隔に基づ
いて,被検出物体までの距離を算出する距離算出手段,
ならびに上記距離算出手段によって算出された被検出物
体までの距離と,上記投光手段から得られる掃引角度信
号とに基づいて被検出物体の相対位置を算出し,同一の
被検出物体について算出された時間を異にする2つの相
対位置に基づいてその被検出物体の移動ベクトルを算出
し,被検出物体の移動ベクトルに基づいてその被検出物
体が路側リフレクタであるか,または車両であるかを識
別し,路側リフレクタと識別された被検出物体のうち路
側の左右のいずれか片側の路側リフレクタであると識別
された被検出物体の相対位置に基づいて路側形状を認識
し,認識した路側形状に基づいて車両と識別した被検出
物体について,その車両が走行している車線を判定し,
同一車線を走行する車両までの距離が最小のものを車間
距離として出力する信号処理手段を備えている。
【0008】この発明によると,レーザ光が所定の計測
角度範囲に投光されて被検出物体の相対位置が検出さ
れ,その被検出物体の移動ベクトルが算出される。この
被検出物体の移動ベクトルに基づいて,路側リフレクタ
と車両が識別される。識別した路側リフレクタの中で片
側の路側リフレクタを用いて路側形状が認識され,認識
した路側形状によって車両が走行する車線が判定され
る。車両が同一車線上にあると判定されると,その車両
と距離が最小のものの車間距離が出力される。
【0009】したがって,路側に設けられた路側リフレ
クタのうち,左右いずれか片側の路側リフレクタが検出
できると,その路側リフレクタの位置に基づいて路側形
状を認識することによって先行する車両の走行車線が判
定できる。これによって,自車両と同一車線上を走行す
る車両の車間距離を計測することができる。
【0010】また,路側形状を認識して車両が走行する
車線を判定するので,カーブにおける補正も必要なくな
る。
【0011】より一般的に規定すると,この発明による
車間距離計測装置は,レーザ光を所定の計測角度範囲に
わたって一定角度間隔毎に一定時間間隔で投光するとと
もに,レーザ光の投光時点を表す投光タイミング信号
と,投光角度を表す掃引角度信号とを出力する投光手
段,上記投光手段から投光されたレーザ光の被検出物体
からの反射光を受光し,反射光を受光した時点を表す受
光タイミング信号を出力する受光手段,上記投光手段か
ら与えられる投光タイミング信号と,上記受光手段から
与えられる受光タイミング信号との時間間隔に基づい
て,被検出物体までの距離を算出する距離算出手段,自
車両の車速を検出する車速検出手段,上記距離算出手段
によって算出された被検出物体までの距離と,上記投光
手段から与えられる掃引角度信号とに基づいて,被検出
物体の相対位置を算出する相対位置算出手段,少なくと
も上記相対位置算出手段によって算出された相対位置に
基づいて,被検出物体が自車線上の先行車両であるかど
うかを判定する車線判定手段,ならびに上記車線判定手
段によって自車線上の先行車両であると判定された被検
出物体のなかで,相対位置が最小のものとの距離を車間
距離として出力する車間距離出力手段を備えている。
【0012】この発明によると,レーザ光が所定の計測
角度範囲に投光されて被検出物体が検出される。被検出
物体はたとえば,乗用車,バス,トラック等の一般の四
輪以上の車両,二輪車等に取付けられた車両リフレク
タ,および路側に設けられた路側リフレクタである。検
出された被検出物体までの距離および掃引角度信号に基
づいて,その相対位置が算出され,さらに必要ならば移
動ベクトルが算出される。
【0013】さらに必要に応じて被検出物体の移動ベク
トルと自車両の車速とに基づいて路側リフレクタが検出
される。検出された路側リフレクタが道路の左側に設け
られたもののグループと,道路の右側に設けられたもの
のグループとに分けられる。路側リフレクタの属する数
が多いグループの路側リフレクタの相対位置に基づいて
路側形状が認識される。路側形状は直線または円に認識
される。
【0014】この発明の第1の実施態様においては,上
記車線判定手段は,各被検出物体について,自車両から
上記路側形状によって表される路側までの距離と,被検
出物体から上記路側形状によって表される路側までの距
離とに基づいて,被検出物体が自車線上の先行車両であ
るかどうかを判定するものである。
【0015】この発明の第2の実施態様においては,上
記車線判定手段は,各被検出物体について,被検出物体
の相対位置および移動ベクトルに基づいて,被検出物体
が自車線上の先行車両であるかどうかを判定するもので
ある。
【0016】この発明の第3の実施態様においては,上
記車線判定手段は,各被検出物体について,被検出物体
の相対位置に基づいて,被検出物体が自車線上の先行車
両であるかどうかを判定するものである。
【0017】この発明の第4の実施態様においては,各
被検出物体について,自車両から上記路側形状によって
表される路側までの距離と,被検出物体から上記路側形
状によって表される路側までの距離とに基づいて,上記
被検出物体が自車線上に存在する度合いを表す第1の自
車線存在度および他車線上に存在する度合いを表す第1
の他車線存在度を算出する第1の評価手段がさらに設け
られる。上記車線判定手段は,上記第1の評価手段によ
って算出された少なくとも第1の自車線存在度に基づい
て,被検出物体が自車線上の先行車両であるかどうかを
判定するものとして実現される。
【0018】この発明による第5の実施態様おいては,
各被検出物体について,被検出物体の相対位置および移
動ベクトルに基づいて,上記被検出物体が自車線上に存
在する度合いを表す第2の自車線存在度および他車線上
に存在する度合いを表す第2の他車線存在度を算出する
第2の評価手段がさらに設けられる。上記車線判定手段
は,上記第2の評価手段によって算出された少なくとも
第2の自車線存在度に基づいて,被検出物体が自車線上
の先行車両であるかどうかを判定するものとして実現さ
れる。
【0019】この発明の第6の実施態様においては,各
被検出物体について,被検出物体の相対位置に基づい
て,上記被検出物体が自車線上に存在する度合いを表す
第3の自車線存在度および他車線上に存在する度合いを
表す第3の他車線存在度を算出する第3の評価手段がさ
らに設けられる。上記車線判定手段は,上記第3の評価
手段によって算出された少なくとも第3の自車線存在度
に基づいて,被検出物体が自車線上の先行車両であるか
どうかを判定するものとして実現される。
【0020】この発明の第7の実施態様おいては,各被
検出物体について,自車両から上記路側形状によって表
される路側までの距離と,被検出物体から上記路側形状
によって表される路側までの距離とに基づいて,上記被
検出物体が自車線上に存在する度合いを表す第1の自車
線存在度および他車線上に存在する度合いを表す第1の
他車線存在度を算出する第1の評価手段,各被検出物体
について,被検出物体の相対位置および移動ベクトルに
基づいて,上記被検出物体が自車線上に存在する度合い
を表す第2の自車線存在度および他車線上に存在する度
合いを表す第2の他車線存在度を算出する第2の評価手
段,ならびに各被検出物体について,被検出物体の相対
位置に基づいて,上記被検出物体が自車線上に存在する
度合いを表す第3の自車線存在度および他車線上に存在
する度合いを表す第3の他車線存在度を算出する第3の
評価手段がさらに設けられる。上記車線判定手段は,各
被検出物体について,第1,第2および第3の自車線存
在度および第1,第2および第3の他車線存在度のそれ
ぞれの総和を算出し,自車線存在度の総和が他車線存在
度の総和よりも大きい被検出物体を自車線上の先行車両
であると判定するものとして実現される。
【0021】第1の実施態様および第4の実施態様によ
ると,道路の路側に設けられた路側リフレクタのうち,
左右いずれか片側の路側に設けられた路側リフレクタが
検出できれば,その路側リフレクタの相対位置に基づい
て路側形状が認識できる。路側形状が認識されることに
よって,被検出物体(先行車両)から路側形状によって
表される路側までの距離を算出することができる。さら
にこの路側までの距離に基づいて被検出物体(先行車
両)の走行車線の評価を行うことができる。
【0022】また,被検出物体(先行車両)の走行車線
を,被検出物体(先行車両)から路側までの距離に基づ
いて走行車線を判断しているので,従来のように道路が
カーブしているときの操舵角による補正を行う必要がな
い。
【0023】被検出物体から路側までの距離による走行
車線の評価に代えて,または加えて,被検出物体の相対
位置および移動ベクトルに基づいて走行車線の評価も行
うようにすると(第2,第5,第7の実施態様),より
信頼性の高い走行車線の判定を行うことができる。さら
に,被検出物体の相対位置のみに基づく評価が加味され
ると(第3,第6,第7の実施態様),仮に路側リフレ
クタを検出できない場合であっても,先行車両の走行車
線を判別することができる。
【0024】この発明による第8の実施態様において
は,上記相対位置算出手段は,相対位置を算出した被検
出物体が同一の被検出物体からの反射光に依るものであ
るかどうかを検査する同一性識別を行い,この同一性識
別によって同一であると判定された被検出物体をまとめ
て1個の被検出物体とし,まとめた1個の被検出物体に
ついて相対位置を算出し直すものである。
【0025】第8の実施態様によると,同一の被検出物
体から複数の反射光が検出されたとしても,同一性識別
によりそれらが1個の被検出物体にまとめられるので,
同一の被検出物体を複数の被検出物体として扱われなく
なる。
【0026】この発明による第9の実施態様において
は,各被検出物体について,一の被検出物体および他の
被検出物体の相対位置と移動ベクトルが,車両である関
係を表すペア条件を満たすかどうかを検査し,上記ペア
条件を満たす2個の被検出物体が存在すれば,それらを
1個の被検出物体にまとめる車両識別手段がさらに設け
られる。
【0027】第9の実施態様によると,車両に取付けら
れた2個のリフレクタが1個の被検出物体にまとめられ
るので,1台の車両を2台の先行車両として扱われなく
なる。
【0028】第1,第4および第7の実施態様において
好ましくは,上記路側形状認識手段は,各被検出物体に
ついて,上記移動ベクトル算出手段によって算出された
移動ベクトルおよび上記車速検出手段によって検出され
た車速に基づいて,道路の路側に設けられた路側リフレ
クタを検出し,検出した路側リフレクタを道路の右側に
設けられたものの属するグループと,道路の左側に設け
られたものの属するグループとに分け,属する数が多い
グループの路側リフレクタの相対位置に基づいて路側形
状を認識するものである。
【0029】第1,第4および第7の実施態様において
さらに好ましくは,上記路側形状認識手段は,次の2種
類のいずれかの方法によって,路側リフレクタを道路の
右側に設けられたものの属するグループと,道路の左側
に設けられたものの属するグループとに分けるものであ
る。
【0030】第1の方法は,路側リフレクタの相対位置
および移動ベクトルに基づく移動方向によって,路側リ
フレクタを道路の右側に設けられたものの属するグルー
プと,道路の左側に設けられたものの属するグループと
に分けるものである。
【0031】第2の方法は,路側リフレクタの相対位置
および移動ベクトルに基づく相対的な動きによって,路
側リフレクタを道路の右側に設けられたものの属するグ
ループと,道路の左側に設けられたものの属するグルー
プとに分けるものである。
【0032】したがって,第1または第2の方法によ
り,路側リフレクタを正確にグループ分けすることがで
きる。
【0033】第7の実施態様において好ましくは,上記
路側形状認識手段は,認識した路側形状が適切であるか
どうかの信頼性の評価をさらに行うものであり,上記第
1の評価手段は,上記路側形状認識手段によって認識さ
れた路側形状の信頼性がない場合,すべての被検出物体
について自車線存在度および他車線存在度を算出しない
ものである。
【0034】路側形状認識手段によって認識された路側
形状について信頼性の評価が行われることにより,路側
形状が正しいかどうかが判断できる。認識された路側形
状が信頼性がない場合,第1の評価手段は被検出物体か
ら路側までの距離に基づく評価を行わないので,車線判
定手段は第1の評価手段による信頼性のない評価結果を
考慮せず,その他の第2の評価手段または第3の評価手
段の評価結果を用いて,被検出物体(先行車両)の走行
車線の判定を正確に行うことができる。
【0035】第7の実施態様において好ましくは,上記
第2の評価手段は,被検出物体の移動ベクトルが所定の
閾値以下であるとき,その被検出物体については第2の
自車線存在度および第2の他車線存在度を算出しないも
のである。
【0036】自車両と先行車両との車間距離がほぼ一定
の場合,その先行車両の移動ベクトルの大きさは小さく
なる。第2の評価手段は移動ベクトルの大きさが小さい
ときには被検出物体の正確な評価を行うことができない
ことがある。このため,第2の評価手段は移動ベクトル
の大きさが小さい被検出物体(先行車両)については評
価を行わない。車線判定手段は第2の評価手段による不
正確な評価結果を考慮せず,その他の第1の評価手段ま
たは第3の評価手段の評価結果を用いて,その被検出物
体(先行車両)の走行車線の判定を正確に行うことがで
きる。
【0037】第6および第7の実施態様において好まし
くは,上記第3の評価手段は,自車両の前方の近距離に
ある被検出物体の第3の自車線存在度を高し,自車両か
ら遠方にいくほどおよび側方にいくほど上記第3の自車
線存在度を低くするものである。
【0038】したがって,第1の評価手段は認識された
路側形状の信頼性がないため被検出物体(先行車両)か
ら路側までの距離による被検出物体(先行車両)の走行
車線の評価を行えないことがある。また第2の評価手段
は被検出物体(先行車両)の移動ベクトルの大きさが小
さいためその被検出物体について走行車線の評価を正確
に行えないことがある。このようなことがあっても,先
行車両が被検出物体として検出できれば,第3の評価手
段を用いることによって自車線上の近距離に存在する先
行車両は必ず検出することができ,その先行車両までの
車間距離を計測できる。
【0039】
【実施例の説明】
目次 1 概要 2 ハードウェア構成 3 車間距離計測(信号処理装置)の詳細説明 3.1 対データと車速データの収集 3.2 被検出物体の相対位置算出 3.2.1 被検出物体の相対位置の座標変換 3.2.2 被検出物体の同一性識別 3.3 被検出物体の移動ベクトル算出 3.4 車両および路側リフレクタの識別 3.4.1 車両の識別 3.4.2 路側リフレクタの識別 3.5 路側リフレクタのクラスタリング 3.5.1 路側リフレクタの相対位置および移動ベクトルに
基づく路側リフレクタのクラスタリング(その1) 3.5.2 路側リフレクタの相対位置および移動ベクトルに
基づく路側リフレクタのクラスタリング(その2) 3.6 路側形状の認識とその信頼性評価 3.6.1 路側形状の認識 3.6.2 路側形状の信頼性評価 3.7 先行車両から路側までの距離による先行車両の走
行車線の評価 3.8 先行車両の相対位置および移動ベクトルによる先
行車両の走行車線の評価 3.9 先行車両の相対位置のみによる先行車両の走行車
線の評価 3.10 先行車両の走行車線の総合判定 3.11 車間距離の出力
【0040】1 概要
【0041】図1は3台の車両が道路上を走行している
様子を示す。センタ・ラインCの片側の道路のみ図示さ
れ,この道路は片側2車線である。これらの車線を符号
L1,L2で示す。
【0042】車両1および車両2は内側の車線L1上を
走行しており,車両3は外側の車線L2上を走行してい
る。路側にそって適当な間隔で多数のリフレクタRが設
けられている。路側に設けられたリフレクタRを以下単
に「路側リフレクタ」という。これらの路側リフレクタ
は後に詳述するように路側を検出するために用いられ
る。
【0043】乗用車,バス,トラック等の一般に四輪以
上の車両(以下,単に「車両」という)には,その後部
の両端部(尾燈が取付けられている箇所付近)に各1個
ずつ合計2個のリフレクタが取付けられている。二輪車
には1個のリフレクタが取付けられている。車両および
二輪車に取付けられたリフレクタを以下単に「車両リフ
レクタ」という。これらの車両リフレクタは後に詳述す
るように車両および二輪車の存在を検出するために用い
られる。車両と二輪車とを含めて車両ということもあ
る。特に二輪車について言及するときには,車両ではな
く二輪車という用語を用いる。
【0044】路側リフレクタおよび車両リフレクタは再
帰反射板といわれるもので,反射方向が入射方向とほぼ
同じであるという性質をもつ。
【0045】車間距離計測装置10は車両に搭載される。
この車間距離計測装置10が搭載された車両を「自車両」
という。自車両の走行車線を「自車線」といい,自車線
以外の車線を「他車線」という。自車両の前方に存在す
る車両を,自車線,他車線を問わず,かつ二輪車等を含
めて,「先行車両」という。
【0046】この実施例においては,車両1に車間距離
計測装置10が搭載されているものとする。自車両である
車両1と,自車線上に存在する先行車両である車両2と
の車間距離計測を行う場合について以下に説明する。
【0047】車間距離計測装置10は自車両の前方に向か
ってパルス状のレーザ光を投射する。このレーザ光は所
定の計測角度範囲にわたって掃引される。レーザ光は上
記計測角度範囲内において一定の角度間隔で投射される
ことになる。
【0048】たとえば,計測角度範囲は 200[mrad]であ
り,自車両の走行方向の左右にそれぞれ 100[mrad]の広
がりをもつ。また,この計測角度範囲は等角度間隔で80
分割され,この角度間隔ごとにレーザ光が投射される。
レーザ光は 2.5[mrad]の角度間隔で投射されることにな
る。
【0049】車間距離計測装置10から投射されたレーザ
光は,路側リフレクタR,または先行車両(車両2およ
び車両3)に取付けられた車両リフレクタで反射して車
間距離計測装置10に戻る。車間距離計測装置10は,この
反射光に基づいて路側リフレクタRと先行車両(車両2
および車両3)の車両リフレクタとを被検出物体として
検出する。
【0050】後に詳述するように検出された被検出物体
の相対位置(自車両(車両1)を基準とした位置)が算
出される。異なる時点において2回以上にわたって求め
られた被検出物体の相対位置に基づいて,その被検出物
体の移動ベクトルが算出される。被検出物体の相対位置
とその移動ベクトルとに基づいて車両(車両2および車
両3)が識別される。また被検出物体の移動ベクトルに
基づいて路側リフレクタRが識別される。
【0051】路側リフレクタであると判定された被検出
物体の相対位置に基づいて路側形状が認識される。検出
された被検出物体のすべて(路側リフレクタを含む)に
ついて,それぞれの被検出物体から,認識された路側形
状に基づく路側までの距離(以下,「路側までの距離」
という)(車両1の走行方向に垂直な方向の距離)が算
出される。検出された被検出物体のすべてについて,被
検出物体から路側までの距離,被検出物体の相対位置お
よび移動ベクトル,ならびに被検出物体の相対位置のそ
