JPH07133971A - 熱交換器の冷媒分流器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】二つの平板を凹状に加工した部材１，２を使用
して凹部を向かい合わせて接着することにより管路を形
成し、管路８の流路断面積と分岐部９の流路断面積およ
び管路１０，１１の流路断面積の合計を大略等しく設定
する。 【効果】熱交換器等への取付が容易で、分流割合を均一
化することのできる冷媒分流器を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は空気調和機等に使用され
る熱交換器において、冷媒分配の割合を均一化する冷媒
分流器に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在空調機に使用されている熱交換器に
は効率をより向上させるために、作動媒体を分流させる
ための分流器が設置されており、その分流器に関しての
検討が盛んに行われている。例えば、特開昭62−49088
号公報では二枚の平板を成形し、これを重ね合わせて分
岐管を構成する実施例が述べられている。一方、特開平
4−281166 号公報では一対の板状部材を相互に接合して
ロールボンド体を構成し、その板状部材間に各冷媒経路
を設け、そこで冷媒を分流する方法について記載してい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述の一番目の代表例
では主に管体の接合方法についてのみ記載されており、
取り付け作業が比較的容易である点では優れているが管
体内部を流れる作動媒体が分流する際の偏流や圧力降下
が生じるという不具合がある。一方、二番目の代表例で
はそれぞれのパスの流路断面積を圧力降下が等しくなる
ように設定することで分流割合を均一にする方法が提唱
されているが、分岐時の流路断面積と分岐前後の流路断
面積の関係については記載されていない。

【０００４】さらに、近年オゾン層等の環境破壊により
特定フロンの廃止が行われており、その代替冷媒として
比較的害の少ない冷媒を二種類以上組み合わせた混合冷
媒が新しい作動媒体として注目されてきているが、従来
の分流器では混合冷媒を分流した場合に混合組成比がそ
れぞれのパスによって異なってしまい熱交換の効率が低
下してしまうという不具合がある。

【０００５】本発明の目的は、冷媒音が小さく加工や取
付が容易で、均一な冷媒分流をおこなうことができ、さ
らに混合冷媒を作動媒体に使用した場合にも組成比や分
流割合を容易に設定することのできる熱交換器の冷媒分
流器を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の分流器の特徴
は、二つの平板をそれぞれ接合すべき管体端部に適合し
うる凹部に形成し、その凹部を冷媒の流れ方向に滑らか
に形成し、それぞれの凹部を向かい合わせ接着すること
により管路を形成する構造を備えた冷媒分流器におい
て、分流時あるいは分流後の流路断面積の合計が分流前
の流路断面積の合計に大略等しくするような構造を特徴
とする。

【０００７】

【作用】本発明は上記した構成によって熱交換器への取
付が容易にでき、作動媒体が分流する際の偏流をなくす
ことにより分流が均一化され、圧力降下が少ないことか
ら冷媒音の発生がなく、混合冷媒を作動媒体とした場合
にも分流後の各パスによって組成比が異ならない。

【０００８】

【実施例】以下、本発明による冷媒分流器の一実施例を
図面を参照しながら説明する。

【０００９】まず、図１は本発明における分流器を形成
する方法を示す斜視図であり、図２は各部材を接合した
図である。図１において、部材１の凹部３ａおよび部材
２の凹部３ｂは配管７ａに適合するように、凹部５ａお
よび５ｂは配管７ｂに適合するように、さらに凹部６ａ
および６ｂは配管７ｃに適合するようにプレス加工を施
す。ここで部材１と部材２は冷媒の流れ方向に対して上
下対称であり、配管７ｂと７ｃの流路断面積の合計は配
管７ａの流路断面積と等しく設定する。これらの加工を
施した後、配管７ａの端部を凹部３ａと３ｂで、配管７
ｂの端部を凹部５ａと５ｂで、配管７ｃの端部を凹部６
ａと６ｂでそれぞれ囲むようにして、図２に示すように
部材１と部材２の凹部を向かい合わせて接着させ、ろう
付けあるいは圧着することにより冷媒分流器を構成す
る。また図２において、分流前の管部８の断面積と分流
時の管部９の断面積および分流後の管部１０と管部１１
の合計の断面積は大略等しくなるように設定する。