れぞれに基づいて,先行車両(車両2および車両3)の
走行車線を判別するための評価が行われる。これらの評
価結果に基づいて総合的に,車両1(自車両)の自車線
上を走行している先行車両が車両2であることが判定さ
れる。
【0052】このようにして,判定された自車線上を走
行する先行車両2と,車両1(自車両)との距離が車間
距離となる。自車線上を走行する先行車両が複数台存在
する場合には,それらの先行車両との距離の最小のもの
が車間距離として出力される。
【0053】2 ハードウェア構成
【0054】図2は,車間距離計測装置10の電気的構成
を示すブロック図である。車間距離計測装置10は,投光
器11,レーザ光掃引装置12,掃引角度検出装置13,受光
器14,距離算出装置15,車速センサ16,警報装置17,ア
クチュエータ18および信号処理装置19からなる。
【0055】投光器11は,パルス状のレーザ光を一定の
時間間隔で繰り返して投光するとともに,レーザ光を発
光した時点を表す投光タイミング信号を出力する。投光
器11にはたとえば,半導体レーザ発光装置が装置の小型
化,駆動の高速化の点で適当である。投光タイミング信
号は投光器11から距離算出装置15に与えられる。
【0056】たとえば,レーザ光を投光する時間間隔
は,計測可能な距離が150[m]であるとすると,この距離
をレーザ光が往復に要する時間,すなわち,(150[m]×
2)/(3×108[m/s])=1 [μs],またはそれ以上の
時間である。
【0057】レーザ光掃引装置12は,投光器11が投光し
たレーザ光を計測角度範囲内で掃引する。レーザ光は,
一定角度間隔(上述した等角度間隔)で投光時間間隔ご
とに放射状に前方に向かって投射されることになる。レ
ーザ光掃引装置12は所定周期でその角度を振動的に変化
させるレーザ光反射ミラーがレーザ光を広げにくい点で
適当である。レーザ光が投射された角度を表す掃引角度
位置信号は,レーザ光掃引装置12から掃引角度検出装置
13に与えられる。
【0058】掃引角度検出装置13は,レーザ光掃引装置
12から与えられる掃引角度位置信号に基づいてレーザ光
が投射された掃引角度θ(車両1の走行方向に垂直な方
向を基準とする)を算出する。算出された掃引角度θを
表すデータは,掃引角度検出装置13から信号処理装置19
に与えられる。
【0059】レーザ掃引装置12から投射されたレーザ光
は被検出物体(上述の路側リフレクタまたは車両リフレ
クタ)によって反射され,その反射光が受光器14によっ
て受光される。
【0060】受光器14は,被検出物体によって反射され
た反射光を受光すると,その反射光を受光した時点を表
す受光タイミング信号を出力する。反射光は,レーザ光
掃引装置12からレーザ光が投射されてから次のレーザ光
が投射されるまでの間に受光される。受光タイミング信
号は,受光器14から距離算出装置15に与えられる。受光
器14は,受光素子(たとえば,フォトダイオード,フォ
トトランジスタ等)に入射した反射光を電気的信号に変
換し,この信号が所定の閾値以上のとき受光タイミング
信号を出力する。閾値処理を行うことでノイズ除去され
る。
【0061】距離算出装置15は,投光器11から与えられ
る投光タイミング信号の入力時点から,受光器12から与
えられる受光タイミング信号の入力時点までの時間間隔
を計測して被検出物体までの距離dを算出する。算出さ
れた被検出物体までの距離dを表すデータは,距離算出
装置15から信号処理装置19に与えられる。
【0062】車速センサ16は,車速v(車間距離計測装
置10が搭載された車両1の車速)を検出する。車速vを
表すデータは,車速センサ16から信号処理装置19に与え
られる。
【0063】信号処理装置19は,掃引角度検出装置13か
ら与えられる掃引角度θ,距離算出装置15から与えられ
る被検出物体までの距離dおよび車速センサ16から与え
られる車速vに基づいて,後述する先行車両との車間距
離の算出,その他の処理を行う。
【0064】信号処理装置19はまた,自車線の先行車両
までの車間距離,その移動ベクトル,車速等に基づいて
危険度を算出し,この危険度に基づいて警報信号を出力
するとともに,追突事故を回避するためのアクチュエー
タ(ブレーキやスロットル・バルブ等)に与えるべき操
作量を決定して出力する。
【0065】たとえば,先行車両までの車間距離が短い
ときにはその先行車両に追突する危険性が高い。このよ
うな場合,警報信号が警報装置17に出力され,減速また
は停止するための操作量がアクチュエータ18に与えられ
る。
【0066】警報装置17は,信号処理装置19から与えら
れる警報信号に応答して警報を鳴らす。これによって上
述のような先行車両と追突する危険を自車両の運転手に
知らせることができる。
【0067】アクチュエータ18は,信号処理装置19から
与えられる操作量に基づいて車両を制動する,燃料の供
給を断つ等の動作を行う。
【0068】3 車間距離計測(信号処理装置)の詳細
説明
【0069】図3および図4は,信号処理装置19におけ
る車間距離計測の1処理サイクルの処理手順を示すフロ
ー・チャートである。信号処理装置19は,コンピュータ
・システムと,それを動作させるためのソフトウェアと
によって実現することができる。
【0070】3.1 対データと車速データの収集(図
3;ステップ20)
【0071】1サイクル処理は,計測角度範囲にわたる
レーザ光の一掃引と同期している。計測角度範囲の一方
の端から他方の端まで(たとえば,左端から右端まで)
レーザ光が一方向に掃引され,レーザ光の1回の掃引に
よって被検出物体が検出される。この後,ステップ20〜
ステップ30の一連の処理が行われる。この一連の処理の
のち,再びレーザ光が他方向に計測角度範囲にわたって
掃引される。レーザ光の掃引と,その後の一連の処理は
掃引一定時間間隔ごとに繰返し行われる。レーザ光の一
回の掃引と図3および図4に示す一連の処理が行われる
時間を,処理サイクル時間間隔T[s] という。たとえ
ば,処理サイクル時間間隔TはT=0.1[s]である。
【0072】第k回目のレーザ光の掃引によって検出さ
れた被検出物体について行う信号処理装置19の処理を今
回の処理サイクルkとして以下に説明する。
【0073】レーザ光が投射されるごとに掃引角度検出
装置13は,検出した掃引角度θを信号処理装置19に与え
る。また距離算出装置15は,被検出物体(もしあれば)
までの距離dを算出し,信号処理装置19に与える。信号
処理装置19は,これらの掃引角度θと距離dとを対デー
タとしてメモリの対データ記憶エリアに記憶する。
【0074】図5は,メモリの対データ記憶エリアに記
憶された対データの一例を示す。一掃引周期にレーザ光
が80回投射されたとすると,最大80対のデータがメモリ
の対データ記憶エリアに記憶されることになる。対デー
タはその検出順番iに対応してメモリの対データ記憶エ
リアに記憶される。図5では,11個の対データが記憶さ
れている。
【0075】また,車速センサ16は,検出した自車両の
車速vを信号処理装置19に与える。信号処理装置19は,
この車速vをレーザ光の一回の掃引について1個だけ,
所定のタイミング(たとえば,レーザ光の掃引中または
その前もしくは後)で車速vを表すデータを取込み,車
速データ記憶エリアに記憶する。メモリの車速データ記
憶エリアに記憶された車速を表すデータを,車速vk と
する。たとえば,車速vk はvk =21[m/s] (=75[km/
h])である。
【0076】3.2 被検出物体の相対位置算出(図3;
ステップ21)
【0077】3.2.1 被検出物体の相対位置の座標変換
【0078】レーザ光の掃引によって検出された被検出
物体の距離dおよび掃引角度θは極座標系で表されてい
る。この極座標系で表された被検出物体の相対位置を,
直交座標系による相対位置に座標変換する。
【0079】第i番目に検出された被検出物体OBk,i
についての対データをdk,i およびθk,i とする。この
対データdk,i およびθk,i に基づいて,被検出物体O
Bk,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )が算出され
る。被検出物体OBk,i までの距離dk,i および掃引角
度θk,i は極座標系で表されている。極座標系が直交座
標系に座標変換され,この直交座標系によって被検出物
体の相対位置が表される。被検出物体OBk,i の相対位
置Qk,i (xk,i ,yk,i )は,次式によって座標変換
される。
【0080】
【数1】 xk,i =dk,i ・cos θk,i …(1) yk,i =dk,i ・sin θk,i …(2)
【0081】図6(A) は被検出物体の検出位置を表す極
座標系を示す。図6(B) は,図6(A) に示す被検出物体
OBk,i の位置表示を式(1) および(2) にしたがって極
座標系から直交座標系に座標変換した図である。これら
の図において,車間距離計測装置10が搭載された車両1
の走行方向がY軸であり,水平面内でこれに直交する方
向がX軸およびθ=0の方向である。いずれの座標系に
おいても原点Oは車両1上にとられている。
【0082】図7は,座標変換処理を示すフロー・チャ
ートである。図7のフロー・チャートにおいて,Nk は
第k回目のレーザ光の掃引で検出された被検出物体OB
k,iの総数,すなわち,メモリの対データ記憶エリアに
記憶された対データの総数である。この相対位置算出処
理では,メモリの対データ記憶エリアに記憶された対デ
ータのすべてについて,座標変換が行われる。
【0083】iが1に初期化され(ステップ31),第1
番目の被検出物体OBk,1 の対データθk,1 およびdk,
1 がメモリの対データ記憶エリアから読出され,この第
1番目の被検出物体OBk,1 から座標変換が開始され
る。
【0084】図5に示す例では,第1番目の対データθ
k,1 =1668.3[mrad]およびdk,1 =48[m] が読出され
る。
【0085】メモリの対データ記憶エリアから読出され
た被検出物体OBk,i の対データθk,i およびdk,i に
ついて,上記式(1) および(2) にしたがって座標変換が
行われる(ステップ33)。
【0086】たとえば,i=1のとき,対データはθk,
1 =1668.3[mrad]およびdk,1 =48[m] であるから,式
(1) および(2) にしたがって座標変換すると,xk,1 =
48×cos 1.6683=-4.7,yk,1 =48×sin 1.6683=47.8
となる。座標変換された被検出物体OBk,i の相対位置
Qk,i (xk,i ,yk,i )を表すデータは,図8に示す
ように,メモリの相対位置データ一時記憶エリアに記憶
される。
【0087】iがインクリメントされ(ステップ34),
ステップ33に戻って,新たなiについてステップ33,34
の処理が繰返される。
【0088】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ33,34)が繰返され,i>Nk になれ
ば,検出された被検出物体OBk,i のすべてについて座
標変換が終了したことになる。(ステップ32)。
【0089】このようにして,図5に示す対データにつ
いて座標変換処理が行われると,図8に示すような直交
座標系における相対位置データが得られる。
【0090】3.2.2 被検出物体の同一性識別
【0091】1個のリフレクタから複数のデータ(被検
出物体OBk,i )が得られるときがある。たとえば,路
側リフレクタ,先行車両(車両リフレクタ)等が自車両
から近距離の位置に存在したときである。このため,複
数のデータが一定の範囲(後述する同一性識別ウインド
ウ)内に検出されると,それらの複数のデータを1つの
被検出物体によるものとして1個のデータにまとめるた
めの同一性識別処理が行れる。
【0092】上述のように計測角度範囲は 200[mrad]で
あり,この範囲内が等角度に80分割されるので,レーザ
光は 2.5[mrad]の角度間隔ごとに投射されることにな
る。自車両から10[m] 離れている位置においては,隣接
する2つのレーザ光の光路の間隔は 10[m]×sin(2.5[mr
ad])=0.025[m]=2.5[cm] になる。したがって,自車両
から 10[m]の位置に先行車両が存在すると,その先行車
両に取付けられている車両リフレクタが数cm程度であっ
ても,1個の車両リフレクタから2以上のデータが得ら
れることがある。
【0093】1個の被検出物体を常に1個の相対位置デ
ータで代表させるために被検出物体の同一性識別処理が
行れる。この同一性識別処理では,検出順番iにしたが
って被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i (xk,i ,y
k,i )を基準に同一性識別ウインドウが設定される。こ
の同一性識別ウインドウ内に次の被検出物体OBk,i+1
が存在すれば,これらの2つの被検出物体OBk,i と被
検出物体OBk,i+1 とは実際は同一のリフレクタである
と判定される。
【0094】同一性識別ウインドウは,図9に示すよう
に,2つの対角点,すなわち,始点G1 (x1G,y1G)
および終点G2 (x2G,y2G)によって表される矩形で
ある。始点G1 および終点G2 の各座標はそれぞれ,被
検出物体OBk,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )
に基づいて次式で表される。
【0095】
【数2】 x1G=xk,i …(3) y1G=yk,i +1 …(4) x2G=xk,i +0.5 …(5) y2G=yk,i −1 …(6)
【0096】設定された同一性識別ウインドウ内に次の
被検出物体OBk,i+1 が存在するかどうかが判断され
る。被検出物体OBk,i+1 が同一性識別ウインドウ内に
存在すれば,被検出物体OBk,i と被検出物体OBk,i+
1 とは同一のもの(同一のリフレクタ)であると判定さ
れる。
【0097】被検出物体OBk,i と被検出物体OBk,i+
1 とが同一であると判定されると,被検出物体OBk,i+
1 の相対位置Qk,i (xk,i+1 ,yk,i+1 )に基づい
て,再び同一性識別ウインドウが設定(更新)され,さ
らに次の被検出物体OBk,i+2がその新たな同一性識別
ウインドウ内に存在するかどうかが判断される。このよ
うにして,順次同一性識別ウインドウを更新しながら,
被検出物体OBk,i と順次隣りあう被検出物体OBk,i+
1 ,OBk,i+2 ,…が同一の被検出物体であるかどうか
の同一性識別処理が行われる。
【0098】同一であると判定された複数個の被検出物
体を1個の被検出物体にまとめる。このとき,1個にま
とめられた被検出物体の中心相対位置は次のようにして
算出される。
【0099】中心相対位置のx座標は,同一であると判
定された複数の被検出物体の中で両端に位置する被検出
物体の相対位置のx座標の中間値で表される。すなわ
ち,両端に位置する被検出物体の相対位置をそれぞれ,
(xk,L ,yk,L )および(xk,R ,yk,R )とする
と,中心相対位置のx座標xk,m は次式で表される。
【0100】
【数3】 xk,m =(xk,L +xk,R )/2 …(7)
【0101】また中心相対位置のy座標は,同一である
と判定された被検出物体置のすべての相対位置のy座標
の平均値で表される。すなわち,被検出物体の相対位置
を(xk,i ,yk,i )(i=L〜R)とし,同一である
と判定された被検出物体OBk,i の総数をND とする
と,中心相対位置のy座標yk,m は次式で表される。
【0102】
【数4】 yk,m =(Σyk,i )/ND …(8) ここで,Σはi=L〜RのNk 個のyk,i のすべてにつ
いての加算を表す。
【0103】図10および図11は,被検出物体の同一性識
別処理を示すフロー・チャートである。
【0104】iが1に初期化され(図10;ステップ3
6),第1番目の被検出物体OBk,1 の相対位置Qk,1
(xk,1 ,yk,1 )を表すデータがメモリの相対位置デ
ータ一時記憶エリアから読出される。この第1番目の被
検出物体OBk,1 から同一性識別処理が開始される。図
8に示す例では,相対位置Qk,1 (-4.7,47.8)が相対
位置データ一時記憶エリアから読出される。
【0105】同一性識別ウインドウが設定されているか
どうかが判断される(図10;ステップ38)。同一性識別
ウインドウが設定されていなければ(ステップ38でN
O),読込んだ被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i
(xk,i ,yk,i )に基づいて同一性識別ウインドウが
設定される(図10;ステップ43)。
【0106】この後,iがインクリメントされ(図10;
ステップ46),ステップ37を経てステップ38に再び戻
る。同一性識別ウインドウが設定されていない場合は,
最初に読込んだ被検出物体OBk,i すなわち,i=1の
場合のみである。i≧2の場合には既に同一性識別ウイ
ンドウが設定されていることになる。
【0107】ステップ38において,既に同一性識別ウイ
ンドウが設定されていれば(ステップ38でYES ),読込
んだ被検出物体OBk,i が同一性識別ウインドウ内に存
在するかどうかが判断される(図10;ステップ39)。
【0108】被検出物体OBk,i が同一性識別ウインド
ウ内に存在すると(ステップ39でYES ),その被検出物
体OBk,i と同一性識別ウインドウの基準となった被検
出物体OBk,i-1 とは同一の被検出物体であるとみなし
て,これらがメモリの一時登録エリアに記憶(登録)さ
れる(図10;ステップ44)。
【0109】図8に示す例では,被検出物体OBk,1 の
相対位置Qk,1 (-4.7,47.8)を基準にして同一性識別
ウインドウが設定されると,次の被検出物体OBk,2 の
相対位置Qk,2 (-4.6,47.8)が同一性識別ウインドウ
内に存在するから,被検出物体OBk,1 とOBk,2 とが
メモリの一時登録エリアに登録されることになる。
【0110】被検出物体OBk,i が登録されると,その
被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i
)を基準にして同一性識別ウインドウが更新される
(新たな同一性識別ウインドウが設定される)(図10;
ステップ45)。
【0111】ステップ39において,被検出物体OBk,i
が同一性識別ウインドウ内に存在しないと判定されると
(ステップ39でNO),メモリの一時登録エリアに被検出
物体OBk,i が登録されているかどうかが判断される
(図10;ステップ40)。メモリの一時登録エリアに既に
登録された複数の被検出物体があれば(ステップ40でYE
S ),それらがまとめられ,まとめられた複数の被検出
物体の中心相対位置が上記式(7) および式(8) にしたが
って算出される(図10;ステップ41)。この後,メモリ
の一時登録エリアがクリアされる。
【0112】たとえば,メモリの一時登録エリアに被検
出物体OBk,1 とOBk,2 とが登録されていれば,それ
らの相対位置に基づいて,被検出物体OBk,1 とOBk,
2 とをまとめたときの中心相対位置は,xk,1 ={(-4.
7)+(-4.6)}/2=-4.7,yk,1 ={47.8+47.8}/2
=47.8)となる。後述するように,この同一性識別処理
後,検出順番を示す番号iとして,1から連続番号が改
めて割り当てられるので,被検出物体OBk,1 とOBk,
2 の中心相対位置は,(xk,1 ,yk,2 )で表される。
このようにして算出された中心相対位置は処理順にメモ
リに設けられた今回の登録データ記憶エリア(k)に記
憶される。図8に示すデータに基づいて作成された今回
の登録データ記憶エリア(k)の一例が図12に示されて
いる。
【0113】メモリの一時登録エリアに被検出物体が登
録されていない場合は(ステップ40でNO),まとめるも
のがないから,ステップ41の処理は行われず,その被検
出物体OBk,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )が
今回の登録データ記憶エリア(k)に記憶される(図1
0;ステップ42)。
【0114】ステップ41または42の処理後,先に一時登
録エリアから読出された被検出物体OBk,i の相対位置
Qk,i (xk,i ,yk,i )を基準にして同一性識別ウイ
ンドウが設定され(図10;ステップ43),さらにiがイ
ンクリメントされ(図10;ステップ46),ステップ38に
戻って,新たなiについてステップ38〜46の処理が繰返
される。
【0115】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ38〜46)が繰返され,i>Nk になれば
(図10;ステップ37),メモリの一時登録エリアに登録
された被検出物体があるかどうかが判断される(図11;
ステップ47)。
【0116】メモリの一時登録エリアに登録された被検
出物体があれば(ステップ47でYES),それらがまとめ
られ,まとめられた被検出物体の中心相対位置が上記式
(7)および式(8) にしたがって算出される(図11;ステ
ップ50)。算出された中心相対位置は処理順にメモリの
今回の登録データ記憶エリア(k)に記憶される。
【0117】今回の登録データ記憶エリア(k)に記憶
された相対位置データまたは中心相対位置データには,
それらが記憶順に改めて検出順番iが割り当てられる。
以下の記述においては,同一性識別処理により得られた
相対位置データおよび中心相対位置データをともに被検
出物体OBk,i の相対位置データと呼び,新たに検出順
番iでこれらの識別することにする。
【0118】図11に示す今回の登録データ記憶エリア
(k)において,図8に示す被検出物体OBk,1 とOB
k,2 ,OBk,8 とOBk,9 ,およびOBk,10とOBk 11
がそれぞれまとめられ,被検出物体OBk,1 ,OBk,7
およびOBk,8 の相対位置データとして今回の登録デー
タ記憶エリア(k)に記憶されている。図8に示すその
他の被検出物体OBk,3 ,OBk,4 ,OBk,5 ,OBk,
6 およびOBk,7 の相対位置データはそのまま(検出番
号iは変化している),被検出物体OBk,2 ,OBk,3
,OBk,4 ,OBk,5 およびOBk,6 の相対位置デー
タとして今回の登録データ記憶エリア(k)に記憶され
ている。
【0119】3.3 被検出物体の移動ベクトル算出(図
3;ステップ22)
【0120】被検出物体OBk,i の移動ベクトルVk,i
(Vx,k,i ,Vy,k,i )は,前回の処理サイクル(k−
1)における被検出物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j
(xk-1,j ,yk-1,j )と,この被検出物体OBk-1,j
と同一であるとみなされる今回の処理サイクルkにおけ
る被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,
i )とに基づいて算出される。
【0121】移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i
)を算出するためには,まず,前回の処理サイクル
(k−1)において検出された被検出物体OBk-1,j と
同一とみなされる今回の処理サイクルkにおける被検出
物体OBk,i を見つけださなければならない。前回の処
理サイクル(k−1)における被検出物体OBk-1,j
と,今回の処理サイクルkにおける被検出物体OBk,i
とが同一であるかどうかの判定は,次のようにして行わ
れる。
【0122】前回の処理サイクル(k−1)における被
検出物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,i (xk-1,j ,y
k-1,j )を基準にして,ウインドウが設定される。ウイ
ンドウには第1ウインドウW1 と第2ウインドウW2 と
がある。
【0123】第1ウインドウW1 は,前回の処理サイク
ル(k−1)において移動ベクトルVk-1,j が算出され
ていない被検出物体OBk-1,j (前回の処理サイクル
(k−1)において新規に検出された被検出物体OBk-
1,j ;以下単に「新規検出物体」という)について,設
定されるものである。
【0124】第1ウインドウW1 は,図13に示すよう
に,2つ対角点,すなわち,始点S1(x1S,y1S)お
よび終点S2 (x2S,y2S)によって表される矩形であ
る。始点S1 および終点S2 の座標はそれぞれ,前回の
処理サイクル(k−1)における被検出物体OBk-1,j
の相対位置Qk-1,j (xk-1,j ,yk-1,j ),車速vk
および処理サイクル時間間隔Tに基づいて,次式で表さ
れる。
【0125】
【数5】 x1S=xk-1,j −0.5 …(9) y1S={yk-1,j +(27.8−vk )×T}+0.5 …(10) x2S=xk-1,j +0.5 …(11) y2S={yk-1,j −vk ×T}−0.5 …(12)
【0126】第1ウインドウW1 は,自車両の速度と先
行車両の速度との差が 100[km/h](=27.8[m/s] )以下
であることを前提としている。すなわち,最も極端な場
合,自車両および先行車両のいずれか一方が停止し,他
方が 100[km/h]で走行している場合であっても,被検出
物体の同一性が認識できる大きさに設定されている。そ
のために式(10)において,(27.8−vk )×T項が,式
(12)において,(−vk ×T)の項がそれぞれ加えられ
ている。始点S1 および終点S2 の各座標には計測誤差
等ためにシステム誤差(この実施例では,0.5[m])が加
減算されている。高速自動車道においては,その道路に
許された最高速度は通常 100[km/h]以下であることが多
く,先行車両が 100[km/h]を越える速度で走行している
場合は速度超過違反をしていることになるからである。
【0127】被検出物体OBk-1,j (先行車両)が 27.
8[m/s](= 100[km/h])で走行している場合,自車両と
の速度差は(27.8−vk )[m/s] であり,処理サイクル
時間間隔T[s] における距離差は(27.8−vk )×T
[m] である。前回の処理サイクル(k−1)における被
検出物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j (xk-1,j ,y
k-1,j )と,今回のこれと同一の処理サイクルkで検出
された被検出物体OBk,i とが第1ウインドウのW1 内
に入る。
【0128】被検出物体OBk-1,j (先行車両)が静止
している場合,自車両との速度差は(−vk )であり,
処理サイクル時間間隔における距離差は(−vk )×T
である。前回の処理サイクル(k−1)における被検出
物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j (xk-1,j ,yk-1,
j )と,これと同一の今回の処理サイクルkで検出され
た被検出物体OBk,i とが第1ウインドウのW1 内に入
る。
【0129】第2ウインドウW2 は,前回の処理サイク
ル(k−1)において移動ベクトルVk-1,j (Vx,k-1,
j ,Vy,k-1,j )が算出された被検出物体OBk-1,j
(過去に2回以上連続して検出されていた被検出物体O
Bk-1,j )について,その相対位置Qk-1,j (xk-1,j
,yk-1,j )および移動ベクトルVk-1,j (Vx,k-1,
j,Vy,k-1,j )に基づいて設定されるものである。
【0130】前回の処理サイクル(k−1)における被
検出物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j (xk-1,j ,y
k-1,j )および移動ベクトルVk-1,j (Vx,k-1,j ,V
y,k-1,j )によって,今回の処理サイクルkにおいて検
出されるその被検出物体OBk,i 相対位置Qk,i (xk,
i ,yk,i )を予測できるからである。第2ウインドウ
W2 は,同一の被検出物体を時系列的に追跡するように
設定される。
【0131】第2ウインドウW2 は,図14に示すよう
に,2つの対角点,すなわち,始点T1 (x1T,y1T)
および終点T2 (x2T,y2T)によって表される矩形で
ある。始点T1 および終点T2 はそれぞれ,前回の処理
サイクル(k−1)における被検出物体OBk-1,j の相
対位置Qk-1,j (xk-1,j ,yk-1,j ),移動ベクトル
Vk-1,j (Vx,k-1,j ,Vy,k-1,j )および処理サイク
ル時間間隔Tに基づいて,次式で表される。
【0132】
【数6】 x1T=(xk-1,j +Vx,k-1,j ×T)−0.5 …(13) y1T=(yk-1,j +Vy,k-1,j ×T)+0.5 …(14) x2T=(xk-1,j +Vx,k-1,j ×T)+0.5 …(15) y2T=(yk-1,j +Vy,k-1,j ×T)−0.5 …(16)
【0133】第2ウインドウW2 の各座標は,被検出物
体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j (xk-1,j ,yk-1,j
)と移動ベクトルVk-1,j (Vx,k-1,j ,Vy,k-1,j
)とに基づく被検出物体OBk,i の今回の処理サイク
ルkにおける予想位置(xk-1,j+Vx,k-1,j ×T,yk
-1,j +Vy,k-1,j ×T)を中心にして,システム誤差
(0.5[m])を加減算することにより得られるものであ
る。
【0134】前回の処理サイクル(k−1)において検
出された被検出物体OBk-1,j について設定されたウイ
ンドウ(第1ウインドウW1 または第2ウインドウW2
のいずれか一方)内に今回の処理サイクルkにおいて検
出された被検出物体OBk,iが存在するかどうかが,す
べての被検出物体OBk,i について検査される。ウイン
ドウは,前回の被検出物体OBk-1,j のすべてについて
設定される。
【0135】検査の結果,前回の処理サイクル(k−
1)における被検出物体OBk-1,j について設定された
ウインドウ内に1個の被検出物体OBk,i が存在する場
合には,その被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i (x
k,i ,yk,i )と,ウインドウの基準となった被検出物
体OBk-1,j とは同一であるとみなされ,それらの相対
位置Qk-1,j (xk-1,j ,yk-1,j )および相対位置Q
k,i (xk,i ,yk,i )と,処理サイクル時間間隔Tに
基づいて,被検出物体OBk,i の移動ベクトルVk,i
(Vx,k,i ,Vy,k,i )が算出されることになる。移動
ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )は次式で与えら
れる。
【0136】
【数7】 Vx,k,i =(xk-1,j −xk,i )/T …(17) Vy,k,i =(yk-1,j −yk,i )/T …(18)
【0137】図15は,前回の処理サイクル(k−1)に
おける被検出物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j (xk-
1,j ,yk-1,j )と,今回の処理サイクルkにおける相
対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )に基づいて算出された
今回の処理サイクルkにおける移動ベクトルVk,i (V
x,k,i ,Vy,k,i )の一例を示す。
【0138】算出された移動ベクトルには計測誤差等の
ノイズ成分が含まれていることがあるため,ディジタル
・フィルタ等を用いてノイズ除去を行うことによって,
より正確な移動ベクトルを算出することができる。
【0139】一のウインドウ内に今回の処理サイクルk
における被検出物体が複数個存在する場合は,そのウイ
ンドウの中心に最も近い位置に存在する被検出物体OB
k,iが選択される。選択された被検出物体OBk,i と,
ウインドウの基準となった被検出物体OBk-1,j とが同
一とみなされ,それらの相対位置Qk-1,j (xk-1,j,
yk-1,j ),相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )および
処理サイクル時間間隔Tに基づいて上記式(17)および式
(18)にしたがって,被検出物体OBk,i の移動ベクトル
Vk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )が算出されることにな
る。
【0140】一のウインドウ内に今回の処理サイクルk
における複数個の被検出物体が存在する場合,ウインド
ウの中心に最も近い位置に存在する被検出物体OBk,i
は次のいずれかである。
【0141】(a) 前回の処理サイクルにおける被検出物
体と実際に同一の物 (b) 前回の処理サイクルにおける被検出物体と実際は異
なる物 (c) ノイズによって出現した物
【0142】(a) の被検出物体OBk,i については,同
一のものであるから,これが選択されるのが好ましい。
【0143】(b) の被検出物体OBk,i については,実
際には異なる物(異被検出物体という)を同一とみなす
ことになるから,算出された移動ベクトルは誤ったもの
となり,実際には同一の被検出物体について得られる真
の移動ベクトルが他に存在することになる。次回の処理
サイクル(k+1)で設定される第2ウインドウW2内
に異被検出物体と同一のものが存在すれば,その異被検
出物体が追跡されることになり,存在しなければ,異被
検出物体は次回の処理サイクル(k+1)から新規検出
物体として追跡されることになる。選択されなかった他
の被検出物体については,第1ウインドウW1 が設定さ
れることになる。
【0144】(c) の被検出物体は,ノイズに依るもので
あるから,今回の処理サイクルkで移動ベクトルが算出
されたとしても,次回の処理サイクル(k+1)におい
て検出されるとは限らず,また検出されたとしても設定
される第2ウインドウW2 内に存在するとも限らない。
したがって,次回の処理サイクル(k+1)において
は,ノイズによる被検出物体の多くは消滅することにな
る。2回以上にわたってウインドウ内に出現し,同一の
被検出物体と認識されても,時間の経過とともにいずれ
消滅するものであるので,問題にする必要はない。
【0145】図16は,メモリ内の前回の登録データ記憶
エリア(k−1)に記憶された,前回の処理サイクル
(k−1)における被検出物体OBk-1,j の相対位置Q
k-1,j(xk-1,j ,yk-1,j )および移動ベクトルVk-
1,j (Vx,k-1,j ,Vy,k-1,j)のデータを示す。図16
において,「*」はデータが記憶されていないことを表
す。図16では,8個の被検出物体OBk-1,j のデータが
記憶され,被検出物体OBk,4 についてのみ,移動ベク
トルが記憶されていない。
【0146】図17は,移動ベクトルの算出処理を示すフ
ロー・チャートである。図17のフロー・チャートにおい
て,jは前回の処理サイクル(k−1)における第j番
目の被検出物体OBk-1,j を表し,Nk-1 はメモリの前
回の登録データ記憶エリア(k−1)に記憶された被検
出物体OBk-1,j の総数を表す。
【0147】jが1に初期化され(ステップ51),前回
の処理サイクル(k−1)における第1番目の被検出物
体OBk-1,1 の相対位置Qk-1,1 (xk-1,1 ,yk-1,1
)および移動ベクトルVk-1,1 (Vx,k-1,1 ,Vy,k-
1,1 )が前回の登録データ記憶エリア(k−1)から読
出される。この第1番目の被検出物体OBk-1,1 から移
動ベクトルの算出処理が開始される。
【0148】図16に示す例では,相対位置Qk-1,1 (-
4.5,49.9)および移動ベクトルVk-1,1 (-2,-22 )
が読出される。
【0149】被検出物体OBk-1,j が新規検出物体であ
るかが判断される(ステップ53)。被検出物体OBk-1,
j が新規検出物体であるかどうかは,その被検出物体O
Bk-1,j の移動ベクトルVk-1,j (Vx,k-1,j ,Vy,k-
1,j )が前回の登録データ記憶エリア(k−1)に記憶
されているかどうかで判断される。移動ベクトルVk-1,
j が記憶されていなければ,その被検出物体OBk-1,j
は新規検出物体と判定される。
【0150】被検出物体OBk-1,j が新規検出物体であ
れば(ステップ53でYES ),その被検出物体OBk-1,j
の相対位置Qk-1,j (xk-1,j ,yk-1,j )に基づいて
第1ウインドウW1 が設定される(ステップ54)。
【0151】図16に示す例では,被検出物体OBk-1,4
についてのみ移動ベクトルが記憶されていないから,こ
の被検出物体OBk-1,4 についてのみ第1ウインドウW
1 が設定されることになる。
【0152】ステップ53において,被検出物体OBk-1,
j が新規検出物体でないと判定されると(ステップ53で
NO),その被検出物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j
(xk-1,j ,yk-1,j )および移動ベクトルVk-1,j
(Vx,k-1,j ,Vy,k-1,j )の基づいて第2ウインドウ