【００１０】以上のように構成された冷媒分流器を空気
調和機で使用される冷媒を蒸発させるための熱交換器に
用いた場合の実施例について図３を参照しながら説明す
る。

【００１１】複数のフィン１５に複数の伝熱管１４を通
してフィンと伝熱管を圧着したフィン付き熱交換器１６
の配管端部１０ａ，１１ａに、本発明の冷媒分流器を図
１で説明した方法により取り付ける。このときの冷媒の
流れを順に説明する。まず、冷媒入口１３から入った冷
媒は分岐部９で分流し、一方は分岐管出口１０に、他方
は分岐管出口１１に流れ込む。分岐管出口１０に流れ込
んだ冷媒はフィン付き熱交換器１６に流入し熱交換を行
いながら出口配管１０ｂに至る。同様に分岐管出口１１
に流れ込んだ冷媒はフィン付き熱交換器１６に流入し熱
交換を行いながら出口配管１１ｂに至る。この時、分岐
部９の断面積が冷媒入口１３の断面積よりも大きい場
合、分岐部９で冷媒の持つ慣性力と管内壁の粘性力との
関係により冷媒の流れが不安定になる。そして分流後の
それぞれの冷媒がフィン付熱交換器に流入した場合には
一方は過熱蒸気で、他方は熱交換不足により液体と蒸気
が混合している二相流の状態で出口に達してしまい熱交
換器の効率が悪くなってしまう。しかし、本発明では管
断面積を大略等しく設定しているため分流割合が均一に
なり、分岐管出口１０と分岐管出口１１の断面積の比を
各パスの交換熱量の能力に対応させておけば、分流後の
冷媒は分岐管出口１０と分岐管出口１１の断面積の比に
分かれるため上記したような問題は生じない。

【００１２】本発明の他の実施例を図４を参照して説明
する。図４は本発明による分流器１２の一方の出口配管
１０にフィン付熱交換器１７の配管端部を、他方の出口
配管１１にフィン付熱交換器１８の配管端部を取り付け
たものである。なお、この時の配管の接続方法は図１で
説明した方法による。分流器１２の分岐部９で分流した
冷媒の一方はフィン付熱交換器１７に流れ込み熱交換を
行い、他方はフィン付熱交換器１８に流れ込み熱交換を
行うことができる。本発明による冷媒分流器は分流前と
分流時および分流後の各流路断面積の合計を等しく設定
しているために偏流が生じず、冷媒分配の割合が均一化
でき、またそれぞれの熱交換器の能力に応じて流路断面
積の割合を容易に設定できるため能力の異なる熱交換器
を同時に使用することができる。

【００１３】つぎに図示して説明はしないが、本発明の
更に他の実施例について説明する。本発明による分流器
は現在空気調和機等に使用されている純冷媒にかわっ
て、今後登場するであろう混合冷媒に対しても分流前後
のそれぞれの流路断面積の合計と分流時の流路断面積を
等しく設定することにより分流割合を均一化でき、熱交
換効率の良い熱交換器を構成することができる。また、
前述の各実施例は二方向に分流させるものであったが、
これを三方向以上に分流させる場合についても分流前の
流路断面積の合計と分流時の流路断面積の合計、および
分流後の流路断面積の合計を大略等しく設定することに
よって分流の割合を均一化できる。さらに、分流させた
後の配管を分流させても、その分流割合はそれぞれのパ
スの流路断面積の比率にすることができる。

【００１４】

【発明の効果】本発明によれば加工を施した二枚の平板
を接合することによって、熱交換器等への取付が容易で
冷媒の分流割合が容易に設定でき、分流前と分流時およ
び分流後の流路断面積を大略等しく設定することによっ
て、冷媒の分流割合を均一化できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の斜視図。

【図２】本発明の分流器を示す斜視図。

【図３】本発明の分流器を熱交換器に適用した実施例を
示す斜視図。

【図４】本発明による分流器の他の実施例を示す斜視
図。

【符号の説明】

１，２…部材、８，１０，１１…管部、９…分岐部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】二つの平板にそれぞれ接合すべき管体の端
   部に適合しうる凹部を形成し、それぞれの前記凹部を向
   かい合わせることにより作動流体の流路を形成する構造
   を備えた熱交換器の冷媒分流器において、分流時あるい
   は分流後の流路断面積の合計が分流前の流路断面積の合
   計に大略等しくなるような構造を特徴とする熱交換器の
   冷媒分流器。