W2 が設定される(ステップ55)。
【0153】図16に示す例では,被検出物体OBk,4 を
除く他の被検出物体OBk-1,j について移動ベクトルが
記憶されているので,被検出物体OBk,4 について以外
は第2ウインドウW2 が設定されることになる。
【0154】第1ウインドウW1 または第2ウインドウ
W2 のいずれかのウインドウが設定されると,今回の登
録データ記憶エリア(k)に記憶された,今回の処理サ
イクルkにおける被検出物体OBk,i のうちのいずれか
1または複数がそのウインドウ内に存在するかどうかが
検査される(ステップ56)。
【0155】ウインドウ内に今回の処理サイクルkにお
ける被検出物体OBk,i が存在すると(ステップ56でYE
S ),被検出物体OBk-1,j の相対位置Qk-1,j (xk-
1,j,yk-1,j )と被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i
(xk,i ,yk,i )に基づいて上記式(17)および式(1
8)にしたがって,被検出物体OBk,i の移動ベクトルV
k,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )が算出される(ステップ5
7)。
【0156】たとえば,図16に示す被検出物体OBk-1,
2 に基づく第2ウインドウW2 内には,図12に示す被検
出物体OBk,1 が存在するから,上記式(17)および式(1
8)にしたがって被検出物体OBk,1 について移動ベクト
ルVk,1 (Vx,k,1 ,Vy,k,1 )が算出される。すなわ
ち,Vx,k,1 =((-4.7)−(-4.5))/0.1 =(-2),Vy,
k,1 =(49.9 −47.8 )/0.1 =(-22) となる。
【0157】算出された移動ベクトルVk,i (Vx,k,i
,Vy,k,i )は,図18に示すように,被検出物体OB
k,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )と関連させて
メモリの今回の登録データ記憶エリア(k)に記憶され
る。
【0158】jがインクリメントされ(ステップ58),
ステップ53に戻って,新たなjについてステップ53〜58
の処理が繰返される。
【0159】jを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ53〜58)が繰返され,j>Nk-1 になれ
ば前回の処理サイクル(k−1)におけるNk-1 個の被
検出物体について,移動ベクトルの算出処理が終了した
ことになる。(ステップ52)。
【0160】このようにして,図18に示すように,今回
の処理サイクルkにおける被検出物体について移動ベク
トルが算出される。図18においては,被検出物体OBk,
4 は今回の処理サイクルkで初めて出現したものである
ので(すなわち,OBk,4 と同一の被検出物体は前回の
データは存在しないので,移動ベクトルは算出されてい
ない。
【0161】3.4 車両および路側リフレクタの識別
(図3;ステップ23)
【0162】上述のように,被検出物体として検出され
るものには,路側リフレクタと,車両または二輪車に取
付られた車両リフレクタとが含まれる。被検出物体が路
側リフレクタであるのか,または1台の車両に取付けら
れた2個の車両リフレクタであるのかが判別される。路
側リフレクタであると判定された被検出物体は,後に説
明する「 3.5 路側リフレクタのクラスリング」の処理
を経て「 3.6 路側形状の認識とその信頼性評価」の処
理で用いられる。1台の車両に取付けられた車両リフレ
クタは1個にまとめられ,次に説明するように1個の物
体(車両)として取扱われることになる。
【0163】3.4.1 車両の識別
【0164】上述したように車両の後部には2個の車両
リフレクタが取付けられている。1台の車両に取付けら
れている2個の車両リフレクタ(被検出物体)の相対位
置および移動ベクトルは,1台の車両に取付けられてい
るという物理的条件によって定まる一定の関係にある。
この一定の関係(以下,「ペア条件」という)とは,2
個の被検出物体OBk,i とOBk,j についてそれらの相
対位置Qk,i (xk,i,yk,i )とQk,j (xk,j ,y
k,j )が車両の幅方向にその幅に相当する距離にあり,
かつ,それらの移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,
i )とVk,j (Vx,k,j ,Vy,k,j )とがほぼ等しいこ
とである。すなわち,ペア条件は次式によって表され
る。
【0165】
【数8】 |xk,i −xk,j |<Thc1 …(19) |yk,i −yk,j |<Thc2 …(20) |Vx,k,i −Vx,k,j |<Thc3 …(21) |Vy,k,i −Vy,k,j |<Thc4 …(22) Thc1は1台の車両の幅(ほぼX方向)に相当する距離
を表す閾値,Thc2は走行方向(ほぼY方向)における
許容範囲を表す閾値,Thc3およびThc4は移動ベクト
ルがほぼ等しいことを表す閾値である。
【0166】式(19)〜(22)に示すペア条件によって車両
が識別される。ペア条件を満たす2個の被検出物体OB
k,i とOBk,j とが1個にまとめられる。以下,2個の
被検出物体を1個にまとめたものを「車両候補物体」と
いう。
【0167】車両候補物体の中心相対位置は,上記ペア
条件を満たす被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i (x
k,i ,yk,i )と,被検出物体OBk,j の相対位置Qk,
j (xk,j ,yk,j )との中間位置である。すなわち,
[(xk,i +xk,j )/2,(yk,i +yk,j )/2]
である。
【0168】また,車両候補物体の移動ベクトルは,被
検出物体OBk,i の移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,V
y,k,i )と,被検出物体OBk,j の移動ベクトルVk,j
(Vx,k,j ,Vy,k,j )との平均値である。すなわち,
[(Vx,k,i +Vx,k,j )/2,(Vy,k,i +Vy,k,j
)/2]である。
【0169】次に示す車両識別処理で車両候補物体が見
つかると,そのことを示すためにフラグFc (たとえ
ば,Fc は「010」である)が用いられる
【0170】この車両識別処理では,今回の処理サイク
ルkにおける,異なる2個の被検出物体OBk,i とOB
k,j とのすべてに組合わせについて上記ペア条件を満た
すかどうかが検査される。この車両識別処理において,
一の被検出物体と他の第一の被検出物体とがペア条件を
満たし,かつ,上記一の被検出物体が他の第二の被検出
物体とペア条件を満たすことがあり得る。
【0171】たとえば,車両が路側近くに停止している
場合,その車両の左右に取付けられた2個の車両リフレ
クタおよびその車両の進行方向に向かって左側にある路
側リフレクタが被検出物体して検出される。2個の車両
リフレクタの対は明らかにペア条件を満たし,車両候補
物体と判定される。車両の左側の車両リフレクタと路側
リフレクタとの対もペア条件を満たすことがあり,そう
するとこれらも車両候補物体と判定される。車両の左側
の車両リフレクタと路側リフレクタとの対を「車両」と
みなすことになる。この車両候補物体の中心相対位置は
車両の左側の車両リフレクタの相対位置と,路側リフレ
クタの相対位置との中間位置になる。この車両候補物体
は,実際の車両の位置よりも路側に近い位置に存在する
ことになるから問題はない。
【0172】また,二輪車が路側近くに停止している場
合,その二輪車に取付けられた車両リフレクタおよび二
輪車の左側にある路側リフレクタが被検出物体して検出
される。車両リフレクタと路側リフレクタとの対がペア
条件を満たすことがあり,そうするとこれらが車両候補
物体と判定される。二輪車の車両リフレクタと路側リフ
レクタとを「車両」とみなすことになる。この場合は,
上述の車両の左側の車両リフレクタと路側リフレクタと
を「車両候補物体」とみなす場合と同様に,その車両候
補物体の中心相対位置は二輪車の車両リフレクタの相対
位置と,路側リフレクタの相対位置の中間位置になり,
この車両候補物体は,二輪車の位置よりも路側に近い位
置に存在することになるから問題はない。
【0173】図19は,車両候補物体の識別処理を示すフ
ロー・チャートである。このフロー・チャートにおい
て,iおよびj(j>i)はそれぞれ,今回の処理サイ
クルkにおける第i番目の被検出物体OBk,i および第
j番目の被検出物体OBk,j を表し,Nk はメモリの今
回の登録データ記憶エリア(k)に記憶された被検出物
体OBk,i の総数を表す。
【0174】iが1に初期化され(ステップ61),第1
番の被検出物体OBk,1 の相対位置Qk,1 (xk,1 ,y
k,1 )および移動ベクトルVk,1 (Vx,k,1 ,Vy,k,1
)が今回の登録データ記憶エリア(k)から読出され
る。この第1番目の被検出物体OBk,1 から識別処理が
開始される。
【0175】図18に示す例では,相対位置Qk,1 (-4.
7,47.8)および移動ベクトルVk,1(-1,-21 )が読出
される。
【0176】jがi+1にセットされ(ステップ63),
第j番目の被検出物体OBk,j の相対位置Qk,j (xk,
j ,yk,j )および移動ベクトルVk,j (Vx,k,j ,V
y,k,j )が今回の登録データ記憶エリア(k)から読出
される。
【0177】第i番目の被検出物体OBk,i の相対位置
Qk,i (xk,i ,yk,i )および移動ベクトルVk,i
(Vx,k,i ,Vy,k,i )と,第j番目の被検出物体OB
k,j の相対位置Qk,j (xk,j ,yk,j )および移動ベ
クトルVk,j (Vx,k,j ,Vy,k,j )とが,上記式(19)
〜式(22)のペア条件を同時に満たすかどうかが判断され
る(ステップ65)。
【0178】被検出物体OBk,i とOBk,j がペア条件
を満たせば(ステップ65でYES ),これらの被検出物体
OBk,i とOBk,j は車両候補物体となる。この車両候
補物体の中心相対値および移動ベクトルがそれぞれ算出
され,算出された相対位置おより移動ベクトルが,車両
候補物体を表すフラグFc とともに処理順にしたがっ
て,図20に示すメモリに設けられた評価用データ記憶エ
リアに登録(記憶)される(ステップ66)。
【0179】図18に示す例では,被検出物体OBk,5 と
OBk,6 は車両候補物体であると判定される。また,被
検出物体OBk,7 とOBk,8 も車両候補物体であると判
定される。
【0180】jがインクリメントされ(ステップ67),
j=Nk になるまでステップ65,66の処理が繰返し行わ
れる(ステップ64)。
【0181】j>Nk になると(ステップ64でNO),被
検出物体OBk,i が車両候補物体を構成するものと判定
されたかどうか(一度でもステップ65でYES となったか
どうか)が判断される(ステップ68)。
【0182】被検出物体OBk,i が車両候補物体を構成
するものと判定されたときには(ステップ68でYES )何
らの処理も行われないが,被検出物体OBk,i が車両候
補物体を構成するものと判定されないときには(ステッ
プ68でNO),その被検出物体OBk,i の相対位置Qk,i
(xk,i ,yk,i )および移動ベクトルVk,i (Vx,k,
i ,Vy,k,i )がそのまま,評価用データ記憶エリアに
登録(記憶)される(ステップ69)。
【0183】図18に示す例では,被検出物体OBk,1 ,
OBk,2 ,OBk,3 およびOBk,4は,ペア条件を満た
す他の被検出物体がないから,車両候補物体を構成する
ものとは判定されない。これらの被検出物体の相対位置
および移動ベクトルは,図20に示すように,そのまま評
価用データ記憶エリアに登録(記憶)され,フラグは
「*」(たとえば,フラグ「*」は「000」である)
となる。
【0184】その後,iがインクリメントされ(ステッ
プ70),ステップ43に戻って,新たなiについてステッ
プ64〜69の処理が繰返される。
【0185】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ63〜69)が繰返され,i>Nk −1にな
れば,検出されたNk 個の被検出物体の中から選ばれた
任意の2個の被検出物体すべての組合せについて,ペア
条件を満たすがどうかの検査が終了したことになる。
(ステップ62)。
【0186】このようにして,図18に示すデータについ
て車両識別処理が行われると,図20に示すデータが得ら
れることになる。評価用データ記憶エリアに記憶された
データ(xk,i ,yk,i ,Vx,k,i ,Vy,k,i およびフ
ラグ)にはこの記憶エリアへの順序にしたがって検出番
号iが付け直される。
【0187】3.4.2 路側リフレクタの識別
【0188】路側リフレクタの識別処理は,車両候補物
体(フラグがFc の被検出物体OBk,i )を除く,被検
出物体OBk,i のすべてについて,その被検出物体OB
k,iが路側リフレクタであるかどうかを識別するもので
ある。
【0189】路側リフレクタは静止しているから,車速
vk で走行している自車両からみれば速度(−vk )で
Y方向に走行しているようにみえる。被検出物体OBk,
i の移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )のY成
分Vy,k,i と車速vk とを用いて路側リフレクタを識別
することができる。
【0190】被検出物体OBk,i の移動ベクトルVk,i
(Vx,k,i ,Vy,k,i )のY成分Vy,k,i が負であり,
かつ,その絶対値と車速vk との差の絶対値が所定の閾
値Thr (たとえば20[km/h]=5.6[m/s])未満であると
き,その被検出物体OBk,iは路側リフレクタであると
判定される。すなわち,路側リフレクタ判定条件は,V
y,k,i <0,かつ,|−Vy,k,i −vk |<Thr であ
る。
【0191】以下,路側リフレクタであると判定された
被検出物体を「路側リフレクタ候補物体」という。路側
リフレクタ候補物体はフラグFr (たとえば,Fr は
「100」である)で識別される。
【0192】道路上に停止している車両または二輪車
は,上述のように多くの場合,既に車両候補物体(フラ
グがFc の被検出物体)として識別されている。二輪車
が路側から少し離れて停止しているときには,この二輪
車は路側リフレクタと誤認されることになる。このよう
な停止している二輪車が路側リフレクタ候補物体と誤認
されたまま後述する「 3.6.1 路側形状の認識」の処理
で用いられると,路側形状の認識が不正確になる。しか
しながら,「 3.6.1 路側形状の認識」の処理の後に行
われる「 3.6.2 路側形状の信頼性評価」の処理によっ
てこのような不正確な路側形状が排除される。
【0193】また,道路に中央付近に停止している二輪
車を路側リフレクタ候補物体と誤認したとしても,検出
したすべての被検出物体OBk,i について,後述する
「 3.7先行車両の相対位置および移動ベクトルによる先
行車両の走行車線の評価」の処理および「 3.8 先行車
両の相対位置のみによる先行車両の走行車線の評価」の
処理において先行車両であると判定されるので問題はな
い。
【0194】図21は路側リフレクタの識別処理を示すフ
ロー・チャートである。このフロー・チャートにおい
て,Nk はメモリの評価用データ記憶エリアに記憶され
た被検出物体OBk,i の総数を表す。
【0195】iが1に初期化され(ステップ71),第1
番目の被検出物体OBk,1 から識別処理が開始される。
このとき,メモリの車速データ記憶エリアから車速vk
が読出される。
【0196】第i番目の被検出物体OBk,i が車両候補
物体であるかどうかがフラグFc によって判定される
(ステップ73)。
【0197】図20に示す例では,被検出物体OBk,5 と
OBk,6 とは車両候補物体である判定されることにな
る。
【0198】被検出物体OBk,i が車両候補物体でなけ
れば(ステップ73でNO),被検出物体OBk,i の移動ベ
クトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )が評価用データ記
憶エリアから読出され,上述の路側リフレクタ判定条件
を満たすかどうかが判断される(ステップ74)。
【0199】この路側リフレクタ判定条件が満たされれ
ば(ステップ74でYES ),その被検出物体OBk,i は路
側リフレクタ候補物体であると判定され,その被検出物
体OBk,i のフラグ「*」がFr に変更される(ステッ
プ75)。
【0200】図20に示す例では,被検出物体OBk,1 に
ついては,その移動ベクトルVk,1(Vx,k,1 ,Vy,k,1
)が(-2,-22 )である。車速vk はvk =21であ
る。したがって,|−Vy,k,1 −vk |=|-(-22)−21
|=1(<5.6 )となる。被検出物体OBk,1 は路側リ
フレクタ候補物体であると判定される。同様にして被検
出物体OBk,2 およびOBk,3 も路側リフレクタ候補物
体と判定される。
【0201】iがインクリメントされ(ステップ75),
ステップ73に戻って,新たなiについてステップ74〜76
の処理が繰返される。
【0202】ステップ74で路側リフレクタ判定条件を満
たされない被検出物体OBk,i があった場合には,その
被検出物体OBk,i についてのフラグ「*」はそのまま
の状態に保たれる。
【0203】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ73〜76)が繰返され,i>Nk になれ
ば,Nk 個の被検出物体OBk,i について路側リフレク
タの識別処理が終了したことになる。(ステップ72)。
【0204】このようにして,図20に示すデータについ
てリフレクタの識別処理が行われると,図22に示すよう
なデータが得られる。被検出物体OBk,4 については,
移動ベクトルVk,4 (Vx,k,4 ,Vy,k,4 )がないこと
から,路側リフレクタ候補物体であるかどうかの判定は
行えず,フラグは「*」のままである。
【0205】3.5 路側リフレクタのクラスタリング
(図3;ステップ24)
【0206】路側リフレクタ候補物体(フラグがFr の
被検出物体OBk,i )について,その相対位置Qk,i
(xk,i ,yk,i )および移動ベクトルVk,i (Vx,k,
i ,Vy,k,i )に基づいて,路側リフレクタ候補物体が
道路の左側または右側のどちらの路側に設けられている
のかが判定される。この判定が路側リフレクタのクラス
タリングである。
【0207】路側リフレクタ候補物体がクラスタリング
によって右側であると判定されると,その路側リフレク
タ候補物体のフラグFr が右側の路側リフレクタである
ことを表すフラグFrr(たとえば,Frrは「101」)
に変更される。路側リフレクタ候補物体が左側の路側リ
フレクタであると判定されると,フラグFr が右側の路
側リフレクタを表すフラグFrl(たとえば,Frlは「1
10」)に変更される。
【0208】路側リフレクタのクラスタリングは,2種
類の方法があり,いずれか一方の処理が用いられる。以
下,こられの2種類の処理について説明する。
【0209】3.5.1 路側リフレクタの相対位置および移
動ベクトルに基づく路側リフレクタのクラスタリング
(その1)
【0210】自車両が走行している道路の右側に設けら
れた路側リフレクタは,自車両からみると右側を走行方
向とは反対方向に相対的に動く。また左側に設けられた
路側リフレクタは,左側を走行方向とは反対方向に相対
的に動く。自車両の位置が原点Oであるから,左側の路
側リフレクタ候補物体はX軸の左側を移動し,右側の路
側リフレクタ候補物体はX軸の右側を移動する。路側リ
フレクタ候補物体が横切るX軸上の点(通過点)によっ
て路側リフレクタ候補物体がクラスタリングされる。
【0211】通過点は,路側リフレクタ候補物体の相対
位置Qk,i (xk,i ,yk,i )と移動ベクトルVk,i
(Vx,k,i ,Vy,k,i )によって算出できる。通過点
は,図23に示すように,路側リフレクタ候補物体の移動
ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )をX軸まで延長
したとき,その延長線とX軸との交点である。通過点
(延長線とX軸との交点)のX座標xr,i が負,すなわ
ち,xr,i <0であれば,その路側リフレクタ候補物体
は道路の左側に設けられていると判定される。通過点
(延長線とX軸との交点)のX座標xr,i が正,すなわ
ち,xr,i >0であれば,その路側リフレクタ候補物体
は道路の右側に設けられていると判定される。
【0212】路側リフレクタ候補物体の移動ベクトルV
k,i の延長線とX軸との交点のX座標xr,i は,路側リ
フレクタ候補物体の相対位置Qk,i(xk,i ,yk,i )
および移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )を用
いて算出することができる。路側リフレクタ候補物体の
相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )から,その移動ベク
トルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )に沿ってX軸まで移
動するまでの時間は,Vy,k,i <0だから,[yk,i /
(−Vy,k,i )]である。路側リフレクタ候補物体の相
対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )からX軸に到達するま
での時間の間に,X軸方向に移動する距離は,[Vx,k,
i ・{yk,i /(−Vy,k,i )}]である。したがっ
て,交点のX座標xr,i は次式で表される。
【0213】
【数9】 xr,i =xk,i +Vx,k,i ・{yk,i /(−Vy,k,i )} …(23)
【0214】このように,路側リフレクタ候補物体につ
いて算出された通過点のX座標xr,i が正か負かに応じ
てクラスタリングが行われる。
【0215】3.5.2 路側リフレクタの相対位置および移
動ベクトルに基づく路側リフレクタのクラスタリング
(その2)
【0216】路側リフレクタが設けられている道路が直
線であるか,またはカーブしているかによってクラスタ
リング処理が異なるので,まず,道路が直線であるか,
カーブしているかが判定される。
【0217】路側リフレクタが直線の道路に設けられて
いる場合に自車両が道路に沿って走行していると,路側
リフレクタの自車両に対する動きはX方向に微小であ
る。また,路側リフレクタがカーブしている道路に設け
られている場合に自車両が道路に沿って走行している
と,路側リフレクタは直線の場合に比してX方向に大き
く動く。
【0218】したがって,道路が直線であるかまたはカ
ーブしているかの判定は,路側リフレクタ候補物体の移
動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )のX方向成分
Vx,k,i 基づいて行われる。
【0219】路側リフレクタ候補物体の移動ベクトルV
k,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )のX成分Vx,k,i の絶対値
が所定の閾値(たとえば,0.1[m/s])以下,すなわち,
|Vx,k,i |<0.1[m/s]であれば,その路側リフレクタ
候補物体は直線の道路に設けられた路側リフレクタであ
ると判定される。また,|Vx,k,i |>0.1[m/s]であれ
ば,その路側リフレクタ候補物体はカーブした道路に設
けられた路側リフレクタであると判定される。
【0220】(1) 道路が直線の場合
【0221】自車両が走行している道路が直線であるか
ら,図24に示すように,道路の左側に設けられた路側リ
フレクタは自車両の左側を移動し,道路の右側に設けら
れた路側リフレクタは自車両の右側を移動することにな
る。
【0222】路側リフレクタ候補物体の移動ベクトルV
k,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )のX成分Vx,k,i は微小で
あるから,路側リフレクタの通過点(X軸との交点)は
その相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )のX座標xk,i
によって表すことができる。xk,i が正,すなわち,x
k,i >0であれば,その路側リフレクタ候補物体は道路
の右側に設けられていると判定される。また,路側リフ
レクタ候補物体の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )の
X座標xk,i が負,すなわち,xk,i <0であれば,そ
の被検出物体OBk,i は道路の左側に設けられていると
判定される。
【0223】(2) 道路がカーブの場合
【0224】図25は,路側リフレクタ候補物体の相対的
な動きの一例を示す。路側リフレクタ候補物体の移動ベ
クトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )は,その相対位置
Qk,i (xk,i ,yk,i )を始点として示されている。
路側リフレクタ候補物体の移動ベクトルVk,i (Vx,k,
i ,Vy,k,i )の方向は,その相対位置Qk,i (xk,i
,yk,i )における道路のカーブを表す円の接線方向
と考えてよい。
【0225】自車両がカーブしている道路を走行してい
る場合,自車両が道路に沿って走行している仮定する。
路側リフレクタは自車両(原点O)からみると,おおよ
その路側形状を表す円(中心がX軸上にある)に沿って
動く。自車両の位置が原点Oであるから,円とX軸との
交点は,自車両から路側までの距離を表すことになる。
円とX軸との交点のX座標によって,その路側リフレク
タ候補物体が道路の右側に設けられたものであるか,ま
たは左側に設けられたものであるかが判定される。
【0226】上述した円の中心はX軸上にあるから,円
の中心を(xro,i,0)とし,半径をRr,i とすると,
この円の方程式は次式で表される。
【0227】
【数10】 (x−xro,i)2 +y2 =Rr,i2 …(24)
【0228】式(24)において未知数であるxro,iとRr,
i は次のようにして求められる。
【0229】道路が右カーブであるか,または左カーブ
であるかが判定される。道路が右カーブであれば,路側
リフレクタは自車両の左側を移動し,道路が左カーブで
あれば,路側リフレクタは自車両の右側を移動する。路
側リフレクタ候補物体の移動ベクトルVk,i (Vx,k,i
,Vy,k,i )のX成分Vx,k,i が負,すなわち,Vx,
k,i <0であれば,その路側リフレクタ候補物体が設け
られている道路が右カーブであると判定される。路側リ
フレクタ候補物体の移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,V
y,k,i )のX成分Vx,k,i が正,すなわち,Vx,k,i >
0であれば,その路側リフレクタ候補物体が設けられて
いる道路が左カーブであると判定される。以下,道路が
右カーブの場合について説明する。
【0230】道路が右カーブである場合(Vx,k,i <
0),路側リフレクタ候補物体の移動ベクトルVk,i と
そのX成分Vx,k,i とがなす角をφi とすると,次式が
成立する。
【0231】
【数11】 tanφi =Vx,k,i /Vy,k,i …(25)
【0232】一方,路側リフレクタ候補物体が相対的に
動く円の中心はX軸上にあるから,円の中心と路側リフ
レクタ候補物体とを結ぶ直線(円の半径方向の直線)
と,X軸とがなす角はφi になる。したがって次式が成
立する。
【0233】
【数12】 tanφi =yk,i /(xro,i−xk,i ) …(26)
【0234】式(25)および(26)から tanφi を消去する
と,次のように円の中心のX座標xro,iが求まる。
【0235】
【数13】 Vx,k,i /Vy,k,i =yk,i /(xro,i−xk,i ) ∴ xro,i=xk,i +yk,i ・(Vy,k,i /Vx,k,i ) …(27)
【0236】また,円の半径Rr,i は,路側リフレクタ
候補物体の相対位置Qk,i (xk,i,yk,i )を,式(2
4)のx,yに代入することによって求まる。
【0237】
【数14】 (xro,i−xk,i )2 +yk,i2=Rr2 ∴ Rr,i =sqrt[(xro,i−xk,i )2 +yk,i2] …(28) ここで,sqrt[]は平方根を表す。
【0238】式(27)を式(28)のxro,iに代入すると,半
径Rr,i は次式で表される。
【0239】
【数15】 Rr,i =sqrt[{(xk,i +yk,i ・(Vy,k,i /Vx,k,i )−xk,i }2 +yk,i2] =yk,i ・sqrt[(Vy,k,i /Vx,k,i )2 +1] …(29)
【0240】さらに,円とX軸との交点のX座標xr,i
は,円の中心のX座標xro,iと,その半径Rr,i との関
係から次式によって表される。
【0241】
【数16】 xr,i =xro,i−Rr,i …(30)
【0242】式(27)を式(30)のxro,iに,式(28)を式(3
0)のRr,i に代入すると,交点のX座標xr,i は次式で
表される。
【0243】
【数17】 xr,i =xk,i +yk,i ・{(Vy,k,i /Vx,k,i ) −sqrt[(Vy,k,i /Vx,k,i )2 +1]} …(31)
【0244】道路が左カーブ(Vx,k,i >0)の場合,
路側リフレクタ候補物体が相対的に動くことによって描
く円とX軸との交点のX座標xr,i は,式(30)のxr,i
=xro,i−Rr,i の代わりにxr,i =xro,i+Rr,i と
することにより次式で表される。
【0245】
【数18】 xr,i =xk,i +yk,i ・{(Vy,k,i /Vx,k,i ) +sqrt[(Vy,k,i /Vx,k,i )2 +1]} …(32)
【0246】このように求められた交点のX座標xr,i
が正か負かに基づいて,路側リフレクタが道路の左側に
存在するか右側に存在するかが判定される。
【0247】図28は,路側リフレクタのクラスタリング
処理((その1),(その2)に共通)を示すフロー・
チャートである。
【0248】iが1に初期化され(ステップ81),第1
番目の被検出物体OBk,1 からクラスタリング処理が開
始される。
【0249】第i番目の被検出物体OBk,i が路側リフ
レクタ候補物体であるかどうかが評価用データ記憶エリ
ア内のフラグによって判定される(ステップ83)。被検
出物体OBk,i のフラグがFr であれば路側リフレクタ
候補物体であると判定される。
【0250】図22に示す例では,被検出物体OBk,1 ,
OBk,2 およびOBk,3 は,Fr がフラグ記憶エリアに
格納されているから,路側リフレクタ候補物体であると
判定されることになる。
【0251】被検出物体OBk,i が路側リフレクタ候補
物体であれば(ステップ83でNO),その相対位置Qk,i
(xk,i ,yk,i )および移動ベクトルVk,i (Vx,k,
i ,Vy,k,i )が評価用データ記憶エリアから読出さ
れ,式(23)(または式(31),(32))にしたがってX軸と
の交点のX座標xr,i が算出される(ステップ84)。
【0252】算出された交点のX座標xr,i がxr,i <
0であれば(ステップ85でYES ),その被検出物体OB
k,i は左側の路側リフレクタとして登録される(ステッ
プ86)。すなわち,路側リフレクタ候補物体に付随する
フラグFr が,左側の路側リフレクタを表すフラグFrl
に変更される。
【0253】算出された交点のX座標がxr,i >0であ
れば(ステップ85でNO),その路側リフレクタ候補物体
は,右側の路側リフレクタとして登録されることになる
(ステップ87)。すなわち,路側リフレクタ候補物体に
付随するフラグFr が,左側の路側リフレクタを表すフ
ラグFrrに変更される。
【0254】図22に示す例では,路側リフレクタ候補物
体である被検出物体OBk,1 については,式(23)にした
がってxr,1 を算出すると,xr,1 =(-4.7)+(-1)・
(47.8/(-(-21)))=(-7.0)(<0)となるから,被検
出物体OBk,1 は左側の路側リフレクタであると判定さ
れる。この被検出物体OBk,1 のフラグFr が左側の路
側リフレクタを表すフラグFrlに変更される。同様にし
て被検出物体OBk,2 およびOBk,3 についても左側の
路側リフレクタと判定され,フラグFr がフラグFrlに
変更されることになる。
【0255】iがインクリメントされ(ステップ88),
ステップ83に戻って,新たなiについてステップ83〜88
の処理が繰返される。評価用データ記憶エリアのiで指
定される被検出物体OBk,i が路側リフレクタ候補物体
でない場合には(ステップ83でNO),ステップ84〜87の
処理がスキップされる。
【0256】図22に示す例では,被検出物体OBk,4 ,
OBk,5 およびOBk,6 は路側リフレクタ候補物体では
ないから,これらについてはステップ84〜87の処理がス
キップされる。
【0257】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ83〜88)が繰返され,i>Nk になれ
ば,Nk 個の被検出物体について路側リフレクタのクラ
スタリング処理が終了したことになる。(ステップ8
2)。
【0258】このようにして,路側リフレクタ候補物体
について,クラスタリングが行われる。図22に示すデー
タについて路側リフレクタ候補物体のクラスタリング処
理が行われると,図27に示すようなデータが得られる。
【0259】3.6 路側形状の認識とその信頼性評価
(図3;ステップ25)
【0260】上述のように,路側リフレクタのクラスタ
リング処理により道路の左側または右側にグループ分け
された一方のグループに属する路側リフレクタ候補物体
の相対位置に基づいて路側形状が認識される。路側形状
は,直線またはカーブのいずれかに分類される。
【0261】路側形状が認識されると,認識された路側
形状が適切であるかどうかの信頼性の評価が行われる。
停止している二輪車は「 3.4.2 路側リフレクタの識
別」の処理において路側リフレクタ候補物体であると誤
認されていることがある。また,「 3.6 路側リフレク
タのクラスタリング」の処理において路側リフレクタ候
補物体のクラスタリングが間違っていることがある。こ
のような誤りがあると,路側形状が正しくないことにな
る。このため,認識された路側形状について信頼性が評
価され,その路側形状が適切であるかどうかが判断され
る。
【0262】3.6.1 路側形状の認識
【0263】「 3.6 路側リフレクタのクラスタリン
グ」の処理で分類された2つのグループにおいて,属す
る路側リフレクタ候補物体の数が多いグループ,すなわ
ち,フラグFrlまたはFrrの総数が多いグループ(右側
または左側)について路側形状が認識される。路側形状
の認識には,少なくとも2個以上の路側リフレクタ候補
物体の存在が必要である。
【0264】路側リフレクタ候補物体の数が多いグルー
プにおいて,路側形状を直線と認識するのか,カーブと
認識するのかが判定される。選択されたグループに属す
る路側リフレクタ候補物体の中で,自車両に最も近い位
置(相対位置Qk,i (xk,i,yk,i )のY座標yk,i
が最小)にある路側リフレクタ候補物体の相対位置Qk,
i (xk,i ,yk,i )のX座標xk,i と,最も遠い位置
(相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )のY座標yk,i が
最大)にある路側リフレクタ候補物体の相対位置Qk,j
(xk,j ,yk,j )のX座標xk,j との差の絶対値が,
所定の閾値ThL (たとえば,1[m])以下のとき,すな
わち,|xk,i −xk,j |≦ThL のとき,路側形状は
直線と認識される。また,|xk,i −xk,j |>ThL
のとき,路側形状は円と認識される。
【0265】(1) 道路が直線の場合
【0266】認識された路側形状は,図28に示すよう
に,自車両に最も近い位置にある路側リフレクタ候補物
体の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )のX座標xk,i
を通り,かつ,Y軸に平行な直線と考えてよい(上述の
ように,X座標値の絶対値が小さいからである)。した
がって,路側形状を表す直線の方程式は次式で表され
る。
【0267】
【数19】 X=xL =xk,i …(33)
【0268】式(33)に代えて,自車両に最も近い位置に
ある路側リフレクタ候補物体の相対位置Qk,i (xk,i
,yk,i )と,最も遠い位置にある路側リフレクタ候
補物体の相対位置Qk,j (xk,j ,yk,j )との2点を
通る直線を,道路形状を表す直線の方程式としてもよ
い。
【0269】(2) 道路がカーブの場合
【0270】一般に,道路がカーブしている場合,その
カーブの曲率を円の半径で表すことが多い。道路がカー
ブしている場合は,路側形状が円として近似される。こ
の円の中心は,図29に示すように,X軸上にある。
【0271】円の中心を(xLo,0),半径をRL とす
ると,路側形状を表す円の方程式は,次式で表される。
【0272】
【数20】 (x−xLo)2 +y2 =RL2 …(34)
【0273】路側形状の認識とは,この円の中心のX座
標xLoおよび半径RL を算出することである。以下,中
心のX座標xLoおよび半径RL の算出方法について説明
する。
【0274】自車両に最も近い位置にある路側リフレク
タ候補物体の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )および
最も遠い位置にある路側リフレクタ候補物体の相対位置
Qk,j (xk,j ,yk,j )は,式(34)で表される円上に
あるから次式が成立する。
【0275】
【数21】 (xk,i −xLo)2 +yk,i2=RL2 …(35) (xk,j −xLo)2 +yk,j2=RL2 …(36)
【0276】式(35)および(36)からRL を消去して,円
の中心のX座標xLoを求める。
【0277】
【数22】 (xk,i −xLo)2 +yk,i2=(xk,j −xLo)2 +yk,j2 ∴ xLo=[xk,j2−xk,i2+yk,j2−yk,i2] /[2(xk,j −xk,i )] …(37)
【0278】また円の半径RL は,式(35)から次のよう
にして導かれる。
【0279】
【数23】 RL =sqrt[(xk,i −xLo)2 +yk,i2] …(38)
【0280】このように,円の中心のX座標xLoおよび
半径RL は,自車両に最も近い位置にある路側リフレク
タ候補物体の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )および
最も遠い位置にある路側リフレクタ候補物体の相対位置
Qk,j (xk,j ,yk,j )によって表すことができる。
【0281】また,クラスタリングされた左右いずれか
のグループに属するすべての路側リフレクタ候補物体の
相対位置に基づいて最小自乗近似により路側形状を表す
式を求めるようにしてもよい。また,クラスタリングさ
れた左右いずれかのグループに属する路側リフレクタ候
補物体の中で任意に選択した2個の路側リフレクタ候補
物体の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )に基づいて,
路側形状を認識するようにしてもよい。今回の処理サイ
クルkにおける路側リフレクタ候補物体を用いるだけで
なく,時系列的に追跡した路側リフレクタ候補物体を用
いることより正確な路側形状を認識することができる。
【0282】3.6.2 路側形状の信頼性評価
【0283】路側形状が認識されると,その路側形状に
ついて信頼性が評価される。認識された路側形状がこの
評価によって適切であるかどうかを判断できる。これに
より,後述する「 3.7 先行車両から路側までの距離に
よる先行車両の走行車線の評価」の処理において,正確
な走行車線の評価を行うことができる。
【0284】認識された路側形状について一定の幅で許
容範囲が設定され,この許容範囲内に路側形状の認識処
理で用いられなかった路側リフレクタ候補物体(たとえ
ば,自車両に最も近い被検出物体OBk,i と最も遠い被
検出物体OBk,j とを除く路側リフレクタ候補物体)
(以下,「未利用路側リフレクタ候補物体」という)が
存在するかどうかによって路側形状認識の信頼性が評価
される。
【0285】認識された路側形状が直線の場合,許容範
囲は,路側形状を表す方程式x=xL によって表される
直線の両側に±Δxの範囲で設定される。すなわち,許
容範囲はx=xL −Δxからx=xL +Δxまでの範囲
である。
【0286】路側形状がカーブの場合,許容範囲は,路
側形状を表す円の方程式(x−xLo)2 +y2 =RL2
よって表される円の両側にその半径方向に±ΔRの範囲
で設定される。すなわち,許容範囲は(x−xLo)2
2 =(RL −ΔR)2 から(x−xLo)2 +y2
(RL +ΔR)2 までの範囲である。
【0287】許容範囲が設定されると,未利用路側リフ
レクタ候補物体が許容範囲内に存在するかどうが判定さ
れる。未利用路側リフレクタ候補物体が1個の場合に
は,それが許容範囲内に存在すれば,認識された路側形
状は信頼性があるものと判定され,信頼度は「1」とな
る。
【0288】また,未利用路側リフレクタ候補物体が複
数個存在する場合には,路側形状の認識に用いられた路
側リフレクタ候補物体の中で,自車両に最も近い距離に
ある路側リフレクタ候補物体と,最も遠い距離にある路
側リフレクタ候補物体との中間位置に最も近い位置にあ
る1個の未利用路側リフレクタ候補物体が許容範囲内に
存在すれば,認識された路側形状は信頼性があるものと
判定され,信頼度は「1」となる。
【0289】上述した1個の未利用路側リフレクタ候補
物体が許容範囲内に存在せず,許容範囲外に存在する場
合は,信頼性がないものと判定され,信頼度は「0」と
なる。また,未利用路側リフレクタ候補物体が1個も存
在しない場合には,信頼度は「0」となる。
【0290】図30は,路側形状の認識処理および信頼性
評価処理を示すフロー・チャートである。
【0291】メモリの評価用データ記憶エリアに記憶さ
れた被検出物体OBk,i のすべてにについてフラグが検
査され,フラグFrrおよびFrlの総数がそれぞれ計数さ
れ,フラグFrrおよびFrlの総数の多いフラグが選択さ
れる(ステップ91)。
【0292】たとえば,図27に示す評価用データ記憶エ
リアに記憶されたフラグにおいて,フラグFrlは3個,
フラグFrrは0個であるから,フラグFrlが選択され
る。選択されたフラグFrl,すなわち,左側の路側形状
が認識されることになる。
【0293】選択されたフラグをもつ被検出物体の中
で,Y座標が最小(自車両に最も近い位置)の被検出物
体OBk,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )と,Y
座標が最大(自車両に最も遠い位置)の被検出物体OB
k,j の相対位置Qk,j (xk,j,yk,j )が,評価用デ
ータ記憶エリアから読出される(ステップ92)。
【0294】図27に示す例では,Y座標が最小の路側リ
フレクタ候補物体は被検出物体OBk,1 であり,Y座標
が最大の路側リフレクタ候補物体は被検出物体OBk,3
である。これらの被検出物体OBk,1 の相対位置Qk,1
(-4.7,47.8)および被検出物体OBk,3 の相対位置Q
k,3 (-3.1,54.9)が読出される。
【0295】読出された2個の路側リフレクタ候補物体
の相対位置のX座標の差が閾値Thl と比較され,路側
形状を直線と認識するのかカーブと認識するのかが判断
される(ステップ93)。
【0296】X座標の差が閾値ThL 以下であれば直線
であると判定され(ステップ93でYES ),路側形状が直
線として認識される(ステップ95)。式(33)によって表
される直線の方程式のX座標xL が路側形状用データ記
憶エリア(図示略)に記憶される。
【0297】X座標の差が閾値ThL 以上であればカー
ブであると判定され(ステップ93でNO),式(37)にした
がって円の中心のX座標xLoが算出され,式(38)にした
がって円の半径RL が算出される(ステップ94)。算出
された中心のX座標xLoおよび半径RL は路側形状用デ
ータ記憶エリアに記憶される。
【0298】図27に示すでは,路側リフレクタ候補物体
である被検出物体OBk,1 のX座標がxk,1 =-4.7であ
り,路側リフレクタ候補物体である被検出物体OBk,3
のX座標がxk,1 =-3.1である。これらのX座標の差が
|xk,1 −xj,j |=|-4.7−(-3.1)|=1.6 (>1)
であるから,路側形状は円として認識される。相対位置
Qk,1 (-4.7,47.8)と相対位置Qk,3 (-3.1,54.9)
に基づいて,式(37)および式(38)にしたがって円の中心
のX座標xLoおよび半径RL が算出される。すなわち,
xLo=[(-4.7)2 −(-3.1)2 +47.82 −54.92 ]/[2
{(-4,7)−(-3.1)}]=234.0[m],RL =sqrt[((-4,
7)−234)2 +47.82]=243.4[m]となる。これらが路側
形状用データ記憶エリアに記憶される。
【0299】図31(A) は,処理サイクルkにおいて路側
リフレクタ候補物体である被検出物体Bk,1 および被検
出物体OBk,3 に基づいて認識された路側形状を示す図
である。認識された路側形状を表す円の中心(xLo,
0)が(234.0 ,0)であり,半径RL が243.4 であ
る。
【0300】認識された路側形状について許容範囲が設
定される(ステップ96)。たとえば,図31(A) に示す路
側形状に許容範囲を設定すると,図31(B) に示すように
なる。
【0301】未利用路側リフレクタ候補物体の相対位置
Qk,i (xk,i ,yk,i )が評価用データ記憶エリアか
ら読出され,これが許容範囲内に存在するかが判断され
る(ステップ97)。
【0302】未利用路側リフレクタ候補物体が設定され
た許容範囲内に含まれれば(ステップ97でYES ),信頼
度が「1」となる(ステップ98)。許容範囲内になけれ
ば(ステップ97でNO),信頼度は「0」となる。
【0303】図27に示す例では,利用路側リフレクタ候
補物体である被検出物体OBk,2 の相対位置Qk,2 (x
k,2 ,yk,2 )は,図25(C) に示すように,設定された
許容範囲内にある。したがって,認識された路側形状の
信頼度は「1」となる。
【0304】このようにして,路側形状の認識が行わ
れ,その信頼性の評価が行われる。
【0305】3.7 先行車両から路側までの距離による
先行車両の走行車線の評価(図4;ステップ26)
【0306】路側形状の信頼度が「1」の場合におい
て,自車両から路側までの距離と,先行車両から路側ま
での距離とに基づいて先行車両が走行している車線の評
価が行われる。この評価は,評価用データ記憶エリアに
記憶された被検出物体OBk,iのすべて(路側リフレク
タ候補物体,車両候補物体を含むすべて)を先行車両と
みなして,これらの先行車両について走行車線の評価が
行われる。上述のように,停止している二輪車を路側リ
フレクタ候補物体と誤認している,または路側リフレク
タ候補物体のクラスタリングが誤っている,ことがある
かである。
【0307】認識された路側形状を用いて,自車両から
路側までの距離D0 と,先行車両であるとみなされる被
検出物体OBk,i から路側までの距離Di とが算出され
る。すべての被検出物体OBk,i について,その被検出
物体OBk,i から路側までの距離Di と,自車両から路
側までの距離D0 との差を評価値ri として,この評価
値ri に基づいて先行車両の走行車線が評価されること
になる。
【0308】路側形状が直線の場合と円の場合では評価
値ri の算出方法が異なる。以下それぞれについて説明
する。
【0309】(1) 路側形状が直線の場合
【0310】認識された路側形状が直線である場合,図
32に示すように,その直線の方程式はX=xL で表され
るから,この直線X=xL とX軸との交点のX座標xL
が自車両から路側までの距離D0 になる。すなわち,D
0 =xL である。
【0311】また,被検出物体OBk,i から路側形状を
表す直線X=xL までの距離Di は,被検出物体OBk,
i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )のX座標xk,i
と,xL との差の絶対値である。すなわち,Di =xL
−xk,i である。
【0312】さらに,被検出物体OBk,i の評価値ri
は次式で表される。
【0313】
【数24】 ri =|D0 −Di | =|xL −(xL −xk,i )| =|xk,i | …(39)
【0314】これは,図32からも明かである。
【0315】(2) 路側形状がカーブの場合
【0316】認識された路側形状が右カーブ(xL0<
0)である場合,図33に示すように,自車両から路側ま
での距離D0 は,認識された路側形状を表す円と,X軸
との交点のX座標xL である。交点の座標xL は,円の
中心(xLo,0)と半径RL とから,次式によって算出
される。
【0317】
【数25】 xL =xLo−RL …(40)
【0318】式(40)において,xLoおよびRL は上記式
(37)および式(38)によって算出されたものである。この
交点のX座標xL の絶対値が自車両から路側までの距離
D0であるから,次式で表される
【0319】
【数26】 D0 =xL =xLo−RL …(41)
【0320】被検出物体OBk,i から路側までの距離D
i は,図33に示すように,被検出物体OBk,i の相対位
置Qk,i (xk,i ,yk,i )から路側形状を表す円まで
X軸に平行に進んだときの距離である。被検出物体OB
k,i の相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )からX座標に
平行に進んだときの円と交わる交点の座標を(xL,i,
yk,i )で表す。この交点は上記式(34)によって表され
る円上にある。交点のX座標xL,i は次式によって算出
される。
【0321】
【数27】 (xL,i −xLo)2 +yk,i2=RL2 ∴ xL,i =xLo−sqrt[RL2−yk,i2] …(42)
【0322】上記交点のX座標xL,i と,被検出物体O
Bk,i の相対位置Qk,i のX座標xk,i を用いて,被検
出物体OBk,i から路側までの距離Di が次式で算出さ
れる。
【0323】
【数28】 Di =xL,i −xk,i =xLo−sqrt[RL2−yk,i2]+xk,i …(43)
【0324】さらに,被検出物体OBk,i の評価値ri
は,次式で表される。
【0325】
【数29】 ri =|D0 −Di | =|(xLo−RL)−{(xLo−sqrt[RL2−yk,i2])+xk,i | =|−RL +sqrt[RL2−yk,i2]−xk,i | …(44)
【0326】認識された路側形状が左カーブ(xL0>
0)である場合,同様にして,自車両から路側までの距
離D0 は,次式で表される
【0327】
【数30】 D0 =xLo+RL …(45)
【0328】また,被検出物体OBk,i から路側までの
距離Di は次式で表される。
【0329】
【数31】 Di =xLo+sqrt[RL2−yk,i2]+xk,i …(46)
【0330】さらに,被検出物体OBk,i の評価値ri
は,次式で表される。
【0331】
【数32】 ri =|D0 −Di | =|(xLo+RL)−{(xLo+sqrt[RL2−yk,i2])+xk,i }| =|RL −sqrt[RL2−yk,i2]−xk,i | …(47)
【0332】被検出物体OBk,i について評価値ri が
算出されると,算出された評価値ri に基づいて被検出
物体OBk,i が自車線上にある度合いを表す自車線存在
度Jr,i および他車線上にある度合いを表す他車線存在
度Tr,i が算出される。
【0333】自車線存在度Jr,i は,図34に示す言語情
報「自車線」を表すメンバーシップ関数に対する評価値
ri の適合度によって表される。他車線存在度Tr,i
は,図34に示す言語情報「他車線」を表すメンバーシッ
プ関数に対する評価値ri との適合度によって表され
る。
【0334】被検出物体OBk,i についてそれぞれ算出
された自車線存在度Jr,i および他車線存在度Tr,i
は,後述する「3.10 先行車両の走行車線の総合判定」
の処理における先行車両の走行車線の総合判定に用いら
れる。
【0335】図35は,先行車両から路側までの距離に基
づいて行われる先行車両の走行車線を評価する処理の手
順を示すフロー・チャートである。
【0336】認識された路側形状の信頼度が「1」であ
るか判断され(ステップ101 ),信頼度が「0」であれ
ば(ステップ101 でNO)先行車両から路側までの距離に
よる評価は行われず,処理を終了する。
【0337】信頼度が「1」であれば(ステップ101 で
YES ),被検出物体OBk,i をそれぞれ先行車両とみな
し,被検出物体OBk,i から路側までの距離による走行
車線の評価が行われる。
【0338】図27に示す例では,信頼度は「1」であら
から,路側までの距離による評価が行われる。
【0339】iが1に初期化され(ステップ102 ),第
1番目の被検出物体OBk,1 の相対位置Qk,1 (xk,1
,yk,1 )が評価用データ記憶エリアから読出され
る。
【0340】図27に示す例では,被検出物体OBk,1 の
相対位置Qk,1 (-4.7,47.8)が読出される。
【0341】被検出物体OBk,i について評価値ri が
算出される(ステップ104 )。
【0342】図27に示す例では,認識された路側形状は
右カーブの道路であり,xLo=234.0[m],RL =243.4
[m]であるから,式(44)にしたがって評価値ri はr1
=|11.4−0|=11.4となる。
【0343】評価値ri が算出されると,その評価値r
i を用いて図35のメンバーシップ関数を用いて,自車線
存在度Jr,i および他車線存在度Tr,i が算出される
(ステップ105 )。
【0344】たとえば,被検出物体OBk,1 についての
自車線存在度Jr,1 は「0」となり,他車線存在度Tr,
1 は「1」となる。
【0345】被検出物体OBk,i のすべてについて,i
をインクリメントしながら(ステップ106 ),評価値r
i およびそれに基づく自車線存在度Jr,i および他車線
適合Tr,i が算出される。Nk 個の被検出物体OBk,i
について路側までの距離による評価が終了したことにな
る。(ステップ103 )。
【0346】図27に示す被検出物体OBk,i について算
出された評価値ri に基づく自車線存在度Jr,i および
他車線存在度Tr,i の例が図36に示されている。
【0347】このようにして,先行車両の走行車線の評
価が行われる。
【0348】3.8 先行車両の相対位置および移動ベク
トルによる先行車両の走行車線の評価(図4;ステップ
27)
【0349】この評価では,先行車両の相対位置および
移動ベクトルに基づいて,先行車両が将来どのような経
路をたどって自車両に近づくのかを予測することによっ
て,先行車両の走行車線を判定しようとするものであ
る。
【0350】この評価は,上述の「 3.7 先行車両から
路側までの距離による先行車両の走行車線の評価」の処
理と同様に,評価用データ記憶エリアに記憶された被検
出物体OBk,i のすべて(路側リフレクタ候補物体,車
両候補物体を含むすべて)を先行車両とみなして行われ
る。先行車両の移動ベクトルの大きさが小さい(厳密に
いうと,移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )の
Y成分Vy,k,i の絶対値が所定の閾値以下,たとえば5
[km/h]=1.4[m/s]以下)ものについては,正確な評価結
果が得られないから,そのような先行車両については評
価が行われない。
【0351】先行車両とみなされる被検出物体OBk,i
が,その相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )から自車両
に近づく方向に相対的に移動したときに,被検出物体O
Bk,i がX軸と交わると予測される点(交点)のX座標
xc,i に基づいて被検出物体OBk,i の走行車線が判定
される。このX座標xc,i の絶対値が,走行車線を判定
するための評価値ci となる。すなわち,評価値は,c
i =|xc,i |である。
【0352】先行車両とみなされる被検出物体OBk,i
が,直線の道路上であるのか,カーブしている道路上に
あるのかによって評価値ci の算出方法が異なる。以下
それぞれの場合について説明する。
【0353】先行車両である被検出物体OBk,i につい
て,その移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i )の
X成分Vx,k,i の絶対値が所定の閾値Thv (たとえば
0.1[m/s])以下,すなわち,|Vx,k,i |≦0.1[m/s]で
あれば,その被検出物体OBk,i は直線の道路上に存在
する先行車両と判定される。また,|Vx,k,i |>0.1
[m/s]であれば,その被検出物体OBk,i はカーブして
いる道路上に存在する先行車両であると判定される。
【0354】(1) 道路が直線の場合
【0355】先行車両は直線上に存在するから,その先
行車両は自車両からみると,直進してくるようにみえ
る。したがって,先行車両(被検出物体OBk,i )の相
対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )のX座標xk,i が,X
軸との交点のX座標xc,i である。すなわち,xc,i =
xk,i である。
【0356】この場合,評価値ci は次式で表される。
【0357】
【数33】 ci =|xc,i | =|xk,i | …(48)
【0358】(2) 道路がカーブの場合
【0359】先行車両がカーブしている道路上に存在す
る場合,その先行車両は自車両からみるとX軸上の中心
をもつ円に沿って動く。したがって,X軸との交点のX
座標xc,i は,「3.5.2 路側リフレクタの相対位置およ
び移動ベクトルによる路側リフレクタのクラスタリング
(2) 道路がカーブの場合」の処理と同様にして算出す
ることができる。
【0360】道路が左カーブ(Vx,k,i >0.1[m/s])の
場合,交点のX座標xc,i は次式で表される。
【0361】
【数34】 xc,i =xk,i +yk,i ・{(Vy,k,i /Vx,k,i ) −sqrt[(Vy,k,i /Vx,k,i )2 +1]} …(49)
【0362】この場合,評価値ci は次式で表される。
【0363】
【数35】 ci =|xc,i | =|xk,i +yk,i ・{(Vy,k,i /Vx,k,i ) −sqrt[(Vy,k,i /Vx,k,i )2 +1]}| …(50)
【0364】道路が左カーブ(Vx,k,i >0.1 [m/s] )
の場合,交点のX座標xc,i は次式で表される。
【0365】
【数36】 xc,i =xk,i +yk,i ・{(Vy,k,i /Vx,k,i ) +sqrt[(Vy,k,i /Vx,k,i )2 +1]} …(51)
【0366】この場合,評価値ci は次式で表される。
【0367】
【数37】 ci =|xc,i | =|xk,i +yk,i ・{(Vy,k,i /Vx,k,i ) +sqrt[(Vy,k,i /Vx,k,i )2 +1]}| …(52)
【0368】被検出物体OBk,i について評価値ci が
算出されると,算出された評価値ci に基づいて被検出
物体OBk,i が自車線上にある度合いを表す自車線存在
度Jc,i および他車線上にある度合いを表す他車線存在
度Tc,i が算出される。
【0369】自車線存在度Jc,i は,図37に示す言語情
報「自車線」を表すメンバーシップ関数に対する評価値
ci の適合度によって表される。他車線存在度Tc,i
は,図37に示す言語情報「他車線」を表すメンバーシッ
プ関数に対する評価値ci との適合度によって表され
る。
【0370】各被検出物体OBk,i についてそれぞれ算
出された自車線存在度Jc,i および他車線存在度Tc,i
は,後述する「3.10 先行車両の走行車線の総合判定」
の処理における先行車両の走行車線の判定に用いられ
る。
【0371】図38は,先行車両の相対位置および移動ベ
クトルに基づいて行われる先行車両の走行車線を評価す
る処理の手順を示すフロー・チャートである。
【0372】iが1に初期化され(ステップ111 ),第
1番目の被検出物体OBk,1 相対位置Qk,1 (xk,1 ,
yk,1 )および移動ベクトルVk,1 (Vx,k,1 ,Vy,k,
1 )が評価用データ記憶エリアから読出され,被検出物
体OBk,1 から識別処理が開始される。
【0373】図27に示す例では,被検出物体OBk,1 の
相対位置Qk,1 (-4.7,47.8)および移動ベクトルVk,
1 (-1,-21 )が読出される。
【0374】被検出物体OBk,i の移動ベクトルVk,i
(Vx,k,i ,Vy,k,i )のY成分Vy,k,i が1.4[m/s]よ
り大きいかどうかが判断される(ステップ113 )。
【0375】移動ベクトルVk,i (Vx,k,i ,Vy,k,i
)のY成分Vy,k,i が1.4[m/s]より大きければ(ステ
ップ113 でYES ),その被検出物体OBk,i について評
価値ci が算出される(ステップ114 )。
【0376】図27に示す例では,被検出物体OBk,1 の
相対位置Qk,1 は(-4.7,47.8)であり,移動ベクトル
Vk,1 (-1,-21 )であるから,評価値c1 =|xc,1
|=|(-4.7)+(-47.8) ・{((-21) /(-1))+sqrt
[((-21) /(-1))2 +1]}|=5.3 となる。被検出
物体OBk,2 およびOBk,3 についても同様に評価値が
算出される。
【0377】Y成分Vy,k,i が1.4[m/s]以下であれば
(ステップ113 でNO),その被検出物体OBk,i につい
ての評価処理が行われない。
【0378】図27に示す例では,被検出物体OBk,4 ,
OBk,5 およびOBk,6 については評価処理が行われな
い。
【0379】評価値ci が算出されると,その評価値c
i に基づいて図37のメンバーシップ関数を用いて,自車
線存在度Jc,i および他車線存在度Tc,i が算出される
(ステップ115 )。
【0380】たとえば,被検出物体OBk,1 についての
自車線存在度Jc,1 および他車線存在度Tc,1 を算出す
ると,評価値c1 =5.3 であるから,自車線存在度Jc,
1 は「0」となり,他車線存在度Tc,1 は「1」とな
る。
【0381】iがインクリメントされ(ステップ116
),ステップ103 に戻って,新たなiについてステッ
プ113 〜115 の処理が繰返される。
【0382】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ113 〜116 )が繰返され,i>Nk にな
れば,Nk 個の被検出物体OBk,i について,相対位置
Qk,i (xk,i ,yk,i )および移動ベクトルVk,i
(Vx,k,i ,Vy,k,i )に基づく評価が終了したことに
なる。(ステップ112 )。
【0383】このようにして,先行車両の相対位置およ
び移動ベクトルによる走行車線の評価が行われる。
【0384】図27に示す被検出物体OBk,i について算
出された評価値ci に基づく自車線存在度Jc,i および
他車線存在度Tc,i の例が図39に示されている。
【0385】3.9 先行車両の相対位置のみによる先行
車両の走行車線の評価(図4;ステップ28)
【0386】この評価でも,評価用データ記憶エリアに
記憶された被検出物体OBk,i のすべて(路側リフレク
タ候補物体,車両候補物体を含むすべて)が先行車両と
みなされ,それらの相対位置Qk,i (xk,i ,yk,i )
のみに基づいて走行車線の評価が行われる。
【0387】カーブしている道路あっても必ず自車線と
なる領域が計測角度範囲内に存在する。図40には右カー
ブ(半径が300[m];カーブしている道路,直線の道路を
包含するものとしてこの半径が設定されている。)の片
側2車線の道路LR1およびLR2が実線で,左カーブ
(半径が300[m])の道路LL1およびLL2が鎖線で示
されている。自車線を道路LL1またはLR1としたと
きのこれらの道路と計測角度範囲との共通領域がハッチ
ングで示されている。
【0388】このような共通領域に基礎として,図41に
示すような自車線となる度合い(グレード)を表す立体
的なメンバーシップ関数を考え,このメンバーシップ関
数を用いて先行車両の走行車線の評価が行われる。この
メンバーシップ関数は,あらかじめ設定されている。も
っとも,認識された路側形状に基づいてメンバーシップ
関数を作成することもできる。図41では,自車両(原点
O)に近いほどグレード大きく(最大1.0 ),自車両か
ら遠方に行くほど,および側方に外れるほどグレードが
小さくなっている。
【0389】先行車両(被検出物体OBk,i )の相対位
置Qk,i に基づいて,図41に示す立体的なメンバーシッ
プ関数に対する適合度が算出される。この適合度が,被
検出物体OBk,i の自車線存在度Jp,i である。この評
価では他車線存在度Tp,i は算出されない。
【0390】図42は,先行車両の相対位置に基づいて行
われる先行車両の走行車線を評価する処理の手順を示す
フロー・チャートである。
【0391】iが1に初期化され(ステップ121 ),第
1番目の被検出物体OBk,1 の相対位置Qk,1 (xk,1
,yk,1 )が評価用データ記憶エリアから読出され,
被検出物体OBk,1 から識別処理が開始される。たとえ
ば,被検出物体OBk,1 の相対位置Qk,1 (-4.7,47.
8)が読出される。
【0392】被検出物体OBk,i の相対位置に基づい
て,図42に示す立体的なメンバーシップ関数を用いて,
自車線存在度Jp,i が算出される(ステップ123 )。
【0393】たとえば,被検出物体OBk,1 について,
算出された自車線存在度Jp,1 は「0」である。
【0394】iがインクリメントされ(ステップ124
),ステップ122 に戻って,新たなiについてステッ
プ123 〜124 の処理が繰返される。
【0395】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ123 〜124 )が繰返され,i>Nk にな
れば,Nk 個の被検出物体OBk,i について相対位置Q
k,i(xk,i ,yk,i )のみによる先行車両の走行車線
の評価処理が終了したことになる。(ステップ122 )。
【0396】図27に示すデータについて自車線存在度J
p,i を算出すると,図43に示すデータが得られる。被検
出物体OBk,1 ,OBk,2 ,OBk,3 およびOBk,4 の
自車線存在度Jp,i はすべて「0」であり,被検出物体
OBk,5 およびOBk,6 については自車線存在度はそれ
ぞれ,「0.1 」および「0.3 」である。他車線存在度T
p,i は算出されないから,データがないことを表す
「*」が示されている。
【0397】このようにして,先行車両の相対位置のみ
に基づく走行車線の評価が行われる。
【0398】3.10 先行車両の走行車線の総合判定(図
4;ステップ29)
【0399】先行車両の走行車線の総合判定は,「 3.7
先行車両から路側までの距離による先行車両の走行車
線の評価」,「 3.8 先行車両の相対位置および移動ベ
クトルによる走行車線の走行車線の評価」および「 3.9
先行車両の相対位置のみによる走行車線の評価」の処
理においてそれぞれ算出された自車線存在度および他車
線存在度に基づいて行われる。
【0400】先行車両とみなした被検出物体OBk,i の
すべてについて,各評価処理で算出された自車線存在度
および他車線存在度が被検出物体OBk,i 毎に合計さ
れ,自車線存在度の総和が他車線存在度の総和より大き
ければ,その被検出物体OBk,i は自車線上の先行車両
であると判定される。他車線存在度が自車線存在度より
も大きければ,その被検出物体OBk,i は他車線上の先
行車両であると判定される。
【0401】図44は,先行車両の走行車線の総合判定の
処理手順を示すフロー・チャートである。
【0402】iが1に初期化され(ステップ121 ),被
検出物体OBk,1 から識別処理が開始される。
【0403】第i番目の被検出物体OBk,i の自車線存
在度Jr,i ,Jc,i およびJp,i が評価用データ記憶エ
リアから読出され,それらが積算される。(ステップ13
3 )。
【0404】たとえば,被検出物体OBk,1 の自車線存
在度はJr,1 =0,Jc,1 =0,Jp,1 =0であるか
ら,その総和は「0」である。
【0405】第i番目の被検出物体OBk,i の他車線存
在度Tr,i ,Tc,i およびTp,i が評価用データ記憶エ
リアから読出され,それらが積算される。(ステップ13
4 )。
【0406】たとえば,被検出物体OBk,1 の他車線存
在度はTr,1 =1,Tc,1 =1,Tp,1 =*(0)であ
るから,その総和は「2」である。
【0407】自車線存在度の総和と他車線存在度の総和
とが比較され(ステップ135 ),自車線存在度の総和が
他車線存在度の総和より大きければ(ステップ135 でYE
S ),その被検出物体OBk,i に自車線フラグがたてら
れる(ステップ136 )。
【0408】自車線存在度の総和が他車線存在度の総和
より小さければ(ステップ135 でNO),その被検出物体
OBk,i の自車線フラグは「*」でそのままである。
【0409】たとえば,被検出物体OBk,1 の自車線存
在度の総和は「0」であり,車線存在度の総和は「2」
であるから,この被検出物体OBk,1 は自車線ではな
い。
【0410】iがインクリメントされ(ステップ137
),ステップ132 に戻って,新たなiについてステッ
プ133 〜137 の処理が繰返される。
【0411】iを順次インクリメントしながら,上記の
処理(ステップ133 〜137 )が繰返され,i>Nk にな
れば,Nk 個の被検出物体OBk,i について路側までの
距離による評価終了したことになる。(ステップ132
)。
【0412】図36,図39および図43に示すデータについ
て自車線存在度の総和および他車線存在度の総和を算出
し,自車線であるかどうかの判定を行うと図45に示すデ
ータが得られる。被検出物体OBk,1 ,OBk,2 ,OB
k,3 ,Bk,4 およびOBk,5は,他車線の先行車両であ
る。被検出物体OBk,6 は,自車線の先行車両である。
【0413】4.11 車間距離の出力(図4;ステップ3
0)
【0414】自車線上の先行車両であると判定された被
検出物体OBk,i の相対位置Qk,i(xk,i ,yk,i )
のY座標yk,i のうちで最も小さいものが車間距離とし
て出力される。
【0415】図45に示す例では,自車線上の先行車両は
被検出物体OBk,6 のみであるから,この被検出物体O
Bk,6 の相対位置Qk,6 (xk,6 ,yk,6 )のY座標
「35.9」が,先行車両までの車間距離として出力され
る。この被検出物体OBk,6 は,図1に示す車両2を表
す。
【0416】以上のようにして,信号処理装置19におい
て先行車両までの車間距離計測が行われる。
【0417】上述した3種類の先行車両の走行車線の評
価のうちのいずれか1つまたは2つの評価結果に基づい
て先行車両が自車線上にあるかどうかを判定してよいの
はいうまでもない。また,自車線存在度が所定の閾値以
上であれは自車線上に存在する先行車両と判定してもよ
い。
【0418】図46は車間距離計測装置10が車両1に搭載
された様子を示す。この車間距離計測装置10は車両1の
前部に取付けられ,バンパー1Aの内側に設けられたバ
ンパー1Aを支持するフレーム(図示略)に固定され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両が道路上を走行している様子を示す。
【図2】車間距離計測装置の電気的構成を示すブロック
図である。
【図3】信号処理装置における車間距離計測の1処理サ
イクルの処理手順を示すフロー・チャートである。
【図4】信号処理装置における車間距離計測の1処理サ
イクルの処理手順を示すフロー・チャートである。
【図5】掃引角度および距離を表す対データを記憶した
メモリの対データ記憶エリアの一例を示す。
【図6】(A) は被検出物体の検出位置を表す極座標系を
示し,(B) は(A) に示す被検出物体の位置表示を極座標
系から座標変換したときの直交座標系を示す。
【図7】座標変換処理の処理手順を示すフロー・チャー
トである。
【図8】座標変換された相対位置データを記憶した相対
位データ一時記憶エリアの一例を示す。
【図9】同一性識別処理において用いられるウインドウ
の一例を示す。
【図10】同一性識別処理の処理手順を示すフロー・チャ
ートである。
【図11】同一性識別処理の処理手順を示すフロー・チャ
ートである。
【図12】同一性識別処理によって得られた相対位置デー
タを記憶した相対位置データ記憶エリア一例を示す。
【図13】移動ベクトル算出処理において用いられる第1
ウィンドウW1 の一例を示す。
【図14】移動ベクトル算出処理において用いられる第2
ウィンドウW2 の一例を示す。
【図15】移動ベクトルの一例を示す。
【図16】前回の処理サイクルにおける登録データ記憶エ
リアの一例を示す。
【図17】移動ベクトル算出処理の手順を示すフロー・チ
ャートである。
【図18】今回の処理サイクルにおける登録データ記憶エ
リアの一例を示す。
【図19】車両候補物体の識別処理を示すフロー・チャー
トである。
【図20】車両候補物体の識別処理が行われた後の評価用
データ記憶エリアの一例を示す。
【図21】路側リフレクタの識別処理を示すフロー・チャ
ートである。
【図22】路側リフレクタの識別処理が行われた後の評価
用データ記憶エリアの一例を示す。
【図23】路側リフレクタ候補物体の相対位置および移動
ベクトルに基づく移動方向を示す。
【図24】道路が直線の場合,路側リフレクタ候補物体の
相対位置および移動ベクトルに基づく相対的な動きを示
す。
【図25】道路がカーブの場合,路側リフレクタ候補物体
の相対位置および移動ベクトルに基づく相対的な動きを
示す。
【図26】路側リフレクタのクラスタリング処理の処理手
順を示すフロー・チャートである。
【図27】路側リフレクタのクラスタリング処理が行われ
た後の評価用データ記憶エリアの一例を示す。
【図28】道路が直線の場合,認識される路側形状を示
す。
【図29】道路がカーブの場合,認識される路側形状を示
す。
【図30】路側形状の認識処理および信頼性判定処理の手
順を示すフロー・チャートである。
【図31】(A) は路側形状の認識に用いられた路側リフレ
クタ候補物体と,認識された路側形状とを示し,(B) は
認識された路側形状に設定された許容範囲を示し,(C)
は許容範囲内に路側形状の認識に用いられなかった路側
リフレクタ候補物体が存在することを示す。
【図32】道路が直線の場合,先行車両の位置関係を示
す。
【図33】道路がカーブの場合,先行車両の位置関係を示
す。
【図34】先行車両から路側までの距離による先行車両の
走行車線の評価に用いられる,言語情報「自車線」およ
び「他車線」を表すメンバーシップ関数の一例を示すグ
ラフである。
【図35】先行車両から路側までの距離による先行車両の
走行車線を評価する処理の手順を示すフロー・チャート
である。
【図36】先行車両から路側までの距離に基づいて算出さ
れた評価値に対する自車線存在度および他車線存在度の
一例を示し,図27に示す評価用データ記憶エリアにデー
タに基づいて算出されたものである。。
【図37】先行車両の相対位置および移動ベクトルによる
走行車線の評価に用いられる,言語情報「自車線」およ
び「他車線」を表すメンバーシップ関数の一例を示すグ
ラフである。
【図38】先行車両の相対位置および移動ベクトルに基づ
く先行車両の走行車線を評価する処理の手順を示すフロ
ー・チャートである。
【図39】先行車両から路側までの距離に基づいて評価値
に対する自車線存在度および他車線存在度の一例を示
す。
【図40】右カーブおよび左カーブの道路上における計測
角度範囲を示す。
【図41】先行車両の相対位置のみによる走行車線の評価
に用いられる,自車線となる立体的なメンバーシップ関
数の一例を示す。
【図42】先行車両の相対位置のみによる先行車両の走行
車線を評価する処理の手順を示すフロー・チャートであ
る。
【図43】先行車両の相対位置のみに基づいて算出された
自車線存在度および他車線存在度を示す。
【図44】先行車両の走行車線の総合判定の手順を示すフ
ロー・チャートである。
【図45】各評価によって得られた自車線存在度および他
車線存在度のそれぞれのの総和の一例を示す。
【図46】車間距離計測装置が車両に搭載された様子を示
す。
【符号の説明】
10 車間距離計測装置 11 投光器 12 レーザ光掃引装置 13 掃引角度検出装置 14 受光器 15 距離算出装置 16 車速センサ 17 警報装置 18 アクチュエータ 19 信号処理装置

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光を所定の計測角度範囲において
    一定角度間隔毎に一定時間間隔で投光するとともに,レ
    ーザ光の投光時点を表す投光タイミング信号と,投光角
    度を表す掃引角度信号とを出力する投光手段,上記投光
    手段から投光されたレーザ光の被検出物体からの反射光
    を受光し,反射光を受光した時点を表す受光タイミング
    信号を出力する受光手段,上記投光手段からの投光タイ
    ミング信号と,上記受光手段からの受光タイミング信号
    との時間間隔に基づいて,被検出物体までの距離を算出
    する距離算出手段,ならびに上記距離算出手段によって
    算出された被検出物体までの距離と,上記投光手段から
    得られる掃引角度信号とに基づいて被検出物体の相対位
    置を算出し,同一の被検出物体について算出された時間
    を異にする2つの相対位置に基づいてその被検出物体の
    移動ベクトルを算出し,被検出物体の移動ベクトルに基
    づいてその被検出物体が路側リフレクタであるか,また
    は車両であるかを識別し,路側リフレクタと識別された
    被検出物体のうち路側の左右のいずれか片側の路側リフ
    レクタであると識別された被検出物体の相対位置に基づ
    いて路側形状を認識し,認識した路側形状に基づいて車
    両と識別した被検出物体について,その車両が走行して
    いる車線を判定し,同一車線を走行する車両までの距離
    が最小のものを車間距離として出力する信号処理手段,
    を備えた車間距離計測装置。
  2. 【請求項2】 レーザ光を所定の計測角度範囲にわたっ
    て一定角度間隔毎に一定時間間隔で投光するとともに,
    レーザ光の投光時点を表す投光タイミング信号と,投光
    角度を表す掃引角度信号とを出力する投光手段,上記投
    光手段から投光されたレーザ光の被検出物体からの反射
    光を受光し,反射光を受光した時点を表す受光タイミン
    グ信号を出力する受光手段,上記投光手段から与えられ
    る投光タイミング信号と,上記受光手段から与えられる
    受光タイミング信号との時間間隔に基づいて,被検出物
    体までの距離を算出する距離算出手段,自車両の車速を
    検出する車速検出手段,上記距離算出手段によって算出
    された被検出物体までの距離と,上記投光手段から与え
    られる掃引角度信号とに基づいて,被検出物体の相対位
    置を算出する相対位置算出手段,少なくとも上記相対位
    置算出手段によって算出された相対位置に基づいて,被
    検出物体が自車線上の先行車両であるかどうかを判定す
    る車線判定手段,ならびに上記車線判定手段によって自
    車線上の先行車両であると判定された被検出物体のなか
    で,相対位置が最小のものとの距離を車間距離として出
    力する車間距離出力手段,を備えた車間距離計測装置。
  3. 【請求項3】 同一の被検出物体について上記相対位置
    算出手段によって算出された時間を異にする2つの相対
    位置に基づいて,被検出物体の移動ベクトルを算出する
    移動ベクトル算出手段,ならびに各被検出物体につい
    て,上記移動ベクトル算出手段によって算出された移動
    ベクトルおよび上記車速検出手段によって検出された車
    速に基づいて,道路の路側に設けられた路側リフレクタ
    を検出し,検出した路側リフレクタの相対位置に基づい
    て路側形状を認識する路側形状認識手段をさらに備え,
    上記車線判定手段は,各被検出物体について,自車両か
    ら上記路側形状によって表される路側までの距離と,被
    検出物体から上記路側形状によって表される路側までの
    距離とに基づいて,被検出物体が自車線上の先行車両で
    あるかどうかを判定するものである,請求項2に記載の
    車間距離計測装置。
  4. 【請求項4】 同一の被検出物体について上記相対位置
    算出手段によって算出された時間を異にする2つの相対
    位置に基づいて,被検出物体の移動ベクトルを算出する
    移動ベクトル算出手段をさらに備え,上記車線判定手段
    は,各被検出物体について,被検出物体の相対位置およ
    び移動ベクトルに基づいて,被検出物体が自車線上の先
    行車両であるかどうかを判定するものである,請求項2
    に記載の車間距離計測装置。
  5. 【請求項5】 上記車線判定手段は,各被検出物体につ
    いて,被検出物体の相対位置に基づいて,被検出物体が
    自車線上の先行車両であるかどうかを判定するものであ
    る,請求項2に記載の車間距離計測装置。
  6. 【請求項6】 同一の被検出物体について上記相対位置
    算出手段によって算出された時間を異にする2つの相対
    位置に基づいて,被検出物体の移動ベクトルを算出する
    移動ベクトル算出手段,各被検出物体について,上記移
    動ベクトル算出手段によって算出された移動ベクトルお
    よび上記車速検出手段によって検出された車速に基づい
    て,道路の路側に設けられた路側リフレクタを検出し,
    検出した路側リフレクタの相対位置に基づいて路側形状
    を認識する路側形状認識手段,ならびに各被検出物体に
    ついて,自車両から上記路側形状によって表される路側
    までの距離と,被検出物体から上記路側形状によって表
    される路側までの距離とに基づいて,上記被検出物体が
    自車線上に存在する度合いを表す第1の自車線存在度お
    よび他車線上に存在する度合いを表す第1の他車線存在
    度を算出する第1の評価手段をさらに備え,上記車線判
    定手段は,上記第1の評価手段によって算出された少な
    くとも第1の自車線存在度に基づいて,被検出物体が自
    車線上の先行車両であるかどうかを判定するものであ
    る,請求項2に記載の車間距離計測装置。
  7. 【請求項7】 同一の被検出物体について上記相対位置
    算出手段によって算出された時間を異にする2つの相対
    位置に基づいて,被検出物体の移動ベクトルを算出する
    移動ベクトル算出手段,ならびに各被検出物体につい
    て,被検出物体の相対位置および移動ベクトルに基づい
    て,上記被検出物体が自車線上に存在する度合いを表す
    第2の自車線存在度および他車線上に存在する度合いを
    表す第2の他車線存在度を算出する第2の評価手段をさ
    らに備え,上記車線判定手段は,上記第2の評価手段に
    よって算出された少なくとも第2の自車線存在度に基づ
    いて,被検出物体が自車線上の先行車両であるかどうか
    を判定するものである,請求項2に記載の車間距離計測
    装置。
  8. 【請求項8】 各被検出物体について,被検出物体の相
    対位置に基づいて,上記被検出物体が自車線上に存在す
    る度合いを表す第3の自車線存在度および他車線上に存
    在する度合いを表す第3の他車線存在度を算出する第3
    の評価手段をさらに備え,上記車線判定手段は,上記第
    3の評価手段によって算出された少なくとも第3の自車
    線存在度に基づいて,被検出物体が自車線上の先行車両
    であるかどうかを判定するものである,請求項2に記載
    の車間距離計測装置。
  9. 【請求項9】 同一の被検出物体について上記相対位置
    算出手段によって算出された時間を異にする2つの相対
    位置に基づいて,被検出物体の移動ベクトルを算出する
    移動ベクトル算出手段,各被検出物体について,上記移
    動ベクトル算出手段によって算出された移動ベクトルお
    よび上記車速検出手段によって検出された車速に基づい
    て,道路の路側に設けられた路側リフレクタを検出し,
    検出した路側リフレクタの相対位置に基づいて路側形状
    を認識する路側形状認識手段,各被検出物体について,
    自車両から上記路側形状によって表される路側までの距
    離と,被検出物体から上記路側形状によって表される路
    側までの距離とに基づいて,上記被検出物体が自車線上
    に存在する度合いを表す第1の自車線存在度および他車
    線上に存在する度合いを表す第1の他車線存在度を算出
    する第1の評価手段,各被検出物体について,被検出物
    体の相対位置および移動ベクトルに基づいて,上記被検
    出物体が自車線上に存在する度合いを表す第2の自車線
    存在度および他車線上に存在する度合いを表す第2の他
    車線存在度を算出する第2の評価手段,各被検出物体に
    ついて,被検出物体の相対位置に基づいて,上記被検出
    物体が自車線上に存在する度合いを表す第3の自車線存
    在度および他車線上に存在する度合いを表す第3の他車
    線存在度を算出する第3の評価手段,ならびに各被検出
    物体について,第1,第2および第3の自車線存在度お
    よび第1,第2および第3の他車線存在度のそれぞれの
    総和を算出し,自車線存在度の総和が他車線存在度の総
    和よりも大きい被検出物体を自車線上の先行車両である
    と判定する上記車線判定手段を備えている,請求項2に
    記載の車間距離計測装置。
  10. 【請求項10】 上記相対位置算出手段は,相対位置を算
    出した被検出物体が同一の被検出物体からの反射光に依
    るものであるかどうかを検査する同一性識別を行い,こ
    の同一性識別によって同一であると判定された被検出物
    体をまとめて1個の被検出物体とし,まとめた1個の被
    検出物体について相対位置を算出し直すものである,請
    求項2に記載の車間距離計測装置。
  11. 【請求項11】 各被検出物体について,一の被検出物体
    および他の被検出物体の相対位置と移動ベクトルが,車
    両である関係を表すペア条件を満たすかどうかを検査
    し,上記ペア条件を満たす2個の被検出物体が存在すれ
    ば,それらを1個の被検出物体にまとめる車両識別手段
    をさらに備えた,請求項2に記載の車間距離計測装置。
  12. 【請求項12】 上記路側形状認識手段は,各被検出物体
    について,上記移動ベクトル算出手段によって算出され
    た移動ベクトルおよび上記車速検出手段によって検出さ
    れた車速に基づいて,道路の路側に設けられた路側リフ
    レクタを検出し,検出した路側リフレクタを道路の右側
    に設けられたものの属するグループと,道路の左側に設
    けられたものの属するグループとに分け,属する数が多
    いグループの路側リフレクタの相対位置に基づいて路側
    形状を認識するものである,請求項3,6および9のい
    ずれか一項に記載の車間距離計測装置。
  13. 【請求項13】 上記路側形状認識手段は,路側リフレク
    タの相対位置および移動ベクトルに基づく移動方向によ
    って,路側リフレクタを道路の右側に設けられたものの
    属するグループと,道路の左側に設けられたものの属す
    るグループとに分けるものである,請求項12に記載の車
    間距離計測装置。
  14. 【請求項14】 上記路側形状認識手段は,路側リフレク
    タの相対位置および移動ベクトルに基づく相対的な動き
    によって,路側リフレクタを道路の右側に設けられたも
    のの属するグループと,道路の左側に設けられたものの
    属するグループとに分けるものである,請求項12に記載
    の車間距離計測装置。
  15. 【請求項15】 上記路側形状認識手段は,路側形状を直
    線または円と認識するものである,請求項3,6,9お
    よび12のいずれか一項に記載の車間距離計測装置。
  16. 【請求項16】 上記路側形状認識手段は,認識した路側
    形状が適切であるかどうかの信頼性の評価をさらに行う
    ものであり,上記第1の評価手段は,上記路側形状認識
    手段によって認識された路側形状の信頼性がない場合,
    すべての被検出物体について自車線存在度および他車線
    存在度を算出しないものである,請求項9に記載の車間
    距離計測装置。
  17. 【請求項17】 上記第2の評価手段は,被検出物体の移
    動ベクトルが所定の閾値以下であるとき,その被検出物
    体については第2の自車線存在度および第2の他車線存
    在度を算出しないものである,請求項9に記載の車間距
    離計測装置。
  18. 【請求項18】 上記第3の評価手段は,自車両の前方の
    近距離にある被検出物体の第3の自車線存在度を高し,
    自車両から遠方にいくほどおよび側方にいくほど上記第
    3の自車線存在度を低くするものである,請求項8また
    は9に記載の車間距離計測装置。
  19. 【請求項19】 請求項1から請求項18のいずれか一項に
    記載の車間距離計測装置を搭載した,車両。
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